説明

画像形成装置

【課題】弾性表面を有する現像ローラなどを効率的にクリーニング可能な液体現像剤を用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置における現像ローラなどの弾性ローラ71は、像担持体上に形成した潜像を現像するものである。画像形成の工程において、キャリアに一様分散したトナーをコンパクションによって、この弾性ローラ71表面側に凝集させるが、この凝集されたトナーをクリーニングするためにクリーニングブレード72が設けられている。クリーニングブレード72の突端が弾性ローラ71に押圧摺接する押圧摺接点における弾性ローラ71の母線に垂直な垂直線に対してクリーニングブレード72の接触面が成す角度をθとし、弾性ローラ71にクリーニングブレード72が押圧摺接して該弾性表層を弾性変形させ、該弾性表層の変形部位の立ち上がり形状が前記垂直線と成す角度をαとするとき、α>θなる関係となるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成した潜像を液体現像剤用現像装置により現像して像担持体から一次転写部の転写位置で中間転写体に転写し、中間転写体から二次転写部の転写位置で記録媒体に転写する液体現像剤を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体溶媒中に固体成分からなるトナーを分散させた高粘度の液体現像剤を用いて潜像を現像し、静電潜像を可視化する湿式画像形成装置が種々提案されている。この湿式画像形成装置に用いられる現像剤は、シリコンオイルや鉱物油、食用油等からなる電気絶縁性の有機溶剤(キャリア液)中に固形分(トナー粒子)を懸濁させたものであり、このトナー粒子は、粒子径が1μm前後と極めて微細である。このような微細なトナー粒子を使用することにより、湿式画像形成装置では、粒子径が7μm程度の粉体トナー粒子を使用する乾式画像形成装置に比べて高画質化が可能である。
【0003】
現像剤を構成するキャリア液は、粒子径1μm前後のトナー粒子の飛散防止の他に、トナー粒子を帯電状態にさせ、さらに均一分散状態にする機能を有し、現像や転写工程では、トナー粒子が電界作用で容易に移動できるようにするための役割も担っている。このように、キャリア液はトナー保存、トナー搬送、現像、転写工程で必要な成分であるが、非画像領域にも付着し、現像後の過剰なキャリア液は転写乱れ等を引き起こす原因となる。そのため、通常、感光体上、中間転写体上の現像剤に対してキャリア液の除去(スクイーズ)することが行われている(例えば、特許文献1参照)。また、現像ローラなどのローラ上において、キャリア液に一様分散したトナー粒子をバイアス印加することでローラ表面側に移動させて凝集させることが行われている。また、湿式画像形成装置においては、中間転写ベルト、さらには二次転写ベルトを使用した場合、ベルト表面に付着した液体現像剤(キャリア液と固形分)をクリーニングブレードにより除去することが行われている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2002−296918号公報
【特許文献2】特開2000−56576号公報
【特許文献3】特開2002−189354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような液体現像剤を用いた画像形成装置におけるクリーニング構造として、ウレタンゴムにより形成したクリーニングブレードを被クリーニング部材上に摺接させてクリーニングする構造は、堅い表面を有する像担持体などに対してはある程度有効であるものの、弾性表面を有する現像ローラなどのクリーニングに対しては効率的なクリーニングを達成することが難しかった。特に、キャリアに一様分散したトナーを担持した現像ローラにコンパクションローラまたはコロナ放電器から電界印加してトナーを現像ローラ側に移動させて凝集させた、コンパクションされた現像剤のクリーニングを行う現像ローラのクリーニングには非常に困難が伴う。現像ローラのみならず、画像形成装置の各所に配置された表面が弾性を有するローラに対するクリーニングは、クリーニング条件が厳しく、なかなか効率的なクリーニングが難しいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためのもので、請求項1に係る発明は、像担持体上に形成した潜像を現像ローラにより現像して前記像担持体から一次転写部の転写位置で中間転写体に転写し、前記中間転写体から二次転写部の転写位置で記録媒体に転写する液体現像剤を用いた画像形成装置において、弾性表層を有する前記現像ローラを用い、前記現像ローラクリーニングブレードを前記現像ローラに当接させてクリーニングを行うと共に、前記現像ローラにはコンパクション機構を設け、前記現像ローラクリーニングブレードの突端が前記現像ローラに押圧摺接する押圧摺接点における前記現像ローラの母線に垂直な垂直線に対して前記現像ローラクリーニングブレードの接触面が成す角度をθとし、前記現像ローラに前記現像ローラクリーニングブレードが押圧摺接して該弾性表層を弾性変形させ、該弾性表層の変形部位の立ち上がり形状が前記垂直線と成す角度をαとするとき、α>θなる関係となるように前記現像ローラの硬度と前記現像ローラクリーニングブレードの押圧摺接姿勢を関係付けることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、請求項1記載の画像形成装置において、θは6°〜30°であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液体現像剤のトナー帯電極性と逆極性のバイアスによりトナー粒子を中間転写体側に押しつけてコンパクション状態にした後においてでも、現像ローラの弾性層を弾性変形による凹凸部を形成させ、クリーニングブレードが押圧摺接する摩擦力を低減するとともに、トナー粒子が現像ローラ表面に付着担持される付着力も低減させて、良好なクリーニング機能を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。画像形成装置の中央部に配置された各色の画像形成部に対し、現像ユニット30Y、30M、30C、30Kは、画像形成装置の下部に配置され、中間転写体40、二次転写部60は、画像形成装置の上部に配置されている。
【0009】
画像形成部は、像担持体10Y、10M、10C、10K、帯電ローラ11Y、11M、11C、11K、不図示の露光ユニット12Y、12M、12C、12K等を備えている。露光ユニット12Y、12M、12C、12Kは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等の光学系を有し、帯電ローラ11Y、11M、11C、11Kにより、像担持体10Y、10M、10C、10Kを一様に帯電させ、露光ユニット12Y、12M、12C、12Kにより、入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザ光を照射して、帯電された像担持体10Y、10M、10C、10K上に静電潜像を形成する。
【0010】
現像ユニット30Y、30M、30C、30Kは、概略、現像ローラ20Y、20M、20C、20K、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)からなる各色の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器(リザーバ)31Y、31M、31C、31K、これら各色の液体現像剤を現像剤容器31Y、31M、31C、31Kから現像ローラ20Y、20M、20C、20Kに供給する現像剤供給ローラ32Y、32M、32C、32K等を備え、各色の液体現像剤により像担持体10Y、10M、10C、10K上に形成された静電潜像を現像する。
【0011】
中間転写体40は、エンドレスのベルトであり、駆動ローラ41とテンションローラ42との間に張架され、一次転写部50Y、50M、50C、50Kで像担持体10Y、10M、10C、10Kと当接しながら駆動ローラ41により回転駆動される。一次転写部50Y、50M、50C、50Kは、像担持体10Y、10M、10C、10Kと中間転写体40を挟んで一次転写ローラ51Y、51M、51C、51Kが対向配置され、像担持体10Y、10M、10C、10Kとの当接位置を転写位置として、現像された像担持体10Y、10M、10C、10K上の各色のトナー像を中間転写体40上に順次重ねて転写し、フルカラーのトナー像を形成する。
【0012】
二次転写ユニット60は、二次転写ローラ61が中間転写体40を挟んでベルト駆動ローラ41と対向配置され、さらに二次転写ローラクリーニングブレード62、現像剤回収部63からなるクリーニング装置が配置される。そして、二次転写ローラ61を配置した転写位置において、中間転写体40上に形成された単色のトナー像やフルカラーのトナー像をシート材搬送経路Lにて搬送される用紙、フィルム、布等の記録媒体に転写する。
【0013】
さらに、経路シート材搬送経路Lの前方には、不図示の定着ユニットが配置され、用紙等の記録媒体上に転写された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を用紙等の記録媒体に融着させ定着させる。
【0014】
また、ベルト駆動ローラ41と共に二次転写ユニット60を張架するテンションローラ42側には、その外周に沿って、中間転写体40に当接するように中間転写体コンパクションローラ43が対向配置され、その中間転写体コンパクションローラ43より中間転写体40の移動方向下流側に、中間転写体クリーニングブレード46、現像剤回収部47からなるクリーニング装置が配置されている。そして、この中間転写体コンパクションローラ43の外周には中間転写体コンパクションローラクリーニングブレード44、現像剤回収部45が対向配置され、中間転写体コンパクションローラ43には、中間転写体40上の残留トナーを中間転写体40に押し付ける極性のバイアスが印加される。
【0015】
次に、画像形成部及び現像ユニットについて説明する。図2は画像形成部及び現像ユニットの主要構成要素を示した断面図である。図3はコンパクションローラ22Yによるコンパクションを説明する図、図4は現像ローラ20Yによる現像を説明する図、図5は像担持体スクイーズローラ13Yによるスクイーズ作用を説明する図、図6は中間転写体スクイーズ装置52Yによるスクイーズ作用を説明する図である。各色の画像形成部及び現像ユニットの構成は同様であるので、以下、イエロー(Y)の画像形成部及び現像ユニットに基づいて説明する。
【0016】
画像形成部は、像担持体10Yの外周の回転方向に沿って、潜像イレーサ16Y、像担持体クリーニングブレード17Y及び現像剤回収部18Yからなるクリーニング装置、帯電ローラ11Y、露光ユニット12Y、現像ユニット30Yの現像ローラ20Y、像担持体スクイーズローラ13Yとその付属構成である像担持体スクイーズローラクリーニングブレード14Y、現像剤回収部15Yからなるクリーニング装置が配置されている。そして、現像ユニット30Yは、現像ローラ20Yの外周に、クリーニングブレード21Y、アニロックスローラを用いた現像剤供給ローラ32Y、コンパクションローラ22Yが配置され、液体現像剤容器31Yの中に液体現像剤攪拌ローラ34Y、現像剤供給ローラ32Yが収容されている。また、中間転写体40に沿って、像担持体10Yと対向する位置に一次転写部の一次転写ローラ51Yが配置され、その移動方向下流側に中間転写体スクイーズローラ53Y、バックアップローラ54Y、中間転写体スクイーズローラクリーニングブレード55Y、現像剤回収部56Yからなる中間転写体スクイーズ装置52Yが配置されている。
【0017】
像担持体10Yは、現像ローラ20Yの幅約320mmより広く、外周面に感光層が形成された円筒状の部材からなる感光体ドラムであり、例えば図2に示すように時計回りの方向に回転する。該像担持体10Yの感光層は、有機像担持体又はアモルファスシリコン像担持体等で構成される。帯電ローラ11Yは、像担持体10Yと現像ローラ20Yとのニップ部より像担持体10Yの回転方向の上流側に配置され、図示しない電源装置からトナー帯電極性と同極性のバイアスが印加され、像担持体10Yを帯電させる。露光ユニット12Yは、帯電ローラ11Yより像担持体10Yの回転方向の下流側において、帯電ローラ11Yによって帯電された像担持体10Y上にレーザ光を照射し、像担持体10Y上に潜像を形成する。
【0018】
現像ユニット30Yは、コンパクションローラ22Y、キャリア内にトナーを概略重量比25%程度に分散した状態の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器31Y、該液体現像剤を担持する現像ローラ20Y、液体現像剤を攪拌して一様の分散状態に維持し現像ローラ20Yに供給するための現像剤供給ローラ32Yと規制ブレード33Yと攪拌ローラ34Y、現像ローラ20Yに担持された液体現像剤をコンパクション状態にするコンパクションローラ22Y、現像ローラ20Yのクリーニングを行う現像ローラクリーニングブレード21Yを有する。
【0019】
現像剤容器31Yに収容されている液体現像剤は、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)をキャリアとした低濃度(1〜2wt%程度)かつ低粘度の、常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤である。すなわち、本発明における液体現像剤は、熱可塑性樹脂中へ顔料等の着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約25%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤である。
【0020】
現像剤供給ローラ32Yは、円筒状の部材であり、例えば図2に示すように時計回りの方向に回転し、表面に現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に螺旋状の溝による凹凸面を形成したアニロックスローラである。溝の寸法は、溝ピッチが約130μm、溝深さが約30μmである。この現像剤供給ローラ32Yにより、現像剤容器31Yから現像ローラ20Yへと液体現像剤が供給される。攪拌ローラ34Yと現像剤供給ローラ32Yは摺接していても良いが離れた配置関係であっても良い。
【0021】
規制ブレード33Yは、表面に弾性体を被覆して構成した弾性ブレード、現像剤供給ローラ32Yの表面に当接するウレタンゴム等からなるゴム部と、該ゴム部を支持する金属等の板で構成される。そして、アニロックスローラからなる現像剤供給ローラ32Yに担持搬送されてきた液体現像剤の膜厚、量を規制、調整し、現像ローラ20Yに供給する液体現像剤の量を調整する。なお、現像剤供給ローラ32Yの回転方向は図2に示す矢印方向ではなくその逆の方向であっても良く、その際の規制ブレード33Yは、回転方向に対応した配置を要する。
【0022】
現像ローラ20Yは、幅約320mmの円筒状の部材であり、回転軸を中心に図2に示すように反時計回りに回転する。該現像ローラ20Yは鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR等の弾性層を設けたものである。現像ローラクリーニングブレード21Yは、現像ローラ20Yの表面に当接するゴム等で構成され、現像ローラ20Yが像担持体10Yと当接する現像ニップ部より現像ローラ20Yの回転方向の下流側に配置されて、現像ローラ20Yに残存する液体現像剤を掻き落として除去するものである。
【0023】
コンパクションローラ22Yは、円筒状の部材で、図3に示すように現像ローラ20Yと同様に弾性体22−1Yを被覆して構成した弾性ローラの形態であり、金属ローラ基材の表層に導電性の樹脂層やゴム層を備えた構造をし、例えば図2に示すように現像ローラ20Yと反対方向の時計回りに回転する。コンパクションローラ22Yは、現像ローラ20Y表面の帯電バイアスを増加させる手段を有し、現像ローラ20Yによって搬送された現像剤は、図2及び図3に示すようにコンパクションローラ22Yが摺接してニップを形成するコンパクション部位でコンパクションローラ22Y側から現像ローラ20Yに向かって電界を印加する。このコンパクションの電界印加手段は、図2に示すローラに代えコロナ放電器からのコロナ放電であっても良い。
【0024】
このコンパクションローラ22Yにより、図3に示すようにキャリアCに一様分散したトナーTを現像ローラ20Y側に移動させて凝集させ、所謂コンパクション状態T′を形成し、また、キャリアCの一部とコンパクションされなかった若干のトナーT″を担持して図中矢印方向に回転してコンパクションローラクリーニングブレード23Yによって掻き落として除去されリザーバ31Y内の現像剤と合流して再利用される。一方、現像ローラ20Yに担持されてコンパクションされた現像剤Dは、図4に示すように現像ローラ20Yが像担持体10Yに当接する現像ニップ部において、所望の電界印加によって、像担持体10Yの潜像に対応して現像される。そして、現像残りの現像剤Dは、現像ローラクリーニングブレード21Yによって掻き落として除去されリザーバ31Y内の現像剤に合流して再利用される。尚、これら合流するキャリア及びトナーは混色状態ではない。
【0025】
像担持体スクイーズ装置は、像担持体10Yに対向して現像器20Yの下流側に配置して像担持体10Yに現像されたトナー像の余剰現像剤を回収するものであり、図2及び図5に示すように表面に弾性体13−1Yを被覆して像担持体10Yに摺接して回転する弾性ローラ部材から成る像担持体スクイーズローラ13Yと、該像担持体スクイーズローラ13Yに押圧摺接して表面をクリーニングするクリーニングブレード14Yとから構成され、図5に示すように像担持体10Yに現像された現像剤Dから余剰なキャリアC及び本来不要なカブリトナーT″を回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。余剰キャリアCの回収能力は、像担持体スクイーズローラ13Yの回転方向及び像担持体10Y表面の周速度に対する像担持体スクイーズローラ13Y表面の相対的な周速度差によって所望の回収能力に設定することが可能であり、像担持体10Yに対してカウンタ方向に回転させると回収能力は高まり、また、周速度差を大きく設定しても回収能力が高まり、更に、この相乗作用も可能である。
【0026】
本実施形態では、一例として図5に示すように像担持体スクイーズローラ13Yを像担持体10Yに対して略同一周速度でウィズ回転させ、像担持体10Yに現像された現像剤Dから重量比5〜10%程度の余剰キャリアCを回収していて双方の回転駆動負荷を軽減するとともに、像担持体10Yの顕像トナー像への外乱作用を抑制している。像担持体スクイーズローラ13Yによって回収された余剰なキャリアC及び不要なカブリトナーT″はクリーニングブレード14Yの作用によって像担持体スクイーズローラ13Yから現像剤回収部15Yに回収してプールされる。尚、この回収した余剰なキャリアC及びカブリトナーT″は専用の孤立した像担持体10Yから回収しているので全個所にわたって混色現象は発生しない。
【0027】
一次転写部50Yでは、像担持体10Yに現像された現像剤像を一次転写ローラ51Yにより中間転写体40へ転写する。ここで、像担持体10Yと中間転写体40は等速度で移動する構成であり、回転及び移動の駆動負荷を軽減するとともに、像担持体10Yの顕像トナー像への外乱作用を抑制している。なお、1色目の一次転写部50Yでは初回一次転写なので混色現象は発生しないが、2色目以降は既に一次転写されたトナー像部位に更に異なるトナー像を転写して色重ねするので中間転写体40から像担持体10(M、C、K)へトナーが移行する所謂逆転写現象によって逆転写トナーと転写残りトナーは混色して余剰キャリアとともに像担持体10(M、C、K)に担持されて移動し、クリーニングブレード17(M、C、K)の作用によって像担持体から回収してプールされる。
【0028】
中間転写体スクイーズ装置52Yは、一次転写部50Yの下流側に配置され、中間転写体40上から余剰なキャリア液を除去し、顕像内のトナー粒子比率を上げる処理を行うものであり、一次転写部50Yで中間転写体40に転写された現像剤(キャリア内に分散したトナー)のキャリア量が前述した終段階のシート材に二次転写して図示省略した定着行程に進行する段階で、好ましい二次転写機能及び定着機能を発揮させるために当該液体現像剤の望ましい分散状態の概略トナー重量比で40%〜60%程度に至っていない場合に、中間転写体40から更に余剰キャリアを除去する手段として設けられている。中間転写体スクイーズ装置52Yは、像担持体スクイーズ装置と同様、表面に弾性体を被覆して像担持体40に摺接して回転する弾性ローラ部材から成る中間転写体スクイーズローラ53Y、像担持体40を挟んで中間転写体スクイーズローラ53Yと対向配置されるバックアップローラ54Y、中間転写体スクイーズローラ53Yに押圧摺接して表面をクリーニングするクリーニングブレード55Y及び現像剤回収部56Yから構成され、図6に示すように中間転写体40に一次転写された現像剤Dから余剰なキャリアC及び本来不要なカブリトナーT″を回収する機能を有する。現像剤回収部56Yは、その下流側に配置されたマゼンタの像担持体スクイーズローラクリーニングブレード14Mで回収されるキャリア液の回収機構も兼ねている。
【0029】
余剰キャリアの回収能力は、中間転写体スクイーズローラ53Yの回転方向及び中間転写体40の移動速度に対する中間転写体スクイーズローラ53Y表面の相対的な周速度差によって所望の回収能力に設定することが可能であり、中間転写体40に対してカウンタ方向に回転させると回収能力は高まり、また、周速度差を大きく設定しても回収能力が高まり、更に、この相乗作用も可能である。本実施形態では、一例として中間転写体スクイーズローラ53Yを中間転写体40に対して略同一周速度でウィズ回転させ、中間転写体40に一次転写された現像剤から重量比5〜10%程度の余剰キャリア及びカブリトナーを回収していて双方の回転駆動負荷を軽減するとともに、中間転写体40のトナー像への外乱作用を抑制している。
【0030】
なお、1色目の中間転写体スクイーズ部位では初回中間転写体スクイーズなので混色現象は発生しないが、2色目以降は既に一次転写されたトナー像部位に更に異なるトナー像が転写されて色重ねされているので中間転写体40から中間転写体スクイーズローラ53Yへトナーが移行した場合のトナーは混色して余剰キャリアとともに中間転写体スクイーズローラ53Yに担持されて移動し、クリーニングブレードの作用によって中間転写体スクイーズローラ53Yから回収してプールされる。また、上述した中間転写体スクイーズ行程上流側の一次転写部位の像担持体40によるスクイーズ能力及び像担持体スクイーズローラ53Yのスクイーズ能力が充分な能力をもって行われる場合には、必ずしも全ての一次転写行程の下流側に中間転写体スクイーズ装置を設ける必要はない。
【0031】
次に本発明の画像形成装置の動作について説明する。引き続き、画像形成部及び現像ユニットに関しては、4つの画像形成部及び現像ユニットのうちイエローの画像形成部及び現像ユニット30Yを例にとり説明する。
【0032】
現像剤容器31Yにおいて、液体現像剤の中のトナー粒子はプラスの電荷を有し、この液体現像剤は、撹拌ローラ34Yにより撹拌され、現像剤供給ローラ32Yが回転することによって、現像剤容器31Yから汲み上げられる。本実施形態のキャリア内にトナーを分散させた現像剤を用いる液体現像画像形成装置では、概略重量比でキャリア75%の中にトナー25%を分散させた現像剤を用いていて、種々のプロセス行程を経て画像形成して終段階のシート材に二次転写して図示省略した定着行程に進行する段階では、好ましい二次転写機能及び定着機能を発揮させるために当該液体現像剤は概略トナー重量比で40%〜60%程度の分散状態になっていることが望ましい。初期的に現像剤容器31Y内に貯蔵した現像剤はキャリア内に概略トナー重量比25%程度に分散した状態であるが、像担持体10Yへの現像において画像デューティーが高い現像の場合にはトナー分の消費比率が多く、逆に画像デューティーが低い現像の場合にはトナー分の消費比率が少なくなる。即ち、現像剤容器31Y内に貯蔵された現像剤のトナー重量比率は像担持体10Yへの現像にともなって刻々と変化していて、常時この変化を監視して概略トナー重量比25%程度に分散した状態に維持コントロールしていく必要がある。
【0033】
そこで、本実施形態では図示省略したトナーの分散重量比率を検知する透過型のフォトセンサあるいは現像剤を攪拌する攪拌トルクを検知するトルク検知手段等及び現像剤容器31Y内の現像剤液面を検知する反射型のフォトセンサ等々を現像剤容器31Yに設け、所定の現像剤量においてトナーの分散重量比率が少なくなった場合にはトナー重量比35〜55%程度の高濃度に分散した現像剤を現像剤カートリッジから所定量補充し、逆にトナーの分散重量比率が高くなった場合にはキャリアカートリッジからキャリアを所定量補充して概略トナー重量比25%程度にコントロールするとともに現像剤容器31Yの内部で攪拌して一様分散状態にしている。
【0034】
規制ブレード33Yは、現像剤供給ローラ32Yの表面に当接し、現像剤供給ローラ32Yの表面に形成されたアニロックスパターンの凹凸の溝内に液体現像剤を残しその他の余分な液体現像剤を掻き取って、現像ローラ20Yに供給する液体現像剤量を規制する。このような規制によって、現像ローラ20Yへ塗布される液体現像剤の膜厚が約6μmとなるように定量化される。規制ブレード33Yにより掻き取られた液体現像剤は、重力によって現像剤容器31Yに落下し戻され、規制ブレード33Yにより掻き取られなかった液体現像剤は、現像剤供給ローラ32Yの表面の凹凸の溝内に収容され、現像ローラ20Yに圧接することで、現像ローラ20Yの表面に塗布される。
【0035】
現像剤供給ローラ32Yによって液体現像剤を塗布された現像ローラ20Yは、現像剤供給ローラ32Yとのニップ部下流でコンパクションローラ22Yに当接する。現像ローラ20Yには約+400Vのバイアスが印加されており、コンパクションローラ22Yには、現像ローラ20Yより高く、トナーの帯電極性と同極性のバイアスが印加される。例えば、コンパクションローラ22Yには、約+600Vのバイアスが印加される。このため現像ローラ20Y上の液体現像剤中のトナー粒子は、図3に示すようにコンパクションローラ22Yとのニップを通過する際に、現像ローラ20Y側へ移動する。これによりトナー粒子同士が緩やかに結合され膜化された状態となり、像担持体10Yでの現像の際、トナー粒子は、現像ローラ20Yから像担持体10Yへの移動がすばやくなり、画像濃度が向上する。
【0036】
像担持体10Yはアモルファスシリコン製であり、現像ローラ20Yとのニップ部上流で耐電ローラ11Yにより表面を約+600Vに帯電させられた後、露光ユニット12Yにより画像部の電位が+25Vとなるように潜像が形成される。現像ローラ20Yと像担持体10Yとの間に形成される現像ニップ部では、現像ローラ20Yに印加されているバイアス+400Vと像担持体10Y上の潜像(画像部+25V、非画像部+600V)で形成される電界に従い、図4に示すように選択的にトナー粒子Tが像担持体10Y上の画像部へと移動し、これにより、像担持体10Y上にトナー画像が形成される。また、キャリア液Cは電界の影響を受けないため、図4に示すように現像ローラ20Yと像担持体10Yとの現像ニップ部出口で分離して、現像ローラ20Yと像担持体10Yとの両方に付着する。現像ニップ部を通過した像担持体10Yは、像担持体スクイーズローラ13Y部を通過し、図5に示すように余剰なキャリア液Cが除去され、顕像内のトナー粒子比率を上げる処理がなされる。
【0037】
次に像担持体10Yは、一次転写50Yにおいて中間転写体40とのニップ部を通過し顕像トナー像の中間転写体40への一次転写が行われる。一次転写ローラ51Yには、トナー粒子の帯電特性と逆極性の約−200Vが印加されることにより、像担持体10Y上からトナーは中間転写体40に一次転写され、像担持体10Yにキャリア液のみが残る。一次転写部より像担持体10Yの回転方向の下流側において、一次転写後の、像担持体10Yはランプ等から成る潜像イレーサ16Yによって静電潜像が消去され、像担持体10Y上に残ったキャリア液は、像担持体クリーニングブレード17Yにより掻き取られ、現像剤回収部18Yで回収される。
【0038】
一次転写部50Yで中間転写体40上に一次転写されたトナー画像は、中間転写体40上で余剰キャリアをかきとるために中間転写体スクイーズ装置52Yを通過する。中間転写体スクイーズ装置52Yの中間転写体スクイーズローラ53Yには+400V、中間転写体スクイーズバックアップローラ54Yには+200Vが印加されており、トナー粒子を中間転写体40側に押し付けるような電界を発生させている。このため中間転写体スクイーズローラ53Yには、図6に示すようにトナー粒子は回収されず、電界の影響を受けないキャリア液のみが中間転写体40と中間転写体スクイーズローラ53Yとの間での泣き別れにより回収される。
【0039】
中間転写体40上のトナー画像は次に二次転写ユニット60へと進み、中間転写体40と二次転写ローラ61とのニップ部に進入する。この際のニップ幅は3mmに設定されている。二次転写ユニット60において、二次転写ローラ61には−1200Vが、また、ベルト駆動ローラ41には+200Vがそれぞれ印加されており、これにより中間転写体40上のトナー画像は用紙等の記録媒体に転写される。
【0040】
二次転写ユニット60を通過後、中間転写体40は、テンションローラ42の巻きかけ部へと進み、中間転写体コンパクションローラ43によりトナー粒子が中間転写体40側に押し付けられ、さらに、中間転写体クリーニングブレード46により中間転写体40上のクリーニングが行われ、再び、一次転写部50へと向かう。
【0041】
次に、二次転写ローラ61のスクイーズ機能について説明する。中間転写体40上に色重ねしたトナー像が二次転写部位に到達するタイミングに合せてシート材を供給し、該トナー画像をシート材に二次転写して図示省略した定着行程へと進めて最終的なシート材上の画像形成を終了するが、ジャムなどのシート材供給トラブルが発生した場合には、シート材が介在しない状態でトナー画像が二次転写ローラ61に接して転写されシート材裏面汚れを引き起こす。本実施形態二次転写ローラ61は、表面が繊維質などによって平滑でないシート材であっても、この非平滑なシート材表面に倣って二次転写特性を向上させる手段として、複数の感光体に形成したトナー像を順次一次転写して重ね合わせて担持し、一括してシート材に二次転写する中間転写体40に採用した弾性ベルトと同様の目的で表面に弾性体を被覆した弾性ローラで構成している。二次転写ローラクリーニングブレード62は、二次転写ローラ61に転写された現像剤(キャリア内に分散したトナー)を除去する手段として備え、二次転写ローラ61から現像剤を回収してプールされる。尚、このプールした現像剤は混色状態のものであり、紙粉等の異物も含んでいる場合がある。
【0042】
次に、中間転写体40のクリーニング装置について説明する。ジャムなどのシート材供給トラブルが発生した場合には、全てのトナー画像が二次転写ローラ61に転写されて回収されるものではなく、一部は中間転写体40上に残る。また、通常の二次転写行程においても中間転写体上40のトナー像は100%二次転写されてシート材に移行するものではなく、数パーセントの二次転写残りが発生する。この二種の不要トナー像は次の画像形成のために中間転写体40に当接するように配置された中間転写体コンパクションローラ43、その中間転写体コンパクションローラ43より中間転写体40の移動方向下流側に配置された中間転写体クリーニングブレード46、現像剤回収部47によって回収してプールされる。このとき、中間転写体コンパクションローラ43には、中間転写体40上の残留トナーを中間転写体40に押し付けるようなバイアスが印加される。
【0043】
次に、弾性ローラ部材のクリーニングメカニズムを説明する。図7は弾性ローラ部材のクリーニングメカニズムを説明する要部拡大図、図8はクリーニング部位でのブレードの角度、押圧力関係、メカニズムを説明する要部拡大図であり、71は弾性ローラ、71aはローラ基材、71bは弾性体、72はクリーニングブレード、72aはブレード基材、72bはブレード表層を示す。
【0044】
上記本実施形態の各所に配置された弾性ローラの現像剤クリーニングにおけるクリーニング条件は、キャリアに一様分散したトナーを担持した現像ローラ20Yにコンパクションローラ22Yまたはコロナ放電器から電界印加してトナーを現像ローラ20Y側に移動させて凝集させた、所謂コンパクションされた現像剤のクリーニングを行う現像ローラ20Yのクリーニングが最も厳しい。
【0045】
一方、トナー粒子の平均粒径(個数平均)が1μm程度であるに対して、このような弾性ローラの表面は、その表面粗さRzが2μm程度と、トナー粒子の平均粒径に比べて粗い。このため、トナー粒子一個一個が弾性ローラの表面上で孤立して存在する場合には、一個一個のトナー粒子をクリーニングすることは難しいが、コンパクションによって、トナー粒子複数個がまとまった状態となっていると、本発明のクリーニング方法によりクリーニングしやすい、という側面もある。
【0046】
以下、表面に弾性体を被覆した現像ローラ20Yのコンパクションされた現像剤クリーニングを一例にして説明するが、他の部位に配置された弾性ローラの現像剤クリーニングに関しても作用・効果は適用されるものである。
【0047】
図7において、クリーニングブレード72の先端エッジによって弾性ローラ71の弾性体71bを押圧すると、図示のように押圧部位では弾性体71bが凹み73、この凹んだ体積分は体積移動して弾性ローラ71の回転方向上流側に円形基準径より突出した凸らみ74を形成する弾性変形をする。固定されたクリーニングブレード72に対して弾性ローラ71を図示矢印方向に回転させると、弾性体71b表面に担持された現像剤のトナー粒子Tは、弾性体71bの円形基準径から凸らみ部位への移行部位75では周方向に圧縮応力を受け、更に凸らみ突端部位に移行するに従って弾性体71bの伸びによって周方向に開放状態になる。そのため、この周方向への圧縮及び開放のストレスからトナー粒子Tは、弾性体71b表面への付着力が低下した状態でクリーニングブレード72が押圧摺接する部位に突入して弾性体71b表面から離脱し易くなっているので、良好なクリーニング機能を発揮することができる。
【0048】
図8において、弾性ローラ71の弾性体71bをP(図中Pの方向は押圧摺接に対して弾性体71bが発する反力の方向)なる押圧摺接力でクリーニングブレード72は弾性体71b表面を押圧摺接して上述のメカニズムで弾性体71bを図示の如く弾性変形させる。この弾性体71bの弾性変形形状は、弾性体71bの弾性硬度とクリーニングブレード72の硬度、または当接姿勢の相対的な関係によって決定付けられる。
【0049】
クリーニングブレード72の突端が弾性ローラ71に押圧摺接した押圧摺接点における弾性ローラ71の母線(回転軸を通る中心線)φに垂直な垂直線(弾性ローラ71の外周の接線と平行となる線)νに対してクリーニングブレード72の接触面が成す角度をθとし、弾性ローラ71にクリーニングブレード72が押圧摺接して弾性体71bを弾性変形させ、該弾性71bの変形部位の立ち上がり形状が前記垂直線νと成す角度をαとすると、弾性ローラ71の弾性体硬度の柔らかさに比例して角度αは大きくなり、逆に硬さに比例して角度αは小さく、弾性ローラ71が剛体ローラの場合には、α=0°になる。このように弾性ローラ71の弾性体硬度の柔らかさに比例して上記弾性体71bの弾性変形量が大きくなることにより、上述の弾性ローラ71表面に担持した現像剤に対する周方向への圧縮及び開放のストレスが大きくなって、トナー粒子の弾性体71bの表面への付着力が低下して弾性体71bの表面から離脱し易くなり、弾性体硬度を低下させると良好なクリーニング機能得ることができる。
【0050】
一方、クリーニングブレード72はリジッドな剛体であっても良いし弾性体であっても良いが、所望の押圧摺接力を構成するには、リジッドな剛体の場合に押圧摺接力を構成するためのメカニズムが必要になるが、弾性体の場合にはクリーニングブレード72の撓み量に応じて押圧摺接力を構成することが可能であり構造がシンプルである。本実施例ではこのシンプルな弾性体クリーニングブレード72の構造を例にして図示説明をするが、基本は弾性ローラの弾性体の硬度よりクリーニングブレード72の硬度が相対的に高く、一義的に弾性ローラ71の弾性体71bが押圧摺接力Pの大きさに応じて弾性変形するものである。
【0051】
図8において、この弾性ローラ71の弾性体71bが押圧摺接力Pの大きさに応じて変形した状態で図示矢印の方向に弾性ローラを回転させると、弾性体71bの弾性変形部位の立ち上がり形状に垂直な方向にクリーニングブレード72に向かってFなる力が作用する。P及びFから弾性ローラ71の回転負荷は、母線φに垂直方向に作用するf及びqである。ここで、f=Fcos β、β=90−αであり、qは、クリーニングブレード72が弾性ローラ71の弾性体71bに押圧摺接して弾性ローラ71が回転し、この摺接部位における弾性部材とクリーニングブレード72の摩擦力の回転負荷方向:押圧摺接点における母線φに垂直方向に作用する力である。また、Fが作用する方向は、弾性体71bの弾性変形部位の立ち上がり形状に垂直な方向であるが、この力の大きさはqと同様にクリーニングブレード72と弾性部材の摩擦力によって左右される。
【0052】
クリーニングブレード72が弾性ローラ71の弾性体71bに押圧する線圧力は、10gf/cm以下では擦り抜けなどのクリーニング不良が発生し、また80gf/cm以上では駆動トルクが大きくなってしまうので、10〜80gf/cmの範囲が好ましい。特に、好ましい線圧力は40gf/cmである。
【0053】
実施例1として、弾性体71bは、ポリウレタンゴム、ウレタンゴム、またはシリコンゴム、あるいはNBRなどのゴム硬度をコントロールし易いゴム素材で形成し、そのゴム硬度はJIS A30〜50度に設定すると好ましい弾性変形が得られ、良好なクリーニング機能を発揮することができる。
【0054】
実施例2として、更に好ましい弾性変形を容易にするために弾性体71bをポリウレタンゴム、またはシリコンゴム、あるいはNBRなどのゴム素材を所要の発泡率で発泡させた発泡材で形成し、その発泡材の硬度はASKER C30〜50度(JIS A10〜20度相当)に設定すると更に好ましい弾性変形が得られ、更に良好なクリーニング機能を発揮することができる。そして、当該ゴム表面の摩擦係数を軽減する手段として、当該ゴム素材より摩擦係数の小さなPFA、PTFAなどのフッ素系の樹脂、あるいはナイロン系の樹脂等で3〜10μmの厚みのチューブを被覆して対応し、発泡状態のセルを被覆した表層を形成する。このことにより、クリーニングブレード72が押圧摺接する摩擦力を低減するとともに、トナー粒子が弾性ローラ表面に付着担持される付着力も低減させて更に良好なクリーニング機能を発揮することができる。チューブ被覆を施した表層の硬度は、ASKER C40〜60度(JIS A10〜25度相当)に設定すると好ましい。
【0055】
実施例3として、弾性体71bは、ポリウレタンゴム、ウレタンゴム、またはシリコンゴム、あるいはNBRなどのゴム硬度をコントロールし易いゴム素材で形成し、そのゴム硬度はJIS A30〜50度に設定すると好ましい弾性変形が得られ、良好なクリーニング機能を発揮することができる。そして、当該ゴム表面の摩擦係数を軽減する手段として、当該ゴム素材より摩擦係数の小さなPFA、PTFAなどのフッ素系の樹脂、あるいはナイロン系の樹脂等を3〜5μmの厚みにコーティングあるいは3〜10μmの厚みのチューブを被覆して対応する。このことにより、クリーニングブレード72が押圧摺接する摩擦力を低減するとともに、トナー粒子が弾性ローラ表面に付着担持される付着力も低減させて良好なクリーニング機能を発揮することができる。コーティング或いはチューブ被覆を施した表層の硬度は、JIS A35〜55度に設定すると好ましい。
【0056】
また、実施例4は、弾性体71bとして、ローラ内径から外径に向かうに従って、低密度の発泡部(フォーム部)から、当該発泡部と同様の素材で高密度の非発泡部(ソリッド表層部)となるものを用いる。このような弾性体71bは、フォーム部とソリッド表層部とが同一物質の連続相からなり、これらの間に実質的な界面が存在しない。発泡部材としては、軟質フォーム材料が好適であり、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、エラストマーフォーム、ゴムフォーム等を用いることができる。ソリッド表層部の硬度はASKER C30〜50度(JIS A10〜20度相当)に設定すると好ましい弾性変形が得られる。なお、発泡部材の製法としては、反応射出成形法以外にも、気体混入法、発泡剤分解法、溶剤気散法、化学反応法、焼結法、溶出法等を用いることができる。より詳しくは、例えば、特開平5−46020号公報の記載を参照することできる。
【0057】
次に弾性ローラの回転負荷を軽減させる手段として、クリーニングブレード72側の対策について説明する。
【0058】
実施例1として、弾性体からなるクリーニングブレード72をポリウレタンゴムで形成し、そのゴム硬度はJIS A60〜100度に設定する。このことにより好ましい弾性変形をして所望の押圧摺接力を得ることができる。即ち、上述した弾性ローラ71の弾性体71bの硬度よりクリーニングブレード72の硬度が相対的に高くすることにより、一義的に弾性ローラ71の弾性体71bを押圧摺接力に応じて変形させる。そして、当該ゴム表面の摩擦係数を軽減する手段として、当該ゴム素材より摩擦係数の小さなPFA、PTFAなどのフッ素系の樹脂等を弾性体71bとの押圧摺接面に固着して対応しているが、上記の如く弾性ローラ71表面に摩擦低減策が施されている場合には、この対応策は必須ではない。尚、クリーニングブレード72の硬度に関してゴム硬度がJIS A60度未満でも所望の厚みをもって押圧摺接力を得ることは可能であるが、押圧摺接部位で微振動:ビビリが発生して好ましくない。
【0059】
実施例2として、リジッドな剛体のクリーニングブレード72をステンレス板で形成し、図示省略したバネなどの押圧手段によって所望の押圧摺接力を構成する。このことにより上述した弾性ローラ71の弾性体の硬度よりクリーニングブレード72の硬度が相対的に高くして、一義的に弾性ローラ71の弾性体71bが押圧摺接力に応じて変形させるものである。そして、当該ステンレス板表面の摩擦係数を軽減する手段として、当該ステンレス板素材より摩擦係数の小さなPFA、PTFAなどのフッ素系の樹脂等を弾性体との押圧摺接面に固着して対応しているが、上記の如く弾性ローラ表面に摩擦低減策が施されている場合には、この対応策は必須ではない。
【0060】
角度θ及びαは、次のような値に設定される。角度θはクリーニングブレード72の突端部位が弾性ローラ71の弾性体71bに優位に押圧摺接して突端部位の押圧摺接力が最も大きくなる様に設定していて、具体的には6°〜30°の範囲に設定すると好ましい現像剤のクリーニング特性を得ることができる。ここで、6°未満にすると、突端部位より離れた部位の押圧摺接力が大きくなる所謂腹当て状態の押圧摺接になり、突端部位の押圧摺接力が減少して好ましいクリーニング特性が発揮できない。一方、30°を超える角度になると、クリーニングブレード72の突端部位の押圧摺接力が極めて集中的に作用して弾性体71bがクサビ状の変形をする構成になり、弾性ローラ71の回転負荷が大きくなるので好ましくない。
【0061】
また、角度αは、弾性ローラ71の弾性体硬度の柔らかさに比例して大きくなり、逆に硬さに比例して小さく、リジッドな剛体ローラの場合にはθ=0°になる。即ち、図8に示すα>θなる関係になるように弾性ローラ71の硬度とクリーニングブレード72の押圧摺接姿勢を関係付けると、好ましい現像剤のクリーニング特性を得ることができる。逆に、α<θなる関係になるように弾性ローラ71の硬度とクリーニングブレード72の押圧摺接姿勢を関係付けると、弾性ローラ71の回転負荷が増大して好ましくない。
【0062】
次に、弾性ベルト部材を用いた中間転写体のクリーニングメカニズムについて説明する。図9はベルトの巻き掛け部で行うクリーニングメカニズムを説明する要部拡大図、図10はベルトの直線移動部で行うクリーニングメカニズムを説明する要部拡大図である。図中、81はローラ部材、82は弾性ベルト部材、82aはベルト基材、82bは弾性体、83はクリーニングブレード、83aは表層、84はバックアップローラを示す。
【0063】
図1における中間転写体40、テンションローラ42、中間転写体クリーニングブレード46からなるクリーニング構成、すなわち、図9に示す表面に弾性体82bを被覆して現像剤を担持して移動する弾性ベルト部材82と、それを巻きかけて回転して弾性ベルト部材82を移動ガイドするローラ部材81と、弾性ベルト部材82に押圧摺接して表面をクリーニングするクリーニングブレード83とから成るクリーニング構成においても、図8により説明したと同様に、クリーニングブレード83の接触面が成す角度θに対し、弾性ベルト部材82の表面に被覆した弾性体82bの弾性変形部位の立ち上がり角度αが、α>θなる関係で構成される。
【0064】
このように複数の像担持体(感光体)に形成したトナー像を順次一次転写して重ね合わせて担持し、一括してシート材に二次転写する中間転写体には、二次転写行程においてシート材にトナー像を転写するに当たって、シート材表面が繊維質などによって平滑でないシート材であっても、この非平滑なシート材表面に倣って二次転写特性を向上させる手段として、弾性ベルト部材を採用している。この場合の弾性ベルト部材のベルト基体は、屈曲耐久性に優れるとともにベルトテンションによる伸びが少なくて弾性体を被覆する被覆工程で加熱工程があっても耐熱特性に優れるポリイミド材やニッケル電柱管あるいはステンレス管等により50μm〜200μm程度の厚みで構成され、その表面に被覆する弾性体は、ポリウレタンゴム、またはシリコンゴム、あるいはNBRなどのゴム硬度をコントロールし易いゴム素材で厚みを100μm〜600μm程度で形成され、そのゴム硬度はJIS A30〜50度に設定される。このように弾性ベルト部材を採用することにより、好ましい弾性変形が得られ、良好なクリーニング機能を発揮することができる。
【0065】
そして、当該ゴム表面の摩擦係数を軽減する手段として、当該ゴム素材より摩擦係数の小さなPFA、PTFAなどのフッ素系の樹脂、あるいはナイロン系の樹脂等を3〜5μm厚みでコーティングあるいは3〜10μm厚みのチューブを被覆して対応することにより、クリーニングブレードが押圧摺接する摩擦力を低減するとともに、トナー粒子が弾性ローラ表面に付着担持される付着力も低減させて良好なクリーニング機能を発揮することができる。
【0066】
更に好ましい弾性変形を容易にするために被覆する弾性体をポリウレタンゴム、またはシリコンゴム、あるいはNBRなどのゴム素材を所要の発泡率で発泡させた発泡材で形成し、その発泡材の硬度はASKER C30〜60度(JIS A10〜25度相当)に設定する。このことにより、更に好ましい弾性変形が得られ、更に良好なクリーニング機能を発揮することができる。
【0067】
そして、当該ゴム表面の摩擦係数を軽減する手段として、当該ゴム素材より摩擦係数の小さなPFA、PTFAなどのフッ素系の樹脂、あるいはナイロン系の樹脂等で3〜10μm厚みのチューブを被覆して対応し、発泡状態のセルを被覆した表層を形成していてクリーニングブレードが押圧摺接する摩擦力を低減するとともに、トナー粒子が弾性ローラ表面に付着担持される付着力も低減させて更に良好なクリーニング機能を発揮することができる。
【0068】
また、図10に示す表面に弾性体82bを被覆して現像剤を担持して移動する弾性ベルト部材82と、それに押圧摺接して表面をクリーニングするクリーニングブレード83と、そのクリーニングブレード83の押圧摺接する部位で弾性ベルト部材82の内部からバックアップして弾性ベルト部材82を直線移動ガイドするバックアップローラ(ガイド部材)84とから成るクリーニング構成においても、クリーニングブレード83の接触面が成す角度θに対し、弾性ベルト部材82の表面に被覆した弾性体82bの弾性変形部位の立ち上がり角度αが、α>θなる関係で構成される。この場合において、弾性ベルト部材82は、図9の構成の場合と同一内容である。また、ガイド部材としてのバックアップローラ84は、弾性ベルト部材82と等速で回転するローラ部材で構成し、弾性ベルト部材82の移動抵抗を軽減する構造になっているが、回転するローラ部材が必須ではなく非回転なローラ部材であっても良く、例えば単純な平坦な固定部材であっても良い。好ましくは弾性ベルト部材82が摺動移動する部位に摩擦抵抗を軽減させるために当該部材の素材より摩擦係数の小さなPFA、PTFAなどのフッ素系の樹脂等を被覆して構成すると良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。
【図2】画像形成部及び現像ユニットの主要構成要素を示した断面図である。
【図3】コンパクションローラ22Yによるコンパクションを説明する図である。
【図4】現像ローラ20Yによる現像を説明する図である。
【図5】像担持体スクイーズローラ13Yによるスクイーズ作用を説明する図である。
【図6】中間転写体スクイーズ装置52Yによるスクイーズ作用を説明する図である。
【図7】弾性ローラ部材のクリーニングメカニズムを説明する要部拡大図である。
【図8】クリーニング部位でのブレードの角度、押圧力関係、メカニズムを説明する要部拡大図である。
【図9】ベルトの巻き掛け部で行うクリーニングメカニズムを説明する要部拡大図である。
【図10】ベルトの直線移動部で行うクリーニングメカニズムを説明する要部拡大図である。
【符号の説明】
【0070】
10Y、10M、10C、10K・・・像担持体、11Y、11M、11C、11K・・・帯電ローラ、12Y、12M、12C、12K・・・露光ユニット、13Y・・・像担持体スクイーズローラ、14Y・・・像担持体スクイーズローラクリーニングブレード、15Y・・・現像剤回収部、16Y・・・潜像イレーサ、17Y・・・像担持体クリーニングブレード、18Y・・・現像剤回収部、20Y、20M、20C、20K・・・現像ローラ、21Y・・・現像ローラクリーニングブレード、22Y・・・コンパクションローラ、23Y・・・コンパクションローラクリーニングブレード、30Y、30M、30C、30K・・・現像ユニット、31Y、31M、31C、31K・・・現像剤容器、32Y、32M、32C、32K・・・現像剤供給ローラ、31Y、31M、31C、31K・・・現像剤容器、33Y・・・規制ブレード、21Y、34Y・・・撹拌ローラ、40・・・中間転写体、41、42・・・ベルト駆動ローラ、43・・・中間転写体コンパクションローラ、44・・・中間転写体コンパクションローラクリーニングブレード、45・・・現像剤回収部、46・・・中間転写体クリーニングブレード、47・・・現像剤回収部、50Y、50M、50C、50K・・・一次転写部、51Y、51M、51C、51K・・・一次転写バックアップローラ、52Y、52M、52C、52K・・・中間転写体スクイーズユニット、53Y・・・中間転写体スクイーズローラ、54Y・・・中間転写体スクイーズバックアップローラ、55Y・・・中間転写体スクイーズローラクリーニングブレード、56Y・・・現像剤回収部、60・・・二次転写ユニット、61・・・二次転写ローラ、62・・・二次転写ローラクリーニングブレード、63・・・現像剤回収部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成した潜像を現像ローラにより現像して前記像担持体から一次転写部の転写位置で中間転写体に転写し、前記中間転写体から二次転写部の転写位置で記録媒体に転写する液体現像剤を用いた画像形成装置において、
弾性表層を有する前記現像ローラを用い、前記現像ローラクリーニングブレードを前記現像ローラに当接させてクリーニングを行うと共に、前記現像ローラにはコンパクション機構を設け、前記現像ローラクリーニングブレードの突端が前記現像ローラに押圧摺接する押圧摺接点における前記現像ローラの母線に垂直な垂直線に対して前記現像ローラクリーニングブレードの接触面が成す角度をθとし、前記現像ローラに前記現像ローラクリーニングブレードが押圧摺接して該弾性表層を弾性変形させ、該弾性表層の変形部位の立ち上がり形状が前記垂直線と成す角度をαとするとき、α>θなる関係となるように前記現像ローラの硬度と前記現像ローラクリーニングブレードの押圧摺接姿勢を関係付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
θは6°〜30°であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−121396(P2007−121396A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309650(P2005−309650)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】