説明

画像形成装置

【課題】 転写材の裏汚れを抑止しつつ、装置の小型化を達成する。特に、縁無しモードにおける転写材の裏汚れを抑制と装置の小型化の両立を達成することを目的とする。
【解決手段】 二次転写ベルトに、二次転写ベルトに付着したトナーを一時的に回収可能な回収部材を配置する。二次転写中に、二次転写ベルトの清掃をすることで転写材の裏汚れを抑制し、紙間で回収部材に一時的に回収していたトナーを中間転写体に吐き出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式などによって画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のフルカラー画像形成装置においては、現像像(トナー像)を担持している第1の像担持体である感光体から、一次転写部において、像担持体としての中間転写体に転写を行う。さらに、中間転写体に重畳した複数色のトナー像を二次転写部で一括して紙等の転写材に転写する中間転写体方式を採用した製品が、数多く実用化されている。
【0003】
図9に、従来の中間転写ベルト方式の画像形成装置の一例を示す概略構成図を示す。
【0004】
この画像形成装置は、画像入力データに基づき、中間転写ベルト8に沿って設けられた複数の画像形成部においてトナー像を形成する。各々の感光ドラム2上に静電潜像を形成し、該静電潜像に対して単色トナーを現像し、単色トナー像を形成する。そして各画像形成部にて形成された単色トナー像を中間転写ベルト8上で重ね合わせて、多重(多色)トナー像を形成し、該多重トナー像を転写材に転写し、転写材上の多重トナー像を定着器21で定着させる構成となっている。
【0005】
ここでは、各色画像形成部には、それぞれドラム状の感光体(感光ドラム)2(2a、2b、2c、2d)が一列に配置されている。
【0006】
各感光ドラム2の周囲には、帯電ローラ7(7a、7b、7c、7d)、露光装置1(1a、1b、1c、1d)、現像装置3(3a、3b、3c、3d)、感光ドラムクリーニングunit5(5a、5b、5c、5d)が配置されている。各色の感光ドラム2は、駆動装置(不図示)により所定のプロセススピードで回転駆動される。
【0007】
各色の感光ドラム2の下部では、各一次転写ニップ部にて、第2の像担持体としての無端状の中間転写ベルト8を介して転写部材である一次転写ローラ4(4a、4b、4c、4d)と当接している。
【0008】
中間転写ベルト8は、駆動ローラとしての役割を合わせ持つ二次転写用の対向ローラ15、テンションローラ9、張架ローラ11、によって張架されており、矢印の方向に回転される。
【0009】
給紙カセット20から搬送された用紙である転写材P(不図示)は、1対のローラからなるレジストローラ13から転写前ガイド16により二次転写ローラ10と中間転写ベルト8によって形成される二次転写ニップ部に導かれる。そして、中間転写ベルト8上に形成されたトナー像が転写材P上に転写され、定着器21にて加圧および加熱することにより定着されたトナー像を転写材P上に得ることが可能となる。
【0010】
一方、二次転写ニップ部において転写材Pに転写できなかった中間転写ベルト8上のトナー像(廃トナー)は、中間転写体クリーナ12で清掃される。
【0011】
以上のような構成においては、二次転写ローラ10は常に中間転写ベルト8と接触しているために中間転写ベルト8上のトナーによって汚染されることがある。二次転写ローラ10が汚れてしまうと、二次転写ローラの汚れが転写材の裏面(転写面の反対側の面)を汚してしまう、即ち、転写材の裏汚れが発生し易くなる。
【0012】
これらの問題を解決するものとして、例えば、特許文献1には、二次転写ローラ10の下方に除去したトナーを回収する廃トナーボックスを設置したものが開示されている。これにより二次転写ローラ10は中間転写ベルト8の影響を受けずに確実にクリーニングすることが可能になる。従って、転写材の裏汚れが少なく、良質の印字を行うことが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−356619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1に記載された方式は二次転写ローラ用の廃トナーボックスがある分だけ、装置の小型化が困難である。特に、転写材の端部に及ぶまでトナー像を形成する縁無しモードを有する画像形成装置では、二次転写ローラに付着するトナーが多いため、回収するトナーの量が非常に多くなる。そのため、特許文献1に記載された方式では、二次転写ローラ用の廃トナーボックスが大きくなってしまい装置の小型化が更に困難となる。また、仮に二次転写ローラ用の廃トナーボックスを交換式にして装置の小型化を達成しても、廃トナーボックスの交換回数が増えてしまう問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するための第1の画像形成装置は、トナー像を担持し、回転可能な像担持体と、
前記像担持体からトナー像が転写される回転可能な中間転写体と、転写材を担持する回転可能な転写材担持体と、前記転写材担持体を介して前記中間転写体と転写ニップ部を形成し、前記中間転写体上のトナー像を前記転写材担持体が担持する転写材に転写可能な転写部材と、を有する画像形成装置において、前記転写ニップ部通過後に前記転写材担持体に付着したトナーを回収可能な回収部材と、前記転写ニップ部を通過後に前記中間転写体に残留したトナーを清掃する清掃装置と、を有し、前記回収部材は前記転写材担持体上に付着したトナーを一時的に回収し後に、再び前記転写材担持体へトナーを転移させ、前記回収部材から前記転写材担持体へ転移されたトナーは前記転写部材によって前記転写材担持体から前記中間転写体に転写された後に前記清掃装置で清掃されることを特徴とする。
【0016】
前記課題を解決するための第2の画像形成装置は、トナー像を担持し、回転可能な像担持体と、前記像担持体に付着したトナーを清掃する清掃装置と、前記像担持体からトナー像が転写される転写材を担持し、回転可能な転写材担持体と、前記転写材担持体を介して前記中間転写体と転写ニップ部を形成し、像担持体上のトナー像を前記転写材担持体が担持する転写材に転写可能な転写部材と、を有し、転写材担持体に付着したトナーは、転写部材によって前記転写材担持体から前記像担持体に再転写され、その後前記清掃装置で清掃される画像形成装置において、前記転写ニップ部通過後に前記転写材担持体に付着したトナーを回収する回収部材を有し、前記回収部材は前記転写材担持体上に付着したトナーを一時的に回収し後に再び前記転写材担持体へトナーを転移させ、前記回収部材から前記転写材担持体へ転移されたトナーは前記転写部材によって前記転写材担持体から前記像担持体に転写された後に前記清掃装置で清掃することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、紙の裏汚れを抑制することができる。または、複数の清掃手段が回収するトナーを集約することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1の画像形成装置全体構成を示す断面図
【図2】縁無し印刷と縁あり印刷について説明する図である。
【図3】縁無し印刷のトナー像と転写材の関係を示す図である。
【図4】転写材が転写ニップ部に進入する前の転写材搬送状態を説明する図
【図5】回収部材が付着トナーを回収する時の転写材搬送状態を説明する図
【図6】転写材が転写ニップ部を通過した後の転写材搬送状態を説明する図
【図7】回収部材から清掃装置に付着トナーを転移させる状態を説明する図
【図8】実施例3の画像形成装置全体構成を示す断面図
【図9】従来の画像形成装置全体構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0020】
(実施例1)
以下に本発明の実施例1を図面に基づいて行う。
【0021】
図1に、本実施例の画像形成装置としての、中間転写方式を用いたカラー画像形成装置の概略構成図を示す。本実施例では、タンデム中間転写方式、つまり、それぞれ像担持体を備えた複数の画像形成部にて各色のトナー像を形成するカラー画像形成装置を用いる。
【0022】
尚、前記した従来例の図9に示した画像形成装置との同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。本実施例においても、上記した従来例の画像形成装置と同様にして、画像形成が行われる。即ち、従来例と同様の画像形成工程により、各画像形成部にて、感光ドラム2表面にトナー像が形成され、中間転写ベルト8にそれぞれの画像形成部よりトナー像が重ねて転写される。中間転写ベルト8上(中間転写体上)に転写されたトナー像が転写材に二次転写される。そして、この転写されたトナー像が転写材に定着されたものが画像形成物として排出される。次に、画像形成動作を行う各画像形成部について、具体的に説明する。
【0023】
各色画像形成部の各感光ドラム2は、直径30mmの負帯電性の感光体を用いる。帯電ローラ7にDC成分にAC成分を重畳した帯電バイアスを印加して、感光ドラム2を約−650Vに一様に帯電する。露光装置1は不図示の波長760nmの近赤外レーザダイオードと、感光ドラム2上にレーザ光を走査するポリゴンスキャナを有し、画像部の電位を−250Vに低下させる(画像データに従った静電潜像を形成する)。現像装置3は、現像剤として、非磁性一成分トナーを用いた接触現像器であり、感光ドラム2上の静電潜像にトナーを接触現像する。一次転写ローラ4は、中間転写ベルト8に従動回転し、一次転写ローラ4の芯金には、300Vの一次転写電圧が印加され、感光ドラム2上、すなわち、像担持体上のトナー像が中間転写ベルト8に一次転写される。
【0024】
中間転写ベルト8は、駆動ローラとしての役割を合わせ持つ二次転写用の対向ローラ15、テンションローラ9、張架ローラ11により張架されている。対向ローラ15は直径30mmの芯金にカーボンブラックにより抵抗調整されたEPDMゴムを500μmの厚みで被覆したものである。テンションローラ9は直径30mmのアルミ製中空管であり、両端軸受け部にバネがあり総圧40Nでベルトを張架している。また、張架ローラ11は直径20mmのステンレス製のローラであり、中間転写ベルト8に従動回転している。中間転写ベルト8は、厚み75μm、周長1000mm、長手方向(画像形成幅方向)長320mmの単層無端状のシームレスベルトであり、カーボン分散により抵抗調整を行ったポリイミドで形成されている。
【0025】
次に二次転写部の構成について説明する。
【0026】
二次転写部は、転写材を担持する回転可能な転写材担持体31、二次転写ローラ10、駆動ローラ33、二次転写ベルトクリーナ34、対向ローラ35、吸着ローラ36から構成されている。転写材担持体31は、シームレスベルトである二次転写ベルト31である。対向ローラ35は、二次転写ベルトクリーナ34の対向ローラ35としても、またベルトのテンションを調整するためのテンションローラとしても機能する。あるいは、テンションローラを別途設けることも可能である。吸着ローラ36とベルトクリーナは、吸着対向ローラ軸を基準に位置決めすることで対向ローラ35との距離を保つ構成としてある。
【0027】
吸着ローラ36は、給紙カセット20から搬送されてきた転写材Pを二次転写ベルト31表面に静電吸着させるためのものである。例えば金属の芯金を、体積抵抗率10〜10Ω・cm程度に調整したEPDM、ウレタンゴム、NBR等の導電弾性体で覆い、その上に中層として厚さ200〜600μm程度のウレタン等の層を設け、さらにその上に250μm程度の表層を設けている。表層にはスチレン等を用いる。
【0028】
吸着ローラ36の両端の芯金部を0.04〜0.5N程度の線厚でバネ加圧することにより、吸着ローラ36を二次転写ベルト31を介して対向ローラ35に圧着させ、二次転写ベルト31の移動に対して従動回転させる。これにより、吸着ローラ36と対向ローラ35との間には吸着ニップ部が構成されている。
【0029】
吸着ローラ36には定電圧電源である吸着バイアス印加電源が接続されている。本実施例における二次転写ローラ10は二次転写ベルト31の回転に従動して回転する構成であるが、二次転写ローラ10を駆動させて駆動ローラとしての機能を持たせても良く、その場合には二次転写ベルト31を支持するローラを減らすことも可能である。二次転写ローラ10は、直径が6mmの芯金に約4mmの厚みの発泡ヒドリンゴムからなる弾性層が被覆されており、外径が14mmになるように構成されている。
【0030】
本構成においては、転写部材である二次転写ローラ10には直接トナーが触れない。そのため、二次転写ローラ10には、抵抗と硬度以外にはローラの物性に関しての制約はなく、二次転写ローラ10の素材としては、EPDM、ウレタン、NBR、エピクロルヒドリン、シリコン等のゴム材が用いることができる。樹脂製の二次転写ベルト31が介在することを考慮すると、4.9N荷重状態のAskerC硬度で30°未満であることが望ましい。
【0031】
また、二次転写ローラ10の抵抗値は、50Vを印加した二次転写ローラ10を表面速度が100mm/secで回転するアルミニウムシリンダに加重9.8Nで圧接して、測定した。この測定方法において10〜10Ωの抵抗値であるローラを使用した。二次転写ローラ10は、二次転写ベルト31の内側に配設されて、二次転写ベルト31を二次転写対向ローラ15に圧着し、これにより二次転写ニップ部が構成されている。片側4.9N、両側で9.8Nの加重をバネにより付与して二次転写ローラ10を二次転写対向ローラ15に対して当接させている。
【0032】
また、本実施例においては、二次転写ベルト31として厚さ80μmのPVdFを用いた。ベルト材質は、PVdFの他、PPS、PET、ポリイミド、PEEKなどを選択可能である。二次転写部の硬度が高くなると、ラフ紙(紙繊維が大きく表面形状が粗い紙)の転写性低化が懸念される。本実施例のような低硬度の二次転写ローラ10と離型性に優れた樹脂ベルトを組み合わせた二次転写部の構成は、転写性とベルトクリーニング性を両立させたものである。二次転写ベルト31にゴムベルトを使用する場合には、さらに高硬度のローラを使用しても良い。
【0033】
回収部材である二次転写ベルトクリーナ34については、後述する。
【0034】
本実施例の画像形成装置は、縁無しプリントが可能な画像形成装置である。ここで、縁無しプリントについて説明する。この画像形成装置は、転写材Pの縁の全周に渡って余白部を設けて画像を印刷する縁有りモードと、少なくとも転写材の一辺には、余白部を設けず転写材Pの縁に至るまで画像を印刷する縁無しモードを有している。
【0035】
図2(a)は縁あり印刷を、図2(b)は縁無し印刷を示している。縁あり印刷時には、トナー像は転写材P内に全て収まり、転写材Pの周辺に上余白(mh)・下余白(mb)・左余白(ml)・右余白(mr)の周辺マージンが存在する。これに対し縁無し印刷は、トナー像が転写材Pの端部にまで達しており、周辺マージンがなくなる。図2(b)においては、上余白・下余白・左余白・右余白のすべてがない状態を図示してあるものの、一部の端部に余白がなければ縁無しモードとする。以下は縁無しモードの画像形成について説明する。
【0036】
図3は、縁無し印刷時のトナー像形成を説明する図である。図3(a)は中間転写ベルト上に形成されるトナー像サイズを表しており、縦はIv、横はIhである。また、図3(b)は転写材Pのサイズを表しており、縦はPv、横はPhである。トナー像と転写材Pのサイズ関係はPv<Iv、Ph<Ihとなるように設定される。つまり、転写材Pが前後左右に少々ずれて給紙されても、転写材Pに余白が生じることがないように、トナー像のサイズは選択されている転写材サイズより若干大きくなるように形成される。中間転写ベルト8上には、破線で示したIv×Ihサイズのトナー像が形成される。Iv×Ihサイズのトナー像は、中間転写ベルト8により、二次転写領域へ向かって搬送される。一方、転写材Pは、レジストローラ対13によってタイミング制御され、トナー像が二次転写領域に進入するのに合わせて二次転写領域に搬送される。つまり、縁無しモードは、転写材の外側に対応する中間転写ベルト8上の領域までトナー像を形成し、転写材の縁までトナー像を形成するモードである。
【0037】
このとき、転写材Pのサイズよりもトナー像のサイズが大きいため、二次転写領域に中間転写ベルト8上のトナー像が転写材Pより先に突入する。二次転写領域では、Iv×Ihサイズのトナー像が、Pv×Phサイズの転写材Pに転写される。よって、図3(c)に示すような額縁状のトナー像が二次転写残トナーとなる。
【0038】
このように、縁無しモードでは、図3(c)に示すような額縁状のトナー像が二次転写残トナーとして発生し、その二次転写残トナーが二次転写ベルト31に付着する。よって、縁無しモードでは額縁状のトナー像が二次転写残トナーとして発生するため、縁有りモードに比べて、二次転写ベルト31に付着するトナー量が多くなり易い。
【0039】
ここで、二次転写ベルト31に付着したトナーを回収する二次転写ベルトクリーナ34(回収部材)について説明する。本実施例の二次転写ベルトクリーナ34は回転可能なブラシローラ34である。ブラシローラ34は、多数の導電糸を芯金に植え付けた構成で、全体として円柱状の外形を持つように構成されている。導電糸の基材はナイロンやポリエステルなどで、カーボンブラックなどの導電剤を添加して導電性を持たせてある。ブラシローラ34の導電糸の体積抵抗は、10〜1012Ω・cmのものを用いた。ブラシローラ34の芯金の径は6mm、ブラシローラ34の毛の長さは4mmである。本実施例で用いたブラシローラの繊維密度は100〜430kF/cm、単繊維の太さは1〜4デニールである。
【0040】
本実施例では、二次転写ベルト31クリーナとしてブラシローラ34を用いているが、ブラシローラ34の代わりにスポンジローラを用いても良い。ブラシローラ34は柔らかい導電糸で覆われており、表面積が稼げる一方で、糸自体が動きやすいために、トナー付着位置を正確に予測して制御をおこなうことが困難である。また、ブラシローラ34の回転速度がより速い系においては、遠心力でブラシローラ34の糸が動きやすく、トナーが飛散しやすいこ。それに対してスポンジローラでは、硬度やスポンジのセル径の選択によって、二次転写ベルト31との接触面積を小さくでき、また、回収対象トナーの回収およびクリーナからのトナー排出タイミングを制御しやすいため、スループットの向上につながる。特に、モノクロプリンタ等の、回収対象トナーの単位面積当たりのトナー量が少ない系においては、有効な手段となる。
【0041】
しかしながら、トナーの回収量に関して考えれば、ブラシローラのほうがスポンジローラよりも回収量が多く、特に縁無しモードのように二次転写ベルト31に対する付着トナー量が多い場合は、ブラシローラを使うことが望ましい。
【0042】
本実施例においては、ブラシローラ34は対向ローラ35から不図示のギアを介して駆動が伝達されており、二次転写ベルト31の回転方向と同方向に回転するように構成されているため、二次転写ベルト31に対してカウンタ方向に回転当接する。ブラシローラ34の回転方向は順方向でもかまわないが、ブラシローラ34によるトナー回収は物理的な掻き取り力の寄与があるため、回収位置で逆方向に移動するカウンタ方向とすることが望ましい。
【0043】
二次転写ベルトクリーナである前記ブラシローラ34の、対向ローラ35にバックアップされた二次転写ベルト31への侵入量は0.5〜1.5mm程度が望ましい。0.5mm以下であると、二次転写ベルト31とブラシローラ34の間に安定したニップ部が形成できず、トナーの回収が不安定である。一方、前記侵入量を大きくしすぎると、画像形成装置が停止状態の時にブラシローラ34が大きく塑性変形して二次転写ベルト31とブラシローラ34の接触が不安定になったり、ブラシローラ34の回転トルクの上昇や摩耗劣化が懸念される。ブラシローラ34の、二次転写ベルト31への侵入量の管理によってもブラシローラ34の塑性変形や摩耗劣化の問題が解決できない場合には、ブラシローラ34を二次転写ベルト31に対して離接可能に設定するのが望ましい。
【0044】
次に、二次転写ベルト31にトナーが付着する量が多い縁無しモードの二次転写工程における二次転写ベルト31に付着するトナーの清掃工程について説明する。
【0045】
給紙カセット20から搬送された転写材は次段の搬送手段であるレジストローラ13によって搬送され、吸着ローラ36において電荷を付与されて二次転写ベルト31上に吸着され、二次転写部に搬送される。二次転写ローラ10の芯金には、給電バネを介して不図示の二次転写バイアス電源が接続されている。二次転写ローラ10には接続された二次転写バイアス電源によって二次転写バイアスが印加される。一方、縁無しモードを実行する場合では中間転写ベルト8上に、転写材(紙)からはみでる大きさのトナー像が形成されており、転写ニップにて転写材の縁に至るまで転写される。これと同時に、転写材からはみ出るトナー像は、二次転写ベルト31上に転写されることとなる。これらについては図4及び図5に示すとおりである。転写材上に転写されたトナー像は、転写材が定着装置21に搬送されて、定着装置21で転写材上に定着される。
【0046】
転写材からはみ出ていて二次転写ベルト31上に転写されることとなったトナーは、中間転写ベルト8からトナー像が転写されている転写材の裏面を汚さないように、図5の如く、対向ローラ35に対向して配設されたブラシローラ34に一時的に回収される。そして、一旦回収されたトナーは、図6に示すように、次の転写材が二次転写位置に到着するまでのいわゆる転写材間で再度二次転写ベルト31上(転写材担持体上)に転移される(吐き出される)。さらには二次転写部で中間転写ベルト8上に転写されて中間転写ベルト8上に配設された中間転写体クリーナ12内のクリーニングブレードによってトナー収容ボックスに収容される。本実施例では、中間転写体クリーナ12が転写ニップ部通過後に、中間転写ベルト8に残留したトナーを清掃する清掃装置である。尚、清掃装置の構成としては、残留トナーを帯電する帯電部材を有し、1次転写部材によって中間転写ベルト8から感光ドラムに残留トナーを再転写させ感光ドラムクリーユニットで回収する構成でもよい。
【0047】
ここで、本実施例における縁無しモードの画像形成プロセス速度は、60mm/secである。即ち、中間転写ベルト8の回転速度が、60mm/secである。
【0048】
本実施例によれば、縁無しモードにおいて、二次転写ベルト31によって転写材搬送を安定化できるので、転写材先端の挙動が不安定なことによる問題を抑制することができる。さらには、二次転写部で転写材先端に付着するトナー量が抑制されるので、定着ニップへ転写材が搬送される過程で生じるガイドの汚れや、定着部材へのトナー付着を抑えることができる。
【0049】
ここで、縁無しモードで二次転写ベルト31の周長よりも中間転写ベルト8の回転方向の長さが長いトナー像を転写材に転写する時の動作について、より具体的に図4から図7を使用して説明する。
【0050】
図4に示すように中間転写ベルト8上に転写されたトナー像T1に対して給紙カセット20から給紙された転写材Pはレジストローラ13でタイミングを合わせられて搬送され、二次転写ニップ部に進入される。そして、中間転写ベルト8上のトナー像T1は転写ニップにて転写材Pに転写される。
【0051】
図5に示すように、二次転写の際に転写材Pのサイズからはみ出した残トナーT2は、二次転写ベルト31上に転写され、対向ローラ35に対向して配設されたブラシローラ34に一時的に回収される。
【0052】
トナーを一時的に回収する時にブラシローラ34に印加する電圧は、負極性であるトナーとは逆極性、つまり正極性のDCバイアスとしている。二次転写ベルト31に転写されたトナーは、転写バイアスにより転写されたトナーであるので、そのほとんどは負極性に帯電している。よって、回収前にトナーを再帯電することを要しない。
【0053】
本実施例の画像形成装置においては、通紙可能な最大転写材の長さは297mm(A4サイズ)であり、転写材の先端位置ずれや画像伸びを考慮して、縁無しモードの際は画像形成プロセス方向に305mmの画像を形成する。従って理想的には、転写材の先端、後端の二次転写ベルト31上にそれぞれ4mmの塗り足しトナーが直接転写される。一方で二次転写ベルト31の周長は200mmである。即ち、本実施例の画像形成装置は、縁無しモードで二次転写ベルト31の周長よりも中間転写ベルト8回転方向(中間転写体回転方向)の長さが長いトナー像を転写材に転写可能である。この場合に、二次転写ベルト31上のクリーニングを実施せずにA4サイズの縁無しモードをおこなうと、転写材後端約100mmの範囲で転写材の裏面に汚れが発生する。従って、このような場合には二次転写ベルト31上に転写された塗り足しトナーのうち、二次転写ベルト31の周長とトナー像の長さの差分量に想到する部分のトナーを回収すればよい。本実施例では、中間転写ベルト8の回転方向の長さが305mmのトナー像、二次転写ベルト31の周長200mmであるので、前半約100mmを一時的に回収できれば、転写材後端約100mmの範囲に発生する裏面の汚れを抑制できる。本実施例では、ブラシローラ34に二次転写ベルト31に付着したトナーが最初に到達したタイミングから二次転写ベルト31に付着したトナーを回収し始める。その後、二次転写ベルト31の周長とトナー像の中間転写ベルト8の回転方向の長さの差分量を回収したタイミングでトナーの回収を終了する。
【0054】
図6に示すように転写材Pの前半約100mmの残トナーT2がブラシローラ34に回収された後にブラシローラ34へ印加される電圧を逆転させる。これにより、二次転写ベルト31上の残トナーT2のブラシローラ34への回収は停止される。または、前半の残トナーT2がブラシローラ34に回収された後にブラシローラ34への印加を停止させてもよい。
【0055】
これにより二次転写ベルト31上の後半の残トナーT3はブラシローラ34に回収されることなく搬送され、二次転写部で中間転写ベルト8上に転写される。そして、中間転写ベルト8上に配設された中間転写体クリーナ12内のクリーニングブレードによってトナー回収ボックスに回収される。
【0056】
二次転写ベルト31上の後半の残トナーT3がブラシローラ34を通過してから所定時間後にブラシローラ34に回収された残トナーT2が再び二次転写ベルト31に当接するように回転制御されている。これにより逆バイアスを印加されている残トナーT2は二次転写ベルト31上に転写される。また、前述のように、前半の残トナーT2がブラシローラ34に回収された後にブラシローラ34への印加を停止させていた場合は、このタイミングでトナーの極性と同極性である負極性のバイアスが印加される。そして、ブラシローラ34に回収された残トナーT2が再び二次転写ベルト31に転写される。この後の中間転写体クリーナ12への回収は前述の通りである。
【0057】
二次転写ベルト31の周長を通紙可能な最大転写材の長さよりも十分長く設定し、二次転写ベルト31のクリーニング動作を行わずに非画像形成時に中間転写ベルト8へ転移させることで一時的に回収するクリーニング手段を持たなくすることも可能である。
【0058】
しかし、二次転写ベルト31の周長を通紙可能な最大転写材の長さよりも十分長く設定する構成では、二次転写ベルト31の周長が長くなるため装置の小型化が困難となり、装置のコストアップにも繋がる。また、ユーザが通紙可能な最大転写材の長さのプリントをしない時でもクリーニングのために長い二次転写ベルト31が一回転して残トナーを中間転写ベルト8に吐き出すまでは次の転写材への転写ができないため、スループットが低下するといった問題が発生する。
【0059】
そこで、本実施例では二次転写ベルト31を極力短くすることで装置の小型化を図るために、縁無しモードで二次転写ベルト31の周長よりも中間転写ベルト8回転方向の長さが長いトナー像を転写材に転写可能な構成にする。その際に、前述のように二次転写ベルト31クリーナであるブラシローラ34を持つ構成にし、二次転写ベルト31上のトナーを一部回収するようにしている。
【0060】
さらに、二次転写ベルト31に残トナーを回収するための廃トナーボックスが不必要なため、装置の小型化及び複数の廃トナーボックスをユーザが処理する必要がなく、ユーザビリティの向上が可能となる。また、ブラシローラ34によるトナー回収時間を最小限にすれば、ブラシローラ34のトナー目詰まりを抑制でき、ブラシローラ34の高寿命化が図れる。
【0061】
なお、極力短くした二次転写ベルト31よりも短い転写材に対して縁無し印刷をするときはブラシローラ34への一時的に回収が必要ないため、回収を行わないようにしてもよい。回収を行わない場合は、回収を行う場合に比べてスループットを向上させる効果がある。
【0062】
なお、本実施例では、転写材Pの縁の全周に渡って余白部を設けて画像を印刷する縁無し印刷の場合には、二次転写ベルト31に付着するトナー量が少ないので、回収を行わないようにしている。回収を行わないことで縁無しモードのスループットを向上させている。
【0063】
(実施例2)
本実施例における画像形成装置の構成は、実施例1の画像形成装置とほぼ同じである。よって、実施例1に記載した画像形成装置と同様な機能を有する部材には、同符号を付して説明を省略する。また、以下の説明は実施例1に記載した画像形成装置と異なる部分を主に説明する。
【0064】
本実施例も、実施例1と同様に、ブラシローラ34上に付着したトナーを再度二次転写ベルト31上に排出し、さらに中間転写ベルト8に最転写しする。その後中間転写ベルト8に当接したクリーニングブレードによって再転写されたトナーを最終的に回収する構成としており、上記以外にブラシローラ34上のトナーをブラシローラ34から排出させる手段を有していない。
【0065】
ブラシローラ34を使用する場合には、ブラシローラ34を一回転以上させると、ブラシローラ34上に一旦保持された回収トナーが再度二次転写ベルトに接した際に、回収トナーの一部が二次転写ベルト上に付着してしまう可能性がある。二次転写ベルトに回収トナーが再付着してしまうと、さらに二次転写部において紙の裏面に転写されて転写材の裏面を汚してしまう可能性がある。二次転写ベルト31上に再付着しやすいトナーは、帯電量の小さなトナーや、層状に堆積してブラシローラ34上に付着したトナー等である。またブラシローラ34によって二次転写ベルトから回収される際に、ブラシローラ34と二次転写ベルト31の間で生じる空隙によって放電が生じ、トナーの帯電極性が反転してしまう場合がある。この帯電極性が反転したトナーも、再度二次転写ベルトに接した際に二次転写ベルト31に再付着し易い。
【0066】
前記したようなトナーのブラシローラ34上への回収は、二次転写ベルト31に対して周速差を設けたブラシローラ34の物理的な掻き取り力に大きく依存しており、このようなトナーはブラシローラ34の糸との付着力が極めて小さい。したがって、二次転写ベルト31とブラシローラ34の再接触の際に前記したようなトナーの一部は二次転写ベルト上に再付着してしまい、転写材の裏面の汚れの原因となる。
【0067】
よって、本実施例では、ブラシローラ34による回収対象トナーT2の回収は、ブラシローラ34が一回転する間に完了させる。具体的には、ブラシローラ34の回転数は、0.5rps、つまり表面速度は22mm/secとし、ブラシローラ34一回転当たり最大で約120mm分のトナーを一次回収可能に設定してある。つまり、ブラシ一周以内で回収対象トナーT2の回収を終える構成としてある。
【0068】
二次転写ベルトに対しブラシローラ34の回転速度を小さくすると、画像形成プロセス方向において一次回収可能な範囲が広がる。一方で、本実施例のように二次転写ベルトとブラシローラ34を共通の駆動装置で回転駆動させる場合には、トナー排出動作に時間がかかるデメリットが生じる。本実施例においては、一枚毎にトナーの一次回収と排出動作を短時間でおこなうため、回収対象トナーT2長105mmに対し、ブラシローラ34一回転当たりの最大回収長を120mmと比較的近い値に設定している。
【0069】
ブラシローラ34の表面の移動速度は、二次転写ベルト表面の移動速度より大きくても構わないが、ブラシローラ34一回転の中でクリーニングを終える構成においては、ブラシローラ34のサイズが大きくなり、本体サイズに影響する観点から好ましくない。
【0070】
ブラシローラ34への電圧印加は、画像先端がブラシローラ34と二次転写ベルトの接触位置に達する所定時間前から開始され、一次回収動作終了までの間、所定の電流値がブラシローラ34からクリーナ対向ローラに流れるように定電流制御されている。本実施例においては、ターゲットとする定電流値は10μAに設定してある。本実施例においてはブラシローラ34への電圧印加は定電流制御としているが、前記電流値を検知するための電流検知回路を有さない等の構成に応じて定電圧制御を選択することもできる。
実際のトナー回収動作は画像先端がブラシローラ34位置へ到達したタイミングで開始される。
【0071】
回収対象トナーT2がブラシローラ34に到達する以前より、あらかじめブラシローラ34への印加電圧を制御しておくことにより、裏面の汚れとして目立ちやすい画像先端の塗り足しトナーを安定して一次回収することができる。また、ブラシローラ34で回収した画像先端トナーが再度二次転写ベルトに接する前に回収対象トナーT2の一次回収を終えることで、やはり裏面の汚れを防止することができる。ブラシローラ34による一次回収動作の完了タイミングは、一次回収動作の開始からブラシローラ34が一回転する前に完了する。
【0072】
回収対象トナーT2の回収が完了すると同時に、ブラシローラ34に印加する電圧を回収中とは逆極性、つまり負極性としている。これによって、図4に示すように、二次転写ベルト上からのトナー回収を停止すると同時に、ブラシローラ34からの回収対象トナーT2の排出を高効率でおこなうことができる。トナーの一次回収と排出を効率よくおこなうためには、ブラシローラ34一回転の時間からブラシローラ34への印加電圧極性切り替え時間を差し引いた時間としておくと良い。この後の中間転写体クリーナ12への回収は前述の通りである。一方で、紙搬送のミス等により、濃度の高い画像が紙に転写されずに二次転写ベルトに付着した場合には、ブラシローラ34に大量のトナーが付着する。そのため、一度にブラシローラ34から排出することによって、最終的なトナー回収手段である中間転写ベルトのブレードクリーナに負担がかかってしまう。したがって、ブラシローラ34からのトナー排出量をコントロールするため、ジャム検知、あるいは画像パターン検知等と組み合わせて、ブラシローラ34に印加する電圧をオフとしてもよい。
【0073】
尚、ブラシローラ34が一回転して回収する量を、実施例1と同様に、二次転写ベルトの周長とトナー像の中間転写ベルト8の回転方向の長さの差分量としてもよい。具体的には、ブラシローラ34に二次転写ベルトに付着したトナーが最初に到達したタイミングから、ブラシローラ34は付着トナーの回収を開始し、ブラシローラ34が一回転する前に、トナーの回収を終了させる。
【0074】
二次転写ベルト31の周長よりも画像が長い場合について述べたが、二次転写ベルト31の周長よりも画像が短い場合、つまり小サイズプリントの場合には、トナー回収をおこなわなくても裏面の汚れが発生し難い。そのため、小サイズプリントの場合、ブラシローラ34に印加する電圧はオフ、またはトナーと同極性としておくことができる。上記により、ブラシローラ34にトナー付着が生じないため、ブラシローラ34からのトナー排出動作を省略することができ、ユーザビリティの向上につながる。上記したように、回収対象とならない二次転写ベルト31上の後半の残トナーT3はブラシローラ34に回収されることなく搬送され、ブラシローラ34から排出されたトナーとともに二次転写部で中間転写ベルト8上に転写される。そして、中間転写ベルト8上に配設された中間転写体クリーナ12内のクリーニングブレードによって廃トナーボックスに回収される。
【0075】
(実施例3)
図8に実施例3の構成を示す。以下この図に基づいて説明を行うが、実施例1と同様の構成・作用をするものは同一の番号を付し説明は略す。
【0076】
本実施例は、感光ドラム上のトナー像を、転写搬送ベルト上に吸着搬送される転写材上に直接転写する方式を採用した画像形成装置であることを特徴とする。
【0077】
本実施例においては、静電吸着ベルトは駆動ローラ33、テンションローラ32、対向ローラ35の3軸によって張架され、一時的に回収ローラとしてブラシローラ34は対向ローラ35の対向に配設されている。
【0078】
静電吸着ベルト上の最終的なトナー回収(クリーニングモード)は、転写部において感光ドラム2上に逆転写し、感光ドラム2上に当接したドラムクリーニングブレードで掻き落とされてカートリッジ容器に収容される。本実施例では、ドラムクリーニングブレードとカートリッジ容器が清掃装置である。
【0079】
感光ドラム2上への逆転写は、1st、3stでは印字中とは逆極性のバイアスを転写ローラに印加し、2st、4stでは印字中と同様のバイアスを転写ローラに印加することで両極性のトナーを回収可能となる。また、静電吸着ベルトに対して感光ドラム2の回転速度を30%速めることにより、トナー回収能力を向上させ、クリーニング時間を短縮できる。
【0080】
本実施例における静電吸着ベルトの周長は560mm、最大通転写材長さは297mm、転写材間は50mmであるため、1枚毎に通常プリントモード−クリーニングモードの繰り返しにより、余白無しプリントは可能である。しかしながら、1枚プリント毎に約20secのクリーニング時間が必要になり、プリントの生産性が非常に低くなる。
【0081】
ここで本実施例に示すように、ブラシローラ34を用いることにより、プリント時に静電転写ベルトに付着したトナーを一時的に回収できるため、複数枚毎にクリーニングモードを実施すればよく、スループットが向上する。本実施例においては、先端100mmのクリーニングによって2枚連続プリントが可能になるが、もちろんブラシローラの外径、転写ベルトの周長、転写材サイズ等のパラメータによってはさらなる生産性の向上も可能である。
【0082】
また、転写ベルトクリーナとしてブラシローラ34を使用する利点としては、従来例で述べたようにベルトの劣化への寄与が小さい点も挙げられる。
【0083】
以上、本実施例では、縁無しモードを有する画像形成装置において、静電吸着ベルト上にベルトクリーナとしてのブラシローラ34を当接させ、ブラシローラ34でトナーの一部を回収することでプリントの生産性(出力能力)が向上する。また、静電吸着ベルト上の残トナーを回収するための廃トナーボックスが不必要なため、装置の小型化及び複数の廃トナーボックスをユーザが処理する必要がなく、ユーザビリティの向上が可能となる。
【符号の説明】
【0084】
8 中間転写ベルト(中間転写体)
10 二次転写ローラ
11 二次転写前張架ローラ
31 二次転写ベルト
33 二次転写ベルト駆動ローラ
34 二次転写ベルトクリーナ(ブラシローラ)
35 吸着対向ローラ
36 吸着ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持し、回転可能な像担持体と、
前記像担持体からトナー像が転写される回転可能な中間転写体と、転写材を担持する回転可能な転写材担持体と、前記転写材担持体を介して前記中間転写体と転写ニップ部を形成し前記中間転写体上のトナー像を前記転写材担持体が担持する転写材に転写可能な転写部材と、を有する画像形成装置において、
前記転写ニップ部通過後に前記転写材担持体に付着したトナーを回収可能な回収部材と、前記転写ニップ部を通過後に前記中間転写体に残留したトナーを清掃する清掃装置と、を有し、前記回収部材は前記転写材担持体上に付着したトナーを一時的に回収し後に、再び前記転写材担持体へトナーを転移させ、前記回収部材から前記転写材担持体へ転移されたトナーは前記転写部材によって前記転写材担持体から前記中間転写体に転写された後に前記清掃装置で清掃されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体上に転写材に対応する領域から転写材の外側に対応する領域までトナー像を形成し、転写材の縁にトナー像を転写する縁無しモードを有し、前記縁無しモードを実行する場合に、前記回収部材は前記転写材担持体に付着したトナーを回収することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装置は、前記縁無しモードで前記転写材担持体の周長よりも前記中間転写体の回転方向の長さが長いトナー像を転写材に転写可能であり、前記装置は、前記転写材担持体の周長よりも前記中間転写体回転方向の長さが長いトナー像を転写材に転写する場合に、前記転写部材で中間転写体上のトナー像を前記転写材担持体が担持する転写材に転写しつつ、前記回収部材で前記転写材担持体に付着したトナーを回収することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記回収部材は回転可能なブラシローラであり、前記ブラシローラは、前記ブラシローラに前記転写材担持体に付着したトナーが最初に到達したタイミングから前記転写材担持体に付着したトナーを回収し、前記転写材担持体の周長とトナー像の前記中間転写体の回転方向の長さの差分に対応するトナー量を回収したタイミングでトナーの回収を終了することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回収部材は回転可能なブラシローラであり、前記ブラシローラは、前記ブラシローラに前記転写材担持体に付着したトナーが最初に到達したタイミングから前記転写材担持体に付着したトナーを回収し、前記ブラシローラが一回転する前に、トナーの回収を終了することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記回収部材は前記転写材担持体と接触しており、接触位置における前記回収部材の回転方向は、前記転写材担持体の回転方向と逆方向であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写材担持体は、シームレスベルトであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記清掃装置は、前記中間転写体から付着トナーを回収するクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードが回収したトナーを収容する収容ボックスを有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
トナー像を担持し、回転可能な像担持体と、前記像担持体に付着したトナーを清掃する清掃装置と、前記像担持体からトナー像が転写される転写材を担持し、回転可能な転写材担持体と、前記転写材担持体を介して前記中間転写体と転写ニップ部を形成し、像担持体上のトナー像を前記転写材担持体が担持する転写材に転写可能な転写部材と、を有し、転写材担持体に付着したトナーは、転写部材によって前記転写材担持体から前記像担持体に再転写され、その後、前記清掃装置で清掃される画像形成装置において、
前記転写ニップ部通過後に前記転写材担持体に付着したトナーを回収する回収部材を有し、前記回収部材は前記転写材担持体上に付着したトナーを一時的に回収し後に再び前記転写材担持体へトナーを転移させ、前記回収部材から前記転写材担持体へ転移されたトナーは前記転写部材によって前記転写材担持体から前記像担持体に転写された後に前記清掃装置で清掃することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−15136(P2010−15136A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115541(P2009−115541)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】