説明

画像形成装置

【課題】部品点数を増やすことなく効率的な清掃がなし得るコロナ放電器を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】コロナ放電器6を備えた画像形成装置Aであって、上記コロナ放電器6は、針電極63と、該針電極63を挟みその長手方向に沿って摺動可能とされた清掃部材24とを備え、上記清掃部材24は、上記コロナ放電器6のケース部64に針電極63の長手方向に沿って往復移動可能に取付けられた移動体25と、該移動体25に支持され針電極63を両側から挟む2つの摺接部材30,31と、一方の摺接部材30を他方の摺接部材31に対して弾力付勢するよう上記移動体25と当該摺接部材30との間に設けられた付勢手段32とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成プロセス部を備えた画像形成装置に関し、更に詳しくは画像形成プロセス部を構成するコロナ放電器における清掃部材の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成プロセス部を備えた画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ或いはこれらの機能を備えた所謂複合機等に多用されている。このような画像形成プロセス部の一構成部材として、コロナ放電器が組込まれる。コロナ放電器は、感光体ドラムの表面を一様に帯電する帯電器、感光体ドラム表面のトナー像を記録媒体(記録紙)に転写する為の転写器、更には感光体ドラム表面の除電を行う除電器等に用いられる。従来コロナ放電器の電極としては、ワイヤ電極が用いられていたが、オゾン発生の問題があり、最近ではオゾンの発生が少ない針電極が多く用いられるようになった。
【0003】
上記針電極を用いたコロナ放電器は、オゾンの発生が少ないので上記のような画像形成プロセス部を構成する帯電器等として好適であるが、経時的に針電極に異物(トナー、紙粉或いはシリコン等)が付着し易く、この付着物が増えると放電ムラが生じ、画像形成不良の原因となることがある。そこで、特許文献1に示すように、針電極の表面を適宜払拭清掃することができる清掃装置を備えたコロナ放電器が実用化されている。この特許文献1に開示されたコロナ放電器の清掃装置は、回転可能に支持された一対のローラで針電極を挟み込み、この挟み込んだ状態で一対のローラを針電極の長手方向に沿って摺動移動し得るよう構成されているものである。
【特許文献1】特許第3259515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示されたような清掃装置においては、一対のローラを支持する両軸部が互いに向き合う方向に付勢され、これにより両ローラが針電極の両面に付勢負荷がかかった状態で回転することになる。従って、この負荷は両ローラの回転を妨げるように作用し、その為上記摺動抵抗も大きくなる。このようなローラの回転を妨げる負荷を緩和する為には、ローラを軸受部材を介して支持軸に支持させ或いはローラと一体の回転軸を軸受部材で支持させ、これら軸受部材で上記負荷を受けるようにする必要があるが、両ローラにこのような軸受部材を設けることになる為、部品点数が増えることになる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、部品点数を増やすことなく効率的な清掃がなし得るコロナ放電器を備えた画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、コロナ放電器を備えた画像形成装置であって、上記コロナ放電器は、針電極と、該針電極を挟みその長手方向に沿って摺動可能とされた清掃部材とを備え、該清掃部材は、上記コロナ放電器のケース部に針電極の長手方向に沿って往復移動可能に取付けられた移動体と、該移動体に支持され針電極を両側から挟む2つの摺接部材と、一方の摺接部材を他方の摺接部材に対して弾力付勢するよう上記移動体と当該摺接部材との間に設けられた付勢手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記一方の摺接部材が前記移動体に前記他方の摺接部材側に移動可能且つ回転不能に支持された非回転部材からなり、他方の摺接部材が移動体の軸受部に軸回転可能に支持された軸回転部材からなるものとすることができる。また、前記コロナ放電器を画像形成プロセス部を構成する感光体ドラムの表面を帯電させる為の帯電器とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置においては、コロナ放電器が、針電極と、該針電極を挟みその長手方向に沿って摺動可能とされた清掃部材とを備えているから、清掃部材を針電極の長手方向に沿って摺動させることによって、針電極の清掃がなされる。この清掃部材は、コロナ放電器のケース部に針電極の長手方向に沿って往復移動可能に取付けられた移動体と、該移動体に支持され針電極を両側から挟む2つの摺接部材と、一方の摺接部材を他方の摺接部材に対して弾力付勢するよう上記移動体と当該摺接部材との間に設けられた付勢手段とを備えているから、針電極を両摺接部材で挟み移動体を往復移動させる際、付勢手段によって一方の摺接部材が他方の摺接部材に対して弾力付勢された状態で往復移動がなされ、これによって針電極の両面が弾性的に挟み込まれ、トナーやシリコン等の払拭清掃が効果的になされる。そして、両摺接部材の一方のみに対して付勢負荷がかかるようになされているから、摺動抵抗が大きくなることがなく、また、負荷を緩和する為に負荷を受けるようにした軸受部材を両摺接部材に設ける必要がなく、部品点数の増大を招くこともない。
【0009】
前記一方の摺接部材を前記移動体に前記他方の摺接部材側に移動可能且つ回転不能に支持された非回転部材からなるものとし、他方の摺接部材を移動体の軸受部に軸回転可能に支持された軸回転部材からなるものとした場合、非回転部材に負荷がかかり、軸回転部材には直接的な付勢負荷がかからないから、この軸回転部材を軸回転可能に支持する軸受部には、軸回転部材の回転の妨げにならないようにする為の別部材を設けることを要さず、部品点数の削減により有効である。
【0010】
また、前記コロナ放電器を、画像形成プロセス部を構成する感光体ドラムの表面を帯電させる為の帯電器とした場合、針電極にトナーや紙粉、更にはシリコン等が付着し易い帯電器の清掃装置としての適性がより増大する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態の画像形成装置を示す概略的縦断面図、図2は同画像形成装置におけるドラムユニットの縦断面図、図3は同画像形成装置に組み込まれる帯電器の斜視図、図4は図3における矢示X線方向より見た部分破断斜視図、図5は同帯電器に装着される清掃部材の分解斜視図、図6は図4におけるY−Y線矢視断面図、図7は図6におけるZ−Z線矢視断面図である。
【0012】
図1の画像形成装置Aは、電子写真方式の記録部を備えたプリンタを例に採って示しているが、これに限らず、画像読取装置を備えた複写機、ファクシミリ装置或いはこれらの機能を兼ね備えた所謂複合機等であっても良い。図において、画像形成装置Aの装置本体1は、記録紙(用紙)の給紙部2と、電子写真方式の画像記録部3と、印字後の記録紙の排出部4とが、この順序で高さ方向に層積されて構成されている。記録紙の給紙部2は、多数枚の記録紙を堆積収納し得る抜差し可能な給紙カセット2aと、該給紙カセット2aの給紙方向前端部に設置された分離給紙ローラ2bと、該分離給紙ローラ2bの周面に弾接する分離パッド2cとよりなる。
尚、給紙カセット2aの下に、更に同様のカセットを段積みして多段カセットとし、或いは、オプションカセット(不図示)を設置し得るよう構成することも可能である。また、上記分離パッド2cに代えリタードローラとすることも可能である。
【0013】
画像記録部3は、感光体ドラム5の周囲に、コロナ帯電方式の帯電器(コロナ放電器)6、LED等からなる露光器7、現像器8、転写ローラ(転写器)9及び転写残トナーのクリーニング装置10をこの順序で配したプロセス部と、その下流側の定着器11とより構成される。これらプロセス部は、露光器7及び転写ローラ9を除き、感光体ドラム5、帯電器6及びクリーニング装置10を一括したドラムユニット50と、現像器ハウジング81、攪拌搬送スクリュー82,83、供給パドル84及び現像ローラ85等を一括した現像器ユニット80とよりなるプロセスユニットとされる。
【0014】
図例の現像器ユニット80は、2成分現像剤を用いる方式の現像器であって、樹脂成型された現像剤容器を兼ねる現像器ハウジング81内にトナーとキャリアを収容し、2本の平行な攪拌・搬送スクリュー82、83で攪拌・搬送しながら、供給パドル84によりバイアス印加された現像ローラ85に現像剤を供給するよう構成されている。現像器ハウジング81の外面には磁気センサー86が付設され、現像器ハウジング81内のトナー濃度(トナーとキャリアの混合比)が検出される。この現像器ユニット80から離間した位置には、トナー収容部としてのトナータンク12及びトナーホッパー13が設置され、上記磁気センサー86により現像器ハウジング81内のトナー濃度が低下したことが検出されると、トナーホッパー13よりスクリューコンベア(パイプスクリュー)14を介してトナーが現像器ハウジング81内に補給される。トナータンク12内には、トナー攪拌用アジテータ15及びトナーホッパー13へのトナー搬送・排出用スクリュー16が配設され、このトナー攪拌用アジテータ15及びトナー搬送・排出用スクリュー16を備えたトナータンク12は、後記する廃トナータンク17と一体とされて、装置本体1に対して着脱可能に装着されるトナーカートリッジ18として構成されている。
【0015】
ドラムユニット50及び現像器ユニット80は、装置本体1に対してその前面側より、個々に或いは両者を何等かの結合手段で結合した状態で着脱可能に装着される。また、露光器7及び転写ローラ9を除く全てのプロセス部を一括してプロセスユニットとすることも可能である。更に、上記トナーカートリッジ18も装置本体1に対して、その前面側より着脱可能に装着される。これらプロセスユニット50,80及びトナーカートリッジ18は、消耗品として適宜新品に交換される。ここで、装置本体1の前面側とは、図1における紙面手前側を言い、給紙カセット2aも装置本体1に対して前面側より抜差し可能とされている。
【0016】
上記トナーカートリッジ18を構成する廃トナータンク17には、前記クリーニング装置10で除去回収された廃トナーを逐次搬送投入するためのスクリューコンベア19が接続されている。その廃トナー排出口から排出・投入された廃トナーは、廃トナータンク17内に配設された搬送スクリュー17aによって廃トナータンク17内に分散堆積される。
【0017】
定着器11の下流側には、切替ゲート4a、排出ローラ対4b及び排出トレイ4cが連設され、これらによって排出部4が構成される。上記プロセス部の上流側近傍には、レジストローラ対20が配設され、上記給紙カセット2aから、分離給紙ローラ2b及び分離パッド2cの作用により1枚ずつ分離繰出された記録紙(用紙)は、該レジストローラ対20によりレジストされて、前記感光体ドラム5と転写ローラ9との対合部に導入される。感光体ドラム5は図1の矢示方向に回転しながら、帯電器6によりその表面が一様にマイナス帯電され、画像情報に基づく光学画像が露光器7によって感光体ドラム5の表面に照射され、感光体ドラム5の表面には静電潜像が形成される。この静電潜像は、感光体ドラム5の表面の光導電体の特性により、光の照射部分の電位が変化し、その他の部位の電位が維持されて形成されるものである。
【0018】
そして、この静電潜像は、バイアス印加された現像器8で逐次現像されてトナー画像として感光体ドラム5と転写ローラ9との対合部に至る。この現像の際、光の照射により電位が変化した部位には、現像器8との電位差によりトナーが感光体ドラム5に吸引されて黒部分となり、その他の部分にはトナーは吸引されず白部分となって、全体として、画像情報に基づく白黒のトナー画像が形成される。上記レジストローラ対20は、感光体ドラム5の表面のトナー画像に同期して記録紙がこの対合部に導入されるようレジスト制御されて回転駆動される。
【0019】
転写ローラ9はバイアス印加されており、感光体ドラム5と対合され且つ矢示方向(感光体ドラム5とウイズ方向)に回転駆動されながら記録紙をニップ搬送し、この間感光体ドラム5の表面のトナー像が記録紙に転写される。感光体ドラム5の表面に残ったトナー等(紙粉を含むことがある)は、クリーニング装置10で除去・回収される。トナー像が転写された記録紙は、定着器11に導入され、永久画像として定着された後、切替ゲート4aを押し上げ、排出ローラ対4bを経て排出トレイ4c上に排出される。この一連の記録紙の給送は、給紙カセット2aからの繰出し直後に略垂直(鉛直)に立ち上がり、排出ローラ対4bでは給紙カセット2aからの繰出し方向とは略180度の方向にUターンするような主給送パスPに沿ってなされる。このようなレイアウト構成により、装置全体のコンパクト化が図られる。
【0020】
図例の画像形成装置Aは、両面記録機能を備えており、上記主給送パスPの切替ゲート4aの取付け位置から、前記レジストローラ対20の上流側で上記主給送パスPに循環合流する反転給送パスP1が形成されている。前記排出ローラ対4bは、正逆転可能とされ、また、反転給送パスP1には搬送ローラ対21、22が配設されており、両面記録する場合は、上記のように片面記録がされた記録紙が主給送パスPに沿って搬送され、記録紙の後端が排出ローラ対4bに至ると、該排出ローラ対4bは一旦停止して記録紙の後端をニップする。次いで、排出ローラ対4bが逆転し、記録紙はその後端より搬送ローラ対21、22によって反転給送パスP1を搬送され、主給送パスPに合流し、レジストローラ対20に至る。該レジストローラ対20によってレジストされて、再度感光体ドラム5と転写ローラ9との対合部に導入されてその裏面の記録がなされる。両面記録された記録紙は、その後、上記同様主給送パスPに沿って排出トレイ4c上に排出される。
【0021】
図例の画像形成装置Aは、記録紙の手差機能を更に備えており、装置本体1の側部には上下に開閉可能な3段スライド伸縮可能な手差給紙トレイ23が付設されている。該手差給紙トレイ23は、使用しない時は、図1の2点鎖線のように収縮された状態で閉止され、使用時には、把手23aをして開け、給紙の為に載置される記録紙のサイズに応じて適宜その伸張がなされる。該手差トレイ23の前端部には手差分離給紙ローラ23bと分離パッド23cとが弾接状態で配設され、その更に下流側には主給送パスPに合流する手差給送パスP2が連設されている。
【0022】
トナーホッパー13は、トナータンク12から供給されたトナーを一時的に貯留する為のものであり、現像器8の前記磁気センサー86がトナー無し信号を送出すると、トナーホッパー13に連結されたスクリューコンベア14が作動し、現像器ハウジング81内にトナーが供給される。トナーホッパー13内には常時所定量のトナーが貯留されるよう、該トナーホッパー13内に設置されるセンサー(不図示)の検出信号により、上記トナー搬送・排出用スクリュー16の動作制御がなされる。トナーホッパー13内に貯留される所定量のトナー量は、例えば、トナータンク12内のトナーがなくなり、新しいトナーカートリッジ18に交換するまでの間もプリント動作を継続し得るに十分な量に設定される。
【0023】
次に、帯電器6を一体に備える感光体ドラムユニット50について、図2を参照して詳細に説明する。感光体ドラム5は、アルミニウム等の導電性円筒体の表面に光導電体をコーティングしてなり、その両端開口部には絶縁性樹脂等からなるフランジ部材5a、5bが固着されている。感光体ドラム5は、この両端のフランジ部材5a、5bには1本のシャフト(ドラム軸)51cが同軸的に挿通され、軸受51a、51bを介し樹脂成型品からなるユニットフレーム51に軸回転可能に支持されている。フランジ部材5a、5bの周面には、同心的にギヤ5c、5dが形成されており、ギヤ5cは装置本体1内の不図示の駆動伝達系に噛合連結され、この駆動力を得て感光体ドラム5がドラム軸51cの回りに軸回転する。反対側のギヤ5dには、転写ローラ9等の機構部の被駆動伝達ギヤ(いずれも不図示)が噛合し、これら機構部への回転駆動伝達がなされる。
【0024】
帯電器6は、スコロトロン型コロナ放電器からなり、上記ユニットフレーム51の両端部に取付固定される一対の取付部材61、62と、該取付部材61、62間に張架される針電極63と、該取付部材61、62間に結合支持され該針電極63を覆う断面U型のシールドケース(ケース部)64と、該取付部材61、62間に張架されシールドケース64の感光体ドラム側開口部に配置されるグリッド65とがユニット化されて構成される。取付部材61、62は、夫々に形成されたビス孔61a、62aを介し、ビス61b、62bによりユニットフレーム51に締結固定される。
【0025】
針電極63は、コロナ放電用電極であって、図例のような多数の針状電極63a…を備えた細帯金属板状体からなる。この針電極63の一端63bは、一方の取付部材61内に掛止され、他端63cは引張スプリング63dを介して他方の取付部材62内に掛止されて、両取付部材61、62間にテンションが付与された状態で張架されている。また、グリッド65は、多数のスリットを形成した金属薄板からなり、その一端65aは一方の取付部材61に掛止され、他端65bは揺動部片65c及び引張スプリング65dを介して他方の取付部材62に掛止されている。
【0026】
上記揺動部片65cは、取付部材62に感光体ドラム5側からその反対側に貫くよう配設され且つ支点ピン65caを支点として揺動可能に支持されている。この揺動部片65cの感光体ドラム5側突出端にはグリッド65の他端65bが掛止され、反対側の突出端には引張スプリング65dが掛止されている。上記針電極63及びグリッド65は、本感光体ドラムユニット50が画像形成装置Aの所定位置に装着された時に、装置本体1内の電源電極(不図示)と接合し、夫々に所定の電圧が印加されるようになされている。また、両取付部材61、62とシールドケース64とは一体に結合されている。
【0027】
上記帯電器6は、針電極63を挟み、その長手方向に沿って摺動可能とされた清掃部材24を備えている。この清掃部材24は、図2乃至図7に示すように、上記シールドケース64に針電極63の長手方向に沿って往復移動可能に取付けられた移動体25と、該移動体25に支持され針電極63を両側から挟む2つの摺接部材30,31と、一方の摺接部材30を他方の摺接部材31に対して弾力付勢するよう上記移動体25と当該摺接部材30との間に設けられた付勢手段32とを備えている。移動体25は、2つの摺接部材30,31を保持するコの字形の移動体本体26と、この移動体本体26に支持された摺接部材30,31を脱離不能に押える押え部材27と、移動体本体26の背部にビス28aにて固着され操作ロッド29の先端に移動体25を取付ける為の取付部片28とよりなる。移動体本体26と取付部片28とのビス28aによる固着一体化は、U字形シールドケース64の背部にその長手方向に沿って開設された開口64aを貫通し、その幅方向に跨り開口周縁部を挟むようになされ、移動体本体26と取付部片28とが一体化された状態で、この開口64a内をシールドケース64(針電極63)の長手方向に沿って移動が可能とされる。
【0028】
移動体本体26の両脚部は弾性変形可能とされ、その先端には係止爪26a,26bが形成されている。この係止爪26a,26bは、上記押え部材27に形成された係止孔27a,27bを介して押え部材27に挿入係止され、これにより押え部材27は、移動体本体26に対し、後記するように所定位置に保持された2つの摺接部材30,31を離脱不能に保持すべく装着される。
【0029】
上記一方の摺接部材30は、移動体本体26に他方の摺接部材31側に移動可能且つ回転不能に支持された非回転部材からなる。より詳細には、この非回転の摺接部材30は、断面半円形の摺接部30aと、この摺接部30aの背面側に長手方向に沿って一体に形成された断面凹形状の基部30bと、長手方向両端に形成された係止ピン30c,30dとよりなる。該摺接部材30は、移動体25に装着保持された状態では、両端の係止ピン30c,30dが、移動体本体26及び押え部材27に形成された長孔26c,27cに挿通される。長孔26c,27cの長手方向は、2つの摺接部材30,31の対向方向に向き、これにより当該摺接部材30は上記装着保持状態でこの対向方向(図6の矢印a方向参照)に沿って移動可能とされる。
【0030】
また、基部30bは、その凹部内に係止爪27aの基部及び移動体本体26の一方の脚部側に片持状に形成された弾性部片26dを囲むように係合され、長円状の係止ピン30dと長孔26cとの係合関係と共に、当該摺接部材30は、上記装着保持状態で軸回転不能とされる。基部30bの凹部内面には突起30eが形成され、この突起30eは上記装着保持状態では、上記弾性部片26dに当接して弾性部片26dを図6及び図7の2点鎖線から実線位置のように弾性変形させる。弾性部片26dはその復元弾力により、摺接部材30を他方の摺接部材31側に弾力付勢するべく機能し、これにより前記付勢手段32が構成される。
【0031】
他方の摺接部材31は、断面円形のローラ部材31aと、その長手方向両端に同軸的に形成された回転支軸31b,31cとよりなる。移動体本体26及び押え部材27には、軸受部としての軸穴26e及び軸孔27dが形成され、摺接部材31は、移動体25に対する上記装着保持状態では、回転支軸31b,31cがこれら軸穴26e及び軸孔27dに軸支され、当該摺接部材31は、これら回転支軸31b,31cの軸心周りに回転可能な軸回転部材とされる。そして、2つの摺接部材30,31は、帯電器6の針電極63を両面側から挟み込むように移動体本体26及び押え部材27によって装着保持され、操作ロッド29の先端に連結された取付部片28を介してシールドケース64に取付けられ、これにより針電極63の長手方向に沿って摺動可能な清掃部材24が構成される。2つの摺接部材30,31及び移動体25の各構成部材は、樹脂の一体成型体により望ましく作成される。
【0032】
以上のように構成された清掃部材24を備える帯電器6における針電極63の清掃の要領について説明する。上記操作ロッド29の基部側(装置本体1に設けられる不図示のメンテナンス用開閉扉側)には、図2及び図3に示すように操作摘部29aが形成され、操作者は上記開閉扉を開け、操作摘部29aを把持して引き押し操作を繰り返す。この引き押し操作により、清掃部材24は、図6の矢印bのように針電極63の長手方向に沿って往復移動を繰り返す。この往復移動の間、針電極63は、2つの摺接部材30,31によって挟み込まれた状態とされるから、これら摺接部材30,31の摺接作用によって、付着するトナーや紙粉或いはシリコン等が払拭除去される。そして、前記付勢手段32の作用により、摺接部材30に矢印a方向の付勢力が負荷され、これにより2つの摺接部材30,31が針電極63を弾性的に挟み込むから、この払拭除去が効果的になされる。
【0033】
このように弾力付勢された状態で往復移動する際、軸回転部材からなる摺接部材31は、針電極63の相対移動に従動して図6の矢印cのように軸回転する。これにより清掃部材24の円滑な往復移動がなされる。この摺接部材31は、直接弾力付勢負荷を受けるものではないから、負荷によりその回転が妨げられることがない。非回転部材からなる摺接部材30は、常時摺接部材31側に弾力付勢された状態でその半円形の摺接部30aが針電極63に弾性摺動する。摺接部30aはその曲面部分が針電極63との摺接面とされるから、この弾性摺動も抵抗少なくなされる。このような清掃部材24の機能は、負荷を受ける為の軸受部材等を用いることなく達成されるものであり、部品点数の削減に有効である。
【0034】
尚、上記実施形態では、コロナ放電器が帯電器である例について述べたが、転写器や感光体ドラム周りに必要により配設される他のコロナ放電器にも適用することができる。また、付勢手段32としては、図例のような弾性部片26dと突起30eとによりなるものの他、板ばねその他の弾性付勢部材によるものも採用することができる。更に、プロセスユニット50,80及びトナーカートリッジ18を装置本体1の前面側から装着する例について述べたが、左右側面或いは背面側、更には上方から装着する場合にも本発明を適用することができる。更にまた、現像器8として、2成分現像剤を用いる方式を例示したが、これに限らず1成分現像方式の場合にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成装置を示す概略的縦断面図である。
【図2】同画像形成装置におけるドラムユニットの縦断面図である。
【図3】同画像形成装置に組み込まれる帯電器の斜視図である。
【図4】図3における矢示X線方向より見た部分破断斜視図である。
【図5】同帯電器に装着される清掃部材の分解斜視図である。
【図6】図4におけるY−Y線矢視断面図である。
【図7】図6におけるZ−Z線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 画像形成装置本体
6 帯電器(コロナ放電器)
63 針電極
64 シールドケース(ケース部)
24 清掃部材
25 移動体
26e 軸穴(軸受部)
27d 軸孔(軸受部)
30 摺接部材(非回転部材)
31 摺接部材(軸回転部材)
32 付勢手段
A 画像形成装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナ放電器を備えた画像形成装置であって、
上記コロナ放電器は、針電極と、該針電極を挟みその長手方向に沿って摺動可能とされた清掃部材とを備え、
上記清掃部材は、上記コロナ放電器のケース部に針電極の長手方向に沿って往復移動可能に取付けられた移動体と、該移動体に支持され針電極を両側から挟む2つの摺接部材と、一方の摺接部材を他方の摺接部材に対して弾力付勢するよう上記移動体と当該摺接部材との間に設けられた付勢手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記一方の摺接部材が前記移動体に前記他方の摺接部材側に移動可能且つ回転不能に支持された非回転部材からなり、他方の摺接部材が移動体の軸受部に軸回転可能に支持された軸回転部材からなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置において、
感光体ドラムをさらに備え、前記コロナ放電器が感光体ドラムの表面を帯電させる為の帯電器であることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−158070(P2008−158070A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344581(P2006−344581)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】