画像形成装置
【課題】 プロセスカートリッジを露出させることが可能な開閉部の位置決め精度を高めつつ、装置高さを抑えた画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 プリンタ1は、プリンタ本体1Mに回動可能に取付けられた開閉部20を備えており、プリンタ本体1Mに収納されている複数のカートリッジ3〜6を開閉部20の回動によって露出可能にしている。開閉部20のカートリッジ側には、開閉部20に設けられた転写ベルト7のベルト外周面7Eが位置している。開閉部20には、開閉部20の開閉に伴ってスライド移動する吸着ローラ30が、ベルト外周面7Eに対向して設けられている。プリンタ本体1Mには、開閉部20を閉じたときにおける吸着ローラ30の位置決めをするガイドレール34が設けられている。
【解決手段】 プリンタ1は、プリンタ本体1Mに回動可能に取付けられた開閉部20を備えており、プリンタ本体1Mに収納されている複数のカートリッジ3〜6を開閉部20の回動によって露出可能にしている。開閉部20のカートリッジ側には、開閉部20に設けられた転写ベルト7のベルト外周面7Eが位置している。開閉部20には、開閉部20の開閉に伴ってスライド移動する吸着ローラ30が、ベルト外周面7Eに対向して設けられている。プリンタ本体1Mには、開閉部20を閉じたときにおける吸着ローラ30の位置決めをするガイドレール34が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に回動可能に取付けられた開閉部を備え、装置本体に収納されている複数のカートリッジをこの開閉部の回動によって露出可能にされた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー式の画像形成装置では、一般に、複数(例えば4つ)のプロセスカートリッジを搭載している(例えば、特許文献1、2参照)。そして、メンテナンス等の関係上、これら複数のプロセスカートリッジを露出させることが可能なように、装置本体に開閉部が取付けられていることが多い。以下、添付図面を参照して従来の画像形成装置の一例を説明する。
【0003】
図12に示すように、従来の画像形成装置81は、装置本体に回動可能に取付けられた開閉部80を備え、装置本体に収納されている複数のプロセスカートリッジ86などを開閉部80の回動によって露出させることが可能になっている。
【0004】
開閉部80のプロセスカートリッジ側には転写ベルト87のベルト外周面87Eが位置している。そして、ベルト外周面87Eに対向して対向部材(図12では吸着ローラ)90が設けられている。
【0005】
画像形成装置81の高さを低くするためには、プロセスカートリッジ86と対向部材(図12では吸着ローラ)90を近接して設ける必要があるが、あまり近接させると開閉部80の開閉時に、対向部材90がプロセスカートリッジ86と干渉するという問題があった。プロセスカートリッジを縦列配置している構成では、画像形成装置81の高さを低くすることは重要であり、この問題は特に深刻なものとなっている。
【特許文献1】特開2003−241466号公報
【特許文献2】特開2003−241620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、装置高さを抑えた画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、装置本体に回動可能に取付けられた開閉部を備え、装置本体に収納されている複数のカートリッジを前記開閉部の回動によって露出可能な画像形成装置であって、前記開閉部の前記カートリッジ側には、前記開閉部に設けられたベルトのベルト外周面が位置しており、前記開閉部には、前記ベルト外周面に対向して対向部材が設けられ、前記装置本体には、前記対向部材が前記装置本体に対してスライド移動可能となるように前記対向部材を案内するガイド手段が設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
対向部材は、ブレード、スクレーパ、ブラシ、吸着ローラ、二次転写ローラ、クリーナーなどである。
【0009】
請求項1に記載の発明では、対向部材が、装置本体ではなく開閉部に設けられているので、開閉部を高い精度で位置決めすることができる。
【0010】
また、開閉部の開閉に伴って対向部材がスライド移動するので、対向部材をカートリッジに近接して配置してもカートリッジと対向部材が干渉しないようにでき、装置高さを抑えることができる。また、開閉部の回動支点の位置に関係なく、対向部材とカートリッジの干渉を回避できるので、回動支点の位置選定についての自由度が増大する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装置高さを抑えた画像形成装置が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。図1、図2に示すように、本発明の一実施形態に係るプリンタ1はフルカラープリンタである。プリンタ1を構成するプリンタ本体1Mの内部には、略垂直に縦列配置された4個のプロセスカートリッジ3、4、5、6と、これらのプロセスカートリッジ3、4、5、6に沿って配置された転写ベルト7と、が設けられており、転写ベルト7を開放して開設された空間からプロセスカートリッジ3、4、5、6を略水平方向に着脱できる構成になっている。プロセスカートリッジ3、4、5、6には、それぞれ、感光体ドラム(像担持体)11、12、13、14が設けられている。
【0013】
また、プリンタ1は、感光体ドラム11、12、13、14にそれぞれ画像露光を施すROS8を備えており、感光体ドラム11、12、13、14上に形成された静電潜像を、プロセスカートリッジ3、4、5、6で、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のトナーでそれぞれ現像するようになっている。露光装置としてのROS8は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色に対応した画像データに基づいて点灯駆動される4つの半導体レーザや、これら4つの半導体レーザから出射される4本のレーザ光を偏向走査するためのfθレンズやポリゴンミラー、或いは複数枚の反射ミラーなどから構成されている。
【0014】
更に、プリンタ1は、転写材としての転写用紙Pを供給する給紙カセット16(図2参照)をこれらプロセスカートリッジの下方に備えている。プリンタ本体1Mには、この給紙カセット16を引き出し可能なように収容するカセット収容部が形成されている。
【0015】
また、プリンタ1には、給紙カセット16よりも上側でかつ給紙カセット16の引き出し側(図1〜図4ではフロント側)の装置側壁部を構成するカバー状の開閉部20を備えている。開閉部20は、カセット収容部の下部に設けた回動支点Jを中心に回動可能であることにより装置側面を開閉可能なように設けられており、開閉部20を開いて、プロセスカートリッジ3、4、5、6を露出させて交換したり、感光体ドラム11、12、13、14を露出した状態にして紙詰まり等に対するメンテナンスを行うことができる構成にされている。そして、開閉部20は、開閉可能な手差しトレイ22を備えており、プリンタ本体1Mの外部から所望の転写用紙Pを手差しトレイ22から給紙できるようになっている。
【0016】
上記に説明したもの以外に、プリンタ1は、トナー像が転写された転写用紙Pに対して定着処理を施す定着装置と、この定着装置によって片面に画像が定着された転写用紙Pを、表裏を反転させた状態で再度転写部へと搬送する両面印刷用搬送経路9と、プリンタの動作を制御する制御回路と、画像信号に対して画像処理を施す画像処理回路等からなるコントローラと、高圧電源回路等からなる電気回路と、などを備えている。なお、図1〜図4で、Tは画像が形成された転写用紙Pを排出する排出トレイを示し、この排出トレイTは、プリンタ本体1Mの上部に一体的に配置されている。
【0017】
(開閉部)
以下、開閉部20の回動動作がスムーズであること、及び、開閉部20を閉じたときの開閉部20を位置決めすること、について詳細に説明する。
【0018】
図1〜図4に示したように、開閉部20は、プリンタ本体1Mに回動可能に取付けられており、開閉部20を回動させて開くことにより、プリンタ本体1Mに収納されているプロセスカートリッジ3、4、5、6が露出するようになっている。
【0019】
開閉部20のプロセスカートリッジ側には、転写ベルト7のベルト外周面7Eが位置しており、開閉部20には、吸着ローラ30が、ベルト外周面7Eに対向して設けられており、吸着ローラ30のローラ面がベルト外周面7Eを押圧している。
【0020】
そして、プリンタ本体1Mには吸着ローラ30をスライド移動可能に案内するガイド手段が設けられている。そして、開閉部20の開閉に伴って吸着ローラ30がスライド移動する。
【0021】
図5〜図7に示すように、本実施形態では、対向部材として吸着ローラ30を設けたが、吸着ローラに代えて、ブレード、スクレーパ、ブラシ、二次転写ローラ、クリーナーなどを設けてもよい。
【0022】
以下、図8〜図11を用い、上記のガイド手段について説明する。プリンタ1には、このガイド手段32として、吸着ローラ30を下方側からガイドするガイドレール(ガイド部材)34と、吸着ローラ30を両端部で支えるリンク部材36と、リンク部材36に取付けられ、吸着ローラ30をベルト外周面7Eに向けて付勢する引張コイルバネ38と(図11参照)、が設けられている。
【0023】
ガイドレール34は、プリンタ本体1Mに設けられている(図8、図9参照)。
【0024】
図11に示すように、引張コイルバネ38は、リンク部材36と開閉部20に形成された突部(図示せず)とに引っ掛けられており、転写ベルト7のベルト内周面側に当接する駆動ローラ40に向けて吸着ローラ30を付勢するように配置されている。開閉部20が開いていて吸着ローラ30がガイドレール34に当接していないときには、リンク部材36は引張コイルバネ38に引っ張られて更にストッパ(図示せず)で移動を規制され、吸着ローラ30は駆動ローラ40の斜め下方に位置している。
【0025】
開いている開閉部20を閉じる方向へ回転移動させると、吸着ローラ30の端部から突出した回転軸はガイドレール34の上面側に当接する(図8、図9、図10(A)参照)。なお、図8〜図10では、簡略化のために吸着ローラ30がガイドレール34に当接するように描いているが、実際には吸着ローラ30の回転軸が当接する。)
更に開閉部20を閉じる方向へ回転移動させると、吸着ローラ30がガイドレール34の上面に案内されてスライド移動し、高さ位置が徐々に上がっていく(図10(B)参照)。
【0026】
そして、開閉部20を完全に閉じると、吸着ローラ30は所定位置に到達する(図10(C)参照)。なお、この状態では引張コイルバネ38がリンク部材36を下方に向けて付勢するように、引張コイルバネ38の取付位置が決められている。これにより、ガイドレール34は、吸着ローラ30を下方側からのみガイドする簡易な構成にされている。
【0027】
以上説明したように、本実施形態では、吸着ローラ30をカートリッジ6に近接して配置しても、開閉部20の開閉時に、吸着ローラ30とカートリッジ6とが干渉しないので、装置高さを抑えることができる。また、開閉部20の回動支点Jの位置に関係なく、吸着ローラ30とカートリッジ6の干渉を回避できるので、回動支点Jの選定についての自由度が増大する。
【0028】
また、引張コイルバネ38を上記のように設けている。これにより、吸着ローラ30を駆動ローラ40に向けて付勢する付勢力は、開閉部20の開閉状態に応じて変化しており、開いた状態では付勢力が開放され、紙詰まりした用紙を把持しないようにでき、操作性が向上している。その上、開閉部20の開閉位置に応じて吸着ローラ30のスライド位置を対応させることができ、スライド動作の不良などを防止でき、信頼性が向上する。
【0029】
また、リンク部材36が上記のように設けられているので、吸着ローラ30の軸受と、吸着ローラ30をスライド移動させるために支持する支持部材と、を一体的に構成させることができる。これにより、構造の簡素化、低コスト化を図ることができる。
【0030】
また、吸着ローラ30を開閉部20に設けているので、吸着ローラ30の清掃等のメンテナンスが容易になる。また、転写ベルト7を交換するときに併せて吸着ローラ30を交換することが可能になるので、吸着ローラ30を交換する際の作業性が良く、吸着ローラ30のライフ管理が容易になる。更に、吸着ローラ30の径を大きくし易くなり、用紙突入の案内性が向上する。また、開閉部20を開けることによって、転写ベルト7と吸着ローラ30との間に挟まっている転写用紙を容易に取り除くことができ、ジャムクリア性が良好になる。
【0031】
更に、プリンタ本体1Mに、開閉部20が開閉する際に吸着ローラ30をガイドしつつ支えるガイドレール34が設けられており、これにより、開閉部20を開くとき、吸着ローラ30のスライド移動における移動軌跡を確実にコントロールすることができるので、吸着ローラ30とカートリッジ6との干渉を確実に回避できる。
【0032】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、上記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンタの構成を示す側面断面図である(手差しトレイを開いた状態)。
【図2】本発明の一実施形態に係るプリンタの構成を示す側面断面図である(手差しトレイを開かずに給紙カセットを引き出した状態)。
【図3】本発明の一実施形態に係るプリンタの構成を示す側面断面図である(手差しトレイを閉じ、給紙カセットを収納した状態)。
【図4】本発明の一実施形態に係るプリンタの構成を示す側面断面図である(開閉部を開にした状態)。
【図5】本発明の一実施形態に係るプリンタで、プロセスカートリッジが吸着ローラの回動移動を妨げないことを示す部分側面断面図である(プロセスカートリッジは最下段のプロセスカートリッジのみを描いている)。
【図6】本発明の一実施形態に係るプリンタを構成する開閉部の部分斜視図である。
【図7】図6の部分拡大図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るプリンタの構成を示す側面断面図である(開閉部を閉じている途中の状態)。
【図9】本発明の一実施形態に係るプリンタの構成を示す側面断面図である(開閉部を閉じている途中の状態)。
【図10】図10(A)から(C)は、本発明の一実施形態に係るプリンタで、開閉部を閉じていくときに吸着ローラがガイドレールに案内されていくことを示す模式的な側面図である。
【図11】図11(A)から(C)は、本発明の一実施形態に係るプリンタで、開閉部を閉じていくときに吸着ローラがガイドレールに案内されていくことを示す模式的な側面図である。
【図12】従来の画像形成装置で、プロセスカートリッジが吸着ローラの回動移動を妨げないことを示す部分側面断面図である(プロセスカートリッジは最下段のプロセスカートリッジのみを描いている)。
【符号の説明】
【0034】
1 プリンタ(画像形成装置)
1M プリンタ本体(装置本体)
3 プロセスカートリッジ(カートリッジ)
4 プロセスカートリッジ(カートリッジ)
5 プロセスカートリッジ(カートリッジ)
6 プロセスカートリッジ(カートリッジ)
7 転写ベルト(搬送ベルト)
7E ベルト外周面
20 開閉部
30 吸着ローラ
32 ガイド手段(位置決め手段)
34 ガイドレール(ガイド部)
36 リンク部材(軸受、支持部材)
38 引張コイルバネ(付勢部材、付勢手段)
40 駆動ローラ(ローラ)
80 開閉部
81 画像形成装置
86 プロセスカートリッジ(カートリッジ)
87 転写ベルト(搬送ベルト)
87E ベルト外周面
90 対向部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に回動可能に取付けられた開閉部を備え、装置本体に収納されている複数のカートリッジをこの開閉部の回動によって露出可能にされた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー式の画像形成装置では、一般に、複数(例えば4つ)のプロセスカートリッジを搭載している(例えば、特許文献1、2参照)。そして、メンテナンス等の関係上、これら複数のプロセスカートリッジを露出させることが可能なように、装置本体に開閉部が取付けられていることが多い。以下、添付図面を参照して従来の画像形成装置の一例を説明する。
【0003】
図12に示すように、従来の画像形成装置81は、装置本体に回動可能に取付けられた開閉部80を備え、装置本体に収納されている複数のプロセスカートリッジ86などを開閉部80の回動によって露出させることが可能になっている。
【0004】
開閉部80のプロセスカートリッジ側には転写ベルト87のベルト外周面87Eが位置している。そして、ベルト外周面87Eに対向して対向部材(図12では吸着ローラ)90が設けられている。
【0005】
画像形成装置81の高さを低くするためには、プロセスカートリッジ86と対向部材(図12では吸着ローラ)90を近接して設ける必要があるが、あまり近接させると開閉部80の開閉時に、対向部材90がプロセスカートリッジ86と干渉するという問題があった。プロセスカートリッジを縦列配置している構成では、画像形成装置81の高さを低くすることは重要であり、この問題は特に深刻なものとなっている。
【特許文献1】特開2003−241466号公報
【特許文献2】特開2003−241620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、装置高さを抑えた画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、装置本体に回動可能に取付けられた開閉部を備え、装置本体に収納されている複数のカートリッジを前記開閉部の回動によって露出可能な画像形成装置であって、前記開閉部の前記カートリッジ側には、前記開閉部に設けられたベルトのベルト外周面が位置しており、前記開閉部には、前記ベルト外周面に対向して対向部材が設けられ、前記装置本体には、前記対向部材が前記装置本体に対してスライド移動可能となるように前記対向部材を案内するガイド手段が設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
対向部材は、ブレード、スクレーパ、ブラシ、吸着ローラ、二次転写ローラ、クリーナーなどである。
【0009】
請求項1に記載の発明では、対向部材が、装置本体ではなく開閉部に設けられているので、開閉部を高い精度で位置決めすることができる。
【0010】
また、開閉部の開閉に伴って対向部材がスライド移動するので、対向部材をカートリッジに近接して配置してもカートリッジと対向部材が干渉しないようにでき、装置高さを抑えることができる。また、開閉部の回動支点の位置に関係なく、対向部材とカートリッジの干渉を回避できるので、回動支点の位置選定についての自由度が増大する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装置高さを抑えた画像形成装置が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。図1、図2に示すように、本発明の一実施形態に係るプリンタ1はフルカラープリンタである。プリンタ1を構成するプリンタ本体1Mの内部には、略垂直に縦列配置された4個のプロセスカートリッジ3、4、5、6と、これらのプロセスカートリッジ3、4、5、6に沿って配置された転写ベルト7と、が設けられており、転写ベルト7を開放して開設された空間からプロセスカートリッジ3、4、5、6を略水平方向に着脱できる構成になっている。プロセスカートリッジ3、4、5、6には、それぞれ、感光体ドラム(像担持体)11、12、13、14が設けられている。
【0013】
また、プリンタ1は、感光体ドラム11、12、13、14にそれぞれ画像露光を施すROS8を備えており、感光体ドラム11、12、13、14上に形成された静電潜像を、プロセスカートリッジ3、4、5、6で、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のトナーでそれぞれ現像するようになっている。露光装置としてのROS8は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色に対応した画像データに基づいて点灯駆動される4つの半導体レーザや、これら4つの半導体レーザから出射される4本のレーザ光を偏向走査するためのfθレンズやポリゴンミラー、或いは複数枚の反射ミラーなどから構成されている。
【0014】
更に、プリンタ1は、転写材としての転写用紙Pを供給する給紙カセット16(図2参照)をこれらプロセスカートリッジの下方に備えている。プリンタ本体1Mには、この給紙カセット16を引き出し可能なように収容するカセット収容部が形成されている。
【0015】
また、プリンタ1には、給紙カセット16よりも上側でかつ給紙カセット16の引き出し側(図1〜図4ではフロント側)の装置側壁部を構成するカバー状の開閉部20を備えている。開閉部20は、カセット収容部の下部に設けた回動支点Jを中心に回動可能であることにより装置側面を開閉可能なように設けられており、開閉部20を開いて、プロセスカートリッジ3、4、5、6を露出させて交換したり、感光体ドラム11、12、13、14を露出した状態にして紙詰まり等に対するメンテナンスを行うことができる構成にされている。そして、開閉部20は、開閉可能な手差しトレイ22を備えており、プリンタ本体1Mの外部から所望の転写用紙Pを手差しトレイ22から給紙できるようになっている。
【0016】
上記に説明したもの以外に、プリンタ1は、トナー像が転写された転写用紙Pに対して定着処理を施す定着装置と、この定着装置によって片面に画像が定着された転写用紙Pを、表裏を反転させた状態で再度転写部へと搬送する両面印刷用搬送経路9と、プリンタの動作を制御する制御回路と、画像信号に対して画像処理を施す画像処理回路等からなるコントローラと、高圧電源回路等からなる電気回路と、などを備えている。なお、図1〜図4で、Tは画像が形成された転写用紙Pを排出する排出トレイを示し、この排出トレイTは、プリンタ本体1Mの上部に一体的に配置されている。
【0017】
(開閉部)
以下、開閉部20の回動動作がスムーズであること、及び、開閉部20を閉じたときの開閉部20を位置決めすること、について詳細に説明する。
【0018】
図1〜図4に示したように、開閉部20は、プリンタ本体1Mに回動可能に取付けられており、開閉部20を回動させて開くことにより、プリンタ本体1Mに収納されているプロセスカートリッジ3、4、5、6が露出するようになっている。
【0019】
開閉部20のプロセスカートリッジ側には、転写ベルト7のベルト外周面7Eが位置しており、開閉部20には、吸着ローラ30が、ベルト外周面7Eに対向して設けられており、吸着ローラ30のローラ面がベルト外周面7Eを押圧している。
【0020】
そして、プリンタ本体1Mには吸着ローラ30をスライド移動可能に案内するガイド手段が設けられている。そして、開閉部20の開閉に伴って吸着ローラ30がスライド移動する。
【0021】
図5〜図7に示すように、本実施形態では、対向部材として吸着ローラ30を設けたが、吸着ローラに代えて、ブレード、スクレーパ、ブラシ、二次転写ローラ、クリーナーなどを設けてもよい。
【0022】
以下、図8〜図11を用い、上記のガイド手段について説明する。プリンタ1には、このガイド手段32として、吸着ローラ30を下方側からガイドするガイドレール(ガイド部材)34と、吸着ローラ30を両端部で支えるリンク部材36と、リンク部材36に取付けられ、吸着ローラ30をベルト外周面7Eに向けて付勢する引張コイルバネ38と(図11参照)、が設けられている。
【0023】
ガイドレール34は、プリンタ本体1Mに設けられている(図8、図9参照)。
【0024】
図11に示すように、引張コイルバネ38は、リンク部材36と開閉部20に形成された突部(図示せず)とに引っ掛けられており、転写ベルト7のベルト内周面側に当接する駆動ローラ40に向けて吸着ローラ30を付勢するように配置されている。開閉部20が開いていて吸着ローラ30がガイドレール34に当接していないときには、リンク部材36は引張コイルバネ38に引っ張られて更にストッパ(図示せず)で移動を規制され、吸着ローラ30は駆動ローラ40の斜め下方に位置している。
【0025】
開いている開閉部20を閉じる方向へ回転移動させると、吸着ローラ30の端部から突出した回転軸はガイドレール34の上面側に当接する(図8、図9、図10(A)参照)。なお、図8〜図10では、簡略化のために吸着ローラ30がガイドレール34に当接するように描いているが、実際には吸着ローラ30の回転軸が当接する。)
更に開閉部20を閉じる方向へ回転移動させると、吸着ローラ30がガイドレール34の上面に案内されてスライド移動し、高さ位置が徐々に上がっていく(図10(B)参照)。
【0026】
そして、開閉部20を完全に閉じると、吸着ローラ30は所定位置に到達する(図10(C)参照)。なお、この状態では引張コイルバネ38がリンク部材36を下方に向けて付勢するように、引張コイルバネ38の取付位置が決められている。これにより、ガイドレール34は、吸着ローラ30を下方側からのみガイドする簡易な構成にされている。
【0027】
以上説明したように、本実施形態では、吸着ローラ30をカートリッジ6に近接して配置しても、開閉部20の開閉時に、吸着ローラ30とカートリッジ6とが干渉しないので、装置高さを抑えることができる。また、開閉部20の回動支点Jの位置に関係なく、吸着ローラ30とカートリッジ6の干渉を回避できるので、回動支点Jの選定についての自由度が増大する。
【0028】
また、引張コイルバネ38を上記のように設けている。これにより、吸着ローラ30を駆動ローラ40に向けて付勢する付勢力は、開閉部20の開閉状態に応じて変化しており、開いた状態では付勢力が開放され、紙詰まりした用紙を把持しないようにでき、操作性が向上している。その上、開閉部20の開閉位置に応じて吸着ローラ30のスライド位置を対応させることができ、スライド動作の不良などを防止でき、信頼性が向上する。
【0029】
また、リンク部材36が上記のように設けられているので、吸着ローラ30の軸受と、吸着ローラ30をスライド移動させるために支持する支持部材と、を一体的に構成させることができる。これにより、構造の簡素化、低コスト化を図ることができる。
【0030】
また、吸着ローラ30を開閉部20に設けているので、吸着ローラ30の清掃等のメンテナンスが容易になる。また、転写ベルト7を交換するときに併せて吸着ローラ30を交換することが可能になるので、吸着ローラ30を交換する際の作業性が良く、吸着ローラ30のライフ管理が容易になる。更に、吸着ローラ30の径を大きくし易くなり、用紙突入の案内性が向上する。また、開閉部20を開けることによって、転写ベルト7と吸着ローラ30との間に挟まっている転写用紙を容易に取り除くことができ、ジャムクリア性が良好になる。
【0031】
更に、プリンタ本体1Mに、開閉部20が開閉する際に吸着ローラ30をガイドしつつ支えるガイドレール34が設けられており、これにより、開閉部20を開くとき、吸着ローラ30のスライド移動における移動軌跡を確実にコントロールすることができるので、吸着ローラ30とカートリッジ6との干渉を確実に回避できる。
【0032】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、上記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンタの構成を示す側面断面図である(手差しトレイを開いた状態)。
【図2】本発明の一実施形態に係るプリンタの構成を示す側面断面図である(手差しトレイを開かずに給紙カセットを引き出した状態)。
【図3】本発明の一実施形態に係るプリンタの構成を示す側面断面図である(手差しトレイを閉じ、給紙カセットを収納した状態)。
【図4】本発明の一実施形態に係るプリンタの構成を示す側面断面図である(開閉部を開にした状態)。
【図5】本発明の一実施形態に係るプリンタで、プロセスカートリッジが吸着ローラの回動移動を妨げないことを示す部分側面断面図である(プロセスカートリッジは最下段のプロセスカートリッジのみを描いている)。
【図6】本発明の一実施形態に係るプリンタを構成する開閉部の部分斜視図である。
【図7】図6の部分拡大図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るプリンタの構成を示す側面断面図である(開閉部を閉じている途中の状態)。
【図9】本発明の一実施形態に係るプリンタの構成を示す側面断面図である(開閉部を閉じている途中の状態)。
【図10】図10(A)から(C)は、本発明の一実施形態に係るプリンタで、開閉部を閉じていくときに吸着ローラがガイドレールに案内されていくことを示す模式的な側面図である。
【図11】図11(A)から(C)は、本発明の一実施形態に係るプリンタで、開閉部を閉じていくときに吸着ローラがガイドレールに案内されていくことを示す模式的な側面図である。
【図12】従来の画像形成装置で、プロセスカートリッジが吸着ローラの回動移動を妨げないことを示す部分側面断面図である(プロセスカートリッジは最下段のプロセスカートリッジのみを描いている)。
【符号の説明】
【0034】
1 プリンタ(画像形成装置)
1M プリンタ本体(装置本体)
3 プロセスカートリッジ(カートリッジ)
4 プロセスカートリッジ(カートリッジ)
5 プロセスカートリッジ(カートリッジ)
6 プロセスカートリッジ(カートリッジ)
7 転写ベルト(搬送ベルト)
7E ベルト外周面
20 開閉部
30 吸着ローラ
32 ガイド手段(位置決め手段)
34 ガイドレール(ガイド部)
36 リンク部材(軸受、支持部材)
38 引張コイルバネ(付勢部材、付勢手段)
40 駆動ローラ(ローラ)
80 開閉部
81 画像形成装置
86 プロセスカートリッジ(カートリッジ)
87 転写ベルト(搬送ベルト)
87E ベルト外周面
90 対向部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に回動可能に取付けられた開閉部を備え、装置本体に収納されている複数のカートリッジを前記開閉部の回動によって露出可能な画像形成装置であって、
前記開閉部の前記カートリッジ側には、前記開閉部に設けられたベルトのベルト外周面が位置しており、
前記開閉部には、前記ベルト外周面に対向して対向部材が設けられ、
前記装置本体には、前記対向部材が前記装置本体に対してスライド移動可能となるように前記対向部材を案内するガイド手段が設けられている、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ベルトは、用紙を搬送する搬送ベルトであり、
前記対向部材は、用紙を前記ベルト外周面に静電吸着させる吸着ローラである、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
装置本体に、前記開閉部が開閉する際に前記吸着ローラを案内するガイド部が、前記ガイド手段の構成部材として配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記吸着ローラを下方側からガイドするように設けられ、
前記開閉部を閉じると、前記吸着ローラはスライド移動によって高さ位置が上がる、ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ベルトのベルト内周面側に当接するローラに向けて前記吸着ローラを付勢する付勢部材が設けられている、ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記付勢部材による付勢力は、前記開閉部の開閉状態に応じて変化する、ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記吸着ローラは、ローラ軸中心が移動することによりスライド移動する、ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記吸着ローラをスライド移動させるために付勢する付勢手段が設けられている、ことを特徴とする請求項4〜7のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記対向部材の軸受と、前記対向部材をスライド移動させるために支持する支持部材と、が一つの部品で構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ベルトと前記対向部材とが一体的に交換可能な構成にされている、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
装置本体に回動可能に取付けられた開閉部を備え、装置本体に収納されている複数のカートリッジを前記開閉部の回動によって露出可能な画像形成装置であって、
前記開閉部の前記カートリッジ側には、前記開閉部に設けられたベルトのベルト外周面が位置しており、
前記開閉部には、前記ベルト外周面に対向して対向部材が設けられ、
前記装置本体には、前記対向部材が前記装置本体に対してスライド移動可能となるように前記対向部材を案内するガイド手段が設けられている、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ベルトは、用紙を搬送する搬送ベルトであり、
前記対向部材は、用紙を前記ベルト外周面に静電吸着させる吸着ローラである、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
装置本体に、前記開閉部が開閉する際に前記吸着ローラを案内するガイド部が、前記ガイド手段の構成部材として配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記吸着ローラを下方側からガイドするように設けられ、
前記開閉部を閉じると、前記吸着ローラはスライド移動によって高さ位置が上がる、ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ベルトのベルト内周面側に当接するローラに向けて前記吸着ローラを付勢する付勢部材が設けられている、ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記付勢部材による付勢力は、前記開閉部の開閉状態に応じて変化する、ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記吸着ローラは、ローラ軸中心が移動することによりスライド移動する、ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記吸着ローラをスライド移動させるために付勢する付勢手段が設けられている、ことを特徴とする請求項4〜7のうちいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記対向部材の軸受と、前記対向部材をスライド移動させるために支持する支持部材と、が一つの部品で構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ベルトと前記対向部材とが一体的に交換可能な構成にされている、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−33708(P2007−33708A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215026(P2005−215026)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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