説明

画像形成装置

【課題】簡易且つ迅速に画像形成装置に関する情報を読み取ることを可能とする画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーを担持する移動可能な像担持体1と、トナーを用いて像担持体1上にトナー像を形成する画像形成手段2、3、4と、像担持体1上に形成されたトナー像を転写体に転写させる転写手段12と、を有する画像形成装置100は、画像形成装置100に関する情報を検知する検知手段Aを有しており、該検知手段Aによって検知された画像形成装置100に関する情報を、画像形成手段2、3、4によって像担持体1上に形成され、像担持体1の停止時に像担持体1上に保持されるトナー像として表示する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成されたトナー像を転写体に転写する工程を経て記録画像を形成する電子写真方式等を用いた複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、電子写真方式の画像形成装置において、使用者からの改善要望などにメーカーやディーラーなどの管理者が対応するためのサービス性向上技術として、次のような方法が開示されている。即ち、画像形成装置本体に対して着脱して交換可能なプロセスカートリッジに不揮発メモリーを設け、当該メモリーに画像形成装置本体や各消耗品ユニット(コンシューマブルユニット)の状態、使用履歴、トラブルの種類等の詳細情報を書き込む。そして、管理者がプロセスカートリッジを回収し、それらの情報を入手し、使用者への対応を行う(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開平7−175370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、管理者がプロセスカートリッジの不揮発メモリー内の情報に基づいて使用者への対応を行う場合、不揮発メモリー内の情報を取り込むための装置(画像形成装置本体や情報収集端末等)が無い限り、一切情報を得ることができない。又、情報を取り込むための装置を使用し、不揮発メモリー内の情報を入手することは手間であり、例えば、不満を抱いている使用者に対して管理者が迅速に対応することが困難である場合がある。
【0004】
従って、本発明の目的は、簡易且つ迅速に画像形成装置に関する情報を読み取ることを可能とする画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナーを担持する移動可能な像担持体と、トナーを用いて前記像担持体上にトナー像を形成する画像形成手段と、前記像担持体上に形成されたトナー像を転写体に転写させる転写手段と、を有する画像形成装置において、前記画像形成装置に関する情報を検知する検知手段を有しており、該検知手段によって検知された前記画像形成装置に関する情報を、前記画像形成手段によって前記像担持体上に形成され、前記像担持体の停止時に前記像担持体上に保持されるトナー像として表示することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡易且つ迅速に画像形成装置に関する情報を読み取ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0008】
実施例1
[画像形成装置の全体構成]
先ず、本発明に係る画像形成装置の一実施例の全体構成について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置である電子写真方式のフルカラーレーザービームプリンタ(以下、単に「画像形成装置」という)100の全体構成を示す。本実施例の画像形成装置100は、画像形成装置100の本体(以下、単に「装置本体」という)110に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ、画像読み取り装置などの外部機器からの画像情報に従って、フルカラー画像を形成することができる。
【0009】
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色の画像を形成する第1、第2、第3、第4の画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを有する。即ち、本実施例では、画像形成装置100は、垂直方向に並設された4個の移動可能な像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下「感光体ドラム」という)1(1a、1b、1c、1d)を備えている。感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)は、駆動手段(図示せず)によって、図1中矢印R1方向(反時計回り)に回転駆動される。
【0010】
各感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)の周囲には、感光体ドラム1の表面を均一に帯電する帯電手段としての帯電装置2(2a、2b、2c、2d)が配置されている。又、各感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)の周囲には、画像情報に基づいて光像を照射する露光手段としての露光装置3(3a、3b、3c、3d)が配置されている。本実施例にて、露光装置3(3a、3b、3c、3d)は、画像情報に基づいてレーザービームを照射するスキャナユニットとされ、感光体ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する。
【0011】
又、各感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)の周りには、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)上の静電像にトナーを付着させてトナー像として現像する現像手段としての現像装置4(4a、4b、4c、4d)が配置されている。又、各感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)に対向して、各感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)上のトナー像を、転写体としての普通紙(転写紙)のような記録材Sに転写させる静電転写ユニット5が配置されている。
【0012】
更に、各感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)の周りには、各感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)の表面を清掃するクリーニング手段としてのクリーニング装置6(6a、6b、6c、6d)が配設されている。各クリーニング装置6(6a、6b、6c、6d)は、転写後の感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)の表面に残った転写残トナーを除去するクリーニング部材としてのクリーニングブレード60(60a、60b、60c、60d)を備えている。
【0013】
本実施例では、各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdの構成及び動作は、現像剤のトナーの色が異なることを除いて実質的に同一である。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字a、b、c、dは省略して総括的に説明する。
【0014】
ここで、本実施例では、感光体ドラム1と、感光体ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電装置2、現像装置4及びクリーニング装置6とは、一体的にカートリッジ化されて、プロセスカートリッジ7を形成している。尚、プロセスカートリッジとは、電子写真感光体と、電子写真感光体に作用するプロセス手段としての帯電手段、現像手段及びクリーニング手段のうちの少なくとも1つと、を一体的にカートリッジ化して、画像形成装置の本体に着脱可能としたものである。
【0015】
感光体ドラム1上の、帯電装置2による帯電位置、露光装置3による露光位置、現像装置4による現像位置、静電転写ユニット5による転写位置、クリーニング装置6によるクリーニング位置は、感光体ドラム1の回転方向に従ってこの順番で配置されている。
【0016】
帯電装置2、露光装置3、現像装置4を有して、感光体ドラム1上にトナーを用いてトナー像を形成する画像形成手段が構成される。又、感光体ドラム1、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写手段12を有して、静電転写ベルト11上の記録材S上にトナー像を形成する画像形成部が構成される。
【0017】
トナーを担持する移動可能な像担持体としての感光体ドラム1は、例えば直径30mmのアルミシリンダの外周面に有機光導電体層(OPC感光体)を塗布して構成したものである。感光体ドラム1は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部を支持部材によって回転自在に支持されている。そして、一方の端部に駆動モータ(図示せず)からの駆動力が伝達されることにより、図1中矢印R1方向(反時計周り)に回転駆動される。本実施例では、感光体ドラム1の帯電極性は負極性である。
【0018】
帯電装置2としては、接触帯電方式のものを使用することができる。本実施例にて、帯電装置2の帯電部材は、ローラ状に形成された導電性ローラ(帯電ローラ)である。この帯電ローラ2を感光体ドラム1の表面に当接させるとともに、この帯電ローラ2に帯電バイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム1の表面を一様に帯電させる。
【0019】
露光手段としての露光装置(スキャナユニット)3は、対応する感光体ドラム1と上下方向において略同レベルに配置される。スキャナユニット3においては、レーザーダイオード(図示せず)によって画像信号に対応する画像光が、スキャナモーター(図示せず)によって高速回転されるポリゴンミラー9に照射される。ポリゴンミラー9に反射された画像光は、結像レンズ10を介して帯電済みの感光体ドラム1の表面を選択的に露光して静電像を形成する。
【0020】
本実施例では、現像装置4は、現像剤として、非磁性一成分現像剤、即ち、トナーを用いる。本実施例では、トナーの正規の帯電極性は負極性である。図2をも参照すると理解されるように、現像装置4は、トナーを収納した現像剤収納部としてのトナー容器41と、現像枠体としての現像容器45と、を有する。各現像装置4a、4b、4c、4dには、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーが収容されている。
【0021】
つまり、トナー容器41に関して言えば、例えば、イエロー現像装置4aはイエロー色のトナーを収納したトナー容器41a、シアン現像装置4bはシアン色のトナーを収納したトナー容器41bを有する。又、マゼンタ現像装置4cはマゼンタ色のトナーを収納したトナー容器41c、ブラック現像装置4dはブラック色のトナーを収納したトナー容器41dを有する。
【0022】
各トナー容器41内には、感光体ドラム1と対向して、現像剤を担持搬送する現像剤担持体としての現像ローラ40が配置されている。現像ローラ40は、感光体ドラム1に接触して図中矢印R2方向(時計回り)に回転する。即ち、感光体ドラム1と現像ローラ40とは、対向部(接触部)において、それぞれの表面が同方向に移動するように回転する。
【0023】
トナー容器41内の現像剤、即ち、トナーは、トナー搬送攪拌機構42によって、現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ43へ送り込まれる。トナー供給ローラ43は、現像ローラ40に接触して図中矢印R3方向(時計回り)に回転する。即ち、現像ローラ40とトナー供給ローラ43とは、対向部(接触部)において、それぞれの表面が逆方向に移動するように回転する。
【0024】
次いで、トナーは、トナー供給ローラ43、及び、現像ローラ40の外周に圧接された現像剤規制部材としての現像ブレード44によって、現像ローラ40の外周に塗布される。又、この時、摩擦によりトナーに電荷が付与される。そして、現像ローラ40に現像バイアスを印加することにより、感光体ドラム1に形成された静電像をトナーで現像してトナー像とする。
【0025】
又、現像装置4は、トナー残量検知機構(図示せず)を備えている。トナー残量検知機構は、LED等の発光素子と、フォトダイオード等の受光素子とを有する。そして、このトナー残量検知機構は、トナー容器41内にLED光を透過することで、透過時間をセンシングし、トナー残量の検出を行う。
【0026】
本実施例では、現像装置4は、反転現像方式により、感光体ドラム1上の静電像を現像する。即ち、感光体ドラム1の帯電極性と同極性に帯電したトナーを、帯電処理された感光体ドラム1上の露光により電荷が減衰した部分(露光部、画像部)に付着させることで、感光体ドラム1上の静電像を現像する。
【0027】
全ての感光体ドラム1に対向し、接するように、記録材担持体としての無端状ベルトで形成された、循環移動する静電転写ベルト11が配設されている。静電転写ベルト11は、1011〜1014Ω・cmの体積固有抵抗を持たせた、厚さ約150μmのフィルム状部材で構成される。この静電転写ベルト11は、支持部材としての4軸のローラ13、14A、14B、15によって支持され、全体として略垂直方向に沿って配置されている。そして、静電転写ベルト11は、図中左側の外周面に記録材Sを静電吸着して感光体ドラム1に記録材Sを接触させるべく循環移動する。これにより、記録材Sは、静電転写ベルト11により転写位置まで搬送され、感光体ドラム1上のトナー像が転写される。
【0028】
静電転写ベルト11の内側に当接し、4個の感光体ドラム1a、1b、1c、1dのそれぞれに対向した位置に、転写手段としての転写ローラ12a、12b、12c、12dが並設されている。転写ローラ12は、静電転写ベルト11を感光体ドラム1に向けて押圧し、静電転写ベルト11と感光体ドラム1とが接触する転写部Nにニップ(転写ニップ)を形成する。転写ローラ12には、転写バイアス出力手段としての転写バイアス電源50が接続されている。転写工程時には、転写バイアス電源50から転写ローラ12に、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)のバイアスが印加される。これにより、転写ローラ12から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の電荷が、静電転写ベルト11を介して記録材Sに印加される。この電荷による電界により、感光体ドラム1に接触中の記録材Sに、感光体ドラム1上の正規の帯電極性(本実施例では負極性)に帯電したトナー像が転写される。即ち、転写工程時には、感光体ドラム1と静電転写ベルト11との間に、正規の極性に帯電したトナーを感光体ドラム1から静電転写ベルト11に向けて移動させる方向の電界が形成される。
【0029】
静電転写ベルト11は、周長約700mm、厚み150μmのベルトであり、駆動ローラ13、従動ローラ14A、14B、テンションローラ15の4本のローラに掛け渡され、図中矢印R4方向(時計回り)に回転する。これにより、静電転写ベルト11が循環移動して、記録材Sが従動ローラ14A側から駆動ローラ13側へ搬送される間に、感光体ドラム1上から静電転写ベルト11上の記録材S上にトナー像が転写される。
【0030】
記録材供給部16は、各画像形成部Pa〜Pdの転写部Na〜Ndに記録材Sを供給し、搬送するものである。記録材供給部16において、複数枚の記録材Sが、記録材カセット17に収納されている。画像形成時には、記録材供給ローラ18(半月ローラ)が、記録材カセット17上に収納された記録材Sのうち、最上部の記録材Sを送り出す。そして、送り出された記録材Sの先端は、レジストローラ対19に突き当たり、一旦停止し、ループを形成する。その後、記録材Sは、静電転写ベルト11の回転と画像書出し位置との同期をとって、レジストローラ対19によって静電転写ベルト11へと供給される。
【0031】
定着手段(定着部)としての定着ユニット20は、記録材Sに転写されたトナー像を定着させるものである。定着ユニット20は、定着部材としての回転する加熱ローラ21Aと、これに圧接して記録材Sに熱及び圧力を与える加圧部材としての加圧ローラ21Bと、から成る定着ローラ対21を有する。定着ユニット20の下流には、記録材排出ローラ対23があり、記録材Sを装置本体110の外部のトレー31に排出する。
【0032】
又、定着ローラ対21と記録材排出ローラ対23との間には、記録材排出センサ(図示せず)が配置されている。これにより、記録材Sが確実に装置本体110の外部に排出されたか、定着ローラ対21に巻きついていないかなどがモニターされている。
【0033】
感光体ドラム1上のトナー像が転写された記録材Sは、定着ユニット20を通過する際に、定着ローラ対21で搬送されるとともに、定着ローラ対21によって熱及び圧力が与えられる。これによって、トナー像が記録材Sの表面に定着される。
【0034】
両面パス27は、静電転写ユニット5の裏面部に形成されている。両面パス27には、搬送ローラ対25、26が上下に配置され、図中下方向に記録材Sを搬送していく。最下点には記録材Sの搬送方向を変えるべくUターンパス28が設けられ、Uターンパス28に導かれた記録材Sは、レジストローラ対19に再び給送されていく。
【0035】
例えば、フルカラー画像形成時を例として画像形成動作を説明する。各プロセスカートリッジ7が、画像形成タイミングに合わせて順次駆動され、その駆動に応じて各感光体ドラム1が、図中矢印R1方向(反時計回り)に回転駆動される。又、各々のプロセスカートリッジ7に対応するスキャナユニット3が順次駆動される。このように感光体ドラム1の回転駆動が開始されると、帯電ローラ2は、感光体ドラム1の周面に一様な電荷を付与し、又スキャナユニット3は、その感光体ドラム1の周面に画像信号に応じて露光を行う。これにより、感光体ドラム1の周面上に静電像が形成される。次いで、現像装置4内の現像ローラ40は、静電像の低電位部にトナーを転移させて、感光体ドラム1の周面上にトナー像を形成する。
【0036】
そして、静電転写ベルト11による記録材Sの搬送方向において最上流にある感光体ドラム1aの周面上のトナー像の先端が、静電転写ベルト11との対向点に回転搬送されてくる。このタイミングで、即ち、感光体ドラム1a上のトナー像の先端に記録材Sの画像形成開始位置が一致するように、レジストローラ対19が回転を開始して、記録材Sを静電転写ベルト11へ給送する。
【0037】
記録材Sは、静電吸着ローラ22と静電転写ベルト11とによって挟み込まれるようにして静電転写ベルト11の外周に圧接される。又、静電転写ベルト11と静電吸着ローラ22との間に電圧が印加される。これにより、誘電体である記録材Sと静電転写ベルト11の誘電体層に電荷が誘起され、記録材Sは静電転写ベルト11の外周に静電吸着される。従って、記録材Sは静電転写ベルト11に安定して吸着され、最上流の画像形成部Paの転写位置Naから最下流の画像形成部Pdの転写位置Ndまで搬送される。
【0038】
このように搬送されながら、記録材Sには、各感光体ドラム1と転写ローラ12との間に形成される電界によって、各感光体ドラム1のトナー像が順次に転写される。
【0039】
4色のトナー像を転写された記録材Sは、駆動ローラ13の曲率により静電転写ベルト11から曲率分離され、定着ユニット20に搬入される。記録材Sは、定着ユニット20でトナー像が定着された後に、記録材排出ローラ対23によって、排出部29から画像面を下にした状態で装置本体110の外部のトレー31上に排出される。
【0040】
尚、本実施例の画像形成装置100は、所望の単独又は複数(全てではない)の画像形成部を用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできる。
【0041】
次に、両面画像形成の動作について説明する。装置本体110は、両面画像形成の信号を受け取ると、定着ローラ対21及び記録材排出ローラ対23を通過してきた記録材Sは、両面フラッパ24により搬送ローラ対25へ搬送する。そして、記録材Sが定着ローラ対21を抜けたことを記録材排出センサにて検知する。その検出信号により、搬送ローラ対25は逆回転を行い、両面パス27に記録材Sを導いていく。両面パス27に入った記録材Sは、搬送ローラ対25、26により、Uターンパス28を通り、レジストローラ対19まで搬送されていく。その後、記録材Sの第1面(表面)への画像形成と同様の画像形成プロセスで、記録材Sの第2面(裏面)への画像形成が完了する。その後、記録材Sは、排出部29より装置本体110の外部のトレー31上に排出される。
【0042】
[画像形成装置に関する情報の記録・表示]
次に、画像形成装置100に関する情報の記録・表示方法について説明する。
【0043】
本実施例の目的の1つは、画像形成装置100が知り得る情報を、管理者が情報を取り込むための装置無しにプロセスカートリッジ7から直接得ることを可能とすることである。そして、本発明の目的の他の1つは、その情報に基づいて、管理者が使用者からのクレーム等に迅速、且つ、正確に対応し、使用者の満足度を上げることを可能とすることである。
【0044】
(1)画像形成装置に関する情報の記録
先ず、画像形成装置100は、画像形成装置100に関係する各種の情報を記憶手段に記録する。
【0045】
画像形成装置100は、装置本体110内に、制御手段としてのコントローラAを有する。コントローラAは、記憶部、制御部、演算部を備えたマイクロコンピュータ等を有する演算制御回路で構成される。又、画像形成装置100は、装置本体110内に、コントローラAに電気的に接続された記憶手段としてのメモリーMを有する。更に、画像形成装置100は、装置本体110内に、コントローラAに電気的に接続された画像処理部Bを有する。
【0046】
本実施例では、コントローラAは、画像形成装置100の動作を統括的に制御する。そして、本実施例では、詳しくは以下説明するように、コントローラAは特に、画像形成装置100に関する情報を検知する情報検知手段、画像形成装置100に関する情報を所望の表示形式に適合するように処理する情報処理手段としての機能を有する。
【0047】
コントローラAは、消耗品ユニットとしてのプロセスカートリッジ7の寿命をカウントしている。つまり、本実施例では、コントローラAは、プロセスカートリッジ7内の感光体ドラム1、帯電装置(帯電ローラ)2又は現像装置4(現像ローラ40)の使用量、即ち、回転量又は回転時間をカウントする。尚、コントローラAは、上記各回転数又は回転時間が予め決められた閾値を越えたことを認識した時に、プロセスカートリッジ7の寿命を検知することができる。上記回転回数又は回転時間の検知は、各部のセンサ及び/又はシーケンス上のデータを用いて、公知の手法によって行うことができる。
【0048】
又、コントローラAは、消耗品ユニットとしての静電転写ユニット5、定着ユニット20の寿命をカウントしている。つまり、本実施例では、コントローラAは、静電転写ユニット5内の駆動ローラ13、及び、定着ユニット20内の加圧ローラ21Bの回転量又は回転時間をカウントする。尚、コントローラAは、上記各回転数又は回転時間が予め決められた閾値を越えたことを認識した時に、静電転写ユニット5(特にその静電転写ベルト11)、定着ユニット20(特にその定着ローラ対21)の寿命を検知することができる。上記回転数又は回転時間の検知は、各部のセンサ及び/又はシーケンス上のデータを用いて、公知の手法によって行うことができる。
【0049】
更に、コントローラAは、画像形成装置100の画像形成回数(画像形成枚数)のカウントを行う。この画像形成回数は、装置本体110の寿命(使用量)に係る情報である。上記画像形成回数の検知は、各部のセンサ及び/又はシーケンス上のデータを用いて、公知の手法によって行うことができる。
【0050】
そして、コントローラAは、これらの内容を記憶手段としてのメモリーMに記録している。即ち、コントローラAは、上述の各種のカウント値を、メモリーMに随時記憶させる。上記各回転数(回転時間)は、例えば、所定の記録材Sを用いた場合の画像形成回数など、画像形成回数に換算して記録してもよい。
【0051】
尚、本実施例では、メモリーMは、装置本体110に設けるものとしたが、プロセスカートリッジ7に配置することも可能である。
【0052】
コントローラAは、各消耗品ユニットが交換されたことを検知すると、交換された消耗品ユニットの上記カウント値を一旦リセットし、再びカウントを始める。各消耗品ユニットの交換の検知は、各部のセンサを用いて、公知の手法によって行うことができる。
【0053】
又、コントローラAは、画像形成動作開始時に入力手段を介して指定された、記録材供給口の種類、記録材排出口の種類、画像形成時の画像形成モード(以下「プリントモード」という)の種類などの、動作条件選択情報をメモリーMに記憶させる。ここで、上記入力手段としては、装置本体110に設けられた操作部(図示せず)、装置本体110に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部機器の操作部が挙げられる。
【0054】
更に、コントローラAは、装置本体110内に設置された環境検知手段としての環境センサ(図示せず)によって検知された、画像形成装置100の設置環境の温度、湿度などの環境情報をメモリーMに記憶させることができる。
【0055】
このように、コントローラAは、上記情報検知手段として機能して、画像形成装置100に関する情報(以下、単に「装置情報」ともいう)として次の各情報を検知する。即ち、消耗品ユニット(プロセスカートリッジ7、静電転写ユニット5及び定着ユニット20)の寿命(使用量)情報、装置本体110の寿命(使用量)情報、動作条件選択情報、及び、環境情報である。情報検知手段としてのコントローラAは、検知した装置情報をメモリーMに記憶させる。
【0056】
又、コントローラAは、上記情報処理手段として機能して、上述のようにして検知した装置情報をメモリーMから読み出して、所望の表示形式に適合するように処理する。即ち、例えば、後述するようなドット画像の形式で装置情報を表示する場合には、装置情報をドットの数に変換するなどの処理を行う。情報処理手段としてのコントローラAは、所望の表示形式に適合された装置情報を画像処理部Bに入力する。
【0057】
そして、画像処理部Bは、上記所望の表示形式に適合された装置情報を、画像形成に係る情報(画像形成装置の各部を制御して感光体ドラム1の周面にトナー像を形成するための情報を含む)として出力する。
【0058】
(2)画像形成装置に関する情報の表示
次に、装置情報を感光体ドラム1の周面にトナー像で表示する方法について説明する。
【0059】
本実施例では、画像形成装置100は、検知された装置情報を、感光体ドラム1上に形成され、感光体ドラム1の停止時に感光体ドラム1上に保持されるトナー像として表示する。より詳細には、本実施例では、感光体ドラム1の周面の画像形成領域外に、装置情報を示すトナー像を形成し、表示する。
【0060】
ここで、画像形成領域とは、記録材Sに転写して画像形成装置100の外部に出力する画像の形成が可能な領域であり、例えば、感光体ドラム1から記録材Sに直接トナー像を転写する場合には、感光体ドラム1上の記録材Sと接触する領域である。尚、後述する中間転写方式の画像形成装置では、この画像形成領域は、感光体ドラム1上の、記録材Sに接触する中間転写体上の領域に接触する領域である。
【0061】
画像形成領域外に装置情報を示すトナー像を形成し、表示することにより、トナー像で記録材Sを汚すことを防止することができる。
【0062】
本実施例では、特に、感光体ドラム1の表面移動方向において、記録材Sに転写するトナー像を形成する領域の後の感光体ドラム1の周面に、装置情報を示すトナー像を形成し、表示する。即ち、本実施例では、記録材Sに転写する画像のトナー像を感光体ドラム1に形成した後にのみ、装置情報を示すトナー像を感光体ドラム1の周面に形成し、表示する。
【0063】
記録材Sに形成する画像のトナー像の形成後にのみ、装置情報を示すトナー像を形成し、表示することにより、装置情報を示すトナー像を形成する際に使用するトナーを低減することができる。
【0064】
但し、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、感光体ドラム1の表面移動方向において、記録材Sに転写するトナー像を形成する領域の前の感光体ドラム1の周面に、装置情報を表示してもよい。
【0065】
感光体ドラム1の表面移動方向において、記録材Sに転写するトナー像を形成する領域の後又は前の感光体ドラム1の周面に装置情報を表示する場合、装置情報は、感光体ドラム1の長手方向において画像形成領域の範囲内に表示しても範囲外に表示してもよい。本実施例では、感光体ドラム1の長手方向において画像形成領域の範囲内に表示する。感光体ドラム1の長手方向は、感光体ドラム1の表面移動方向と略直交する方向である。
【0066】
又、感光体ドラム1の表面移動方向において、記録材Sに転写するトナー像を形成する領域の範囲内であっても、記録材Sと感光体ドラム1とが接触することの無い感光体ドラム1の周面(例えば感光体ドラムの長手方向端部)に、装置情報を表示することができる。
【0067】
本実施例では、装置情報は、ドット画像にて、感光体ドラム1の周面に表示する。装置情報を示すトナー像をドットやコードで記号化することにより、狭い表示面積で多くの装置情報を示し、且つ、装置情報を示すトナー像を形成する際に使用するトナーを低減することができる。
【0068】
但し、本発明はこれに限定されるものではなく、装置情報は、テキスト画像(数字など)、イメージ画像(記号など)等、所望の形態で表示することができる。
【0069】
更に説明すると、本実施例では、コントローラAは、メモリーM内の装置情報を、画像処理部Bに送る。画像処理部Bは、パーソナルコンピュータ等の外部機器から送られた画像(以下「PC画像」という)の情報を、画像形成に係る情報に処理する。更に、画像処理部Bは、コントローラAから送られた、メモリーMから読み出された装置情報を、ドット画像Dt(以下「情報ドット画像」という)の形成に係る情報に処理する。
【0070】
そして、前述した画像形成の動作と同じ工程により、PC画像、情報ドット画像Dtの順に感光体ドラム1の表面にトナー像を形成する。
【0071】
その後、感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像のうち、PC画像のトナー像は、転写ローラ12に付与された電荷によって形成された電界により記録材Sに転写される。
【0072】
一方、情報ドット画像Dtのトナー像は、静電転写ベルト11の表面に転写されることなく、この情報ドット画像Dtのトナー像が感光体ドラム1の周面に残った状態で感光体ドラム1及びプロセスカートリッジ7の駆動が停止される。本実施例では、情報ドット画像Dtのトナー像が、感光体ドラム1と静電転写ベルト11とが接触する転写部Nに到達する前に、転写バイアス電源50のバイアス出力をOFFとして、転写ローラ12に付与していた電荷をOFFにする。これにより、情報ドット画像Dtのトナー像が転写部Nで静電転写ベルト11に転写されずに感光体ドラム1上に残留することを可能とする。
【0073】
この時、本実施例では、情報ドット画像Dtのトナー像は、感光体ドラム1の回転が停止した時に図2中のハッチングで示す感光体ドラム1の周面上の点Cと点Fとの間に位置するタイミングで形成される。即ち、感光体ドラム1が停止する直前に情報ドット画像Dtのトナー像が形成され、そのトナー像が感光体ドラム1の回転によって現像位置(点C)からクリーニングブレード60によるクリーニング位置(点F)に到達する前に感光体ドラム1が停止する。そのようなタイミングで、情報ドット画像Dtの形成及び感光体ドラム1の回転が制御される。
【0074】
更に、情報ドット画像Dtのトナー像は、感光体ドラム1の回転が停止した時に、図2中のハッチングで示す感光体ドラム1の周面上の点Cと点Dとの間、或いは点Eと点Fとの間に位置させることが好ましい。つまり、点Cは現像位置であり、点Dは感光体ドラム1をプロセスカートリッジ7の外部に露出させるためにプロセスカートリッジ7の枠体に形成された開口部の感光体ドラム1の表面移動方向において転写部Nの上流側の端部(縁部)位置である。この点Cと点Dとの間は、プロセスカートリッジ7の外側からは、容易にアクセスすることはできない。又、点Eは上記開口部の感光体ドラム1の表面移動方向において転写部Nの下流側の端部(縁部)位置であり、点Fはクリーニング位置である。この点Eと点Fとの間は、プロセスカートリッジ7の外側からは、容易にアクセスすることはできない。従って、情報ドット画像Dtのトナー像の停止位置をこのような位置とすることで、使用者が情報ドット画像Dtのトナー像に容易に触れること、又該トナー像と転写ベルト11とが触れることによる該トナー像の乱れを防止することが可能となる。これにより、鮮明なトナー像として、情報ドット画像Dtを保つことができる。
【0075】
即ち、プロセスカートリッジ7は、装置本体110に装着された状態で感光体ドラム1の一部を露出させる開口部が形成された枠体を有している。そして、装置情報を示すトナー像は、感光体ドラム1の停止時にこの開口部の端部よりも上記枠体の内側に位置する感光体ドラム1上に形成する。
【0076】
このように、装置情報を示すトナー像を使用者が容易に触れられない領域に形成し、表示することにより、使用者がトナー像に触れることを防止することができ、鮮明なトナー像として装置情報を保つことができる。但し、装置情報を示すトナー像は、プロセスカートリッジ7を分解等することなく容易に目視等により認識できる位置に形成される。
【0077】
尚、情報ドット画像Dtのトナー像が転写部Nを通過するタイミングで、積極的に、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスを、転写バイアス電源50から転写ローラ12に印加してもよい。即ち、この場合、情報ドット画像Dtのトナー像が転写部Nを通過している時には、感光体ドラム1と静電転写ベルト11との間に、正規の極性に帯電したトナーを静電転写ベルト11から感光体ドラム1に向けて移動させる方向の電界が形成される。
【0078】
本実施例では、情報ドット画像Dtのトナー像形成は、プロセスカートリッジが駆動・停止するたびに行われ、装置情報が変わるに従い、順次、情報ドット画像Dtが更新される。プリントモード、記録材供給口などの動作条件選択情報については、本実施例では、感光体ドラム1の駆動が停止される直前の記録材Sに対する画像形成動作において選択されていたものを表示する。
【0079】
図3は、情報ドット画像Dtの一例を示す。
【0080】
図3に示すように、本実施例では、情報ドット画像Dtの1つのドット(本実施例では実質的円形)の直径は500μmとされ、各装置情報の区切りを300μmのラインLnで行っている。
【0081】
このように装置情報をドット画像で示し、又、各ドットの直径を500μmとすることで、狭い表示面積で多くの装置情報を示すことができる。即ち、このようなドット画像を用いることにより、多くの装置情報を狭い表示領域で表示することができるので、トナーやインクの消費は非常に微量で済む。
【0082】
図3に示す情報ドット画像Dtの意味は次の通りである。図3において、左側から順に説明する。
【0083】
先ず、初めの4組の3点ドットは、各色用のプロセスカートリッジ7、即ち、イエローカートリッジ7a、シアンカートリッジ7b、マゼンタカートリッジ7c、ブラックカートリッジ7dの寿命(使用量)に関する情報である。図中Y−CRG、C−CRG、M−CRG、Bk−CRGは、それぞれイエローカートリッジ7a、シアンカートリッジ7b、マゼンタカートリッジ7c、ブラックカートリッジ7dを示す。
【0084】
次の2組の3点ドットは、装置本体110の寿命(使用量)に関する情報である。
【0085】
次の1組の3点ドットは、静電転写ユニット5の寿命(使用量)に関する情報である。
【0086】
次の1組の3点ドットは、定着ユニット20の寿命(使用量)に関する情報である。
【0087】
次の2組の3点ドットは、プリントモードに関する情報である。
【0088】
次の1組の3点ドットは、記録材供給口(給紙口)に関する情報である。
【0089】
次の1組の3点ドットは、温度に関する情報である。
【0090】
又、次の1組の3点ドットは、湿度に関する情報である。
【0091】
つまり、消耗品ユニットである4色のプロセスカートリッジ7、静電転写ユニット5、及び、定着ユニット20の寿命カウントを、それぞれ0〜3ドットの4段階で表している。又、装置本体110の寿命カウント、及び、プリントモードを、それぞれ0〜6ドットの7段階(種類)で表している。又、記録材供給口、温度、湿度を、それぞれ0〜3ドットの4段階(種類)で表している。
【0092】
このように、図3に示すドット画像では、13組の3点ドットで11種類の装置情報を表している。
【0093】
図4は、ドットの数で表される各装置情報の各段階(種類)の一例を示す。尚、図4において、装置本体110の寿命はトータル画像形成回数で表している。又、プロセスカートリッジ7の寿命、静電転写ユニット5の寿命、定着ユニット20の寿命は、それぞれ画像形成回数に換算した値で表している。プリントモードとしては、推奨される記録材Sの種類毎に、普通紙モード、厚紙モード、光沢紙モード1(グロス1)、光沢紙モード2(グロス2)、光沢紙モード3(グロス3)、薄紙モード、フィルムモードの7種類を有するものとする。更に、記録材供給口(給紙口)としては、次の4種類を有するものとする。先ず、CST(記録材カセット17から)と、MP(図示しない手差しトレーから)とを有する。更に、OP1(CST17下部に装着される図示しない第1オプション給紙カセットから)と、OP2(第1オプション給紙カセットを装着した際、その更に下部に装着される図示しない第2オプション給紙カセットから)とを有する。尚、図3には、3点ドットの全てのドットを表示した場合を示している。
【0094】
このように、本実施例によれば、装置情報をプロセスカートリッジ7の感光体ドラム1の周面にトナー像として形成し、停止した感光体ドラム1の周面に表示する。これにより、情報を取り込むための装置無しで、感光体ドラム1上のトナー像から直接的に装置情報を得ることが可能となる。従って、管理者が、例えば使用者から改善要望があった場合などに、使用者に対して迅速に適切な対応を行うことができる。
【0095】
例えば、不具合画像の原因が温度や湿度に起因するものと分かれば、それを回避するプリントモードを使用者に提案することが可能である。又、使用している記録材Sが推奨のプリントモードで印刷されていなければ、推奨プリントモードを使用者に提案することもできる。又、消耗品ユニットの寿命カウント(画像形成回数)から、寿命に起因して起きた問題であるか否かの判断を行うことが可能であり、必要であれば、消耗品ユニットを交換することを提案することが可能である。又、使用者に消耗品ユニットの寿命が後どの位かを知らせることができる。従って、使用者に対し管理者が迅速で適切な対応を行うことができるようになり、使用者の不満を解消することができる。
【0096】
又、従来、画像形成装置に関係する各種の情報を掲載したテストサンプルを記録材Sにプリントして、該情報を得ることが行われていた。これに対して、本実施例によれば、停止しているプロセスカートリッジ7の感光体ドラム1の周面に装置情報が表示されているので、そのようなテストサンプルをプリントする必要は無い。従って、テストサンプル用の記録材Sの消費を削減し、又テストサンプルをプリントする煩わしさを解消することができる。
【0097】
又、本実施例によれば、装置本体110が無い状況、例えば、使用者がプロセスカートリッジ7を管理者の所に持ち込んで相談に来た場合にも、管理者は感光体ドラム1に表示された装置情報をその場で直ぐに見ることが可能である。従って、管理者は使用者に対して迅速に適切な対応を行うことができる。
【0098】
尚、上述では、装置情報をドット画像で表示するものとして説明したが、装置情報を図5に示すようにバーコード等で記号化することで、更にわずかなスペースに数多くの装置情報を記録することができる。
【0099】
図5にはバーコードの各桁の意味を示している。消耗品ユニットである4色のプロセスカートリッジ7、静電転写ユニット5、及び、定着ユニット20の寿命カウントを、0〜9の10段階で表している。又、装置本体110の寿命カウントを00〜99の100段階で表している。又、プリントモード、記録材供給口(給紙口)、記録材排出口(排紙口)、温度、湿度を、それぞれ0〜9の10段階(種類)で表している。
【0100】
このように、図5に示すバーコードでは、13桁のバーコードで12種類の装置情報を表している。
【0101】
ここで、装置情報を図5に示すようなバーコード等で表示した場合には、比較的小型で簡易なバーコードリーダによって、簡易、迅速に読み取ることができる。バーコードリーダ自体は公知であるのでこれ以上の説明は省略する。
【0102】
尚、本発明は、装置情報の表示を図4、図5に示す例に限定するものではない。ドット数やコードを工夫したり、或いはテキスト画像やイメージ画像を用いたりして、次のような情報を表示することも可能である。例えば、装置本体110のシリアル番号、消耗品ユニットのシリアル番号、画像形成回数や回転時間等の履歴、画像形成回数や通紙枚数、エラー種類、トータルエラー回数の情報などである。
【0103】
このように、一具体例として、画像形成装置に関する情報は、次のうちの少なくとも1つであってよい。
(a)画像形成装置の設置環境の温度や湿度
(b)画像形成時の画像形成モード
(c)記録材供給口や記録材排出口の種類
(d)消耗品ユニットのシリアル番号
(e)画像形成回数や回転時間の履歴
(f)装置本体のシリアル番号
(g)画像形成回数や通紙枚数
(h)エラーの種類
(i)トータルエラー回数
【0104】
例えば、コントローラAは、コントローラAの記憶部又はメモリーMに予め記憶されている装置本体110のシリアル番号を読み出すことができる。又、コントローラAは、各消耗品ユニットに設けられた記録手段から読み出されたり、装置本体110又は外部機器の操作部から入力されたりして、コントローラAの記憶部又はメモリーMに記憶されている消耗品ユニットのシリアル番号を読み出すことができる。
【0105】
又、画像形成回数や回転時間等の履歴とは、具体的には、次のようなものである。即ち、画像形成回数や回転数の単なるカウント(積算数)だけではなく、例えば、記録材Sの種類毎、時間(日時)毎、画像形成モード毎、環境毎などに集計された画像形成回数や回転回数を記録することができる。コントローラAは、このような履歴情報を、メモリーMに記憶させてもよいし、或いは装置情報を表示させるべく画像処理部Bに情報を入力する際に生成してもよい。
【0106】
又、エラーを記録する場合、コントローラAは、エラーの種類、エラーの種類毎の発生回数、トータルエラー発生回数を、各部のセンサ及び/又はシーケンス上のデータを用いて公知の手法によって検知することができる。例えば、コントローラAは、記録材排出センサなどの記録材検知センサを介して、装置本体110内における記録材Sの詰まり(以下「ジャム」という)が発生したことを検知し、又その発生回数をカウントすることができる。同様に、コントローラAは、ジャム以外の各種のエラーを検知し、その回数をカウントすることができる。
【0107】
尚、コントローラAは、プロセスカートリッジ7内の現像装置4に設けられたトナー残量検知機構を介して検知された、現像装置4内のトナーの残量(或いは、トナーの有無)をメモリーMに記憶させることができる。この場合には、コントローラAは、上述の感光体ドラム1、帯電ローラ2、現像ローラ40の回転数又は回転時間による判断に代えて又はそれに加えて、トナーが予め決められた閾値未満となった時に、プロセスカートリッジ7の寿命を検知することができる。
【0108】
即ち、画像形成装置に関する情報は、概して、次のうちの少なくとも1つを含む。
(1)シリアル番号などの装置本体の個体識別情報
(2)シリアル番号などの消耗品ユニットの個体識別情報
(3)画像形成回数、通紙枚数などの装置本体の使用量情報
(4)構成部品の駆動量(回転数、回転時間、或いはその画像形成回数への換算値など)、消耗性材料(現像剤など)の残量(或いはその有無)などの消耗品ユニットの使用量情報
(5)温度、湿度などの環境情報
(6)画像形成モードの種類、記録材供給口の種類、記録材排出口の種類などの動作条件選択情報
(7)装置本体の使用量又は消耗品ユニットの使用量の履歴情報(使用履歴)
(8)エラーの種類、エラーの回数などのエラー情報(トラブル情報)
これらの情報のうち少なくとも1つを独立した情報として表示することができる。或いは、画像形成モード毎の装置本体の画像形成回数などのように、これらの情報のうち少なくとも2つを組み合わせた複合情報として表示してもよい。
【0109】
ここで、使用者からメーカーやディーラーなどの管理者に問い合わせの多い画像不具合は、プロセスカートリッジ7などの消耗品ユニットの寿命に起因することが多い。従って、プロセスカートリッジ7などの消耗品ユニットの寿命を超えた時点から、上述のようにして装置情報を感光体ドラム1の周面に表示することができる。これによっても、多くの場合、管理者は使用者に対して的確な対処を行うことが可能である。例えば、プロセスカートリッジ7の寿命到達後から装置情報を表示することにより、装置情報の表示でのトナー消費を抑えつつ、僅かなトナーで表示された装置情報からプロセスカートリッジ7が寿命に到達した否かを直ぐに判断することが可能となる。
【0110】
更に、使用者に対して見やすい位置に装置情報を示すトナー像を表示することにより、使用者が該トナー像を見ることで簡単に装置情報を知ることが可能となる。
【0111】
以上説明したように、本実施例によれば、画像形成装置100が知り得る情報を、管理者が情報を取り込むための装置無しにプロセスカートリッジ7から直接得ることが可能となる。従って、その情報に基づいて、管理者が使用者に対して迅速、且つ、適切な対応を行うことが可能となる。
【0112】
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0113】
例えば、上述の実施例では、図1で示すように感光体ドラム1の周面に形成された現像剤像(トナー像)を、静電転写ベルト11上に担持されて搬送される記録材Sに転写する直接転写方式の画像形成装置について説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、感光体ドラム1の周面に形成された現像剤像(トナー像)を一旦中間転写体に転写し、中間転写体から記録材Sに転写する中間転写方式の画像形成装置にも等しく適用することができる。
【0114】
例えば、図6は、中間転写方式の画像形成装置の一例の要部概略断面を示す。尚、図6の画像形成装置200において、図1の画像形成装置100のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0115】
図6に示す画像形成装置200は、図1に示す画像形成装置100の静電転写ベルトの代わりに、無端ベルトで形成された周回移動する中間転写体としての中間転写ベルト201を有する。中間転写ベルト201の内周面側には、1次転写手段としての1次転写ローラ202a〜202dが、各感光体ドラム1a〜1dに対向して設けられている。各1次転写ローラ202a〜202dには、1次転写バイアス出力手段としての1次転写バイアス電源203a〜203dがそれぞれ接続されている。この1次転写ローラ202a〜202d、1次転写バイアス電源203a〜203dは、図1の画像形成装置100における転写ローラ12a〜12d、転写バイアス電源50a〜50dと実質的に同様の作用をなす。各感光体ドラム1a〜1d上から、転写体としての中間転写ベルト201上に順次に転写(1次転写)されたトナー像は、2次転写手段としての2次転写ローラ204の作用によって、記録材Sに一括して転写(2次転写)される。
【0116】
斯かる画像形成装置200においても、感光体ドラム1上への装置情報の表示に関して上記実施例で説明した構成を同様に適用して、同様の作用効果を達成することができる。図6の中間転写方式の画像形成装置200においても、図1の直接転写方式の画像形成装置100の場合と同様にして、装置情報を示すトナー像が感光体ドラム1から中間転写ベルト201に転写されないようにすることが好ましい。即ち、該トナー像が静電転写ベルト11上に転写されないように転写バイアス電源50を制御したのと同様にして、該トナー像が中間転写ベルト201に転写されないように1次転写電源203を制御することができる。
【0117】
又、本発明は、上述の実施例のものと同様の画像形成部を単独で有する単色の画像形成装置にも等しく適用することができる。この場合、像担持体からトナー像が転写される記録材は記録材担持体に担持されることなく、直接、像担持体と転写手段との間を通されるようになっていてよい。
【0118】
又、上述の実施例では、装置情報を示すトナー像が形成される像担持体は、装置本体に対して使用者が容易に着脱して交換可能なユニットであるプロセスカートリッジに設けられているものとして説明した。本発明は、斯かる態様の画像形成装置において非常に有効に作用するものであるが、本発明は斯かる態様の画像形成装置への適用に限定されるものではない。例えば、像担持体が使用者によって容易に着脱できないようになっている場合でも、像担持体が停止した状態で装置状態を示すトナー像が像担持体の表面に表示されていることで、管理者がその情報を比較的容易に読み取り、使用者への対応に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略断面構成図である。
【図2】プロセスカートリッジの一実施例の概略断面図である。
【図3】感光体ドラムの表面に形成したドット画像の一実施例を説明するための模式図である。
【図4】ドット画像におけるドットの意味を説明するための説明図である。
【図5】感光体ドラムの表面に形成したバーコード画像の一実施例を説明するための模式図である。
【図6】本発明を適用し得る画像形成装置の他の実施例の概略断面図である。
【符号の説明】
【0120】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電ローラ(帯電装置)
3 スキャナユニット(露光装置)
4 現像装置
5 静電転写ユニット
7 プロセスカートリッジ
11 静電転写ベルト
20 定着ユニット
100 画像形成装置
110 画像形成装置本体
A 制御手段
B 画像処理部
M メモリー(記憶手段)
S 記録材(転写体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを担持する移動可能な像担持体と、トナーを用いて前記像担持体上にトナー像を形成する画像形成手段と、前記像担持体上に形成されたトナー像を転写体に転写させる転写手段と、を有する画像形成装置において、
前記画像形成装置に関する情報を検知する検知手段を有しており、該検知手段によって検知された前記画像形成装置に関する情報を、前記画像形成手段によって前記像担持体上に形成され、前記像担持体の停止時に前記像担持体上に保持されるトナー像として表示することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録材に転写されて前記画像形成装置の外部に出力されるトナー像を前記像担持体上に形成した後に、前記画像形成装置に関する情報を示すトナー像を形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置に関する情報を示すトナー像は、前記像担持体上の、記録材に転写されて前記画像形成装置の外部に出力されるトナー像が形成される領域外に形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置に関する情報を示すトナー像は、前記像担持体上の、使用者によって容易に触れられない領域に形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像担持体は前記画像形成装置の本体に対し着脱可能なカートリッジに設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記カートリッジは、更に、前記像担持体を帯電させる帯電手段、前記像担持体にトナーを供給する現像手段、前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段のうち少なくとも1つを一体的に有することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検知手段によって前記カートリッジの寿命到達が検知された後に、前記画像形成装置に関する情報を表示することを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記カートリッジは前記画像形成装置の本体に装着された状態で前記像担持体の一部を露出させる開口部が形成された枠体を有し、前記画像形成装置に関する情報を示すトナー像は、前記像担持体の停止時に前記開口部の端部よりも前記枠体の内側に位置する前記像担持体上に形成することを特徴とする請求項5〜7のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成装置に関する情報は、前記画像形成装置の本体の個体識別情報、前記画像形成装置の本体に対して着脱可能な消耗品ユニットの個体識別情報、前記画像形成装置の本体の使用量情報、前記消耗品ユニットの使用量情報、環境情報、動作条件選択情報、前記画像形成装置の本体の使用量又は前記消耗品ユニットの使用量の履歴情報、及び、エラー情報のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置に関する情報は、記号化して表示することを特徴とする請求項1〜9のいずれかの項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−176157(P2008−176157A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10887(P2007−10887)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】