画像形成装置
【課題】装置本体内のメンテナンスのために開閉されるカバー部材の開閉に係る操作性の向上を図ることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】プリンタ1では、第1筐体5の上部に開口11が設けられ、カバー部材20が、開口11を覆うように設けられている。カバー部材20は、第1筐体5内部を上から覆う閉位置と第1筐体5内部を上方へ露出させる開位置との間で回動自在である。ロック部材51は、カバー部材20を閉位置にロックすることができる一方で、そのロックを解除することができる。カバー部材20の前側(排出された用紙Sを受け取るユーザ側)における端部には、把持部28が設けられている。カバー部材20がロック部材51によって閉位置にロックされた状態において、把持部28は、閉位置から開位置へ向かう方向へ動かされる操作に連動して、ロック部材51のロックを解除する。
【解決手段】プリンタ1では、第1筐体5の上部に開口11が設けられ、カバー部材20が、開口11を覆うように設けられている。カバー部材20は、第1筐体5内部を上から覆う閉位置と第1筐体5内部を上方へ露出させる開位置との間で回動自在である。ロック部材51は、カバー部材20を閉位置にロックすることができる一方で、そのロックを解除することができる。カバー部材20の前側(排出された用紙Sを受け取るユーザ側)における端部には、把持部28が設けられている。カバー部材20がロック部材51によって閉位置にロックされた状態において、把持部28は、閉位置から開位置へ向かう方向へ動かされる操作に連動して、ロック部材51のロックを解除する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成部としてのプリンター部の上部に画像読取部としてのスキャナー部が開閉自在に配置され、プリンター部とスキャナー部との間に排紙積載空間部が形成された所謂胴内排紙タイプの画像形成装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の画像形成装置では、スキャナー部を開くことで、排紙積載空間部におけるプリンター部上面のメンテナンスカバーが露出され、このメンテナンスカバーを開くことによって、このプリンター部上面では、開口部が開放される。開放された開口部を介して、プリンター内のカートリッジの交換やプリンター内におけるジャム処理等のメンテナンスを行うことができる。
【特許文献1】特開2005−258025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置において、メンテナンスカバーは、排紙積載空間部における比較的奥側の位置(ユーザから遠い位置)にあり、メンテナンスカバーへのアクセスが困難である。また、メンテナンスカバーは、閉じた状態でロックされておらず、不意に開くおそれがある。
そこで、本発明の目的は、装置本体内のメンテナンスのために開閉されるカバー部材の開閉に係る操作性の向上を図ることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置であって、記録媒体に画像を形成するための画像形成部を備え、上部に開口が設けられる装置本体と、前記装置本体の上部に前記開口を覆うように設けられ、前記画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出され、記録媒体の排出方向における上流側を支点として、前記装置本体内部を上から覆う閉位置と前記装置本体内部を上方へ露出させる開位置との間で前記装置本体によって回動自在に支持されたカバー部材と、前記カバー部材を前記閉位置にロックするおよびそのロックを解除することができるロック部材と、前記カバー部材の前記排出方向下流側端部に設けられ、前記カバー部材を回動させるために把持され、前記カバー部材が前記ロック部材によって前記閉位置にロックされた状態において、前記閉位置から前記開位置へ向かう方向へ動かされる操作に連動して前記ロック部材のロックを解除する把持部とを備えることを特徴としている。
【0005】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記把持部は、前記排出方向下流側へ突出していることを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記カバー部材は、排出された記録媒体が積載される積載面を含み、前記把持部は、前記積載面に連続していることを特徴としている。
【0006】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、前記カバー部材の前記排出方向下流側端部には、前記排出方向下流側へ向かうのに従って下向きに傾斜する傾斜面が形成されており、前記把持部は、前記傾斜面より上に設けられていることを特徴としている。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明において、前記把持部は、前記排出方向の直交方向における前記カバー部材の中央部に設けられていることを特徴としている。
【0007】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の発明において、前記把持部は、前記排出方向の直交方向において、記録媒体より小さいことを特徴としている。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明において、前記把持部は、前記装置本体の前記排出方向下流側端面よりも前記排出方向上流側に設けられていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の発明において、前記把持部の前記排出方向上流側には、前記把持部に沿う第1姿勢と、前記把持部に対して上向きに交差する第2姿勢とに姿勢を変え、前記第2姿勢の状態において記録媒体を支持する補助トレイが設けられていることを特徴としている。
また、請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の発明において、前記カバー部材に設けられ、前記カバー部材が前記閉位置にあるときには前記装置本体に係合し、前記カバー部材が前記閉位置から前記開位置へ向けて回動するのに応じて前記装置本体から外れる係合部材を備えることを特徴としている。
【0009】
また、請求項10に記載の発明は、画像形成装置であって、記録媒体に画像を形成するための画像形成部を備え、上部に開口が設けられる装置本体と、前記装置本体の上部に前記開口を覆うように設けられ、前記画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出され、記録媒体の排出方向における上流側を支点として、前記装置本体内部を上から覆う閉位置と前記装置本体内部を上方へ露出させる開位置との間で前記装置本体によって回動自在に支持されたカバー部材と、前記カバー部材を前記閉位置にロックするおよびそのロックを解除することができるロック部材と、前記カバー部材の前記排出方向下流側端部に設けられ、前記カバー部材を回動させるために把持される把持部とを備え、前記カバー部材が前記ロック部材によって前記閉位置にロックされた状態において、前記閉位置から前記開位置へ向かう方向へ前記把持部が動かされるのに応じて前記ロック部材のロックが解除されることを特徴としている。
【0010】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記カバー部材に設けられ、前記カバー部材が前記閉位置にあるときには前記装置本体に係合する係合部材を備え、前記係合部材は、前記カバー部材が前記閉位置から前記開位置へ向けて回動するのに応じて前記装置本体から外れることを特徴としている。
また、請求項12に記載の発明は、請求項1ないし11のいずれかに記載の発明において、前記装置本体の上方に配置され、原稿の画像情報を読み取り可能な画像読取部と、前記画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出される空間が前記装置本体と前記画像読取部との間に形成されるように、前記装置本体と前記画像読取部との間に設けられ、前記画像読取部を下から支持する支持部とを備え、前記把持部は、前記画像読取部よりも前記排出方向下流側へ突出していることを特徴としている。
【0011】
また、請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の発明において、前記支持部は、前記空間を挟むように一対設けられ、各前記支持部の前記排出方向下流側端面は、前記排出方向下流側へ向かうのに従って下向きに傾斜していることを特徴としている。
また、請求項14に記載の発明は、請求項12または13に記載の発明において、前記把持部は、前記支持部よりも前記排出方向下流側へ突出していることを特徴としている。
【0012】
また、請求項15に記載の発明は、請求項12ないし14のいずれかに記載の発明において、前記画像読取部の前記排出方向下流側には、画像形成装置の運転を制御するために操作される操作部が設けられ、前記把持部は、前記操作部よりも前記排出方向下流側へ突出していることを特徴としている。
また、請求項16に記載の発明は、請求項12ないし15のいずれかに記載の発明において、前記支持部は、前記カバー部材と一体的に設けられ、前記画像読取部は、前記排出方向における上流側を支点として、前記装置本体または前記支持部によって回動自在に支持されていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の発明において、前記カバー部材が回動するときには前記画像読取部を前記支持部に固定する第1固定部材を備えることを特徴としている。
また、請求項18に記載の発明は、請求項16または17に記載の発明において、前記画像読取部が回動するときには前記支持部を前記装置本体に固定する第2固定部材を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、この画像形成装置では、画像形成部を備える装置本体の上部に開口が設けられている。そして、装置本体の上部には、カバー部材が、開口を覆うように設けられている。
カバー部材には、画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出される。そして、カバー部材は、装置本体によって回動自在に支持されており、具体的には、記録媒体の排出方向(以下では、単に「排出方向」ということがある。)における上流側を支点として、装置本体内部を上から覆う閉位置と装置本体内部を上方へ露出させる開位置との間で回動自在である。そのため、カバー部材を開位置まで回動させると、装置本体の上部の開口が開かれるので、この開口を介して、装置本体内部のメンテナンスすることができる。一方で、カバー部材を閉位置まで回動させると、開口が閉じられるので、異物が開口から装置本体内部に入り込むことを防止できる。
【0015】
ここで、画像形成装置に備えられたロック部材は、カバー部材を閉位置にロックすることができる一方で、そのロックを解除することができるので、画像形成中などにカバー部材が不意に開くことを防止できる。
そして、カバー部材の排出方向下流側端部には、カバー部材を回動させるために把持される把持部が設けられている。カバー部材がロック部材によって閉位置にロックされた状態において、把持部は、閉位置から開位置へ向かう方向へ動かされる操作に連動して、ロック部材のロックを解除する。これにより、把持部を把持して閉位置から開位置へ向かう方向へ動かすという一つの動作だけで、ロック部材のロックを解除する動作と、カバー部材を閉位置から開位置へ回動させる動作とを一度に行うことができる。また、把持部は、カバー部材の排出方向下流側(排出された記録媒体を受け取るユーザ側)における端部に設けられているので、把持部へのアクセスが容易である。
【0016】
これらの結果、カバー部材の開閉に係る操作性の向上を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、把持部は、排出方向下流側へ突出しているので、把持部へのアクセスが一層容易である。
請求項3に記載の発明によれば、把持部は、カバー部材において排出された記録媒体が積載される積載面に連続しているので、積載面へ排出される記録媒体の邪魔とならない。そのため、積載面への記録媒体の円滑な排出を確保することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、カバー部材の排出方向下流側端部には、排出方向下流側へ向かうのに従って下向きに傾斜する傾斜面が形成されており、把持部は、この傾斜面より上に設けられている。
これにより、把持部の下には、指を差し込むことができる空間が形成されるので、把持部を上下から掴んで確実に把持することができる。また、把持部を傾斜面より上側に設けることで、把持部がカバー部材において突出したように見えて目立つので、ユーザに対して把持部の存在を認識させることができ、ユーザがカバー部材を回動させる際には、ユーザに必ず把持部を把持させることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、把持部は、排出方向の直交方向におけるカバー部材の中央部(カバー部材においてバランスが取れた部分)に設けられているので、違和感なく、把持部を把持してカバー部材を回動させることができる。
請求項6に記載の発明によれば、把持部は、排出方向の直交方向において、記録媒体より小さい。そのため、排出された記録媒体が把持部にかかっても、この記録媒体の直交方向における領域において、把持部にかかった部分以外の箇所が、宙に浮いた状態となって掴み代となるので、この掴み代を掴むことで、排紙された記録媒体を円滑に取り出すことができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、把持部は、装置本体の排出方向下流側端面よりも排出方向上流側に設けられているので、装置本体の排出方向下流側を通り掛かったユーザが把持部に引っ掛かるといった不具合を防止することができる。
請求項8に記載の発明によれば、把持部の排出方向上流側に設けられた補助トレイは、把持部に沿う第1姿勢と、把持部に対して上向きに交差する第2姿勢とに姿勢を変え、第2姿勢の状態において記録媒体を支持する。
【0020】
そのため、たとえば排出方向において比較的長い記録媒体が排出されても、補助トレイの姿勢を第2姿勢にしておけば、記録媒体が上から把持部にかぶさることで把持部が記録媒体の下に隠れることがなく、把持部へのアクセスが容易である。そして、第2姿勢の補助トレイが、把持部に対して上向きに交差することで、排出された記録媒体を宙に浮かせるので、この記録媒体を円滑に掴んで取り出すことができる。また、補助トレイを使用しないときには、補助トレイは、その姿勢を第1姿勢に変えて把持部に沿うので、邪魔にならない。
【0021】
請求項9に記載の発明によれば、カバー部材に設けられた係合部材は、カバー部材が閉位置にあるときには装置本体に係合しているので、ロック部材によるカバー部材の閉位置におけるロックが解除されただけでは、カバー部材は、引き続き閉位置にあり、直ちに閉位置から回動する(開く)ことはない。
一方、係合部材は、カバー部材が閉位置から開位置へ向けて回動するのに応じて装置本体から外れるので、係合部材を装置本体から外す動作を別途行わなくても、カバー部材を閉位置から開位置へ向けて回動させる動作で、係合部材を装置本体から外すこともでき、操作性の向上を図ることができる。
【0022】
このように、このカバー部材は、上述したロック部材によるロックが解除されただけの状態では開かず、ユーザがその意思によってカバー部材を閉位置から開位置へ向けて回動させるのに応じて、はじめて開くので、たとえば把持部にユーザが間違ってぶつかることでカバー部材が不意に開くことを防止できる。
請求項10に記載の発明によれば、この画像形成装置では、画像形成部を備える装置本体の上部に開口が設けられている。そして、装置本体の上部には、カバー部材が、開口を覆うように設けられている。
【0023】
カバー部材には、画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出される。そして、カバー部材は、装置本体によって回動自在に支持されており、具体的には、記録媒体の排出方向(以下では、単に「排出方向」ということがある。)における上流側を支点として、装置本体内部を上から覆う閉位置と装置本体内部を上方へ露出させる開位置との間で回動自在である。そのため、カバー部材を開位置まで回動させると、装置本体の上部の開口が開かれるので、この開口を介して、装置本体内部のメンテナンスすることができる。一方で、カバー部材を閉位置まで回動させると、開口が閉じられるので、異物が開口から装置本体内部に入り込むことを防止できる。
【0024】
ここで、画像形成装置に備えられたロック部材は、カバー部材を閉位置にロックすることができる一方で、そのロックを解除することができるので、画像形成中などにカバー部材が不意に開くことを防止できる。
そして、カバー部材の排出方向下流側端部には、カバー部材を回動させるために把持される把持部が設けられている。カバー部材がロック部材によって閉位置にロックされた状態において、閉位置から開位置へ向かう方向へ把持部が動かされるのに応じてロック部材のロックが解除される。これにより、把持部を把持して閉位置から開位置へ向かう方向へ動かすという一つの動作だけで、ロック部材のロックを解除する動作と、カバー部材を閉位置から開位置へ回動させる動作とを一度に行うことができる。また、把持部は、カバー部材の排出方向下流側(排出された記録媒体を受け取るユーザ側)における端部に設けられているので、把持部へのアクセスが容易である。
【0025】
これらの結果、カバー部材の開閉に係る操作性の向上を図ることができる。
請求項11に記載の発明によれば、カバー部材に設けられた係合部材は、カバー部材が閉位置にあるときには装置本体に係合しているので、ロック部材によるカバー部材の閉位置におけるロックが解除されただけでは、カバー部材は、引き続き閉位置にあり、直ちに閉位置から回動する(開く)ことはない。
【0026】
一方、係合部材は、カバー部材が閉位置から開位置へ向けて回動するのに応じて装置本体から外れるので、係合部材を装置本体から外す動作を別途行わなくても、カバー部材を閉位置から開位置へ向けて回動させる動作で、係合部材を装置本体から外すこともでき、操作性の向上を図ることができる。
このように、このカバー部材は、上述したロック部材によるロックが解除されただけの状態では開かず、ユーザがその意思によってカバー部材を閉位置から開位置へ向けて回動させるのに応じて、はじめて開くので、たとえば把持部にユーザが間違ってぶつかることでカバー部材が不意に開くことを防止できる。
【0027】
請求項12に記載の発明によれば、この画像形成装置では、装置本体の上方に画像読取部が配置され、画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出される空間が装置本体と画像読取部との間に形成されるように、支持部が、装置本体と画像読取部との間に設けられ、画像読取部を下から支持している。
ここで、把持部は、画像読取部よりも排出方向下流側へ突出しているので、ユーザにとって把持部の位置を確認しやすく、把持部へのアクセスが容易となり、把持部を把持してカバー部材を回動させている最中に把持手が画像読取部にぶつかることを防止できる。
【0028】
請求項13に記載の発明によれば、記録媒体が排出される空間を挟むように設けられた一対の支持部のそれぞれの排出方向下流側端面は、排出方向下流側へ向かうのに従って下向きに傾斜しているので、垂直面である場合に比べて、排出方向下流側で排出された記録媒体を受け取るユーザに対して、圧迫感を与えない。
請求項14に記載の発明によれば、把持部は、支持部よりも排出方向下流側へ突出しているので、把持部へのアクセスが容易である。
【0029】
請求項15に記載の発明によれば、画像読取部の排出方向下流側には、画像形成装置の運転を制御するために操作される操作部が設けられており、把持部は、操作部よりも排出方向下流側へ突出しているので、ユーザが操作部に視線を向けると把持部が必ずユーザの視界に入ることとなり、ユーザにとって把持部の位置を確認しやすく、把持部へのアクセスが容易となる。
【0030】
請求項16に記載の発明によれば、支持部は、カバー部材と一体的に設けられているので、カバー部材とともに回動自在である。
そして、画像読取部は、排出方向における上流側を支点として、装置本体または支持部によって回動自在に支持されている。そのため、画像読取部を回動させることで、装置本体と画像読取部との間における記録媒体が排出される空間を排出方向下流側(ユーザ側)へ大きく露出させることができるので、この空間に排出された記録媒体を円滑に取り出すことができる。
【0031】
請求項17に記載の発明によれば、カバー部材が回動するときには、第1固定部が、画像読取部を支持部に固定するので、画像読取部は、カバー部材および支持部に一体化される。これにより、カバー部材が回動するときに、画像読取部がカバー部材(支持部)に対して回動することで、画像読取部およびカバー部材(支持部)のそれぞれが単独で回動することによって画像形成装置全体のバランスが崩れて画像形成装置が不安定な姿勢をとることを防止できる。
【0032】
請求項18に記載の発明によれば、画像読取部が回動するときには、第2固定部材が、支持部を装置本体に固定するので、画像読取部および支持部(カバー部材)のそれぞれが単独で回動することによって画像形成装置全体のバランスが崩れて画像形成装置が不安定な姿勢をとることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
1.プリンタの構成
図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタを右前上方から見た斜視図であって、中間体(カバー部材)および第2筐体(画像読取部)がともに閉位置にある状態を示している。図2は、プリンタを右前上方から見た斜視図であって、中間体だけが開位置にある状態を示している。図3は、プリンタを右前上方から見た斜視図であって、第2筐体だけが開位置にある状態を示している。図4は、図1の状態にあるプリンタの右側面図である。図5は、図1の状態にあるプリンタの平面図である。
【0034】
なお、以下の説明において、プリンタにおける前後方向、上下方向、および、左右方向(幅方向)は、各図に示す方向矢印に沿うものとする。また、略水平方向には、前後方向および左右方向が含まれ、略垂直方向には、上下方向が含まれる。
図1に示すように、プリンタ1は、前後方向にやや長手の略直方体形状の筐体2を備えている。右側面視における筐体2の輪郭は、前上側が斜めに切り欠かれた略矩形状をなしている(図4も参照)。このプリンタ1は、いわゆる複合機であり、これに応じて、筐体2には、後述する画像形成部3および画像読取部4が備えられている。
【0035】
筐体2は、装置本体の一例としての下側の第1筐体5と、上側の第2筐体6と、第1筐体5と第2筐体6との間に配置される中間体7とに分割されている(図2および図3も参照)。
後述するように、中間体7は、第1筐体5に対して回動することによって、第1筐体5の上面を開閉し(図2も参照)、第2筐体6は、中間体7に対して回動することによって、中間体7の上面を開閉する(図3も参照)。以下では、特に言及がない限り、中間体7が第1筐体5の上面を閉じた位置(閉位置)にあり、かつ、第2筐体6が中間体7の上面を閉じた位置(閉位置)にあること(つまり、図1、図4および図5の状態)を前提として説明する。
(1)第1筐体
図2に示すように、第1筐体5は、前後方向において長手かつ上下方向においてやや扁平な中空の略直方体形状である。
【0036】
第1筐体5の前後左右の側面は、いずれも、略垂直方向に沿って平坦であり、第1筐体5の天面および底面は、いずれも、略水平方向に沿って平坦である。第1筐体5において、前面と右面との接続部分、および、前面と左面との接続部分は、上下方向における全域に亘って丸められている。ここで、第1筐体5の前面に符号8を付し、第1筐体5の天面に符号9を付している。
【0037】
前面8の上端と天面9の前端とは、傾斜面10によって連結されている。傾斜面10は、前から順に、第1部10Aと、第2部10Bと、第3部10Cとを一体的に含んでいる。
第1部10Aは、前面8の上端の幅方向全域に対して接続されており、後下側へ膨らむように僅かに湾曲しながら、後上側へ延びている(図4も参照)。第1部10Aの上(後)端において、幅方向両端部に挟まれた部分は、幅方向両端部に比べて前下側へ窪んでいる。
【0038】
第2部10Bは、第1部10Aの上(後)端の幅方向全域に対して接続されており、第1部10Aに対して略直交して後下側へ延びている(図4も参照)。
第3部10Cは、第2部10Bと下(後)端の幅方向両端部に接続されており、第2部10Bに対して略直交して(第1部10Aと略平行に)後上側へ延びている(図4も参照)。つまり、第3部10Cは、幅方向に間隔を隔てて2つ設けられている。右側の第3部10Cは、天面9の右端部9Aの前端に接続されており、左側の第3部10Cは、天面9の左端部9Bの前端に接続されている。
【0039】
天面9(第1筐体5の上部)には、開口11が設けられている。開口11は、平面視において略矩形状であり、天面9の右端部9A、左端部9Bおよび後端部9Cと、傾斜面10の第2部10Bおよび左右の第3部10Cとに囲まれている。
第1筐体5内には、略直方体形状の収容室14が区画されている。上述した開口11は、消耗品交換などメンテナンス用に設けられ、収容室14に対して上から連通している。収容室14には、着脱可能な消耗品を含む画像形成部3が収容されている。なお、図2では、画像形成部3は、具体的に図示されていない。画像形成部3は、たとえば、記録媒体の一例としての用紙S(図3参照)に画像(トナー像)を形成するものである。このプリンタ1は、いわゆるLEDプリンタやレーザプリンタやインクジェットプリンタ等のあらゆるタイプ(もちろんカラーおよびモノクロの両方を含む)のプリンタを含んでおり、画像形成部3は、それぞれのタイプに応じた構成となっている。ここで、上述した消耗品は、開口11を介して交換可能となっている。
(2)中間体
図3に示すように、中間体7は、カバー部材20と、支持部21と、連結部22とを一体的に備えている。
【0040】
カバー部材20は、第1筐体5の天面9(図2参照)のほぼ全域を塞ぎ得る大きさを有する平面視で略矩形の平板状であり、開口11を塞ぐことにより、収容室14がカバーされる。
支持部21は、前後方向に長手で中空のブロック状であり、幅方向に間隔を隔てて一対設けられている。左側の支持部21は、カバー部材20の左端部の前後方向における全領域に接続され、右側の支持部21は、カバー部材20の右端部の前後方向における全領域に接続されている。左右の支持部21は、カバー部材20の天面23よりも上側へ突出している。
【0041】
連結部22は、幅方向に長手のブロック状であり、カバー部材20の後端部の幅方向におけるほぼ全領域に接続され、左右の支持部21の後端部間に架設されている。連結部22は、カバー部材20の天面23よりも上側へ突出している。連結部22の天面(図示せず)は、左右の支持部21の天面24とほぼ面一になっている。
カバー部材20について詳説すると、カバー部材20の天面23(詳しくは左右の支持部21に挟まれた領域)は、後側の積載面25と、前側の傾斜面26とを一体的に含んでいる。
【0042】
積載面25は、略水平方向に平坦であり、その後端部には、排出口27が形成されている。排出口27は、上述した用紙Sを通過させ得る大きさを有しており、カバー部材20を、肉厚方向(図3では上下方向)において貫通している。
図3に示す状態(中間体7が閉位置にある状態)では、排出口27は、第1筐体5の天面9の開口11を介して、第1筐体5内の収容室14に上から連通している(図2参照)。収容室14内に収容された画像形成部3が、用紙Sに画像を形成すると、画像が形成された用紙Sは、排出口27から前側へ排出され(図示した太い破線矢印参照)、積載面25上に積載される。つまり、このプリンタ1における用紙Sの排出方向Xは、前側へ向かう方向である。そのため、排出方向Xの下流側は前側であり、排出方向Xの上流側は、後側である。
【0043】
傾斜面26は、カバー部材20の前端部に形成されている。傾斜面26は、積載面25の前端において幅方向中央部を除くほぼ全領域に対して接続されており、前側へ向かうのに従って緩やかに湾曲しながら下向きに傾斜している。傾斜面26は、幅方向から見て、前上側へ膨らむように湾曲している(後述する図6も参照)。
ここで、積載面25の前端(カバー部材20の前端部)の幅方向中央部には、把持部28が一体的に設けられている。なお、積載面25の幅方向中央部は、カバー部材20の幅方向中央部と同じであり、また、幅方向とは、上述した排出方向Xの直交方向である。把持部28は、上下に薄く、平面視で略矩形の板状である。把持部28は、幅方向において、用紙Sより小さい。
【0044】
把持部28(詳しくは把持部28の天面28A)は、積載面25に連続しており、積載面25の前端から前側へ突出している。その一方で、把持部28は、第1筐体5の前面8よりも後側に配置されている(図4も参照)。
ここで、上述した傾斜面26は、平面視において、把持部28を取り囲むように、上側が開放された略U字状をなしている。そして、把持部28の後側の底面(後底面28B)は、前側へ向かうのに従って緩やかに湾曲しながら下向きに傾斜しており、把持部28の左右および下にある傾斜面26に対して連続している。一方、把持部28の前側の底面(前底面28C)は、後底面28Bの前(下)端より上側で略水平に前側へ延びており、幅方向で同じ位置ある傾斜面26より上にある。つまり、把持部28は、傾斜面26より上に設けられている(図1も参照)。
【0045】
把持部28の後側(詳しくは把持部28の天面28Aの後側部分)には、補助トレイ29が設けられている。補助トレイ29は、把持部28より小さい略矩形の板状である。補助トレイ29は、その前端部において、把持部28によって回動自在に支持されている。
そのため、補助トレイ29は、その前端部を支点として回動することによって、実線で示すように把持部28(詳しくは把持部28の天面28A)に沿う第1姿勢と、点線で示すように把持部28(天面28A)に対して上向きに交差(詳しくは略直交、厳密には、第1姿勢の状態から90°以上回動)する第2姿勢とに姿勢を変えることができる。第1姿勢にある補助トレイ29を基準として、後端部が幅方向両側から挟持されることによって、補助トレイ29が回動される。
【0046】
用紙Sが積載面25に排出される際に、この用紙Sの前側部分が把持部28まで届こうとした場合には、補助トレイ29が第2姿勢にあれば、用紙Sの前側部分が、第2姿勢にある補助トレイ29によって、把持部28から浮いた状態で、下から支持される(図1において点線で示した補助トレイ29および用紙Sを参照)。
次に、支持部21について詳説すると、図3に示す状態(中間体7が閉位置にある状態)では、各支持部21の天面24は、略水平方向に沿って平坦である。なお、天面24の一部(詳しくはほとんど)は、開放されており、開放された部分から、支持部21の内部が上方へ露出されている。また、各支持部21の底面30も、天面24と同様に、略水平方向に沿って平坦である。なお、支持部21の底面30は、カバー部材20の底面において幅方向で同じ側にある端部と一致している。
【0047】
そして、右側の支持部21の右面は、第1筐体5の右面とほぼ面一であり、左側の支持部21の左面は、第1筐体5の左面とほぼ面一である。
一方、各支持部21の前壁31は、前下側へ傾斜しており、その下端部は、支持部21の底面30よりも下側へ突出している。そして、前壁31の前面31A(支持部21の前端面)は、前側へ向かうのに従って下向きに傾斜している。詳しくは、前面31Aは、後下側へ膨らむように僅かに湾曲している(図4参照)。図3では、右側の支持部21の前面31Aは、第1筐体5の傾斜面10の第1部10Aの右端部に対して後上側から連続しており(図4も参照)、左側の支持部21の前面31Aは、第1部10Aの左端部に対して後上側から連続している。ここで、図4に示すように、上述した把持部28は、各支持部21の前面31Aよりも前側へ突出している。
【0048】
このような中間体7には、図1に示すように、左右の支持部21によって挟まれ、カバー部材20の天面23によって底が規定された空間32が形成されている。そのため、上述したように画像形成部3で画像が形成されてカバー部材20の天面23の積載面25に排出される用紙Sは、この空間32に排出されることになる。
そして、中間体7では、その後端部(詳しくは連結部22)の下端部が、第1筐体5(詳しくは第1筐体5の天面9の後端部9C)によって回動自在に支持されている。中間体7の回動軸33は、幅方向に沿って延びている(図4参照)。中間体7(カバー部材20)は、上述した閉位置(図1および図3ないし図5参照)と、開位置(図2参照)との間で、回動軸33を支点として回動することができる。
【0049】
中間体7が閉位置にあるときには、図1に示すように、右側の支持部21の底面30が、第1筐体5の天面9の右端部9A(図2も参照)の全域に対して上から接触し、左側の支持部21の底面30が、第1筐体5の天面9の左端部9B(図2参照)の全域に対して上から接触する。また、各支持部21の前壁31の下端部(支持部21の底面30より下側にある部分)が、第1筐体5の傾斜面10において幅方向で同じ側にある第3部10Cに対して前上側から接触し、傾斜面10の第2部10Bにおいて幅方向で同じ側にある端部に対して後上側から接触する。また、カバー部材20の前端が、第2部10Bにおいて幅方向両端部に挟まれた部分に対して後上側から対向する。
【0050】
これにより、中間体7の右面が、第1筐体5の右面に対して上から連続し、中間体7の左面が、第1筐体5の左面に対して上から連続する。そして、中間体7の前面(各支持部21の前面31A)が、第1筐体5の傾斜面10の第1部10Aに対して後上側から連続する。また、カバー部材20の前端も、第1部10Aに対して後上側から連続する。
また、中間体7が閉位置にあるときには、カバー部材20が、第1筐体5の天面9の開口11(図2参照)を上から覆っている。換言すれば、カバー部材20は、第1筐体5の内部(収容室14)を上から覆っている。
【0051】
この状態で、把持部28を把持し、閉位置にある中間体7を右側面視で時計回りの方向へ45°程度回動させると、中間体7は、図2に示すように、開位置に到達する。
中間体7が開位置にあるときには、中間体7の底面(つまり、カバー部材20の底面および各支持部21の底面30)が、第1筐体5の天面9から後上側へ離間する。これにより、第1筐体5の天面9の開口11および収容室14が前側上方ヘ露出される。
【0052】
この状態で、開口11から収容室14にアクセスして、収容室14に収容された画像形成部3のメンテナンス(上述した用紙Sのジャム処理や、画像形成部3に備えられた図示しないトナーカートリッジの交換等)を実施することができる。
そして、開位置にある中間体7を、右側面視で反時計回りの方向へ45°程度回動させると、中間体7は、閉位置に戻る(図1参照)。
(3)第2筐体
図1に示すように、第2筐体6は、中間体7の天面(左右の支持部21の天面24と、連結部22の天面と、これらの天面に囲まれた領域とを合わせた部分であり、図3参照)をほぼ塞ぎ得る大きさを有する平面視で略矩形の平板状であり、上下にやや厚い。
【0053】
図1に示す状態(第2筐体6および中間体7がともに閉位置にある状態)では、第2筐体6の右面は、中間体7の右面(右側の支持部21の右面)および第1筐体5の右面とほぼ面一であり、第2筐体6の左面は、中間体7の左面(左側の支持部21の左面)および第1筐体5の左面とほぼ面一である。
第2筐体6の前面6Aは、前側へ向かうのに従って下向きに傾斜している。詳しくは、前面6Aは、後下側へ膨らむように僅かに湾曲している(図4も参照)。図1では、前面6Aは、右端部において、右側の支持部21の前面31Aに対して後上側から連続しており(図4も参照)、左端部において、左側の支持部21の前面31Aに対して後上側から連続している。
【0054】
そして、前面6Aにおいて、左端部と右端部とに挟まれた部分には、操作部40が一体的に設けられている。
操作部40は、前面6Aから前側へ突出している。操作部40は、幅方向に長手であり、幅方向から見た輪郭は、前側へ向かうのに従って細くなる略三角形状である(図4も参照)。詳しくは、操作部40は、前面6Aに沿って延びて前面6Aに接続される後面40Aと、後面40Aの下端から前側へ略水平に延びる底面40Bと、底面40Bの前端から前上側へ僅かに延びる前面40Cと、前面40Cの上端から後上側へ延びて後面40Aの上端に接続される天面40Dとを含んでいる(図4も参照)。
【0055】
ここで、第2筐体6の天面6Bおよび底面6Cは、ともに、略水平方向に沿って平坦であり、底面6Cは、幅方向から見て、操作部40の底面40Bと略面一となっており、操作部40の天面40Dおよび後面40Aのそれぞれの上端は、第2筐体6の天面6Bの前端に接続されている(図4も参照)。
操作部40の天面40Dには、複数の操作キー41や表示部42が設けられている。操作部40(詳しくは操作キー41)を操作することによって、プリンタ1全体の運転を制御することができる。そして、プリンタ1の運転状況等が表示部42に表示される。
【0056】
そして、第2筐体6には、画像読取部4が内蔵されている。また、第2筐体6には、原稿押えカバー43が設けられている。
原稿押えカバー43は、第2筐体6の天面6Bを塞ぎ得る大きさを有する平面視で略矩形の平板状である。原稿押えカバー43では、その後端部が第2筐体6によって回動自在に支持されている。原稿押えカバー43の回動軸は、幅方向に沿って延びている。原稿押えカバー43は、後端部を支点として回動することによって、第2筐体6の天面6Bを覆ったり(図1参照)、前上側へ開放したりすることができる。原稿押えカバー43を回動させる際には、原稿押えカバー43の前端部が把持される。
【0057】
なお、原稿押えカバー43および第2筐体6の天面6Bのそれぞれには、マグネット(図示せず)が設けられており、これらのマグネットが引き付けあうことにより、原稿押えカバー43は、第2筐体6の天面6Bを覆うように付勢されている。
原稿押えカバー43を上側へ回動させて第2筐体6の天面6Bを開放し、天面6Bに原稿を載置してから原稿押えカバー43を下側へ回動させて、原稿押えカバー43で第2筐体6の天面6Bを覆う。これにより、天面6Bに載置された原稿が原稿押えカバー43によって上から押えられ、位置決めされる。
【0058】
この状態で操作部40の操作キー41を所定の手順で操作すると、天面6Bに載置された原稿の画像情報が画像読取部4によって読み取られる。読み取られた画像情報に基づき、画像形成部3が、画像データを作成し、上述したように用紙Sに画像を形成する。
ここで、上述した把持部28は、操作部40よりも前側に突出している(図4も参照)。また、操作部40は、画像読取部4を内蔵する第2筐体6の前面6Aに設けられているので、画像読取部4の前側にある。そのため、把持部28は、画像読取部4よりも前側へ突出している(図4も参照)。
【0059】
そして、第2筐体6(画像読取部4)では、その後端部の下端部が、中間体7(詳しくは左右の支持部21の後端部および連結部22)によって回動自在に支持されている。第2筐体6の回動軸44は、幅方向に沿って延びている(図4参照)。第2筐体6(画像読取部4)は、上述した閉位置(図1、図2および図4参照)と、開位置(図3参照)との間で、回動軸44を支点として回動することができる。なお、第2筐体6は、中間体7でなく、第1筐体5によって回動自在に支持されてもよい。
【0060】
以下では、第2筐体6が閉位置にある場合、および、開位置にある場合を順に説明するが、いずれの場合においても、中間体7は閉位置にあるものとする。
第2筐体6が閉位置にあるときには、図1に示すように、第2筐体6の底面6Cが、左右の支持部21の天面24の全域に対して上から接触する。これにより、第2筐体6の右面が、中間体7の右面に対して上から連続し、第2筐体6の左面が、中間体7の左面に対して上から連続する。
【0061】
そして、第2筐体6の前面6Aが、中間体7の左右の支持部21の前面31Aに対して後上から連続する。
ここで、上述したように中間体7が閉位置にあることから、第2筐体6の前面6Aと、中間体7の前面(左右の支持部21の前面31A)と、第1筐体5の傾斜面10の第1部10Aとが、上からこの順番で連続する。これにより、プリンタ1の前上側には、第1筐体5の前面8の上端から後上側へ傾斜して延び、第2筐体6の天面6Bの前端に接続される面(大傾斜面45という。)が形成される。大傾斜面45によって、右側面視における筐体2の輪郭が、上述したように前上側が斜めに切り欠かれた略矩形状となる。ここで、大傾斜面45は、後下側へ膨らむように僅かに湾曲している(図4も参照)。
【0062】
この状態で、第2筐体6は、左右の支持部21によって下から支持されている。また、このとき、左右の支持部21は、第1筐体5と第2筐体6との間にあるので、左右の支持部21に挟まれた上述した空間32が第1筐体5と第2筐体6との間に形成されていることがわかる。空間32は、第2筐体6によって上から覆われている。
また、このとき、上述した大傾斜面45の中央には、正面視において略矩形状の取出口46が形成される。取出口46では、カバー部材20の前端と第2筐体6の底面6Cの前端とによって上下が規定され、左右の支持部21によって左右が規定されている。取出口46は、前側から、空間32に連通している。この状態では、取出口46から空間32に手を差し込んで、空間32に排出された用紙Sを取り出すことができる。
【0063】
そして、閉位置にある第2筐体6を右側面視で時計回りの方向へたとえば30°程度回動させると、中間体7は、図3に示すように、開位置に到達する。
第2筐体6が開位置にあるときには、第2筐体6の底面6Cが、中間体7の天面から後上側へ離間している。これにより、空間32が前側上方ヘ露出される。この状態では、取出口46(前側)からだけでなく、上側からも空間32に手を差し込むことができるので、空間32においてカバー部材20の積載面25に積層された多数枚の用紙Sや、空間32の奥側(後側)に排出された前後に短い用紙Sを容易に取り出すことができる。
(4)把持部
次に把持部28について詳説する。
【0064】
図6は、カバー部材の前側部分を右前上方から見た斜視図である。図7は、カバー部材の前側部分の内部構造の分解斜視図である。図8は、カバー部材の前側部分の内部構造を右前上方から見た斜視図である。図9は、中間体が閉位置にロックされたときにおけるカバー部材の前側部分周辺の右側断面図である。図10は、中間体の閉位置におけるロックが解除されたときにおけるカバー部材の前側部分周辺の右側断面図である。
【0065】
把持部28に関連して、図6に示すように、カバー部材20の底面の前端部には、係合部材50とロック部材51とが設けられている。
係合部材50は、幅方向において間隔を隔てて2つ設けられており、ロック部材51は、2つの係合部材50の間に配置されている。ロック部材51は、幅方向において把持部28と同じ位置にある。
【0066】
また、把持部28の前端の幅方向中央には、摘み部52が設けられている。摘み部52は、幅方向に細長い平板状であり、上下方向において把持部28と同じ厚みを有している。摘み部52は、把持部28の前端の幅方向中央に前から食い込むように配置されている。この状態で、摘み部52の天面と、把持部28の天面28Aとは、ほぼ面一となっており、摘み部52の前面と、把持部28の前面とは、ほぼ面一となっている。摘み部52は、把持部28の一部となっている。
【0067】
図7に示すように、係合部材50、ロック部材51および摘み部52を抜き出して示すと、まず、各係合部材50は、上下に長手であり、その下端部には、前側へ突出する爪50Aが一体的に設けられている。係合部材50の上端部は、幅方向から見て、後側が開放された略C字形状をなしている。そして、係合部材50において爪50Aの僅か上側には、折れ曲り部50Bが一体的に設けられている。折れ曲り部50Bは、後側へ延びた後、右側へ僅かに折れ曲っている。
【0068】
係合部材50では、上端部が、カバー部材20に取り付けられており、係合部材50は、上端部を支点として、図示した太い点線矢印で示すように、回動自在である(図8も参照)。この状態で、係合部材50には、後側からコイルばね53が取り付けられており、係合部材50は、前側へ回動するように(爪50Aが前側へ向かうように)、コイルばね53によって後側から付勢されている。なお、折れ曲り部50Bが、カバー部材20に対して、遊びを持って引っ掛かっているので、係合部材50が所定量以上前側へ回動することが規制されている。
【0069】
ロック部材51は、前後に薄く幅方向に長手の板状であり、その下端部の幅方向両端には、前側へ突出する爪51Aが一体的に設けられている。
また、ロック部材51の上端の幅方向両端部には、延設部54が一体的に設けられている。各延設部54は、上側へ延びてから前側へ折れ曲っている。各延設部54において、前側へ折れ曲った部分の前端には、幅方向に延びる同一の軸55が挿通されている。軸55は、カバー部材20(詳しくはカバー部材20において把持部28より下側の部分)に支持されている(図8参照)。この状態において、ロック部材51は、軸55を介して、カバー部材20に支持されており、軸55を支点として、回動自在である。
【0070】
ここで、軸55には、ばね56が取り付けられており、これによって、ロック部材51は、前側(右側から見て時計回りの方向)へ回動するように(爪51Aが前側へ向かうように)、ばね56によって付勢されている。
また、各延設部54において、軸55が挿通された部分より後側の部分には、幅方向外側へ突出する凸部57が一体的に設けられている。
【0071】
そして、摘み部52の後端部の下端には、上下に薄いプレート58が一体的に設けられている。プレート58は、平面視において、後側が開放された略U字形状であり、その後端部には、幅方向に延びる軸59が挿通されている。軸59は、カバー部材20(詳しくは、カバー部材20において把持部28より後側の部分)に支持されている(図8参照)。この状態において、摘み部52は、軸59を介して、カバー部材20に支持されており、軸59を支点として、回動自在である。
【0072】
詳しくは、上述したように摘み部52の天面と把持部28の天面28Aとがほぼ面一となった状態(図6および図9参照)から、摘み部52の天面が把持部28の天面28Aより高くなるように(図10参照)、摘み部52は、右側から見て時計回りの方向へ回動することができる。
また、プレート58の幅方向両端の前端部には、幅方向に薄く上下に長手の連結片62が設けられている。各連結片62の下端部には、連結片62を幅方向に貫通する貫通穴60が形成されている。各連結片62の貫通穴60には、ロック部材51において幅方向で同じ側にある延設部54の凸部57が、幅方向内側から挿通されている。これにより、摘み部52と、ロック部材51とが連結されている。
【0073】
この状態で、摘み部52を摘み、摘み部52の天面が把持部28の天面28Aより高くなるように(図10参照)、摘み部52を、右側から見て時計回りの方向(上側であり、図7の矢印A方向)へ回動させる。すると、摘み部52側の連結片62が、ロック部材51側の延設部54において軸55より後側の凸部57を引き上げる(図7の矢印B方向)。
【0074】
これにより、ロック部材51には、右側から見て反時計回りの方向に力が作用するので、ロック部材51は、上述したばね56の付勢力に抗して、右側から見て反時計回りの方向(図7の矢印C方向)へ回動する。これに伴い、ロック部材51の下端部(つまり左右の爪51A)が後側へ動く(図10も参照)。なお、この状態で、摘み部52から手を離すと、ロック部材51は、上述したばね56の付勢力によって元の位置まで回動し、これに連動して、摘み部52も元の位置まで回動する(図6および図9参照)。
【0075】
ここで、図9に示すように、第1筐体5の前壁16の後面における幅方向中央部分の上端部(詳しくは、上述した傾斜面10の第2部10Bより下側の部分)には、被係合部61が一体的に設けられている。幅方向から見たときの被係合部61の断面は、後側が開放された略C字形状をなしている。被係合部61は、幅方向に長手であり、幅方向において、左右の係合部材50とロック部材51とに一致している。
【0076】
図9に示すように、中間体7が閉位置にあって摘み部52から手が離された状態にある場合には、左右の係合部材50の爪50Aとロック部材51の爪51Aとが、後側から被係合部61の内側に嵌り、被係合部61の上側部分61A(つまり第1筐体5)に係合している。特に、ロック部材51の爪51Aは、前上側へ突出する鉤状であって、係合部材50の爪50Aより鋭いので、被係合部61に食い込むように係合している。これにより、中間体7の前端部が、ロック部材51を介して、第1筐体5に固定されるので、中間体7は、回動することができず、ロック部材51によって、閉位置にロックされる。このとき、係合部材50は、ロック部材51によるロックを補助している。
【0077】
この状態で、中間体7を閉位置(図1参照)から開位置(図2参照)へ回動させるために、摘み部52を摘むように把持部28を把持し、閉位置から開位置へ向かう方向(上側)へ持ち上げる。
これにより、まず、摘み部52が上側へ回動するので、上述したように、ロック部材51の下端部(左右の爪51A)が後側へ動き、図10に示すように、被係合部61から後側へ外れる。つまり、ロック部材51による、カバー部材20の閉位置におけるロックが解除される。換言すれば、把持部28(詳しくは摘み部52)が、中間体7の閉位置から開位置へ向かう方向へ動かされる操作に連動して、ロック部材51のロックを解除する。この状態では、左右の係合部材50の爪50A(図6参照)は、引き続き、被係合部61の上側部分61Aに係合している。よって、上述した消耗品交換などのためにユーザが把持部28を持ってカバー部材20(中間体7)を開けようという意志がないと、単にロック部材51のロックが解除された状態では、カバー部材20は開かない。
【0078】
そして、ロック部材51のロックが解除された状態で、引き続き、把持部28を持ち上げる。ここで、係合部材50の爪50Aにおいて上側部分61Aに接触する上面50Cは、後上側へ傾斜しているので、把持部28を持ち上げると、爪50Aは、上述したコイルばね53(図7参照)の付勢力に抗して後側へずれ、これに伴い、爪50A全体が、被係合部61から後側へ外れる。
【0079】
これにより、左右の係合部材50の爪50Aおよびロック部材51の爪51Aのいずれもが第1筐体5の被係合部61から外れるので、中間体7の前端部が、第1筐体5に対して移動可能となる。そのため、把持部28を引き続き持ち上げると、中間体7は、開位置(図2参照)まで回動する。
なお、中間体7を開位置から閉位置へ回動させると、左右の係合部材50の爪50Aの下面50Dおよびロック部材51の爪51Aの下面51Bが、中間体7の回動に伴って下降する際に、第1筐体5の被係合部61の上側部分61Aの上面61Bにぶつかる。ここで、係合部材50の爪50Aの下面50Dと、ロック部材51の爪51Aの下面51Bと、上側部分61Aの上面61Bとは、ともに、後下側へ延びる傾斜面である。そのため、爪50Aの下面50Dおよび爪51Aの下面51Bが被係合部61の上側部分61Aの上面61Bにぶつかると、爪50Aおよび爪51Aは、後側へずれながら下降する。
【0080】
そして、中間体7が閉位置に到達すると、爪50Aおよび爪51Aは、被係合部61の上側部分61Aを乗り越えた後に、コイルばね53またはばね56(図7参照)の付勢力によって前進し、上述したように後側から被係合部61の内側に嵌って、被係合部61の上側部分61Aに係合する。
(5)その他
図11は、図5のA−A矢視断面図である。図12は、図11において、中間体が開位置にある状態を示している。図13は、図11において、第2筐体が開位置にある状態を示している。
【0081】
図11に示すように、中間体7の各支持部21(少なくとも右側の支持部21)内には、第1固定部材の一例としての第1ロックレバー90と、第2固定部材の一例としての第2ロックレバー91とが設けられている。
第1ロックレバー90は、図11での姿勢を基準として、幅方向から見て、後上側に延びている。第1ロックレバー90の上端部には、前側へ突出する爪90Aが一体的に設けられている。第1ロックレバー90の下端部は、前側へ折り曲げられている。
【0082】
第1ロックレバー90において爪90Aと下端部との間には、幅方向に延びる第1支持軸93が挿通されている。第1支持軸93は、支持部21に固定されている。第1支持軸93は、第1ロックレバー90を回動自在に支持している。この状態で、第1ロックレバー90は、ばね88によって、右側面視で反時計回りの方向(爪90Aが前側へ向かう方向)へ付勢されている。
【0083】
第2ロックレバー91は、支持部21内において、第1ロックレバー90より前側に配置されている。第2ロックレバー91は、図11での姿勢を基準として、幅方向から見て、上側に延び、途中で湾曲して後上側へ延びている。第2ロックレバー91の下端部には、後側へ突出する爪91Aが一体的に設けられている。
第2ロックレバー91において湾曲した部分には、幅方向に延びる第2支持軸92が挿通されている。第2支持軸92は、支持部21に固定されている。第2支持軸92は、第2ロックレバー91を回動自在に支持している。この状態で、第2ロックレバー91は、右側面視で反時計回りの方向(爪91Aが後側へ向かう方向)へ付勢されている。
【0084】
ここで、図11の状態(中間体7および第2筐体6がともに閉位置にある状態)を基準として、第1筐体5の天面9において、対応する支持部21の第2ロックレバー91の爪91Aの後側には、上側へ突出する第2係合片94が設けられ、第2係合片94に対して所定距離だけ後側の位置には、上向きに突出する第1凸部95が設けられている。第2係合片94は、前後に薄い板状である。第2係合片94には、第2係合片94を前後に貫通する貫通穴96が形成されている。
【0085】
また、第2筐体6の底面6Cにおいて、対応する支持部21の第2ロックレバー91の上端部と前後方向において一致する位置には、下側へ突出する第2凸部97が設けられ、第2凸部97に対して所定距離だけ後側の位置(詳しくは図11において第1ロックレバー90の爪90Aの前側)には、下向き突出する第1係合片98が設けられている。第1係合片98は、前後に所定の厚みを有している。第1係合片98には、第1係合片98を前後に貫通する貫通穴99が形成されている。
【0086】
図11の状態(中間体7および第2筐体6がともに閉位置にある状態)では、第1筐体5の天面9の第2係合片94および第1凸部95が、対応する支持部21内に下から入り込んでいる。また、第2筐体6の底面6Cの第1係合片98および第2凸部97が、対応する支持部21内に上から入り込んでいる。
この状態では、第1凸部95が、第1ロックレバー90の下端部に下から当接しており、これにより、第1ロックレバー90は、爪90Aが第1係合片98の貫通穴99から後側へ離間した状態で、位置決めされている。つまり、第1ロックレバー90の回動が規制されている。また、第2凸部97が、第2ロックレバー91の上端部に上から当接しており、これにより、第2ロックレバー91は、爪91Aが第2係合片94の貫通穴96から前側へ離間した状態で、位置決めされている。つまり、第2ロックレバー91の回動が規制されている。
【0087】
図11の状態で中間体7を開位置へ向けて(図11における時計回りの方向へ)回動させると、中間体7の支持部21の底面30が、第1筐体5の天面9から上側へ離間する。これに伴い、第1ロックレバー90の下端部が第1凸部95から離間するので、第1凸部95による第1ロックレバー90の回動の規制が解除され、第1ロックレバー90は、上述したように付勢されることで、右側面視で反時計回りの方向へ回動する。これにより、図12に示すように、第1ロックレバー90の上端部の爪90Aが前側へ移動して、第1係合片98の貫通穴99に嵌まり込み、第1係合片98に係合する。この結果、中間体7の支持部21に第2筐体6が固定される。
【0088】
つまり、中間体7が回動するときには、中間体7側の第1ロックレバー90の爪90Aが、第2筐体6側の第1係合片98に係合することで、第2筐体6を支持部21(中間体7)に固定する。そのため、第2筐体6は、閉位置にある状態を保ったまま、中間体7と一体となって、回動する。
また、図11の状態で第2筐体6を開位置へ向けて(図11における時計回りの方向へ)回動させると、第2筐体6の底面6Cが、中間体7の天面(詳しくは支持部21の天面24)から上側へ離間する。これに伴い、第2凸部97が、第2ロックレバー91の上端部から離間するので、第2凸部97による第2ロックレバー91の回動の規制が解除され、第2ロックレバー91は、上述したように付勢されることで、右側面視で反時計回りの方向へ回動する。これにより、図13に示すように、第2ロックレバー91の下端部の爪90Aが後側へ移動して、第2係合片94の貫通穴96に嵌まり込み、第2係合片94に係合する。この結果、中間体7の支持部21が第1筐体5に固定される。
【0089】
つまり、第2筐体6が回動するときには、中間体7側の第1ロックレバー91の爪91Aが、第1筐体5側の第2係合片94に係合することで、中間体7(特に支持部21)を第1筐体5に固定する。そのため、第2筐体6が回動しても、中間体7自身は、閉位置にある状態を保つ。さらに、中間体7が閉位置にあるときには、上述したように、ロック部材51が中間体7を閉位置にロックしているので(図9参照)、第2筐体6が開位置へ向けて回動しても、中間体7自身が閉位置にある状態が確実に保たれている。
【0090】
なお、上述したように把持部28を把持してロック部材51のロックを解除しても(図10参照)、第2ロックレバー91の爪91Aが、第1筐体5側の第2係合片94に係合していることから、第2筐体6が回動しても、中間体7自身は、閉位置にある状態を保つ。
また、図11に示すように第2筐体6および中間体7がともに閉位置に戻ると、第1ロックレバー90の爪90Aが、第1係合片98の貫通穴99から外れ、第1ロックレバー90と第1係合片98との係合状態が解除される。そして、第2ロックレバー91の爪91Aが、第2係合片94の貫通穴96から外れ、第2ロックレバー91と第2係合片94との係合状態が解除される。
【0091】
ここで、第2筐体6の底面6Cの幅方向両端部には、図示しない樹脂製の爪が、下向きに突出するように設けられており、第2筐体6が閉位置にある状態では、この爪が、中間体7において幅方向で同じ側にある支持部21に上から食い込んで引っ掛かっている。
そのため、この状態で、原稿押えカバー43を開いても(上側へ回動させても)、第2筐体6は、開位置へ向けて上側へ回動することはなく、閉位置で固定されている。この爪は、第2筐体6を所定以上の力で開位置へ向けて回動させれば、支持部21から外れるので、そのまま、第2筐体6を開位置へ回動させることができる。
2.作用効果
(1)以上のように、このプリンタ1では、図2に示すように、画像形成部3を備える第1筐体5の上部に開口11が設けられている。そして、第1筐体5の上部には、カバー部材20が、開口11を覆うように設けられている。
【0092】
図1に示すように、カバー部材20には、画像形成部3で画像が形成された用紙Sが排出される。そして、カバー部材20(中間体7)は、第1筐体5によって回動自在に支持されている。具体的には、カバー部材20は、用紙Sの排出方向X(前側へ向かう方向)における後側(図4に示す回動軸33)を支点として、第1筐体5内部を上から覆う閉位置(図1参照)と第1筐体5内部を上方へ露出させる開位置(図2参照)との間で回動自在である。
【0093】
そのため、図2に示すように、カバー部材20を開位置まで回動させると、第1筐体5の上部の開口11が開かれるので、この開口11を介して、消耗品交換やジャム処理などにおいて第1筐体5内部(収容室14)のメンテナンスすることができる。一方で、カバー部材20を閉位置まで回動させると(図1参照)、開口11が閉じられるので、異物が開口11から第1筐体5内部に入り込むことを防止できる。
【0094】
ここで、プリンタ1に備えられたロック部材51は、カバー部材20を閉位置にロックすることができる一方で(図9参照)、必要に応じてそのロックを解除することができるので(図10参照)、画像形成中などにカバー部材20が不意に開くことを防止できる。
そして、カバー部材20の前端部には、カバー部材20を回動させるために把持される把持部28が設けられている。カバー部材20がロック部材51によって閉位置にロックされた状態において(図9参照)、把持部28は、閉位置から開位置へ向かう方向へ動かされる操作に連動して、ロック部材51のロックを解除する(図10参照)。
【0095】
これにより、把持部28を把持して閉位置から開位置へ向かう方向へ動かすという一つの動作だけで、ロック部材51のロックを解除する動作と、カバー部材20を閉位置から開位置へ回動させる動作とを一度に行うことができる。また、把持部28は、カバー部材20の前側(排出された用紙Sを受け取るユーザ側)における端部に設けられているので、把持部28へのアクセスが容易である。
【0096】
これらの結果、カバー部材20の開閉に係る操作性の向上を図ることができる。
(2)図3に示すように、把持部28は、前側へ突出しているので、把持部28へのアクセスが一層容易である。
(3)把持部28は、カバー部材20において排出された用紙Sが積載される積載面25に連続しているので、積載面25へ排出される用紙Sの邪魔とならない。そのため、積載面25への用紙Sの円滑な排出を確保することができる。
(4)カバー部材20の前端部には、前側へ向かうのに従って下向きに傾斜する傾斜面26が形成されており、把持部28は、この傾斜面26より上に設けられている。
【0097】
これにより、把持部28の下には、指を差し込むことができる空間Y(図4参照)が形成されるので、把持部28を上下から掴んで確実に把持することができる。また、把持部28を傾斜面26より上側に設けることで、把持部28がカバー部材20において突出したように見えて目立つので、ユーザに対して把持部28の存在を認識させることができ、ユーザがカバー部材20(中間体7)を回動させる際には、ユーザに必ず把持部28を把持させることができる。
(5)把持部28は、排出方向Xの直交方向(幅方向)におけるカバー部材20の中央部(カバー部材20においてバランスが取れた部分)に設けられているので、違和感なく、把持部28を把持してカバー部材20を回動させることができる。
(6)把持部28は、幅方向において、用紙Sより小さい。そのため、排出された用紙Sが把持部28にかかっても、この用紙Sの幅方向における領域において、把持部28にかかった部分以外の箇所(幅方向両側)が、宙に浮いた状態となって掴み代となるので、この掴み代を掴むことで、排紙された用紙Sを円滑に取り出すことができる。
(7)把持部28は、第1筐体5の前面8よりも後側に設けられているので(図4参照)、第1筐体5の前側を通り掛かったユーザが把持部28に引っ掛かるといった不具合を防止することができる。
(8)図1に示すように、把持部28の後側に設けられた補助トレイ29は、把持部28に沿う第1姿勢(実線で示した補助トレイ29を参照)と、把持部28に対して上向きに交差する第2姿勢(点線で示した補助トレイ29を参照)とに姿勢を変え、第2姿勢の状態において用紙Sを支持する。
【0098】
そのため、たとえば前後方向において比較的長い用紙Sが排出されても、補助トレイ29の姿勢を第2姿勢にしておけば、用紙Sが上から把持部28にかぶさることで把持部28が用紙Sの下に隠れることがなく、把持部28へのアクセスが容易である。そして、第2姿勢の補助トレイ29が、把持部28に対して上向きに交差することで、排出された用紙Sを宙に浮かせるので、この用紙Sを円滑に掴んで取り出すことができる。また、補助トレイ29を使用しないときには、補助トレイ29は、その姿勢を第1姿勢に変えて把持部28に沿うので、邪魔にならない。
(9)図9に示すように、カバー部材20に設けられた係合部材50は、カバー部材20(中間体7)が閉位置にあるときには第1筐体5に係合している。そのため、図10に示すように、ロック部材51によるカバー部材20の閉位置におけるロックが解除されただけでは、カバー部材20は、引き続き閉位置にあり、直ちに閉位置から回動する(開く)ことはない。
【0099】
一方、係合部材50は、カバー部材20が閉位置(図1参照)から開位置(図2参照)へ向けて回動するのに応じて第1筐体5(被係合部61)から外れる。これにより、係合部材50を第1筐体5から外す動作を別途行わなくても、カバー部材20を閉位置から開位置へ向けて回動させる動作で、係合部材50を第1筐体5から外すこともでき、操作性の向上を図ることができる。
【0100】
このように、このカバー部材20は、上述したロック部材51によるロックが解除されただけの状態では開かず(開位置へ向けて回動せず)、ユーザがその意思によってカバー部材20を閉位置から開位置へ向けて回動させるのに応じて、はじめて開く。そのため、たとえば把持部28にユーザが間違ってぶつかることでカバー部材20が不意に開くことを防止できる。
(10)図1に示すように、このプリンタ1では、第1筐体5の上方に画像読取部4(第2筐体6)が配置され、画像形成部3で画像が形成された用紙Sが排出される空間32が第1筐体5と画像読取部4との間に形成されるように、支持部21が、第1筐体5と画像読取部4との間に設けられ、画像読取部4を下から支持している。
【0101】
ここで、把持部28は、画像読取部4よりも前側へ突出しているので(図4参照)、ユーザにとって把持部28の位置を確認しやすく、把持部28へのアクセスが容易となり、把持部28を把持してカバー部材20を回動させている最中に把持手が画像読取部4(第2筐体6)にぶつかることを防止できる。
(11)用紙Sが排出される空間32を挟むように設けられた一対の支持部21のそれぞれの前面31Aは、前側へ向かうのに従って下向きに傾斜しているので、垂直面である場合に比べて、前側で排出された用紙Sを受け取るユーザに対して、圧迫感を与えない。
(12)把持部28は、支持部21よりも前側へ突出しているので(図4も参照)、把持部28へのアクセスが容易である。
(13)画像読取部4の前側には、プリンタ1の運転を制御するために操作される操作部40が設けられており、把持部28は、操作部40よりも前側へ突出している(図4も参照)。そのため、ユーザが操作部40に視線を向けると把持部28が必ずユーザの視界に入ることとなり、ユーザにとって把持部28の位置を確認しやすく、把持部28へのアクセスが容易となる。
(14)支持部21は、カバー部材20と一体的に設けられているので、カバー部材20とともに回動自在である。
【0102】
そして、画像読取部4(第2筐体6)は、排出方向Xにおける上流側(後側の回動軸44であり、図4参照)を支点として、第1筐体5または支持部21によって回動自在に支持されている。そのため、図3に示すように、画像読取部4を回動させる(第2筐体6を開位置へ回動させる)ことで、第1筐体5と画像読取部4との間における用紙Sが排出される空間32を排出方向Xの下流側(ユーザ側)へ大きく露出させることができるので、この空間32に排出された用紙Sを円滑に取り出すことができる。
(15)図12に示すように、カバー部材20(中間体7)が回動するときには、第1ロックレバー90が、画像読取部4(第2筐体6)を支持部21に固定するので、画像読取部4は、カバー部材20および支持部21に一体化される。これにより、カバー部材20が回動するときに、画像読取部4がカバー部材20(支持部21)に対して回動することで、画像読取部4およびカバー部材20(支持部21)のそれぞれが単独で回動することによってプリンタ1全体のバランスが崩れてプリンタ1が不安定な姿勢をとることを防止できる。
(16)図13に示すように、画像読取部4(第2筐体6)が回動するときには、第2ロックレバー91が、支持部21を第1筐体5に固定するので、画像読取部4および支持部21(カバー部材20)のそれぞれが単独で回動することによってプリンタ1全体のバランスが崩れてプリンタ1が不安定な姿勢をとることを防止できる。
3.変形例
図14は、図1に変形例を適用した図である。
【0103】
上記の実施例では、画像読取部4を内蔵する第2筐体6と、閉位置にある第2筐体6を下から支持する支持部21を設けていたが(図1参照)、図14に示すように、第2筐体6および支持部21を省略してもよい。この場合、第1筐体5の上部には、支持部21がない中間体7(つまりカバー部材20)だけが、第1筐体5の内部(開口11および収容室14)を開閉自在に覆うように設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタを右前上方から見た斜視図であって、中間体(カバー部材)および第2筐体(画像読取部)がともに閉位置にある状態を示している。
【図2】プリンタを右前上方から見た斜視図であって、中間体だけが開位置にある状態を示している。
【図3】プリンタを右前上方から見た斜視図であって、第2筐体だけが開位置にある状態を示している。
【図4】図1の状態にあるプリンタの右側面図である。
【図5】図1の状態にあるプリンタの平面図である。
【図6】カバー部材の前側部分を右前上方から見た斜視図である。
【図7】カバー部材の前側部分の内部構造の分解斜視図である。
【図8】カバー部材の前側部分の内部構造を右前上方から見た斜視図である。
【図9】中間体が閉位置にロックされたときにおけるカバー部材の前側部分周辺の右側断面図である。
【図10】中間体の閉位置におけるロックが解除されたときにおけるカバー部材の前側部分周辺の右側断面図である。
【図11】図5のA−A矢視断面図である。
【図12】図11において、中間体が開位置にある状態を示している。
【図13】図11において、第2筐体が開位置にある状態を示している。
【図14】図1に変形例を適用した図である。
【符号の説明】
【0105】
1 プリンタ
3 画像形成部
4 画像読取部
5 第1筐体
8 前面
11 開口
20 カバー部材
21 支持部
25 積載面
26 傾斜面
28 把持部
29 補助トレイ
31A 前面
32 空間
40 操作部
50 係合部材
51 ロック部材
90 第1ロックレバー
91 第2ロックレバー
S 用紙
X 排出方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成部としてのプリンター部の上部に画像読取部としてのスキャナー部が開閉自在に配置され、プリンター部とスキャナー部との間に排紙積載空間部が形成された所謂胴内排紙タイプの画像形成装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の画像形成装置では、スキャナー部を開くことで、排紙積載空間部におけるプリンター部上面のメンテナンスカバーが露出され、このメンテナンスカバーを開くことによって、このプリンター部上面では、開口部が開放される。開放された開口部を介して、プリンター内のカートリッジの交換やプリンター内におけるジャム処理等のメンテナンスを行うことができる。
【特許文献1】特開2005−258025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置において、メンテナンスカバーは、排紙積載空間部における比較的奥側の位置(ユーザから遠い位置)にあり、メンテナンスカバーへのアクセスが困難である。また、メンテナンスカバーは、閉じた状態でロックされておらず、不意に開くおそれがある。
そこで、本発明の目的は、装置本体内のメンテナンスのために開閉されるカバー部材の開閉に係る操作性の向上を図ることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置であって、記録媒体に画像を形成するための画像形成部を備え、上部に開口が設けられる装置本体と、前記装置本体の上部に前記開口を覆うように設けられ、前記画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出され、記録媒体の排出方向における上流側を支点として、前記装置本体内部を上から覆う閉位置と前記装置本体内部を上方へ露出させる開位置との間で前記装置本体によって回動自在に支持されたカバー部材と、前記カバー部材を前記閉位置にロックするおよびそのロックを解除することができるロック部材と、前記カバー部材の前記排出方向下流側端部に設けられ、前記カバー部材を回動させるために把持され、前記カバー部材が前記ロック部材によって前記閉位置にロックされた状態において、前記閉位置から前記開位置へ向かう方向へ動かされる操作に連動して前記ロック部材のロックを解除する把持部とを備えることを特徴としている。
【0005】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記把持部は、前記排出方向下流側へ突出していることを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記カバー部材は、排出された記録媒体が積載される積載面を含み、前記把持部は、前記積載面に連続していることを特徴としている。
【0006】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、前記カバー部材の前記排出方向下流側端部には、前記排出方向下流側へ向かうのに従って下向きに傾斜する傾斜面が形成されており、前記把持部は、前記傾斜面より上に設けられていることを特徴としている。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明において、前記把持部は、前記排出方向の直交方向における前記カバー部材の中央部に設けられていることを特徴としている。
【0007】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の発明において、前記把持部は、前記排出方向の直交方向において、記録媒体より小さいことを特徴としている。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明において、前記把持部は、前記装置本体の前記排出方向下流側端面よりも前記排出方向上流側に設けられていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の発明において、前記把持部の前記排出方向上流側には、前記把持部に沿う第1姿勢と、前記把持部に対して上向きに交差する第2姿勢とに姿勢を変え、前記第2姿勢の状態において記録媒体を支持する補助トレイが設けられていることを特徴としている。
また、請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の発明において、前記カバー部材に設けられ、前記カバー部材が前記閉位置にあるときには前記装置本体に係合し、前記カバー部材が前記閉位置から前記開位置へ向けて回動するのに応じて前記装置本体から外れる係合部材を備えることを特徴としている。
【0009】
また、請求項10に記載の発明は、画像形成装置であって、記録媒体に画像を形成するための画像形成部を備え、上部に開口が設けられる装置本体と、前記装置本体の上部に前記開口を覆うように設けられ、前記画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出され、記録媒体の排出方向における上流側を支点として、前記装置本体内部を上から覆う閉位置と前記装置本体内部を上方へ露出させる開位置との間で前記装置本体によって回動自在に支持されたカバー部材と、前記カバー部材を前記閉位置にロックするおよびそのロックを解除することができるロック部材と、前記カバー部材の前記排出方向下流側端部に設けられ、前記カバー部材を回動させるために把持される把持部とを備え、前記カバー部材が前記ロック部材によって前記閉位置にロックされた状態において、前記閉位置から前記開位置へ向かう方向へ前記把持部が動かされるのに応じて前記ロック部材のロックが解除されることを特徴としている。
【0010】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記カバー部材に設けられ、前記カバー部材が前記閉位置にあるときには前記装置本体に係合する係合部材を備え、前記係合部材は、前記カバー部材が前記閉位置から前記開位置へ向けて回動するのに応じて前記装置本体から外れることを特徴としている。
また、請求項12に記載の発明は、請求項1ないし11のいずれかに記載の発明において、前記装置本体の上方に配置され、原稿の画像情報を読み取り可能な画像読取部と、前記画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出される空間が前記装置本体と前記画像読取部との間に形成されるように、前記装置本体と前記画像読取部との間に設けられ、前記画像読取部を下から支持する支持部とを備え、前記把持部は、前記画像読取部よりも前記排出方向下流側へ突出していることを特徴としている。
【0011】
また、請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の発明において、前記支持部は、前記空間を挟むように一対設けられ、各前記支持部の前記排出方向下流側端面は、前記排出方向下流側へ向かうのに従って下向きに傾斜していることを特徴としている。
また、請求項14に記載の発明は、請求項12または13に記載の発明において、前記把持部は、前記支持部よりも前記排出方向下流側へ突出していることを特徴としている。
【0012】
また、請求項15に記載の発明は、請求項12ないし14のいずれかに記載の発明において、前記画像読取部の前記排出方向下流側には、画像形成装置の運転を制御するために操作される操作部が設けられ、前記把持部は、前記操作部よりも前記排出方向下流側へ突出していることを特徴としている。
また、請求項16に記載の発明は、請求項12ないし15のいずれかに記載の発明において、前記支持部は、前記カバー部材と一体的に設けられ、前記画像読取部は、前記排出方向における上流側を支点として、前記装置本体または前記支持部によって回動自在に支持されていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の発明において、前記カバー部材が回動するときには前記画像読取部を前記支持部に固定する第1固定部材を備えることを特徴としている。
また、請求項18に記載の発明は、請求項16または17に記載の発明において、前記画像読取部が回動するときには前記支持部を前記装置本体に固定する第2固定部材を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、この画像形成装置では、画像形成部を備える装置本体の上部に開口が設けられている。そして、装置本体の上部には、カバー部材が、開口を覆うように設けられている。
カバー部材には、画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出される。そして、カバー部材は、装置本体によって回動自在に支持されており、具体的には、記録媒体の排出方向(以下では、単に「排出方向」ということがある。)における上流側を支点として、装置本体内部を上から覆う閉位置と装置本体内部を上方へ露出させる開位置との間で回動自在である。そのため、カバー部材を開位置まで回動させると、装置本体の上部の開口が開かれるので、この開口を介して、装置本体内部のメンテナンスすることができる。一方で、カバー部材を閉位置まで回動させると、開口が閉じられるので、異物が開口から装置本体内部に入り込むことを防止できる。
【0015】
ここで、画像形成装置に備えられたロック部材は、カバー部材を閉位置にロックすることができる一方で、そのロックを解除することができるので、画像形成中などにカバー部材が不意に開くことを防止できる。
そして、カバー部材の排出方向下流側端部には、カバー部材を回動させるために把持される把持部が設けられている。カバー部材がロック部材によって閉位置にロックされた状態において、把持部は、閉位置から開位置へ向かう方向へ動かされる操作に連動して、ロック部材のロックを解除する。これにより、把持部を把持して閉位置から開位置へ向かう方向へ動かすという一つの動作だけで、ロック部材のロックを解除する動作と、カバー部材を閉位置から開位置へ回動させる動作とを一度に行うことができる。また、把持部は、カバー部材の排出方向下流側(排出された記録媒体を受け取るユーザ側)における端部に設けられているので、把持部へのアクセスが容易である。
【0016】
これらの結果、カバー部材の開閉に係る操作性の向上を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、把持部は、排出方向下流側へ突出しているので、把持部へのアクセスが一層容易である。
請求項3に記載の発明によれば、把持部は、カバー部材において排出された記録媒体が積載される積載面に連続しているので、積載面へ排出される記録媒体の邪魔とならない。そのため、積載面への記録媒体の円滑な排出を確保することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、カバー部材の排出方向下流側端部には、排出方向下流側へ向かうのに従って下向きに傾斜する傾斜面が形成されており、把持部は、この傾斜面より上に設けられている。
これにより、把持部の下には、指を差し込むことができる空間が形成されるので、把持部を上下から掴んで確実に把持することができる。また、把持部を傾斜面より上側に設けることで、把持部がカバー部材において突出したように見えて目立つので、ユーザに対して把持部の存在を認識させることができ、ユーザがカバー部材を回動させる際には、ユーザに必ず把持部を把持させることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、把持部は、排出方向の直交方向におけるカバー部材の中央部(カバー部材においてバランスが取れた部分)に設けられているので、違和感なく、把持部を把持してカバー部材を回動させることができる。
請求項6に記載の発明によれば、把持部は、排出方向の直交方向において、記録媒体より小さい。そのため、排出された記録媒体が把持部にかかっても、この記録媒体の直交方向における領域において、把持部にかかった部分以外の箇所が、宙に浮いた状態となって掴み代となるので、この掴み代を掴むことで、排紙された記録媒体を円滑に取り出すことができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、把持部は、装置本体の排出方向下流側端面よりも排出方向上流側に設けられているので、装置本体の排出方向下流側を通り掛かったユーザが把持部に引っ掛かるといった不具合を防止することができる。
請求項8に記載の発明によれば、把持部の排出方向上流側に設けられた補助トレイは、把持部に沿う第1姿勢と、把持部に対して上向きに交差する第2姿勢とに姿勢を変え、第2姿勢の状態において記録媒体を支持する。
【0020】
そのため、たとえば排出方向において比較的長い記録媒体が排出されても、補助トレイの姿勢を第2姿勢にしておけば、記録媒体が上から把持部にかぶさることで把持部が記録媒体の下に隠れることがなく、把持部へのアクセスが容易である。そして、第2姿勢の補助トレイが、把持部に対して上向きに交差することで、排出された記録媒体を宙に浮かせるので、この記録媒体を円滑に掴んで取り出すことができる。また、補助トレイを使用しないときには、補助トレイは、その姿勢を第1姿勢に変えて把持部に沿うので、邪魔にならない。
【0021】
請求項9に記載の発明によれば、カバー部材に設けられた係合部材は、カバー部材が閉位置にあるときには装置本体に係合しているので、ロック部材によるカバー部材の閉位置におけるロックが解除されただけでは、カバー部材は、引き続き閉位置にあり、直ちに閉位置から回動する(開く)ことはない。
一方、係合部材は、カバー部材が閉位置から開位置へ向けて回動するのに応じて装置本体から外れるので、係合部材を装置本体から外す動作を別途行わなくても、カバー部材を閉位置から開位置へ向けて回動させる動作で、係合部材を装置本体から外すこともでき、操作性の向上を図ることができる。
【0022】
このように、このカバー部材は、上述したロック部材によるロックが解除されただけの状態では開かず、ユーザがその意思によってカバー部材を閉位置から開位置へ向けて回動させるのに応じて、はじめて開くので、たとえば把持部にユーザが間違ってぶつかることでカバー部材が不意に開くことを防止できる。
請求項10に記載の発明によれば、この画像形成装置では、画像形成部を備える装置本体の上部に開口が設けられている。そして、装置本体の上部には、カバー部材が、開口を覆うように設けられている。
【0023】
カバー部材には、画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出される。そして、カバー部材は、装置本体によって回動自在に支持されており、具体的には、記録媒体の排出方向(以下では、単に「排出方向」ということがある。)における上流側を支点として、装置本体内部を上から覆う閉位置と装置本体内部を上方へ露出させる開位置との間で回動自在である。そのため、カバー部材を開位置まで回動させると、装置本体の上部の開口が開かれるので、この開口を介して、装置本体内部のメンテナンスすることができる。一方で、カバー部材を閉位置まで回動させると、開口が閉じられるので、異物が開口から装置本体内部に入り込むことを防止できる。
【0024】
ここで、画像形成装置に備えられたロック部材は、カバー部材を閉位置にロックすることができる一方で、そのロックを解除することができるので、画像形成中などにカバー部材が不意に開くことを防止できる。
そして、カバー部材の排出方向下流側端部には、カバー部材を回動させるために把持される把持部が設けられている。カバー部材がロック部材によって閉位置にロックされた状態において、閉位置から開位置へ向かう方向へ把持部が動かされるのに応じてロック部材のロックが解除される。これにより、把持部を把持して閉位置から開位置へ向かう方向へ動かすという一つの動作だけで、ロック部材のロックを解除する動作と、カバー部材を閉位置から開位置へ回動させる動作とを一度に行うことができる。また、把持部は、カバー部材の排出方向下流側(排出された記録媒体を受け取るユーザ側)における端部に設けられているので、把持部へのアクセスが容易である。
【0025】
これらの結果、カバー部材の開閉に係る操作性の向上を図ることができる。
請求項11に記載の発明によれば、カバー部材に設けられた係合部材は、カバー部材が閉位置にあるときには装置本体に係合しているので、ロック部材によるカバー部材の閉位置におけるロックが解除されただけでは、カバー部材は、引き続き閉位置にあり、直ちに閉位置から回動する(開く)ことはない。
【0026】
一方、係合部材は、カバー部材が閉位置から開位置へ向けて回動するのに応じて装置本体から外れるので、係合部材を装置本体から外す動作を別途行わなくても、カバー部材を閉位置から開位置へ向けて回動させる動作で、係合部材を装置本体から外すこともでき、操作性の向上を図ることができる。
このように、このカバー部材は、上述したロック部材によるロックが解除されただけの状態では開かず、ユーザがその意思によってカバー部材を閉位置から開位置へ向けて回動させるのに応じて、はじめて開くので、たとえば把持部にユーザが間違ってぶつかることでカバー部材が不意に開くことを防止できる。
【0027】
請求項12に記載の発明によれば、この画像形成装置では、装置本体の上方に画像読取部が配置され、画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出される空間が装置本体と画像読取部との間に形成されるように、支持部が、装置本体と画像読取部との間に設けられ、画像読取部を下から支持している。
ここで、把持部は、画像読取部よりも排出方向下流側へ突出しているので、ユーザにとって把持部の位置を確認しやすく、把持部へのアクセスが容易となり、把持部を把持してカバー部材を回動させている最中に把持手が画像読取部にぶつかることを防止できる。
【0028】
請求項13に記載の発明によれば、記録媒体が排出される空間を挟むように設けられた一対の支持部のそれぞれの排出方向下流側端面は、排出方向下流側へ向かうのに従って下向きに傾斜しているので、垂直面である場合に比べて、排出方向下流側で排出された記録媒体を受け取るユーザに対して、圧迫感を与えない。
請求項14に記載の発明によれば、把持部は、支持部よりも排出方向下流側へ突出しているので、把持部へのアクセスが容易である。
【0029】
請求項15に記載の発明によれば、画像読取部の排出方向下流側には、画像形成装置の運転を制御するために操作される操作部が設けられており、把持部は、操作部よりも排出方向下流側へ突出しているので、ユーザが操作部に視線を向けると把持部が必ずユーザの視界に入ることとなり、ユーザにとって把持部の位置を確認しやすく、把持部へのアクセスが容易となる。
【0030】
請求項16に記載の発明によれば、支持部は、カバー部材と一体的に設けられているので、カバー部材とともに回動自在である。
そして、画像読取部は、排出方向における上流側を支点として、装置本体または支持部によって回動自在に支持されている。そのため、画像読取部を回動させることで、装置本体と画像読取部との間における記録媒体が排出される空間を排出方向下流側(ユーザ側)へ大きく露出させることができるので、この空間に排出された記録媒体を円滑に取り出すことができる。
【0031】
請求項17に記載の発明によれば、カバー部材が回動するときには、第1固定部が、画像読取部を支持部に固定するので、画像読取部は、カバー部材および支持部に一体化される。これにより、カバー部材が回動するときに、画像読取部がカバー部材(支持部)に対して回動することで、画像読取部およびカバー部材(支持部)のそれぞれが単独で回動することによって画像形成装置全体のバランスが崩れて画像形成装置が不安定な姿勢をとることを防止できる。
【0032】
請求項18に記載の発明によれば、画像読取部が回動するときには、第2固定部材が、支持部を装置本体に固定するので、画像読取部および支持部(カバー部材)のそれぞれが単独で回動することによって画像形成装置全体のバランスが崩れて画像形成装置が不安定な姿勢をとることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
1.プリンタの構成
図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタを右前上方から見た斜視図であって、中間体(カバー部材)および第2筐体(画像読取部)がともに閉位置にある状態を示している。図2は、プリンタを右前上方から見た斜視図であって、中間体だけが開位置にある状態を示している。図3は、プリンタを右前上方から見た斜視図であって、第2筐体だけが開位置にある状態を示している。図4は、図1の状態にあるプリンタの右側面図である。図5は、図1の状態にあるプリンタの平面図である。
【0034】
なお、以下の説明において、プリンタにおける前後方向、上下方向、および、左右方向(幅方向)は、各図に示す方向矢印に沿うものとする。また、略水平方向には、前後方向および左右方向が含まれ、略垂直方向には、上下方向が含まれる。
図1に示すように、プリンタ1は、前後方向にやや長手の略直方体形状の筐体2を備えている。右側面視における筐体2の輪郭は、前上側が斜めに切り欠かれた略矩形状をなしている(図4も参照)。このプリンタ1は、いわゆる複合機であり、これに応じて、筐体2には、後述する画像形成部3および画像読取部4が備えられている。
【0035】
筐体2は、装置本体の一例としての下側の第1筐体5と、上側の第2筐体6と、第1筐体5と第2筐体6との間に配置される中間体7とに分割されている(図2および図3も参照)。
後述するように、中間体7は、第1筐体5に対して回動することによって、第1筐体5の上面を開閉し(図2も参照)、第2筐体6は、中間体7に対して回動することによって、中間体7の上面を開閉する(図3も参照)。以下では、特に言及がない限り、中間体7が第1筐体5の上面を閉じた位置(閉位置)にあり、かつ、第2筐体6が中間体7の上面を閉じた位置(閉位置)にあること(つまり、図1、図4および図5の状態)を前提として説明する。
(1)第1筐体
図2に示すように、第1筐体5は、前後方向において長手かつ上下方向においてやや扁平な中空の略直方体形状である。
【0036】
第1筐体5の前後左右の側面は、いずれも、略垂直方向に沿って平坦であり、第1筐体5の天面および底面は、いずれも、略水平方向に沿って平坦である。第1筐体5において、前面と右面との接続部分、および、前面と左面との接続部分は、上下方向における全域に亘って丸められている。ここで、第1筐体5の前面に符号8を付し、第1筐体5の天面に符号9を付している。
【0037】
前面8の上端と天面9の前端とは、傾斜面10によって連結されている。傾斜面10は、前から順に、第1部10Aと、第2部10Bと、第3部10Cとを一体的に含んでいる。
第1部10Aは、前面8の上端の幅方向全域に対して接続されており、後下側へ膨らむように僅かに湾曲しながら、後上側へ延びている(図4も参照)。第1部10Aの上(後)端において、幅方向両端部に挟まれた部分は、幅方向両端部に比べて前下側へ窪んでいる。
【0038】
第2部10Bは、第1部10Aの上(後)端の幅方向全域に対して接続されており、第1部10Aに対して略直交して後下側へ延びている(図4も参照)。
第3部10Cは、第2部10Bと下(後)端の幅方向両端部に接続されており、第2部10Bに対して略直交して(第1部10Aと略平行に)後上側へ延びている(図4も参照)。つまり、第3部10Cは、幅方向に間隔を隔てて2つ設けられている。右側の第3部10Cは、天面9の右端部9Aの前端に接続されており、左側の第3部10Cは、天面9の左端部9Bの前端に接続されている。
【0039】
天面9(第1筐体5の上部)には、開口11が設けられている。開口11は、平面視において略矩形状であり、天面9の右端部9A、左端部9Bおよび後端部9Cと、傾斜面10の第2部10Bおよび左右の第3部10Cとに囲まれている。
第1筐体5内には、略直方体形状の収容室14が区画されている。上述した開口11は、消耗品交換などメンテナンス用に設けられ、収容室14に対して上から連通している。収容室14には、着脱可能な消耗品を含む画像形成部3が収容されている。なお、図2では、画像形成部3は、具体的に図示されていない。画像形成部3は、たとえば、記録媒体の一例としての用紙S(図3参照)に画像(トナー像)を形成するものである。このプリンタ1は、いわゆるLEDプリンタやレーザプリンタやインクジェットプリンタ等のあらゆるタイプ(もちろんカラーおよびモノクロの両方を含む)のプリンタを含んでおり、画像形成部3は、それぞれのタイプに応じた構成となっている。ここで、上述した消耗品は、開口11を介して交換可能となっている。
(2)中間体
図3に示すように、中間体7は、カバー部材20と、支持部21と、連結部22とを一体的に備えている。
【0040】
カバー部材20は、第1筐体5の天面9(図2参照)のほぼ全域を塞ぎ得る大きさを有する平面視で略矩形の平板状であり、開口11を塞ぐことにより、収容室14がカバーされる。
支持部21は、前後方向に長手で中空のブロック状であり、幅方向に間隔を隔てて一対設けられている。左側の支持部21は、カバー部材20の左端部の前後方向における全領域に接続され、右側の支持部21は、カバー部材20の右端部の前後方向における全領域に接続されている。左右の支持部21は、カバー部材20の天面23よりも上側へ突出している。
【0041】
連結部22は、幅方向に長手のブロック状であり、カバー部材20の後端部の幅方向におけるほぼ全領域に接続され、左右の支持部21の後端部間に架設されている。連結部22は、カバー部材20の天面23よりも上側へ突出している。連結部22の天面(図示せず)は、左右の支持部21の天面24とほぼ面一になっている。
カバー部材20について詳説すると、カバー部材20の天面23(詳しくは左右の支持部21に挟まれた領域)は、後側の積載面25と、前側の傾斜面26とを一体的に含んでいる。
【0042】
積載面25は、略水平方向に平坦であり、その後端部には、排出口27が形成されている。排出口27は、上述した用紙Sを通過させ得る大きさを有しており、カバー部材20を、肉厚方向(図3では上下方向)において貫通している。
図3に示す状態(中間体7が閉位置にある状態)では、排出口27は、第1筐体5の天面9の開口11を介して、第1筐体5内の収容室14に上から連通している(図2参照)。収容室14内に収容された画像形成部3が、用紙Sに画像を形成すると、画像が形成された用紙Sは、排出口27から前側へ排出され(図示した太い破線矢印参照)、積載面25上に積載される。つまり、このプリンタ1における用紙Sの排出方向Xは、前側へ向かう方向である。そのため、排出方向Xの下流側は前側であり、排出方向Xの上流側は、後側である。
【0043】
傾斜面26は、カバー部材20の前端部に形成されている。傾斜面26は、積載面25の前端において幅方向中央部を除くほぼ全領域に対して接続されており、前側へ向かうのに従って緩やかに湾曲しながら下向きに傾斜している。傾斜面26は、幅方向から見て、前上側へ膨らむように湾曲している(後述する図6も参照)。
ここで、積載面25の前端(カバー部材20の前端部)の幅方向中央部には、把持部28が一体的に設けられている。なお、積載面25の幅方向中央部は、カバー部材20の幅方向中央部と同じであり、また、幅方向とは、上述した排出方向Xの直交方向である。把持部28は、上下に薄く、平面視で略矩形の板状である。把持部28は、幅方向において、用紙Sより小さい。
【0044】
把持部28(詳しくは把持部28の天面28A)は、積載面25に連続しており、積載面25の前端から前側へ突出している。その一方で、把持部28は、第1筐体5の前面8よりも後側に配置されている(図4も参照)。
ここで、上述した傾斜面26は、平面視において、把持部28を取り囲むように、上側が開放された略U字状をなしている。そして、把持部28の後側の底面(後底面28B)は、前側へ向かうのに従って緩やかに湾曲しながら下向きに傾斜しており、把持部28の左右および下にある傾斜面26に対して連続している。一方、把持部28の前側の底面(前底面28C)は、後底面28Bの前(下)端より上側で略水平に前側へ延びており、幅方向で同じ位置ある傾斜面26より上にある。つまり、把持部28は、傾斜面26より上に設けられている(図1も参照)。
【0045】
把持部28の後側(詳しくは把持部28の天面28Aの後側部分)には、補助トレイ29が設けられている。補助トレイ29は、把持部28より小さい略矩形の板状である。補助トレイ29は、その前端部において、把持部28によって回動自在に支持されている。
そのため、補助トレイ29は、その前端部を支点として回動することによって、実線で示すように把持部28(詳しくは把持部28の天面28A)に沿う第1姿勢と、点線で示すように把持部28(天面28A)に対して上向きに交差(詳しくは略直交、厳密には、第1姿勢の状態から90°以上回動)する第2姿勢とに姿勢を変えることができる。第1姿勢にある補助トレイ29を基準として、後端部が幅方向両側から挟持されることによって、補助トレイ29が回動される。
【0046】
用紙Sが積載面25に排出される際に、この用紙Sの前側部分が把持部28まで届こうとした場合には、補助トレイ29が第2姿勢にあれば、用紙Sの前側部分が、第2姿勢にある補助トレイ29によって、把持部28から浮いた状態で、下から支持される(図1において点線で示した補助トレイ29および用紙Sを参照)。
次に、支持部21について詳説すると、図3に示す状態(中間体7が閉位置にある状態)では、各支持部21の天面24は、略水平方向に沿って平坦である。なお、天面24の一部(詳しくはほとんど)は、開放されており、開放された部分から、支持部21の内部が上方へ露出されている。また、各支持部21の底面30も、天面24と同様に、略水平方向に沿って平坦である。なお、支持部21の底面30は、カバー部材20の底面において幅方向で同じ側にある端部と一致している。
【0047】
そして、右側の支持部21の右面は、第1筐体5の右面とほぼ面一であり、左側の支持部21の左面は、第1筐体5の左面とほぼ面一である。
一方、各支持部21の前壁31は、前下側へ傾斜しており、その下端部は、支持部21の底面30よりも下側へ突出している。そして、前壁31の前面31A(支持部21の前端面)は、前側へ向かうのに従って下向きに傾斜している。詳しくは、前面31Aは、後下側へ膨らむように僅かに湾曲している(図4参照)。図3では、右側の支持部21の前面31Aは、第1筐体5の傾斜面10の第1部10Aの右端部に対して後上側から連続しており(図4も参照)、左側の支持部21の前面31Aは、第1部10Aの左端部に対して後上側から連続している。ここで、図4に示すように、上述した把持部28は、各支持部21の前面31Aよりも前側へ突出している。
【0048】
このような中間体7には、図1に示すように、左右の支持部21によって挟まれ、カバー部材20の天面23によって底が規定された空間32が形成されている。そのため、上述したように画像形成部3で画像が形成されてカバー部材20の天面23の積載面25に排出される用紙Sは、この空間32に排出されることになる。
そして、中間体7では、その後端部(詳しくは連結部22)の下端部が、第1筐体5(詳しくは第1筐体5の天面9の後端部9C)によって回動自在に支持されている。中間体7の回動軸33は、幅方向に沿って延びている(図4参照)。中間体7(カバー部材20)は、上述した閉位置(図1および図3ないし図5参照)と、開位置(図2参照)との間で、回動軸33を支点として回動することができる。
【0049】
中間体7が閉位置にあるときには、図1に示すように、右側の支持部21の底面30が、第1筐体5の天面9の右端部9A(図2も参照)の全域に対して上から接触し、左側の支持部21の底面30が、第1筐体5の天面9の左端部9B(図2参照)の全域に対して上から接触する。また、各支持部21の前壁31の下端部(支持部21の底面30より下側にある部分)が、第1筐体5の傾斜面10において幅方向で同じ側にある第3部10Cに対して前上側から接触し、傾斜面10の第2部10Bにおいて幅方向で同じ側にある端部に対して後上側から接触する。また、カバー部材20の前端が、第2部10Bにおいて幅方向両端部に挟まれた部分に対して後上側から対向する。
【0050】
これにより、中間体7の右面が、第1筐体5の右面に対して上から連続し、中間体7の左面が、第1筐体5の左面に対して上から連続する。そして、中間体7の前面(各支持部21の前面31A)が、第1筐体5の傾斜面10の第1部10Aに対して後上側から連続する。また、カバー部材20の前端も、第1部10Aに対して後上側から連続する。
また、中間体7が閉位置にあるときには、カバー部材20が、第1筐体5の天面9の開口11(図2参照)を上から覆っている。換言すれば、カバー部材20は、第1筐体5の内部(収容室14)を上から覆っている。
【0051】
この状態で、把持部28を把持し、閉位置にある中間体7を右側面視で時計回りの方向へ45°程度回動させると、中間体7は、図2に示すように、開位置に到達する。
中間体7が開位置にあるときには、中間体7の底面(つまり、カバー部材20の底面および各支持部21の底面30)が、第1筐体5の天面9から後上側へ離間する。これにより、第1筐体5の天面9の開口11および収容室14が前側上方ヘ露出される。
【0052】
この状態で、開口11から収容室14にアクセスして、収容室14に収容された画像形成部3のメンテナンス(上述した用紙Sのジャム処理や、画像形成部3に備えられた図示しないトナーカートリッジの交換等)を実施することができる。
そして、開位置にある中間体7を、右側面視で反時計回りの方向へ45°程度回動させると、中間体7は、閉位置に戻る(図1参照)。
(3)第2筐体
図1に示すように、第2筐体6は、中間体7の天面(左右の支持部21の天面24と、連結部22の天面と、これらの天面に囲まれた領域とを合わせた部分であり、図3参照)をほぼ塞ぎ得る大きさを有する平面視で略矩形の平板状であり、上下にやや厚い。
【0053】
図1に示す状態(第2筐体6および中間体7がともに閉位置にある状態)では、第2筐体6の右面は、中間体7の右面(右側の支持部21の右面)および第1筐体5の右面とほぼ面一であり、第2筐体6の左面は、中間体7の左面(左側の支持部21の左面)および第1筐体5の左面とほぼ面一である。
第2筐体6の前面6Aは、前側へ向かうのに従って下向きに傾斜している。詳しくは、前面6Aは、後下側へ膨らむように僅かに湾曲している(図4も参照)。図1では、前面6Aは、右端部において、右側の支持部21の前面31Aに対して後上側から連続しており(図4も参照)、左端部において、左側の支持部21の前面31Aに対して後上側から連続している。
【0054】
そして、前面6Aにおいて、左端部と右端部とに挟まれた部分には、操作部40が一体的に設けられている。
操作部40は、前面6Aから前側へ突出している。操作部40は、幅方向に長手であり、幅方向から見た輪郭は、前側へ向かうのに従って細くなる略三角形状である(図4も参照)。詳しくは、操作部40は、前面6Aに沿って延びて前面6Aに接続される後面40Aと、後面40Aの下端から前側へ略水平に延びる底面40Bと、底面40Bの前端から前上側へ僅かに延びる前面40Cと、前面40Cの上端から後上側へ延びて後面40Aの上端に接続される天面40Dとを含んでいる(図4も参照)。
【0055】
ここで、第2筐体6の天面6Bおよび底面6Cは、ともに、略水平方向に沿って平坦であり、底面6Cは、幅方向から見て、操作部40の底面40Bと略面一となっており、操作部40の天面40Dおよび後面40Aのそれぞれの上端は、第2筐体6の天面6Bの前端に接続されている(図4も参照)。
操作部40の天面40Dには、複数の操作キー41や表示部42が設けられている。操作部40(詳しくは操作キー41)を操作することによって、プリンタ1全体の運転を制御することができる。そして、プリンタ1の運転状況等が表示部42に表示される。
【0056】
そして、第2筐体6には、画像読取部4が内蔵されている。また、第2筐体6には、原稿押えカバー43が設けられている。
原稿押えカバー43は、第2筐体6の天面6Bを塞ぎ得る大きさを有する平面視で略矩形の平板状である。原稿押えカバー43では、その後端部が第2筐体6によって回動自在に支持されている。原稿押えカバー43の回動軸は、幅方向に沿って延びている。原稿押えカバー43は、後端部を支点として回動することによって、第2筐体6の天面6Bを覆ったり(図1参照)、前上側へ開放したりすることができる。原稿押えカバー43を回動させる際には、原稿押えカバー43の前端部が把持される。
【0057】
なお、原稿押えカバー43および第2筐体6の天面6Bのそれぞれには、マグネット(図示せず)が設けられており、これらのマグネットが引き付けあうことにより、原稿押えカバー43は、第2筐体6の天面6Bを覆うように付勢されている。
原稿押えカバー43を上側へ回動させて第2筐体6の天面6Bを開放し、天面6Bに原稿を載置してから原稿押えカバー43を下側へ回動させて、原稿押えカバー43で第2筐体6の天面6Bを覆う。これにより、天面6Bに載置された原稿が原稿押えカバー43によって上から押えられ、位置決めされる。
【0058】
この状態で操作部40の操作キー41を所定の手順で操作すると、天面6Bに載置された原稿の画像情報が画像読取部4によって読み取られる。読み取られた画像情報に基づき、画像形成部3が、画像データを作成し、上述したように用紙Sに画像を形成する。
ここで、上述した把持部28は、操作部40よりも前側に突出している(図4も参照)。また、操作部40は、画像読取部4を内蔵する第2筐体6の前面6Aに設けられているので、画像読取部4の前側にある。そのため、把持部28は、画像読取部4よりも前側へ突出している(図4も参照)。
【0059】
そして、第2筐体6(画像読取部4)では、その後端部の下端部が、中間体7(詳しくは左右の支持部21の後端部および連結部22)によって回動自在に支持されている。第2筐体6の回動軸44は、幅方向に沿って延びている(図4参照)。第2筐体6(画像読取部4)は、上述した閉位置(図1、図2および図4参照)と、開位置(図3参照)との間で、回動軸44を支点として回動することができる。なお、第2筐体6は、中間体7でなく、第1筐体5によって回動自在に支持されてもよい。
【0060】
以下では、第2筐体6が閉位置にある場合、および、開位置にある場合を順に説明するが、いずれの場合においても、中間体7は閉位置にあるものとする。
第2筐体6が閉位置にあるときには、図1に示すように、第2筐体6の底面6Cが、左右の支持部21の天面24の全域に対して上から接触する。これにより、第2筐体6の右面が、中間体7の右面に対して上から連続し、第2筐体6の左面が、中間体7の左面に対して上から連続する。
【0061】
そして、第2筐体6の前面6Aが、中間体7の左右の支持部21の前面31Aに対して後上から連続する。
ここで、上述したように中間体7が閉位置にあることから、第2筐体6の前面6Aと、中間体7の前面(左右の支持部21の前面31A)と、第1筐体5の傾斜面10の第1部10Aとが、上からこの順番で連続する。これにより、プリンタ1の前上側には、第1筐体5の前面8の上端から後上側へ傾斜して延び、第2筐体6の天面6Bの前端に接続される面(大傾斜面45という。)が形成される。大傾斜面45によって、右側面視における筐体2の輪郭が、上述したように前上側が斜めに切り欠かれた略矩形状となる。ここで、大傾斜面45は、後下側へ膨らむように僅かに湾曲している(図4も参照)。
【0062】
この状態で、第2筐体6は、左右の支持部21によって下から支持されている。また、このとき、左右の支持部21は、第1筐体5と第2筐体6との間にあるので、左右の支持部21に挟まれた上述した空間32が第1筐体5と第2筐体6との間に形成されていることがわかる。空間32は、第2筐体6によって上から覆われている。
また、このとき、上述した大傾斜面45の中央には、正面視において略矩形状の取出口46が形成される。取出口46では、カバー部材20の前端と第2筐体6の底面6Cの前端とによって上下が規定され、左右の支持部21によって左右が規定されている。取出口46は、前側から、空間32に連通している。この状態では、取出口46から空間32に手を差し込んで、空間32に排出された用紙Sを取り出すことができる。
【0063】
そして、閉位置にある第2筐体6を右側面視で時計回りの方向へたとえば30°程度回動させると、中間体7は、図3に示すように、開位置に到達する。
第2筐体6が開位置にあるときには、第2筐体6の底面6Cが、中間体7の天面から後上側へ離間している。これにより、空間32が前側上方ヘ露出される。この状態では、取出口46(前側)からだけでなく、上側からも空間32に手を差し込むことができるので、空間32においてカバー部材20の積載面25に積層された多数枚の用紙Sや、空間32の奥側(後側)に排出された前後に短い用紙Sを容易に取り出すことができる。
(4)把持部
次に把持部28について詳説する。
【0064】
図6は、カバー部材の前側部分を右前上方から見た斜視図である。図7は、カバー部材の前側部分の内部構造の分解斜視図である。図8は、カバー部材の前側部分の内部構造を右前上方から見た斜視図である。図9は、中間体が閉位置にロックされたときにおけるカバー部材の前側部分周辺の右側断面図である。図10は、中間体の閉位置におけるロックが解除されたときにおけるカバー部材の前側部分周辺の右側断面図である。
【0065】
把持部28に関連して、図6に示すように、カバー部材20の底面の前端部には、係合部材50とロック部材51とが設けられている。
係合部材50は、幅方向において間隔を隔てて2つ設けられており、ロック部材51は、2つの係合部材50の間に配置されている。ロック部材51は、幅方向において把持部28と同じ位置にある。
【0066】
また、把持部28の前端の幅方向中央には、摘み部52が設けられている。摘み部52は、幅方向に細長い平板状であり、上下方向において把持部28と同じ厚みを有している。摘み部52は、把持部28の前端の幅方向中央に前から食い込むように配置されている。この状態で、摘み部52の天面と、把持部28の天面28Aとは、ほぼ面一となっており、摘み部52の前面と、把持部28の前面とは、ほぼ面一となっている。摘み部52は、把持部28の一部となっている。
【0067】
図7に示すように、係合部材50、ロック部材51および摘み部52を抜き出して示すと、まず、各係合部材50は、上下に長手であり、その下端部には、前側へ突出する爪50Aが一体的に設けられている。係合部材50の上端部は、幅方向から見て、後側が開放された略C字形状をなしている。そして、係合部材50において爪50Aの僅か上側には、折れ曲り部50Bが一体的に設けられている。折れ曲り部50Bは、後側へ延びた後、右側へ僅かに折れ曲っている。
【0068】
係合部材50では、上端部が、カバー部材20に取り付けられており、係合部材50は、上端部を支点として、図示した太い点線矢印で示すように、回動自在である(図8も参照)。この状態で、係合部材50には、後側からコイルばね53が取り付けられており、係合部材50は、前側へ回動するように(爪50Aが前側へ向かうように)、コイルばね53によって後側から付勢されている。なお、折れ曲り部50Bが、カバー部材20に対して、遊びを持って引っ掛かっているので、係合部材50が所定量以上前側へ回動することが規制されている。
【0069】
ロック部材51は、前後に薄く幅方向に長手の板状であり、その下端部の幅方向両端には、前側へ突出する爪51Aが一体的に設けられている。
また、ロック部材51の上端の幅方向両端部には、延設部54が一体的に設けられている。各延設部54は、上側へ延びてから前側へ折れ曲っている。各延設部54において、前側へ折れ曲った部分の前端には、幅方向に延びる同一の軸55が挿通されている。軸55は、カバー部材20(詳しくはカバー部材20において把持部28より下側の部分)に支持されている(図8参照)。この状態において、ロック部材51は、軸55を介して、カバー部材20に支持されており、軸55を支点として、回動自在である。
【0070】
ここで、軸55には、ばね56が取り付けられており、これによって、ロック部材51は、前側(右側から見て時計回りの方向)へ回動するように(爪51Aが前側へ向かうように)、ばね56によって付勢されている。
また、各延設部54において、軸55が挿通された部分より後側の部分には、幅方向外側へ突出する凸部57が一体的に設けられている。
【0071】
そして、摘み部52の後端部の下端には、上下に薄いプレート58が一体的に設けられている。プレート58は、平面視において、後側が開放された略U字形状であり、その後端部には、幅方向に延びる軸59が挿通されている。軸59は、カバー部材20(詳しくは、カバー部材20において把持部28より後側の部分)に支持されている(図8参照)。この状態において、摘み部52は、軸59を介して、カバー部材20に支持されており、軸59を支点として、回動自在である。
【0072】
詳しくは、上述したように摘み部52の天面と把持部28の天面28Aとがほぼ面一となった状態(図6および図9参照)から、摘み部52の天面が把持部28の天面28Aより高くなるように(図10参照)、摘み部52は、右側から見て時計回りの方向へ回動することができる。
また、プレート58の幅方向両端の前端部には、幅方向に薄く上下に長手の連結片62が設けられている。各連結片62の下端部には、連結片62を幅方向に貫通する貫通穴60が形成されている。各連結片62の貫通穴60には、ロック部材51において幅方向で同じ側にある延設部54の凸部57が、幅方向内側から挿通されている。これにより、摘み部52と、ロック部材51とが連結されている。
【0073】
この状態で、摘み部52を摘み、摘み部52の天面が把持部28の天面28Aより高くなるように(図10参照)、摘み部52を、右側から見て時計回りの方向(上側であり、図7の矢印A方向)へ回動させる。すると、摘み部52側の連結片62が、ロック部材51側の延設部54において軸55より後側の凸部57を引き上げる(図7の矢印B方向)。
【0074】
これにより、ロック部材51には、右側から見て反時計回りの方向に力が作用するので、ロック部材51は、上述したばね56の付勢力に抗して、右側から見て反時計回りの方向(図7の矢印C方向)へ回動する。これに伴い、ロック部材51の下端部(つまり左右の爪51A)が後側へ動く(図10も参照)。なお、この状態で、摘み部52から手を離すと、ロック部材51は、上述したばね56の付勢力によって元の位置まで回動し、これに連動して、摘み部52も元の位置まで回動する(図6および図9参照)。
【0075】
ここで、図9に示すように、第1筐体5の前壁16の後面における幅方向中央部分の上端部(詳しくは、上述した傾斜面10の第2部10Bより下側の部分)には、被係合部61が一体的に設けられている。幅方向から見たときの被係合部61の断面は、後側が開放された略C字形状をなしている。被係合部61は、幅方向に長手であり、幅方向において、左右の係合部材50とロック部材51とに一致している。
【0076】
図9に示すように、中間体7が閉位置にあって摘み部52から手が離された状態にある場合には、左右の係合部材50の爪50Aとロック部材51の爪51Aとが、後側から被係合部61の内側に嵌り、被係合部61の上側部分61A(つまり第1筐体5)に係合している。特に、ロック部材51の爪51Aは、前上側へ突出する鉤状であって、係合部材50の爪50Aより鋭いので、被係合部61に食い込むように係合している。これにより、中間体7の前端部が、ロック部材51を介して、第1筐体5に固定されるので、中間体7は、回動することができず、ロック部材51によって、閉位置にロックされる。このとき、係合部材50は、ロック部材51によるロックを補助している。
【0077】
この状態で、中間体7を閉位置(図1参照)から開位置(図2参照)へ回動させるために、摘み部52を摘むように把持部28を把持し、閉位置から開位置へ向かう方向(上側)へ持ち上げる。
これにより、まず、摘み部52が上側へ回動するので、上述したように、ロック部材51の下端部(左右の爪51A)が後側へ動き、図10に示すように、被係合部61から後側へ外れる。つまり、ロック部材51による、カバー部材20の閉位置におけるロックが解除される。換言すれば、把持部28(詳しくは摘み部52)が、中間体7の閉位置から開位置へ向かう方向へ動かされる操作に連動して、ロック部材51のロックを解除する。この状態では、左右の係合部材50の爪50A(図6参照)は、引き続き、被係合部61の上側部分61Aに係合している。よって、上述した消耗品交換などのためにユーザが把持部28を持ってカバー部材20(中間体7)を開けようという意志がないと、単にロック部材51のロックが解除された状態では、カバー部材20は開かない。
【0078】
そして、ロック部材51のロックが解除された状態で、引き続き、把持部28を持ち上げる。ここで、係合部材50の爪50Aにおいて上側部分61Aに接触する上面50Cは、後上側へ傾斜しているので、把持部28を持ち上げると、爪50Aは、上述したコイルばね53(図7参照)の付勢力に抗して後側へずれ、これに伴い、爪50A全体が、被係合部61から後側へ外れる。
【0079】
これにより、左右の係合部材50の爪50Aおよびロック部材51の爪51Aのいずれもが第1筐体5の被係合部61から外れるので、中間体7の前端部が、第1筐体5に対して移動可能となる。そのため、把持部28を引き続き持ち上げると、中間体7は、開位置(図2参照)まで回動する。
なお、中間体7を開位置から閉位置へ回動させると、左右の係合部材50の爪50Aの下面50Dおよびロック部材51の爪51Aの下面51Bが、中間体7の回動に伴って下降する際に、第1筐体5の被係合部61の上側部分61Aの上面61Bにぶつかる。ここで、係合部材50の爪50Aの下面50Dと、ロック部材51の爪51Aの下面51Bと、上側部分61Aの上面61Bとは、ともに、後下側へ延びる傾斜面である。そのため、爪50Aの下面50Dおよび爪51Aの下面51Bが被係合部61の上側部分61Aの上面61Bにぶつかると、爪50Aおよび爪51Aは、後側へずれながら下降する。
【0080】
そして、中間体7が閉位置に到達すると、爪50Aおよび爪51Aは、被係合部61の上側部分61Aを乗り越えた後に、コイルばね53またはばね56(図7参照)の付勢力によって前進し、上述したように後側から被係合部61の内側に嵌って、被係合部61の上側部分61Aに係合する。
(5)その他
図11は、図5のA−A矢視断面図である。図12は、図11において、中間体が開位置にある状態を示している。図13は、図11において、第2筐体が開位置にある状態を示している。
【0081】
図11に示すように、中間体7の各支持部21(少なくとも右側の支持部21)内には、第1固定部材の一例としての第1ロックレバー90と、第2固定部材の一例としての第2ロックレバー91とが設けられている。
第1ロックレバー90は、図11での姿勢を基準として、幅方向から見て、後上側に延びている。第1ロックレバー90の上端部には、前側へ突出する爪90Aが一体的に設けられている。第1ロックレバー90の下端部は、前側へ折り曲げられている。
【0082】
第1ロックレバー90において爪90Aと下端部との間には、幅方向に延びる第1支持軸93が挿通されている。第1支持軸93は、支持部21に固定されている。第1支持軸93は、第1ロックレバー90を回動自在に支持している。この状態で、第1ロックレバー90は、ばね88によって、右側面視で反時計回りの方向(爪90Aが前側へ向かう方向)へ付勢されている。
【0083】
第2ロックレバー91は、支持部21内において、第1ロックレバー90より前側に配置されている。第2ロックレバー91は、図11での姿勢を基準として、幅方向から見て、上側に延び、途中で湾曲して後上側へ延びている。第2ロックレバー91の下端部には、後側へ突出する爪91Aが一体的に設けられている。
第2ロックレバー91において湾曲した部分には、幅方向に延びる第2支持軸92が挿通されている。第2支持軸92は、支持部21に固定されている。第2支持軸92は、第2ロックレバー91を回動自在に支持している。この状態で、第2ロックレバー91は、右側面視で反時計回りの方向(爪91Aが後側へ向かう方向)へ付勢されている。
【0084】
ここで、図11の状態(中間体7および第2筐体6がともに閉位置にある状態)を基準として、第1筐体5の天面9において、対応する支持部21の第2ロックレバー91の爪91Aの後側には、上側へ突出する第2係合片94が設けられ、第2係合片94に対して所定距離だけ後側の位置には、上向きに突出する第1凸部95が設けられている。第2係合片94は、前後に薄い板状である。第2係合片94には、第2係合片94を前後に貫通する貫通穴96が形成されている。
【0085】
また、第2筐体6の底面6Cにおいて、対応する支持部21の第2ロックレバー91の上端部と前後方向において一致する位置には、下側へ突出する第2凸部97が設けられ、第2凸部97に対して所定距離だけ後側の位置(詳しくは図11において第1ロックレバー90の爪90Aの前側)には、下向き突出する第1係合片98が設けられている。第1係合片98は、前後に所定の厚みを有している。第1係合片98には、第1係合片98を前後に貫通する貫通穴99が形成されている。
【0086】
図11の状態(中間体7および第2筐体6がともに閉位置にある状態)では、第1筐体5の天面9の第2係合片94および第1凸部95が、対応する支持部21内に下から入り込んでいる。また、第2筐体6の底面6Cの第1係合片98および第2凸部97が、対応する支持部21内に上から入り込んでいる。
この状態では、第1凸部95が、第1ロックレバー90の下端部に下から当接しており、これにより、第1ロックレバー90は、爪90Aが第1係合片98の貫通穴99から後側へ離間した状態で、位置決めされている。つまり、第1ロックレバー90の回動が規制されている。また、第2凸部97が、第2ロックレバー91の上端部に上から当接しており、これにより、第2ロックレバー91は、爪91Aが第2係合片94の貫通穴96から前側へ離間した状態で、位置決めされている。つまり、第2ロックレバー91の回動が規制されている。
【0087】
図11の状態で中間体7を開位置へ向けて(図11における時計回りの方向へ)回動させると、中間体7の支持部21の底面30が、第1筐体5の天面9から上側へ離間する。これに伴い、第1ロックレバー90の下端部が第1凸部95から離間するので、第1凸部95による第1ロックレバー90の回動の規制が解除され、第1ロックレバー90は、上述したように付勢されることで、右側面視で反時計回りの方向へ回動する。これにより、図12に示すように、第1ロックレバー90の上端部の爪90Aが前側へ移動して、第1係合片98の貫通穴99に嵌まり込み、第1係合片98に係合する。この結果、中間体7の支持部21に第2筐体6が固定される。
【0088】
つまり、中間体7が回動するときには、中間体7側の第1ロックレバー90の爪90Aが、第2筐体6側の第1係合片98に係合することで、第2筐体6を支持部21(中間体7)に固定する。そのため、第2筐体6は、閉位置にある状態を保ったまま、中間体7と一体となって、回動する。
また、図11の状態で第2筐体6を開位置へ向けて(図11における時計回りの方向へ)回動させると、第2筐体6の底面6Cが、中間体7の天面(詳しくは支持部21の天面24)から上側へ離間する。これに伴い、第2凸部97が、第2ロックレバー91の上端部から離間するので、第2凸部97による第2ロックレバー91の回動の規制が解除され、第2ロックレバー91は、上述したように付勢されることで、右側面視で反時計回りの方向へ回動する。これにより、図13に示すように、第2ロックレバー91の下端部の爪90Aが後側へ移動して、第2係合片94の貫通穴96に嵌まり込み、第2係合片94に係合する。この結果、中間体7の支持部21が第1筐体5に固定される。
【0089】
つまり、第2筐体6が回動するときには、中間体7側の第1ロックレバー91の爪91Aが、第1筐体5側の第2係合片94に係合することで、中間体7(特に支持部21)を第1筐体5に固定する。そのため、第2筐体6が回動しても、中間体7自身は、閉位置にある状態を保つ。さらに、中間体7が閉位置にあるときには、上述したように、ロック部材51が中間体7を閉位置にロックしているので(図9参照)、第2筐体6が開位置へ向けて回動しても、中間体7自身が閉位置にある状態が確実に保たれている。
【0090】
なお、上述したように把持部28を把持してロック部材51のロックを解除しても(図10参照)、第2ロックレバー91の爪91Aが、第1筐体5側の第2係合片94に係合していることから、第2筐体6が回動しても、中間体7自身は、閉位置にある状態を保つ。
また、図11に示すように第2筐体6および中間体7がともに閉位置に戻ると、第1ロックレバー90の爪90Aが、第1係合片98の貫通穴99から外れ、第1ロックレバー90と第1係合片98との係合状態が解除される。そして、第2ロックレバー91の爪91Aが、第2係合片94の貫通穴96から外れ、第2ロックレバー91と第2係合片94との係合状態が解除される。
【0091】
ここで、第2筐体6の底面6Cの幅方向両端部には、図示しない樹脂製の爪が、下向きに突出するように設けられており、第2筐体6が閉位置にある状態では、この爪が、中間体7において幅方向で同じ側にある支持部21に上から食い込んで引っ掛かっている。
そのため、この状態で、原稿押えカバー43を開いても(上側へ回動させても)、第2筐体6は、開位置へ向けて上側へ回動することはなく、閉位置で固定されている。この爪は、第2筐体6を所定以上の力で開位置へ向けて回動させれば、支持部21から外れるので、そのまま、第2筐体6を開位置へ回動させることができる。
2.作用効果
(1)以上のように、このプリンタ1では、図2に示すように、画像形成部3を備える第1筐体5の上部に開口11が設けられている。そして、第1筐体5の上部には、カバー部材20が、開口11を覆うように設けられている。
【0092】
図1に示すように、カバー部材20には、画像形成部3で画像が形成された用紙Sが排出される。そして、カバー部材20(中間体7)は、第1筐体5によって回動自在に支持されている。具体的には、カバー部材20は、用紙Sの排出方向X(前側へ向かう方向)における後側(図4に示す回動軸33)を支点として、第1筐体5内部を上から覆う閉位置(図1参照)と第1筐体5内部を上方へ露出させる開位置(図2参照)との間で回動自在である。
【0093】
そのため、図2に示すように、カバー部材20を開位置まで回動させると、第1筐体5の上部の開口11が開かれるので、この開口11を介して、消耗品交換やジャム処理などにおいて第1筐体5内部(収容室14)のメンテナンスすることができる。一方で、カバー部材20を閉位置まで回動させると(図1参照)、開口11が閉じられるので、異物が開口11から第1筐体5内部に入り込むことを防止できる。
【0094】
ここで、プリンタ1に備えられたロック部材51は、カバー部材20を閉位置にロックすることができる一方で(図9参照)、必要に応じてそのロックを解除することができるので(図10参照)、画像形成中などにカバー部材20が不意に開くことを防止できる。
そして、カバー部材20の前端部には、カバー部材20を回動させるために把持される把持部28が設けられている。カバー部材20がロック部材51によって閉位置にロックされた状態において(図9参照)、把持部28は、閉位置から開位置へ向かう方向へ動かされる操作に連動して、ロック部材51のロックを解除する(図10参照)。
【0095】
これにより、把持部28を把持して閉位置から開位置へ向かう方向へ動かすという一つの動作だけで、ロック部材51のロックを解除する動作と、カバー部材20を閉位置から開位置へ回動させる動作とを一度に行うことができる。また、把持部28は、カバー部材20の前側(排出された用紙Sを受け取るユーザ側)における端部に設けられているので、把持部28へのアクセスが容易である。
【0096】
これらの結果、カバー部材20の開閉に係る操作性の向上を図ることができる。
(2)図3に示すように、把持部28は、前側へ突出しているので、把持部28へのアクセスが一層容易である。
(3)把持部28は、カバー部材20において排出された用紙Sが積載される積載面25に連続しているので、積載面25へ排出される用紙Sの邪魔とならない。そのため、積載面25への用紙Sの円滑な排出を確保することができる。
(4)カバー部材20の前端部には、前側へ向かうのに従って下向きに傾斜する傾斜面26が形成されており、把持部28は、この傾斜面26より上に設けられている。
【0097】
これにより、把持部28の下には、指を差し込むことができる空間Y(図4参照)が形成されるので、把持部28を上下から掴んで確実に把持することができる。また、把持部28を傾斜面26より上側に設けることで、把持部28がカバー部材20において突出したように見えて目立つので、ユーザに対して把持部28の存在を認識させることができ、ユーザがカバー部材20(中間体7)を回動させる際には、ユーザに必ず把持部28を把持させることができる。
(5)把持部28は、排出方向Xの直交方向(幅方向)におけるカバー部材20の中央部(カバー部材20においてバランスが取れた部分)に設けられているので、違和感なく、把持部28を把持してカバー部材20を回動させることができる。
(6)把持部28は、幅方向において、用紙Sより小さい。そのため、排出された用紙Sが把持部28にかかっても、この用紙Sの幅方向における領域において、把持部28にかかった部分以外の箇所(幅方向両側)が、宙に浮いた状態となって掴み代となるので、この掴み代を掴むことで、排紙された用紙Sを円滑に取り出すことができる。
(7)把持部28は、第1筐体5の前面8よりも後側に設けられているので(図4参照)、第1筐体5の前側を通り掛かったユーザが把持部28に引っ掛かるといった不具合を防止することができる。
(8)図1に示すように、把持部28の後側に設けられた補助トレイ29は、把持部28に沿う第1姿勢(実線で示した補助トレイ29を参照)と、把持部28に対して上向きに交差する第2姿勢(点線で示した補助トレイ29を参照)とに姿勢を変え、第2姿勢の状態において用紙Sを支持する。
【0098】
そのため、たとえば前後方向において比較的長い用紙Sが排出されても、補助トレイ29の姿勢を第2姿勢にしておけば、用紙Sが上から把持部28にかぶさることで把持部28が用紙Sの下に隠れることがなく、把持部28へのアクセスが容易である。そして、第2姿勢の補助トレイ29が、把持部28に対して上向きに交差することで、排出された用紙Sを宙に浮かせるので、この用紙Sを円滑に掴んで取り出すことができる。また、補助トレイ29を使用しないときには、補助トレイ29は、その姿勢を第1姿勢に変えて把持部28に沿うので、邪魔にならない。
(9)図9に示すように、カバー部材20に設けられた係合部材50は、カバー部材20(中間体7)が閉位置にあるときには第1筐体5に係合している。そのため、図10に示すように、ロック部材51によるカバー部材20の閉位置におけるロックが解除されただけでは、カバー部材20は、引き続き閉位置にあり、直ちに閉位置から回動する(開く)ことはない。
【0099】
一方、係合部材50は、カバー部材20が閉位置(図1参照)から開位置(図2参照)へ向けて回動するのに応じて第1筐体5(被係合部61)から外れる。これにより、係合部材50を第1筐体5から外す動作を別途行わなくても、カバー部材20を閉位置から開位置へ向けて回動させる動作で、係合部材50を第1筐体5から外すこともでき、操作性の向上を図ることができる。
【0100】
このように、このカバー部材20は、上述したロック部材51によるロックが解除されただけの状態では開かず(開位置へ向けて回動せず)、ユーザがその意思によってカバー部材20を閉位置から開位置へ向けて回動させるのに応じて、はじめて開く。そのため、たとえば把持部28にユーザが間違ってぶつかることでカバー部材20が不意に開くことを防止できる。
(10)図1に示すように、このプリンタ1では、第1筐体5の上方に画像読取部4(第2筐体6)が配置され、画像形成部3で画像が形成された用紙Sが排出される空間32が第1筐体5と画像読取部4との間に形成されるように、支持部21が、第1筐体5と画像読取部4との間に設けられ、画像読取部4を下から支持している。
【0101】
ここで、把持部28は、画像読取部4よりも前側へ突出しているので(図4参照)、ユーザにとって把持部28の位置を確認しやすく、把持部28へのアクセスが容易となり、把持部28を把持してカバー部材20を回動させている最中に把持手が画像読取部4(第2筐体6)にぶつかることを防止できる。
(11)用紙Sが排出される空間32を挟むように設けられた一対の支持部21のそれぞれの前面31Aは、前側へ向かうのに従って下向きに傾斜しているので、垂直面である場合に比べて、前側で排出された用紙Sを受け取るユーザに対して、圧迫感を与えない。
(12)把持部28は、支持部21よりも前側へ突出しているので(図4も参照)、把持部28へのアクセスが容易である。
(13)画像読取部4の前側には、プリンタ1の運転を制御するために操作される操作部40が設けられており、把持部28は、操作部40よりも前側へ突出している(図4も参照)。そのため、ユーザが操作部40に視線を向けると把持部28が必ずユーザの視界に入ることとなり、ユーザにとって把持部28の位置を確認しやすく、把持部28へのアクセスが容易となる。
(14)支持部21は、カバー部材20と一体的に設けられているので、カバー部材20とともに回動自在である。
【0102】
そして、画像読取部4(第2筐体6)は、排出方向Xにおける上流側(後側の回動軸44であり、図4参照)を支点として、第1筐体5または支持部21によって回動自在に支持されている。そのため、図3に示すように、画像読取部4を回動させる(第2筐体6を開位置へ回動させる)ことで、第1筐体5と画像読取部4との間における用紙Sが排出される空間32を排出方向Xの下流側(ユーザ側)へ大きく露出させることができるので、この空間32に排出された用紙Sを円滑に取り出すことができる。
(15)図12に示すように、カバー部材20(中間体7)が回動するときには、第1ロックレバー90が、画像読取部4(第2筐体6)を支持部21に固定するので、画像読取部4は、カバー部材20および支持部21に一体化される。これにより、カバー部材20が回動するときに、画像読取部4がカバー部材20(支持部21)に対して回動することで、画像読取部4およびカバー部材20(支持部21)のそれぞれが単独で回動することによってプリンタ1全体のバランスが崩れてプリンタ1が不安定な姿勢をとることを防止できる。
(16)図13に示すように、画像読取部4(第2筐体6)が回動するときには、第2ロックレバー91が、支持部21を第1筐体5に固定するので、画像読取部4および支持部21(カバー部材20)のそれぞれが単独で回動することによってプリンタ1全体のバランスが崩れてプリンタ1が不安定な姿勢をとることを防止できる。
3.変形例
図14は、図1に変形例を適用した図である。
【0103】
上記の実施例では、画像読取部4を内蔵する第2筐体6と、閉位置にある第2筐体6を下から支持する支持部21を設けていたが(図1参照)、図14に示すように、第2筐体6および支持部21を省略してもよい。この場合、第1筐体5の上部には、支持部21がない中間体7(つまりカバー部材20)だけが、第1筐体5の内部(開口11および収容室14)を開閉自在に覆うように設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタを右前上方から見た斜視図であって、中間体(カバー部材)および第2筐体(画像読取部)がともに閉位置にある状態を示している。
【図2】プリンタを右前上方から見た斜視図であって、中間体だけが開位置にある状態を示している。
【図3】プリンタを右前上方から見た斜視図であって、第2筐体だけが開位置にある状態を示している。
【図4】図1の状態にあるプリンタの右側面図である。
【図5】図1の状態にあるプリンタの平面図である。
【図6】カバー部材の前側部分を右前上方から見た斜視図である。
【図7】カバー部材の前側部分の内部構造の分解斜視図である。
【図8】カバー部材の前側部分の内部構造を右前上方から見た斜視図である。
【図9】中間体が閉位置にロックされたときにおけるカバー部材の前側部分周辺の右側断面図である。
【図10】中間体の閉位置におけるロックが解除されたときにおけるカバー部材の前側部分周辺の右側断面図である。
【図11】図5のA−A矢視断面図である。
【図12】図11において、中間体が開位置にある状態を示している。
【図13】図11において、第2筐体が開位置にある状態を示している。
【図14】図1に変形例を適用した図である。
【符号の説明】
【0105】
1 プリンタ
3 画像形成部
4 画像読取部
5 第1筐体
8 前面
11 開口
20 カバー部材
21 支持部
25 積載面
26 傾斜面
28 把持部
29 補助トレイ
31A 前面
32 空間
40 操作部
50 係合部材
51 ロック部材
90 第1ロックレバー
91 第2ロックレバー
S 用紙
X 排出方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成するための画像形成部を備え、上部に開口が設けられる装置本体と、
前記装置本体の上部に前記開口を覆うように設けられ、前記画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出され、記録媒体の排出方向における上流側を支点として、前記装置本体内部を上から覆う閉位置と前記装置本体内部を上方へ露出させる開位置との間で前記装置本体によって回動自在に支持されたカバー部材と、
前記カバー部材を前記閉位置にロックするおよびそのロックを解除することができるロック部材と、
前記カバー部材の前記排出方向下流側端部に設けられ、前記カバー部材を回動させるために把持され、前記カバー部材が前記ロック部材によって前記閉位置にロックされた状態において、前記閉位置から前記開位置へ向かう方向へ動かされる操作に連動して前記ロック部材のロックを解除する把持部と
を備えることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記把持部は、前記排出方向下流側へ突出していることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、排出された記録媒体が積載される積載面を含み、
前記把持部は、前記積載面に連続していることを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カバー部材の前記排出方向下流側端部には、前記排出方向下流側へ向かうのに従って下向きに傾斜する傾斜面が形成されており、
前記把持部は、前記傾斜面より上に設けられていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記把持部は、前記排出方向の直交方向における前記カバー部材の中央部に設けられていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記把持部は、前記排出方向の直交方向において、記録媒体より小さいことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記把持部は、前記装置本体の前記排出方向下流側端面よりも前記排出方向上流側に設けられていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記把持部の前記排出方向上流側には、前記把持部に沿う第1姿勢と、前記把持部に対して上向きに交差する第2姿勢とに姿勢を変え、前記第2姿勢の状態において記録媒体を支持する補助トレイが設けられていることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記カバー部材に設けられ、前記カバー部材が前記閉位置にあるときには前記装置本体に係合し、前記カバー部材が前記閉位置から前記開位置へ向けて回動するのに応じて前記装置本体から外れる係合部材を備えることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
記録媒体に画像を形成するための画像形成部を備え、上部に開口が設けられる装置本体と、
前記装置本体の上部に前記開口を覆うように設けられ、前記画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出され、記録媒体の排出方向における上流側を支点として、前記装置本体内部を上から覆う閉位置と前記装置本体内部を上方へ露出させる開位置との間で前記装置本体によって回動自在に支持されたカバー部材と、
前記カバー部材を前記閉位置にロックするおよびそのロックを解除することができるロック部材と、
前記カバー部材の前記排出方向下流側端部に設けられ、前記カバー部材を回動させるために把持される把持部と
を備え、
前記カバー部材が前記ロック部材によって前記閉位置にロックされた状態において、前記閉位置から前記開位置へ向かう方向へ前記把持部が動かされるのに応じて前記ロック部材のロックが解除されることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項11】
前記カバー部材に設けられ、前記カバー部材が前記閉位置にあるときには前記装置本体に係合する係合部材を備え、
前記係合部材は、前記カバー部材が前記閉位置から前記開位置へ向けて回動するのに応じて前記装置本体から外れることを特徴とする、請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記装置本体の上方に配置され、原稿の画像情報を読み取り可能な画像読取部と、
前記画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出される空間が前記装置本体と前記画像読取部との間に形成されるように、前記装置本体と前記画像読取部との間に設けられ、前記画像読取部を下から支持する支持部と
を備え、
前記把持部は、前記画像読取部よりも前記排出方向下流側へ突出していることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記支持部は、前記空間を挟むように一対設けられ、
各前記支持部の前記排出方向下流側端面は、前記排出方向下流側へ向かうのに従って下向きに傾斜していることを特徴とする、請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記把持部は、前記支持部よりも前記排出方向下流側へ突出していることを特徴とする、請求項12または13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記画像読取部の前記排出方向下流側には、画像形成装置の運転を制御するために操作される操作部が設けられ、
前記把持部は、前記操作部よりも前記排出方向下流側へ突出していることを特徴とする、請求項12ないし14のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記支持部は、前記カバー部材と一体的に設けられ、
前記画像読取部は、前記排出方向における上流側を支点として、前記装置本体または前記支持部によって回動自在に支持されていることを特徴とする、請求項12ないし15のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記カバー部材が回動するときには前記画像読取部を前記支持部に固定する第1固定部材を備えることを特徴とする、請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記画像読取部が回動するときには前記支持部を前記装置本体に固定する第2固定部材を備えることを特徴とする、請求項16または17に記載の画像形成装置。
【請求項1】
記録媒体に画像を形成するための画像形成部を備え、上部に開口が設けられる装置本体と、
前記装置本体の上部に前記開口を覆うように設けられ、前記画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出され、記録媒体の排出方向における上流側を支点として、前記装置本体内部を上から覆う閉位置と前記装置本体内部を上方へ露出させる開位置との間で前記装置本体によって回動自在に支持されたカバー部材と、
前記カバー部材を前記閉位置にロックするおよびそのロックを解除することができるロック部材と、
前記カバー部材の前記排出方向下流側端部に設けられ、前記カバー部材を回動させるために把持され、前記カバー部材が前記ロック部材によって前記閉位置にロックされた状態において、前記閉位置から前記開位置へ向かう方向へ動かされる操作に連動して前記ロック部材のロックを解除する把持部と
を備えることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記把持部は、前記排出方向下流側へ突出していることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、排出された記録媒体が積載される積載面を含み、
前記把持部は、前記積載面に連続していることを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カバー部材の前記排出方向下流側端部には、前記排出方向下流側へ向かうのに従って下向きに傾斜する傾斜面が形成されており、
前記把持部は、前記傾斜面より上に設けられていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記把持部は、前記排出方向の直交方向における前記カバー部材の中央部に設けられていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記把持部は、前記排出方向の直交方向において、記録媒体より小さいことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記把持部は、前記装置本体の前記排出方向下流側端面よりも前記排出方向上流側に設けられていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記把持部の前記排出方向上流側には、前記把持部に沿う第1姿勢と、前記把持部に対して上向きに交差する第2姿勢とに姿勢を変え、前記第2姿勢の状態において記録媒体を支持する補助トレイが設けられていることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記カバー部材に設けられ、前記カバー部材が前記閉位置にあるときには前記装置本体に係合し、前記カバー部材が前記閉位置から前記開位置へ向けて回動するのに応じて前記装置本体から外れる係合部材を備えることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
記録媒体に画像を形成するための画像形成部を備え、上部に開口が設けられる装置本体と、
前記装置本体の上部に前記開口を覆うように設けられ、前記画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出され、記録媒体の排出方向における上流側を支点として、前記装置本体内部を上から覆う閉位置と前記装置本体内部を上方へ露出させる開位置との間で前記装置本体によって回動自在に支持されたカバー部材と、
前記カバー部材を前記閉位置にロックするおよびそのロックを解除することができるロック部材と、
前記カバー部材の前記排出方向下流側端部に設けられ、前記カバー部材を回動させるために把持される把持部と
を備え、
前記カバー部材が前記ロック部材によって前記閉位置にロックされた状態において、前記閉位置から前記開位置へ向かう方向へ前記把持部が動かされるのに応じて前記ロック部材のロックが解除されることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項11】
前記カバー部材に設けられ、前記カバー部材が前記閉位置にあるときには前記装置本体に係合する係合部材を備え、
前記係合部材は、前記カバー部材が前記閉位置から前記開位置へ向けて回動するのに応じて前記装置本体から外れることを特徴とする、請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記装置本体の上方に配置され、原稿の画像情報を読み取り可能な画像読取部と、
前記画像形成部で画像が形成された記録媒体が排出される空間が前記装置本体と前記画像読取部との間に形成されるように、前記装置本体と前記画像読取部との間に設けられ、前記画像読取部を下から支持する支持部と
を備え、
前記把持部は、前記画像読取部よりも前記排出方向下流側へ突出していることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記支持部は、前記空間を挟むように一対設けられ、
各前記支持部の前記排出方向下流側端面は、前記排出方向下流側へ向かうのに従って下向きに傾斜していることを特徴とする、請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記把持部は、前記支持部よりも前記排出方向下流側へ突出していることを特徴とする、請求項12または13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記画像読取部の前記排出方向下流側には、画像形成装置の運転を制御するために操作される操作部が設けられ、
前記把持部は、前記操作部よりも前記排出方向下流側へ突出していることを特徴とする、請求項12ないし14のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記支持部は、前記カバー部材と一体的に設けられ、
前記画像読取部は、前記排出方向における上流側を支点として、前記装置本体または前記支持部によって回動自在に支持されていることを特徴とする、請求項12ないし15のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記カバー部材が回動するときには前記画像読取部を前記支持部に固定する第1固定部材を備えることを特徴とする、請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記画像読取部が回動するときには前記支持部を前記装置本体に固定する第2固定部材を備えることを特徴とする、請求項16または17に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−151911(P2010−151911A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327338(P2008−327338)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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