説明

画像形成装置

【課題】ユーザが前のジョブの設定値が残っていることを容易に判別できるようにする。
【解決手段】所定ジョブに関する初期設定値を記憶する設定値記憶部と、ユーザによる前記所定ジョブの開始要求操作に応じて、前記初期設定値と前記所定ジョブの開始要求操作受付け時の設定値を比較する比較手段と前記比較手段により前記初期設定値と前記所定ジョブの開始要求操作受付け時の設定値を比較した結果、前期初期設定値から変更された設定値がある場合はその旨を設定値確認画面として表示する操作表示部とを有し、前記設定値確認画面は表示解除条件を満たすまで表示する表示制御手段を具備する画像形成装置を提供することを目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザにより変更された初期設定値を所定時間確認画面として表示する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機や複合機などの画像形成装置では、ジョブの設定値に関する初期値や機器の起動条件を保持している。
【0003】
コピーやファックス機能等の各機能においても、起動時の初期設定値を保持しているが初期設定値は画像形成装置を使用するユーザが所望の条件に応じて自由に変更することが可能となっている。
【0004】
そのため、多数のユーザで1台の画像形成装置を共有して使用する場合、前に使用したユーザの設定値が残っている場合があり、それに気づかず引き続きジョブを実行したユーザは操作ミスを起こしてしまい、ミスコピーの原因になってしまう。
【0005】
この問題点に対する対処策として特許文献1記載の画像処理装置が開示されている。
【0006】
この特許文献1記載の画像処理装置は、ミスコピーを防止するため、ユーザがジョブに関わる機能の設定値を変更した場合、必ず設定値確認画面を表示しないとジョブ実行を継続できないという発明である。
【特許文献1】特開2006−84539号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の特許文献1の発明では、ユーザがジョブ実行時に設定値確認画面を確認すると、ジョブが継続され、ジョブ実行中のユーザのミスコピーは防止されるが、設定値確認画面は確認後は表示されないため、前のジョブを実行したユーザにより変更された設定値が残っていることを次のユーザが判断できないという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、ユーザが初期設定値から変更した設定値でジョブを実行した後、設定値のリセットが行われるまで設定値確認画面を表示し続けることで、次に画像形成装置を使用するユーザがジョブに関わる操作を行う前に、設定値がすでに初期設定値から変更されていることを認識することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、所定ジョブに関する初期設定値を記憶する設定値記憶部と、ユーザによる前記所定ジョブの開始要求操作に応じて、前記初期設定値と前記所定ジョブの開始要求操作受付け時の設定値を比較する比較手段と、前記比較手段により前記初期設定値と前記所定ジョブの開始要求操作受付け時の設定値を比較した結果、前期初期設定値から変更された設定値がある場合はその旨を設定値確認画面として表示する操作表示部とを有し、前記設定値確認画面は表示解除条件を満たすまで表示する表示制御手段を具備する。
【発明の効果】
【0010】
所定ジョブに関する初期設定値を記憶する設定値記憶部と、ユーザによる前記所定ジョブの開始要求操作に応じて、前記初期設定値と前記所定ジョブの開始要求操作受付け時の設定値を比較する比較手段と前記比較手段により前記初期設定値と前記所定ジョブの開始要求操作受付け時の設定値を比較した結果、前期初期設定値から変更された設定値がある場合はその旨を設定値確認画面として表示する操作表示部とを有し、前記設定値確認画面は表示解除条件を満たすまで表示する表示制御手段を具備する画像形成装置を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、本発明の電子機器に含まれる画像形成装置の一つである複写機能、プリント機能、ファクシミリ送信/受信機能を併せ持つ複合機に関する。
【0012】
まず、複合機Aの機能構成について、図1を参照して、説明する。図1は本実施形態に係る複合機Aの機能ブロック図である。
【0013】
複合機Aは、CPU(Central Processing Unit)1、ROM(Read Only Memory)2、RAM(Random Access Memory)3、各種センサ群4、用紙搬送部5、画像読取部6、画像データ記憶部7、画像形成部8、通信I/F部9、操作表示部10、及び、設定値記憶部11を備えている。
【0014】
CPU1は、ROM2に記憶されている制御プログラム、画像データ記憶部7に記憶されている原稿画像データ、プリント画像データまたはファクシミリ画像データ、通信I/F部9を介してクライアントコンピュータ(図示略)または公衆網(図示略)から入力される各種指示及び操作表示部10から入力される操作指示に基づいて複合機Aの全体動作を制御する。また、CPU1は、比較手段101、検出手段102、及び表示制御手段103として機能する。なお、このCPU1の制御処理の詳細については、以下に複合機Aの動作として説明する。
【0015】
ROM2は、CPU1で実行される制御プログラム及びその他のデータを記憶する不揮発性メモリである。
【0016】
RAM3は、CPU1が制御プログラムを実行して各種動作を行う際に、データの一時保存先となるワーキングエリアとして用いられる揮発性メモリである。
【0017】
各種センサ群4は、例えば用紙切れ検出センサや、用紙詰まり検出センサ、用紙位置検出センサ、温度センサ等の画像形成動作に必要な各種センサであり、それぞれのセンサで検出した各種の情報を検出信号としてCPU1に出力する。
【0018】
用紙搬送部5は、用紙トレイに収納されている印刷用紙を画像形成部8に搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータや、画像形成処理後の印刷用紙を図示しない排紙トレイに搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータなどから構成されている。
【0019】
画像読取部6は、ADF(自動原稿送り装置)とCCD(Charge Coupled Device)センサ等を備え、ADFによって順次給紙される原稿の画像をCCDセンサに読み取らせ、原稿画像に基づく原稿画像データを出力する。なお、画像読取部6は、原稿画像データをCPU1に出力し、一方、CPU1は、原稿画像データを画像データ記憶部7に記憶させる。
【0020】
画像データ記憶部7は、例えばフラッシュメモリであり、CPU1の指示の下、原稿画像データ、通信I/F部9がクライアントコンピュータ(図示略)から受信するプリント画像データ及び通信I/F部9が公衆網(図示略)から受信するファクシミリ画像データを記憶する。
【0021】
画像形成部8は、CPU1の制御の下、画像データ記憶部7に記憶されている原稿画像データ、プリント画像データまたはファクシミリ画像データに基づいて、用紙搬送部5から搬送される印刷用紙にトナーによって形成される画像形成画像を転写し、定着ローラによって当該画像形成画像の定着処理を行う。
【0022】
通信I/F部9は、クライアントコンピュータ(図示略)及び公衆網(図示略)等に接続し、このクライアントコンピュータ及び公衆網との間で各種信号の送受信を行う。
【0023】
操作表示部10は、スタートキー、ストップキー、電源キー、テンキー(数値入力キー)、タッチパネル10a、クリアキーやその他の各種操作キー、を備えており、それぞれのキーの操作指示をCPU1に出力すると共に、CPU1の制御の下、タッチパネル10aに種々の画面を表示する。
【0024】
設定値記憶部11は、あらかじめ機器情報として登録されている設定値を記憶し、保持する。
【0025】
次に、上記構成の本実施形態に係る複合機Aの動作について図2〜4を参照して詳しく説明する。
【0026】
図2は、本実施形態に係る複合機Aの動作を示すフローチャートである。
【0027】
まず、複合機Aにおいてユーザがタッチパネルにおいてコピーの設定操作を行う(ステップS1)。
【0028】
CPU1は、ステップS1においてユーザが図3で示すタッチパネル10aに表示される機能設定画面において、コピーの設定を行い、操作表示部10に有するスタートキーの押下により、その設定された条件でコピーを開始する(ステップS2)。
【0029】
CPU1は、ステップS2においてユーザが設定した条件に基づきコピージョブを開始すると、比較手段101が設定値記憶部11に記憶されている初期設定値とユーザがコピー条件として設定した設定値を比較する。(ステップS3)
CPU1は、ステップS3において比較手段101がユーザにより初期設定値から設定値が変更されたと判断すると、表示制御手段103が変更された設定値を図4で示す設定値確認画面としてタッチパネル10a表示する(ステップS4)。なお、本実施形態では図4で示すように、変更された設定値として倍率、用紙の向きを例示しているが、コピー機能において設定できる設定値ならこれに限定するものではない。
【0030】
一方、比較手段101が、ユーザの設定した設定値が初期設定値のままであると判断すると、設定値確認画面は出さずにコピージョブを終了する。
【0031】
CPU1は、ステップS4において表示制御手段103がタッチパネル10aに図4の設定値確認画面を表示すると、検出手段102がユーザにより変更された設定値が、操作表示部に有するリセットキーの押下、タイマーによる設定値の自動初期化のいずれかの方法により初期化されたかを判断する(ステップS5)。
【0032】
CPU1は、ステップS5において検出手段102が、設定値が初期化されたことを検出すると、そのままフローは終了する。
なお、検出手段102が設定値が初期化されたことを検出するまでは、表示制御手段103がタッチパネル10aに図4の設定値確認画面を表示し続ける。
【0033】
このように、ユーザが初期設定値から変更した設定値でジョブを実行した後、設定値のリセットが行われるまで設定値確認画面を表示し続けることで、次に画像形成装置を使用するユーザが操作をジョブに関わる操作を行う前に、設定値がすでに初期設定値から変更されていることを認識することができる。
【0034】
なお、本実施形態では、初期設定値から変更された場合に設定値確認画面を表示するという発明において、コピー機能を例に記載しているが、コピー機能のみに限定せず、ファックス機能やボックス機能でも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機Aの機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る複合機Aの動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る複合機Aの操作表示画面である。
【図4】本発明の一実施形態に係る複合機Aの設定値確認画面である。
【符号の説明】
【0036】
A…複合機、1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…各種センサ群、5…用紙搬送部、6…画像読取部、7…画像データ記憶部、8…画像形成部、9…通信I/F部、10…操作表示部、10a…タッチパネル、11…設定値記憶部、101…比較手段、102…検出手段、103…表示制御手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定ジョブに関する初期設定値を記憶する設定値記憶部と、
ユーザによる前記所定ジョブの開始要求操作に応じて、前記初期設定値と前記所定ジョブの開始要求操作受付け時の設定値を比較する比較手段と
前記比較手段により前記初期設定値と前記所定ジョブの開始要求操作受付け時の設定値を比較した結果、前期初期設定値から変更された設定値がある場合はその旨を設定値確認画面として表示する操作表示部とを有し、
前記設定値確認画面は表示解除条件を満たすまで表示する表示制御手段を具備する画像形成装置。
【請求項2】
前記表示解除条件は、次の所定ジョブの開始要求の受付、設定値リセット操作の受付、所定時間の経過による設定値の自動初期化の少なくとも一つである請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−103722(P2010−103722A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272693(P2008−272693)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】