説明

画像形成装置

【課題】印字後の排紙トレイ部からの用紙の落下を確実に防止し、ステープル処理を確実に行える画像形成装置を提供する。
【解決手段】装置本体の用紙後処理部の下流側に後処理後の記録用紙が排出される排紙トレイ部を配置し、印字要求時に、制御部では、要求ステープル処理内容(綴じ枚数とステープル数とステープル位置および排紙部数)とあらかじめ設定されたマシン動作停止設定区分に基いて印字処理を実行する。そして、本ステープル処理時に排紙トレイ上の積載部数が落下する前の規定値に達したときに、ジョブを一旦停止し、排紙トレイ上から用紙を取り除く旨のメッセージを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙後処理部を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の多機能化に伴い、印字された用紙を後処理する用紙後処理装置の開発が進んでいる。このような用紙後処理装置の機能としては、例えば、ステープル機能、パンチ穴開け機能、製本機能等がある。
【0003】
一方、従来の用紙後処理装置を備える画像形成装置においては、用紙後処理装置の下流側に排紙トレイ部を配置し、用紙後処理装置によってステープル処理を行うときには、この排紙トレイ部をステープル処理用の用紙受け部分として使用する構成となっている。
【0004】
また、このような排紙トレイ部では、ステープル処理内容(綴じ枚数とステープル数とステープル位置および排紙部数)によっては排紙用紙を積載することができず、排紙トレイ部から用紙が落下してしまうことになる。
【0005】
つまり、ステープルソータにおいて、ステープル時に用紙の角部に対するステープルを行なうが、排紙トレイ部上に積まれた量が過度の量であるとき、用紙が排紙トレイ部から崩れ落ちる場合がある。
【0006】
特許文献1には、印字開始前に、用紙が排紙トレイ部から落下すると判断された場合は、排紙トレイの伸張を促すメッセージを表示することが記載されている。
【特許文献1】特開2006-213467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1は、印字開始前に、用紙が排紙トレイ部から落下すると判断された場合のメッセージ表示であり、印字動作を開始した後に排紙用紙が排紙トレイ部から落下する場合の処理ではない。
【0008】
本発明は、上記に鑑み、印字要求時の要求内容に従って、印字後の排紙トレイ部からの用紙の落下を確実に防止するとともに、ステープル処理を確実に行うことができる画像形成装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、本ステープル処理時に排紙トレイ上の積載部数が落下する前の規定値に達したときに、ジョブを一旦停止し、排紙トレイ上から用紙を取り除く旨のメッセージを表示するものである。
【0010】
すなわち、本発明に係る画像形成装置は、用紙に画像を形成する印字部と、画像形成された用紙が排出されるステープルソータと、前記印字部およびステープルソータを制御する制御部とを備え、前記ステープルソータは、用紙束を針止めするステープラーを備え、前記ステープラーによるステープル時に、前記制御部は、排紙トレイ上の積載部数が落下する前の所定値に達したとき、印字動作を一旦停止させ、排紙トレイ上から用紙を取り除く旨のメッセージを報知することを特徴とする。
【0011】
具体的には、ステープル時に所定値の綴じ動作を終了し、排紙トレイへ所定値の記録用紙の排出を終了した時点で装置を停止させる。その後、排出した記録用紙を外部へ取り出させる取り出し要求報知信号を発生する構成とする。
【0012】
ここで、前記所定値は、ステープラーによるステープル数と排紙部数に基づいて決定する、ステープル位置と排紙部数に基づいて決定するのいずれであってもよい。さらに、これらに加えて、所定値は、ステープラーによる綴じ枚数に基づいて決定することができる。
【0013】
また、取り出し要求報知信号を発する手法としては、装置本体に設けられた液晶表示パネルに警告メッセージを表示する手法、認識用絵文字を表示する手法、LED等を点滅(または点灯)させる手法、電子ブザーを鳴動させる手法、などが考えられる。更には、通信回線を介して、予め登録された印字要求操作者や管理者に報知する手法などもある。
【0014】
このような取り出し要求報知信号を発することで、ユーザは、印字後の排紙トレイ部からの用紙の落下を確実に防止でき、印字後用紙の損傷を防ぐことが可能になる。また、ステープル処理を確実に行うことができる。
【0015】
そして、制御部は、排紙トレイ上の積載部数が落下する前の所定値に達して印字動作を一旦停止させた後、前記排紙トレイ上の積載部数が前記所定値よりも小さくなったとき、前記印字動作を再開し、前記排紙トレイへの記録用紙の排出を継続する。
【0016】
排紙トレイ上の積載部数が所定値よりも小さくなったことは、排紙トレイ上の用紙検出センサにより用紙の有無を検出したり、積載高さを検出することにより、所定値よりも小さいか否かを検出することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、印字要求時に、要求ステープル処理内容(綴じ枚数とステープル数とステープル位置および排紙部数)と、予め設定された装置の動作を停止する設定(所定値の設定)に基づき、印字処理を実行するので、印字後の用紙落下を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態では、本発明の用紙後処理部を備える画像形成装置を複合機に適用した場合について説明する。図1は、そのような複合機の内部構成の概略を示している。まず、この複合機の全体構成について説明する。
【0020】
図1に示すように、複合機1は、原稿読取手段としてのスキャナ部2と、画像形成部3と、原稿自動給紙部4と、用紙後処理手段としての用紙後処理部5とを備えている。なお、以下では、便宜上、複合機1のうち、用紙後処理部5および排紙トレイ8以外の部分を「装置本体」と称する。
【0021】
この複合機1は、記録用紙(OHP等の記録媒体を含む。)に画像を形成する画像形成モードとして、コピアモード、プリンタモード、FAXモードを有し、各モードはユーザによって選択される。以下、複合機1の各部についてまず説明し、その次に、本発明に係わる印字処理時の動作について説明する。
【0022】
(スキャナ部2の構成)
スキャナ部2は、透明なガラス等より成る原稿台41上に載置された原稿の画像や、原稿自動給紙部4により1枚ずつ給紙される原稿の画像を読み取って原稿画像データを作成する部分である。このスキャナ部2は、露光光源21、複数の反射鏡22、23、24、結像レンズ25、光電変換素子(CCD;Charge Coupled Device)26を備えている。
【0023】
露光光源21は、原稿自動給紙部4の原稿台41上に載置された原稿や、原稿自動給紙部4を搬送される原稿に対して光を照射するものである。各反射鏡22、23、24は、図1中、一点鎖線Aで光路を示すように、原稿からの反射光を、一旦、図1中、左方向に反射させた後、下方に反射させ、その後、結像レンズ25に向かうように、図1中、右方向に反射させるようになっている。
【0024】
原稿の画像読取動作には、次の2つがある。原稿台41上に載置された原稿を読み取る場合(「シート固定方式」として使用する場合)には、露光光源21および各反射鏡22、23、24が、原稿台41に沿って水平方向に走査して、原稿全体の画像を読み取ることになる。一方、原稿自動給紙部4を搬送される原稿を読み取る場合(「シート移動方式」として使用する場合)には、露光光源21および各反射鏡22、23、24が、図1に示す位置に固定され、後述する原稿自動給紙部4の原稿読取部42を原稿が通過する際にその画像を読み取ることになる。
【0025】
各反射鏡22、23、24で反射されて結像レンズ25を通過した光は、光電変換素子26に導かれ、この光電変換素子26において反射光が電気信号(原稿画像データ)に変換されるようになっている。
【0026】
(画像形成部3の構成)
画像形成部3は、印字手段としての画像形成系31と、用紙搬送系32とを備えている。
【0027】
画像形成系31は、レーザスキャニングユニット31aおよびドラム型の像担持体としての感光体ドラム31bを備えている。レーザスキャニングユニット31aは、光電変換素子26において変換された原稿画像データ、または、外部の端末装置等から入力された画像データに基づいたレーザ光を感光体ドラム31bの表面に照射するものである。感光体ドラム31bは、図1中、矢印で示す方向に回転し、レーザスキャニングユニット31aからのレーザ光が照射されることによってその表面に静電潜像が形成されるようになっている。
【0028】
また、感光体ドラム31bの外周囲には、レーザスキャニングユニット31aの他に、現像ユニット(現像機構)31c、転写ローラ31dを有する図示しない転写ユニット(転写機構)、クリーニングユニット(クリーニング機構)31e、図示しない除電器、帯電ローラ31fを有する図示しない帯電ユニット(帯電機構)が周方向にわたって順に配設されている。
【0029】
現像ユニット31cは、感光体ドラム31bの表面に形成された静電潜像をトナー(顕像化物質)により可視像に現像するものである。転写ローラ31dは、感光体ドラム31bの表面に形成されたトナー像を記録媒体としての記録用紙に転写するものである。クリーニングユニット31eは、トナー転写後において感光体ドラム31bの表面に残留したトナーを除去するものである。除電器は、感光体ドラム31bの表面の残留電荷を除去するものである。帯電ローラ31fは、静電潜像が形成される前の感光体ドラム31bの表面を所定の電位に帯電させるものである。
【0030】
記録用紙に画像を形成する際には、帯電ローラ31fによって感光体ドラム31bの表面が所定の電位に帯電され、レーザスキャニングユニット31aが原稿画像データに基づいたレーザ光を感光体ドラム31bの表面に照射する。その後、現像ユニット31cが感光体ドラム31bの表面にトナーによる可視像を現像し、転写ローラ31dによって、トナー像が記録用紙に転写される。さらに、その後、感光体ドラム31bの表面に残留したトナーはクリーニングユニット31eによって除去されるとともに、感光体ドラム31bの表面の残留電荷が除電器によって除去される。これにより、記録用紙への画像形成動作(印字動作)の1サイクルが終了する。このサイクルが繰り返されることにより、複数枚の記録用紙に対して連続的に画像形成を行うことができるようになっている。
【0031】
一方、用紙搬送系32は、給紙手段としての用紙カセット33に収納された記録用紙、または手差トレイ34に載置された記録用紙を1枚ずつ搬送して画像形成系31による画像形成を行わせるとともに、画像形成された記録用紙を排紙手段としての排紙トレイ8へ、後述する用紙後処理部5を経由して排出するものである。排紙トレイ8は、用紙カセット33の上方であってスキャナ部2の下方に設けられている。排紙トレイ8については、詳しくは後述する。
【0032】
用紙搬送系32は、装置本体における主搬送路36、反転搬送路37と、図2に示す用紙後処理部5における主搬送路51、スイッチバック搬送路52とを備えている。装置本体の主搬送路36と用紙後処理部5の主搬送路51とは、装置本体の排出ローラ36eを境に互いに繋がっている。用紙後処理部5の主搬送路51とスイッチバック搬送路52については、後述する。そして、複合機1において、記録用紙は、いわゆる中央基準で用紙搬送系32を搬送される。つまり、記録用紙は、その幅方向(記録用紙の搬送方向に直交する方向)における中央位置を基準として搬送される。
【0033】
装置本体の主搬送路36の一端側は、2つに分岐されており、一方の分岐端は用紙カセット33の排出側に対向しているとともに、他方の分岐端は手差トレイ34の排出側に対向している。また、主搬送路36の他端側は、用紙後処理部5のパンチングユニット60に対向している。反転搬送路37は、一端側が転写ローラ31dの配設位置よりも上流側(図1中、下側)で主搬送路36に繋がっているとともに、他端側が転写ローラ31dの配設位置よりも下流側(図1中、上側)で主搬送路36に繋がっている。
【0034】
主搬送路36の一方の分岐端(用紙カセット33の排出側に対向する部分)には、断面が半円状のピックアップローラ36aが配設されている。このピックアップローラ36aの回転により、用紙カセット33に収納されている記録用紙を1枚ずつ間欠的に主搬送路36に給紙できるようになっている。同様に、主搬送路36の他方の分岐端(手差トレイ34の排出側に対向する部分)には、断面が半円状のピックアップローラ36bが配設されている。このピックアップローラ36bの回転により、手差トレイ34に載置されている記録用紙を1枚ずつ間欠的に主搬送路36に給紙できるようになっている。
【0035】
この主搬送路36における転写ローラ31dの配設位置よりも上流側には、レジストローラ36dが配設されている。このレジストローラ36dは、感光体ドラム31b表面のトナー像と記録用紙との位置合わせを行いながら記録用紙を搬送するものである。
【0036】
主搬送路36における転写ローラ31dの配設位置よりも下流側には、記録用紙に転写されたトナー像を加熱により定着させるための一対の加熱ローラ39a、加圧ローラ39bを備えた定着ユニット39が配設されている。さらに、主搬送路36の下流端には、記録用紙を用紙後処理部5に排出するための排出ローラ36eが、用紙後処理部5の主搬送路51との境に配設されている。
【0037】
主搬送路36に対する反転搬送路37の上流端の接続位置には、分岐爪38が配設されている。この分岐爪38は、図1中、第1位置(実線で示す位置)と、この第1位置から、図1中、反時計回り方向に回動して反転搬送路37を開放する第2位置との間で水平軸回りに回動自在となっている。この分岐爪38が第1位置にあるときには、記録用紙が用紙後処理部5の主搬送路51に向けて搬送され、第2位置にあるときには、記録用紙が反転搬送路37へ供給可能となっている。
【0038】
反転搬送路37には、搬送ローラ37aが配設されており、用紙後処理部5におけるスイッチバック搬送路52でスイッチバックされた記録用紙が、反転搬送路37に供給された場合には、この搬送ローラ37aによって記録用紙が搬送され、レジストローラ36dの上流側で記録用紙が主搬送路36に導入されて、再び転写ローラ31dに向かって主搬送路36を搬送されるようになっている。つまり、記録用紙の裏面に対して画像形成が行えるようになっている。
【0039】
(原稿自動給紙部4の構成)
原稿自動給紙部4は、いわゆる自動両面原稿搬送装置として構成されている。この原稿自動給紙部4は、シート移動式として使用可能であって、原稿載置部としての原稿トレイ43、中間トレイ44、原稿排出部としての原稿排紙トレイ45、および各トレイ43、44、45間で原稿を搬送する原稿搬送系46を備えている。
【0040】
原稿搬送系46は、原稿トレイ43に載置された原稿を、原稿読取部42を経て中間トレイ44または原稿排紙トレイ45へ搬送するための主搬送路47と、中間トレイ44上の原稿を主搬送路47に供給するための副搬送路48とを備えている。
【0041】
主搬送路47の上流端(原稿トレイ43の排出側に対向する部分)には、原稿ピックアップローラ47aおよび捌きローラ47bが配設されている。また、捌きローラ47bの下側には、捌き板47cが配設されている。原稿ピックアップローラ47aの回転に伴って、原稿トレイ43上の原稿のうちの1枚が、捌きローラ47bと捌き板47cとの間を通過して主搬送路47に給紙されるようになっている。主搬送路47と副搬送路48との合流部分(図1中、Bの部分)よりも下流側には、PSローラ47e、47eが配設されている。このPSローラ47e、47eは、原稿の先端とスキャナ部2の画像読取タイミングとを調整して原稿を原稿読取部42に供給するものである。つまり、PSローラ47e、47eは、原稿が供給された状態でその原稿の搬送を一旦停止し、前記タイミングを調整して、原稿を原稿読取部42に供給するようになっている。
【0042】
原稿読取部42は、プラテンガラス42aと原稿押え板42bとを備え、PSローラ47e、47eから供給された原稿がプラテンガラス42aと原稿押え板42bとの間を通過する際に、露光光源21からの光がプラテンガラス42aを通過して原稿に照射されるようになっている。この際、スキャナ部2による原稿画像データの取得が行われる。原稿押え板42bの背面(上面)には、図示しないコイルスプリングによる付勢力が付与されている。これにより、原稿押え板42bがプラテンガラス42aに対して所定の押圧力をもって接触し、原稿が原稿読取部42を通過する際に、プラテンガラス42aから浮き上がることを阻止している。
【0043】
プラテンガラス42aの下流側には、搬送ローラ47fおよび原稿排紙ローラ47gが備えられている。プラテンガラス42a上を通過した原稿が搬送ローラ47fおよび原稿排紙ローラ47gを経て、中間トレイ44または原稿排紙トレイ45へ排紙されるようになっている。
【0044】
原稿排紙ローラ47gと中間トレイ44との間には、中間トレイ揺動板44aが配設されている。この中間トレイ揺動板44aは、中間トレイ44側の端部が揺動中心とされて、図1中、ポジション1(実線で示す位置)と、このポジション1から上方へ跳ね上げられたポジション2との間で揺動可能となっている。中間トレイ揺動板44aがポジション2にある場合には、原稿排紙ローラ47gから排紙された原稿は原稿排紙トレイ45へ回収される。一方、中間トレイ揺動板44aがポジション1にある場合には、原稿排紙ローラ47gから排紙された原稿は中間トレイ44へ排出されるようになっている。この中間トレイ44への排紙時には、原稿の端縁が原稿排紙ローラ47g、47g間に挟持された状態となっており、この状態から原稿排紙ローラ47gが逆回転することによって原稿が副搬送路48に供給され、この副搬送路48を経て、再び主搬送路47に送り出されるようになっている。この原稿排紙ローラ47gの逆回転動作は、主搬送路47への原稿の送り出しと画像読取タイミングとを調整して行われる。これにより、原稿の裏面の画像が原稿読取部42によって読み取られるようになっている。
【0045】
(用紙後処理部5および排紙トレイ部8の構成)
用紙後処理部5は、印字処理の終了後に装置本体から排出される記録用紙に対して、パンチング処理、ステープル処理等の複数の用紙後処理を可能とするものである。このような用紙後処理部5における用紙後処理は、後述するように、印字要求の際、印字条件として用紙後処理の要求があったときに行われる。
【0046】
この例では、用紙後処理部5および排紙トレイ8を、複合機1の装置本体の外部へ設けるのではなく、装置本体によって形成される空間Cを利用して設けるようにしている。具体的には、複合機1の装置本体では、用紙カセット33と、画像形成部3(画像形成系31)と、スキャナ部2とが略「コ」字状に配置されており、この装置本体によって形成されている「コ」字状の内部の空間Cに用紙後処理部5および排紙トレイ8を設けるようにしている。これにより、複合機1内の限られたスペースに用紙後処理部5および排紙トレイ8を設置でき、記録用紙に対する複数の用紙後処理を行うことができる。また、用紙後処理部5を備えた複合機1の占有面積を抑え、省スペース化を図ることが可能となる。
【0047】
以下、用紙後処理部5および排紙トレイ8について、図2〜図6を用いて詳しく説明する。なお、記録用紙の搬送方向(図3に示す方向)を「用紙搬送方向」と称し、これに直交する記録用紙の幅方向(図3に示す方向)を「用紙幅方向」と称する。
【0048】
図2に示すように、用紙後処理部5は、装置本体の排出ローラ36eの下流側に配置されている。用紙後処理部5には、用紙後処理ユニットとして、パンチ穴開け機能を備えるパンチングユニット60と、ステープル機能を備えるステープルユニット70とが備えられている。用紙後処理部5の前面(手前側の面)は、開閉可能なカバー50により覆われている。そして、用紙後処理部5においては、パンチングユニット60が上流側に配置され、ステープルユニット70が下流側に配置されている。用紙後処理部5の下流側には、排紙トレイ8が設けられている。排出ローラ36eから排出される記録用紙は、パンチングユニット60、ステープルユニット70を経て排紙トレイ8に排出される。この排紙トレイ8は、用紙後処理部5のステープルユニット70によってステープル処理を行うときには、ステープル処理用の用紙受け部分として使用される。
【0049】
(パンチングユニット60の構成)
パンチングユニット60は、排出ローラ36eから排出される記録用紙に対してパンチ穴開けの処理(パンチング処理)を行うものである。パンチングユニット60には、パンチ穴開け機構部61、ガイド板62、パンチ屑収納ボックス63等が備えられている。また、上述した用紙搬送系32として、主搬送路51が形成されている。パンチングユニット60には、主搬送路51の途中に搬送ローラ56が設けられている。なお、パンチングユニット60は、後述するステープルユニット70とは異なり、装置本体に固定されている。
【0050】
パンチングユニット60では、印字要求の際、印字条件としてパンチング処理の要求があった場合には、パンチングユニット60に搬送されてきた記録用紙をガイド板62上で停止させ、1枚毎にパンチ穴開け機構部61によりパンチ穴を開ける。このとき、印字用紙サイズを基に決定される位置にパンチ穴を開けるようにしている。
【0051】
パンチ穴開け機構部61は、パンチングユニット60の上部に配置されており、パンチ穴開け機構部61には、パンチ穴の径と一致する径の芯材64が用紙幅方向に沿って所定の間隔で2箇所に設けられている。芯材64は、上下に昇降可能に設けられており、芯材64が下降する際に記録用紙に対してパンチ穴を開口する。また、芯材64は、用紙搬送方向に沿う方向および用紙幅方向に沿う方向にそれぞれ往復移動可能に設けられており、後述するように、パンチング処理を行う際の位置合わせが可能となっている。
【0052】
ガイド板62は、パンチ穴開け機構部61の下方に配置されており、ガイド板62には、パンチ穴を開ける所定位置に対応する開口部が形成されている。パンチ屑収納ボックス63は、パンチングユニット60の下部に配置されており、パンチ屑収納ボックス63によりパンチ穴開け処理によって生じたパンチ屑を回収するようにしている。パンチ屑収納ボックス63は、用紙幅方向に沿ってスライド可能に設けられており、後述するように、カバー50を開けたとき、手前側に取り出すことが可能となっている。これにより、パンチ屑収納ボックス63内に収納されるパンチ屑を取り出すことができる。
【0053】
パンチングユニット60でパンチング処理を行う際には、上述の印字用紙サイズを基に決定された位置に対応する位置にパンチ穴開け機構部61の芯材64を移動するようにしている。
【0054】
加えて、上述の印字用紙サイズを基に決定された位置に正確にパンチ穴を開けることができるように、パンチングユニット60のパンチ穴開け機構部61の芯材64の微調整移動を行うようにしているが、この微調整移動については説明を省略する。
【0055】
(ステープルユニット70の構成)
ステープルユニット70は、上流側のパンチングユニット60から搬送される記録用紙に対してステープル処理を行うものである。ステープルユニット70は、カバー50を上開きで手前に開けたとき、用紙搬送方向に沿う方向にスライド可能に設けられている。また、ステープルユニット70は、後述するように、ステープルユニット70の上流側に配置されているパンチングユニット60に対して係脱可能に設けられている。
【0056】
ステープルユニット70には、ステープル機構部71、ステープル台72、整合板73、排紙ローラ74等が備えられている。また、上述した用紙搬送系32として、主搬送路51およびスイッチバック搬送路52が形成されている。ステープルユニット70には、主搬送路51の下流側とスイッチバック搬送路52の上流側との接続位置には、記録用紙を案内する方向を切り替える分岐爪53と、記録用紙をステープル台72に排出する排出ローラ54が設けられている。また、スイッチバック搬送路52の下流側には、スイッチバックローラ55が設けられている。
【0057】
ステープルユニット70では、印字要求の際、印字条件としてステープル処理の要求があった場合には、ステープル台72に積載される所定枚数の記録用紙に対して、ステープル機構部71によりステープル処理を施す。このとき、印字用紙サイズおよび所望ステープル位置を基に決定される位置にステープル処理を施すようにしている。所望ステープル位置は、例えば、記録用紙の左上隅部に1箇所止めとか、左端部に2箇所止めとかというように、ユーザの所望するステープル処理を施す位置のことである。
【0058】
ステープル機構部71は、排出ローラ54の下方に配置されており、ステープル台72上に積載される記録用紙の後端部をステープル針で綴じるものである。ステープル機構部71は、用紙幅方向に沿って往復移動可能に構成されており、上述の印字用紙サイズおよび所望ステープル位置を基に決定された位置にステープル処理を施すことができるようになっている。ステープルユニット70でステープル処理を行う際には、上述の印字用紙サイズおよび所望ステープル位置を基に決定された位置に対応する位置にステープル機構部71を移動する。
【0059】
ステープル台72は、排出ローラ54から排出される記録用紙を積載するものであり、ステープル機構部71によるステープル処理用の処理台となるものである。ステープル台72は、用紙搬送方向下流側を上方に傾けて配置されている。排出ローラ54から排出される記録用紙は、ステープル処理が行われる場合には、自重によりステープル台72の傾斜に沿って用紙搬送方向上流側へ滑り落ちる。一方、ステープル処理が行われない場合には、記録用紙は、排紙ローラ74から排紙トレイ8に排出される。
【0060】
整合板73は、ステープル台72の上面(記録用紙が排出される面)の用紙幅方向に沿う方向の両サイドに対向して配置されている。一対の整合板73は、用紙幅方向に沿って往復移動可能に設けられている。そして、ステープルユニット70でステープル処理を行う場合に、整合板73を用紙幅方向に沿って移動させることで、ステープル台72上に排出される記録用紙1枚毎に用紙幅方向の整合を行うようにしている。このとき、印字用紙サイズを基に、つまり、搬送される記録用紙のサイズを基に決定される可動幅に応じて整合板73を動かすようにしている。一対の整合板73の往復移動は、例えば、ラックピニオン機構により可能となっている。
【0061】
(排紙トレイ8の構成)
排紙トレイ8は、複合機1の装置本体によって形成されている「コ」字状の内部の空間Cに、上述した用紙後処理部5とともに設けられている。排紙トレイ8には、用紙後処理部5において、パンチング処理、ステープル処理等の用紙後処理が施された記録用紙が排出される。排紙トレイ8は、用紙搬送方向(記録用紙の排出方向)に沿って伸縮可能に設けられている。また、上下に昇降可能に設けられている。さらに、装置本体に対してスライド可能に設けられている。
【0062】
図3、図5に示すように、排紙トレイ8は、用紙搬送方向に沿う方向に、1段〜3段に伸縮可能なトレイとして形成されている。この例では、排紙トレイ8は、印字用紙サイズに応じて、用紙搬送方向に沿ってユーザが手動で伸縮できるように構成されている。
【0063】
排紙トレイ8には、第1排紙トレイ81と第2排紙トレイ82と第3排紙トレイ83とが備えられている。第1排紙トレイ81は、最も大きなサイズのトレイであり、最も用紙後処理部5寄りに配置されている。第1排紙トレイ81は、複合機1の側面(側壁)から突出しない長さに形成されている。この第1排紙トレイ81は、装置本体に一体的に取り付けられており、用紙搬送方向に沿う方向への移動が不可能な構造となっている。
【0064】
第2排紙トレイ82は、中間サイズのトレイであり、第1排紙トレイ81に形成されている収納部分81aに収納されている。この第2排紙トレイ82は、用紙搬送方向に沿う方向への進退移動が可能に設けられている。第3排紙トレイ83は、最も小さなサイズのトレイであり、第2排紙トレイ82に形成されている収納部分82aに収納されている。この第3排紙トレイ83は、用紙搬送方向に沿う方向への進退移動が可能に設けられている。
【0065】
図3に示すように、排紙トレイ8を1段のみに収縮させた状態では、排紙トレイ8の用紙搬送方向に沿う方向の長さが最小となっており、第3排紙トレイ83が第2排紙トレイ82に全て収納されており、この第2排紙トレイ82が第1排紙トレイ81に全て収納されている。このとき、排紙トレイ8の用紙搬送方向に沿う方向の長さは、第1排紙トレイ81の用紙搬送方向に沿う方向の長さと等しく、複合機1の側面から突出しない長さとなっている。このように、排紙トレイ8を、最も収縮した状態で、装置本体から突出しないようにすることで、複合機1を使用していないときには、排紙トレイ8を装置本体の空間に収納することができるようにしている。
【0066】
これに対して、図5に示すように、排紙トレイ8を3段に伸張させた状態では、排紙トレイ8の用紙搬送方向に沿う方向の長さが最大となっており、第1排紙トレイ81から第2排紙トレイ82が最大限突出しており、この第2排紙トレイ82から第3排紙トレイ83が最大限突出している。このとき、排紙トレイ8の用紙搬送方向に沿う方向の長さは、複合機1で印字可能な最大サイズ(例えば、A3横サイズ)の記録用紙の用紙搬送方向長さよりも長くなっている。これにより、排紙トレイ8を最大長さまで伸ばしたときには、印字可能な最大サイズ(A3横サイズ)の記録用紙であっても安定して積載することができる。後述するように、排紙トレイ8はステープルユニット70とともにスライド可能となっているが、記録用紙が積載されている状態で排紙トレイ8をスライドさせたとしても、記録用紙は排紙トレイ8から落ちることがなくなる。
【0067】
上述のように、排紙トレイ8が用紙搬送方向に沿う方向に伸縮可能に設けられているので、排紙トレイ8を印字用紙サイズに応じて最適な長さに調節して使用することができる。
【0068】
また、第2排紙トレイ82の上面には、その基端部近傍に開口部82aが形成されおり、その開口部82aから上方に突出するように、第1用紙検知センサ91の作動杆91aが配置されている。この作動杆91aは、常に上方に突出するように付勢されており、第2排紙トレイ82が第1排紙トレイ81に収納された場合には、第1排紙トレイ81の内壁上面によって作動杆91aが下方に押し下げられるようになっている。そして、第2排紙トレイ82が第1排紙トレイ81から完全に引き出されたとき(図5に示す状態のとき)、作動杆91aが開口部82aから上方に突出した通常の位置に回動復帰するようになっている。本実施形態では、第1用紙検知センサ91は、作動杆91aが上方に突出している状態のときにオフ、作動杆91aが第1排紙トレイ81の内壁上面によって下方に押し下げられているときにオンとなるように設けられている。
【0069】
同様に、第3排紙トレイ83の上面には、その基端部近傍に開口部83aが形成されおり、その開口部83aから上方に突出するように、第2用紙検知センサ92の作動杆92aが配置されている。この作動杆92aは、常に上方に突出するように付勢されており、第3排紙トレイ83が第2排紙トレイ82に収納された場合には、第2排紙トレイ82の内壁上面によって作動杆92aが下方に押し下げられるようになっている。そして、第3排紙トレイ83が第2排紙トレイ82から完全に引き出されたとき(図5に示す状態のとき)、作動杆92aが開口部83aから上方に突出した通常の位置に回動復帰するようになっている。本実施形態では、第2用紙検知センサ92は、作動杆92aが上方に突出している状態のときにオフ、作動杆92aが第2排紙トレイ82の内壁上面によって下方に押し下げられているときにオンとなるように設けられている。
【0070】
すなわち、これら第1用紙検知センサ91および第2用紙検知センサ92は、それぞれのトレイ82,83が引き出されている状態ではオフであり、この状態でそれぞれのトレイ82,83に印字後の記録用紙が排出されて積載されたとき、積載された記録用紙によって作動杆91a,92aが下方に押し下げられる結果、オンとなる。そして、印字後の記録用紙がユーザによって排紙トレイ8から取り出されると、再びオフするようになっている。これにより、排紙トレイ8上の記録用紙の有無を検知することが可能となる。
【0071】
また、これら第1および第2用紙検知センサ91,92は、印字開始前において、第2排紙トレイ82および第3排紙トレイ83が引き出されているか否かを検知する伸縮検知センサとしても利用することができる。すなわち、印字開始前において第1用紙検知センサ91がオンである場合には、第2排紙トレイ82が第1排紙トレイ81から引き出されていないと判断でき、第1用紙検知センサ91がオフである場合には、第2排紙トレイ82が第1排紙トレイ81から引き出されていると判断できる。また、印字開始前において第2用紙検知センサ92がオンである場合には、第3排紙トレイ83が第2排紙トレイ82から引き出されていないと判断でき、第2用紙検知センサ92がオフである場合には、第3排紙トレイ83が第2排紙トレイ82から引き出されていると判断できる。
【0072】
また、図3、図4に示すように、排紙トレイ8は、上下方向に昇降可能なトレイとして形成されている。この例では、排紙トレイ8は、積載される記録用紙の量(枚数)に応じて、昇降するように構成されている。
【0073】
排紙トレイ8に排出される記録用紙の量は、下側の排紙ローラ74の近傍に設けられている上限センサ84によって検出される。この上限センサ84は、接触式のセンサとして設けられている。そして、排紙トレイ8上に積載される記録用紙の最上位面が所定の高さに達すると、上限センサ84がオンとなる。これにより、排紙トレイ8の満杯が検出される。すると、この満杯検出によって排紙トレイ8を所定の距離だけ下降する。この排紙トレイ8の下降により、上限センサ84がオフとなる。このように、上限センサ84がオン/オフが切り替わることで、排紙トレイ8上に積載される記録用紙の量を検出している。この例では、排紙トレイ8のホームポジションを、排紙トレイ8の最上昇位置(図3に示す位置)とし、排紙トレイ8の上流側の端部が排紙ローラ74の直下に配置されている。そして、積載される記録用紙の量が増えるほど、排紙トレイ8を次第に下降させるようにしている。なお、上限センサ84を光学式のセンサとして設けてもよい。
【0074】
排紙トレイ8は、上述したように、伸縮可能に設けられているが、その昇降移動の際には、第1排紙トレイ81が昇降することで、この第1排紙トレイ81とともに第2排紙トレイ82および第3排紙トレイ83が昇降するように構成されている。
【0075】
第1排紙トレイ81の昇降は、例えば、次のようにして行われる。第1排紙トレイ81の奥側には、第1排紙トレイ8を昇降移動するための駆動部85が設けられている。この駆動部85には、駆動ベルト(図示せず)が収納されており、駆動ベルトは、配線86により接続されている図示せぬ駆動電源により駆動可能となっている。駆動部85には、第1排紙トレイ81の先端部を支持する支持部材が連結されている。支持部材は、駆動ベルトを駆動することで上下に往復移動するように設けられている。
【0076】
そして、このような支持部材を介して、駆動部85の駆動ベルトの動力が第1排紙トレイ81に伝達され、これにより、第1排紙トレイ81が昇降移動する。また、第1排紙トレイ81の下部には、第1排紙トレイ81を支持するアーム88が設けられている。アーム88は、第1排紙トレイ81と底部89との間に配置されている。そして、アーム88は、L字状に屈曲して設けられており、その屈曲角度が可変となっている。このアーム88の屈曲角度は、第1排紙トレイ81の昇降位置にしたがって変化する。なお、第1排紙トレイ81の用紙後処理部5寄りの端部には、突起が設けられている。この突起は、用紙後処理部5に設けられている上下に長く伸びる溝部と係合し、溝部内をスライド可能となっている。
【0077】
(制御部の構成)
図7は、前記構成の複合機1の画像形成プロセスを制御する回路基板及び外部機器からの画像データを受け入れるインターフェイス基板等を収容した制御部の主要部の構成を示す機能ブロック図である。
【0078】
制御部90は、中央演算処理装置であるCPU911を中心として、画像情報受信部912、原稿読取り部913、画像処理部914、操作部(入力/表示部)915、駆動部916、給紙部917、印字部918、排紙部919、後処理部920、及び温度制御部921、により構成されている。更には、通信部922、ハードディスク(HD)923、および管理部924を備えている。
【0079】
操作部915は、各種入力キーなどを備えた入力部とLCDなどの表示部とを有しており、入力部から装置の操作や条件を入力し、また、表示部では、これらの条件などを表示する。
【0080】
制御部は、デジタル複合機を構成する各部の動作を監視すると共に、複合機として的確な動作を行うように装置全体を制御する。
【0081】
通信部922は、ネットワーク上に設置されたパーソナルコンピュータなどのクライアントマシン間との通信を制御する。ハードディスク923は、各入力手段(入力経路:デジタル複合機として搭載された各モード、例えば、スキャナ、ファックス、ネットワークなど)から入力された画像データを記憶する画像データ記憶手段として機能する。画像データ記憶手段は、磁気記憶媒体を備えた記憶装置として構成することができる。
【0082】
管理部924は、前記制御部90における装置各部の制御に必要な情報などを管理している。
【0083】
本実施形態に係るデジタル複合機を複写機として利用する場合には、原稿読取り部913にて読み取られた原稿の画像データが、画像処理部914から複写物として出力される。
【0084】
原稿読取り部913にはCCDが備えられており、読み取り位置にセットされた原稿の画像を電子的に読み取ることができる。読み取られた原稿の画像データは、揮発性のメモリ上に出力画像として完成され、一旦ハードディスク923へ記憶される。原稿が複数ある場合は、この読み取り、記憶の動作が繰り返される。
【0085】
その後、操作部915から指示された処理モードに基づいて、ハードディスク923に記憶された画像データが適切なタイミングで順次読み出され揮発性のメモリに送られる。そして、印字部918への書き込みタイミングに合わせて画像データがメモリから印字部918へと転送される。
【0086】
また、読み取った画像データを複数枚印字する場合も、同様に出力画像としてページ単位でハードディスク923へ記憶され、出力するモードに合わせてハードディスク923から揮発性メモリに送られ、出力枚数の分だけ繰り返し書き込みタイミングに合わせて印字部918へ転送される。
【0087】
次に、本実施形態に係るデジタル複合機をプリンタとして利用する場合には、通信部922にて受信した画像データがメモリなどを介して画像処理部914から出力される。 通信部922は、通信ケーブルなどによりネットワークと接続されており、ネットワーク上に接続された外部装置としてのパーソナルコンピュータなどの機器から画像データを受信するようになっている。
【0088】
通信部922にて受信された画像データは、出力する画像データとしてページ単位にメモリに送られ、一旦ハードディスク923へ記憶される。そして、再びハードディスク923から揮発性のメモリに送られ、複写機として利用する場合と同様にして印字部918へと転送される。
【0089】
また、本実施形態に係るデジタル複合機をネットワークスキャナとして利用する場合には、原稿読み取り部913において読み取られた原稿の画像データを、通信部922からネットワークを介して外部装置としての任意のパーソナルコンピュータへ送信することができる。ここでも原稿読み取り部913に備えられたCCDにより原稿の画像を電子的に読み取る。
【0090】
そして、読み取られた原稿の画像データは、揮発性のメモリ上に出力画像として完成され、一旦ハードディスク923へ記憶される。そして、再びハードディスク923から揮発性のメモリに送られ、操作部915を介して指示された送信先との通信を確立させた上で通信部922から目的の送信先へと送信される。
【0091】
さらに、通信部922は、ネットワーク以外に電話回線と接続されており、本実施形態に係るデジタル複合機をファクシミリ装置として利用する場合にも同様の動作が行われ、外部通信装置との原稿画像の送信および受信が可能である。
【0092】
なお、ここでは画像データを一時的に保存する記憶装置としてハードディスク923を備えたデジタル複合機として説明しているが、これに限らず、装置本体から取り外されても保存された画像データを保持することができる不揮発性のメモリや、バックアップ機能の付いたメモリ、磁気記憶媒体を用いたその他の記憶装置(媒体)などを備えている場合についても同様に適用することが可能である。
【0093】
また、本実施形態に係るデジタル複合機の各構成部は、制御部90により制御され、操作部915に設けられたタブレット、キー群などの入力部からの操作指示を監視すると共に、表示部を介してデジタル複合機の状態に関する情報など利用者に通知すべき情報を的確に案内表示する。
【0094】
また、管理部924には、機器制御部により管理されている各構成部に関する情報が管理されており、これら情報をもとに、制御部90がデジタル複合機全体の動作を制御する。
【0095】
次に、前記制御部90による印字要求時の印字処理動作について、図8に示すフローチャートを参照して説明する。
【0096】
ユーザが、装置本体の液晶表示パネル等の操作部915を操作して各種印字内容(用紙種類、綴じ枚数とステープル数とステープル位置および排紙部数理等)を設定し、印字要求を行うと(ステップS1)、制御部90は、まず印字用紙のステープル処理要求があるか否かを確認する(ステップS2)。
【0097】
その結果、ステープル処理要求がある場合(ステップS2でYesと判断された場合)には、次に、管理テーブルと比較し排紙トレイから印字済用紙が落下しない処理要求かどうかを判断する(ステップS3)。その結果、排紙トレイから落下しない処理要求である場合(ステップS3でYesと判断された場合)には、そのまま印字処理を開始し(ステップS4)、最後まで印字処理を行うと(ステップS5でYesと判断されると)、次の印字要求があるまで待機状態に復帰する。
【0098】
一方、ステップS2において、ステープル処理要求が無い場合(Noと判断された場合)、そのまま印字処理を開始し(ステップS4)、最後まで印字処理を行うと(ステップS5でYesと判断されると)、次の印字要求があるまで待機状態に復帰する。
【0099】
一方、ステープル処理要求がある場合であって、管理テーブルと比較し排紙トレイから印字済用紙が落下する処理要求である場合(ステップS3でNoと判断された場合)には、そのまま印字処理を開始し(ステップS6)し、管理テーブルで設定された排紙トレイ上の積載部数が落下前の所定値に達した場合(ステップS7でYesと判断された場合)には印字処理を停止する(ステップS8)。
【0100】
その後、印字済用紙を取り除く要求報知信号を発信する(ステップS9)。要求報知信号は、図9(A)のように、操作部915の表示部915aに“排紙トレイの用紙を取り除いてください”とか、絵文字表現で落下危険の内容であるもの等である。また 通信部922を介して接続された外部通信装置であるPC(パーソナルコンピューター)に前記のような信号を発信する。
【0101】
次に、要求報知信号に対し、ユーザが排紙トレイ上の印字済用紙を取り除いたか判断する(ステップS10)。これは排紙トレイに設けられた用紙の有無センサー(図示略)からの信号で容易に判断できる。
【0102】
排紙トレイ上の印字済用紙が取り除かれた場合(ステップS10でYesと判断された場合)にはステップS11に進み印字処理を再開する。
【0103】
一方、排紙トレイ上の印字済用紙が取り除かれない場合(ステップS10でNoと判断された場合)にはステップS9に進み印字済用紙を取り除く要求報知信号を発信する。
【0104】
なお、ステップS10は、印字済み用紙の積載部数が所定値以上になって、排紙トレイから落下するのを防止するためのものであるため、印字済み用紙の積載高さが所定値か否かを検出できればよい。したがって、前記用紙有無センサーのみならず、受発光素子からなる積載高さ検出センサーなどを用い、排紙トレイに積載された印字済み用紙の一部を取り除いて、その積載高さが所定値以下になった場合でも、ステップ11の印字処理を再開するようにしてもよい。
【0105】
また、ステップS11に進み印字処理を再開した後、印字要求の全てが印刷されたか判断する(ステップS12)。ステップS12でYesと判断されると、次に、印字ジョブがあるか判断する(ステップS13)。そして、最後まで印字処理を行うと(ステップS13でNoと判断されると)、次の印字要求があるまで待機状態に復帰する。
【0106】
図9に操作部915に表示した印字済用紙を取り除く要求報知例を示す。同図(A)は操作部915の表示部915aに「排紙トレイから用紙を取り除いてください」とメッセージ表示を行っている例である。同図(B)は、ステープル処理が用紙の片側に片寄るため、積載用紙が排紙トレイに対して傾き、用紙が落下するおそれがある場合のメッセージ表示である。この場合、表示部915aに「排紙トレイから用紙が落下する可能性があります」と警告表示している。
【0107】
図9(A)(B)の例では、いずれも操作部915の表示部915aに要求報知した例であるが、これに限らず、通信部922を介してネットワーク上に接続されたパーソナルコンピュータなどの機器に報知信号を送出するようにしてもよい。
【0108】
図10は管理テーブルの例を示す。この管理テーブルは、ステープル処理内容と動作停止の所定値とを規定する管理テーブルである。左から右に向かって第1欄から第4欄が順に配列されている。第1欄はステープル状態を示す。ステープル状態は、ステープル位置(奥、中央、前、中とじステープル)、ステープル数(1点、2点)、ステープル方向(斜め、平行)、用紙に対する綴じ方(左開き(左とじ)、右開き(右とじ))を規定する。それぞれのステープル状態は、図10(b)の絵文字表示となる。
【0109】
第2欄は用紙(通紙)サイズを示す。「A4」サイズ、「B4」サイズなどが例示できる。第3欄は1束枚数を示し、第4欄に落下しない排紙トレイ積載部数を示す。例えば、奥1点(斜め)左とじでA4サイズの1束を3枚とした場合、排紙トレイ積載部数としては150部が限度であり、これを超えると落下するおそれがある。
【0110】
したがって、制御部90では、排紙トレイ積載部数が150部を超えるとき、印字動作を停止するなどの装置の動作を停止し、かつ操作部915の表示部915aに警告のメッセージ表示を行う。積載部数が所定値を超えるか否かの判断は、印字部918から印字処理した枚数によって制御部90で演算処理する。
【0111】
積載部数に関する所定値は、ステープル数と排紙部数に基づいて、また、ステープル位置と排紙部数に基づいて、さらには、綴じ枚数(1束の枚数)に基づいて決定する。なお、図10の管理テーブルに示す内容はあくまでも例示であり、これに限定されるものではない。
【0112】
図1〜図10においては、記録用紙が排紙トレイから落下しないようにソフト的に装置動作を制御する例を示しているが、これらのソフト的構成に加えて、以下のハード的構成によって、記録用紙の排紙トレイからの落下を防止することができる。この落下防止機構800は、図11に示すように、排紙トレイ8の側面に記録用紙の落下防止部材801が設けられたものである。図11(A)は排紙トレイが取り付けられたフィニッシャーの斜視図、同図(B)はその側面図である。図11(A)において、記録用紙の排紙トレイ8に対する出紙方向は矢印方向になる。また、同図(B)は、記録用紙が出紙すると、排紙トレイ8が破線矢印方向に下降することを表している。
【0113】
図12は図11(B)のX方向から見た詳細図である。この例では、排紙トレイ8上において出紙された記録用紙Sは、ステープル針700の重なりにより矢印方向に傾斜していき、積載部数が多くなると、排紙トレイ8から落下するおそれがある。これを防止するため、排紙トレイ8の側面に落下防止部材801が取り付けられる。
【0114】
落下防止部材801は、第1の落下防止部材802と第2の落下防止部材803とが互いに連結されて伸縮自在とされている。第1の落下防止部材802は、筒状に形成され、その内径差で第2の落下防止部材803が第1の落下防止部材802の中に収納される構造により伸縮自在に構成されている。第1の落下防止部材802および第2の落下防止部材803の支持部には穴が形成され、それぞれの支持ボス804を介してフィニッシャー本体部806と排紙トレイ8の側面にそれぞれ支持されている。また、それぞれの支持部には、ぬけ防止の止め輪807が設けられている。
【0115】
上記構成においては、記録用紙Sは、積載部数が多くなると、ステープル針の重なりで図12の矢印方向に傾斜していくが、その方向に落下防止部材801があるため、落下が防止される。なお、落下防止部材801は、本例の構造に限定されるものではなく、例えば、ゴム等の弾性伸縮部材でも可能である。
【0116】
図13はハード的な落下防止機構として排紙トレイ8を傾斜させる傾斜機構を備えた例を示す。図13に示すように、排紙トレイの傾斜機構810は、排紙トレイ8の基端部が回転支持軸811を介してフィニッシャー本体806に回転自在に取り付けられる。これにより、排紙トレイ8が回転支持軸811を中心に昇降自在に上下動する。
【0117】
この傾斜機構810は、カム812、スライダー813、およびモータ(図示略)から構成される。カム812はカム軸814に形成され、カム軸814はモーター(図示なし)に連結されて回転駆動される。スライダー813は、一方をハート形のカム812に、他方を排紙トレイ8の下面に接する状態で配置され、カム812の回転により昇降自在とされる。
【0118】
上記構成においては、排紙トレイ8は、図示しないモータを制御動作することでカム812が回転し、これに接するスライダー813が上下方向に移動し、スライダー813に接触する排紙トレイ8が上下方向に駆動され、これによって排紙トレイ8は、回転支持軸811を中心に上下方向に昇降し、傾斜する。そのため、排紙トレイ8に積載される記録用紙の積載部数が多くなるほど、排紙トレイの傾斜角を増大していく。つまり、排紙トレイ8の先端を上昇させて傾斜を大きくしていくと、排紙トレイ8に積載された記録用紙Sが落下しにくくなる。
【0119】
さらに、この排紙トレイ8の傾斜の変化に合わせて、図11および図12に示す落下防止部材801が伸縮するので、落下防止部材801も排紙トレイ8の傾斜変化に追随してスムーズに伸縮し、排紙トレイ8の出紙方向と直交する側面からの落下も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明を適用する複合機の概略構成を示す図である。
【図2】用紙後処理部および排紙トレイの概略構成を示す説明図である。
【図3】用紙後処理部および排紙トレイを示す斜視図であり、排紙トレイが収縮かつ上昇した状態、およびカバーが閉じた状態を示す図である。
【図4】排紙トレイが下降した状態を示す斜視図である。
【図5】排紙トレイが伸張した状態を示す斜視図である。
【図6】カバーが開いた状態を示す斜視図である。
【図7】本実施形態の複合機の画像形成プロセスを制御する回路基板及び外部機器からの画像データを受け入れるインターフェイス基板等を収容した制御部の主要部の構成を示す機能ブロック図である。
【図8】制御部による印字要求時の印字処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】(A)(B)は操作部の表示部に表示したメッセージ表示例を示す図である。
【図10】(A)は管理テーブルのデータ構造を示す図、(B)はステープル処理内容の絵文字表示例を示す図である。
【図11】(A)はフィニッシャーの斜視図、(B)はその側面図である。
【図12】図11(B)のX矢視図である。
【図13】排紙トレイの傾斜機構を示す側面図
【符号の説明】
【0121】
1 複合機
2 スキャナ部
3 画像形成部
5 用紙後処理部
8 排紙トレイ
31 画像形成系
33 用紙カセット
36e 排紙ローラ
50 カバー
51 主搬送路
52 スイッチバック搬送路
53 分岐爪
54 排出ローラ
55 スイッチバックローラ
60 パンチングユニット
70 ステープルユニット
71 ステープル機構部
72 ステープル台
74 排紙ローラ
81 第1排紙トレイ
82 第2排紙トレイ
83 第3排紙トレイ
90 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する印字部と、画像形成された用紙が排出されるステープルソータと、前記印字部およびステープルソータを制御する制御部とを備え、前記ステープルソータは、用紙束を針止めするステープラーを備え、前記ステープラーによるステープル時に、前記制御部は、排紙トレイ上の積載部数が落下する前の所定値に達したとき、印字動作を一旦停止させ、排紙トレイ上から用紙を取り除く旨のメッセージを報知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所定値は、ステープラーによるステープル数と排紙部数に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定値は、ステープラーによるステープル位置と排紙部数に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定値は、ステープラーによる綴じ枚数に基づいて決定されることを特徴とする請求項2及び請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
メッセージを報知するための表示部が設けられ、前記制御部は、前記表示部に文字表示および/または絵文字表示により、用紙を取り除く旨のメッセージを報知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
外部装置からの印字要求を受け付け、かつメッセージの送信が可能な通信部を備え、前記制御部は、排紙トレイ上の積載部数が落下する前の所定値に達したとき、通信部を介して予め登録された印字要求操作者に用紙を取り除く旨のメッセージを報知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
外部装置との間で通信可能な通信部を備え、前記制御部は、排紙トレイ上の積載部数が落下する前の所定値に達したとき、通信部を介して予め登録された管理者に用紙を取り除く旨のメッセージを報知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、排紙トレイ上の積載部数が落下する前の所定値に達して印字動作を一旦停止させた後、前記排紙トレイ上の積載部数が前記所定値よりも小さくなったとき、前記印字動作を再開し、前記排紙トレイへの記録用紙の排出を継続することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記排紙トレイの排紙方向に対して直交する排紙トレイの側面に、用紙の落下を防止する用紙落下防止部材が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記落下防止部材が伸縮機能を有していることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−51645(P2009−51645A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221785(P2007−221785)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】