説明

画像形成装置

【課題】用紙の幅方向の皺を低減することを課題とする。
【解決手段】転写ローラ24のローラ径が、連続紙Pの幅方向に張力を付与する方向に増大されていることによって、連続紙Pは幅方向に引っ張られる。これにより、連続紙Pには幅方向に皺が発生しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係り、特に、電子写真方式を用いて連続紙に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高速連続紙プリンタの転写機構としてはコロナ転写方式が用いられてきた。しかし、粗悪用紙や薄紙等の使用や、プリンタを複数接続して連続して印刷を行う際の用紙皺による転写不良や、クレジットカード等のカードを用紙に貼り付けた段差媒体の転写不良などの問題がある。
【0003】
そこで、これらの対策として転写ローラ方式を採用し、用紙の搬送方向にテンションを与えることで、用紙の皺を軽減させる手法が用いられている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−119504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題を考慮し、用紙の幅方向の皺を低減する画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、トナー像が形成される像担持体に対向して設けられ、前記像担持体との間で記録媒体を挟み込んで、前記記録媒体に該像担持体上の前記トナー像を転写する転写ローラを備えた画像形成装置において、前記転写ローラは、前記記録媒体の幅方向に張力を付与する方向へローラ径が増大していることを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、前記転写ローラで張力が付与される側と反対側の前記記録媒体の幅方向の端部は、前記転写ローラの前記記録媒体の搬送方向の上流側に設けられたガイドローラと、前記ガイドローラと対向して設けられ該転写ローラで付与される方向と反対方向に該記録媒体に張力を付与するコロと、に挟持されることを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の本発明は、前記転写ローラは、前記コロが設けられた側から反対側にかけて、ローラ径が大きくされていることを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の本発明は、前記転写ローラは、両端から内側にかけてローラ径が縮径されていることを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載の本発明は、前記転写ローラのローラ径の最小部は、最小記録媒体の幅方向の中心に位置していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明では、本構成を有していない場合と比較して、記録媒体には、記録媒体の幅方向に皺が発生しない。
【0011】
請求項2に記載の発明では、本構成を有していない場合と比較して、転写ローラと像保持体によって、記録媒体の幅方向の一方に記録媒体が引っ張られるとき、コロとガイドローラによって、記録媒体の幅方向の他方に記録媒体を引っ張るので、記録媒体が幅方向のどちらか一方側に引っ張られてしまうのを抑制できる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、本構成を有していない場合と比較して、転写ローラで、記録媒体の幅方向の他方の端部に、外側に向けて張力を付与するとき、コロによって、記録媒体の幅方向の一方の端部に、外側に向けて張力が付与される。したがって、記録媒体の幅方向の両端部が、共に外側に向けて引っ張られるので、記録媒体が幅方向のどちらか一方側に引っ張られてしまうのを抑制できる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、本構成を有していない場合と比較して、記録媒体の幅方向の両端部が、共に外側に向けて引っ張られるので、記録媒体が幅方向のどちらか一方側に引っ張られてしまうのを抑制できる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、最小記録媒体を用いるときは、転写ローラによって記録媒体の幅方向の両端に付与される張力が、一方の端部と他方の端部とで均一となる。したがって、最小記録媒体を用いる場合に、転写ローラによって記録媒体が幅方向の一方に引っ張られてしまうのを抑制するためのコロを設ける必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について説明する。
【0016】
図1に示すように、画像記録装置としてのカラーレーザープリンタ(以下、プリンタという)10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を、それぞれ記録媒体としての連続紙Pに転写し、重ね合わせるプリント部12Y、12M、12C、12Kが、連続紙Pの搬送方向上流側から順に配置されている。なお、YMCKを区別する必要がある場合は、符号の後にY、M、C、Kの何れかを付して説明し、YMCKを区別する必要がない場合は、Y、M、C、Kを省略する。また、単に「搬送方向」というときは、連続紙Pの搬送方向をいう。
【0017】
このプリント部12の搬送方向上流側には、連続紙Pをプリント部12に搬送する用紙搬送部14が設けられている。また、プリント部12の搬送方向下流側には、プリント部12で転写された未定着トナー像を連続紙Pに定着させる定着部16が設けられている。
【0018】
用紙搬送部14は、連続紙Pが巻掛けられたドライブローラ18を備える。このドライブローラ18にはアイドルローラ20が接触しており、ドライブローラ18とアイドルローラ20とのニップ部に連続紙Pを挟んで連続紙Pを搬送する。なお、ドライブローラ18の軸方向の両端部は、用紙搬送部14の用紙搬送フレームに、図示しない軸受を介して回転可能に支持されている。
【0019】
また、プリント部12は、像保持体としての感光体ドラム22を備えている。感光体ドラム22の回りには、感光体ドラム22の回転方向(図の反時計方向)に順に、転写ローラ24、クリーニング装置26、除電チャージャー28、帯電チャージャー30、LEDヘッド32、現像器34が配設されている。転写ローラ24の搬送方向前後にはガイドローラ36、37が配置されており、連続紙Pを押圧して感光体ドラム22にラップさせている。なお、転写ローラ24の詳細については後述する。
【0020】
帯電チャージャー30は、感光体ドラム22の表面を帯電させ、LEDヘッド32は、感光体ドラム22表面をライン露光して潜像を形成する。そして、現像器34は、感光体ドラム22に形成された潜像上にトナーを付着させてトナー像を形成する。また、クリーニング装置26は、用紙Pに転写されずに感光体ドラム22表面に残留した未転写残留トナーを掻き落して除去する。
【0021】
用紙搬送部14から搬送された連続紙Pはプリント部12Yに搬送され、イエローのトナー像が転写される。そして、プリント部12Mでマゼンタのトナー像がイエローのトナー像の上に重ねて転写され、プリント部12Cでシアンのトナー像が連続紙Pのイエロー、マゼンタのトナー像の上に重ねて転写される。さらに、プリント部12Kでブラックのトナー像が連続紙Pのイエロー、マゼンタ、シアンのトナー像の上に重ねて転写される。
【0022】
プリント部12Kの搬送方向下流側には、定着部16が設けられている。定着部16にプリント部12Y、12M、12C、12Kでイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が転写された連続紙Pが搬送される。そして、定着部16に設けられたフラッシュ定着装置40から発光されたフラッシュ光によって、連続紙P上のトナー像が加熱され、溶融する。これにより、連続紙Pにトナー像が定着する。
【0023】
そして、フラッシュ定着装置40を通過した連続紙Pは定着部16から排出され、排紙部17を通過した後に、定着部16から排紙ロール42によって排紙される構成となっている。
【0024】
ところで、図3に示すように、感光体ドラム22の搬送方向上流側には、転写ローラ60によって連続紙Pに付与される張力とは逆方向への張力を付与する張力付与手段であるところのコロ44が設けられている。コロ44は、転写ローラ24の搬送方向上流側に設けられたガイドローラ36に対向しており、連続紙Pの幅方向の一方の端部の非印字領域に接触している。これにより、コロ44とガイドローラ36で連続紙Pの端部を挟んで、連続紙Pの搬送によって、コロ44が従動回転する構成となっている。
【0025】
コロ44は、搬送方向に対して軸44Aが所定の角度(θ°)(図5参照)を成すようにして設けられている。なお、搬送方向に対するコロ44の軸44Aの角度は、連続紙Pの幅方向のサイズによって決定される。
【0026】
これにより、連続紙Pのコロ44が設けられた側の端部は、ガイドローラ36とコロ44に挟持されながら、コロ44によって連続紙Pの幅方向の外側に向かう引っ張り力が加えられる。
【0027】
図4に示すように、コロ44の軸44Aは、チャンネル形状の支持部材46の上部から一部が露出した状態で、側壁46Aに回転可能に支持されている。
【0028】
支持部材46は、プリンタ10本体に設けられたフレーム48上に設置されている。フレーム48には孔(図示省略)が形成されており、支持部材46の底壁46Bに固定されたシャフト50が、この孔に回転可能な状態で挿通され、支持部材46はシャフト50を中心に回転可能とされている。
【0029】
シャフト50の下端には、ギア52が取り付けられている。ギア52には、ステッピングモータ54の軸54Aに設けられたギア56が噛合している。ステッピングモータ54は、プリンタ10全体の制御を司る制御部58によって制御されており、ステッピングモータ54をパルス制御してギア56を回転させると、ギア52及びシャフト50を介して、支持部材46がシャフト50を中心に回転するようになっている。
【0030】
このような構成により、ステッピングモータ54の回転駆動によって、コロ44が支持部材46を介してシャフト50を中心に回転し、搬送方向に対するコロ44の軸44Aの角度が可変されるようになっている。
【0031】
一方、図5に示すように、転写ローラ24は、コロ44が設けられた側から、コロ44が設けられた側と反対側(コロ44が設けられていない側)に向かって、径が大きくなるように構成されており、円錐台形状とされている。
【0032】
したがって、転写ローラ24が回転すると、転写ローラ24のコロ44が設けられていない側は、コロ44が設けられた側よりも径が大きいため、転写ローラ24の外周面の周速は、コロ44が設けられた側からコロ44が設けられていない側に向かって速くなる。
【0033】
これにより、連続紙Pは、感光体ドラム22と転写ローラ24との間で、転写ローラ24によって幅方向のコロ44が設けられていない側の外側に向かう引っ張り力が加えられる。
【0034】
つまり、連続紙Pはコロ44によって図の左側に引っ張られ、転写ローラ24によって図の右側に引っ張られるので、連続紙Pに発生した皺が連続紙Pの幅方向に引き伸ばされて軽減される。また、連続紙Pは斜めに搬送されることがない。
【0035】
このため、例えば、図6に示すように、2台のプリンタ10を用いて、連続紙Pの両面に連続して印刷を行う場合、搬送方向上流側のプリンタ10で、感光体ドラム22から転写されたトナー像をフラッシュ定着装置40で連続紙Pに定着する際に、連続紙Pの収縮によって発生した皺が、搬送方向下流側のプリンタ10で、感光体ドラム22からトナー像が連続紙Pに転写される際に矯正される。
【0036】
したがって、搬送方向下流側のプリンタ10で、感光体ドラム22からトナー像を転写する際に、転写不良を引き起こさない。
【0037】
なお、前述したように、コロ44の軸44Aが搬送方向に対して成す角度は、連続紙Pの幅サイズによって決定される。本実施形態では、図5に示すように、転写ローラ24の長さとほぼ同じサイズ(L)の連続紙P(最大用紙)を用いており、コロ44の軸44Aが搬送方向に対して成す角度をθ°として説明したが、連続紙Pの幅サイズを小さくしたとき、コロ44の軸44Aが搬送方向に対して成す角度をθ°よりも大きくする。
【0038】
例えば、図7(A)に示すように、幅方向のサイズが最大用紙の3分の2(2/3L)の連続紙Pを用いるとき、連続紙Pの幅方向のコロ44が設けられていない側の端部に接触する転写ローラ24の外周部の周速が、最大用紙を用いるときと比較して遅いため、コロ44の軸44Aが搬送方向に対して成す角度を(θ+α)°とする。また、図7(B)に示すように、幅方向のサイズが最大用紙の半分(1/2L)の連続紙Pを用いるとき、連続紙Pの幅方向のコロ44が設けられていない側の端部に接触する転写ローラ24の外周部の周速が、最大用紙を用いるとき、また、最大用紙の3分の2の連続紙Pを用いるときと比較して遅いため、コロ44の軸44Aが搬送方向に対して成す角度を(θ+β)°とする。なお、ここではα<βとして説明している。
【0039】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については、第1の実施形態と同符号を付与し、その説明を省略する。
【0040】
図8に示すように、転写ローラ60は、両端から内側にかけて径が小さくされた形状とされ、内側には径が最小とされた縮径部60Aが設けられている。縮径部60Aは、片側基準のプリンタ10で使用される最小の連続紙Pの幅(最小用紙幅)の中心に位置している。
【0041】
この転写ローラ60が回転すると、内側よりも両端に向かうほど径が大きくなるため、転写ローラ60の外周面の外側(両端側)は、内側よりも周速が速くなる。つまり、転写ローラ60が回転したときの外周面の周速は、縮径部60Aから両端にかけて、徐々に速くなるように構成されている。
【0042】
また、前述したように、縮径部60Aは最小用紙幅の中心に位置しているため、転写ローラ60の端部の径は、コロ44が設けられた側よりもコロ44が設けられていない側の方が大きくされている。
【0043】
これにより、連続紙Pは、感光体ドラム22と転写ローラ24との間で、転写ローラ60によって幅方向のコロ44が設けられていない側の外側に向かう引っ張り力が加えられる。
【0044】
つまり、連続紙Pはコロ44によって図の左側に引っ張られ、転写ローラ60によって図の右側に引っ張られるので、連続紙Pに発生した皺が連続紙Pの幅方向に引き伸ばされて軽減される。また、連続紙Pは斜めに搬送されることがない。
【0045】
なお、本実施形態では、転写ローラ60の縮径部60Aが、最小用紙幅の中心に位置しているため、最小幅よりも幅サイズの大きい連続紙Pを用いた場合、転写ローラ60によって、連続紙Pは図の右側(コロ44が設けられていない側)に引っ張られる。このため、第1の実施形態と同様にして、転写ローラ60の搬送方向上流側にコロ44を設置した。図9に示すように、最小幅の連続紙を使用する場合には、連続紙Pの幅方向の端部に接触する転写ローラ60の径が、図の右側と左側とで等しくなるため、転写ローラ60の搬送方向上流側にコロ44を設けなくても、連続紙Pは転写ローラ60によって、図の右側と左側とに、ほぼ同じ大きさの引っ張り力が加えられ、連続紙Pに発生した皺が連続紙Pの幅方向に引き伸ばされて軽減される。
【0046】
したがって、連続紙Pの幅方向の長さの変更に伴い、コロ44の図の左側への張力を変更可能とする、又は、着脱が可能な構成とすることが好ましい。
【0047】
なお、転写ローラ60の外周はゴム等からなる。このため、転写ローラ60が連続紙Pを介して感光体ドラム22に接触しているとき、外周のゴム部分が感光体ドラム22の表面に倣うので、縮径部60Aと感光体ドラム22の間に隙間が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置を示す側面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置の転写部を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置に搭載されたコロを示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置の転写部を示す平面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置を2台用いて連続紙に両面印刷を行う様子を示す斜視図である。
【図7】本発明のその他の形態の画像記録装置の転写部を示す平面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る画像記録装置の転写部を示す平面図である。
【図9】本発明のその他の形態の画像記録装置の転写部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0049】
10 プリンタ(画像形成装置)
22 感光体ドラム(像保持体)
24 転写ローラ
36 ガイドローラ
44 コロ
60 転写ローラ
60A 縮径部(ローラ径の最小部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成される像保持体に対向して設けられ、前記像保持体との間で記録媒体を挟み込んで、前記記録媒体に該像保持体上の前記トナー像を転写する転写ローラを備えた画像形成装置において、
前記転写ローラは、前記記録媒体の幅方向に張力を付与する方向へローラ径が増大していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写ローラで張力が付与される側と反対側の前記記録媒体の幅方向の端部は、前記転写ローラの前記記録媒体の搬送方向の上流側に設けられたガイドローラと、前記ガイドローラと対向して設けられ該転写ローラで付与される方向と反対方向に該記録媒体に張力を付与するコロと、に挟持されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写ローラは、前記コロが設けられた側から反対側にかけて、ローラ径が大きくされていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写ローラは、両端から内側にかけてローラ径が縮径されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写ローラのローラ径の最小部は、最小記録媒体の幅方向の中心に位置していることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−216668(P2008−216668A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54429(P2007−54429)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】