説明

画像形成装置

【課題】簡単な構成でより正確なトナー消費量を検出することのできる画像形成装置を提案する。
【解決手段】トナーを用いて用紙に画像を形成する画像形成部2と、画像データに対して中間調γ補正テーブルを用いた中間調γ補正処理を行う中間調γ補正処理部332と、前記中間調γ補正処理部332から出力される中間調γ補正処理後の画像データに対してスクリーンを用いた擬似中間調処理を行う擬似中間調処理部333と、前記スクリーンを用いた中間ベルト10への濃度パッチの形成動作を画像形成部2に実施させ、前記中間ベルト10に形成された前記濃度パッチの濃度に基づいて中間調γ補正テーブルを補正する濃度補正処理を行う濃度補正処理部334と、中間調γ補正処理部332による中間調γ補正処理前の画像データに基づいて現像剤の消費量を算出するカウント部335とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機や複合機等の画像形成装置の技術分野に属し、特に、トナーの消費量を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機や複合機等の画像形成装置におけるトナーの消費量を検出する技術が種々提案されている(例えば下記特許文献1,2)。
【0003】
下記特許文献1には、ピクセルごとに、当該ピクセルの入力信号値に重み付け係数を乗算し、この乗算値を全てのピクセルについて積算し、この積算値に基づいて出力画像のトナーの消費量を算出するとともに、前記重み付け係数を可変とする構成が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献1には、「中間調ガンマ補正処理では、予め定められた固定入力値による中間調パターン(トーン)でトナーパッチを感光体あるいは転写ベルト上等に形成し・・・、そのトナーパッチを光学センサ等の読み取り装置で反射光量を読み取る・・・。次に、この読み取ったトナーパッチのセンサ出力値と、目標値となる基準ターゲット値とを比較して、補正量を算出する・・・。そして、この算出された補正量に従って、現在の中間調ガンマ補正テーブルを修正し・・・、これにより、常に一定の中間調ガンマ特性が得られるようにコントロールしている([0013])」と記載されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、トナー及びキャリアを含む二成分系現像剤を用いて現像を行う画像形成装置において、前記特許文献1の構成を備えるとともに、現像槽内に設置した透磁率センサにより該現像槽内の二成分系現像剤に含まれるトナー及びキャリアのうちトナーの濃度を検出し、トナー付着量に影響を及ぼす現像槽内のトナー濃度を考慮した補正係数を設定し、この補正係数と前記重み付け係数とによりトナー消費量を算出する技術が開示されている。
【0006】
さらに、下記特許文献1,2には、中間調補正処理部による処理後の画像データに基づいてトナー消費量の算出を行う構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−023392号公報
【特許文献2】特開2008−96735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、中間調ガンマ特性は、画像形成装置の使用期間を通して中間調ガンマ補正処理を実施するたびに変化するものであるため、前記特許文献1,2においては、中間調ガンマ特性を補正するたびに重み付け係数を書き換える処理を要することとなる。
【0009】
また、中間調補正処理部による処理後の画像データは、現在の感光体の特性や現像特性等に応じて目標の濃度が得られるように加工した画像データである。これに対し、トナー消費量の算出には、例えば工場出荷時における感光体の特性や現像特性等に基づいて設定した演算式が用いられる。
【0010】
そのため、現在の感光体の特性や現像特性等に応じて目標の濃度が得られるように加工した中間調補正処理部による処理後の画像データから、例えば工場出荷時における感光体の特性や現像特性等に基づいて設定した演算式を用いてトナー消費量を算出しても、正確なトナー消費量は算出されず、実際のトナー消費量とは大きな誤差を有するものとなる。
【0011】
例えば工場出荷時において、画像データが「50」のときに、目標の濃度「100」が得られるものと想定し、該想定に基づいてトナー消費量の演算式が設定されたものと仮定する。その場合において、工場出荷時以降の或るタイミングで実施した濃度補正により、画像データ「50」に対して計測した濃度が「120」であることが判明したとき、得られる濃度が「100」となるように、中間調補正処理によって前記画像データを「50」から例えば「30」に補正する。
【0012】
しかし、画像データ「30」は、現在の感光体の特性や現像特性等に応じて目標の濃度「100」が得られるように加工した画像データであるから、画像データが「50」のときに目標の濃度「100」が得られるものと想定して設定された演算式を用いてトナーの消費量を算出すると、実際のトナー消費量とは大きく異なるトナー消費量が算出されることとなる。
【0013】
さらに、通常、トナー濃度が同一であっても静電潜像の相違に因って現像剤の消費量が異なるから、濃度補正で用いる濃度パッチのパターンが、通常の画像形成時に実施する濃度階調処理で利用されるスクリーンと異なる手段で作成されたものであると、算出されるトナー消費量に大きな誤差が生じることとなる。
【0014】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、簡単な構成でより正確なトナー消費量を検出することのできる画像形成装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の発明は、現像剤を用いて記録媒体に画像を形成する画像形成部と、画像データに対して中間調γ補正テーブルを用いた中間調γ補正処理を行う中間調γ補正処理部と、前記中間調γ補正処理部から出力される中間調γ補正処理後の画像データに対してスクリーンを用いた擬似中間調処理を行う擬似中間調処理部と、前記スクリーンを用いた像担持体への濃度補正用画像の形成動作を前記画像形成部に実施させ、前記像担持体に形成された前記濃度補正用画像の濃度に基づいて前記中間調γ補正テーブルを補正する濃度補正処理を行う濃度補正処理部と、前記中間調γ補正処理部による中間調γ補正処理前の画像データに基づいて現像剤の消費量を算出する消費量算出部とを備える画像形成装置である。
【0016】
この発明によれば、前記中間調γ補正処理部による中間調γ補正処理前の画像データに基づいて現像剤の消費量を算出するようにしたので、中間調γ補正処理部による中間調γ補正処理後の画像データから現像剤の消費量を算出する従来技術のように現像剤の消費量に係る算出値に大きな誤差が生じることがほとんど無い。
【0017】
また、トナー濃度が同一であっても静電潜像の相違に因って現像剤の消費量が異なることから、濃度補正で用いる濃度パッチのパターンが、実際の濃度階調処理で用いられるスクリーンと異なる手段で作成されたものであると、算出されるトナー消費量に大きな誤差が生じることとなるが、本実施形態では、通常の画像形成時に実施する前記擬似中間調処理において利用するスクリーンを利用して濃度補正処理を行うようにしたので、濃度補正で用いる濃度パッチのパターンとして、前記擬似中間調処理で用いるスクリーンと異なる手段で作成された濃度パッチのパターンを用いる構成に比して、簡単な構成で、より正確な現像剤の消費量を算出することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記消費量算出部は、前記中間調γ補正処理部による中間調γ補正処理前の画像データが示す各画素の画素値と、各画素値について予め設定された重み係数との対応関係を予め記憶する記憶部と、前記中間調γ補正処理部に入力される画像データが示す各画素の画素値に対応した重み係数を前記記憶部に記憶されている前記対応関係からそれぞれ導出し、この導出した前記重み係数を、前記画像データが示す各画素の画素値に乗算し、この乗算値を出力する補正部と、前記補正部から出力される乗算値を積算する積算部と、前記積算部の積算値に基づいて現像剤の消費量を算出する算出部とを備えるものである。
【0019】
この発明によれば、前記中間調γ補正処理部に入力される画像データを取得すると、該画像データが示す各画素の画素値に対応した重み係数を前記テーブルから導出し、該画素値にその重み係数を乗算して得られる乗算値を積算し、該積算値に基づいて現像剤の消費量を算出するようにしたので、中間調γ補正処理部による中間調γ補正処理後の画像データから現像剤の消費量を算出する従来技術に比して、現像剤の消費量をより正確に算出することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記擬似中間調処理部は、前記画像形成部の画像形成条件に応じた複数のスクリーンを予め保持しており、前記中間調γ補正処理部から出力された画像データに対し、現在設定されている前記画像形成部の画像形成条件に対応するスクリーンを用いた擬似中間調処理を行うものであり、前記濃度補正処理部は、前記スクリーンごとに前記濃度補正処理を行うものである。
【0021】
この発明によれば、スクリーンごとに濃度補正処理を行うようにしたので、各スクリーンに応じた前記中間調γ補正テーブルを持つことができる。したがって、どのスクリーンを用いて擬似中間調処理を行う場合であっても、適切な中間調γ補正処理を実施することができるとともに、正確なトナー消費量を算出することができる。
【0022】
前記濃度補正処理部による濃度補正処理は、請求項4に記載の発明のように、前記濃度補正処理部は、当該画像形成装置の主電源がオンされたとき及び当該画像形成装置において予め定められた数の記録媒体に画像形成動作を行ったときのうち少なくとも一方のときに前記濃度補正処理を実施するようにしてもよいし、或いは、請求項5に記載の発明のように、当該画像形成装置の環境を検出する環境検出部を更に備え、前記濃度補正処理部は、前記環境検出部により検出された環境が予め定められた変化量を超えて変化したときに前記濃度補正処理を実施するようにするとよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、簡単な構成でより正確なトナー消費量を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態である複写機の概略構成図である。
【図2】複写機の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【図3】γ補正曲線の一例を示す図である。
【図4】(a)は、スクリーンの一例を示す図、(b)は、スクリーン処理で用いる配列マトリックスを示す図である。
【図5】(a)は、注目画素の画素値が比較的小さい「75」である場合においてスクリーンを用いてスクリーン処理を行うときの各ブロックについてのオンデューティの設定方法を説明するための図、(b)は、画素の画素値が「75」である場合においてスクリーンを用いてスクリーン処理を行ったときに用紙に形成される画像の一例を示す図である。
【図6】(a)は、注目画素の画素値が比較的大きい「140」である場合においてスクリーンを用いてスクリーン処理を行うときの各ブロックについてのオンデューティの設定方法を説明するための図、(b)は、画素の画素値が「140」である場合においてスクリーンを用いてスクリーン処理を行ったときに用紙に形成される画像の一例を示す図である。
【図7】擬似中間調処理部から出力される画素データが示す画素値とトナー消費量との関係を示すグラフを表した図である。
【図8】重み係数テーブル記憶部が記憶するテーブルを示す図である。
【図9】濃度補正処理を示すフローチャートである。
【図10】濃度補正処理後に実施される画像形成動作を示すフローチャートである。
【図11】トナー消費量の算出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る画像形成装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態である複写機の概略構成図である。
【0026】
図1に示すように、複写機1は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(黒)の各色別に画像形成部2M、2C、2Y、2K(これらを纏めて画像形成部2という)が本体内に並設されている。
【0027】
画像形成部2は、用紙に対するカラー画像の形成(印刷)を行うものであり、画像形成部2M、2C、2Y及び2Kは、それぞれ、例えばアモルファスシリコンからなる感光体ドラム3、この感光体ドラム3の周囲に配設された帯電部4、露光部5、現像部6及び感光体クリーニング部7を備えている。
【0028】
帯電部4は、感光体ドラム3の表面全体を均一に所定電位に帯電させるものである。露光部5は、後述の記憶部40(図2参照)等から送信されてきた画像データに基づき生成されたレーザービームを感光体ドラム3の表面に照射し、該感光体ドラム3の表面上に静電潜像を形成するものである。
【0029】
現像部6は、感光体ドラム3に形成された静電潜像に対してトナー供給部8から供給されるトナー(現像剤)を付着させることで、トナー像として静電潜像を顕在化させるものである。感光体クリーニング部7は、後述する中間ベルト10へのトナー画像の一次転写終了後、中間ベルト10に転写されずに感光体ドラム3の表面に残ったトナーを除去するものである。
【0030】
画像形成部2の下方には、感光体ドラム3の表面に顕在化したトナー像の中間転写(一次転写)を行うための中間転写ローラ9(一次転写ローラ)及び中間ベルト(中間転写ベルト)10が配設されている。中間ベルト10は、所定の中間ベルト10からなり、各感光体ドラム3と対向配置された中間転写ローラ9によって感光体ドラム3に押圧された状態で、駆動ローラ11〜13によって無端回転するように構成されている。
【0031】
感光体ドラム3上に形成される各色のトナー像は、無端回転される中間ベルト10上に、それぞれタイミングを合わせて、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの順に転写されて重ね合わされる。これにより中間ベルト10上にC、M、Y、Kの4色からなるカラー画像が形成される。
【0032】
駆動ローラ13と対向する位置には、中間ベルト10を介して2次転写ローラ14が設けられている。2次転写ローラ14は、後述の制御部33(図2参照)からの転写バイアスによって中間ベルト10上のカラー画像を用紙へ転写するものである。
【0033】
また、複写機1は、画像形成部2へ向けて給紙を行う給紙部15を備えている。給紙部15は、各サイズの用紙を収納する給紙カセット151、用紙が搬送される経路である搬送路152、及び、搬送路152中の用紙の搬送を行う搬送ローラ153等を備え、給紙カセット151から1枚ずつ取り出された用紙を画像形成部2、すなわち2次転写ローラ14の位置へ向けて搬送する。なお、給紙部15は、2次転写処理された用紙を定着部16へ搬送し、この定着処理された用紙を複写機本体上部の用紙排出トレイ17へ排出する。
【0034】
搬送路152における2次転写ローラ14より下流側の適所には、定着部16が設けられている。定着部16は、用紙に転写されたトナー像を定着させるものである。定着部16は、ヒートローラ161及び圧ローラ162からなり、ヒートローラ161の熱によって用紙上のトナーを溶かし、圧ローラ162によって圧力をかけてトナーを用紙上に定着させる。
【0035】
また、複写機1は、除電クリーニング18を備えている。除電クリーニング18は、中間ベルト10上のトナー(残留トナー)を除去(回収)するものである。除電クリーニング18は、図略のクリーニング電極及びクリーニングブラシ(回転ブラシ)からなり、クリーニング電極によってトナーの帯電電荷と逆極性のクリーニングバイアスをクリーニングブラシに印加し、これによる静電気力によって中間ベルト10上のトナーをクリーニングブラシに移動させることでトナー除去を行う。
【0036】
複写機1の上部には、原稿読取部20と原稿給送部24とが設けられている。原稿読取部20は、CCD(Charge Coupled Device)センサ及び露光ランプ等からなるスキャナ部21と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台22及び原稿読取スリット23とを備える。
【0037】
CCDは、例えば複数の光電変換素子が主走査方向に配列されてなる光電変換素子列が、副走査方向に例えば3列並べられ、1列にはR(赤)のフィルタが配設され、他の1列にはG(緑)のフィルタが配設され、他の1列にはB(青)のフィルタが配設された構成を有するラインセンサである。なお、以下の説明においては、R(赤)、G(緑)、B(青)のフィルタがそれぞれ配設された副走査方向に並ぶ3つの光電変換素子を1つの画素というものとする。このとき、1つの画素から、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分の画像データがそれぞれ出力される。
【0038】
スキャナ部21は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台22に載置された原稿を読み取るときは、原稿台22に対向する位置で原稿面に沿って移動され、原稿画像を走査しつつ取得した画像データを制御部33(図2参照)へ出力する。また、原稿給送部24により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット23と対向する位置に移動され、原稿読取スリット23を介して原稿給送部24による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、その画像データを制御部33へ出力する。
【0039】
原稿給送部24は、原稿を載置するための原稿載置部25と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部26と、原稿載置部25に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット23に対向する位置へ搬送し、原稿排出部26へ排出するための給紙ローラや搬送ローラ(図示せず)等からなる原稿搬送機構27を備える。原稿搬送機構27は、さらに原稿を表裏反転させて原稿読取スリット23と対向する位置へ再搬送する用紙反転機構(図示せず)を備え、原稿の両面の画像を、原稿読取スリット23を介してスキャナ部21から読取可能にしている。
【0040】
また、原稿給送部24は、その前面側が上方に移動可能となるように前記本体に対して回動自在に設けられている。原稿給送部24の前面側を上方に移動させて原稿台22の上面を開放することにより、原稿台22の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等を操作者が載置できるようになっている。
【0041】
図2は、複写機1の電気的な構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、複写機1は、ネットワークI/F部30、記憶部40、ユーザインターフェース部50、画像形成部2及び制御部33を備えている。
【0042】
ネットワークI/F部30は、LAN等のネットワークを介して接続されたPC(パーソナルコンピュータ)等の情報処理装置(外部装置)との間における種々のデータの送受信を制御するものである。記憶部40は、ネットワークI/F部30を介してPC等から送信されてきた画像データや原稿読取部20の読取動作で得られた画像データを一時的に記憶するものである。
【0043】
ユーザインターフェース部50は、複写機1のフロント部に設けられ、ユーザによる各種指示入力が行われる入力キーとして機能したり、所定の情報を表示したりするものである。画像形成部2は、図1に示す画像形成部2に相当するものであり、記憶部40に記憶されるなどした画像データに基づいて用紙に対する画像の形成(印刷)を行うものである。濃度センサ19は、中間ベルト10に形成された濃度パッチの濃度を計測するものであり、主に後述する濃度補正処理時に利用される。
【0044】
制御部33は、各種制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、データを一時的に保管する機能や作業領域としての機能を有するRAM(Random Access Memory)、及び上記制御プログラム等をROMから読み出して実行するマイクロコンピュータやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェア回路などからなり、上記各部に対する各種制御信号の送受信を行い、複写機1全体の動作制御を司るものである。
【0045】
また、制御部33は、画像処理部331と、中間調γ補正処理部332と、擬似中間調処理部333と、濃度補正処理部334と、カウント部335とを備える。
【0046】
画像処理部331は、原稿読取部20から受信した画像データに対して、原稿に対する光源の照明むらやCCDにおける各受光センサの感度バラツキ等に起因する画像データのバラツキを補正するシェーディング補正、CCDの各色成分のラインセンサ間隔によるずれを補正するCCDライン補正、RGB各色の波長の相違、及びスキャナ部21が有する図略の光学系の特性に起因する色ずれを補正する色収差補正、図略の光学系によるCCDへの入射光の「ぼけ」を補正してメリハリの効いた画像データに変換するMTF補正、画素毎にRGB各色の画素値に含まれる混色成分を除去する補正を施す色補正等の各種補正処理を行うものであり、これらの処理を経て、画像処理部331から、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)各色の画像データが出力される。
【0047】
中間調γ補正処理部332は、C、M、Y、Kの色成分毎に画像データの階調特性を変更する中間調γ補正処理を行うものである。図3(a)は、画像処理部331から中間調γ補正処理部332に入力される各画素データが示す画素値を横軸、画像の濃度を縦軸として、両者の関係(以下、現像特性という)を示したグラフであり、点線で示すグラフL1は、理想的な関係を示すグラフであり、グラフL2は、誤差が生じた場合の関係を示すグラフである。また、図3(b)は、中間調γ補正処理に用いる中間調γ補正曲線を示すグラフL3を表した図である。
【0048】
中間調γ補正処理は、図3(a)に示すように、実際の現像特性(例えばグラフL2で示される現像特性)が目標の現像特性(グラフL1)と異なる場合に、図3(b)に示すように、中間調γ補正処理部332に入力された各画素データ(以下、入力画素データという)が示す各画素値を、例えば工場出荷時に設定された目標の現像特性(グラフL1)が得られるように変換(加工)することにより画像の明るさや色の彩度等を調整するものであり、この画素値の変換に、図3(b)に示すような中間調γ補正曲線が使用される。
【0049】
例えば図3(b)に示すように、前記中間調γ補正処理部332は、画像処理部331から取得した或る画素データ(入力画素データ)が示す画素値が「50」であるとき、画像濃度の理想値は「100」であるところ、実際に計測した画像濃度が「150」と大きくなったものとすると、画像濃度を抑制して「100」の画像濃度が得られるようにするべく、「50」の画素値をもつ前記入力画素データを、それより画素値の小さい、例えば「30」の画素値を持つ画素データ(出力画素データ)に変換する。
【0050】
本実施形態では、中間調γ補正処理部332は、前記中間調γ補正曲線が示す入力画像データと出力画像データとの関係を中間調γ補正テーブルとして中間調γ補正テーブル記憶部3321に保持しており、中間調γ補正処理部332に画像データが入力されると、前記入力画像データに対応する出力画像データを、前記中間調γ補正テーブル記憶部3321に記憶された中間調γ補正テーブルを参照して導出し、前記入力画像データをその導出した出力画像データに変換して後段の擬似中間調処理部333に出力する。
【0051】
後述するように、中間調γ補正テーブルは、前記濃度補正処理部334による濃度補正処理が実施されるたびに更新される。この濃度補正処理は、当該複写機1の主電源がオンされたとき、当該画複写機1において予め定められた枚数の用紙に画像形成動作を行ったとき、複写機1周辺の温度や湿度を検出する温度検出部や湿度検出部が備えられている場合には、複写機1周辺の温度や湿度の変化が予め定められた変化量を超えるものであるときの少なくとも1つのタイミングで実施するようにするとよい。
【0052】
擬似中間調処理部333は、以下に説明する擬似中間調処理を行うものである。複写機1は、予め定められた大きさのブロック(以下、大ブロックという)を画像の構成単位(1画素)として画像形成動作を行う。また、複写機1は、この大ブロックをマトリックス状に配列する複数の小ブロックに分割し、当該画素の画素値に応じて、前記小ブロックごとにPWM信号に基づく光の照射動作を行う処理を実施することにより、1画素の画像の濃度階調を表現するように構成されている。なお、前記小ブロックの大きさはスクリーン線数に相当し、当該複写機1による印刷の精度に対応する。
【0053】
前記擬似中間調処理では、各小ブロックについてのレーザ光の出力時間(前記小ブロックごとに露光部5に出力されるPWM信号(パルス信号)のオンデューティ値)を決定するためのスクリーンが用いられる。このスクリーンの一例を図4(a)に示す。また、図4(b)は、1つの大ブロックに対して設定される小ブロックのマトリックスが4(行)×4(列)の計16個の小ブロックから成るマトリックスであるものとした場合に、これら16個の小ブロックに対し、大ブロックにおける各小ブロックのブロック位置を示すための番号(ここでは「0」〜「15」の番号)を付した配列マトリックスを示す図である。
【0054】
図4(a)に示すように、本実施形態の複写機1においては、露光部5に出力されるPWM信号(パルス信号)のオンデューティ値として、複数のオンデューティ値r1〜r15が設定されている。オンデューティr1〜r15は、r1を0(%),r15を100(%)として、r1から順に、0%から一定の割合で増大するように設定された値である。このスクリーンのオンデューティは、4ビットのディジタル信号で表される。そして、このオンデューティ値r1〜r15と、大ブロックにおける各小ブロックのブロック位置との組み合わせに対し、擬似中間調処理部333に入力される画素データが示す画素値についての閾値がそれぞれ設定されている。
【0055】
擬似中間調処理部333は、このようなスクリーンを予め記憶するスクリーン記憶部3331を有している。そして、擬似中間調処理部333は、画像データを1画素ずつ注目し、前記スクリーン記憶部3331に格納されたスクリーンを用いて、注目画素の画素値Xと前記各小ブロックについてそれぞれ前記スクリーンで設定された閾値Yとの大小を比較し、各小ブロックについて、
Y≦X…(1)
を満たす閾値Yのうち最大の閾値に対応するオンデューティを、当該小ブロックについてのパルス信号のオンデューティとして設定する。
【0056】
今、注目画素の画素値が例えば「75」である場合を想定する。この場合において、図4(a)に示すスクリーンを用いて擬似中間調処理を行うときには、図5(a)に示すように、「0」〜「3」のブロックに設定された全ての閾値が前記注目画素の画素値より小さいから、擬似中間調処理部333は、これらのブロックについてのオンデューティとして「r15」を設定する。
【0057】
また、「4」〜「7」のブロックについては、オンデューティ「r1」〜「r3」に対応する閾値のみが前記注目画素の画素値より小さいから、擬似中間調処理部333は、これらのブロックについてのオンデューティとして「r3」を設定する。「8」〜「15」のブロックに設定された全ての閾値は、前記式(1)を満たさないため、擬似中間調処理部333は、これらのブロックについてのオンデューティを「0」と設定する。
【0058】
なお、図5(a)には、前記注目画素の画素値「75」以下の閾値を太線で囲んで示している。また、図5(b)は、画素の画素値が「75」である場合において、図4(a)に示すスクリーンを用いて擬似中間調処理を行ったときに用紙に形成される画像の一例を示す図である。
【0059】
次に、注目画素の画素値が「140」である場合を想定する。この場合において、図4(a)に示すスクリーンを用いて擬似中間調処理を行うときには、図6(a)に示すように、「0」〜「7」のブロックに設定された全ての閾値が前記注目画素の画素値より小さいから、擬似中間調処理部333は、これらのブロックについてのオンデューティとして「r15」を設定する。
【0060】
また、「8」〜「11」のブロックについては、オンデューティ「r1」〜「r3」に対応する閾値のみが前記注目画素の画素値より小さいから、擬似中間調処理部333は、これらのブロックについてのオンデューティとして「r3」を設定する。「12」〜「15」のブロックに設定された全ての閾値は、前記式(1)を満たさないため、擬似中間調処理部333は、これらのブロックについてのオンデューティは「0」と設定する。
【0061】
なお、図6(a)には、前記注目画素の画素値「140」以下の閾値を太線で囲んで示している。また、図6(b)は、画素の画素値が「140」である場合において、図4(a)に示すスクリーンを用いて擬似中間調処理を行ったときにこの場合に用紙に形成される画像の一例を示す図である。擬似中間調処理部333は、以上のような処理を擬似中間調処理として実施する。
【0062】
濃度補正処理部334は、以下に説明する濃度補正処理を行うものである。本実施形態に係る複写機1においては、当該複写機1を構成する各部が基準時(例えば工場出荷時)と同等の状態を維持していれば、感光体ドラム3の特性、現像バイアス、露光量或いは帯電バイアス等の濃度パラメータ値と前記中間ベルト10に形成されるトナー像のトナー濃度との関係も前記基準時と略同一の状態が維持され、前記現像バイアス等を予め設定された所定の濃度パラメータ値で現像動作を行った場合、中間ベルト10には前記所望のトナー濃度を有するトナー像が形成される。
【0063】
ところが、当該複写機1を構成する各部に経時的変化等の変化が生じた場合、前記現像バイアス等の値と前記中間ベルト10に形成されるトナー像のトナー濃度との関係が前記基準時における関係から変化し、前記所定のパラメータ値で現像動作を行っても所望のトナー濃度のトナー像が得られなくなることがある。濃度補正処理部334は、この濃度の変化を補正する処理を行うものである。
【0064】
濃度補正処理部334は、まず、前述したように当該複写機1の主電源がオンされたとき等に、濃度の異なる複数の濃度パッチを試験的に中間ベルト10に出力する。そして、濃度補正処理部334は、このように中間ベルト10に形成した濃度パッチの濃度を濃度センサ19により計測させ、この濃度パッチの濃度値と所定の基準値との比較に基づき、前記濃度パラメータ値と前記中間ベルト10に形成されるトナー像のトナー濃度との関係が前記基準時のものから変化しているか否かの確認を行う。
【0065】
そして、濃度補正処理部334は、前記濃度パラメータ値と前記トナー濃度との関係が変化していることを検出すると、感光体ドラム3の経時的変化等が生じても画像形成動作を安定して良好な状態に維持させるため、前記中間調γ補正テーブルを調整する濃度補正処理を実施する。
【0066】
ここで、本実施形態の濃度補正処理部334は、前記中間ベルト10に形成する濃度パッチを、前記擬似中間調処理部333のスクリーン記憶部3331に記憶されているスクリーンを用いて形成する。
【0067】
すなわち、本実施形態では、中間ベルト10に形成すべき濃度パッチの目標濃度が予め設定されている。例えば、10(%),30(%),50(%),70(%),100(%)である。そして、従来では、各濃度に対応する画像データが濃度パッチ用画像データとして予め生成されていて所定の記憶部に格納され、濃度補正処理を実施するときには、制御部がその記憶部から前記濃度パッチ用画像データを読み出して、該画像データに基づく画像形成動作を画像形成部に実行させていたが、本実施形態では、前記擬似中間調処理を行った場合に前記各目標濃度が得られるものとして予め求められた画素値を濃度補正用画素データとして濃度補正処理部334の濃度補正用画素データ記憶部3341に予め保持している。
【0068】
そして、濃度補正処理部334は、前記濃度補正処理を行うべく中間ベルト10に濃度パッチを形成する際には、前記濃度補正用画素データ記憶部3341に記憶されている濃度補正用画素データを擬似中間調処理部333に出力する。
【0069】
これにより、前記擬似中間調処理部333は、前記濃度補正処理部334からそれぞれ出力された各濃度補正用画素データが示す画素値から、前記スクリーンを用いて各小ブロックについてのオンデューティ値を導出し、画像形成部2は、そのオンデューティ値に基づいて中間ベルト10に濃度パッチを形成する。
【0070】
そして、濃度補正処理部334は、中間ベルト10に形成された各濃度パッチの濃度を濃度センサ19により測定させ、前記中間調γ補正テーブル記憶部3321に格納されている中間調γ補正テーブルの出力画像データを、測定された各濃度パッチの濃度に基づいて書き換える。
【0071】
カウント部335は、前記画像形成部2によって画像形成動作が実施されるときに、中間調γ補正処理部332に入力される直前の画像データ(画像処理部331から順次出力される画像データ)を取り込み、この画像データが示す画素値を基づいてトナーの消費量を算出するものであり、重み係数テーブル記憶部3351と、画像データ補正部3352と、積算部3353と、トナー消費量算出部3354とを備える。
【0072】
重み係数テーブル記憶部3351は、前記カウント部335が取り込む画像データの各画素値と、画素値についての重み係数との対応関係を示すテーブルを記憶するものである。
【0073】
図7のグラフL4で示すように、トナー消費量は、擬似中間調処理部333から出力される画素データが示す画素値に比例する関係とはならず、グラフL5で示すように非線形な関係となる。本実施形態では、或る画素値に要するトナー消費量を基準とし、各画素値に要するトナー消費量と前記基準のトナー消費量との差を解消するための、画素値についての重み係数が、例えば工場出荷時に画素値ごとに予め求められている。
【0074】
重み係数テーブル記憶部3351は、画像処理部331から出力され得る画像データの各画素値と前記重み係数との対応関係を示すテーブルを記憶しているものである。図8に、該テーブルの一例を示す。図8に示すように、テーブルには、前記画像処理部331から出力される画像データが示す画素値gに対し重み係数rが対応付けられており、前記画像処理部331から出力される画像データが示す画素値gに対し重み係数rが対応付けられている。
【0075】
画像データ補正部3352は、前記画像処理部331から画像データ(画素データ)を受信したときに、該画像データを前記重み係数テーブル記憶部3351に格納されたテーブルを用いて補正するものである。すなわち、画像データ補正部3352は、画像処理部331から出力された画像データが示す画素値が例えば画素値gのときには、該画素値gに対応する重み係数rを前記テーブルから導出し、前記画素値gと重み係数rとを乗算する。また、画像処理部331から出力された画像データが示す画素値が例えば画素値gのときには、画像データ補正部3352は、該画素値gに対応する重み係数rを前記テーブルから導出し、前記画素値gと重み係数rとを乗算する。画像データ補正部3352は、乗算値を示すデータを積算部3353に出力する。
【0076】
積算部3353は、前記画像データ補正部3352から順次出力されるデータが示す画素値(乗算値)を積算するものである。
【0077】
トナー消費量算出部3354は、前記積算部3353により算出された積算値から所定の算出式を用いてトナーの消費量を算出する。また、トナー消費量算出部3354は、今回算出したトナー消費量を前回までのトナー消費量の累計値に加算し、トナー総消費量を算出する。
【0078】
図9は、濃度補正処理を示すフローチャートである。なお、ここでは、該濃度補正処理を当該複写機1の主電源がオンされたときに実施するものとする。
【0079】
図9に示すように、複写機1の主電源がオンされると(ステップ♯1でYES)、濃度補正処理部334は、前記濃度補正用画素データ記憶部3341に記憶されている濃度補正用画素データを擬似中間調処理部333に出力し、前記スクリーン記憶部3331に記憶されているスクリーンを用いた擬似中間調処理を擬似中間調処理部333に実施させ、該擬似中間調処理部333の出力に基づき濃度パッチを中間ベルト10に形成する動作を画像形成部2に実施させ(ステップ♯2)、該中間ベルト10に形成された濃度パッチの濃度を濃度センサ19に計測させる(ステップ♯3)。
【0080】
そして、濃度補正処理部334は、前記濃度センサ19から受信した濃度情報が示す濃度が適正範囲から変化しているか否かを判断し(ステップ♯4)、変化しているときには(ステップ♯4でYES)、その濃度に基づいて中間調γ補正テーブルを書き換えて、一連の濃度補正処理を終了する一方(ステップ♯5)、前記濃度が適正範囲から変化していないときには(ステップ♯4でNO)、ステップ♯5を実施することなく一連の濃度補正処理を終了する。
【0081】
図10は、前記濃度補正処理後に実施される画像形成動作を示すフローチャートである。
【0082】
図10に示すように、スキャナ部21から画像データが出力されると(ステップ♯11でYES)、画像処理部331は、該画像データに対し、シェーディング補正や色補正等の各種補正処理を実施し(ステップ♯12)、中間調γ補正処理部332は、前記濃度補正処理部334により書き換えられた中間調γ補正テーブルを用いて中間調γ補正処理を実施する(ステップ♯13)。
【0083】
次に、擬似中間調処理部333は、前記中間調γ補正処理部332による中間調γ補正処理後の画像データに対して、スクリーン記憶部3331に格納されているスクリーンを用いた擬似中間調処理を実施し、該擬似中間調処理後の画像データを画像形成部2に出力し(ステップ♯14)、画像形成部2は、この擬似中間調処理後の画像データに基づいて用紙への画像形成動作を実施する(ステップ♯15)。
【0084】
図11は、トナー消費量の算出処理を示すフローチャートである。
【0085】
図11に示すように、スキャナ部21から画像データが出力されると(ステップ♯21でYES)、画像処理部331は、該画像データに対し、シェーディング補正や色補正等の各種補正処理を実施し(ステップ♯22)、カウント部335の画像データ補正部3352は、前記補正処理後の画像データを取得する(ステップ♯23)。
【0086】
そして、前記画像データ補正部3352は、取得した画像データに対し、前記重み係数テーブル記憶部3351に格納された重み係数を用いて各画素データを補正し(ステップ♯24)、積算部3353は、前記画像データ補正部3352にそれぞれ補正された画素データを積算する(ステップ♯25)。
【0087】
トナー消費量算出部3354は、一連の原稿に対する画素データの積算処理が完了したか否かを判断し(ステップ♯26)、完了していない場合には(ステップ♯26でNO)、ステップ♯21に戻る一方、完了した場合には(ステップ♯26でYES)、前記積算部3353による画素データの積算値に基づいてトナー消費量を算出し、トナー消費量の累計値を算出する(ステップ♯27)。
【0088】
以上のような構成により、本実施形態ではトナー消費量の算出を、中間調γ補正処理部332による中間調γ補正処理後の画像データではなく、中間調γ補正処理部332に入力される直前の画像データに基づいて行うことで、従来の構成に比して、トナー消費量をより正確に算出することができる。
【0089】
すなわち、前述したように、中間調γ補正処理部332による中間調γ補正処理後の画像データは、現在の感光体ドラム3の特性や現像特性等に応じて目標の濃度が得られるように設定された画像データであるのに対し、トナー消費量の算出には、例えば工場出荷時における感光体ドラム3の特性や現像特性等に基づいて設定された演算式が用いられる。
【0090】
そのため、現在の感光体ドラム3の特性や現像特性等に応じて目標の濃度が得られるようにした中間調γ補正処理部332による中間調γ補正処理後の画像データから、例えば工場出荷時における感光体ドラム3の特性や現像特性等に基づいて設定した演算式を用いてトナー消費量を算出しても、正確なトナー消費量は算出されず、実際のトナー消費量とは大きな誤差を有するものとなる。
【0091】
これに対し、画像処理部331における画像処理は、各種パラメータの値が感光体ドラム3の特性や現像特性等に影響を受けて変化するものではないから、スキャナ部21から出力される画像データが同一であれば、工場出荷時もそれ以降の時点も、画像処理部331による画像処理後の画像データとしては略同一の画像データが出力される。
【0092】
そこで、本実施形態では、前記トナー消費量の算出に用いる画像データとして、画像処理部331による画像処理後の画像データ(中間調γ補正処理部332による中間調γ補正処理前の画像データ)を採用することで、従来の構成に比してより正確なトナー消費量を算出することができる。
【0093】
また、トナー濃度が同一であっても静電潜像の相違に因って現像剤の消費量が異なることから、濃度補正で用いる濃度パッチのパターンが、実際の濃度階調処理で用いられるスクリーンと異なる手段で作成されたものであると、算出されるトナー消費量に大きな誤差が生じることとなるが、本実施形態では、濃度補正に用いる濃度パッチを、擬似中間調処理部333で実施する擬似中間調処理で用いるスクリーンを利用して作成するようにしたので、濃度補正で用いる濃度パッチのパターンとして、通常の画像形成時に実施する擬似中間調処理で用いられるスクリーンと異なる手段で作成された濃度パッチのパターンを用いる場合に比して、より正確なトナー消費量を算出することができる。
【0094】
本件は、前記実施形態に代えて、或いは前記実施形態に加えて次のような変形形態も採用可能である。
【0095】
[1]前記第1の実施形態では、スクリーン記憶部3331には1種類のスクリーンが格納されていて、このスクリーンを用いて擬似中間調処理を行う構成を説明したが、文字領域であるか階調領域であるかの画像の属性や高画質モード/低画質モード等の画質モード等を含む前記画像形成部2の画像形成条件に応じて、複数のスクリーンが前記スクリーン記憶部3331に格納されており、前記中間調γ補正処理部332から出力された画像データに対し、現在設定されている前記画像形成部の画像形成条件に対応するスクリーンを用いて擬似中間調処理を行う場合がある。
【0096】
この場合には、スクリーンごとに前記濃度補正処理を行う(中間調γ補正テーブルを作成する)ようにするとよく、このようにスクリーンや中間調γ補正テーブルが複数存在する場合であっても、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の色ごとに、画素データの積算を行ってトナー消費量を算出すればよい。
【0097】
[2]濃度補正処理の実施タイミングは、複写機1の主電源がオンされたとき、当該画複写機1において予め定められた枚数の用紙に画像形成動作を行ったとき、複写機1周辺の環境、例えば温度や湿度を検出する温度検出部や湿度検出部等の環境検出部が備えられている場合において、複写機1周辺の温度や湿度の変化が予め定められた変化量を超えるものであるときの少なくとも1つのタイミングの他、当該複写機1にパーソナルコンピュータが通信可能に接続されている場合には、パーソナルコンピュータを介してユーザから濃度補正処理の開始指示が行われた場合に濃度補正処理を実施するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 複写機
2 画像形成部
21 スキャナ部
331 画像処理部
332 中間調γ補正処理部
3321 中間調γ補正テーブル記憶部
333 擬似中間調処理部
3331 スクリーン記憶部
334 濃度補正処理部
3341 濃度補正用画素データ記憶部
335 カウント部
3351 重み係数テーブル記憶部
3352 画像データ補正部
3353 積算部
3354 トナー消費量算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を用いて記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
画像データに対して中間調γ補正テーブルを用いた中間調γ補正処理を行う中間調γ補正処理部と、
前記中間調γ補正処理部から出力される中間調γ補正処理後の画像データに対してスクリーンを用いた擬似中間調処理を行う擬似中間調処理部と、
前記スクリーンを用いた像担持体への濃度補正用画像の形成動作を前記画像形成部に実施させ、前記像担持体に形成された前記濃度補正用画像の濃度に基づいて前記中間調γ補正テーブルを補正する濃度補正処理を行う濃度補正処理部と、
前記中間調γ補正処理部による中間調γ補正処理前の画像データに基づいて現像剤の消費量を算出する消費量算出部と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記消費量算出部は、
前記中間調γ補正処理部による中間調γ補正処理前の画像データが示す各画素の画素値と、各画素値について予め設定された重み係数との対応関係を予め記憶する記憶部と、
前記中間調γ補正処理部に入力される画像データが示す各画素の画素値に対応した重み係数を前記記憶部に記憶されている前記対応関係からそれぞれ導出し、この導出した前記重み係数を、前記画像データが示す各画素の画素値に乗算し、この乗算値を出力する補正部と、
前記補正部から出力される乗算値を積算する積算部と、
前記積算部の積算値に基づいて現像剤の消費量を算出する算出部と
を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記擬似中間調処理部は、前記画像形成部の画像形成条件に応じた複数のスクリーンを予め保持しており、前記中間調γ補正処理部から出力された画像データに対し、現在設定されている前記画像形成部の画像形成条件に対応するスクリーンを用いた擬似中間調処理を行うものであり、
前記濃度補正処理部は、前記スクリーンごとに前記濃度補正処理を行う請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記濃度補正処理部は、当該画像形成装置の主電源がオンされたとき及び当該画像形成装置において予め定められた数の記録媒体に画像形成動作を行ったときのうち少なくとも一方のときに前記濃度補正処理を実施するものである請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
当該画像形成装置の環境を検出する環境検出部を更に備え、
前記濃度補正処理部は、前記環境検出部により検出された環境が予め定められた変化量を超えて変化したときに前記濃度補正処理を実施するものである請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−181602(P2010−181602A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24640(P2009−24640)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】