説明

画像形成装置

【課題】像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像を担持して回転する中間転写ベルト2と、中間転写ベルト2の表面に画像を形成する感光体ドラム1と、中間転写ベルト2に当接して回転するとともに中間転写ベルト2の表面に形成された画像を用紙8に転写する2次転写ローラ70と、中間転写ベルト2と2次転写ローラ70とが当接する位置に用紙8を搬送するレジストローラ23と、所定のタイミングで当接する位置における2次転写ローラ70の非作像領域に間隙形成部材154を挿入して間隙を形成する画像形成装置において、2次転写ローラ70の非作像領域の一部または全部の領域の表面硬度を、他の領域の表面硬度よりも高く設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単葉のシート状の記録媒体へ記録する電子写真方式、静電記録方式、イオノグラフィー方式、磁気記録方式等の画像形成方式を採用した複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、より詳しくは、像担持体や中間転写体の速度変動を抑制するようにした画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置としては、転写ローラと加圧ローラの何れかのローラの円周上に、衝撃緩衝材としての段差を設けて衝撃を緩和するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、像担持体あるいは転写部材に凹溝部を設け、記録媒体の厚さよりも間隔が狭い間隙を形成し、像担持体と転写部材との圧接部への記録媒体の突入時に発生する像担持体の速度変動を抑制するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
また、像担持体上に画像が形成されないときに、像担持体を回転駆動する駆動手段からの駆動力により、像担持体と圧力ロールの少なくとも一方を移動させて圧接部の離間を行い、像担持体と圧力ロールの圧接部間に記録媒体が進入するタイミングと同期させて、像担持体と圧力ロールとを圧接させる付勢手段の付勢力を利用して圧接部の離間を解除するようにしたものが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
また、記録媒体の厚さに応じた押し下げ量で転写部材を押し下げて、像担持体と転写部材間に間隙を持たせることによって、像担持体と転写部材との圧接部に記録媒体が突入する時に発生する像担持体の速度変動を抑制するようにしたものが知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0006】
また、従来の画像形成装置は、図16に示すように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色にそれぞれ対応する作像ユニットY、M、C、BKによりトナー像を作像して中間転写ベルト204へ1次転写し、この中間転写ベルト204は内接するベルト駆動ローラ207をベルト駆動モータ205とベルト駆動ギヤ206により駆動して搬送し、ベルト従動ローラ208、対向ローラ209、ベルト張架ローラ210などによって張架されている。具体的には、記録紙228は図示しない用紙分離機構や搬送手段により搬送されて、所望のタイミングでレジストローラ対212によりレジストされ、記録紙搬送路213をたどり、記録紙228の先端が用紙レジストセンサ221を通過し、対向ローラ209と転写ローラ215により中間転写ベルト204が挟持される部位である2次転写ニップ部へと搬送され、更に定着ローラ対214により加熱定着されて出力されるようになっている。
【特許文献1】特開昭61−90167号公報
【特許文献2】実公昭56−47639号公報
【特許文献3】特開平6−274051号公報
【特許文献4】特開平4−242276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、形成する間隙が一定のため、記録紙の厚みが薄い場合には搬送力が不足してしまい、所望のタイミングで記録紙を下流側へ到達させられないスリップ現象が生じたり、ローラの両端における摩擦力の不均衡によりスキュー現象(斜行)などの不具合が生じるという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載のものは、凹状の溝部を用いて間隙を形成しており、記録媒体の突入時における像担持体の回転負荷が抑制されることは期待できるが、凹状の溝部を設けた部分のみ像担持体または転写部材が接する状態になるため、その部分のみに局所的に応力集中が発生し、長期間使用の際には塑性変形が発生する恐れがあるという問題があった。すなわち、ローラ端部がローラに常時圧接する構成になっているため、局所的な応力集中が発生し、長期間使用する際にローラが変形する恐れがあった。
【0009】
また、特許文献3に記載のものは、記録媒体が突入するまでは圧接部を離間させているため、記録媒体の突入における像担持体の回転負荷が抑制されることは期待できるが、圧接部の離間を解除したときには、像担持体、記録媒体、転写ローラ間がある付勢力によって衝突するため、像担持体に回転負荷が生じ、画像劣化の原因となるという問題があった。すなわち、転写ローラと像担持体との間の間隙を解除する際に、アームに連結しているバネの付勢力によって転写ローラが像担持体に衝突して回転負荷が発生するという問題があった。
【0010】
また、特許文献4に記載のものは、記録媒体の厚さに応じた押し下げ量で転写部材を押し下げて、像担持体と転写部材間に間隙を持たせることによって、記録媒体の突入時の速度変動の低減効果は、記録媒体の厚さによらず得られると考えられるが、記録媒体の厚さを検知する装置を備えたり、記録媒体の厚さに応じて調整量を決定し駆動しなければならず、装置としては高コストで煩雑になるという問題があった。すなわち、間隙を形成するためのモータをローラの駆動とは別に設ける必要があるためコスト高になってしまうという問題があった。
【0011】
また、図16に示す従来の画像形成装置は、転写ローラ215の両端の転写ローラ軸215aは、軸受220で支持され、更にその外周をスライド軸受ホルダ219で支持されており、スライド軸受ホルダ219の外側は本体側板216に開口されたスライド穴部217を摺動し、転写ローラ215が対向ローラ209と接する法線方向に自由度を持たせ、スライド軸受ホルダ219と、バネ受部216aとの間に圧縮バネ218をセットしているため、記録紙228がこのニップ部に到達すると、その紙厚に応じて転写ローラ215は図の下方側へ摺動し、特には記録紙228の先端および後端が通過する際は急激に上下動してしまうという問題があった。
【0012】
また、一般に、電子写真方式を採用した従来の画像形成装置においては、転写ローラが記録紙を挟んだ状態で像担持体側へ押圧して転写を行う転写方式のニップ域において、記録紙先端が突入する際に像担持体の搬送速度が一時的に遅くなる現象が生じ、特に記録紙の厚さが厚いほどその現象は顕著になるという問題がある。特に、近年は、装置の小型化の要請から、レジストローラから転写ローラの圧接部までの距離が短くなっているため、像担持体の速度変動は従来以上に問題となっている。
【0013】
像担持体の搬送速度が一時的に遅くなるこの現象は、円柱状又は無限端ベルト状の感光体、或いは像担持体表面上のトナー画像を転写材へ転写する画像転写手段において、感光体が一体構造になっているために、転写プロセスだけでなく、クリーニング、露光、現像のプロセスも同一面上で行われ、転写ベルト方式の場合には一次転写も行われるため、それらのプロセス線速までもが変動し、主走査方向の筋や、副走査方向の帯状濃淡ムラ、画像ずれ等のバンディングと呼ばれる画像不良が生じるという問題がある。
【0014】
そこで、記録紙の厚みに応じて記録紙より薄い隙間を像担持体と転写ローラとの間に設けるために、特許文献1に記載のものは、像担持体または転写ローラの少なくとも一方の両端に回転中心と同心の凸面を設ける事により、間隙を形成する方式が取られているが、前述したように、形成する間隙よりも記録紙の厚みが薄い場合にはスリップ現象、スキュー現象などの不具合が生じるという問題がある。また、弾性リングが常時加圧されている場合には、クリープ現象により特定の部位が経時的に変形してしまい、薄紙が通過するときには回転中に接離してトルク変動が生じるという問題がある。また、弾性部材として温度、湿度の環境変化により膨張収縮が生じやすい材質を選択すると、間隙を様々な環境下で安定させるのは難しくなるという問題がある。また、弾性部材は、回転中は常時摩擦するため、摩耗劣化により経時的に間隙が少なくなるという問題がある。また、間隙は記録紙の厚さに対して高精度に設ける必要があるため硬質ゴム等の弾性リングの表面を研削しなければならず、製造コストが高くなるという問題がある。
【0015】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の画像形成装置は、画像を担持して回転する像担持体と、前記像担持体の表面に画像を形成する画像形成手段と、前記像担持体に当接して回転するとともに前記像担持体の表面に形成された画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記像担持体と前記転写部材とが当接する位置に記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段と、所定のタイミングで前記当接する位置における前記転写部材の非作像領域に間隙形成部材を挿入して間隙を形成する間隙形成手段とを備えた画像形成装置において、前記転写部材の非作像領域の一部または全部の領域の表面硬度を、他の領域の表面硬度よりも高く設定した事を特徴とする。
【0017】
この構成により、転写部と像担持体との間に十分な接触面積を生じさせるとともに、間隙形成部材の厚みに相当する間隙を精度良く形成することができるので、像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる。
【0018】
また、本発明の画像形成装置は、前記転写部材の非作像領域の一部または全部の領域の表面硬度が、前記転写部材の主走査方向に傾斜を有することを特徴とする。
【0019】
この構成により、間隙形成部材により緩やかに接触面積の増加および間隙の形成を行うことができる。
【0020】
また、本発明の画像形成装置は、前記転写部材の非作像領域の一部または全部の領域の芯金の径を、他の領域の芯金の径よりも太くしたことを特徴とする。
【0021】
この構成により、転写部と像担持体との間に十分な接触面積を生じさせるとともに、間隙形成部材の厚みに相当する間隙を精度良く形成することができるので、像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる。
【0022】
また、本発明の画像形成装置は、前記転写部材の非作像領域と作像領域とが、同一の材料により一体に構成されることを特徴とする。
【0023】
この構成により、転写部材を容易に低コストで製造することができる。
【0024】
また、本発明の画像形成装置は、前記転写部材の非作像領域の一部または全部の領域の材料硬度を、他の領域の材料高度よりも高く設定したことを特徴とする。
【0025】
この構成により、転写部材の表面に対して一度の行程で研削加工を施すことができるので、転写部材を容易に低コストで製造することができる。
【0026】
また、本発明の画像形成装置は、前記転写部材の非作像領域と作像領域とを、前記転写部材の中心軸の同軸上に配置するとともに、外圧の掛からない状態で同一の径に設定したことを特徴とする。
【0027】
この構成により、記録媒体に転写を行っていない状態においても像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる。
【0028】
また、本発明の画像形成装置は、前記転写部材の非作像領域と作像領域の表面に、一体的に研削加工を施したことを特徴とする。
【0029】
この構成により、硬度の異なる材料を非作像領域と作像領域に分布させて非作像部における硬度の分布をより適切に設定するとともに研削加工を施すことができるので、硬度の設定を精度良く行うことができるとともに、転写部材の寸法精度を向上させることができる。
【0030】
また、本発明の画像形成装置は、前記転写部材の作像領域の両端部に前記非作像領域を配置したことを特徴とする。
【0031】
この構成により、硬度の設定を精度良く行うことができるとともに転写部材の主走査方向の硬度および寸法精度を向上させることができるので、記録媒体の斜行を防止することができる。
【0032】
また、本発明の画像形成装置は、前記像担持体、前記転写部材、前記記録媒体搬送手段は、中間転写ベルト、前記記録媒体を挟持して搬送する転写ローラ、前記記録媒体を挟持して搬送するレジストローラからそれぞれ構成され、前記転写部材は、前記像担持体が担持する画像を前記記録媒体に2次転写することを特徴とする。
【0033】
この構成により、画像形成装置がいわゆる1次転写と2次転写とにより記録媒体に画像を記録する中間転写タンデム方式の構成であっても、像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0036】
(第1の実施の形態)
図1〜図7は、本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、本発明に係る画像形成装置を、カラーレーザ複写機に適用した一実施の形態を示している。
【0037】
図1は、画像形成装置50の概略構成図を示す。図1において、画像形成装置50は、プリンタ部100、給紙部200、プリンタ部100の上部に固定されたスキャナ部300、および原稿自動搬送部(以下、ADFという)400等とともに、複写機内の各装置の動作を制御する図示しない制御手段を備えている。
【0038】
スキャナ部300は、コンタクトガラス301上に載置された原稿の画像情報を読み取るものである。また、プリンタ部100は、中間転写部101および露光装置、画像形成部、定着ユニット、トナー供給装置等を備え、給紙部200は、複数の給紙カセット、紙搬送路等を備えている。
【0039】
図2(a)は中間転写部101の断面図を示す。図2(a)において、像担持体である中間転写ベルト2は、駆動ローラ3、従動ローラ4、テンションローラ5、対向ローラ6によって張架されており、駆動ローラ3によって図の時計回りに駆動されるようになっている。給紙部200とレジストローラ23、レジスト加圧ローラ24との間の経路には、用紙厚さ検知センサ20とレジスト部用紙通過検知センサ25が設けられており、転写動作時は、給紙部200から用紙8が給紙され、レジストローラ23、レジスト加圧ローラ24で一旦待機する。感光体ドラム1上に形成されたトナー像が中間転写ベルト2に1次転写されると、レジストローラ23が図示しない駆動モータによって駆動され、中間転写ベルト2上のトナー像の先端と同期をとって用紙8が対向ローラ6と2次転写ローラ70の圧接部に搬送される。そして、中間転写ベルト2で担持されているトナー像は、圧縮バネ9による加圧力と図示しない転写バイアスによって、用紙8に2次転写される。なお、対向ローラ6と2次転写ローラ70は転写部102を構成するとともに、レジストローラ23、レジスト加圧ローラ24はレジスト部103を構成している。また、転写部102およびレジスト部103の各ローラの軸線方向、すなわち各ローラの幅方向が、スキャナ部300が原稿の読み取りをする際の主走査方向となっている。
【0040】
図2(b)は、転写部102およびレジスト部103を制御する制御部124を示すものである。制御部124は、転写部用紙通過検知センサ19と、レジスト部用紙通過検知センサ25と、用紙厚さ検知センサ20と、マイクロプロセッサ21と、間隙形成部材駆動回路22とを備えている。このように構成された制御部124においては、マイクロプロセッサ21は、転写部用紙通過検知センサ19によって転写部102への用紙8の突入が検知されたとき、および転写部102から用紙8の後端が抜けたことを検知したときに、間隙形成部材駆動回路22によりソレノイド160を駆動する。また、マイクロプロセッサ21は、レジスト部用紙通過検知センサ25によってレジスト部103からの用紙8の後端の抜けが検知されたときに、間隙形成部材駆動回路22によりソレノイド160を駆動する。すなわち、転写部102に用紙8の先端が突入するとき、転写部102から用紙8の後端が抜けるとき、およびレジスト部103から用紙8の後端が抜けるときの3つの場合に、転写部102またはレジスト部103に間隙を形成して中間転写ベルト2の速度変動を抑制している。
【0041】
図3〜図5は、転写部102の斜視図を示すものである。なお、図4は、対向ローラ6と2次転写ローラ70との間に間隙が形成される前後の待機状態を示し、図5は、対向ローラ6と2次転写ローラ70との間に間隙が形成されている状態を示す。また、以下の説明は、転写部102に関するものであるが、レジスト部103も同様に構成されていても構わない。
【0042】
図3に示すように、転写部102は、主走査方向にベルト幅Wbの幅を有する中間転写ベルト2を張架して連れまわり、主走査方向に対向ローラ幅Wrの幅を有する対向ローラ6を備えている。対向ローラ6の両端に設けられた対向ローラ軸6aは、図示しないベルトユニットフレームに設けられた軸受111により軸支されている。対向ローラ6は、ASKER−C70°〜85°の表面硬度を有するEPゴム等から構成されている。
【0043】
また、中間転写ベルト2は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色にそれぞれ対応する感光体ドラム1により作像されたトナー像を1次転写の工程を経て担持する。
【0044】
また、対向ローラ6の下側には、主走査幅に2次転写幅Wtの幅を有する2次転写ローラ70が設けられている。2次転写ローラ70の両端には、本体側板116に開口した角穴状のスライド穴部117と、スライド穴部117の淵を摺動するスライド軸受ホルダ119が配置されている。スライド軸受ホルダ119には、2次転写ローラ70の両端の2次転写ローラ軸70aを軸支する軸受120が取り付けられている。なお、2次転写ローラ軸70aは、2次転写ローラ70の芯金を形成している。すなわち、2次転写ローラ70は、芯金である2次転写ローラ軸70aの周りに、転写性、圧力付与および用紙搬送力付与に必要な機能を備えた機能材(以下、単に機能材という)を形成したものから構成されている。また、2次転写ローラ軸70aの周りの機能材は、同一の材料によって一体に形成されている。
【0045】
スライド軸受ホルダ119の底面とバネ受部116aとの間には圧縮バネ9が設けられており、圧縮バネ9により2次転写ローラ70が対向ローラ6に圧接されるようになっている。2次転写ローラ70の中央部のトナー像が接触する領域は、対向ローラ6に圧接された際に弾性変形して一定の接触面積が生じるように、表面硬度がASKER−C20°〜70°の発泡ゴム等から構成されている。
【0046】
また、図4に示すように、2次転写ローラ軸70aの両端部には、トルクリミッタ150が2次転写ローラ軸70aと摺動するように配置されており、更に、トルクリミッタ150の外周にはトルクリミッタホルダ151が圧入されている。トルクリミッタホルダ151には間隙形成保持環153が一体に設けられ、間隙形成保持環153の外周にはシート状の間隙形成部材154を接合するための糊代である間隙形成部材取付部155が設けられている。間隙形成部材154は、例えば、接着、溶着または融着等の方法によって間隙形成部材取付部155に接合されている。間隙形成部材154は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(ナイロン)、ポリイミド(PI)等の樹脂、またはステンレス等の金属を板状に成形したものから構成されており、2次転写ローラ70よりも遥かに大きな硬度を有している。間隙形成部材154は、間隙形成部材取付部155との接合領域においては、内接する間隙形成部材取付部155の外周に倣った円弧状になっているが、接合領域よりも上流側においては外力を受けないため間隙形成部材154の復元力により平面状になっている。
【0047】
トルクリミッタ150と、トルクリミッタ150を保持するトルクリミッタホルダ151は、主走査方向の移動はしないようになっている。トルクリミッタホルダ151は、2次転写ローラ軸70aの回転によりトルクリミッタ150の外径に加わる負荷トルクが設定トルク以下であれば回転することができるようになっている。また、トルクリミッタホルダ151の外周には、突起状の回転止爪部152が設けられている。また、掛止板156は、その幅方向に2つの長穴部158を有しており、本体に固定されているピン159の規制により幅方向に所定のストロークで移動可能となっている。掛止板156の移動はソレノイド160を動力としている。ソレノイド160を動力として用いることは、転写部用紙通過検知センサ19などの電気信号により瞬時に動作させるためには都合が良く、一瞬(数十ミリ秒〜数百ミリ秒程度)通電させるだけで、動作させることができるため、高精度に用紙8の先端が到達したタイミングに同期させる事ができる。図4に示す様態では、掛止板156は、図の右側に寄っている。また、図4に示す状態においては、掛止板156の両端に突き出た掛止爪部157が回転止爪部152に当接しているため、トルクリミッタホルダ151の回転は止められている。
【0048】
図5に示す状態においては、ソレノイド160がオンになり、掛止板156は図の左方向に移動するため、掛止爪部157は回転止爪部152を開放し、トルクリミッタ150の外径に加わる負荷トルクが設定トルク以下であればトルクリミッタ150の内径を伝わって2次転写ローラ軸7aのトルクにより、トルクリミッタホルダ151と間隙形成部材154が回転する。なお、本実施の形態においては、掛止爪部157が2次転写ローラ70の幅方向に移動するため、回転止爪部152と掛止爪部157との当接を左右同時に開放することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、前述の用紙厚さ検知センサ20で検知した用紙8の厚み情報または、利用者が手動で入力設定した用紙8の厚み情報に基づいて、用紙8の厚さが所定の閾値を越えた場合のみ、対向ローラ6と2次転写ローラ70との間に間隙を形成するようになっている。
【0050】
図6は、転写部102の圧接部を用紙8の搬送方向上流側から見た正面図である。なお、図6は、転写部102の圧接部に主走査方向に最大記録紙幅Wpmax.を有する用紙8が通過している状態を示す。転写部102におけるトナー像が通過する作像領域102iの幅を作像領域幅Wiとし、作像領域102iの外側の両端部におけるトナー像が通過しない非作像領域102nの幅を非作像領域幅Wnとしたとき、対向ローラ幅Wrは、以下の関係式で表される。
【0051】
Wr(対向ローラ幅)=2×Wn(非作像領域幅)+Wi(作像領域幅)
また、図6に示すように、転写部102の作像領域幅Wiは用紙8の最大記録紙幅Wpmaxよりも僅かに小さくなっており、用紙8の左右両端部はトナー像が転写されない記録余白部となる。なお、本実施の形態では、Wr、Wt、Wbの相互の関係は、Wr=Wt>Wbとなっているが、Wr>WbおよびWt>Wbを満たしていればよく、WrとWtを等しくする必要はない。
【0052】
また、対向ローラ6は、作像領域102iに対応しトナー像が接触する領域である対向ローラ作像領域6iと、対向ローラ作像領域6iの外側の両端部に配置されるとともに非作像領域102nに対応しトナー像が接触しない領域である対向ローラ非作像領域6nを有している。同様に、2次転写ローラ70は、作像領域102iに対応しトナー像が接触する領域である2次転写ローラ作像領域70iと、2次転写ローラ作像領域70iの外側の両端部に配置されるとともに非作像領域102nに対応しトナー像が接触しない領域である2次転写ローラ非作像領域70nを有している。前述の間隙形成部材154は、中間転写ベルト2よりも外側の領域における対向ローラ非作像領域6nと2次転写ローラ非作像領域70nとの圧接部で挟持される。
【0053】
また、間隙形成部材154の厚さは、用紙8の厚さに中間転写ベルト2の厚さを加えた合計より薄く設定されている。これは、間隙形成部材154の厚さが用紙8と中間転写ベルト2の厚さの和よりも厚くした場合に、対向ローラ6と2次転写ローラ70との圧接部において用紙8にトナー像を転写する圧力が小さくなり、いわゆる転写不良が生じてしまうことを防ぐためである。例えば、用紙8として135kg紙を用いると、用紙8の厚さは約180μmであり、中間転写ベルト2として80μmの厚さの材料を使用した場合の用紙8と中間転写ベルト8の厚さの和は260μmとなるので、間隙形成部材154の適切な厚さは260μm以下となる。
【0054】
ここで、2次転写ローラ70の主走査方向における端部の位置をそれぞれPa、Pdとし、2次転写ローラ作像領域70iと2次転写ローラ非作像領域70nとの境界の位置をそれぞれPb、Pcとしたとき、主走査方向の位置がPb−Pcの2次転写ローラ作像領域70iの表面硬度H0は、対向ローラ6との圧接部において2次転写ローラ作像領域70iが弾性変形して十分な接触面積を生じる必要があるためASKER−C20°〜70°に設定されているが、主走査方向の位置がPa−PbとPc−Pdの2次転写ローラ非作像領域70nの表面硬度H1もASKER−C20°〜70°に設定した場合は、対向ローラ非作像領域6nと2次転写ローラ非作像領域70nとの間で間隙形成部材154を挟持した場合に、間隙形成部材154に当接する個所の2次転写ローラ非作像領域70nが弾性変形し、間隙形成部材154が2次転写ローラ非作像領域70nに埋没してしまうので、間隙形成部材154の厚みに相当するだけの間隙を対向ローラ6と2次転写ローラ70との間に形成することができない恐れがある。
【0055】
そこで、本実施の形態では、2次転写ローラ作像領域70iの表面硬度H0よりも、2次転写ローラ非作像領域70nの表面硬度H1が大きくなるように2次転写ローラ70の主走査方向の表面硬度を設定している。具体的には、2次転写ローラ作像領域70iの表面硬度H0をASKER−C20°〜70°に設定するとともに、2次転写ローラ非作像領域70nの表面硬度H1を2次転写ローラ作像領域70iの表面硬度H0よりも数十%〜数百%高い値、例えばASKER−C100°〜1000°等の値に設定している。なお、2次転写ローラ非作像領域70nの全領域の表面硬度を、2次転写ローラ作像領域70iの表面硬度H0よりも大きくする必要はなく、間隙形成部材154と当接する一部の領域の表面硬度を、ASKER−C20°〜70°よりも大きな値に設定すれば同様の効果を奏することができる。なお、2次転写ローラ作像領域70iと2次転写ローラ非作像領域70nとでは表面硬度が異なっているが、2次転写ローラ70の径は、外圧の掛かっていない状態では何れの領域も同一となっている。また、2次転写ローラ70は、2次転写ローラ作像領域70iと2次転写ローラ非作像領域70nの表面に研削加工を施すことによって、その径が何れの領域においても同一となるように形成されている。また、2次転写ローラ70の2次転写ローラ非作像領域70nおよび2次転写ローラ作像領域70iは、2次転写ローラ70の中心軸の同軸上に配置される。2次転写ローラ非作像領域70nは、2次転写ローラ作像領域70iの両端部に配置される。
【0056】
次に、このように構成された画像形成装置50の動作を説明する。図7は、転写部102における間隙形成部材154の動作を時系列に示す断面図である。
【0057】
まず、図7(a)の状態では、転写部102を構成する対向ローラ6および2次転写ローラ70が回転を始める。このとき、中間転写ベルト2の搬送に伴って対向ローラ6が回転し、更に2次転写ローラ70も連れ回っているが、まだ掛止爪部157が回転止爪部152を掛止しているため、トルクリミッタ150の外径には設定トルクより大きな負荷トルクが掛かるためトルクリミッタ150の内径と2次転写ローラ軸70aとがスリップし、トルクリミッタホルダ151、間隙形成部材154は圧接部の手前で止まったまま待機する。また、用紙8は、レジストローラ23とレジスト加圧ローラ24から構成されるレジスト部133の圧接部に位置している。
【0058】
図7(b)の状態では、転写部用紙通過検知センサ19により、用紙8の先端が到達した事を検知される。また、ソレノイド160の動作に伴って掛止爪部157が回転止爪部152を開放し、トルクリミッタ150の伝達トルクでトルクリミッタホルダ151、間隙形成部材154が反時計方向に回転し始める。
【0059】
図7(c)の状態では、間隙形成部材154の先端が対向ローラ6の対向ローラ非作像領域6nと2次転写ローラ70の2次転写ローラ非作像領域70nの圧接部に到達する。また、図6(d)の状態では、間隙形成部材154が更に反時計方向に回転しつつも圧接部の領域にありながら、用紙8の先端も中間転写ベルト2を挟んで対向ローラ6と2次転写ローラ70の圧接部の領域に到達する。
【0060】
図7(e)は、間隙形成部材154が圧接部の領域を抜けた状態となっている。また、図6(f)の状態では、間隙形成部材154が更に反時計方向に回転し、掛止爪部157が掛止状態で待ち構えている方へ回転止爪部152が接近する。そして、図6(g)の状態では、掛止爪部157が回転止爪部152に接して掛止して元の位置に戻る。
【0061】
このように、本実施の形態では、2次転写ローラ非作像領域70nの表面硬度H1を、2次転写ローラ作像領域70iの表面硬度H0よりも大きな値に設定しているので、対向ローラ作像領域6iと2次転写ローラ作像領域70iとの圧接部に十分な接触面積を生じさせるとともに2次転写ローラ作像領域70iと中間転写ベルト2との間に十分な接触面積を生じさせ、間隙形成部材154の厚みに相当する間隙を精度良く形成することができるので、像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる。
【0062】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の画像形成装置50について説明する。第2の実施の形態の画像形成装置50は、2次転写ローラ70の表面硬度が主走査方向に傾斜を有する点で前述の実施の形態と異なっている。なお、前述の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
図8は、転写部102の圧接部を用紙8の搬送方向上流側から見た正面図である。ここで、2次転写ローラ70の表面硬度H0、H1の値は、前述の実施の形態と同様に、表面硬度H0がASKER−C20°〜70°であり、表面硬度H1は、表面硬度H0よりも数十%〜数百%高い値であるASKER−C100°〜1000°等となっている。
【0064】
図8に示すように、2次転写ローラ70の主走査方向における端部の位置をそれぞれPa、Pdとし、2次転写ローラ作像領域70iと2次転写ローラ非作像領域70nとの境界の位置をそれぞれPb2、Pc2とし、2次転写ローラ70の主走査方向における中間転写ベルト2の端部の位置をPb1、Pc1としたとき、2次転写ローラ70の主走査方向の表面硬度は、主走査方向の位置がPb2−Pc2の2次転写ローラ作像領域70iにおいて表面硬度H0で一定であり、主走査方向の位置がPa−Pb1およびPc1−Pdの2次転写ローラ非作像領域70nにおいて表面硬度H1で一定となっている。また、2次転写ローラ70の主走査方向の表面硬度は、主走査方向の位置がPb1−Pb2の2次転写ローラ非作像領域70nにおいては、Pb1からPb2に渡ってH1からH0に傾斜した硬度分布で変化し、主走査方向の位置がPc2−Pc1の2次転写ローラ非作像領域70nにおいては、Pc1からPc2に渡ってH0からH1に傾斜した硬度分布で変化している。
【0065】
また、図9は、2次転写ローラ70の表面硬度の他の例を示すものであり、転写部102の圧接部を用紙8の搬送方向上流側から見た正面図である。図9に示すように、2次転写ローラ70の主走査方向における端部の位置をそれぞれPa、Pdとし、2次転写ローラ作像領域70iと2次転写ローラ非作像領域70nとの境界の位置をそれぞれPb2、Pc2とし、2次転写ローラ70の主走査方向における中間転写ベルト2の端部の位置をPb1、Pc1としたとき、2次転写ローラ70の主走査方向の表面硬度は、主走査方向の位置がPb2−Pc2の2次転写ローラ作像領域70iにおいて表面硬度H0で一定であり、主走査方向の位置がPaおよびPdの2次転写ローラ非作像領域70nにおいて表面硬度H1となっている。また、2次転写ローラ70の主走査方向の表面硬度は、主走査方向の位置がPa−Pb2の2次転写ローラ非作像領域70nにおいては、PaからPb2に渡ってH1からH0に傾斜した硬度分布で変化し、主走査方向の位置がPc2−Pdの2次転写ローラ非作像領域70nにおいては、Pc2からPdに渡ってH0からH1に傾斜した硬度分布で変化している。
【0066】
図10は、2次転写ローラ70の表面硬度の他の例を示すものであり、転写部102の圧接部を用紙8の搬送方向上流側から見た正面図である。図10に示すように、2次転写ローラ70の主走査方向における端部の位置をそれぞれPa、Pdとし、2次転写ローラ作像領域70iと2次転写ローラ非作像領域70nとの境界の位置をそれぞれPb2、Pc2とし、2次転写ローラ70の主走査方向における中間転写ベルト2の端部の位置をPb1、Pc1としたとき、2次転写ローラ70の主走査方向の表面硬度は、主走査方向の位置がPb1−Pc1の2次転写ローラ作像領域70iおよび2次転写ローラ非作像領域70nにおいて表面硬度H0で一定である。また、2次転写ローラ70の主走査方向の表面硬度は、主走査方向の位置がPa−Pb1の2次転写ローラ非作像領域70nにおいては、PaからPb1に渡ってH1からH0に傾斜した硬度分布で変化し、主走査方向の位置がPc1−Pdの2次転写ローラ非作像領域70nにおいては、Pc1からPdに渡ってH0からH1に傾斜した硬度分布で変化している。
【0067】
このように、本実施の形態では、2次転写ローラ非作像領域70nの表面硬度を、2次転写ローラ作像領域70iの表面硬度のH0よりも大きな値であるH1に設定するとともに、2次転写ローラ非作像領域70nの表面硬度に主走査方向の傾斜を持たせているので、間隙形成部材154が対向ローラ非作像領域6nと2次転写ローラ非作像領域70nとの間に狭持される際に緩やかに接触面積の増加および間隙の形成を行うことができる。
【0068】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態の画像形成装置50について説明する。第3の実施の形態の画像形成装置50は、2次転写ローラ70の芯金である2次転写ローラ軸70aの径を主走査方向に変化させることにより表面硬度を変化させるようにした点で前述の実施の形態と異なっている。なお、前述の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
図11は、2次転写ローラ70を中心軸において軸心方向に切断した断面図である。ここで、2次転写ローラ70の表面硬度H0、H1の値は、前述の実施の形態と同様に、表面硬度H0がASKER−C20°〜70°であり、表面硬度H1は、表面硬度H0よりも数十%〜数百%高い値であるASKER−C100°〜1000°等となっている。
【0070】
図11に示すように、2次転写ローラ70の主走査方向における端部の位置をそれぞれPa、Pdとし、2次転写ローラ作像領域70iと2次転写ローラ非作像領域70nとの境界の位置をそれぞれPb、Pcとしたとき、2次転写ローラ70の主走査方向の表面硬度は、主走査方向の位置がPb−Pcの2次転写ローラ作像領域70iにおいて表面硬度H0で一定である。また、2次転写ローラ70の主走査方向の表面硬度は、主走査方向の位置がPa−Pb、Pc−Pdの2次転写ローラ非作像領域70nにおいて表面硬度H1で一定である。
【0071】
本実施の形態では、上記のような表面硬度を得るために、2次転写ローラ軸70aの非作像領域70anの直径D2を、2次転写ローラ軸70aの作像領域70aiの直径D1よりも大きい値に設定している。
【0072】
図12は、2次転写ローラ70の2次転写ローラ軸70aの他の例を示すものであり、2次転写ローラ70を中心軸において軸心方向に切断した断面図である。
【0073】
図12に示すように、2次転写ローラ70の主走査方向における端部の位置をそれぞれPa、Pdとし、2次転写ローラ作像領域70iと2次転写ローラ非作像領域70nとの境界の位置をそれぞれPb2、Pc2とし、2次転写ローラ70の主走査方向における中間転写ベルト2の端部の位置をPb1、Pc1としたとき、2次転写ローラ70の主走査方向の表面硬度は、主走査方向の位置がPb2−Pc2の2次転写ローラ作像領域70iにおいて表面硬度H0で一定であり、主走査方向の位置がPa−Pb1およびPc1−Pdの2次転写ローラ非作像領域70nにおいて表面硬度H1で一定となっている。また、2次転写ローラ70の主走査方向の表面硬度は、主走査方向の位置がPb1−Pb2の2次転写ローラ非作像領域70nにおいては、Pb1からPb2に渡ってH1からH0に傾斜した硬度分布で変化し、主走査方向の位置がPc2−Pc1の2次転写ローラ非作像領域70nにおいては、Pc1からPc2に渡ってH0からH1に傾斜した硬度分布で変化している。
【0074】
本実施の形態では、上記のような表面硬度を得るために、主走査方向の位置がPa−Pb1、Pc1−Pdの2次転写ローラ軸70aの非作像領域70anの領域の直径D2を、主走査方向の位置がPb2−Pc2の2次転写ローラ軸70aの作像領域70aiの領域の直径D1よりも大きい値にしている。また、主走査方向の位置がPb1−Pb2、Pc2−Pc1の2次転写ローラ軸70aの非作像領域70anの領域の直径をD1とD2との間で傾斜した硬度分布で変化させている。すなわち、2次転写ローラ軸70aは、直径D2の円柱状の非作像領域70anと、直径D1の円柱状の作像領域70aiと、直径がD1とD2との間で傾斜した硬度分布で変化する円錐台形の形状の非作像領域70anとから構成されている。
【0075】
このように、本実施の形態では、2次転写ローラ70の2次転写ローラ軸70aの非作像領域70anの直径D2を、2次転写ローラ軸70aの作像領域70aiの直径D1よりも大きい値に設定することにより、2次転写ローラ非作像領域70nの表面硬度H1を、2次転写ローラ作像領域70iの表面硬度H0よりも大きな値に設定しているので、対向ローラ作像領域6iと2次転写ローラ作像領域70iとの圧接部に十分な接触面積を生じさせるとともに、間隙形成部材154の厚みに相当する間隙を精度良く形成することができるので、像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる。
【0076】
また、本実施の形態では、主走査方向の位置がPa−Pb1、Pc1−Pdの2次転写ローラ軸70aの非作像領域70anの領域の直径D2を、主走査方向の位置がPb2−Pc2の2次転写ローラ軸70aの作像領域70aiの領域の直径D1よりも大きい値に設定するとともに、主走査方向の位置がPb1−Pb2、Pc2−Pc1の2次転写ローラ軸70aの非作像領域70anの領域の直径をD1とD2との間で傾斜した硬度分布で変化させることにより、2次転写ローラ非作像領域70nの表面硬度を、2次転写ローラ作像領域70iの表面硬度のH0よりも大きな値であるH1に設定するとともに、2次転写ローラ非作像領域70nの表面硬度に主走査方向の傾斜を持たせているので、間隙形成部材154が対向ローラ非作像領域6nと2次転写ローラ非作像領域70nとの間に狭持される際に緩やかに接触面積の増加および間隙の形成を行うことができる。
【0077】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態の画像形成装置50について説明する。第4の実施の形態の画像形成装置50は、2次転写ローラ70の機能材を硬度を主走査方向に変化させることにより表面硬度を変化させるようにした点で前述の実施の形態と異なっている。なお、前述の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
図13は、2次転写ローラ70を中心軸において軸心方向に切断した断面図である。ここで、2次転写ローラ70の表面硬度H0、H1の値は、前述の実施の形態と同様に、表面硬度H0がASKER−C20°〜70°であり、表面硬度H1は、表面硬度H0よりも数十%〜数百%高い値であるASKER−C100°〜1000°等となっている。
【0079】
図13に示すように、2次転写ローラ70の主走査方向における端部の位置をそれぞれPa、Pdとし、2次転写ローラ作像領域70iと2次転写ローラ非作像領域70nとの境界の位置をそれぞれPb、Pcとしたとき、2次転写ローラ70の主走査方向の表面硬度は、主走査方向の位置がPb−Pcの2次転写ローラ作像領域70iにおいて表面硬度H0で一定である。また、2次転写ローラ70の主走査方向の表面硬度は、主走査方向の位置がPa−Pb、Pc−Pdの2次転写ローラ非作像領域70nにおいて表面硬度H1で一定である。
【0080】
本実施の形態では、上記のような表面硬度を得るために、主走査方向の位置がPa−Pb、Pc−Pdの2次転写ローラ軸70の非作像領域70anの領域の機能材80nの硬度を、主走査方向の位置がPb−Pcの2次転写ローラ軸70aの作像領域70aiの領域の機能材80iの材料硬度よりも大きい値に設定している。
【0081】
このように、本実施の形態では、主走査方向の位置がPa−Pb、Pc−Pdの2次転写ローラ軸70の非作像領域70anの領域の機能材80nの硬度を、主走査方向の位置がPb−Pcの2次転写ローラ軸70aの作像領域70aiの領域の機能材80iの材料硬度よりも大きい値に設定することにより、2次転写ローラ非作像領域70nの表面硬度H1を、2次転写ローラ作像領域70iの表面硬度H0よりも大きな値に設定しているので、対向ローラ作像領域6iと2次転写ローラ作像領域70iとの圧接部に十分な接触面積を生じさせるとともに、間隙形成部材154の厚みに相当する間隙を精度良く形成することができるので、像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる。
【0082】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態の画像形成装置50について説明する。第5の実施の形態の画像形成装置50は、2次転写ローラ70の2次転写ローラ非作像領域70nの一部の領域表面硬度が、他の領域の表面硬度よりも大きい値になるように構成したものである。なお、前述の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0083】
図14は、転写部102の圧接部を用紙8の搬送方向上流側から見た正面図である。また、図15は、2次転写ローラ70を中心軸において軸心方向に切断した断面図である。ここで、2次転写ローラ70の表面硬度H0、H1の値は、前述の実施の形態と同様に、表面硬度H0がASKER−C20°〜70°であり、表面硬度H1は、表面硬度H0よりも数十%〜数百%高い値であるASKER−C100°〜1000°等となっている。
【0084】
図14に示すように、2次転写ローラ70の主走査方向における端部の位置をそれぞれPa、Pdとし、2次転写ローラ作像領域70iと2次転写ローラ非作像領域70nとの境界の位置をそれぞれPb2、Pc2とし、2次転写ローラ70の主走査方向における中間転写ベルト2の端部の位置をPb1、Pc1としたとき、2次転写ローラ70の主走査方向の表面硬度は、主走査方向の位置がPb1−Pc1の2次転写ローラ作像領域70iにおいて表面硬度H0で一定であり、主走査方向の位置がPa−Pb1およびPc1−Pdの2次転写ローラ非作像領域70nにおいて表面硬度H1で一定となっている。
【0085】
本実施の形態では、上記のような表面硬度を得るために、主走査方向の位置がPa−Pb1、Pc1−Pdの2次転写ローラ軸70の非作像領域70anの領域の機能材80nの硬度を、2次転写ローラ70の他の領域の機能材80の材料硬度よりも大きい値に設定している。
【0086】
このように、本実施の形態では、主走査方向の位置がPa−Pb1、Pc1−Pdの2次転写ローラ軸70の非作像領域70anの領域の機能材80nの硬度を、2次転写ローラ70の他の領域の機能材80の材料硬度よりも大きい値に設定することにより、2次転写ローラ非作像領域70nの一部の領域の表面硬度H1を、2次転写ローラ70の他の領域の表面硬度H0よりも大きな値に設定しているので、対向ローラ作像領域6iと2次転写ローラ作像領域70iとの圧接部に十分な接触面積を生じさせるとともに、間隙形成部材154の厚みに相当する間隙を精度良く形成することができるので、像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上のように、本発明に係る画像形成装置は、像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができるという効果を有し、単葉のシート状の記録媒体へ記録する電子写真方式、静電記録方式、イオノグラフィー方式、磁気記録方式等の画像形成方式を採用した複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図
【図2】(a)本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の中間転写部の断面図 (b)本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の制御部を示すブロック図
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の斜視図
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の斜視図
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の斜視図
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の正面図
【図7】(a)〜(g)は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の動作を説明する断面図
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の正面図
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の他の例を示す正面図
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の正面図
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラの断面図
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラの他の例を示す断面図
【図13】本発明の第4の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラの断面図
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の正面図
【図15】本発明の第5の実施の形態に係る画像形成装置の2次転写ローラの断面図
【図16】従来の画像形成装置のプリンタ部の断面図
【符号の説明】
【0089】
1 感光体ドラム(画像形成手段)
2 中間転写ベルト(像担持体)
3 駆動ローラ
4 従動ローラ
5 テンションローラ
6 対向ローラ
6a 対向ローラ軸
8 用紙(記録媒体)
9 圧縮バネ
19 転写部用紙通過検知センサ
20 用紙厚さ検知センサ
22 間隙形成部材駆動回路
23 レジストローラ(記録媒体搬送手段)
24 レジスト加圧ローラ(記録媒体搬送手段)
25 レジスト部用紙通過検知センサ
50 画像形成装置
70 2次転写ローラ(転写部材)
70a 2次転写ローラ軸(芯金)
70i 2次転写ローラ作像領域(作像領域)
70n 2次転写ローラ非作像領域(非作像領域)
101 中間転写部
102 転写部
103 レジスト部(記録媒体搬送手段)
111、120 軸受
116 本体側板
116a バネ受部
117 スライド穴部
119 スライド軸受ホルダ
124 制御部(間隙形成手段)
150 トルクリミッタ
151 トルクリミッタホルダ
152 回転止爪部
153 間隙形成保持環
154 間隙形成部材
155 間隙形成部材取付部
156 掛止板
157 掛止爪部
158 長穴部
159 ピン
160 ソレノイド(間隙形成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を担持して回転する像担持体と、
前記像担持体の表面に画像を形成する画像形成手段と、
前記像担持体に当接して回転するとともに前記像担持体の表面に形成された画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記像担持体と前記転写部材とが当接する位置に記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段と、
所定のタイミングで前記当接する位置における前記転写部材の非作像領域に間隙形成部材を挿入して間隙を形成する間隙形成手段とを備えた画像形成装置において、
前記転写部材の非作像領域の一部または全部の領域の表面硬度を、他の領域の表面硬度よりも高く設定した事を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写部材の非作像領域の一部または全部の領域の表面硬度が、前記転写部材の主走査方向に傾斜を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写部材の非作像領域の一部または全部の領域の芯金の径を、他の領域の芯金の径よりも太くしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写部材の非作像領域と作像領域とが、同一の材料により一体に構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写部材の非作像領域の一部または全部の領域の材料硬度を、他の領域の材料高度よりも高く設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写部材の非作像領域と作像領域とを、前記転写部材の中心軸の同軸上に配置するとともに、外圧の掛からない状態で同一の径に設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写部材の非作像領域と作像領域の表面に、一体的に研削加工を施したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記転写部材の作像領域の両端部に前記非作像領域を配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記像担持体、前記転写部材、前記記録媒体搬送手段は、中間転写ベルト、前記記録媒体を挟持して搬送する転写ローラ、前記記録媒体を挟持して搬送するレジストローラからそれぞれ構成され、前記転写部材は、前記像担持体が担持する画像を前記記録媒体に2次転写することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−175983(P2008−175983A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8317(P2007−8317)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】