説明

画像形成装置

【課題】装置内部のコンパクトな部品配置を可能にするとともに、プロセスユニットを装着する際の衝撃を和らげることのできる画像形成装置を得る。
【解決手段】タンデム方式の画像形成装置において、概略、装置本体に着脱可能であって、感光体ドラム12、現像器14などを備えた複数のプロセスユニット10(10y,10m,10c,10k)と、レーザ走査ユニット20と、中間転写ユニット30とで構成されている。レーザ走査ユニット20の蓋部材21にはプロセスユニット10がそれぞれ装置本体に着脱される際の案内部材22が形成されている。さらに、装置本体に装着される際にプロセスユニット10が当接する位置に衝撃吸収部材を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、並置された複数の感光体に形成されたトナー像を中間転写部材又は記録シートに転写、合成するタンデム方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機やプリンタなど電子写真方式によるタンデム方式の画像形成装置にあっては、4色(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)のトナー像を形成するために、感光体、帯電ローラ、現像器などを備えた複数のプロセスユニットが装置本体に取り付けられている。プロセスユニットは、トナーの消費や感光体の消耗時に交換するために、装置本体に対しては着脱自在な構成としている。
【0003】
従来では、特許文献1に、プロセスユニットを装置の筺体に着脱する際の案内部材としてスライドレールを用いる構成が記載されている。また、特許文献2には、プロセスユニットの案内部材を筺体側の部材として構成することが記載されている。
【0004】
ところで、近年では、画像形成装置のコンパクト化が進んでおり、これに伴って、本体の内部スペースに複数のユニットが近接して配置されることになり、本体の内部にスライドレールなどの案内部材をユニットや本体の筺体とは別部材として設置する余裕がなくなってきている。また、コンパクト化とともに低コスト化も要請されており、部品点数の削減が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−109886号公報
【特許文献2】特開平9−16054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、装置内部のコンパクトな部品配置を可能にするとともに、プロセスユニットを装着する際の衝撃を和らげることのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するため、本発明の一形態である画像形成装置は、
並置された複数の感光体に形成されたトナー像を中間転写部材又は記録シートに転写、合成するタンデム方式の画像形成装置において、
画像形成装置本体に着脱可能であって、少なくとも感光体、現像器を備えた複数のプロセスユニットと、
前記プロセスユニットがそれぞれ前記画像形成装置本体に着脱される際の案内部材を有するユニットと、
を備え、
前記画像形成装置本体は、前記プロセスユニットが画像形成装置本体に装着される際にプロセスユニットが当接する位置に、衝撃吸収部材を有すること、
を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
前記画像形成装置においては、複数のプロセスユニットを装置本体に着脱する際の案内部材を他のユニット(例えば、レーザ走査ユニット)に設けたため、装置本体にガイドレールなどの案内部材を別途設ける必要がなく、装置内部のスペースを有効に利用してコンパクト化に対応することができる。また、装置本体には衝撃吸収部材を有するため、プロセスユニットが案内部材に接触する前に装着時の衝撃が緩和され、案内部材を設けたユニットにまで衝撃が伝わることがない。なお、案内部材をユニットの筺体に一体的に形成すれば、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例である画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】プロセスユニットの案内部材に対する挿入時の係合状態を示す立面図である。
【図3】レーザ走査ユニットの蓋部材を示す斜視図である。
【図4】プロセスユニットの装置本体への挿入時を示す説明図である。
【図5】プロセスユニットの終端部のロック部材を示す立面図である。
【図6】プロセスユニットのための案内部材の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部材、部分には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
本発明の一実施例である画像形成装置は、タンデム方式の電子写真プリンタであり、図1に示すように、概略、Y,M,C,Kの各色のトナー画像を形成するためのプロセスユニット10(10y,10m,10c,10k)とレーザ走査ユニット20と中間転写ユニット30を中心として構成されている。
【0012】
プロセスユニット10は、それぞれ、ユニット筺体11の内部に、感光体ドラム12、帯電ローラ13、現像器14などを配置したもので、以下に説明するように装置本体に対して図4の矢印A方向に挿入及び逆方向に引出し可能である。プロセスユニット10は、レーザ走査ユニット20から照射されるレーザによってそれぞれの感光体ドラム12上に描画された静電潜像を現像してトナー像を形成する。中間転写ユニット30は、矢印B方向に無端状に回転駆動される中間転写ベルト31を備え、各感光体ドラム12と対向する転写ローラ32から付与される電界にて、各感光体ドラム12上に形成されたトナー像を中間転写ベルト31上に1次転写して合成する。なお、このような電子写真法による画像形成プロセスは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0013】
装置本体の下部には記録シートを1枚ずつ給紙する自動給紙ユニット40が配置され、記録シートは給紙ローラ41からタイミングローラ対42を経て、前記中間転写ベルト31と2次転写ローラ35とのニップ部に搬送され、ここでトナー画像(合成カラー画像)が2次転写される。その後、記録シートは定着ユニット45に搬送されてトナーの加熱定着を施され、装置本体の上面に配置されたトレイ部46に排出される。
【0014】
レーザ走査ユニット20はその筺体の上面に設置されている蓋部材21の表面に、図2及び図3に示す案内部材22が上方に突出した状態で設けられている。蓋部材21は樹脂成形品であり、案内部材22は蓋部材21に一体的に形成されている。案内部材22は、前記プロセスユニット10のそれぞれを装置本体に着脱する際の案内機能を奏するもので、右側の突部22aにユニット筺体11の底部角部に形成した溝部11aが係合し、左側の突部22bにユニット筺体11の底部角部に形成した溝部11bが係合し、プロセスユニット10を図4に示す矢印A方向に案内する。
【0015】
本実施例においては、複数のプロセスユニット10を装置本体に着脱する際の案内部材22をレーザ走査ユニット20に設けたため、装置本体にガイドレールなどの案内部材を別途設ける必要がなく、装置内部のスペースを有効に利用して画像形成装置のコンパクト化に対応することができる。プロセスユニット10の着脱は、現像器14内のトナーを消費した場合や、感光体ドラム12が消耗した場合などに、新規なプロセスユニット10と交換する場合に、サービスマンやユーザーにて行われる。
【0016】
また、装置本体の正面側フレーム5には、図4に示すように、プロセスユニット10を着脱するための開口部6が形成され、該開口部6の下縁部には衝撃吸収用の突片6aが形成されている。プロセスユニット10を装着する際には、開口部6から挿入することになる。このとき、まず、プロセスユニット10の先端部分角部11cが突片6aに当接し、その後、前記溝部11a,11bが案内部材22の突部22a,22bと係合し、プロセスユニット10が案内部材22上を奥方にスライドされていく。このように、プロセスユニット10が案内部材22に接触する前に突片6aに当接して衝撃が緩和されるため、プロセスユニット10を挿入する際の衝撃が案内部材22を介してレーザ装置ユニット20に伝わることがなく、また、案内部材22の損傷が未然に防止される。
【0017】
さらに、図4に示すように、装置本体の奥方には先端がテーパ状をなす保持ピン7が固定されており、ユニット筺体11には該保持ピン7と係合する穴部11dが形成されている。プロセスユニット10が前記案内部材22に案内されて装置本体に装着されると、穴部11dが保持ピン7に係合し、若干持ち上げられる。また、フレーム5には、図5に示すように、ロック部材8が取り付けられており、このロック部材8を点線位置から実線位置に回動させることによりプロセスユニット10の挿入方向後端部が若干持ち上げられる。
【0018】
即ち、プロセスユニット10は稼働時において案内部材22から若干浮き上がった状態で装置本体に保持されることになる。プロセスユニット10は画像形成時に感光体ドラム12の回転などで振動を発生することになるが、装着された後はプロセスユニット10が案内部材22に接触しないことにより、振動がレーザ走査ユニット20に伝わることがない。また、挿入時及び離脱時にプロセスユニット10は稼働時よりも若干下方で移動するために、筺体11が中間転写ベルト31に接触するおそれがない。
【0019】
案内部材22の両側で左右に突出した突部22a,22bは、千鳥状に互い違いに配置されている。前述したように、プロセスユニット10を案内位置から稼働位置に持ち上げる際に、突部22a,22bと筺体11の溝部11a,11bの下部との干渉を回避するためである。即ち、溝部11a,11bの下部も装着時において突部22a,22bと対向する位置は切り欠かれている。また、突部22a,22bを互い違いに配置することは、樹脂成形時に蓋部材21に案内部材22を一体的に形成する際の金型の抜きを良好なものとするためである。
【0020】
案内部材22の変形例を図6に示す。通常、プロセスユニット10の幅寸法はレーザ走査ユニット20の幅寸法よりも大きい。従って、案内部材22はレーザ走査ユニット20の筺体(蓋部材21)の幅寸法よりも長く設定され、案内部材22の両端は蓋部材21の両側から突出している。本変形例では、この突出部分がリブ23によって強度補強されている。レーザ走査ユニット20が単体で取り扱われる際に、最も外側に配置されている案内部材22が外部の部材と最も接触しやすい位置にあり、変形しやすい。そこで、複数の案内部材22のうち最も外側に配置されている変形しやすい案内部材22に補強用のリブ23を設けるようにした。
【0021】
また、案内部材22の高さHは突出部の突出量Lよりも小さく設定されている。高さHを小さく設定することで案内部材22に強度を持たせ、変形を未然に防止できる。
【0022】
なお、本発明に係る画像形成装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
【0023】
特に、前記実施例では、案内部材をレーザ走査ユニットの蓋部材に設けた例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、中間転写ユニットがプロセスユニットの下方に配置される場合は、中間転写ユニットの筺体に案内部材を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上のように、本発明は、画像形成装置に有用であり、特に、装置内部のコンパクトな部品配置を可能にするとともに、プロセスユニットを装着する際の衝撃を和らげることができる点で優れている。
【符号の説明】
【0025】
5…本体正面側フレーム
6a…突片(衝撃吸収部材)
10…プロセスユニット
11…ユニット筺体
11a,11b…溝部
12…感光体ドラム
14…現像器
20…レーザ走査ユニット
21…蓋部材
22…案内部材
23…補強用リブ
30…中間転写ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並置された複数の感光体に形成されたトナー像を中間転写部材又は記録シートに転写、合成するタンデム方式の画像形成装置において、
画像形成装置本体に着脱可能であって、少なくとも感光体、現像器を備えた複数のプロセスユニットと、
前記プロセスユニットがそれぞれ前記画像形成装置本体に着脱される際の案内部材を有するユニットと、
を備え、
前記画像形成装置本体は、前記プロセスユニットが画像形成装置本体に装着される際にプロセスユニットが当接する位置に、衝撃吸収部材を有すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記案内部材を有するユニットとはレーザ走査ユニットであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記レーザ走査ユニットの蓋部材に前記案内部材が形成され、該案内部材の端部は該蓋部材の外方に突出しており、複数の案内部材のうち最も外側に配置されている案内部材の突出部分が強度補強されていること、を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記案内部材の高さは前記端部の突出量よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プロセスユニットは、前記画像形成装置本体に装着された場合、前記案内部材とは接触しないこと、を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−204228(P2010−204228A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47507(P2009−47507)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】