説明

画像形成装置

【課題】横ラインの画像の品質を確保した上で、尾引きを抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】入力された画像情報に基づいて用紙Tにトナー画像を形成する画像形成部と、対向する加熱回転体9a及び加圧回転体9bを有し、用紙Tを加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間で挟持するように搬送させることにより用紙Tにトナー画像を定着させる定着部9と、画像形成部から搬送される用紙Tが定着部9に進入する位置を規定する進入位置規定手段900と、トナー画像を分割して複数の分割画像を得、分割画像ごとに、用紙Tが定着部9を搬送する方向D1とは直交する方向に連続的に所定長さ延びる横ラインを検出し、横ラインの面積、長さ、幅及び数のうちの一部又は全部が所定の閾値以上である場合に、進入位置規定手段900を操作して、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱回転体9a側に変更させる進入位置変更手段920とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、コピー機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、コピー機などの画像形成装置は、一般的に、PC(パーソナルコンピュータ)、画像読取部などから入力された画像情報に基づいて用紙にトナー画像を形成する画像形成部と、用紙を加熱ローラと加圧ローラとの間で挟持するように搬送させることにより用紙にトナー画像を定着させる定着部と、を備えている。
【0003】
画像形成装置においては、主走査方向の直線(横ライン)を印刷する場合に、定着工程において、横ラインの画像における副走査方向の上流側のトナーが副走査方向の上流側に飛び散って横ラインの画像を乱す現象(以下この現象を「尾引き」という)が発生するという問題が知られている。この問題は、通常のオフィス環境下で発生し、特に環境湿度が高いほど発生しやすい。
【0004】
尾引きは、例えば、用紙に含まれる水分が、定着工程における急激な温度上昇や、定着部における加熱ローラ及び加圧ローラによる用紙の圧迫によって爆発的に蒸発し、水蒸気が、完全に定着していない横ラインの画像における副走査方向の上流側から抜け出し、これにより、トナーも副走査方向の上流側に飛び散ることにより発生する。
【0005】
前記問題を解決する技術として、下記特許文献1には、入力された画像情報が横ラインであり、且つ横ラインの幅が150μm〜300μmで、横ラインの長さが5mm以上であるとき、その横ラインの画像について、エッジ部のデータはそのまま維持し、非エッジ部は画像データを間引いて横ラインの画像を形成する技術が開示されている。
【0006】
特許文献1に記載の技術によれば、横ラインの画像を前述のように形成することによって、トナーが用紙に転写される量が減り、用紙が加熱ローラと加圧ローラとの間へ進入するときに用紙の圧迫の程度が低減するため、尾引きが減少するとされている。また、特許文献1に記載の技術によれば、横ラインにおける非エッジ部の画像データを間引くので、間引き率が70%以下ならば、横ラインの画像の劣化は肉眼では確認できないとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−80112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の技術によれば、画像欠陥が生じやすく、横ラインの画像の品質が不十分となりやすい。具体的には、特許文献1に記載の技術によれば、現像性能が十分なときには、非エッジ部の画像データを間引いても横ラインの画像の劣化は、目視では確認できないレベルかもしれない。しかし、例えば、トナー節約モードなどの印刷モードのように、現像性能を低下させ、画像濃度を低下させた場合に、横ラインの画像が細くなったり、薄くなってしまい、画像欠損が目視でも確認できるレベルに、横ラインの画像が悪化する。また、横ラインの画像の幅や間隔によって、尾引きの発生頻度や尾引きの程度(大きさ)が変わるため、横ラインが密集しているような画像に対しては、尾引きのレベルは悪くなることが多い。
【0009】
従って、本発明は、横ラインの画像の品質を確保した上で、尾引きを抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、入力された画像情報に基づいて用紙にトナー画像を形成する画像形成部と、対向する加熱回転体及び加圧回転体を有し、前記用紙を該加熱回転体と該加圧回転体との間で挟持するように搬送させることにより該用紙にトナー画像を定着させる定着部と、前記画像形成部から搬送される前記用紙が前記定着部に進入する位置を規定する進入位置規定手段と、トナー画像を分割して複数の分割画像を得、得られた複数の分割画像ごとに、前記用紙が前記定着部を搬送する方向とは直交する方向に連続的に所定長さ延びる横ラインを検出し、検出された該横ラインの面積、長さ、幅及び数のうちの一部又は全部が所定の閾値以上である場合に、前記進入位置規定手段を操作して、前記用紙が前記定着部に進入する進入位置を前記加熱回転体側に変更させる進入位置変更手段と、を備える画像形成装置に関する。
【0011】
また、前記画像形成装置は、表面に静電潜像が形成される像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像にトナー画像を現像する現像器と、を備え、前記進入位置変更手段は、検出された前記横ラインの面積、長さ、幅及び数のうちの一部又は全部が所定の閾値以上であり且つ前記現像器の連続駆動時間が所定の時間以上である場合に、前記進入位置を前記加熱回転体側に変更させることが好ましい。
【0012】
また、前記画像形成装置は、表面に静電潜像が形成される像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像にトナー画像を現像する現像器と、を備え、前記進入位置変更手段は、検出された前記横ラインの面積、長さ、幅及び数のうちの一部又は全部が所定の閾値以上である場合に、前記進入位置を前記加熱回転体側に変更させると共に、前記現像器の連続駆動時間が所定の時間以上である場合に、前記進入位置を前記加熱回転体側に変更させることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、横ラインの画像の品質を確保した上で、尾引きを抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態のプリンタ1の各構成要素の配置を説明するための図である。
【図2】第1実施形態における定着部9、進入位置ガイド部材900及び進入位置変更部920を模式的に示す図である。
【図3】(A)は、進入位置ガイド部材900が初期位置に位置する場合における定着部9への用紙Tの進入位置を示す図である。(B)は、進入位置ガイド部材900の位置が変更された場合における定着部9への用紙Tの進入位置を示す図である。
【図4】第1実施形態における進入位置ガイド部材900及び進入位置変更部920の機能ブロック図である。
【図5】トナー画像K1を分割して得られる複数の分割画像K2を示す図である。
【図6】分割画像K2に形成された横ラインK3を示す図である。
【図7】横ラインK3を説明する図である。
【図8】第1実施形態において用紙Tが定着部9に進入する進入位置を変更させる動作を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態における進入位置ガイド部材900及び進入位置変更部920の機能ブロック図(図4対応図)である。
【図10】第2実施形態において用紙Tが定着部9に進入する進入位置を変更させる動作を示すフローチャート(図8対応図)である。
【図11】第3実施形態において用紙Tが定着部9に進入する進入位置を変更させる動作を示すフローチャート(図10対応図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1により、本発明の画像形成装置としての第1実施形態のプリンタ1における全体構造を説明する。図1は、第1実施形態のプリンタ1の各構成要素の配置を説明するための図である。図2は、第1実施形態における定着部9、進入位置ガイド部材900及び進入位置変更部920を模式的に示す図である。
【0016】
図1に示すように、画像形成装置としての第1実施形態のプリンタ1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいて用紙Tに所定のトナー画像を形成する画像形成部と、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融して用紙Tに定着させる定着部9と、用紙Tを画像形成部に給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部とを有する。
【0017】
図1に示すように、画像形成部は、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2と、帯電部10と、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4と、現像器16と、トナーカートリッジ5と、トナー供給部6と、ドラムクリーニング部11と、除電器12と、転写ローラ8と、を備える。
【0018】
図1に示すように、給排紙部は、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、排紙部50と、を備える。
【0019】
以下、画像形成部、定着部9及び給排紙部の各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部について説明する。
画像形成部においては、感光体ドラム2の表面に対して、上流側から下流側に順に、帯電部10による帯電、レーザスキャナユニット4による露光、現像器16による現像、転写ローラ8による転写、除電器12による除電、及びドラムクリーニング部11によるクリーニングが行われる。
【0020】
感光体ドラム2は、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2は、搬送路Lにおける用紙Tの搬送方向に対して直交する方向に延びる機軸を中心に、矢印の方向に回転可能に配置される。感光体ドラム2の表面には、静電潜像が形成される。
【0021】
帯電部10は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。帯電部10は、感光体ドラム2の表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0022】
レーザスキャナユニット4は、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2の表面から離間して配置される。レーザスキャナユニット4は、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
【0023】
レーザスキャナユニット4は、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から出力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4により走査露光されることで、感光体ドラム2の表面に帯電した電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
【0024】
現像器16は、感光体ドラム2に対応して設けられ、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。現像器16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像に単色(通常はブラック)のトナーを付着させて、単色のトナー画像を現像する(感光体ドラムの表面にトナー画像を形成する)。現像器16は、感光体ドラム2の表面に対向配置可能な現像ローラ17、トナー攪拌用の攪拌ローラ18等を有して構成される。
【0025】
トナーカートリッジ5は、現像器16に対応して設けられており、現像器16に対して供給されるトナーを収容する。
【0026】
トナー供給部6は、トナーカートリッジ5及び現像器16に対応して設けられており、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを現像器16に対して供給する。
【0027】
転写ローラ8は、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させる。転写ローラ8には、不図示の電圧印加手段により、感光体ドラム2に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させるための転写バイアスが印加される。
【0028】
転写ローラ8は、感光体ドラム2に対して接離される。具体的には、転写ローラ8は、感光体ドラム2に当接される当接位置と、感光体ドラム2から離間する離間位置とに移動可能に構成される。詳細には、転写ローラ8は、感光体ドラム2に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させる場合には当接位置に移動され、他の場合には離間位置に移動される。
【0029】
感光体ドラム2と転写ローラ8との間で、搬送路Lを搬送される用紙Tが挟み込まれる。挟み込まれた用紙Tは、感光体ドラム2の表面に押し当てられる。感光体ドラム2と転写ローラ8との間で、転写ニップNが形成される。転写ニップNにおいて、感光体ドラム2に現像されたトナー画像が用紙Tに転写される。
【0030】
除電器12は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。除電器12は、感光体ドラム2の表面に光を照射することにより、転写が行われた後の感光体ドラム2の表面を除電する(電荷を除去する)。
【0031】
ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナーを所定の回収機構へ搬送させて、回収させる。
【0032】
次に、定着部9について説明する。
定着部9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融して用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱ローラ(加熱回転体)9aと、加熱ローラ9aに圧接される加圧ローラ(加圧回転体)9bと、を備える。加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとは、トナー画像が転写された用紙Tを挟持するようにして搬送する。加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとの間に挟持されるように用紙Tが搬送されることで、用紙Tに転写されたトナーは、溶融し、用紙Tに定着される。
【0033】
次に、給排紙部について説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する1個の給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mから水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対63からなる重送防止機構を備える。
【0034】
装置本体Mの右側面(図1において右側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。手差し給紙部64は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0035】
装置本体Mにおける上方側には、排紙部50が設けられる。排紙部50は、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50の詳細については後述する。
【0036】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から転写ローラ8までの第1搬送路L1と、転写ローラ8から定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を上流側から下流側へ搬送する用紙を表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbとを備える。
【0037】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻り搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。
【0038】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と転写ローラ8との間)には、用紙Tを検出するためのセンサと、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正やトナー画像とのタイミングを合わせるためのレジストローラ対80が配置される。センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(上流側)に配置される。レジストローラ対80は、センサからの検出信情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0039】
第2搬送路L2の途中(定着部9の上流側)には、図2に示すように、前記画像形成部から搬送される用紙Tが定着部9に進入する位置を規定する進入位置規定手段としての進入位置ガイド部材900と、進入位置ガイド部材900を操作して、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に変更させる進入位置変更手段としての進入位置変更部920と、が設けられている。進入位置ガイド部材900及び進入位置変更部920の詳細については後述する。
【0040】
戻し搬送路Lbは、用紙Tの両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(非印刷面)を感光体ドラム2に対向させるために設けられる搬送路である。戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、感光体ドラム2により非印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
【0041】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの右側面側(図1において右側、手差し給紙部64側)に向けて開口している。排紙部50は、搬送路L3を搬送される用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。
【0042】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が転写され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサが配置される。
【0043】
次に、第1実施形態における進入位置ガイド部材900及び進入位置変更部920について、図2から図7を参照して説明する。図3(A)は、進入位置ガイド部材900が初期位置に位置する場合における定着部9への用紙Tの進入位置を示す図である。図3(B)は、進入位置ガイド部材900の位置が変更された場合における定着部9への用紙Tの進入位置を示す図である。図4は、第1実施形態における進入位置ガイド部材900及び進入位置変更部920の機能ブロック図である。図5は、トナー画像K1を分割して得られる複数の分割画像K2を示す図である。図6は、分割画像K2に形成された横ラインK3を示す図である。図7は、横ラインK3を説明する図である。
【0044】
図2に示すように、定着部9の上流側には、進入位置規定手段としての進入位置ガイド部材900と、進入位置変更手段としての進入位置変更部920とが設けられる。
進入位置ガイド部材900は、前記画像形成部から第2搬送路L2を介して搬送される用紙Tが定着部9に進入する位置を規定する。
進入位置変更部920は、進入位置ガイド部材900を操作して、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に変更させる。
【0045】
図2に示すように、進入位置ガイド部材900は、ガイド部材本体901と、支点902とを備えている。ガイド部材本体901は、進入位置ガイド部材900の本体部分であり、その上面に沿って用紙Tを搬送させることができる。支点902は、ガイド部材本体901における用紙Tの搬送方向D1の上流側に設けられている。そのため、ガイド部材本体901は支点902を中心に回動することができる。ガイド部材本体901が回動すると、ガイド部材本体901の下流側の部分は、ほぼ上下に移動すると共に、上面の角度が変化する。従って、図3(A)及び図3(B)に示すように、ガイド部材本体901の上面を搬送する用紙Tがガイド部材本体901の上面から用紙Tが飛び出す位置の高さ(上下方向位置)及び用紙Tが飛び出す角度が変化する。これにより、定着部9への用紙Tの進入位置も変化する。
【0046】
進入位置ガイド部材900が初期位置(図2において実線で示す位置。図3(A)に示す位置)に位置する場合には、用紙Tは、定着部9における定着ニップN9に直接進入する。定着ニップN9は、加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとの間に形成される。この定着ニップN9において、画像形成部で用紙Tに形成されたトナー画像が溶融されて、用紙Tに定着される。
【0047】
一方、進入位置ガイド部材900の位置が初期位置から上方に変更された場合(図2において破線で示す位置。図3(B)に示す位置)には、用紙Tは、加熱ローラ9aの周面に接触してから、加熱ローラ9aを周面に沿って搬送され、定着部9における定着ニップN9に進入する。このように用紙Tが定着ニップN9に進入すると、用紙Tは、加熱ローラ9aの周面により予め加熱されてから(プレヒートされてから)、定着ニップN9に進入することになるため、用紙Tへのトナー画像の定着性が向上する。
【0048】
図2に示すように、進入位置変更部920は、進入位置制御部930と、駆動部951と、操作部材952とを備える。
進入位置制御部930は、CPUからなり、進入位置変更部920における各種制御を行う。
駆動部951は、駆動モータを有して構成されており、操作部材952に上下方向に移動することができる。
【0049】
操作部材952は、その下端部が駆動部951に支持されて、上下方向に移動可能になっている。操作部材952は、その上端部が、進入位置ガイド部材900のガイド部材本体901における下流側に回動自在に連結されている。そのため、駆動部951により操作部材952が上下方向に移動させると、ガイド部材本体901が支点902を中心に回動し、ガイド部材本体901からの用紙Tの飛び出し高さ(上下方向位置)及び用紙Tの飛び出し角度を変化させることができる。
【0050】
図4に示すように、進入位置制御部930は、画像認識部931と、画像分割部932と、横ライン検出部933と、横ライン判定部934と、操作内容設定部935と、操作指示部936と、を備える。
画像認識部931は、画像形成部から進入位置変更部920に入力されるトナー画像の画像情報(以下「トナー画像情報」ともいう)に基づいて、トナー画像を認識する。
画像分割部932は、図5に示すように、画像認識部931において認識されたトナー画像K1を分割して、複数の分割画像K2を得る。例えば、A4縦に対応するトナー画像K1を、縦方向(搬送方向)D1に4個に分割すると共に、横方向(搬送方向D1とは直交する方向)D2に3個に分割して、12個の分割画像K2を得る。
【0051】
横ライン検出部933は、図6に示すように、画像分割部932において得られた複数の分割画像K2ごとに、横ラインK3を検出する。横ラインK3とは、用紙Tが定着部9を搬送する方向(搬送方向)D1とは直交する方向(直交方向)D2に、連続的に所定長さ延びるラインをいう。
【0052】
本発明において「横ラインK3」とは、以下の条件を全て満たすラインをいう(図7参照)。
(1)図7(A)に示すように、横ラインK3の長さ(直交方向D2の長さ)J1は、分割画像K2の幅(直交方向D2の幅)J2の30%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上である。
(2)図7(A)に示すように、横ラインK3の幅(搬送方向D1の幅)J3は、3mm以下、好ましくは1mm以下である。
(3)図7(B)に示すように、直交方向D2に対する横ラインK3の傾きθは、5°以下、好ましくは3°以下、更に好ましくは1°以下である。
(4)横ラインK3は、典型的には、実線(連続線)の直線であるが、巨視的にみて実線の直線と認識できる線を含む。例えば、横ラインK3には、緩やかに湾曲している曲線、1個以上の屈曲点を有する屈曲直線などが含まれる。
【0053】
横ライン判定部934は、横ライン検出部933により検出された横ラインK3の面積が所定の閾値以上か否かについて判定する。閾値は、例えば、分割画像K2の面積の0.03から2%である。
【0054】
操作内容設定部935は、横ライン判定部934により横ラインK3の面積が所定の閾値以上と判定された場合に、進入位置ガイド部材900を操作する内容(操作内容)を設定する。操作内容は、予め設定され、メモリ(図示せず)に記憶されている。操作内容設定部935は、横ラインK3の面積などに対応して予め設定されている操作内容を、メモリから呼び出し、呼び出した操作内容を操作指示部936に出力する。操作内容は、例えば、「進入位置ガイド部材900の下流側の上面の上下方向位置を、0.3から2mm上方に移動させる。」である。
【0055】
操作指示部936は、操作内容設定部935により設定された操作内容を操作機構950に対して指示する。
【0056】
操作機構950は、操作指示部936から指示された操作内容に基づいて、進入位置ガイド部材900を操作する。詳細には、操作機構950は、駆動部951を駆動させて、操作部材952を上方に移動させる。これにより、操作機構950は、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に変更させることができる。
【0057】
次に、第1実施形態において用紙Tが定着部9に進入する進入位置を変更させる動作について、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。図8は、第1実施形態において用紙Tが定着部9に進入する進入位置を変更させる動作を示すフローチャートである。
【0058】
図4及び図8に示すように、画像形成部からトナー画像情報が出力されると、出力されたトナー画像情報が進入位置変更部920の進入位置制御部930の画像認識部931に入力される(ステップS11)。
【0059】
ステップS12において、画像認識部931は、入力されたトナー画像情報に基づいて、トナー画像を認識する。
【0060】
ステップS13において、画像分割部932は、画像認識部931において認識されたトナー画像K1を分割して、複数の分割画像K2を得る。例えば、A4縦に対応するトナー画像K1を、縦方向(搬送方向)D1に4個に分割すると共に、横方向(搬送方向に直交する方向)D2に3個に分割して、12個の分割画像K2を得る。
【0061】
ステップS14において、横ライン検出部933は、画像分割部932において得られた複数の分割画像K2ごとに、直交方向D2に連続的に所定長さ延びる横ラインK3を検出する。
【0062】
ステップS15において、横ライン判定部934は、横ライン検出部933により検出された横ラインK3の面積が所定の閾値以上であるか否かについて判定する。
ここで、横ライン判定部934が「横ラインK3の面積が所定の閾値以上である」と判定した場合(YES)には、進入位置ガイド部材900の操作に係る処理であるステップS21に進む。閾値は、例えば、分割画像K2の面積の2%である。
一方、横ライン判定部934が「横ラインK3の面積が所定の閾値未満である」と判定した場合(NO)には、進入位置ガイド部材900の操作に係る処理(ステップS21からS25)をスキップして処理を終了する。
【0063】
横ライン判定部934が「横ラインK3の面積が所定の閾値以上である」と判定した場合(YES)には、ステップS21において、操作内容設定部935は、進入位置ガイド部材900を操作する内容(操作内容)を設定する。
【0064】
ステップS22において、操作指示部936は、操作内容設定部935により設定された操作内容を操作機構950に対して指示する。
【0065】
ステップS23において、操作機構950は、操作指示部936から指示された操作内容に基づいて、進入位置ガイド部材900を操作する。詳述すると、操作機構950の駆動部951が駆動され、操作部材952を上方に向けて移動させる。
【0066】
その結果、進入位置ガイド部材900の下流側の上面の上下方向位置が2mm上方に移動する。その結果、ステップS25において、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に変更させることができる。
【0067】
第1実施形態によれば、例えば以下の効果が奏される。
第1実施形態においては、トナー画像K1を分割して複数の分割画像K2を得、得られた複数の分割画像K2ごとに、用紙Tが定着部9を搬送する方向D1とは直交する方向D2に連続的に所定長さ延びる横ラインK3を検出し、検出された横ラインK3の面積が所定の閾値以上である場合に、進入位置ガイド部材900を操作して、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に変更させる進入位置変更部920を備える。そのため、尾引きが発生しやすい状況のとき(横ラインK3の面積が閾値以上であるとき)のみ、進入位置ガイド部材900を操作して用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に変更させることができる。
【0068】
詳述すると、尾引きが発生しやすい状況のとき(横ラインの面積が閾値以上であるとき)には、進入位置ガイド部材900を操作し、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に移動させる。用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に移動させると、用紙Tが加熱ローラ9aに接触してから定着ニップN9に進入するまでの進入時間を長く設定でき、定着ニップN9に進入するまでの用紙Tへの加熱時間(プレヒート時間)を確保することができる。従って、定着ニップN9に進入させる前に用紙Tとトナーとの吸着力を向上させることができ、尾引きを低減させることができる。
【0069】
その一方で、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に移動させると、不具合が発生する場合がある。例えば、葉書や厚紙のようにコシの強い用紙Tを定着ニップN9に進入させると、定着ニップN9への進入前において、用紙Tの後端部(搬送方向D1の下流側の端部)が加熱ローラ9a側に跳ね上がる現象が大きくなり、装置本体Mの内部がトナーで汚染されやすくなる。
【0070】
しかし、横ラインK3の割合が低い場合には、尾引きは発生しにくい。そこで、本実施形態においては、尾引きが発生しにくい状況、つまり横ラインK3の割合が低い状況においては、進入位置ガイド部材900を操作せず、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に移動することを省略する。これにより、前述したような用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に移動させることに起因する不具合を抑制することができる。
【0071】
要するに、本実施形態は、必要性が高い状況のみにおいて、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に移動させることにより、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に移動させることによる尾引きの低減と、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に移動させることに起因する不具合の抑制とを、両立させることができる。従って、横ラインK3の画像の品質を確保した上で、尾引きを抑制することができる。
【0072】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。別の実施形態については、主として、第1実施形態とは異なる点を説明し、第1実施形態と同様の構成について同じ符号を付し、説明を省略する。別の実施形態について特に説明しない点については、第1実施形態についての説明が適宜適用される。別の実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0073】
次に、第2実施形態について説明する。図9は、第2実施形態における進入位置ガイド部材900及び進入位置変更部920の機能ブロック図(図4対応図)である。
第2実施形態は、第1実施形態に比して、進入位置変更部920の進入位置制御部930が、現像器制御部942から出力された現像時間の情報を判定する現像時間判定部941を備える点が主として異なる。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
このように、第2実施形態は、第1実施形態に比して、主として現像時間判定部941及び現像器制御部942に関する構成が異なるのみであるため、第2実施形態については、現像時間判定部941及び現像器制御部942に関する構成を中心に説明する。
【0074】
図9に示すように、第2実施形態においては、進入位置変更部920の進入位置制御部930は、画像認識部931、画像分割部932、横ライン検出部933、横ライン判定部934、操作内容設定部935及び操作指示部936に加えて、現像時間判定部941を備える。
現像時間判定部941は、現像器制御部942から出力された現像時間の情報を判定する。詳細には、現像時間判定部941は、現像器制御部942から出力された現像器16の連続駆動時間が所定の時間以上であるか否かについて判定する。
【0075】
なお、現像器制御部942は、画像形成部の一部を構成している。
現像器16による現像に用いられる現像剤は、磁性トナーを主体とする一成分現像剤でもよく、トナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤でもよいが、第2実施形態は、一成分現像剤を用いた現像に好ましく用いられる。
【0076】
次に、第2実施形態において用紙Tが定着部9に進入する進入位置を変更させる動作について、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。図10は、第2実施形態において用紙Tが定着部9に進入する進入位置を変更させる動作を示すフローチャート(図8対応図)である。
【0077】
図10に示すように、第2実施形態の動作におけるステップS11からS14は、第1実施形態の動作と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
第2実施形態においては、ステップS15において、横ライン判定部934は、横ライン検出部933により検出された横ラインK3の面積が所定の閾値以上であるか否かについて判定する。
ここで、横ライン判定部934が「横ラインK3の面積が所定の閾値以上である」と判定した場合(YES)には、現像時間判定部941に係る処理であるステップS31に進む。閾値は、例えば、分割画像K2の面積の2%である。
一方、横ライン判定部934が「横ラインK3の面積が所定の閾値未満である」と判定した場合(NO)には、現像時間判定部941に係る処理(ステップS31及びS32)並びに進入位置ガイド部材900の操作に係る処理(ステップS21からS25)をスキップして処理を終了する。
【0079】
横ライン判定部934が「横ラインK3の面積が所定の閾値以上である」と判定した場合(YES)には、ステップS31において、現像時間判定部941は、現像器16の連続駆動時間が所定の時間以上であるか否かについて判定する。現像器16の連続駆動時間は、所定のタイミングで、現像器制御部942から現像時間判定部941に向けて出力される。
【0080】
ここで、現像時間判定部941が「現像器16の連続駆動時間が所定の時間以上である」と判定した場合(YES)には、進入位置ガイド部材900の操作に係る処理であるステップS21に進む。所定の時間は、例えば30分である。
一方、現像時間判定部941が「現像器16の連続駆動時間が所定の時間未満である」と判定した場合(NO)には、進入位置ガイド部材900の操作に係る処理(ステップS21からS25)をスキップして処理を終了する。
【0081】
現像時間判定部941が「現像器16の連続駆動時間が所定の時間以上である」と判定した場合(YES)には、ステップS21において、操作内容設定部935は、進入位置ガイド部材900を操作する内容(操作内容)を設定する。
第2実施形態の動作におけるステップS22からS25は、第1実施形態の動作と同様であるため、説明を省略する。
【0082】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が奏される他、以下の効果が奏される。
尾引きは、用紙Tにおけるトナーの量が多いほど、発生しやすい。一般的に、画像形成装置(プリンタなど)において現像器16を駆動させてから間もない時期には、現像性能が低いが、現像器16をある程度長時間駆動させるに従って、徐々に現像性能は高くなっていく。
【0083】
そのため、現像器16を駆動させてから間もない時期には現像性能が低いため、横ラインK3に用いられるトナーの量も少なく、尾引きは発生しにくい。その反対に、現像器16の駆動時間がある程度長くなると、現像性能が高くなり、尾引きは発生しやすくなる。
つまり、現像器16の連続駆動時間が短いときには、尾引きは発生しにくいため、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に移動させることにより、尾引きを低減させる必要性は低い。
【0084】
そこで、第2実施形態においては、進入位置変更部920は、検出された横ラインK3の面積が所定の閾値以上であり且つ現像器16の連続駆動時間が所定の時間以上である場合に、前記進入位置を加熱ローラ9a側に変更させている。そのため、現像器16の連続駆動時間が短く、尾引きが発生しにくい状況においては、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に移動させずに、現像器16の連続駆動時間が長く、尾引きが発生しやすい状況においてのみ、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に移動させている。従って、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に移動させることによる尾引きの低減と、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を加熱ローラ9a側に移動させることに起因する不具合の抑制との両立を、第1実施形態よりも更に効果的に実現することができる。
【0085】
第2実施形態は、特に一成分現像剤を用いた現像に対して特に効果的である。詳述すると、一成分現像剤は、帯電性が低く、トナーが用紙Tに吸着しにくく、しかも、現像器16の連続駆動時間が長くなるに連れてトナーの吸着性が向上し、尾引きが発生しにくくなる。そのため、一成分現像剤を用いた現像においては、現像器16の連続駆動時間の長短に応じて、用紙Tが定着部9に進入する進入位置を操作することが好ましい。
【0086】
次に、第3実施形態について説明する。図11は、第3実施形態において用紙Tが定着部9に進入する進入位置を変更させる動作を示すフローチャート(図10対応図)である。
第3実施形態は、第2実施形態と同様の構成を有しているため、構成の説明を省略する。一方、第3実施形態の動作は、第2実施形態の動作とは異なる。具体的には、第3実施形態の動作は、第1実施形態におけるステップS11からS25の後に、第2実施形態におけるステップS31以降が行われる点が、第2実施形態の動作とは異なる。
【0087】
第3実施形態の動作について図11を参照しながら説明する。図11に示すように、第3実施形態においては、ステップS11からS25が、第1実施形態におけるステップS11からS25と同様に行われる。つまり、横ラインの面積が閾値以上であれば、定着部9への用紙Tの進入位置の1回目の変更が行われる。
ステップS21からS25において、進入位置ガイド部材900の操作による進入位置ガイド部材900の下流側の上面の上下方向位置の変化量は、例えば、0.3から1.2mmである。
【0088】
続けて、第3実施形態においては、ステップS31、S32及びS41からS45が、第2実施形態におけるステップS31、S32及びS21からS25と同様に行われる。つまり、現像時間が所定時間以上であれば、定着部9への用紙Tの進入位置の2回目の変更が行われる(ステップS15からS25)。なお、第3実施形態におけるステップS41からS45は、それぞれ第2実施形態におけるステップS21からS25と同様の工程であるが、説明の便宜上、工程番号を変えている。
ステップS41からS45において、進入位置ガイド部材900の操作による進入位置ガイド部材900の下流側の上面の上下方向位置の変化量は、例えば、1.2から2.0mmである。
【0089】
第3実施形態によれば、第2実施形態と同様の効果が奏される他、以下の効果が奏される。
第2実施形態においては、横ラインの面積及び現像時間の両方が条件を満たす(YES)の場合に、定着部9への用紙Tの進入位置が1回変更されるのに対して、第3実施形態においては、横ラインの面積が条件を満たす場合及び現像時間が条件を満たす場合にそれぞれ独立して、定着部9への用紙Tの進入位置が変更される。従って、第3実施形態においては、横ラインの面積及び現像時間の両方が条件を満たす場合には、定着部9への用紙Tの進入位置が2回変更されることになる。
【0090】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
例えば、画像形成装置がコピー機の場合には、画像形成部に入力される画像情報は、コピー機が備える画像読取部から入力される画像情報となる。
前述の実施形態においては、加熱回転体として、加熱ローラ9aを用いているが、これに制限されず、例えば、加熱ローラ9aに代えて、無端状に形成されたフレキシブルなベルトからなる加熱回転体を用いることができる。同様に、加圧ローラ9bに代えて、無端状に形成されたフレキシブルなベルトからなる加圧回転体を用いることができる。
【0091】
前述の実施形態においては、進入位置変更部(進入位置変更手段)920は、進入位置ガイド部材900のガイド部材本体901を回動させて、ガイド部材本体901の下流側の部分をほぼ上下に移動させると共に、上面の角度を変化させることにより、定着部9への用紙(用紙)Tの進入位置を変更させているが、これに制限されず、進入位置ガイド部材900を回動させずに、進入位置ガイド部材900の上下方向位置のみを変更させることにより、定着部9への用紙(用紙)Tの進入位置を変更させることもできる。
進入位置規定手段は、前述の進入位置ガイド部材900に制限されず、定着部9側を移動させることにより実現することができる。
【0092】
前述の実施形態においては、進入位置変更部(進入位置変更手段)920は、横ラインの面積が所定の閾値以上である場合に進入位置ガイド部材(進入位置規定手段)900を操作しているが、これに制限されず、横ラインの面積、長さ、幅及び数のうちの一部又は全部が所定の閾値以上である場合に進入位置ガイド部材(進入位置規定手段)900を操作することもできる。
【0093】
横ラインK3の長さを閾値とすると場合、分割画像K2に含まれる複数の横ラインK3のうちの最長の横ラインK3の長さと、閾値とを比較してもよい。あるいは、複数の横ラインK3の長さの合計と閾値とを比較してもよい。
【0094】
前述の実施形態においては、進入位置ガイド部材(進入位置規定手段)900が初期位置に位置する場合に、用紙Tが定着部9における定着ニップN9に直接進入しているが、これに制限されず、進入位置ガイド部材(進入位置規定手段)900が初期位置に位置する場合に、用紙Tが加熱ローラ9aの周面に接触してから、加熱ローラ9aを周面に沿って搬送され、定着部9における定着ニップN9に進入するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1……プリンタ(画像形成装置)、2……感光体ドラム(像担持体)、9……定着部、9a……加熱ローラ(加熱回転体)、9b……加圧ローラ(加圧回転体)、16……現像器、900……進入位置ガイド部材(進入位置規定手段)、920……進入位置変更部(進入位置変更手段)、D1……搬送方向(搬送する方向)、D2……直交方向(直交する方向)、K1……トナー画像、K2……分割画像、K3……横ライン、T……用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像情報に基づいて用紙にトナー画像を形成する画像形成部と、
対向する加熱回転体及び加圧回転体を有し、前記用紙を該加熱回転体と該加圧回転体との間で挟持するように搬送させることにより該用紙にトナー画像を定着させる定着部と、
前記画像形成部から搬送される前記用紙が前記定着部に進入する位置を規定する進入位置規定手段と、
トナー画像を分割して複数の分割画像を得、得られた複数の分割画像ごとに、前記用紙が前記定着部を搬送する方向とは直交する方向に連続的に所定長さ延びる横ラインを検出し、検出された該横ラインの面積、長さ、幅及び数のうちの一部又は全部が所定の閾値以上である場合に、前記進入位置規定手段を操作して、前記用紙が前記定着部に進入する進入位置を前記加熱回転体側に変更させる進入位置変更手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、
表面に静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体に形成された静電潜像にトナー画像を現像する現像器と、を備え、
前記進入位置変更手段は、検出された前記横ラインの面積、長さ、幅及び数のうちの一部又は全部が所定の閾値以上であり且つ前記現像器の連続駆動時間が所定の時間以上である場合に、前記進入位置を前記加熱回転体側に変更させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、
表面に静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体に形成された静電潜像にトナー画像を現像する現像器と、を備え、
前記進入位置変更手段は、検出された前記横ラインの面積、長さ、幅及び数のうちの一部又は全部が所定の閾値以上である場合に、前記進入位置を前記加熱回転体側に変更させると共に、前記現像器の連続駆動時間が所定の時間以上である場合に、前記進入位置を前記加熱回転体側に変更させる請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−197771(P2010−197771A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43443(P2009−43443)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】