説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置でのヤレ紙判定に際し、自動的なヤレ紙判定を可能にするとともに、ヤレ紙判断基準を、用紙条件やユーザー条件に応じた適正化が図れるとともに、基準設定の操作の煩わしさを軽減する。
【解決手段】画像データに基づいて用紙に画像形成を行う画像形成部と、前記用紙のヤレを検出するヤレ検出部と、該ヤレ検出部の出力を受けて、設定されたヤレ紙判定基準に基づいて前記用紙のヤレ紙判定を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記ヤレ紙判定基準として判定レベルを複数有し所定の条件によって前記ヤレ紙判定基準の設定を切り替える。所定の条件としては、ジョブ条件やユーザー条件が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像データに基づいて用紙に画像形成を行い、該用紙のヤレ紙判定を行うことができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データに基づいて画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリや複合機などでは、設定された画像形成条件(画像形成位置、色、濃度など)に従い、画像データに基づいて用紙に画像形成を行う。この画像形成条件は、画像形成装置の稼働に伴って一時的にまたは次第に変化したりすることがあるため、各種の自動補正動作や調整モード設定により品質維持を図っている(例えば特許文献1)。特許文献1では、用紙の位置ずれ量が一定以上の場合、画像形成位置を移動して補正を行う画像形成装置が提案されている。
【0003】
しかし、画像品質が想定以上に劣化すると、印刷物としての品質を維持できないため、ある程度以上に品質が損なわれた印刷物はヤレ紙として製品から除外することが行われる場合がある。特にプロダクションプリントにおけるヤレ紙のチェック方法は目視検査が主流とされ、チェック側の判断基準の相違、納品期限の都合等によりヤレ紙扱いとなるレベルが異なってしまう。これに対しては、ヤレ紙の判定を行う手段を備え、この判定手段によってヤレ紙の検出を自動的に行うことができる画像形成装置も提案されている。しかし、このような画像形成装置では、ヤレ紙としてNGになった位置を探すのが面倒であり、また、ヤレ紙が検知された場合、ユーザーが判断し検知レベルの変更や補正を行うためには機械を停止させなければならず作業効率が悪いという課題がある。
特許文献2では、印刷物の各画素データの基準データと、印刷物の画素データをそれぞれ記憶し、これらデータを比較して不良印刷物の検出を行う方法が開示されており、判断基準を自動的に更新する手段が講じられている。
【0004】
特許文献3では、印刷用紙上の画像を読み取った画像データと参照画像データとを比較して、比較データから、印刷良品、印刷不良品、判定不能の3種類に分類する手段を備え、判定不能とされた画像データに対し判定者の最終的な判定を収集可能とした画像形成装置が提案されている。
【特許文献1】特開2006−69738号公報
【特許文献2】特開平6−246904号公報
【特許文献3】特開平7−198626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2におけるヤレ紙判定では、構成が高価かつ複雑で、特に単価の安く、全数チェックを行わないモノクロ印刷のユーザー等に対しては過剰な機能になるという問題がある。また、特許文献3におけるヤレ紙判定では、判定不能なものに分類された画像データについては、判定者による判定を行うことができるが、判定不能の画像データが多数になると、作業負担が増大して生産性が悪いという問題がある。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、判定基準値を、用紙条件やユーザー条件などによって切り替え可能とすることで、基準設定の操作の煩わしさを軽減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の画像形成装置は、画像データに基づいて用紙に画像形成を行う画像形成部と、前記用紙のヤレを検出するヤレ検出部と、該ヤレ検出部の出力を受けて、設定されたヤレ紙判定基準に基づいて前記用紙のヤレ紙判定を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記ヤレ紙判定基準として判定レベルを複数有し所定の条件によって前記ヤレ紙判定基準の設定を切り替えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、予め判定レベルの異なるヤレ紙判定基準を複数備えることで、ヤレ紙判定を行う際のヤレ紙判定基準の設定を所定の条件において前記判定レベル間で容易に切り替えて行うことができる。該切り替えは、所定の条件によって自動的に行ってもよく、また、オペレータの入力操作によって行うようにしてもよい。また、自動、手動設定のいずれでヤレ紙判定基準の切り替えを行うかを設定可能にしてもよい。
【0008】
ヤレ紙判定基準の切り替えを行う上記所定の条件としては、ジョブ条件を挙げることができる。該ジョブ条件としては、用紙条件(紙サイズ、紙種、坪量など)や画像の種類(例えば線画、文字の別)、カラーモノクロの別、後処理の有無、後処理の内容別などを挙げることができる。ジョブ条件によってヤレ紙として目立つ程度などが異なるため、ジョブ条件を参照するのが有効である。また、所定条件としてユーザ別を挙げることができる。ユーザによってヤレ紙判定基準が異なるため、ユーザ毎の設定が有効である。
これら条件は、一種類であってもよく、また、複数種類の組み合わせによるものであってもよい。
【0009】
上記各条件は、初期設定として設定されているものであってもよく、また、ジョブ毎やページ毎に取得されるものであってもよい。例えばジョブ条件は、ジョブの実行に際し、画像形成装置を制御する制御部によって取得可能である。また、ユーザ条件は、画像形成装置を動作させる際にIDなどとして取得されるものであってもよく、またジョブ情報に含まれた情報として取得されるものであってもよい。さらに、画像形成装置の操作を行う際にオペレータがユーザ条件を入力したり、初期設定としてユーザ条件が設定されており、これを変更可能としたものであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
すなわち、本発明の画像形成装置によれば、画像データに基づいて用紙に画像形成を行う画像形成部と、前記用紙のヤレを検出するヤレ検出部と、該ヤレ検出部の出力を受けて、設定されたヤレ紙判定基準に基づいて前記用紙のヤレ紙判定を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記ヤレ紙判定基準として判定レベルを複数有し所定の条件によって前記ヤレ紙判定基準の設定を切り替えるので、ヤレ紙判断基準を、用紙条件やユーザー条件に応じた適正化が図れるとともに、基準設定の操作の煩わしさを軽減することが可能となる。さらには、画像不良等の判断基準に対し、作業負担を格別に増大させることなく印刷物の種別などを考慮してオペレータの判断を反映可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、該画像形成装置の一部機能を示したブロック図であり、画像形成装置全体を制御する装置制御部1を備えている。該装置制御部1は、各種演算を行うメインCPU2を備えており、該メインCPU2にヤレ紙判定基準を構成する複数の判定レベルおよびヤレ紙判定基準として設定された判定レベルをデータとして格納した判定レベル記憶部3が接続されている。該判定レベル記憶部3は、データを不揮発に記憶するフラッシュメモリやHDDなどにより構成することができる。装置制御部1は、本発明の制御部に相当するものである。
【0012】
また、メインCPU2には、画像形成装置の図示しない各種機構(原稿読取、紙搬送、画像形成などの機構)を制御する制御系(メカコン10)が接続されており、これによりメインCPU2による各種機構の制御が可能になっている。
さらにメインCPU2には、装置制御部1に含まれる表示部制御部4を介して操作パネル20が接続されている。操作パネル20は、本発明の操作表示部に相当するものであり、該操作パネル20に含まれる操作パネル制御部21に前記表示部制御部4が接続されている。操作パネル20は、LCDパネルで構成される表示部22を備えている。該表示部22は、表示部制御部4によって直接または操作パネル制御部21を介して制御されることで、各種情報の表示や入力操作が可能になっている。なお、この実施形態では、操作表示部として、表示および操作が可能な操作パネル20を示したが、本発明としては、操作表示部は、表示と操作が独立して個別に行われるものであってもよい。
【0013】
画像形成装置では、記録媒体に画像書き込みを行うための画像形成部として図示しない感光体、書き込みユニット30、図示しない現像部、転写部、定着器等を有している。感光体は、LD等を備える書き込みユニット30によって潜像が形成され、該潜像は、現像部のトナーによって現像され、転写部で画像を記録媒体に転写した後、記録媒体上の画像が定着器で定着される。上記画像形成部は前記メカコン10で制御されるとともに、そのうちの書き込みユニット30は、装置制御部1に含まれる片寄り補正部5に接続されている。片寄り補正部5は、前記メインCPU2に接続され、メインCPU2によって指示される片寄り補正量に基づいて、書き込みユニット30に対する書き込み開始タイミングの調整を行うことができる。
【0014】
さらに、画像形成装置には、図1、2に示すように、ヤレ検出部40を備えている。ヤレ検出部40には、図2に示すようにレジスト部での記録媒体Pの片寄り量を検知する片寄りセンサ41を備えている。該片寄りセンサ41の検知結果は、装置制御部1に備えるセンサ出力処理部6に出力される。センサ出力処理部6はCPUなどにより構成され、センサ出力をデータ処理して紙位置データを算出し、前記メインCPU2に出力する。前記レジスト部は図示しないレジストローラなどにより構成され、前記画像形成部の上流近傍にあって、画像形成を行う記録媒体Pの先端位置の調整や画像形成のタイミングを計るものである。片寄りセンサ41は、反射型や透過型のフォトセンサなどにより構成することができ、この実施形態では、搬送される記録媒体Pの側端縁を超える長さで、記録媒体Pの搬送方向と交差する方向に沿って透過型フォトセンサ、すなわち片寄りセンサ41が配置されている。片寄りセンサ41は、本発明のヤレ検出部40に相当するものであり、この実施形態では、記録媒体の片寄り量をヤレ紙判定の判定要素としており、片寄り補正部5で補正可能な範囲を超えた片寄り外れ量がヤレ紙判定基準となっている。また、この実施形態では、画像形成前の記録媒体の片寄りを測定することで、画像形成後のヤレの程度を予測することができる。
【0015】
ただし、本発明としてはヤレ紙判定の要素が上記に限定されるものではなく、濃度むら、表裏ずれ、汚れ、紙曲がり、画像ずれなどの各種要素に対しヤレ紙判定を行うことができる。この際に各要素に応じて既知の方法によりヤレ検知をおこなうことができる。例えばCCDやCISを用いて画像形成された記録媒体の画像を測定して測定された画質によってヤレ判定を行うこともできる。また、ヤレ紙判定を行う要素は複数であっても良く、例えば記録媒体の片寄り測定と画質測定とをそれぞれ行ってそれぞれについてヤレ紙判定を行うことも可能である。
【0016】
また、この画像形成装置では、前記表示部22を介して用紙条件の設定やユーザー条件の設定が可能になっている。図3(a)は、該表示部22に操作可能に表示された用紙条件設定画面220を示すものである。該画面は、ジョブ設定に際し、使用する用紙を設定する際に表示される。該用紙条件設定画面220では、各給紙トレイ毎に収納されている用紙情報が表示されており、表示されている給紙トレイをオペレータが選択することで給紙される用紙が決定される。また、ジョブで使用する用紙が設定されており、オートトレイモードによって、前記設定の用紙条件に一致する用紙が収納されている給紙トレイが自動的に選択されるものであってもよい。なお、各給紙トレイに収納されている用紙条件は、収納されている用紙に基づいてオペレータが変更設定することができる。
【0017】
また、装置制御部1では、各用紙条件に対応してヤレ紙判定基準が関連付けられており、該関連データが判断レベル記憶部3に記憶されている。この実施形態では、下記表1に示すように、紙種ごとのヤレ紙判定基準値が定められている。また、上記表示部22を介して、紙種毎のヤレ紙判定基準値を設定変更可能にしてもよい。
【0018】
【表1】

【0019】
さらに、装置制御部1では、ユーザー条件の設定が可能になっており、ユーザー毎にヤレ紙判定基準値が定められている。図3(b)は、該表示部22に操作可能に表示されたユーザー条件設定画面221を示すものである。該画面は、ジョブ設定や画像形成装置の使用に際し、ユーザーを設定するときに表示される。該ユーザー条件設定画面221では、設定可能なユーザー名と、ユーザーに関連付けたヤレ紙判定基準値とが表示されており、表示されているユーザー名をオペレータが選択することでユーザー条件およびヤレ紙判定基準値が決定される。なお、各ユーザー毎のヤレ紙判定基準値はオペレータが変更設定できるようにしてもよい。
【0020】
次に、装置制御部1によるヤレ紙判定の手順について図4に基づいて説明する。
処理の開始に伴って、ヤレ紙判定基準が確定しているか否かの判定がなされる(ステップs1)。前記した用紙設定やユーザー条件の設定によってはヤレ紙判定基準の切り替えが必要になる。ヤレ紙判定基準が確定していない場合(ステップs1、NO)、複数の判定レベルを有する判定基準のうちから、該当する条件に一致する判定基準に設定を切り替える(ステップs2)。切り替えの内容、手順については後述する。
ヤレ紙判定基準が確定すると、画像形成ジョブが開始される(ステップs3)。
【0021】
すなわち、画像データがひとまとまりになって一連の画像形成が行われるジョブが開始されると、画像形成動作の一環として、画像形成が行われる用紙が画像形成装置内で搬送され、レジスト部に至る(ステップs4)。該レジスト部では、レジスト位置に達した用紙が、前記片寄りセンサ41によって検知される(ステップs4)。片寄りセンサ41による計測は、用紙がレジスト位置に達したときや、図示しない先端検知センサで用紙の先端が検知された後に、開始することができる。片寄りセンサ41による測定走査がなされると、用紙が位置する範囲では、透過光(出力信号)が得られず、用紙の側端縁を越えると、片寄りセンサ41の測定範囲において出力信号が得られる。この出力信号は、センサ出力処理部6で波形処理がされ、出力信号から出力時間を測定することで、片寄りセンサ41の原点(通常は記録媒体のセンタ位置)からの位置を算出する。これにより紙端部の位置が検出される。
【0022】
上記紙端部の位置は、メインCPU2に出力され、メインCPU2で、紙端部の位置と、搬送されている記録媒体の正規位置とから、必要な補正量を算出する(ステップs5)。用紙の正規位置は、搬送される記録媒体のサイズなどによってメインCPU2によって算出することができ、また、予め正規位置をフラッシュメモリなどにデータとして格納しておくこともできる。
【0023】
また、装置制御部1では、予め書き込みユニット30による書き込み開始タイミングの調整によって補正可能な片寄り量(例:±5mm)が設定されており、該補正可能な片寄り量はフラッシュメモリなどに読み込み可能に記録されている。メインCPU2では、この補正可能な片寄り量を読み出して、前記で算出した必要補正量と比較し、補正範囲内か否かが判定される(ステップs6)。この必要補正量が補正可能範囲内である場合(ステップs6、YES)、メインCPU2では、通常の片寄り補正動作として、書き込み開始タイミングの調整値を片寄り補正部5に指示する。片寄り補正部5では、この調整値に基づいて書き込みユニット30の書き込みタイミングを調整する(ステップs7)。この結果、記録媒体Pには、位置ずれが生じることなく画像形成が行われ(ステップs8)、ジョブの終了でなければ(ステップs9、NO)、次頁に関し、再度、判定基準の確定確認が行われる(ステップs1へ)。したがって、必要に応じてページ毎にヤレ紙判定基準の切り替えを行うことが可能になる。
【0024】
一方、前記した必要補正量と補正可能量との比較において、必要補正量が補正範囲を超える場合(ステップs6、NO)、ヤレ紙の判定手順に移行する。すなわち、ヤレ紙判定基準としては、補正範囲を超える量に基づいてヤレ紙判定レベルが設定されており、補正範囲を超える量が設定された判定レベル以内か否かの判定がなされる(ステップs10)。例えば、以下の内容で判定レベル1−5が設定されている。
【0025】
0.0mm<補正可能範囲オーバー量≦1.0mm判定レベル5
1.0mm<補正可能範囲オーバー量≦2.0mm判定レベル4
2.0mm<補正可能範囲オーバー量≦3.0mm判定レベル3
3.0mm<補正可能範囲オーバー量≦4.0mm判定レベル2
4.0mm<補正可能範囲オーバー量≦5.0mm判定レベル1
【0026】
ここで、ヤレ紙判定基準として判定レベル3が設定されていると、補正範囲を超える量が3.0mm以下であれば判定レベル1〜3を満たしており、3.0mmを超えると判定レベル3を超えるためヤレ紙と判定される。判定レベル以下の場合(ステップs10、NO)、ヤレ紙でないと判定され、ヤレ紙判定基準の確定確認以降が継続される(ステップs1へ)。この際に、補正が可能な範囲で片寄り補正動作を行うことも可能である。
【0027】
一方、上記判定でヤレ紙と判定される場合(ステップs10、YES)、画像形成動作(画像形成部への用紙搬送、画像書き込みなど)を一時中断する(ステップs11)。この際に、画像形成が行われた用紙は、搬出を継続するのが望ましい。
【0028】
画像形成動作の中断後、表示部22にヤレ紙警告表示を行い、オペレータにヤレ紙と判定した用紙をヤレ紙として扱うか否かの選択を要求する表示をし、選択入力が可能なYES釦やNO釦とを表示する(ステップs12)。オペレータがYES釦を押してヤレ紙として扱うことを選択すると(ステップs13、YES)、ヤレ紙判定基準を変更する必要はなく、判定レベルを維持したままで(ステップs14)、画像出力を再開し(ステップs15)、ジョブを継続する。
【0029】
一方、オペレータによってNO釦が押され、ヤレ紙と判定した用紙をヤレ紙として扱わない選択がなされると(ステップs13、NO)、ヤレ紙判定基準に設定されている判定レベルの変更を可能にする(ステップs15)。この際に、表示部に判定基準に関し所定条件毎の複数の判定ランクを示してオペレータによる選択設定を可能にし、選択された判定レベルをヤレ紙判定基準として設定してもよい。また、ユーザー条件設定などによる切り替えを可能にしてもよい。その後、画像出力を再開する(ステップs16)。
なお、ヤレ紙と判定した記録媒体をヤレ紙として扱わない選択がなされた場合、判定レベルを自動的に一段下げるなどの処理を行ってもよい。
【0030】
次に、ヤレ紙判定基準として複数の判定レベルを有し、これら判定レベルに基づいてヤレ紙判定基準の設定・切替を行う手順について説明する。
【0031】
図5は、ユーザ条件によってヤレ紙判定基準の判定レベルが異なり、これら判定レベルに基づいてヤレ紙判定基準を設定・切替する場合の手順について説明する。
下記表2に示すように、ユーザ毎に、片寄りに関するヤレ基準判定値が関連付けられており、該関連データは、判断レベル記憶部3に不揮発に記憶しておく。該ヤレ基準判定値は、片寄り補正による補正量を越えるはずれ量を示している。この判定レベルでは、ユーザ毎に許容される片寄り量が異なる場合に有効に利用することができる。例えば、高品質印刷を意図するユーザでは、より厳しい判定レベルを使用し、高品質を特に意図してない一般のユーザでは、低い判定レベルを使用することが出来る。
【0032】
【表2】

【0033】
ヤレ紙判定基準の設定・切替では、ユーザ条件が確認される(ステップsa1)。ユーザ条件は、例えば表示部22からオペレータが入力操作したり、画像形成装置の使用に際しオペレータがIDカードを用いることなどにより設定される。また、画像データにユーザ情報が含まれているような場合、制御部では、画像データからユーザ情報を取得することができる。また、画像データの送信者情報が、ネットワークアドレスなどによって把握される場合には、送信者情報によってユーザ条件を得ることも可能である。
【0034】
ユーザ条件を確認した後(ステップsa1、YES)、メインCPU2では、判断レベル記憶部3からユーザ条件に関連付けたヤレ基準判定値を読み出して、これを設定値として記憶し(ステップsa2)、ヤレ紙判定基準が確定する。
【0035】
図6は、用紙条件によってヤレ紙判定基準の判定レベルが異なり、これら判定レベルに基づいてヤレ紙判定基準を設定・切替する場合の手順について説明する。
下記表3に示すように、用紙条件毎に、片寄りに関するヤレ基準判定値が関連付けられており、該関連データは、判断レベル記憶部3に不揮発に記憶しておく。該ヤレ基準判定値は、片寄り補正による補正量を越えるはずれ量を示している。この判定レベルでは、用紙毎に許容される片寄り量が異なる場合に有効に利用することができる。例えば、高品質印刷を意図する用紙では、より厳しい判定レベルを使用し、高品質を特に意図してない一般の用紙では、低い判定レベルを使用することが出来る。
【0036】
【表3】

【0037】
ヤレ紙判定基準の設定・切替では、用紙条件が確認される(ステップsb1)。用紙条件は、一般にジョブ条件に含まれており、ジョブ開始に伴って、メインCPU2によって用紙条件が取得される。例えば、前記したようにジョブ開始に先立って、用紙条件設定画面220を介してオペレータによって用紙条件が設定される。この形態では、用紙条件としては紙種が用いられている。高品質の用紙ほど、ヤレ基準判定値が厳しい数値となっている。
【0038】
用紙条件を確認した後(ステップsb1、YES)、メインCPU2では、判断レベル記憶部3から用紙条件に関連付けたヤレ基準判定値を読み出して、これを設定値として記憶し(ステップsb2)、ヤレ紙判定基準が確定する。
【0039】
図7は、後処理条件によってヤレ紙判定基準の判定レベルが異なり、これら判定レベルに基づいてヤレ紙判定基準を設定・切替する手順について説明する。
下記表4に示すように、後処理条件毎に、片寄りに関するヤレ基準判定値が関連付けられており、該関連データは、判断レベル記憶部3に不揮発に記憶しておく。該ヤレ基準判定値は、片寄り補正による補正量を越えるはずれ量を示している。この判定レベルでは、後処理条件毎に許容される片寄り量が異なる場合に有効に利用することができる。例えば、高品質印刷が必要とされる後処理では、より厳しい判定レベルを使用し、高品質を特に必要都内後処理では、低い判定レベルを使用することが出来る。
【0040】
【表4】

【0041】
ヤレ紙判定基準の設定・切替では、後処理条件が確認される(ステップsc1)。後処理条件は、一般にジョブ条件に含まれており、ジョブ開始に伴って、メインCPU2によって後処理条件が取得される。例えばジョブ開始に先立って、前記表示部22を介してオペレータによって後処理の有無や、後処理有りの場合、後処理内容が設定される。この形態では、後処理条件としては後処理の内容が用いられている。
【0042】
後処理条件を確認した後(ステップsc1、YES)、メインCPU2では、判断レベル記憶部3から後処理条件に関連付けたヤレ基準判定値を読み出して、これを設定値として記憶し(ステップsc2)、ヤレ紙判定基準が確定する。
【0043】
図8は、用紙条件および後処理条件によってヤレ紙判定基準の判定レベルが異なり、これら判定レベルに基づいてヤレ紙判定基準を設定・切替する場合の手順について説明する。
下記表5に示すように、用紙条件および後処理条件毎に、片寄りに関するヤレ基準判定値が関連付けられており、該関連データは、判断レベル記憶部3に不揮発に記憶しておく。該ヤレ基準判定値は、片寄り補正による補正量を越えるはずれ量を示している。この判定レベルでは、用紙毎および後処理条件毎に許容される片寄り量が異なる場合に有効に利用することができる。
【0044】
【表5】

【0045】
ヤレ紙判定基準の設定・切替では、先ず用紙条件が確認される(ステップsd1)。用紙条件は、ジョブ条件に含まれており、ジョブ開始に伴って、メインCPU2によって用紙条件が取得される。この形態では、用紙条件としては紙種が用いられている。用紙条件確認(ステップsd1、YES)後、次に、後処理条件が確認される(ステップsd2)。後処理条件は、同じくジョブ条件に含まれており、ジョブ開始に伴って、メインCPU2によって後処理条件が取得される。この形態では、後処理条件としては後処理の内容が用いられている。
【0046】
後処理条件を確認した後(ステップsd2、YES)、メインCPU2では、判断レベル記憶部3から用紙条件に関連付けたヤレ基準判定値と後処理条件に関連付けたヤレ基準判定値とを読み出して、両者を比較する(ステップsd3)。この比較においては、より厳しいヤレ紙判定基準値を採用する。すなわち、用紙条件によるヤレ紙判定基準値が、後処理条件によるヤレ紙判定基準値以上である場合(ステップsd3、YES)、後処理条件によるヤレ紙判定基準値を設定値として記憶し(ステップsd4)、ヤレ紙判定基準を確定する。一方、用紙条件によるヤレ紙判定基準値が、後処理条件によるヤレ紙判定基準値未満である場合(ステップsd3、NO)、用紙条件によるヤレ紙判定基準値を設定値として記憶し(ステップsd5)、ヤレ紙判定基準を確定する。例えば、用紙条件がオフィス紙で、用紙条件でのヤレ紙判定基準値が2.0mm以下、後処理条件が中綴じ製本で後処理条件でのヤレ紙判定基準値が1.0mm以下の場合、後処理条件によるヤレ紙判定基準値1.0mm以下に設定がなされる。上記手順により、ヤレ紙判定基準が確定する。
以上のように予め、用紙条件やユーザー条件に関連付けてヤレ紙判定基準値を定めておけば、ジョブ設定に際し行われる用紙条件やユーザー条件の設定に従ってヤレ紙判定基準を容易に設定することができる。
【0047】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は、上記各実施形態の説明内容に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲では適宜の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成装置を示すブロック図である。
【図2】同じく、ヤレ検知部を示す概略図である。
【図3】同じく、用紙設定画面と、ユーザ別ヤレ紙判定基準値を示す図である。
【図4】同じく、ヤレ紙判定を行う手順を示すフローチャートである。
【図5】同じく、ユーザ条件によるヤレ紙判定基準値の設定手順を示すフロー図である。
【図6】同じく、用紙条件によるヤレ紙判定基準値の設定手順を示すフロー図である。
【図7】同じく、後処理条件によるヤレ紙判定基準値の設定手順を示すフロー図である。
【図8】同じく、用紙条件および後処理条件によるヤレ紙判定基準値の設定手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0049】
1 装置制御部
2 メインCPU
3 判定レベル記憶部
4 表示部制御部
5 片寄り補正部
6 センサ出力処理部
20 操作パネル
22 表示部
40 ヤレ検出部
41 片寄りセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて用紙に画像形成を行う画像形成部と、前記用紙のヤレを検出するヤレ検出部と、該ヤレ検出部の出力を受けて、設定されたヤレ紙判定基準に基づいて前記用紙のヤレ紙判定を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記ヤレ紙判定基準として判定レベルを複数有し所定の条件によって前記ヤレ紙判定基準の設定を切り替え可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ヤレ紙判定基準を切り替える所定の条件は、ジョブ条件とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ヤレ紙判定基準を切り替える所定の条件は、使用ユーザー条件とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
オペレータによる入力操作が可能な操作表示部を備えており、前記制御部は、前記ヤレ紙判定においてヤレ紙であると判定した場合、前記画像形成の動作を一時停止させ、前記操作表示部によって、ヤレ紙と判定した用紙をヤレ紙として扱うか否かの選択を可能とするとともに、該選択結果に応じて前記ヤレ紙判定基準の変更設定を可能とすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ヤレ紙判定基準の変更設定を、前記複数の判定レベルを有する前記ヤレ紙判定基準の設定切り替えにより行うことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ヤレ紙判定においてヤレ紙であると判定した場合、前記操作表示部にヤレ紙判定の警告を行うことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、複数の判定レベルを有するヤレ時判定基準を記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−14935(P2010−14935A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174407(P2008−174407)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】