説明

画像形成装置

【課題】 送信後における送達確認メールやエラー通知メールなどの確認メールを経済的にかつ不具合なく処理し、画像形成やメール送受信の円滑化を図る。
【解決手段】 画像を読み取る読取部2と、画像を印刷する印刷部5と、メールの送受信機能を有する制御部1とを備える。制御部1は、受信したメールを解析し、その解析結果に応じて、受信したメールの印刷あるいは指定先への転送の判断を行う判断機能を有する。また、制御部1は、ユーザとの間にて認証を行い、実行したジョブにユーザの認証情報を付加したジョブ情報を記録したジョブログを作成し、送信するメールにジョブ情報を付加する。また、制御部1は、受信したメールからジョブ情報を検出し、検出したジョブ情報に基づいて、ジョブログからユーザの認証情報を取り出し、この認証情報に対応したユーザの宛先へ受信したメールを転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み込んだ画像を印刷する画像形成装置に係り、特に、メール機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、読み込んだ画像を印刷する画像形成機能だけでなく、指定したアドレスへ画像をメールに添付して送信するメール機能を備えた画像形成装置が用いられている。
この画像形成装置では、受信元における受領確認や着信エラーにより返送された送達確認メールやエラー通知メールが印刷されるようになっており、送信者は、この印刷されたメールを確認することにより、受信側におけるメールの受領あるいは送信メールの着信エラーを把握していた。
また、画像形成装置をメーラとして用いる場合に、画像形成装置にネットワーク接続されたクライアントから送られてきたメールに識別データを付して送信することで、送達確認メールやエラー通知メールを送信元のクライアントへ転送する技術(例えば、特許文献1参照)、あるいは所定の受信条件に対応した転送指示を記憶しておき、所定の受信条件の場合に、送達確認メールやエラー通知メールを記憶された転送指示に従って特定の転送先へ転送する技術(例えば、特許文献2参照)も知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−184278号公報
【特許文献2】特開平11−134266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、メール機能を備えた上記画像形成装置では、単に送達確認メールやエラー通知メールが印刷されるだけでは、これらのメールが送信者の手元に届かないことがあり、また、これらの確認のみが目的のメールを印刷するため、経済的でなかった。
また、画像形成装置をメーラとして用い、クライアントから送られてきたメールに識別データを付して送信することで、送達確認メールやエラー通知メールを送信元のクライアントへ転送する技術を用いても、画像形成装置にて読み込ませた画像を、この画像形成装置から送信する場合には、送信元が自機であるため、特定のクライアントへメールを転送することができなかった。
【0005】
また、所定の受信条件に対応した転送指示を記憶しておき、所定の受信条件の場合に、送達確認メールやエラー通知メールを記憶された転送指示に従って特定の転送先へ転送する技術を用いる方式では、転送ユーザ毎に転送指示の設定をしなければならず、クライアントが多数であると、極めて手間がかかってしまう。しかも、転送指示の設定に不具合があり、転送先が不明である場合には、送達確認メールやエラー通知メールのやりとりが延々と繰り返されてしまい、ネットワークにおける円滑な送受信に支障をきたしてしまう。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、送信後における送達確認メールやエラー通知メールなどの確認メールを経済的にかつ不具合なく処理し、画像形成やメール送受信の円滑化を図ることが可能な画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、画像を読み取る読取部と、画像を印刷する印刷部と、メールの送受信機能を有する制御部とを備えた画像形成装置であって、前記制御部は、受信したメールを解析し、その解析結果に応じて、受信したメールの印刷あるいは指定先への転送の判断を行う判断機能を有することを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0008】
この画像形成装置によれば、送信後における送達確認メールやエラー通知メールなどの確認メールを経済的にかつ不具合なく処理し、画像形成やメール送受信の円滑化を図ることができる。
【0009】
また、本発明の画像形成装置は、その好適な態様として、前記制御部は、ユーザとの間にて認証を行うユーザ認証機能と、実行したジョブにユーザの認証情報を付加したジョブ情報を記録したジョブログを作成するジョブログ作成機能と、送信するメールに前記ジョブ情報を付加するジョブ情報付加機能と、受信したメールから前記ジョブ情報を検出するジョブ情報検出機能と、該ジョブ情報検出機能によって検出したジョブ情報に基づいて、前記ジョブログからユーザの認証情報を取り出し、この認証情報に対応したユーザの宛先へ受信したメールを転送する転送機能とを有することを特徴とする。
【0010】
これにより、受信したメールのジョブ情報により、ジョブログにおけるユーザ認証情報を取り出し、ジョブを実行すべく認証したユーザの宛先へ確実に受信メールを転送することができる。
【0011】
また、本発明の画像形成装置は、その好適な態様として、前記制御部は、前記ジョブログ作成機能によって、送信するメールが送達確認メールであることをジョブ情報として記録するとともに、受信したメールから前記ジョブ情報検出機能によってジョブ情報を検出し、このジョブ情報に送達確認メールであることが記録されている場合に、受信したメールを前記転送機能によって転送することを特徴とする。
【0012】
これにより、受信したメールのジョブ情報に送達確認メールであることが記録されている場合に、ジョブログにおけるユーザ認証情報を取り出し、ジョブを実行すべく認証したユーザの宛先へ確実に受信メールを転送することができる。
【0013】
本発明の画像形成装置は、その好適な態様として、前記制御部は、受信したメールの解析結果に基づいて、受信したメールが着信エラーを通知するエラー通知メールであると判断した場合に、受信したメールを予め登録されている管理者の宛先へ転送させることを特徴とする。
【0014】
これにより、着信エラーを通知するエラー通知メールを管理者の宛先へ転送して知らせることができる。
【0015】
また、本発明の画像形成装置は、その好適な態様として、前記制御部は、受信したメールが2重の着信エラーを通知するエラー通知メールであると判断した場合に、受信したメールを転送せずに前記印刷部にて印刷させることを特徴とする。
【0016】
これにより、2重の着信エラーを通知するエラー通知メールを転送せずに印刷することにより、エラー通知メールの転送が繰り返される不具合をなくすことができる。
【0017】
本発明の画像形成装置は、その好適な態様として、前記制御部は、受信したメールが2重の着信エラーを通知するエラー通知メールであると判断した場合に、受信したメールを転送せずに破棄することを特徴とする。
【0018】
これにより、2重の着信エラーを通知するエラー通知メールを転送せずに破棄することにより、エラー通知メールの転送が繰り返される不具合をなくすことができる。
【0019】
本発明の画像形成装置は、その好適な態様として、前記制御部は、受信したメールが2重の着信エラーを通知するエラー通知メールであると判断した場合に、受信したメールについてのログを作成することを特徴とする。
【0020】
これにより、2重の着信エラーが生じていたことの確認の容易化を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の画像形成装置によれば、送信後における送達確認メールやエラー通知メールなどの確認メールを経済的にかつ不具合なく処理し、画像形成やメール送受信の円滑化を図ることができる。
つまり、送達確認メールやエラー通知メールをユーザや管理者等へ確実に届けることができるとともに、これらの確認のみが目的のメールを印刷することによる費用の無駄を極力なくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置100を示すブロック図である。
図に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、制御部1と、読取部2と、操作部3と、表示部4と、印刷部5と、ネットワークインターフェース6とを備えている。
【0023】
読取部2は、図示せぬ読取面に載置された原稿の画像をスキャンし、画像データとして出力する。
操作部3は、ユーザからの指示を受けて、画像処理、画像形成あるいはメール送信の指示をする。
【0024】
表示部4は、例えば、液晶ディスプレイ等からなるもので、読み込んだ画像、処理した画像及び操作指示などを表示する。
印刷部5は、図示せぬ感光体、露光部、現像部、転写部及び定着部等を備え、画像データに基づいたトナー像を形成し、記録材である用紙上に定着させる。
【0025】
制御部1は、操作部3を用いたユーザからの指示に基づいて、画像データに画像処理を施し、印刷部5にて印刷させたり、画像データをメールとして送信する。
上記構造の画像形成装置100は、ネットワークインターフェース6を介して内部ネットワークやインターネットに接続可能とされている。
【0026】
上記構成の画像形成装置100は、ネットワーク接続されて用いられる。
図2は、本実施形態の画像形成装置100を接続したネットワークの一例を示すものである。
本例では、画像形成装置100には、複数のユーザに対応したクライアント11及び画像形成装置100の管理者のクライアント12がネットワーク接続されている。
また、この画像形成装置100は、インターネット13を介して他のネットワークのクライアント11とも通信可能とされている。
なお、画像形成装置100には、図3に示すようなユーザIDとメールアドレスとが対応したアドレス情報を予め登録することができるようになっている。
【0027】
次に、上記画像形成装置100の作用について説明する。
まず、画像の読み取り時における画像形成装置100の処理について、図4に示すフローチャートに沿って説明する。
【0028】
ユーザは、画像形成装置100の読取部2の読取面に原稿を配置し、操作部3によって画像の読み取りを指示する(ステップS01)。
これにより、読取部2の読取面上の原稿の画像がスキャンされ、その画像データが出力される。
次に、ユーザは、メール通信を行う場合には、画像形成装置100をメール通信モードとする(ステップS02)。
ここで、ユーザがメール通信モードとせずに(ステップS02:No)、操作部3にて印刷指示を行うと(ステップS03)、読取部2にて読み取らせた画像が印刷部5にて印刷される(ステップS04)。
【0029】
メール通信を行うべく、メール通信モードとしたユーザは(ステップS02:Yes)、ユーザIDを入力することによりユーザ認証を行う(ステップS05)。また、ユーザは、送信メールの宛先における送達確認を要求する場合は、送達確認要求を指示する(ステップS06)。
このようにすると、読み込ませた画像データをメール本文とし、ヘッダにジョブ番号が付加されたメールが作成される(ステップS07)。なお、ユーザによって送達確認要求の指示がされている場合は、ジョブ番号とともに送達確認要求がヘッダに付加される。
【0030】
その後、ユーザが画像形成装置100の操作部3を操作して、送信先のメールアドレスを直接入力するかあるいは予め登録しておいた送信先メールアドレスを指定し、送信操作を行う。
このようにすると、作成されたメールが送信先アドレスのクライアント11へ送信される(ステップS08)。
【0031】
ここで、画像形成装置100は、上記メール送信を実行した際に、そのジョブログを作成する(ステップS09)。図5は、作成するジョブログを示すもので、図に示すように、ジョブログでは、実行された各ジョブにジョブ番号を付し、これらジョブ番号に対応して、ジョブを実行したユーザの認証情報であるユーザID及び送信確認要求の有無等のジョブ情報が記録される。
【0032】
次に、メールの受信時における画像形成装置100の処理について、図6に示すフローチャートに沿って説明する。
画像形成装置100がメールを受信すると(ステップS11)、制御部1は、メールのヘッダの内容を解析する(ステップS12)。
ヘッダの内容解析の結果、制御部1は、ヘッダにジョブ番号が付されているか否かを判定し(ステップS13)、ジョブ番号が付されていない場合は(ステップS13:No)、このメールを印刷部5にて印刷する(ステップS14)。
【0033】
制御部1によるヘッダの内容解析の結果、ヘッダにジョブ番号が付されている場合(ステップS13:Yes)、制御部1は、このジョブ番号に基づいて、ジョブログ(図5参照)におけるジョブ番号に対応したジョブ情報を引き出し(ステップS15)、このジョブ番号に対応するジョブ情報に、送達確認要求があるか否かを判断する(ステップS16)。
【0034】
このジョブ番号に対応するジョブ情報に、送達確認要求があると判断した場合(ステップS16:Yes)、制御部1は、ジョブログにおけるジョブ番号に対応するユーザIDを割り出す(ステップS17)。
そして、制御部1は、この割り出したユーザIDに基づいて、予め画像形成装置100に登録されているユーザIDとメールアドレスとが対応したアドレス情報(図3参照)からユーザIDに対応するメールアドレスを引き出す(ステップS18)。
【0035】
次に、制御部1は、受信したメールを、引き出したメールアドレスへ送信する(ステップS19)。
これにより、画像形成装置100にて受信されたメールが、引き出したメールアドレスに対応するクライアント11へ送信され、このクライアント11のユーザは、受信したメールから、送信したメールが送信先に送達されたことを確認することができる。
【0036】
また、制御部1は、ジョブ番号に対応するジョブ情報に、送達確認要求がないと判断した場合(ステップS16:No)、再びメールのヘッダの内容解析を行う(ステップS20)。
ここで、制御部1は、メールのヘッダに転送指示を示す“Return Receipt”が含まれている場合(ステップS21:Yes)、受信したメールを送信元のクライアント11へ転送する(ステップS22)。
【0037】
また、制御部1は、メールのヘッダに“Return Receipt”がない場合(ステップS21:No)、2つの“Error”が含まれているか否かを判断する(ステップS23)。
そして、制御部1は、メールのヘッダに、着信エラーを表す“Error”が2つ含まれている場合(ステップS23:Yes)、画像形成装置100の印刷部5にて、受信メールを印刷させる(ステップS24)。
【0038】
また、制御部1は、メールのヘッダに、2つの“Error”が含まれていない場合(ステップS23:No)、つまり、1つの“Error”が含まれている場合に、受信したメールを送信元のクライアント11及び予めメールアドレスが登録されている画像形成装置100の管理者のクライアント12へ転送する(ステップS25)。
【0039】
このように、上記実施形態に係る画像形成装置によれば、送信後における送達確認メールやエラー通知メールなどの確認メールを経済的にかつ不具合なく処理し、画像形成やメール送受信の円滑化を図ることができる。
つまり、送達確認メールやエラー通知メールをユーザや管理者等へ確実に届けることができるとともに、これらの確認のみが目的のメールを印刷することによる費用の無駄を極力なくすことができる。
【0040】
特に、受信したメールのジョブ情報に送達確認メールであることが記録されている場合に、ジョブログにおけるユーザ認証情報を取り出し、ジョブを実行すべく認証したユーザの宛先へ確実に受信メールを転送することができる。
また、2重の着信エラーを通知するエラー通知メールを転送せずに印刷することにより、エラー通知メールの転送が繰り返される不具合をなくすことができる。
【0041】
なお、ヘッダの内容に基づくメールの転送や処理は、予め画像形成装置100にて設定が可能とされている。
したがって、例えば、受信メールのヘッダに、2つの“Error”が含まれている場合に、受信メールを転送や印刷せずに破棄する設定としたり、あるいは2つの“Error”が付されていたことをログとして記録するように設定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の画像形成装置を接続したネットワークの一例を示すものである。
【図3】予め登録されているユーザIDとメールアドレスとを対応させたアドレス情報を説明する図である。
【図4】画像形成装置の処理動作を説明するフローチャートである。
【図5】ジョブログの内容を示す図である。
【図6】メール受信時における画像形成装置の処理動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1…制御部、2…読取部、5…印刷部、100…画像形成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を読み取る読取部と、画像を印刷する印刷部と、メールの送受信機能を有する制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記制御部は、受信したメールを解析し、その解析結果に応じて、受信したメールの印刷あるいは指定先への転送の判断を行う判断機能を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、ユーザとの間にて認証を行うユーザ認証機能と、実行したジョブにユーザの認証情報を付加したジョブ情報を記録したジョブログを作成するジョブログ作成機能と、送信するメールに前記ジョブ情報を付加するジョブ情報付加機能と、受信したメールから前記ジョブ情報を検出するジョブ情報検出機能と、該ジョブ情報検出機能によって検出したジョブ情報に基づいて、前記ジョブログからユーザの認証情報を取り出し、この認証情報に対応したユーザの宛先へ受信したメールを転送する転送機能とを有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ジョブログ作成機能によって、送信するメールが送達確認メールであることをジョブ情報として記録するとともに、受信したメールから前記ジョブ情報検出機能によってジョブ情報を検出し、このジョブ情報に送達確認メールであることが記録されている場合に、受信したメールを前記転送機能によって転送することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、受信したメールの解析結果に基づいて、受信したメールが着信エラーを通知するエラー通知メールであると判断した場合に、受信したメールを予め登録されている管理者の宛先へ転送させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、受信したメールが2重の着信エラーを通知するエラー通知メールであると判断した場合に、受信したメールを転送せずに前記印刷部にて印刷させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、受信したメールが2重の着信エラーを通知するエラー通知メールであると判断した場合に、受信したメールを転送せずに破棄することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、受信したメールが2重の着信エラーを通知するエラー通知メールであると判断した場合に、受信したメールについてのログを作成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−60250(P2007−60250A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242668(P2005−242668)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】