説明

画像形成装置

【課題】画像読取部に対応する部分の薄型化と防振性とを両立する画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿画像を読み取る画像読取部20と、前記画像読取部の下に配置されて、画像を形成する画像形成部10と、前記画像読取部の上に配置されているとともに、ヒンジ部材によって画像読取部と開閉自在に構成されて、原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送部30と、前記画像読取部と画像形成部との間に介在して、画像読取部を画像形成部に対して弾性的に支持する複数の防振部材5と、を備え、前記防振部材は、画像形成部の各コーナー部近傍に配設されており、胴内排紙部が画像形成部の最上部の手前側に配設されており、少なくとも、前記胴内排紙部と重なる位置にある防振部材においては、その上面が画像読取部の底面よりも上方に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成部の上に画像読取部が配置されている画像形成装置に関し、特に、画像読取部の上方に自動原稿搬送部が配設されている画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置においては、画像の読取や形成を高速化することに加えて、画像の読取や形成を高精細化する取り組みがなされている。しかしながら、画像形成の高速化に従って、画像形成部での駆動系やローラー等の振動が大きくなって、機械振動の発生の一因となっている。また、画像の定着を短時間で行うために、高温で定着動作を行う必要がある。高温での定着を行うと、そのとき発生した熱を素早く逃がすための冷却ファンの数を増やすことが必要となる。このような冷却ファンの数の増加が、新たな機械振動の発生の一因となっている。画像形成部で発生したこれらの振動は、筐体を伝わって、画像読取部に達して、画像読取部での読取精度の低下を招いてしまう。つまり、高速化と高精細化とは相反するという傾向がある。
【0003】
高速化と高精細化とを両立させるために、機械振動を減衰させる防振部材を画像形成部と画像読取部との間に配置することが行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
ところで、画像読取部の上に自動原稿搬送部(ADF)がさらに設けられていることがしばしばである。画像形成装置の高速化・大容量化に対応して、自動原稿搬送部も高速化・大容量化が要求されている。高速化による駆動系やローラー等の大型化、積載原稿の大容量化及び両面読み込み機能の付加等によって、自動原稿搬送部が大型化・大重量化される方向にある。
【0005】
高速化に伴って画像形成部に貯蔵される給紙容量が増加する傾向にあるために、画像形成部の高さが高くなる傾向にある一方で、人間工学に基づいた操作性の観点から自動原稿搬送部の原稿積載面の高さを所定高さに維持することが求められている。その結果、自動原稿搬送部と画像読取部との間に配置される画像読取部が薄型化される方向にある。
【0006】
薄型化された画像読取部の上に大型化・大重量化の自動原稿搬送部が配設される場合、自動原稿搬送部の大きな自重や自動原稿搬送部の蓋開閉による衝撃等が、薄型化された画像読取部に負荷されるために、薄型化された画像読取部は多大なダメージを受けて異常画像が発生してしまう等の問題がある。
【0007】
自動原稿搬送部においては、その駆動系が後方に配置されているために、重心が後方に偏っている。大きな自重に加えて重心の偏った自動原稿搬送部はヒンジ部を介して画像読取部の筐体に取り付けられるが、自動原稿搬送部の蓋開閉の際に操作者の手を保護するためにバネによるバランサが設けられている。自動原稿搬送部の蓋開閉の際に、非常に大きなバネの反力が画像読取部の筐体に負荷されるが、重心が後方のいずれか一方の側(例えば左後方)に偏った自動原稿搬送部では、当該箇所を弾性的に支持する防振部材に対する負荷が、とりわけ大きくなっている。
【0008】
画像形成部によって画像の形成された印刷済み用紙は、胴内排紙部に排出される。胴内排紙部は、人間工学に基づいた操作性の観点から、画像形成部の最上部の手前側(例えば、画像形成部の左手前上部)に配設されている。ところが、上述したように、画像形成部と画像読取部との間には防振部材が配置されているが、画像形成部と画像読取部との間に防振部材をそのままの単純な形態で配置しただけでは、防振部材の厚みの分だけ画像形成部と画像読取部との間隙が広大になってしまう。したがって、画像形成部と画像読取部との間に防振部材をそのままの単純な形態で配置することは、画像読取部に対応する部分の薄型化に反するという問題がある。
【0009】
ところで、特許文献2には、スキャナユニットの側面にブラケット及び緩衝材を設けることが開示されている。特許文献2の画像形成装置は、お互いの重量が大きく異なった原稿押さえカバー又は自動原稿送り装置を選択的に取り付ける場合に、ブラケットの離間ネジのネジ止め位置を変えて、ブラケットによる筐体の支持高さを調整してスキャナユニットの高さを一定に保つというものである。離間ネジのネジ止め位置を変更する際に離間ネジをネジ穴から外したりネジ止めし直したりするネジ止め作業ができるように、ブラケットの上方にネジ止め作業空間を必要とする。したがって、ネジ止め作業空間が確保されるように、スキャナユニットの側面にブラケット及び緩衝材が設けられている。特許文献2の画像形成装置は、ブラケット及び緩衝材がスキャナユニットの側面に配設された形態をしているものの、少なくとも、胴内排紙部の設けられた左前方においてスキャナユニットと胴内排紙部との間に緩衝材をそのままの単純な形態で設けていることから、画像形成部と画像読取部との間隙を狭小化して画像読取部に対応する部分を薄型化しようという技術的思想を有するものでは無い。
【0010】
【特許文献1】特開平11−24349号公報
【特許文献2】特開2005−123777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の解決すべき技術的課題は、画像読取部に対応する部分の薄型化と防振性とを両立する画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および作用・効果】
【0012】
上記技術的課題を解決するために、本発明によれば、
原稿画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部の下に配置されて、画像を形成する画像形成部と、
前記画像読取部の上に配置されているとともに、ヒンジ部材によって画像読取部と開閉自在に構成されて、原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送部と、
前記画像読取部と画像形成部との間に介在して、画像読取部を画像形成部に対して弾性的に支持する複数の防振部材と、を備え、
前記防振部材は、画像形成部の各コーナー部近傍に配設されており、
胴内排紙部が画像形成部の最上部の手前側に配設されており、
少なくとも、前記胴内排紙部と重なる位置にある防振部材においては、その上面が画像読取部の底面よりも上方に位置していることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0013】
上記構成によれば、画像形成部の最上部の手前側に配設された胴内排紙部と重なる位置にある防振部材においては、防振部材が胴内排紙部に係らないように、防振部材の上面が画像読取部の底面よりも上方にシフトして配置されている。防振部材を上方にシフトした寸法だけ、画像読取部を画像形成部に近づけて配設することができるので、画像読取部に対応する部分を薄型化することができる。
【0014】
少なくとも、前記胴内排紙部と重なる位置にある防振部材は、画像読取部の下面に設けられた凹部に配設することも可能であるが、防振部材の取付容易性から、画像読取部の筐体側面に配設されていることが好適である。
【0015】
胴内排紙部と重ならないで且つ胴内排紙部の後方に位置する部分には、画像形成に用いられる部材が密に充填されていない空間が一般に存在する。当該空間に対応する画像形成部の上面に凹部を設けて、その凹部に防振部材の下部を収納するように構成すれば、見かけ上、当該防振部材の高さを低くすることができる。したがって、胴内排紙部と重ならないで且つ胴内排紙部の後方に位置する防振部材は、その上面が画像読取部の底面と実質的に同じ位置にあって、その下面が画像形成部の上面よりも下方に位置していることが好ましい。
【0016】
防振部材には、防振ゴムに取着されたボルト軸体をナットで固定するタイプのものや、防振ゴムの一面に取着された取付板の穴でネジ止めするタイプのものや、上記ボルト/ナット固定と上記ネジ止めとを組み合わせたタイプのものや、防振パットタイプのもの等の様々なものがある。ボルト/ナット式のものは、ボルト部の突出が画像読取部に対応する部分の薄型化の妨げになるとともに、スパナによる締め付け作業が発生して、締め付けトルクの管理を必要とするので、組み立て性が悪い。そこで、画像読取部に対応する部分の薄型化及び組み立て性向上の観点から、好ましくは、防振部材は、防振ゴムを上下の取付板で挟持する構成であり、上下の取付板は、ネジ止め用の穴を有して、画像形成部又は画像読取部からネジ止め固着できるように構成されている。
【0017】
防振ゴムとしては、天然ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等の様々なゴム材料を用いることができるが、耐衝撃性に優れている高減衰タイプのブチル系ゴムであることが好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1について、図1乃至6を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の模式的な正面図である。図2は、図1の画像形成装置の模式的な上面図である。図3は、図1の画像形成装置の画像形成部の上部筐体の斜視図である。図4は、図1の画像形成装置の模式的な左側面図である。図5は、図1の画像形成装置の模式的な後面図である。図6は、図1の画像形成装置に用いられる防振部材の斜視図である。
【0020】
図1等に示した画像形成装置1は、いわゆるデジタルMFP(Multi Function Peripheral:複合機)であり、原稿31を読み取る画像読取部20と、読み取った画像データによって画像を形成する画像形成部10と、原稿31を自動的に搬送する自動原稿搬送部30と、を備えている。画像形成部10の上に画像読取部20が配設されている。画像読取部20と自動原稿搬送部30とは、後方側に配設された左右二つのヒンジ部材によってヒンジ結合している。したがって、自動原稿搬送部30は、画像読取部20の上側で回動して開閉することができるように構成されている。
【0021】
原稿載置台32に載置された複数枚の原稿31を順次搬送する自動原稿搬送部30は、画像読取部20の上部に配設されている。自動原稿搬送部30の後方側には、ローラーやベルトを駆動するための重量物のモータやギア等の駆動系が内蔵されているので、自動原稿搬送部30では、基本的に、重心が後方に偏っている。自動原稿搬送部30は、原稿台ガラスの上面を蓋する原稿台カバーを兼ねている。
【0022】
自動原稿搬送部30は、ベルトタイプのものと、シートスルータイプのものとがある。ベルトタイプの自動原稿搬送部30は、左右のローラー及びベルトの駆動によって原稿31を原稿台ガラス上に移動させ、原稿を停止させて図示しない読取光学系によって原稿をスキャンさせることで画像データを読み取るものであるが、ローラーが左右に配置されているために左右方向の重量分布が比較的均等化されている。シートスルータイプの自動原稿搬送部30は、左側に配置されたローラーの駆動によって原稿31をコンタクトガラス上を移動させながら図示しない読取光学系によって原稿をスキャンさせることで画像データをより高速に読み取ることができるものであるが、左側にローラーがあってその後方に重量物の駆動系(モータやギア)があるために重心が左後方に偏っている。本願発明は、ベルトタイプの自動原稿搬送部にも適用可能であるが、高速化の観点から現在主流となっているものの重量分布がアンバランスであるシートスルータイプの自動原稿搬送部に適用することが好適である。
【0023】
大略矩形形状をした画像読取部20の筐体内部には、光源、ミラー、結像光学系、光電変換素子(CCD)、駆動系等の公知の要素が収納されている。コンタクトガラス又は原稿台ガラスを介して、画像読取部20によって読み取った画像データは、画像メモリーに一時的に記憶される。
【0024】
このように構成された画像形成装置1において、原稿載置台32に載置された原稿31が、自動原稿搬送部30によって順次搬送されて、コンタクトガラス又は原稿台ガラスを介して、画像読取部20によってデジタルの画像データが読み取られる。画像読取部20によって読み取った画像データは、画像メモリーに記憶されたあと、画像形成部10に入力される。画像形成部10内のレーザダイオードから画像データに応じたレーザ光を感光体ドラムに照射して、静電潜像を形成する。この静電潜像を現像部で現像することで、感光体ドラム上にトナー像が顕像化される。
【0025】
トナー像は、感光体ドラムの転写部により転写紙に転写される。そして、感光体ドラムに圧着されている転写紙は分離部により分離される。感光体ドラムから分離された転写紙は、搬送機構によって定着部に運ばれ、トナー像が熱及び圧力により定着される。画像の定着された転写紙は、画像形成部10の最上部に設けられた胴内排出部14に排出ローラーによって排出される。
【0026】
上述したように、自動原稿搬送部30は、画像読取部20の筐体に対して、左右二個のヒンジ部材によってヒンジ結合されている。左右のヒンジ部材は、画像読取部20の筐体の後方取付部に固定されている。ヒンジ部材は、上板及びベース板を有して、上板に固定された自動原稿搬送部30が、ベース板に固定された画像読取部20の筐体の後方取付部に対してヒンジ軸を中心に回動自在であるように構成されている。自動原稿搬送部30の蓋開閉の際に操作者の手を保護するために、バネによるバランサが上板とベース板との間に設けられている。ヒンジ部材のベース板の前端が、画像読取部20の筐体の後フレームに対して離間した構成とすることも可能であるが、画像読取部20の筐体フレームの強度アップのために、画像読取部20の筐体の後フレームに対してベース板の前端が当接係合していることが好ましい。
【0027】
自動原稿搬送部30の重量は、例えば、約16kgであり、画像読取部20の重量の1.3乃至1.4倍であり、自動原稿搬送部30はかなりの重量物である。さらに、自動原稿搬送部30の重量分布は左右方向及び前後方向にアンバランスであり、現在主流のシートスルータイプの自動原稿搬送部30では、重心が左後方に偏っている。自動原稿搬送部30を閉じた状態での重量分布は、例えば、左前方:右前方:右後方:左後方=40:20:30:100というアンバランスなものである。
【0028】
画像形成部10の上部筐体12は、大略矩形形状をした板金体であり、防振部材5を介在させた状態で自動原稿搬送部30及び画像読取部20が上部筐体12の上に載置される。
【0029】
画像形成部10の上部筐体12は、図3に示すように、四つのコーナー部近傍に、すなわち左前方コーナー部に下配設部25FLを、右前方コーナー部に下配設部25FRを、左後方コーナー部に下配設部25RLを、右後方コーナー部に下配設部25RRを、それぞれ有している。下配設部25FL,25FR,25RL,25RRは、上部筐体12の基準面に対して適宜凸設又は凹設されている。例えば、下配設部25RL,25RRは、画像形成部10の上部筐体12よりも下方に位置している。下配設部25FL,25FR,25RL,25RRには、左右のネジ止め用の取付穴がそれぞれ設けられている。
【0030】
画像読取部20の筐体の前側面、すなわち、上配設部125FL及び125FRには、大略L字状の側面ブラケットがそれぞれ配設されている。各側面ブラケットの側板が画像読取部20の筐体の前側面に固着され、各側面ブラケットの上板には左右のネジ止め用の取付穴が設けられている。各側面ブラケットの上板は、適宜の高さで、画像読取部20の筐体の底板よりも上方にシフトして配置されている。胴内排紙部と重ならないで且つ胴内排紙部の後方に位置する防振部材を取り付けるための上配設部125RL及び125RRは、画像読取部20の下部筐体の底面と実質的に同じ位置にある。また、画像読取部20の下部筐体の後方底面、すなわち、上配設部125RL及び125RRには、左右のネジ止め用の取付穴がそれぞれ設けられている。
【0031】
防振部材5としては、防振ゴムに取着されたボルト軸体をナットで固定するタイプのものや、防振ゴムの一面に取着された取付板の取付穴でネジ止めするタイプのものや、上記ボルト/ナット固定と上記ネジ止めとを組み合わせたタイプのものや、防振パットタイプのもの等の様々なものが使用可能である。取付容易性の観点から、本実施形態に係る防振部材5は、図6に示すように、防振ゴム56を上取付板52及び下取付板54で挟持した状態で接着固定された構成をしている。上下の取付板52,54は、ネジ止め用の取付穴58を左右に有しており、画像形成部10及び画像読取部20の両方からネジ止め固着できるように構成されている。防振ゴム56には、天然ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等も使用可能であるが、耐衝撃性に優れている高減衰のブチル系ゴムが好適である。
【0032】
防振部材5は、画像形成部10の上部筐体12の少なくとも三箇所に配設される。画像形成部10の上部筐体12が、通常、大略矩形形状をしているので、防振部材5が上部筐体12の四つのコーナー部近傍にそれぞれ配設される。したがって、図3に示すように、左前方コーナー部の下配設部25FLと上配設部25FLとの間、右前方コーナー部の下配設部25FRと上配設部25FRとの間、左後方コーナー部の下配設部25RLと上配設部25RLとの間及び右後方コーナー部の下配設部25RRと上配設部25RRとの間の四箇所において、防振部材5FL,5FR,5RL,5RRがそれぞれ配設される。上配設部125FL,125FR,125RL,125RR及び下配設部25FL,25FR,25RL,25RRのネジ止め用の取付穴と、各防振部材5FL,5FR,5RL,5RRのネジ止め用の取付穴58とをそれぞれ位置合わせしたあと、画像形成部10の方から又は画像読取部20の方から、すなわち上下方向から、ネジ止め固定される。したがって、防振部材5の取付作業が容易である。
【0033】
上述したように、閉じた状態の自動原稿搬送部30では、重心が左後方に偏っているので、高負荷部位である左後方コーナー部の下配設部25RLと上配設部125RLとの間には、他の部位のものよりも大きな耐荷重に構成された左後方防振部材5RLが配設される。他の部位と比較して負荷のアンバランスさの程度に応じて、適切な耐荷重を持った左後方防振部材5RLが配設される。例えば、防振ゴム56の外形寸法を大きくしたり、防振ゴム56の硬度を大きくしたり、防振ゴム56の弾性係数を大きくしたり、防振ゴム56の撓み量を大きく設定した単一物を用いることにより、耐荷重の大きい単一の左後方防振部材5RLとすることができる。部品点数削減及びコスト削減のために、同じ種類の防振部材5が各コーナー部に配置されるとともに、高負荷部位である左後方コーナー部の下配設部25RLと上配設部25RLとの間には、他のコーナー部と同じ種類の防振部材5を複数個配置することによって、左後方コーナー部の防振部材5RLの耐荷重をアップさせることが好適である。左後方コーナー部の複数個の防振部材5RLは、前側グループ及び後側グループというように、前後方向に配置される。
【0034】
上記実施形態によれば、画像読取部20が画像形成部10に対して防振部材5で弾性的に支持されることによって、画像形成部10からの機械振動が画像読取部20の光学系に伝わって異常画像が発生することを抑制することができるので、高い読取精度で画像を読み取ることができる。そして、画像形成部10の最上部の手前側に配設された胴内排紙部14と重なる位置にある防振部材5FL,5FRにおいては、防振部材5FL,5FRが胴内排紙部14に係らないように、防振部材5FL,5FRの上面すなわち側面ブラケットの上板が画像読取部20の底面よりも上方にシフトして配置されていることから、防振部材5FL,5FRを上方にシフトした寸法だけ、画像読取部20を画像形成部10に近づけて配設することができるので、画像読取部20に対応する部分を薄型化することができるという効果が得られる。
【0035】
なお、上述した実施形態では、手前側に配置された胴内排紙部14との重なり合いに起因した画像読取部20に対応する部分の厚み増加を避けるために、前方に配置される防振部材5FL,5FRだけが、画像読取部20の筐体の側面に配置されて、その上面が画像読取部20の底面よりも上方に位置している。しかしながら、後方に配置される防振部材5RL,5RRも、画像読取部20の筐体の側面に配置されて、その上面が画像読取部20の底面よりも上方に位置するように構成することができる。また、防振部材5FL,5FR,5RL,5RRを画像読取部20の筐体の側面に配置する代わりに、画像読取部20の下部筐体の底面において画像読取動作の邪魔にならない部位に凹部を設けて、当該凹部に防振部材5FL,5FR,5RL,5RRの上部を固定して、防振部材5FL,5FR,5RL,5RRの上面が画像読取部20の下部筐体の底面よりも上方にシフトした構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の模式的な正面図である。
【図2】図1の画像形成装置の模式的な上面図である。
【図3】図1の画像形成装置の画像形成部の上部筐体の斜視図である。
【図4】図1の画像形成装置の模式的な左側面図である。
【図5】図1の画像形成装置の模式的な後面図である。
【図6】図1の画像形成装置に用いられる防振部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 画像形成装置
5 防振部材
10 画像形成部(プリンタ)
12 画像形成部の上部筐体
14 胴内排紙部
20 画像読取部(スキャナ)
30 自動原稿搬送部(ADF)
31 原稿
32 原稿載置台
52 上取付板
54 下取付板
56 防振ゴム
58 取付穴
5FL 左前方の防振部材
5FR 右前方の防振部材
5RL 左後方の防振部材
5RR 右後方の防振部材
25FL 左前方の下配設部
25FR 右前方の下配設部
25RL 左後方の下配設部
25RR 右後方の下配設部
125FL 左前方の上配設部(側面ブラケット)
125FR 右前方の上配設部(側面ブラケット)
125RL 左後方の上配設部
125RR 右後方の上配設部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部の下に配置されて、画像を形成する画像形成部と、
前記画像読取部の上に配置されているとともに、ヒンジ部材によって画像読取部と開閉自在に構成されて、原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送部と、
前記画像読取部と画像形成部との間に介在して、画像読取部を画像形成部に対して弾性的に支持する複数の防振部材と、を備え、
前記防振部材は、画像形成部の各コーナー部近傍に配設されており、
胴内排紙部が画像形成部の最上部の手前側に配設されており、
少なくとも、前記胴内排紙部と重なる位置にある防振部材においては、その上面が画像読取部の底面よりも上方に位置していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
少なくとも、前記胴内排紙部と重なる位置にある防振部材は、画像読取部の筐体側面に配設されていることを特徴とする、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記胴内排紙部と重ならないで且つ胴内排紙部の後方に位置する防振部材は、その上面が画像読取部の底面と実質的に同じ位置にあって、その下面が画像形成部の上面よりも下方に位置していることを特徴とする、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記防振部材は、防振ゴムを上下の取付板で挟持する構成であり、上下の取付板は、ネジ止め用の穴を有して、画像形成部及び画像読取部の両方からネジ止め固着できるように構成されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記防振ゴムは、ブチル系ゴムであることを特徴とする、請求項4記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−139394(P2008−139394A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323236(P2006−323236)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】