説明

画像形成装置

【課題】記憶部付き原稿の複製を作成する際の利便性を向上することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】RFIDタグ付きの原稿から読み取ったデータ及び画像を複製する両方複製処理と、データのみを複製するデータ複製処理とを、ユーザの指示に基づいて実行可能である。これにより、RFIDタグ付き原稿のデータ及び画像の両方の複製を作成するだけでなく、データのみの複製を作成することができるため、利便性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特にRFIDタグ等の記憶部が添付された画像形成媒体の複製を作成する機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency IDentification)タグと呼ばれるICチップ(記憶部)付きの用紙(画像形成媒体)に対し、画像の印刷を行うとともに、RFIDタグに対するデータの書き込みを行う機能を備えた画像形成装置が開発されている。さらに、RFIDタグ付きの原稿から画像を読み取るとともに、RFIDタグに記憶されたデータを読み出し、読み取った画像をRFIDタグ付きの用紙上に印刷し、読み出したデータをその用紙のRFIDタグに書き込むことで、原稿の複製(両方複製という)を作成する画像形成装置も提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−337426公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の画像形成装置では、両方複製以外の形態で複製を作成することについては考慮されておらず、利便性の向上が望まれていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、記憶部付き原稿の複製を作成する際の利便性を向上することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、第1の発明に係る画像形成装置は、原稿の画像を読み取る読取手段と、記憶部付き原稿の記憶部に記憶されたデータを取得する取得手段と、画像形成媒体上に画像を形成する形成手段と、記憶部付き画像形成媒体の記憶部にデータを書き込む書込手段と、ユーザの指示を入力する入力手段と、前記入力手段から入力された指示に基づき、前記取得手段により取得されたデータを前記書込手段により記憶部付き画像形成媒体の記憶部に書き込みかつ前記読取手段により読み取られた画像を前記形成手段により当該記憶部付き画像形成媒体上に形成する両方複製処理と、前記取得手段により取得されたデータを前記書込手段により記憶部付き画像形成媒体の記憶部に書き込みかつ前記読取手段に読み取られた画像を当該記憶部付き画像形成媒体上に形成しないデータ複製処理とを実行可能な制御手段と、を備える。
【0005】
第1の発明によれば、記憶部付き原稿から読み取ったデータ及び画像を複製する両方複製処理と、データのみを複製するデータ複製処理とを、ユーザの指示に基づいて実行可能である。これにより、記憶部付き原稿のデータ及び画像の両方の複製を作成するだけでなく、データのみの複製を作成することができるため、利便性が向上する。
【0006】
第2の発明は、第1の発明において、前記制御手段は、さらに、前記入力手段から入力された指示に基づいて、前記読取手段に読み取られた画像を前記形成手段により画像形成媒体上に形成しかつ前記取得手段により取得されたデータの記憶部への書き込みを行わない画像複製処理を実行可能である。
【0007】
第2の発明によれば、両方複製処理及びデータ複製処理に加え、画像のみを複製する画像複製処理を実行することができる。これにより、実行可能な複製形態が増え、利便性がより向上する。
【0008】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記入力手段から入力される指示に基づいて、両方複製部数及びデータ複製部数を設定する設定処理を実行する設定手段を備え、前記制御手段は、前記両方複製処理を前記両方複製部数分実行し、前記データ複製処理を前記データ複製部数分実行する。
【0009】
第4の発明は、第2の発明において、前記入力手段から入力される指示に基づいて、両方複製部数、データ複製部数及び画像複製部数を設定する設定処理を実行する設定手段を備え、前記制御手段は、前記両方複製処理を前記両方複製部数分実行し、前記データ複製処理を前記データ複製部数分実行し、前記画像複製処理を前記画像複製部数分実行する。
【0010】
第3及び第4の発明によれば、各複製処理をそれぞれ設定処理において設定された部数分実行する。これにより、所望した形態の複製を所望した部数分得ることができるため、利便性が高い。
【0011】
第5の発明は、第2または第4の発明において、前記制御手段は、前記両方複製処理及び前記画像複製処理を実行する際に、前記両方複製処理において、記憶部付き画像形成媒体の記憶部に対するデータの書き込みに失敗した場合に、前記読取手段により読み取られた画像が形成された当該記憶部付き画像形成媒体を前記画像複製処理により作成された複製としてカウントする。
【0012】
第5の発明によれば、両方複製処理において、データの書き込みに失敗した記憶部付き画像形成媒体を画像のみの複製としてカウントする。これにより、画像形成媒体を無駄にせずに済む。
【0013】
第6の発明は、第3または第4の発明において、原稿に記憶部が添付されているかを検知する検知手段を備え、前記設定手段は、前記検知手段により原稿に記憶部が添付されていないことが検知された場合に、前記設定処理における前記入力手段による前記両方複製部数及び前記データ複製部数の指示の入力を無効とする。
【0014】
第6の発明によれば、原稿に記憶部が添付されていない場合には、設定処理における両方複製部数及びデータ複製部数の指示の入力が無効となる。従って、ユーザによる指示の入力ミスや原稿の選択ミスにより意図と異なる複製処理が行われることを防止できる。
【0015】
第7の発明は、第2、第4及び第5のいずれか一つの発明において、記憶部付き画像形成媒体を積載する第1積載部と、記憶部が添付されていない画像形成媒体を積載する第2積載部とを備え、前記制御手段は、前記両方複製処理及びデータ複製処理においては、前記第1積載部に積載された画像形成媒体を使用し、前記画像複製処理においては、前記第2積載部に積載された画像形成媒体を使用する。
【0016】
第7の発明によれば、両方複製処理及びデータ複製処理は第1積載部に積載された記憶部付き画像形成媒体を使用し、画像複製処理は第2積載部に積載された記憶部無しの画像形成媒体を使用する。このように、画像のみの複製は記憶部が添付されていない画像形成媒体を使用して行うことで、コストを抑えることができる。
【0017】
第8の発明は、第1から第7のいずれか一つの発明において、前記各複製処理の実行中にエラーが生じた場合に、当該複製処理の形態と、当該複製処理に成功した部数及び失敗した部数のうちの少なくとも一方とを対応付けて通知する通知手段を備える。
【0018】
第8の発明によれば、各複製処理の実行中にエラーが生じた場合に、その複製処理の形態と、複製処理に成功した部数若しくは失敗した部数のうちの少なくとも一方とを対応付けて通知する。これにより、ユーザがどの形態の複製がどれだけ不足するかを容易に把握することができ、エラーに対する対応を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、記憶部付き原稿から読み取ったデータと画像とを複製する両方複製処理と、データのみを複製するデータ複製処理とを、ユーザの指示に基づいて実行可能である。これにより、記憶部付き原稿のデータ及び画像の両方の複製を作成するだけでなく、データのみの複製を作成することができるため、利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に本発明の一実施形態について図1から図8を参照して説明する。
【0021】
(プリンタの全体構成)
図1は、本発明の画像形成装置の一例であるプリンタ10の全体構成を簡略に示す断面図である。
【0022】
プリンタ10は、図1に示すように、装置本体11の上部に原稿12を載置可能な原稿載置部13を備えている。原稿載置部13の下方には、載置された原稿12を走査して光学的に読み取り、画像データを出力する読取部14(読取手段の一例)を備えている。さらに、原稿載置部13の下方には、原稿12に添付されたRFIDタグ12A(記憶部の一例)と電波により通信を行うことで、RFIDタグ12Aに記録されたデータを取得するICリーダ15(取得手段、検知手段の一例)が設けられている。なお、本プリンタ10では、原稿12として、RFIDタグ12A付きの原稿12と、RFIDタグが添付されていない原稿12とを使用することができる。
【0023】
また、プリンタ10は、複数の用紙17(画像形成媒体の一例)を積載可能な第1トレイ18及び第2トレイ19を備えている。第1トレイ18(第1積載部の一例)には、RFIDタグ17A(記憶部の一例)付きの用紙17が積載され、第2トレイ19(第2積載部の一例)には、RFIDタグが付いていない用紙17が積載されている。
【0024】
第1トレイ18及び第2トレイ19に積載された用紙17は、後述の搬送機構31により、1枚ずつ画像形成部21による画像形成位置に搬送され、次いでICリーダライタ22によるアクセス位置に供給され、最後に排出トレイ23上に排出される。画像形成部21(形成手段の一例)は、1色または複数色の着色剤(インクやトナー)を用いて用紙17上に画像を形成する。ICリーダライタ22(書込手段の一例)は、用紙17に添付されたRFIDタグ17Aと電波により通信を行うことで、RFIDタグ17Aに記録されたデータの読み出し、及びRFIDタグ17Aへのデータの書き込みのうちいずれか一方、若しくは読み出しと書き込みの両方を行う機能を有している。
【0025】
(プリンタの電気的構成)
図2は、プリンタ10の電気的構成を簡略に示すブロック図である。
プリンタ10は、図2に示すように、CPU25、ROM26、RAM27、NVRAM(不揮発性メモリ)28、ネットワークインターフェイス29を備えており、これらに、既述の読取部14、ICリーダ15、画像形成部21、ICリーダライタ22や、搬送機構31、表示部32、操作部33等を接続した構成となっている。
【0026】
ROM26には、後述する複製制御処理など、このプリンタ10の各種の動作を実行するためのプログラムが記憶されており、CPU25(制御手段、設定手段の一例)は、ROM26から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM27またはNVRAM28に記憶させながら各部の制御を行う。ネットワークインターフェイス29は、ネットワーク回線を介して外部のコンピュータ(図示せず)等に接続され、これにより相互のデータ通信が可能となっている。
【0027】
搬送機構31は、用紙17を搬送するための複数のローラや、駆動源となるモータ、モータの動力をローラに伝達するギア機構などを備えている。表示部32(通知手段の一例)は、ディスプレイやランプ等を備え、各種の設定画面や装置の動作状態等を表示することが可能である。操作部33(入力手段)は、複数のボタンを備え、ユーザにより各種の指示の入力が可能である。
【0028】
(複製制御処理)
図3から図6は、複製制御処理の流れを示すフローチャートであり、図7及び図8は、表示部32に表示される設定画面を示す図、図9はエラー表示画面を示す図である。
【0029】
複製制御処理は、原稿12の複製を各種の形態で作成するための処理であり、操作部33から入力されるユーザの指示を受けてCPU25の制御により実行される。CPU25は、図3に示す複製制御処理を開始すると、後述する各カウンタ(D,R,G,DE,RE,GE)の値に0をセットし(S101)、続いて部数設定処理を実行する(S102)。
【0030】
部数設定処理(設定処理の一例)では、図5に示すように、原稿載置部13に載置された原稿12にRFIDタグ12Aが添付されているかを判断する(S201)。ここでは、ICリーダ15から検知信号を発信し、所定時間内にRFIDタグ12Aからの応答があるか否かに基づいてRFIDタグ12Aの有無を検知する。
【0031】
そして、CPU25は、原稿12に添付されたRFIDタグ12Aが検知された場合(S201:Yes)には、図7に示す設定画面M1を表示部32に表示する(S202)。この設定画面M1では、RFIDタグ17Aから読み出したデータ及び原稿12から読み取った画像とを複製する両方複製処理を行う部数(両方複製部数)と、データのみを複製するデータ複製処理を行う部数(データ複製部数)と、画像のみを複製する画像複製処理を行う部数(画像複製部数)とを、それぞれ操作部33からの入力により指定することができる。
【0032】
また、CPU25は、設定画面M1上において、上記両方複製部数、データ複製部数、画像複製部数を合計した値を合計複製部数として表示する。さらに、設定画面M1では、ユーザが操作部33から合計複製部数を指定することも可能であり、CPU25は、合計複製部数が入力されると、入力された値が両方複製部数、データ複製部数、画像複製部数の合計と一致するように両方複製部数の値を調整し、設定画面M1上に表示する。
【0033】
ユーザにより設定完了の指示が入力されると、CPU25は、指定された両方複製部数を両方複製カウンタD、データ複製部数をデータ複製カウンタR、画像複製部数を画像複製カウンタGの値としてセットし(S203)、この部数設定処理を抜ける。
【0034】
また、S201にて、原稿12にRFIDタグ12Aが添付されていないことを検知した場合(S201:No)には、図8に示す設定画面M2を表示する(S204)。この設定画面M2では、前述の設定画面M1において、両方複製部数及びデータ複製部数を表示する箇所がグレーアウト状態で表示される。CPU25は、この設定画面M2上においては、操作部33からの両方複製部数及びデータ複製部数の指定を受け付けない(無効とする)。このため、ユーザは、画像複製部数のみの指定が可能である。ユーザにより設定完了の指示が入力されると、CPU25は、S203に進んで指定された画像複製部数を画像複製カウンタGの値にセットし、両方複製カウンタD及びデータ複製カウンタRの値にはともに0をセットして、この部数設定処理を抜ける。
【0035】
CPU25は、図3のS102にて部数設定処理を終えると、原稿12にRFIDタグ12Aが添付されていない場合(S103:No)には、読取部14によって原稿12の画像を読み取る(S104)。また、原稿12にRFIDタグ12Aが添付されている場合(S103:Yes)には、読取部14により原稿12の画像を読み取り、さらにICリーダ15によりRFIDタグ12Aに記憶されたデータを読み出す(S105)。S105にて原稿12の画像とRFIDタグ12Aのデータとを読み取った後、CPU25は、両方複製カウンタDの値が0であるかを判断し(S106)、両方複製カウンタDの値が0でない場合(S106:No)には、以下に示す両方複製処理を実行する(S107)。
【0036】
両方複製処理では、図6に示すように、搬送機構31により第1トレイ18に積載されるRFIDタグ17A付きの用紙17を画像形成位置に供給し、画像形成部21によりその用紙17上に読取部14により読み取った画像データに基づく画像を印刷する(S301)。そして、CPU25は、画像の印刷が正常に完了したかを判断する(S302)。画像の印刷が正常に行われた場合(S302:Yes)には、続いて、ICリーダ15によって原稿12から読み取ったデータをICリーダライタ22によりその用紙17のRFIDタグ17Aに書き込む(S303)。
【0037】
そして、CPU25は、用紙17のRFIDタグ17Aへの書き込みが正常に行われたかを判断し(S304)、書き込みが正常に行われていない場合(S304:No)には、画像複製カウンタGの値が0であるかを判断する(S305)。そして、画像複製カウンタGの値が0でない場合(S305:No)には、画像複製カウンタGの値から1を引く(S306)。これにより、画像が正常に印刷され、かつデータが正常に書き込まれなかったRFIDタグ17A付きの用紙17が、画像複製処理により作成される画像のみの複製としてカウントされる。
【0038】
CPU25は、S302にて画像の印刷が正常に行われなかった場合(S302:No)、若しくはS305にて画像複製カウンタGの値が0であった場合(S305:Yes)、S306にてカウンタGの値から1を引いた場合には、続いて、この両方複製処理においてエラーが発生した部数を示すカウンタDEの値に1を加える(S307)。
【0039】
次に、S304にて用紙17のRFIDタグ17Aに対するデータの書き込みが正常に完了した場合(S304:Yes)、若しくはS307にてカウンタDEの値に1を加えた場合には、両方複製カウンタDの値から1を引く(S308)。そして、両方複製カウンタDの値が0でない場合(S309:No)には、S301に戻り、次のRFIDタグ17A付きの用紙17に対して同様の処理を繰り返す。両方複製カウンタDの値が0になった場合(D309:Yes)、即ち両方複製処理が前述の部数設定処理において両方複製部数として指定された部数の用紙17に対して行われた場合には、この両方複製処理を抜ける。
【0040】
CPU25は、図3のS107にて両方複製処理を終えた場合、若しくはS106にて両方複製カウンタDの値が0であった場合(S106:Yes)には、次にデータ複製カウンタRの値が0であるかを判断する(S108)。データ複製カウンタRの値が0でない場合(S108:No)には、続くS109〜S112のデータ複製処理をデータ複製カウンタRの値が0になるまで行う。
【0041】
即ち、CPU25は、まず搬送機構31により第1トレイ18からRFIDタグ17A付きの用紙17を送り出し、そのRFIDタグ17Aに対し、ICリーダライタ22により原稿12のRFIDタグ12Aから読み取ったデータを書き込む(S109)。続いて、データの書き込みが正常に完了したかを判断し(S110)、正常に完了しなかった場合(S110:No)には、データ複製処理においてエラーの発生した部数を示すカウンタREの値に1を加える(S111)。そして、S110にてデータの書き込みが正常に完了した場合(S110:Yes)、若しくはS110にてカウンタREに1を加えた場合には、データ複製カウンタRの値から1を引き(S112)、S108に戻る。これにより、上記S109〜S112のデータ複製処理が前述の部数設定処理においてデータ複製部数として指定された部数の用紙17に対して行われる。
【0042】
次に、S108にてデータ複製カウンタRの値が0であった場合(S108:Yes)、若しくはS104にて原稿12の画像を読み取った場合には、CPU25は、画像複製カウンタGの値が0であるかを判断する(S113)。そして、画像複製カウンタGの値が0でない場合(S113:No)には、続くS114〜S117の画像複製処理を画像複製カウンタGの値が0になるまで繰り返す。
【0043】
即ち、CPU25は、まず搬送機構31により第2トレイ19からRFIDタグが添付されていない用紙17を画像形成位置へ搬送し、画像形成部21により原稿12から読み取った画像をその用紙17上に印刷する(S114)。そして、印刷が正常に完了しなかった場合(S115:No)には、画像複製処理においてエラーが発生した部数を示すカウンタGEに1を加える(S116)。印刷が正常に完了した場合(S115:Yes)、若しくはS116にてカウンタGEに1を加えた場合には、画像複製カウンタGから1を引き(S117)、その後S113に戻る。これにより、上記S114〜S117の画像複製処理が、前述の部数設定処理において画像複製部数として指定された部数から、両方複製処理において作成された画像のみの複製の部数を引いた部数の用紙17に対して行われる。
【0044】
次に、S113にて画像複製カウンタGの値が0であった場合(S113:Yes)には、CPU25は、上述の各複製処理においてエラーが発生したか、即ちエラーが発生した部数を示すカウンタDE,RE,GEの値が全て0であるかを判断する(S118)。そして、エラーが発生していた場合(S118:Yes)には、ユーザにエラーの発生状況を通知するためのエラー情報を表示部32に表示する(S119)。ここでは、例えば、両方複製、データ複製、画像複製のそれぞれについて、エラーが発生した部数(カウンタDE,RE,GEの値)を対応付けたものをエラー情報として表示する。ここでは、各複製処理の形態とその複製処理により正常に複製が作成された部数とを対応づけて表示しても良い。例えば、図9には、エラー情報として表示するエラー表示画面M3の一例を示している。このエラー表示画面M3では、3つの複製形態のそれぞれについて、複製が成功した部数と失敗した部数とが表示されている。これにより、ユーザは、部数設定処理において指定した通りに作成されなかった複製の形態とその部数とを把握することができる。
【0045】
以上によりCPU25は、この複製制御処理を終了する。この複製制御処理により、両方複製、データ複製、画像複製の各形態について、エラーが発生した部数を除き、部数設定処理において指定した部数の複製が作成される。
【0046】
(本実施形態の効果)
以上のように本実施形態によれば、RFIDタグ12A付きの原稿12から読み取ったデータ及び画像を複製する両方複製処理と、データのみを複製するデータ複製処理とを、ユーザの指示に基づいて実行可能である。これにより、RFIDタグ付き原稿12のデータ及び画像の両方の複製を作成するだけでなく、データのみの複製を作成することができるため、利便性が向上する。
【0047】
また、両方複製処理及びデータ複製処理に加え、画像のみを複製する画像複製処理を実行することができる。これにより、実行可能な複製形態が増え、利便性がより向上する。
【0048】
また、各複製処理をそれぞれ部数設定処理において設定された部数分実行する。これにより、所望した形態の複製を所望した部数分得ることができるため、利便性が高い。
【0049】
また、両方複製処理において、データの書き込みに失敗したRFIDタグ付き用紙17を画像のみの複製としてカウントする。これにより、用紙17を無駄にせずに済む。
【0050】
また、原稿12にRFIDタグ12Aが添付されていない場合には、部数設定処理における両方複製部数及びデータ複製部数の指示の入力が無効となる。従って、ユーザによる指示の入力ミスや原稿の選択ミスにより意図と異なる複製処理が行われることを防止できる。
【0051】
また、両方複製処理及びデータ複製処理は第1トレイ18に積載されたRFIDタグ付き用紙17を使用し、画像複製処理は第2トレイ19に積載されたRFIDタグ無しの用紙17を使用する。このように、画像のみの複製はRFIDタグが添付されていない用紙17を使用して行うことで、コストを抑えることができる。
【0052】
また、各複製処理の実行中にエラーが生じた場合に、その複製処理の形態と、複製処理に成功した部数若しくは失敗した部数のうちの少なくとも一方とを対応付けて通知する。これにより、ユーザがどの形態の複製がどれだけ不足するかを容易に把握することができ、エラーに対する対応(不足分の再印刷など)を円滑に行うことができる。
【0053】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本発明は、電子写真方式の画像形成装置や、インクジェット方式の画像形成装置など、種々の方式の画像形成装置に適用することができる。
【0054】
(2)上記実施形態では、ユーザがセットした1枚の原稿のみを1度に読み取るものを示したが、本発明によれば、例えばADF(自動原稿供給装置)を用いて、セットされた複数の原稿を順に読取位置に搬送して、画像の読み取りやデータの読み取りを行い、それぞれ各種形態の複製を作成するようにしても良い。
【0055】
(3)本発明によれば、原稿の画像を複製する際には、原稿から読み取った画像に対して一部に改変を加えた画像(元の画像の一部を欠落させた画像や、元の画像に別の画像を付加した画像等)を形成しても良い。また、原稿の記憶部から取得したデータを複製する際には、そのデータの一部に改変を加えたデータ(元のデータの一部を削除したデータや、元のデータに別のデータを付加したデータ等)を書き込むようにしても良い。
【0056】
(4)上記実施形態では、プリンタの操作部からユーザが各種指示(複製の形態や複製部数等)を入力するものを示したが、本発明によれば、例えば、ユーザがプリンタに接続された外部のコンピュータ等から送信した各種指示をネットワークインターフェイス29を介してプリンタ10に入力する構成としても良い。
【0057】
(5)上記実施形態では、各複製処理中にエラーが生じた場合に複製の作成に失敗した部数のみを通知するものを示したが、本発明によれば、例えば、各複製処理を実行する際に何番目の用紙に対しての複製の作成が失敗したかを表示することにより、排出された用紙のうち何番目の用紙が複製に失敗したものであるかをユーザに通知するようにしても良い。また、複製の作成に失敗した場合に、設定処理において指定された部数と同数の複製が作成されるように、別の用紙を用いて複製の作成をやり直す構成としても良い。
【0058】
(6)上記実施形態では、第1トレイ18及び第2トレイ19のいずれにRFIDタグ17A付きの用紙17を積載し、いずれにRFIDタグ無しの用紙17を積載するかが予め定められたものを示したが、本発明によれば、ユーザが複数のトレイ18,19のうちのいずれにRFIDタグ付きの用紙17を積載したかを操作部33から入力するようにしても良い。また、各トレイ18,19に積載された用紙17のRFIDタグ17Aを検知可能なICリーダを設け、データの書き込みを行う際には、RFIDタグ17Aが検知された用紙17が積載されたトレイ18,19から供給した用紙17を用いるようにしても良い。
【0059】
(7)上記実施形態では、書込手段としてICリーダライタを用いたものを示したが、本発明によれば、書込手段は、少なくとも画像形成媒体の記憶部にデータを書き込む機能を備えていれば良く、記憶部からデータを読み取る機能は必ずしも備えていなくても良い。また、記憶部にデータが正常に書き込まれたかを読み取ってチェックする場合には、ICリーダ等の読取装置を書込手段と別に設けてそれを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態におけるプリンタの全体構成を簡略に示す断面図
【図2】プリンタの電気的構成を簡略に示すブロック図
【図3】複製制御処理の流れを示すフローチャート
【図4】複製制御処理の流れを示すフローチャート
【図5】複製制御処理の流れを示すフローチャート
【図6】複製制御処理の流れを示すフローチャート
【図7】表示部に表示される設定画面を示す図
【図8】表示部に表示される設定画面を示す図
【図9】表示部に表示されるエラー表示画面を示す図
【符号の説明】
【0061】
10…プリンタ(画像形成装置)
12…原稿
12A…RFIDタグ(記憶部)
14…読取部(読取手段)
15…ICリーダ(取得手段、検知手段)
17…用紙(画像形成媒体)
17A…RFIDタグ(記憶部)
18…第1トレイ(第1積載部)
19…第2トレイ(第2積載部)
21…画像形成部(形成手段)
22…ICリーダライタ(書込手段)
25…CPU(制御手段、設定手段)
33…操作部(入力手段)
34…表示部(通知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る読取手段と、
記憶部付き原稿の記憶部に記憶されたデータを取得する取得手段と、
画像形成媒体上に画像を形成する形成手段と、
記憶部付き画像形成媒体の記憶部にデータを書き込む書込手段と、
ユーザの指示を入力する入力手段と、
前記入力手段から入力された指示に基づき、前記取得手段により取得されたデータを前記書込手段により記憶部付き画像形成媒体の記憶部に書き込みかつ前記読取手段により読み取られた画像を前記形成手段により当該記憶部付き画像形成媒体上に形成する両方複製処理と、前記取得手段により取得されたデータを前記書込手段により記憶部付き画像形成媒体の記憶部に書き込みかつ前記読取手段に読み取られた画像を当該記憶部付き画像形成媒体上に形成しないデータ複製処理とを実行可能な制御手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、さらに、前記入力手段から入力された指示に基づいて、前記読取手段に読み取られた画像を前記形成手段により画像形成媒体上に形成しかつ前記取得手段により取得されたデータの記憶部への書き込みを行わない画像複製処理を実行可能である。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、
前記入力手段から入力される指示に基づいて、両方複製部数及びデータ複製部数を設定する設定処理を実行する設定手段を備え、
前記制御手段は、前記両方複製処理を前記両方複製部数分実行し、前記データ複製処理を前記データ複製部数分実行する。
【請求項4】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記入力手段から入力される指示に基づいて、両方複製部数、データ複製部数及び画像複製部数を設定する設定処理を実行する設定手段を備え、
前記制御手段は、前記両方複製処理を前記両方複製部数分実行し、前記データ複製処理を前記データ複製部数分実行し、前記画像複製処理を前記画像複製部数分実行する。
【請求項5】
請求項2または請求項4に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記両方複製処理及び前記画像複製処理を実行する際に、前記両方複製処理において、記憶部付き画像形成媒体の記憶部に対するデータの書き込みに失敗した場合に、前記読取手段により読み取られた画像が形成された当該記憶部付き画像形成媒体を前記画像複製処理により作成された複製としてカウントする。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の画像形成装置において、
原稿に記憶部が添付されているかを検知する検知手段を備え、
前記設定手段は、前記検知手段により原稿に記憶部が添付されていないことが検知された場合に、前記設定処理における前記入力手段による前記両方複製部数及び前記データ複製部数の指示の入力を無効とする。
【請求項7】
請求項2、請求項4及び請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
記憶部付き画像形成媒体を積載する第1積載部と、
記憶部が添付されていない画像形成媒体を積載する第2積載部とを備え、
前記制御手段は、前記両方複製処理及びデータ複製処理においては、前記第1積載部に積載された画像形成媒体を使用し、前記画像複製処理においては、前記第2積載部に積載された画像形成媒体を使用する。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記各複製処理の実行中にエラーが生じた場合に、当該複製処理の形態と、当該複製処理に成功した部数及び失敗した部数のうちの少なくとも一方とを対応付けて通知する通知手段を備える。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−128041(P2010−128041A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300537(P2008−300537)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】