説明

画像形成装置

【課題】記録紙の先端が転写位置に搬送される瞬間と記録紙の後端が転写位置から抜け出る瞬間の急激な負荷変動を軽減し、"色ずれ"または"位置ずれ"による画像品質の劣化を防止することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】2次転写対向ローラ30を長手方向に沿って均一な同一寸法の円柱形状から形成するとともに、2次転写ローラ29を、央付部の寸法が端部の寸法よりも大きい太鼓形状に形成し、ローラ芯金29aを、その両端部から長手方向中央部に向かって縮径する縮径形状に形成し、ローラゴム層29bを、その両端部から長手方向中央部に向かってローラ芯金29aの縮径形状とは逆方向に拡径する拡径形状に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、画像形成工程において画像の"色ずれ"、"位置ずれ"を調整する機能を備えた複写機、ファクシミリ装置、プリンタ装置、または複写機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能等の各種機能を有する複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式でカラー画像を形成する複写機、ファクシミリ装置、プリンタ装置、複合機等のカラー画像形成装置には、直接転写方式と中間転写方式とがある。直接転写方式のカラー画像形成装置では、複数の像担持体の上に形成した色の異なるトナー画像を走行中の記録紙に直接重ねながら転写させる。
【0003】
また、中間転写方式の画像形成装置では、複数の像担持体の上に形成される色の異なるトナー画像を走行中の中間転写体に重ねながら転写させた後、走行中の記録紙に一括して転写させるものである。
【0004】
これらの各方式を用いたカラー画像形成装置では、直接転写方式にあっては、記録紙を支持しながら走行する無端状の搬送ベルトや転写ローラを採用し、中間転写方式にあっては、像担持体から画像を受け取り担持する無端状の中間転写ベルトを採用するのが一般的である。
【0005】
そして4個の像担持体を含む作像ユニットをベルトの一走行辺に並べて設置している。これらの画像形成装置では、複数の感光体を搬送ベルトまたは中間転写ベルトに対向させて、並べて配置することから、タンデム型と呼ばれている。
【0006】
従来のタンデム型のカラー画像形成装置としては、例えば、図24のように示される(例えば、特許文献1参照)。図24は一般的なカラー色Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の4色を搭載したタンデム型カラー画像形成装置である。
【0007】
図24において、感光体ドラムY1、この感光体ドラムY1用の現像ユニットY5、感光体ドラムM2、この感光体ドラムM2用の現像ユニットM6、感光体ドラムC3、この感光体ドラムC3用の現像ユニットC7、感光体ドラムBK4、およびこの感光体ドラムBK4用の現像ユニットBK8が示されている。
【0008】
また、感光体ドラムY1、M2、C3、BK4の下方には中間転写ベルト9、この中間転写ベルト9の駆動ローラ10、減速ギヤ11、駆動モータ12、中間転写ベルト9の従動ローラ13、2次転写対向ローラ14、この2次転写対向ローラ14に対向する2次転写ローラ15、レジストローラ対16、記録紙挿入検出センサ17および記録紙Pが示されている。
【0009】
また、4色の独立した感光体ドラムY1、感光体ドラムM2、感光体ドラムC3、感光体ドラムBK4上には、図示しない4色の光学書き込みユニットY、光学書き込みユニットM、光学書き込みユニットC、光学書き込みユニットBKによって潜像画像が書き込まれるようになっている。
【0010】
このように各4色の現像ユニットY5、現像ユニットM6、現像ユニットC7、現像ユニットBK8によって、各感光体ドラムに光学書き込みで書き込まれた潜像画像に各色のトナーを静電吸着にて吸着させる。さらに、このように個々の感光体ドラムに吸着させた4色のトナーを中間転写ベルト9に4色の各感光体ドラムから所定の位置に4色の画像を転写させる。すなわち、この動作で各色を重ねた画像を形成する。
【0011】
この中間転写ベルト9は駆動ローラ10と従動ローラ13、2次転写対向ローラ14に懸架されており、中間転写ベルト9は駆動モータ12と減速ギヤ11を介して一定速度で駆動されているようになっている。
【0012】
このように中間転写ベルト9に形成された画像は記録紙Pに転写されるようになっており、記録紙Pは記録紙挿入検出センサ17を通った後、レジストローラ対16によってその先端が揃えられるようになっている。
【0013】
この後、記録紙Pは2次転写ローラ15の位置まで搬送され、2次転写対向ローラ14と2次転写ローラ15の間を通過する。この2次転写対向ローラ14と2次転写ローラ15との間を通過する時に中間転写ベルト9に形成されていた重ね画像は記録紙Pに転写される。次いで、画像形成された記録紙Pは図示しない定着ユニットに搬送された後、4色のトナーは記録紙Pに熱溶着されて固定される。
【特許文献1】特開2005−234301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、このような従来の画像形成装置にあっては、記録紙Pの搬送方向と直交する方向に延在する2次転写ローラ15と中間転写ベルト9の間に記録紙Pが進入するようになっているため、画像の"色ずれ"または"位置ずれ"が発生してしまうことがあった。
【0015】
この原因の1つに、中間転写ベルト9の速度変動がある。中間転写ベルト9上の各色の画像を"色ずれ"または"位置ずれ"が無いように形成するためには感光体ドラムY1、M2、C3、BK4間の距離と感光体ドラムY1、M2、C3、BK4の速度および中間転写ベルト9の速度からタイミングを計算し、4色の転写位置を制御したり、各感光体ドラムY1、M2、C3、BK4の回転速度および中間転写ベルト9の回転速度を一定速度で回転する必要がある。
【0016】
中間転写ベルト9が回転している時に各色の感光体ドラムY1、感光体ドラムM2、感光体ドラムC3、感光体ドラムBK4からは、夫々中間転写ベルト9上の同一の1次転写領域上に各トナー像が順次転写されて重ねトナー画像が形成される。感光体ドラムY1、M2、C3、BK4間は所定間隔ずつ搬送方向にずれているために、感光体ドラムY1、M2、C3、BK4から中間転写ベルト9上の1次転写領域上に転写される各トナー像の転写タイミングにはズレがある。
【0017】
この時に中間転写ベルト9の速度変動が発生した場合、その瞬間に転写されていた画像は、他の3色の画像転写されていた場所から、速度変動に起因してずれた場所に転写されることになる。
【0018】
このような速度変動の結果、各トナー像は"色ずれ"または"位置ずれ"を含んだ重ねトナー像として中間転写ベルト9上に現れ、さらに記録紙Pに画像(トナー)が転写されたときには品質の劣化した最終画像となる。
【0019】
図25は"色ずれ"または"位置ずれ"の原因である中間転写ベルト9の速度変動例を示す概略図である。図26は記録紙の先端挿入時を示す概略図である。図25では、横軸で時間を表し、縦軸で中間転写ベルト9の速度Vpを表している。
【0020】
最初の速度Vpが遅くなっている時点は、図26に示すように、記録紙Pの先端が2次転写対向ローラ14と2次転写ローラ15のニップ部に搬送された瞬間である。ここでは記録紙Pによって2次転写対向ローラ14と2次転写ローラ15を押しのける力が発生し、中間転写ベルト9に大きな負荷トルクが瞬時に発生することになる。
【0021】
このときに駆動モータ12(図24)には大きな力が瞬時に必要になり、この負荷トルクより駆動モータ12の発生トルクが小さいと中間転写ベルト9の速度は低下することになる。また、記録紙Pの厚さがより厚くなれば、中間転写ベルト9に瞬時に大きな負荷トルクが発生することになる。
【0022】
図27は記録紙の後端排出時を示す概略図である。図24、図26および図27では、同一部分に同一符号を付して、特に、必要な部分以外の各図での説明は省略する。
【0023】
図27に示すように、記録紙Pの後端が2次転写対向ローラ14と2次転写ローラ15を抜ける時は図26の場合とは反対に中間転写ベルト9の負荷トルクが急激に減少するために、駆動モータ12に同様に掛かっている負荷が急激に軽減することになる。
【0024】
このために、図25の後半においては記録紙Pの先端がニップ部に進入する場合とは逆に中間転写ベルト9は速度が増加することになる。図28は記録紙Pの厚さと中間転写ベルト9の速度変動率を示すものであり、図28に示すように、記録紙Pの厚さがより厚くなれば中間転写ベルト9に瞬時に大きな負荷トルクが発生することになる。
【0025】
また、図29は記録紙Pの後端が2次転写ローラ15から抜け出るときの記録紙Pと中間転写ベルト9の速度変動率であり、この変動率は図28で示すものと略同じである。
【0026】
駆動モータ12は通常は緩やかな負荷変動に対し、速度制御で対応するが、上記のような大きく、かつ急激な負荷変動に対して瞬時に速度制御はできない。このために記録紙Pの先端が2次転写対向ローラ14と2次転写ローラ15に搬送される瞬間および記録紙Pの後端が2次転写対向ローラ14と2次転写ローラ15を抜けるときのような負荷変動が発生した場合には速度制御ができない。
【0027】
このため、中間転写ベルト9の速度Vpが変動する原因となり、画像の感光体ドラムY1、M2、C3、BK4からの転写時に転写位置ずれを起こすために"色ずれ"または"位置ずれ"が発生してしまい、結果的に記録紙P上への画像(トナー)転写に不都合が生じ、画像品質の劣化を発生させてしまった。
【0028】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、記録紙の先端が転写位置に搬送される瞬間と記録紙の後端が転写位置から抜け出る瞬間の急激な負荷変動を軽減し、"色ずれ"または"位置ずれ"による画像品質の劣化を防止することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上から1次転写された画像を受ける中間転写体と、搬送される記録紙を前記中間転写体に圧接する2次転写ローラと、前記中間転写体を挟んで前記2次転写ローラに対向し、前記中間転写体を前記2次転写ローラに圧接する2次転写対向ローラと、前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラのニップ部に記録紙を搬送する記録紙搬送手段とを備えた画像形成装置において、前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラは、それぞれ長手方向に沿って延在するローラ芯金および前記ローラ芯金上に被覆された弾性部材から構成され、前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラの少なくとも一方は、その長手方向で径の寸法が異なる円柱形状に形成され、前記ローラ芯金は、前記ローラ芯金の両端部から長手方向中央部に向かって縮径する縮径形状または拡径する拡径形状に形成され、前記弾性部材は、前記弾性部材の両端部から長手方向中央部に向かって前記ローラ芯金の縮径形状または拡径形状とは逆方向に拡径する拡径形状または縮径する縮径形状に形成されるものから構成されている。
【0030】
この構成により、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの少なくとも一方を、その長手方向で径の寸法が異なる円柱形状に形成し、ローラ芯金を、ローラ芯金の両端部から長手方向中央部に向かって縮径する縮径形状または拡径する拡径形状に形成し、弾性部材を、弾性部材の両端部から長手方向中央部に向かってローラ芯金の縮径形状または拡径形状とは逆方向に拡径する拡径形状または縮径する縮径形状に形成したので、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラのニップ幅を2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの長手方向に沿って異ならせることができる。
【0031】
このため、記録紙の先端が中間転写体、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの間の転写位置に搬送される瞬間とこの転写位置から記録紙の後端が抜け出る瞬間に、記録紙の幅方向の負荷が2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの間に一斉に加わることがなく、急激な負荷変動を軽減することができる。
【0032】
これに加えて、ローラ芯金の形状と弾性部材の形状とを長手方向に沿って径の寸法が異なる逆形状にしたので、2次転写ローラと2次転写対向ローラのニップ位置において記録紙に均一な加圧力を与えることができ、画像の転写効率を均一化することができる。
【0033】
この結果、"色ずれ"または"位置ずれ"が発生するのを防止することができ、記録紙上に画像を良好に転写して画像品質の劣化を発生するのを防止することができる。
【0034】
また、本発明の画像形成装置の前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラの少なくとも他方は、長手方向に沿って均一な同一寸法の円柱形状から形成され、前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラの少なくとも一方は、央付部の寸法が端部の寸法よりも大きい太鼓形状に形成されるものから構成されている。
【0035】
この構成により、記録紙の先端が中間転写体、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの間の転写位置に搬送される瞬間とこの転写位置から記録紙の後端が抜け出る瞬間に、記録紙の幅方向の負荷が2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの間に一斉に加わることがなく、急激な負荷変動を軽減することができる。
【0036】
これに加えて、ローラ芯金の形状と弾性部材の形状とを長手方向に沿って径の寸法が異なる逆形状にしたので、2次転写ローラと2次転写対向ローラのニップ位置において記録紙に均一な加圧力を与えることができ、画像の転写効率を均一化することができる。
【0037】
この結果、"色ずれ"または"位置ずれ"が発生するのを防止することができ、記録紙上に画像を良好に転写して画像品質の劣化を発生するのを防止することができる。
【0038】
また、本発明の画像形成装置の前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラの少なくとも他方は、長手方向に沿って均一な同一寸法の円柱形状から形成され、前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラの少なくとも一方は、央付部の寸法が端部の寸法よりも小さい鼓形状に形成されるものから構成されている。
【0039】
この構成により、記録紙の先端が中間転写体、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの間の転写位置に搬送される瞬間とこの転写位置から記録紙の後端が抜け出る瞬間に、記録紙の幅方向の負荷が2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの間に一斉に加わることがなく、急激な負荷変動を軽減することができる。
【0040】
これに加えて、ローラ芯金の形状と弾性部材の形状とを長手方向に沿って径の寸法が異なる逆形状にしたので、2次転写ローラと2次転写対向ローラのニップ位置において記録紙に均一な加圧力を与えることができ、画像の転写効率を均一化することができる。
【0041】
この結果、"色ずれ"または"位置ずれ"が発生するのを防止することができ、記録紙上に画像を良好に転写して画像品質の劣化を発生するのを防止することができる。
【0042】
また、本発明の画像形成装置の前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラの少なくとも一方は、前記ローラ芯金および前記弾性部材が長手方向一端部から中央部に向かって縮径形状および拡径形状を繰り返すように構成されることにより、長手方向に沿って前記太鼓形状が複数個形成されるものから構成されている。
【0043】
この構成により、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの少なくとも一方の長手方向に沿って太鼓形状を複数個形成したので、"色ずれ"または"位置ずれ"が発生するのを防止することができ、記録紙上に画像を良好に転写して画像品質の劣化を発生するのを防止することができることに加えて、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラから記録紙が受ける圧力を分散させて搬送精度を向上させることができる。
【0044】
また、本発明の画像形成装置の前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラの少なくとも一方は、前記ローラ芯金および前記弾性部材が長手方向一端部から中央部に向かって縮径形状および拡径形状を繰り返すように構成されることにより、長手方向に沿って前記鼓形状が複数個形成されるものから構成されている。
【0045】
この構成により、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの少なくとも一方の長手方向に沿って鼓形状が複数個形成したので、"色ずれ"または"位置ずれ"が発生するのを防止することができ、記録紙上に画像を良好に転写して画像品質の劣化を発生するのを防止することができることに加えて、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラから記録紙が受ける圧力を分散させて搬送精度を向上させることができる。
【0046】
また、本発明の画像形成装置の前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラは、央付部の寸法が端部の寸法よりも大きい太鼓形状に形成されるものから構成されている。
【0047】
この構成により、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの両方を太鼓形状に形成したので、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラのニップ幅を効率良く作り出すことができ、"色ずれ"または"位置ずれ"が発生するのを防止することができる。
【0048】
また、本発明の画像形成装置の前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラは、央付部の寸法が端部の寸法よりも小さい鼓形状に形成されるものから構成されている。
【0049】
この構成により、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの両方を太鼓形状に形成したので、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラのニップ幅を効率良く作り出すことができ、"色ずれ"または"位置ずれ"が発生するのを防止することができる。
【0050】
また、本発明の画像形成装置の前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラは、前記ローラ芯金および前記弾性部材が長手方向一端部から中央部に向かって縮径形状および拡径形状を繰り返すように構成されることにより、長手方向に沿って前記太鼓形状が複数個形成されるものから構成されている。
【0051】
この構成により、"色ずれ"または"位置ずれ"が発生するのを防止することができ、記録紙上に画像を良好に転写して画像品質の劣化を発生するのを防止することができることに加えて、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラから記録紙が受ける圧力を分散させて搬送精度を向上させることができる。
【0052】
また、本発明の画像形成装置の前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラの長手方向に沿って前記鼓形状が複数個形成されるものから構成されている。
【0053】
この構成により、"色ずれ"または"位置ずれ"が発生するのを防止することができ、記録紙上に画像を良好に転写して画像品質の劣化を発生するのを防止することができることに加えて、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラから記録紙が受ける圧力を分散させて搬送精度を向上させることができる。
【0054】
また、本発明の画像形成装置は、トナー像を担持する少なくとも1つ以上の像担持体と、前記像担持体に摺接し、像担持体上の画像を記録紙に転写する転写ローラと、前記転写ローラに記録紙を搬送する記録紙搬送手段とを備えた画像形成装置において、前記転写ローラは、長手方向に沿って延在するローラ芯金および前記ローラ芯金上に被覆された弾性部材から構成され、前記転写ローラは、長手方向に沿って延在するローラ芯金および前記ローラ芯金上に被覆された弾性部材から構成され、前記ローラ芯金は、前記ローラ芯金の両端部から長手方向中央部に向かって縮径する縮径形状または拡径する拡径形状に形成され、前記弾性部材は、前記弾性部材の両端部から長手方向中央部に向かって前記ローラ芯金の縮径形状または拡径形状とは逆方向に拡径する拡径形状または縮径する縮径形状に形成されるものから構成されている。
【0055】
この構成により、転写ローラの少なくとも一方を、その長手方向で径の寸法が異なる円柱形状に形成し、ローラ芯金を、ローラ芯金の両端部から長手方向中央部に向かって縮径する縮径形状または拡径する拡径形状に形成し、弾性部材を、弾性部材の両端部から長手方向中央部に向かってローラ芯金の縮径形状または拡径形状とは逆方向に拡径する拡径形状または縮径する縮径形状に形成したので、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラのニップ幅を各転写ローラの長手方向に沿って異ならせることができる。
【0056】
このため、記録紙の先端が中間転写体、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの間の転写位置に搬送される瞬間とこの転写位置から記録紙の後端が抜け出る瞬間に、記録紙の幅方向の負荷が2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの間に一斉に加わることがなく、急激な負荷変動を軽減することができる。
【0057】
これに加えて、ローラ芯金の形状と弾性部材の形状とを長手方向に沿って径の寸法が異なる逆形状にしたので、2次転写ローラと2次転写対向ローラのニップ位置において記録紙に均一な加圧力を与えることができ、画像の転写効率を均一化することができる。
【0058】
この結果、"色ずれ"または"位置ずれ"が発生するのを防止することができ、記録紙上に画像を良好に転写して画像品質の劣化を発生するのを防止することができる。
【0059】
また、本発明の画像形成装置の前記転写ローラは、央付部の寸法が端部の寸法よりも大きい太鼓形状に形成されるものから構成されている。
この構成により、記録紙の先端が中間転写体、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの間の転写位置に搬送される瞬間とこの転写位置から記録紙の後端が抜け出る瞬間に、記録紙の幅方向の負荷が2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの間に一斉に加わることがなく、急激な負荷変動を軽減することができる。
【0060】
これに加えて、ローラ芯金の形状と弾性部材の形状とを長手方向に沿って径の寸法が異なる逆形状にしたので、2次転写ローラと2次転写対向ローラのニップ位置において記録紙に均一な加圧力を与えることができ、画像の転写効率を均一化することができる。
【0061】
また、本発明の画像形成装置の前記転写ローラは、央付部の寸法が端部の寸法よりも小さい鼓形状に形成されるものから構成されている。
【0062】
この構成により、記録紙の先端が中間転写体、2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの間の転写位置に搬送される瞬間とこの転写位置から記録紙の後端が抜け出る瞬間に、記録紙の幅方向の負荷が2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの間に一斉に加わることがなく、急激な負荷変動を軽減することができる。
【0063】
これに加えて、ローラ芯金の形状と弾性部材の形状とを長手方向に沿って径の寸法が異なる逆形状にしたので、2次転写ローラと2次転写対向ローラのニップ位置において記録紙に均一な加圧力を与えることができ、画像の転写効率を均一化することができる。
【0064】
また、本発明の画像形成装置の前記転写ローラは、前記ローラ芯金および前記弾性部材が長手方向一端部から中央部に向かって縮径形状および拡径形状を繰り返すように構成されることにより、長手方向に沿って前記太鼓形状が複数個形成されるものから構成されている。
【0065】
この構成により、転写ローラの長手方向に沿って太鼓形状を複数個形成したので、"色ずれ"または"位置ずれ"が発生するのを防止することができ、記録紙上に画像を良好に転写して画像品質の劣化を発生するのを防止することができることに加えて、転写ローラから記録紙が受ける圧力を分散させて搬送精度を向上させることができる。
【0066】
また、本発明の画像形成装置の前記転写ローラは、前記ローラ芯金および前記弾性部材が長手方向一端部から中央部に向かって縮径形状および拡径形状を繰り返すように構成されることにより、長手方向に沿って前記鼓形状が複数個形成されるものから構成されている。
【0067】
この構成により、転写対向ローラの長手方向に沿って鼓形状を複数個形成したので、"色ずれ"または"位置ずれ"が発生するのを防止することができ、記録紙上に画像を良好に転写して画像品質の劣化を発生するのを防止することができることに加えて、転写ローラから記録紙が受ける圧力を分散させて搬送精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0068】
以上説明したように、記録紙の先端が転写位置に搬送される瞬間と記録紙の後端が転写位置から抜け出る瞬間の急激な負荷変動を軽減し、"色ずれ"または"位置ずれ"による画像品質の劣化を防止することができる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0069】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図11は本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図である。なお、画像形成装置としては、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ装置、または複写機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能等の各種機能を有する複合機等のように記録紙に画像を転写することができるものに適用することができる。本実施の形態では、タンデム型の中間転写方式のカラー画像形成装置を例にして説明を行う。
【0070】
まず、構成を説明する。図1において、カラー画像形成装置の図示しない本体内には画像形成手段21が設けられており、この画像形成手段21はY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の4色のカラー画像を記録紙に転写するようになっている。
【0071】
画像形成手段21は、図示しない光学書き込みユニットY、光学書き込みユニットM、光学書き込みユニットC、光学書き込みユニットBKによって潜像画像が書き込まれる像担持体としての感光体ドラムY22、M22、C22、BK22と、それぞれの感光体ドラムY22、M22、C22、BK22の静電潜像にトナー画像を形成(1次転写)する現像ユニットY23、M23、C23、BK23とを備えている。
【0072】
また、感光体ドラムY22、M22、C22、BK22の下方には中間転写体としての無端状の中間転写ベルト24が摺接しており、(図2、図3参照)、中間転写ベルト24は時計方向に周回移動することにより、感光体ドラムY22、M22、C22、BK22に1次転写されたトナー画像が重ねられて転写されるようになっている。
【0073】
また、中間転写ベルト24は駆動ローラ25および従動ローラ26に橋架されており、駆動ローラ25は減速ギヤ27を介して駆動モータ28によって駆動されるようになっている。
【0074】
また、中間転写ベルト24の下方には2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30が設けられている。2次転写ローラ29は所定方向に延在しており、記録紙Pを中間転写ベルト24に圧接して中間転写ベルト24上のトナー画像を記録紙Pに転写(2次転写)してカラー画像を記録紙Pに転写するようになっている。
【0075】
また、2次転写対向ローラ30は中間転写ベルト24を挟んで2次転写ローラ29に対向することにより、2次転写ローラ29の延在方向と同方向に延在しており、中間転写ベルト24を2次転写ローラ29に圧接するようになっている。
【0076】
また、記録紙Pは図示しない搬送ローラによって図1中、右側から左側に搬送されるようになっており、2次転写ローラ29と中間転写ベルト24の間の転写位置に対して記録紙Pの搬送方向上流側にはレジストローラ対(記録紙搬送手段)31が設けられている。また、レジストローラ対31に対して記録紙Pの搬送方向上流側にはフォトセンサ等からなる記録紙挿入検出センサ32が設けられている。
【0077】
レジストローラ対31は上側の可動レジストローラ31aおよび下側の固定レジストローラ31bから構成されており、固定レジストローラ31bは図示しない駆動モータによって回転駆動されるようになっているとともに、可動レジストローラ31aは図示しないバネ等によって固定レジストローラ31bに押圧されている。
【0078】
このレジストローラ対31は記録紙挿入検出センサ32によって記録紙Pの先端が検出されてから記録紙Pが所定距離だけ搬送されるまでは停止しており、可動レジストローラ31aと固定レジストローラ31bのニップに記録紙Pの先端を当接させることにより、記録紙Pのスキューを補正するようになっている。
【0079】
そして、記録紙Pの先端が検出されてから記録紙Pが所定距離以上搬送されたときには固定レジストローラ31bを回転させることにより、バネの付勢力に抗して上方に移動する可動レジストローラ31aと固定レジストローラ31bによって記録紙Pを挟持して転写位置に搬送するようになっている。
【0080】
転写位置に搬送された記録紙Pは2次転写ローラ29と中間転写ベルト24の間を通過するときに、中間転写ベル24に形成されていた重ねトナー画像が記録紙Pに転写される。この後、トナー画像が転写された記録紙Pは図示しない定着ユニットに搬送された後、4色のトナーが記録紙Pに熱溶着されて固定される。
【0081】
一方、図4に示すように、2次転写対向ローラ30は、長手方向に沿って延在するローラ芯金30aと、このローラ芯金30a上に被覆されたゴムから構成されたローラゴム層30bとから構成されており、2次転写対向ローラ30は長手方向に沿って均一な同一寸法の円柱形状に形成されている。なお、ローラゴム層30bはプラスチック等の樹脂材料から構成しても良い。要は、ローラ芯金30aにはゴムまたはプラスチック等の弾性部材が被覆されていれば良い。
【0082】
また、2次転写ローラ29は、長手方向に沿って延在するローラ芯金29aと、このローラ芯金29a上に被覆されたゴムから構成されたローラゴム層29bとから構成されており、2次転写ローラ29の外形形状は中央部の径の寸法が両端部の径の寸法よりも大きく形成された太鼓形状に形成されている。
【0083】
また、ローラ芯金29aは両端部から長手方向中央部に向かって縮径する縮径形状に形成されており、ローラゴム層29bは両端部から長手方向中央部に向かってローラ芯金29aの縮径形状とは逆方向に拡径する拡径形状に形成されている。
【0084】
なお、ローラゴム層29bはプラスチック等の樹脂材料から構成しても良い。要は、ローラ芯金29aにはゴムまたはプラスチック等の弾性部材が被覆されていれば良い。
【0085】
図5は図4(a)を下方から見た2次転写ローラの平面図であり、2次転写ローラ29の端部から略中央までの半分を示すとともに、2次転写ローラ29のニップ幅(クロスハッチングで示す)41と最大ニップ幅41maxと最小ニップ幅41minおよび2次転写ローラ29のローラ芯金29a、ローラゴム層29bの外形の形状を示している。
【0086】
但し、図5では、説明上の都合上、2次転写ローラ29の中央の径を極端に大きくするとともに、2次転写ローラ29の端面の径も極端に小さく図示している。
【0087】
次に、記録紙の搬送方法を説明する。
まず、最初に、"色ずれ"や"位置ずれ"の一つの要因は、上記で説明した図28、図29の記録紙Pの厚さによって、2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30のニップ部に搬送されたときに急激な負荷変動発生していた。
【0088】
この不具合を解消する方法の1つとして、本出願人は、図6に示すように、2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30を記録紙Pの搬送路に対して傾斜角θを設けることにより、中間転写ベルト24の受ける急激な負荷変動率を低減することを見出し(図7参照)、先に出願した(特願2006−17449号)。
【0089】
図7から明らかなように、2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30の傾斜角θを大きくしていくに連れて中間転写ベルト24の速度変動率が小さくなっている。試験結果、傾斜角θは僅かな傾斜で良く、ある一条件下での評価結果で0°<θ<3°程度で傾斜角θが無い場合に比べ、中間転写ベルト24の速度変動は10%〜30%程度に低減する事が分かった。
【0090】
記録紙Pの後端が2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30から抜け出るときにも、この傾斜角θを設定すると、記録紙Pの先端が2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30のニップ部に挿入されるときと同様に、記録紙Pの後端が2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30を抜けるときの急激な負荷変動にも同様の効果がある。
【0091】
このように、2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30と記録紙P間に僅かな傾斜角θを設けることにより、中間転写ベルト24の速度変動の軽減に効果があり、従来の課題である画像品質の"色ずれ"や"位置ずれ"対策に大きな効果が得られることを本出願人は見出したのである。
【0092】
そこで、本発明は2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30のニップ幅41の大きさを、2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30の径を変えることによって異ならせることにより、2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30の傾斜角θに相当する角度を得るようにして、記録紙Pの先端の突入時と後端が抜け出るときの衝撃による中間転写ベルト24の速度変動の軽減を図るようにしたのである。
【0093】
以下、図8〜図11に基づいて具体的に説明する。図8、図9は2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30の間で圧接されて2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30が変形することにより、形成される2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30のニップ位置での記録紙Pへの加圧力(すなわち、反発力)を説明する図である。
【0094】
図9は横軸を圧縮変形率S、縦軸を被材料の反発力Fとして表したものであり、圧縮変形率Sは図8で示すように被材料を加圧していないときの厚さL、被材料を加圧力Fで加圧した後の変形量をΔLとし、圧縮変形率S=ΔL/Lとして表す。
【0095】
この場合、図8から圧縮変形率SがSa=faからSb=fbと大きくなれば、反発力F(すなわち、加圧力F)も大きくなる。但し、Sは変形率であるから、被材料が薄い場合(図10のLaで示す)と、被材料が厚い場合(図10のLbで示す)とは同じ反発力Fを得るためには変形量ΔLb(ΔLa<ΔLb)を大きくすることが必要である。
【0096】
このような特性があるために、2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30のローラ芯金29a、30aが長手方向に沿って同一寸法の径で形成されている場合には、2次転写ローラ29または2次転写対向ローラ30の径を長手方向の任意の場所によって変えてニップ幅を得ようとすると、2次転写ローラ29のローラゴム層29bまたは2次転写対向ローラ30のローラゴム層30bの変形量が異なるためにニップ位置の加圧力が場所によって変わることになる。
【0097】
この理由を図10に基づいて説明する。図10は、中央の径が太い太鼓形状の2次転写ローラ29で、かつローラ芯金29aの径寸法が長手方向に沿って同一寸法の円柱形状の2次転写ローラ29を示すものである。
【0098】
図10において、記録紙Pの幅方向端部で圧縮前のローラゴム層29b厚さをLa、圧縮されて変形した量をΔLa、中央の太い外形部分で圧縮前の厚さをLb、圧縮量をΔLbとし、さらにローラ芯金29aとニップ位置間距離をL0とすると、
記録紙Pの幅方向端部の圧縮変形比率Saは
Sa=ΔLa/La=(La-L0)/La=1−L0/La......(1)
で表される。
【0099】
また、記録紙Pの中央の圧縮変形比率Sbは
Sb=ΔLb/Lb=(Lb-L0)/Lb=1−L0/Lb......(2)
で表すことができる。
【0100】
この結果により、各圧縮前のローラゴム層29bの厚さがLa<Lbであることから、上記式の(1)、(2)の右辺は(L0/La)>(L0/Lb)となり、記録紙Pの幅方向端部の圧縮変形率Saと中央の圧縮変形率SbにはSa<Sbの関係が成り立つ。
【0101】
したがって、単に2次転写ローラ29の外形をローラゴム層29bに変えてニップ幅を構成すると、圧縮変形率Sa、Sbが異なるために、図8に示すように2次転写ローラ29から記録紙Pが受ける加圧力(faまたはfb)が2次転写ローラ29の長手方向の場所により異なる。この結果、画像の転写効率が変化することになり、画像品質に大きな影響を与えることとなる。
【0102】
図11は上記の問題を鑑み、ニップ部での加圧力を均一化するための本実施の形態の2次転写ローラ29であり、本実施の形態では、ローラ芯金29aは両端部から長手方向中央部に向かって縮径する縮径形状に形成されており、ローラゴム層29bは両端部から長手方向中央部に向かってローラ芯金29aの縮径形状とは逆方向に拡径する拡径形状に形成されている。
【0103】
図11において、2次転写ローラ29と2次転写対向ローラ30のニップ位置とローラ芯金29aの間の距離を、記録紙Pの幅方向端部ではLa0、記録紙の中央ではLb0とすると、図10で示した2次転写ローラ29の場合は2次転写ローラ29のローラ芯金29aが同一寸法径のためニップ位置とローラ芯金29a間距離は、2次転写ローラ29の長さ方向に一様でL0となるが、本実施の形態の場合はローラ芯金29aの径が長手方向の各位置において違うためにLa0またはLb0となる。
【0104】
このとき、記録紙Pの幅方向端部の圧縮変形比率Saは、
Sa=ΔLa/La......(3)で表される。
また、記録紙Pの中央の圧縮変形比率Sbは、
Sb=ΔLb/Lb......(4)で表すことができる。
【0105】
図8で示すように加圧力Fを同じにするためには、fa=fb、すなわち、Sa=Sbであれば良く、上式(3)、(4)から、
Sa=Sb=ΔLa/La=ΔLb/Lb......(5)となる。
【0106】
したがって、(5)式からローラゴム層29bの元の厚さLと加圧されて変形された量ΔLとの比率が同じになるようにローラゴム層29bの寸法を決定すれば良いことが解り、(5)式を満足させるためには、ローラ芯金29aとローラゴム層29bの縮径および拡径方向を略逆形状にすることにより成立させることができることが解る。
【0107】
本実施の形態では、図11に示すように、ローラ芯金29aの形状の中央径を端面の径より小さくするようにしている。このように2次転写ローラ29および2次転写体ローラ30のニップ幅を2次転写ローラ29の長手方向の任意の場所で径を変えることにより、記録紙Pが2次転写ローラ29および2次転写体ローラ30のニップ部に突入するときの急激な負荷を緩和することができるとともに、転写時に記録紙Pに対する加圧力を均一にすることができる。
【0108】
以下、具体的に記録紙Pの搬送方法を説明する。
【0109】
図1において、記録紙Pは図1中、右方向から搬送される。この記録紙Pが記録紙挿入検出センサ32によって検出されると、停止している可動レジストローラ31aおよび下側の固定レジストローラ31bによって記録紙Pの先端が揃えられた後、可動レジストローラ31aを回転させることにより、記録紙Pが左方向に搬送される。
【0110】
次いで、この記録紙Pは2次転写ローラ29および2次転写体ローラ30に搬送される。この記録紙Pは2次転写ローラ29および2次転写体ローラ30のニップ幅41において、図5に示すように最初にニップ幅の大きなA点に接触して加圧搬送される。
【0111】
次いで、記録紙Pは徐々に左方向に搬送され、記録紙Pと2次転写ローラ29および2次転写体ローラ30との圧接範囲はA点から上方のB点に向かって徐々に幅広く圧接搬送され、最終的に記録紙Pの幅最大端のBC間まで加圧されながら左方向に搬送される。
【0112】
このように2次転写ローラ29および2次転写体ローラ30のニップ幅が中央と端面では異なるために、相対的に図6で示すような傾斜角θを持つものと同じ機能を持たせることができる。
なお、図6で示す傾斜角θとは図5において、記録紙Pの端面と平行な線分BCとニップ幅41の線分ABのなす角度である。このとき、この傾斜角θと同様の機能を発揮することができるため、記録紙Pの先端または後端のそれぞれが略同時に2次転写ローラ29および2次転写体ローラ30に圧接または離間することがないため、上述したように2次転写ローラ29および2次転写体ローラ30のニップ部に記録紙Pが挿入されたときに急激な負荷変動を緩和することができる。
【0113】
このように本実施の形態では、2次転写対向ローラ30を長手方向に沿って均一な同一寸法の円柱形状から形成するとともに、2次転写ローラ29を、央付部の寸法が端部の寸法よりも大きい太鼓形状に形成し、ローラ芯金29aを、その両端部から長手方向中央部に向かって縮径する縮径形状に形成し、ローラゴム層29bを、その両端部から長手方向中央部に向かってローラ芯金29aの縮径形状とは逆方向に拡径する拡径形状に形成したので、2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30のニップ幅を2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30の長手方向に沿って異ならせることができる。
【0114】
このため、記録紙Pの先端が中間転写ベルト24、2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30の間の転写位置に搬送される瞬間とこの転写位置から記録紙Pの後端が抜け出る瞬間に、記録紙Pの幅方向の負荷が2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30の間に一斉に加わることがなく、急激な負荷変動を軽減することができる。
【0115】
これに加えて、ローラ芯金29aの形状とローラゴム層29bの形状とを長手方向に沿って径の寸法が異なる逆形状にしたので、2次転写ローラ29と2次転写対向ローラ30のニップ位置において記録紙Pに均一な加圧力を与えることができ、画像の転写効率を均一化することができる。
【0116】
この結果、"色ずれ"または"位置ずれ"が発生するのを防止することができ、記録紙P上に画像を良好に転写して画像品質の劣化を発生するのを防止することができる。
【0117】
なお、本実施の形態では、2次転写ローラ29を長手方向に沿って同一径の円柱形状に形成し、2次転写対向ローラ30のローラ芯金30aを、その両端部から長手方向中央部に向かって縮径する縮径形状に形成し、ローラゴム層30bを、その両端部から長手方向中央部に向かってローラ芯金30aの縮径形状とは逆方向に拡径する拡径形状に形成しても良い。
【0118】
図12〜図14は本発明に係る画像形成装置の第2の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
本実施の形態では、図12、図13に示すように、2次転写ローラ51は、長手方向に沿って延在するローラ芯金51aと、このローラ芯金51a上に被覆されたゴムから構成されたローラゴム層51bとから構成されており、2次転写ローラ51の外形形状は央付部の寸法が端部の寸法よりも小さく形成された鼓形状に形成されている。
【0119】
また、ローラ芯金51aは両端部から長手方向中央部に向かって拡径する拡径形状に形成されており、ローラゴム層51bは両端部から長手方向中央部に向かってローラ芯金51aの拡径形状とは逆方向に縮径する縮径形状に形成されている。
【0120】
図14は図12の2次転写ローラ51を下方から見た平面図であり、2次転写ローラ51の端部から略中央までの半分を示すとともに、2次転写ローラ51のニップ幅52(クロスハッチングで示す)と最大ニップ幅52maxと最小ニップ幅52minおよび2次転写ローラ51のローラ芯金52a、ローラゴム層51bの外形の形状を示している。
【0121】
但し、図14では、説明上の都合上、2次転写ローラ51の中央の径を極端に大きくするとともに、2次転写ローラ51の端面の径も極端に小さく図示している。
【0122】
次に、記録紙Pの搬送方法を説明する。
図12において、記録紙Pは図12中、右方向から搬送される。この記録紙Pが記録紙挿入検出センサ32によって検出されると、停止している可動レジストローラ31aおよび下側の固定レジストローラ31bによって記録紙Pの先端が揃えられた後、可動レジストローラ31aを回転させることにより、記録紙Pが左方向に搬送される。
【0123】
次いで、この記録紙Pは2次転写ローラ29および2次転写体ローラ30に搬送される。この記録紙Pは2次転写ローラ29および2次転写体ローラ30のニップ幅52において、図14に示すように最初にニップ幅の大きなB点に接触して加圧搬送される。
【0124】
次いで、記録紙Pは徐々左方向に搬送され、記録紙Pと2次転写ローラ51および2次転写対向ローラ30との圧接範囲はB点から下方のA点に向かって徐々に幅広く圧接搬送され、最終的に記録紙Pの幅最大端のAC間まで加圧されながら左方向に搬送される。
本実施の形態にあっても、ニップ幅52が中央と端面では異なるために相対的に図6に示す傾斜角θを持つものと同じ機能を得ることができる。
【0125】
このように本実施の形態では、2次転写対向ローラ30を長手方向に沿って均一な同一寸法の円柱形状から形成するとともに、2次転写ローラ51を、央付部の寸法が端部の寸法よりも小さい鼓形状に形成し、ローラ芯金51aを、その両端部から長手方向中央部に向かって拡径する拡径形状に形成し、ローラゴム層51bを、その両端部から長手方向中央部に向かってローラ芯金51aの縮径形状とは逆方向に縮径する縮径形状に形成したので、2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30のニップ幅を2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ30の長手方向に沿って異ならせることができ、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0126】
図15は本発明に係る画像形成装置の第3の実施の形態を示す図であり、本実施の形態では2次転写ローラの形状が第1の実施の形態と異なる。図15において、2次転写ローラ61はローラ芯金62およびローラ芯金62に嵌合するローラゴム層63を備えており、ローラ芯金62は、央付部の寸法が端部の寸法よりも大きい2つの太鼓形状(以下、太鼓部64、65という)に形成されている。
【0127】
また、ローラ芯金62は長手方向一端部から中央部に向かって縮径形状および拡径形状を繰り返すように構成され、ローラゴム層63は長手方向一端部から中央部に向かってローラ芯金62の拡径形状および縮径形状とは逆方向に縮径形状および拡径形状を繰り返すように構成されている。
【0128】
このようにしても2次転写ローラ61および2次転写対向ローラ30のニップ幅を2次転写ローラ61および2次転写対向ローラ30の長手方向に沿って異ならせることができ、記録紙Pの先端が中間転写ベルト24、2次転写ローラ61および2次転写対向ローラ30の間の転写位置に搬送される瞬間とこの転写位置から記録紙Pの後端が抜け出る瞬間に、記録紙Pの幅方向の負荷が2次転写ローラ61および2次転写対向ローラ30の間に一斉に加わることがなく、急激な負荷変動を軽減することができ、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0129】
これに加えて、ローラ芯金62は、央付部の寸法が端部の寸法よりも大きい2つの太鼓部64、65を形成されるので、記録紙Pの幅方向に沿って受ける圧力を分散して、圧力を均一にすることができるため、記録紙Pの搬送性を向上させることができる。
【0130】
なお、本実施の形態では、2次転写ローラに2つの太鼓部64、65を形成しているが、2次転写対向ローラ30側に2つの太鼓部を形成しても良い。
【0131】
図16は本発明に係る画像形成装置の第4の実施の形態を示す図であり、本実施の形態では2次転写ローラの形状が第1の実施の形態と異なる。図16において、2次転写ローラ65はローラ芯金66およびローラ芯金66に嵌合するローラゴム層67を備えており、ローラ芯金66は央付部の寸法が端部の寸法よりも小さい2つの鼓形状(以下、鼓部68、69という)に形成されている。
【0132】
また、ローラ芯金66は長手方向一端部から中央部に向かって縮径形状および拡径形状を繰り返すように構成され、ローラゴム層63は長手方向一端部から中央部に向かってローラ芯金66の拡径形状および縮径形状とは逆方向に縮径形状および拡径形状を繰り返すように構成されている。
【0133】
このようにしても2次転写ローラ65および2次転写対向ローラ30のニップ幅を2次転写ローラ65および2次転写対向ローラ30の長手方向に沿って異ならせることができ、記録紙Pの先端が中間転写ベルト24、2次転写ローラ65および2次転写対向ローラ30の間の転写位置に搬送される瞬間とこの転写位置から記録紙Pの後端が抜け出る瞬間に、記録紙Pの幅方向の負荷が2次転写ローラ65および2次転写対向ローラ30の間に一斉に加わることがなく、急激な負荷変動を軽減することができ、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0134】
これに加えて、ローラ芯金66は長手方向中央付近の寸法が長手方向端面の寸法よりも小さい2つの鼓形状に形成したので、形記録紙Pの幅方向に沿って受ける圧力を分散して、圧力を均一にすることができるため、記録紙Pの搬送性を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、2次転写ローラに2つの鼓部68、69を形成しているが、2次転写対向ローラ30側に2つの鼓部を形成しても良い。
【0135】
図17は本発明に係る画像形成装置の第5の実施の形態を示す図であり、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
【0136】
図17において、2次転写対向ローラ71は、長手方向に沿って延在するローラ芯金71aと、このローラ芯金71a上に被覆されたゴムから構成されたローラゴム層71bとから構成されており、2次転写対向ローラ71の外形形状は中央部の径の寸法が両端部の径の寸法よりも大きく形成された太鼓形状に形成されている。
【0137】
また、ローラ芯金71aは両端部から長手方向中央部に向かって縮径する縮径形状に形成されており、ローラゴム層71bは両端部から長手方向中央部に向かってローラ芯金71aの縮径形状とは逆方向に拡径する拡径形状に形成されている。すなわち、本実施の形態の2次転写対向ローラ71は2次転写ローラ29と同一形状を有している。
【0138】
本実施の形態では、2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ71を太鼓状に形成したので、一方のローラ形状を太鼓形状に形成してローラの長手方向のニップ幅を変えるものに比べて、2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ71によって最大ニップ幅41maxと最小ニップ幅41minの差を効率良く大きくすることができる。
【0139】
図18は本発明に係る画像形成装置の第6の実施の形態を示す図であり、本実施の形態では、第2の実施の形態と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
【0140】
図18において、2次転写対向ローラ72は、長手方向に沿って延在するローラ芯金72aと、このローラ芯金72a上に被覆されたゴムから構成されたローラゴム層72bとから構成されており、2次転写対向ローラ72の外形形状は中央部の径の寸法が両端部の径の寸法よりも小さく形成された鼓形状に形成されている。
【0141】
また、ローラ芯金72aは両端部から長手方向中央部に向かって拡径する拡径形状に形成されており、ローラゴム層72bは両端部から長手方向中央部に向かってローラ芯金72aの縮径形状とは逆方向に縮径する縮径形状に形成されている。すなわち、本実施の形態の2次転写対向ローラ72は2次転写ローラ51と同一形状を有している。
【0142】
本実施の形態では、2次転写ローラ51および2次転写対向ローラ72を鼓状に形成したので、一方のローラ形状を太鼓形状に形成してローラの長手方向のニップ幅を変えるものに比べて、2次転写ローラ29および2次転写対向ローラ72によって最大ニップ幅52maxと最小ニップ幅52minの差を効率良く大きくすることができる。
【0143】
図19、図20は本発明に係る画像形成装置の第7の実施の形態を示す図であり、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
【0144】
図19において、2次転写ローラ73は、長手方向に沿って延在するローラ芯金73aと、このローラ芯金73a上に被覆されたゴムから構成されたローラゴム層73bとから構成されており、2次転写ローラ73は左端部から右端部に向かって縮径している。
【0145】
また、ローラ芯金73aは左端部から右端部に向かって拡径しており、ローラゴム層73bは左端部から右端部に向かってローラ芯金73aとは逆方向に縮径している。換言すれば、ローラ芯金73aは左端部から中央部に向かって拡径する拡径形状に形成されているとともに、右端部から中央部に向かって縮径する縮径形状に形成されている。また、ローラゴム層73bは左端部から中央部に向かって縮径する縮径形状に形成されているとともに、右端部から中央部に向かって拡径する拡径形状に形成されている。
【0146】
また、2次転写対向ローラ74は、長手方向に沿って延在するローラ芯金74aと、このローラ芯金74a上に被覆されたゴムから構成されたローラゴム層74bとから構成されており、2次転写ローラ74は左端部から右端部に向かって縮径している。
【0147】
また、ローラ芯金74aは左端部から右端部に向かって拡径しており、ローラゴム層74bは左端部から右端部に向かってローラ芯金74aとは逆方向に縮径している。なお、換言すれば、ローラ芯金74aは左端部から中央部に向かって拡径する拡径形状に形成され、右端部から中央部に向かって縮径する縮径形状に形成され、ローラゴム層74bは左端部から中央部に向かって縮径する縮径形状に形成され、右端部から中央部に向かって拡径する拡径形状に形成されている。
【0148】
すなわち、本実施の形態では、2次転写ローラ73および2次転写対向ローラ74は同一形状に形成されており、2次転写ローラ73および2次転写対向ローラ74は長手方向左側の径の寸法が大きく、長手方向右側の径の寸法が小さく形成されている。
【0149】
このようにすれば、図20に示すように、2次転写ローラ73および2次転写対向ローラ74の長手方向左側の最大ニップ領域75を2次転写ローラ73および2次転写対向ローラ74の長手方向右側の最小ニップ領域よりも大きくすることができ、記録紙Pの搬送路に対して傾斜角θを設けるものと同様の機能を発揮することができ、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、図20中、クロスハッチングで示す部分がニップ幅である。
【0150】
なお、本実施の形態では、図19、図20において、説明の都合上、2次転写ローラ73や2次転写対向ローラ74の径の太いところと細いところを直線で図示しているが曲線状に形成しても良い。
また、上記第1〜第6の実施の形態においても、2次転写ローラや2次転写対向ローラの径の太いところと細いところを直線で図示しているが曲線状に形成しても良い。
【0151】
図21〜図23は本発明に係る画像形成装置の第8の実施の形態を示す図である。
本実施の形態の画像形成手段は、中間転写ベルトを介さずに感光体ドラムから記録紙に直接カラー画像を転写するタンデム型の直接転写方式を示すものである。
【0152】
図21〜図23において、画像形成手段80は像担持体としての感光体ドラムY81、M81、C81、BK81と、感光体ドラムY81、M81、C81、BK81に画像を転写する現像ユニットY82、M82、C82、BK82と、感光体ドラムY81、M81、C81、BK81上に潜像画像が書き込む図示しない書き込みユニットとを備えている。
【0153】
また、感光体ドラムY81、M81、C81、BK81には所定方向に延在する転写ローラ83が摺接しており、この転写ローラ83と感光体ドラム感光体ドラムY81、M81、C81、BK81の間の転写位置にはレジストローラ対31(記録紙搬送手段)によって記録紙Pが搬送される。
【0154】
このとき、感光体ドラムY81、M81、C81、BK81上の各色のトナー画像が感光体ドラムY81、M81、C81、BK81上から記録紙P上に重ねられて転写される。なお、転写ローラ83に対して記録紙Pの搬送方向上流側の構成は第1の実施の形態と同様の構成であり、図示省略する。
【0155】
また、転写ローラ83は、図22に示すように、長手方向に沿って延在するローラ芯金83aと、このローラ芯金83a上に被覆されたゴムから構成されたローラゴム層83bとから構成されており、2次転写ローラ83の外形形状は中央部の径の寸法が両端部の径の寸法よりも大きく形成された太鼓形状に形成されている。
【0156】
また、ローラ芯金83aは両端部から長手方向中央部に向かって縮径する縮径形状に形成されており、ローラゴム層83bは両端部から長手方向中央部に向かってローラ芯金83aの縮径形状とは逆方向に拡径する拡径形状に形成されている。
【0157】
なお、ローラゴム層83bはプラスチック等の樹脂材料から構成しても良い。要は、ローラ芯金83aにはゴムまたはプラスチック等の弾性部材が被覆されていれば良い。
【0158】
このように構成を有する本実施の形態では、記録紙Pは図21中、右方向から搬送される。この記録紙Pが記録紙挿入検出センサ32によって検出されると、停止している可動レジストローラ31aおよび下側の固定レジストローラ31bによって記録紙Pの先端が揃えられた後、可動レジストローラ31aを回転させることにより、記録紙Pが左方向に搬送される。
【0159】
次いで、この記録紙Pは感光体ドラムY81と転写ローラ83のニップ部に搬送される。この記録紙Pは感光体ドラムY81と転写ローラ83のニップ領域84において、図23に示すように最初にニップ幅の大きなA点に接触して加圧搬送される。
【0160】
次いで、記録紙Pは徐々左方向に搬送され、記録紙Pと感光体ドラムY81と転写ローラ83との圧接範囲はA点から下方のB点に向かって徐々に幅広く圧接搬送され、最終的に記録紙Pの幅最大端のBC間まで加圧されながら左方向に搬送される。
【0161】
本実施の形態にあっても、ニップ幅84(クロスハッチングで示す)が中央と端面では異なるために相対的に図6に示す傾斜角θを持つものと同じ機能を得ることができる。以後、同様に記録紙Pは感光体ドラムC81、M81、Y81と転写ローラ83のニップ部に順次搬送されて画像が転写される。
【0162】
このように本実施の形態では、転写ローラ84を、央付部の寸法が端部の寸法よりも大きい太鼓形状に形成し、ローラ芯金83aを、その両端部から長手方向中央部に向かって縮径する縮径形状に形成し、ローラゴム層83bを、その両端部から長手方向中央部に向かってローラ芯金83aの縮径形状とは逆方向に拡径する拡径形状に形成したので、感光体ドラムY81、M81、C81、BK81と転写ローラ83のニップ幅を感光体ドラムC81、M81、Y81および転写ローラ83の長手方向に沿って異ならせることができ、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0163】
なお、本実施の形態では、太鼓形状の転写ローラ83を例に説明しているが、第2〜第4の実施の形態の2次転写ローラの形状を転写ローラ83に適用しても良く、このように構成しても第2〜第4の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態では、説明の都合上、転写ローラ83の径の太いところと細いところを直線で図示しているが曲線状に形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0164】
以上のように、本発明に係る画像形成装置は、記録紙の先端が転写位置に搬送される瞬間と記録紙の後端が転写位置から抜け出る瞬間の急激な負荷変動を軽減し、"色ずれ"または"位置ずれ"による画像品質の劣化を防止することができるという効果を有し、画像形成工程において画像の"色ずれ"または"位置ずれ"を調整する機能を備えた複写機、ファクシミリ装置、プリンタ装置、または複写機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能等の各種機能を有する複合機等の画像形成装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図
【図2】第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略斜視図
【図3】第1の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラ、2次転写対向ローラおよび中間転写ベルト付近の構成図
【図4】(a)は第1の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの側面断面図、(b)は2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの正面図
【図5】第1の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラを下方から見た断面図
【図6】第1の実施の形態に係る2次転写ローラと記録紙Pの傾斜角を示す図
【図7】第1の実施の形態に係る画像形成装置における薄紙の搬送時と厚紙の搬送時における2次転写ローラの傾斜角および中間転写ベルトの速度変動率の関係を示す図
【図8】第1の実施の形態に係る画像形成装置における被材料(2次転写ローラ)の反発力Fと圧縮変形比率Sの関係を示す図
【図9】第1の実施の形態に係る画像形成装置における被材料の圧縮前と圧縮後の変形状態を示す図
【図10】第1の実施の形態に係る画像形成装置の比較に用いた2次転写ローラを示し、同一外径寸法のローラ芯金と外径寸法の異なるローラゴム層を備えた2次転写ローラの変形量を示す図
【図11】第1の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラの変形量を示す図
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラ、2次転写対向ローラおよび中間転写ベルト付近の構成図
【図13】(a)は第2の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの側面断面図、(b)は2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの正面図
【図14】第2の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラを下方から見た断面図
【図15】本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの側面断面図
【図16】本発明の第4の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの側面断面図
【図17】(a)は本発明の第5の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの側面断面図、(b)は2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの正面図
【図18】(a)は本発明の第6の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの側面断面図、(b)は2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの正面図
【図19】本発明の第7の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの側面断面図
【図20】第7の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラの下方から見た断面図
【図21】本発明の第8の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図
【図22】第8の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラおよび2次転写対向ローラの側面断面図
【図23】第8の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラの下方から見た断面図
【図24】従来の画像形成装置の概略構成図
【図25】中間転写ベルトに記録紙の先端が衝突したときと後端が抜け出るときの中間転写ベルトの速度の変化を示す図
【図26】中間転写ベルトに記録紙の先端が挿入される状態を示す図
【図27】中間転写ベルトから記録紙の後端が抜け出る状態を示す図
【図28】中間転写ベルトに記録紙の先端が挿入されるときの記録紙の厚さと中間転写ベルトの速度変動率の関係を示す図
【図29】中間転写ベルトから記録紙の後端が抜け出るときの記録紙の厚さと中間転写ベルトの速度変動率の関係を示す図
【符号の説明】
【0166】
Y22、M22、C22、BK22 感光体ドラム(像担持体)
24 中間転写ベルト(中間転写体)
29、61、71、73 2次転写ローラ
29a、30a、72a、73a、74a ローラ芯金
29b、30b、72b、73b、74b ローラゴム層
30、72、74 2次転写対向ローラ
31 レジストローラ対(記録紙搬送手段)
Y81、M81、C81、BK81 感光体ドラム(像担持体)
83 転写ローラ
P 記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上から1次転写された画像を受ける中間転写体と、搬送される記録紙を前記中間転写体に圧接する2次転写ローラと、前記中間転写体を挟んで前記2次転写ローラに対向し、前記中間転写体を前記2次転写ローラに圧接する2次転写対向ローラと、前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラのニップ部に記録紙を搬送する記録紙搬送手段とを備えた画像形成装置において、
前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラは、それぞれ長手方向に沿って延在するローラ芯金および前記ローラ芯金上に被覆された弾性部材から構成され、
前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラの少なくとも一方は、その長手方向で径の寸法が異なる円柱形状に形成され、
前記ローラ芯金は、前記ローラ芯金の両端部から長手方向中央部に向かって縮径する縮径形状または拡径する拡径形状に形成され、前記弾性部材は、前記弾性部材の両端部から長手方向中央部に向かって前記ローラ芯金の縮径形状または拡径形状とは逆方向に拡径する拡径形状または縮径する縮径形状に形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラの少なくとも他方は、長手方向に沿って均一な同一寸法の円柱形状から形成され、
前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラの少なくとも一方は、中央部の寸法が端部の寸法よりも大きい太鼓形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラの少なくとも他方は、長手方向に沿って均一な同一寸法の円柱形状から形成され、
前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラの少なくとも一方は、中央部の寸法が端部の寸法よりも小さい鼓形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラの少なくとも一方は、前記ローラ芯金および前記弾性部材が長手方向一端部から中央部に向かって縮径形状および拡径形状を繰り返すように構成されることにより、長手方向に沿って前記太鼓形状が複数個形成されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラの少なくとも一方は、前記ローラ芯金および前記弾性部材が長手方向一端部から中央部に向かって縮径形状および拡径形状を繰り返すように構成されることにより、長手方向に沿って前記鼓形状が複数個形成されることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラは、中央部の寸法が端部の寸法よりも大きい太鼓形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラは、中央部の寸法が端部の寸法よりも小さい鼓形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラは、前記ローラ芯金および前記弾性部材が長手方向一端部から中央部に向かって縮径形状および拡径形状を繰り返すように構成されることにより、長手方向に沿って前記太鼓形状が複数個形成されることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記2次転写ローラおよび前記2次転写対向ローラは、前記ローラ芯金および前記弾性部材が長手方向一端部から中央部に向かって縮径形状および拡径形状を繰り返すように構成されることにより、長手方向に沿って前記鼓形状が複数個形成されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
トナー像を担持する少なくとも1つ以上の像担持体と、前記像担持体に摺接し、像担持体上の画像を記録紙に転写する転写ローラと、前記転写ローラに記録紙を搬送する記録紙搬送手段とを備えた画像形成装置において、
前記転写ローラは、長手方向に沿って延在するローラ芯金および前記ローラ芯金上に被覆された弾性部材から構成され、
前記ローラ芯金は、前記ローラ芯金の両端部から長手方向中央部に向かって縮径する縮径形状または拡径する拡径形状に形成され、前記弾性部材は、前記弾性部材の両端部から長手方向中央部に向かって前記ローラ芯金の縮径形状または拡径形状とは逆方向に拡径する拡径形状または縮径する縮径形状に形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記転写ローラは、央付部の寸法が端部の寸法よりも大きい太鼓形状に形成されることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記転写ローラは、央付部の寸法が端部の寸法よりも小さい鼓形状に形成されることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記転写ローラは、前記ローラ芯金および前記弾性部材が長手方向一端部から中央部に向かって縮径形状および拡径形状を繰り返すように構成されることにより、長手方向に沿って前記太鼓形状が複数個形成されることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記転写ローラは、前記ローラ芯金および前記弾性部材が長手方向一端部から中央部に向かって縮径形状および拡径形状を繰り返すように構成されることにより、長手方向に沿って前記鼓形状が複数個形成されることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2008−15028(P2008−15028A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183533(P2006−183533)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】