説明

画像形成装置

【課題】画像を形成するために用いられる無端状ベルト部材として、従来の無端状ベルト部材と比較して長尺に形成されたものを用いた場合であっても、当該長尺な無端状ベルト部材を容易に交換することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像を形成するために用いられる長尺な無端状ベルト部材26と、前記無端状ベルト部材を交換する際に、画像形成装置1の予め定められた位置に装着され、前記無端状ベルト部材を一時的に保持するベルト保持具60とを備えるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記画像形成装置としては、イエロー、マゼンタ、シアン、黒等の各色に対応した画像形成部を並列的に配置し、これらの各画像形成部で形成されたトナー像を、各画像形成部にわたって配設された中間転写ベルト上に多重に転写した後、当該中間転写ベルトから記録用紙上に一括して二次転写することにより、カラー画像を形成するように構成したものがある。
【0003】
かかる画像形成装置では、中間転写ベルトにダメージを与えることなく、当該中間転写ベルトを簡単且つ確実に交換可能としたものが、特開2001−132806号公報に開示されているように既に提案されている。
【0004】
この特開2001−132806号公報に係るベルトモジュールの製造方法は、複数の張架ロールが架設されたモジュールフレームと、モジュールフレームの各張架ロールに掛け渡される無端ベルトと、少なくとも一つの張架ロールが進退移動せしめられ、無端ベルトにテンションが解除可能に与えられるテンション付与機構とを備えたベルトモジュールを製造するに際し、モジュールフレームの側方に取り外し自在な補助ガイドを付設した後、この補助ガイドを介してモジュールフレームに無端ベルトを案内装着し、しかる後に、補助ガイドを取り外すように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−132806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、画像を形成するために用いられる無端状ベルト部材として、従来の無端状ベルト部材と比較して長尺に形成されたものを用いた場合であっても、当該長尺な無端状ベルト部材を容易に交換することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、請求項1に記載された発明は、画像を形成するために用いられる長尺な無端状ベルト部材と、
前記無端状ベルト部材を交換する際に、画像形成装置の予め定められた位置に装着され、前記無端状ベルト部材を一時的に保持するベルト保持具とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0008】
また、請求項2に記載された発明は、前記ベルト保持具は、前記無端状ベルト部材の下端部分が床面に接触しない高さに、当該無端状ベルト部材を保持することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【0009】
さらに、請求項3に記載された発明は、前記ベルト保持具は、前記無端状ベルト部材の保持部分を、予め定められた曲率半径以上の曲率半径で保持することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置である。
【0010】
又、請求項4に記載された発明は、前記ベルト保持具は、前記無端状ベルト部材を交換するために開いた画像形成装置本体の前面扉の内面に装着されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0011】
更に、請求項5に記載された発明は、前記ベルト保持具は、不使用時、前記画像形成装置本体の内部に保管可能な大きさ及び形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0012】
また、請求項6に記載された発明は、前記無端状ベルト部材は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色の画像形成部に、更に1つ以上の画像形成部を加えた5つ以上の画像形成部にわたって配設されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0013】
さらに、請求項7に記載された発明は、新品の前記無端状ベルト部材は、当該無端状ベルト部材よりも周長が若干短い保護用のシート状部材を内周側にしてベルト保持具に保持されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0014】
又、請求項8に記載された発明は、新品の前記無端状ベルト部材は、当該無端状ベルト部材の曲率を予め定められた曲率半径以上に維持する筒状部材に巻き付けられた状態で収納箱に収納されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された発明によれば、画像を形成するために用いられる無端状ベルト部材として、従来の無端状ベルト部材と比較して長尺に形成されたものを用いた場合であっても、当該長尺な無端状ベルト部材を容易に交換することが可能となっている。
【0016】
また、請求項2に記載された発明によれば、無端状ベルト部材が床面に接触して傷が発生したり、埃が付着したりするのを防止することができる。
【0017】
さらに、請求項3に記載された発明によれば、無端状ベルト部材の折れ傷が発生するのを防止することができる。
【0018】
又、請求項4に記載された発明によれば、画像形成装置本体の前面扉を開いた状態で、ベルト保持部材を容易に着脱することができる。
【0019】
更に、請求項5に記載された発明によれば、ベルト保持具の保管が容易となる。
【0020】
また、請求項6に記載された発明によれば、無端状ベルト部材が従来のものと比較して大幅に長尺となり、取り扱いが困難な場合であっても、当該無端状ベルト部材を容易に交換可能となる。
【0021】
さらに、請求項7に記載された発明によれば、無端状ベルト部材を保護することができる。
【0022】
又、請求項8に記載された発明によれば、新品の無端状ベルト部材に折れ傷が発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターの中間転写ベルトの交換作業を示す概略斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターを示す構成図である。
【図3】中間転写ベルトの保持構造を示す斜視構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターを示す概略斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターのフロントカバーを開いた状態を示す概略斜視図である。
【図6】ベルト保持具を示す斜視図である。
【図7】ベルト保持具の取付状態を示す構成図である。
【図8】中間転写ベルトの収納状態を示す斜視構成図である。
【図9】中間転写ベルトの巻き付け部材を示す斜視構成図である。
【図10】中間転写ベルトの巻き付け部材への巻き付け状態を示す斜視構成図である。
【図11】中間転写ベルトを示す斜視構成図である。
【図12】中間転写ベルトの保持状態を示す斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンタを示す概略構成図である。また、このタンデム型のデジタルカラープリンタは、画像読取装置を備えており、フルカラー複写機やファクシミリとしても機能するようになっている。なお、上記画像形成装置としては、画像読取装置を備えずに、図示しないパーソナルコンピュータ等から出力される画像データに基づいて画像を形成するものであっても勿論よい。
【0026】
図2において、1はタンデム型のデジタルカラープリンタの本体を示すものであり、このデジタルカラープリンタ本体1は、その一側(図示例では、左側)の上部に、原稿2の画像を読み取る画像読取装置3を備えている。また、上記カラープリンタ本体1の内部には、当該画像読取装置3や図示しないパーソナルコンピュータ等から出力される画像データ、あるいは電話回線やLAN等を介して送られてくる画像データに対して、予め定められた画像処理を施す画像処理装置4が配設されているとともに、デジタルカラープリンタ本体1の内部には、画像処理装置4で予め定められた画像処理が施された画像データに基づいて画像を出力する画像出力装置5が配設されている。
【0027】
上記画像読取装置3は、プラテンカバー6を開閉することにより、原稿2をプラテンガラス7上に載置し、当該プラテンガラス7上に載置された原稿2を光源8によって照明するとともに、原稿2からの反射光像を、フルレートミラー9及びハーフレートミラー10、11及び結像レンズ12からなる縮小走査光学系を介してCCD等からなる画像読取素子13上に走査露光して、この画像読取素子13によって原稿2の画像を予め定められたドット密度で読み取るように構成されている。
【0028】
上記画像読取装置3によって読み取られた原稿2の画像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(例えば、各8bit)の3色の原稿反射率データとして画像処理装置4に送られ、この画像処理装置4では、原稿2の反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理が施される。
【0029】
そして、上記の如く画像処理装置4で予め定められた画像処理が施された画像データは、同じく画像処理装置4によりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の画像データ、及びこれらの画像データ以外の非画像部に対応した透明画像の画像データ、あるいはこれらの画像データに淡い色のマゼンタ(M)やシアン(C)を加えた画像データに変換されて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、淡い色のライトマゼンタ(LM)、淡い色のライトシアン(LC)の6色の画像形成ユニット14Y、14M、14C、14K、14LM、14LCの画像露光装置15Y、15M、15C、15K、15LM、15LCに送られ、これらの画像露光装置15Y、15M、15C、15K、15LM、15Lでは、対応する色の画像データに応じてレーザー光による画像露光が行われる。
【0030】
なお、これ以外にも、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の画像データに、これらの画像データ以外の非画像部に対応した透明画像の画像データに変化し、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、透明(T)の5色の画像形成ユニット14Y、14M、14C、14K、14Tを備えるように構成しても良い。
【0031】
ところで、上記タンデム型のデジタルカラープリンタ本体1の内部には、上述したように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)の6つの画像形成ユニット14Y、14M、14C、14K、14LM、14LCが、水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置されている。
【0032】
これら6つの画像形成ユニット14Y、14M、14C、14K、14LM、14LCは、図2に示すように、形成する画像の色以外はすべて同様に構成されており、大別して、矢印A方向に沿って所定の速度で回転駆動される像担持体としての感光体ドラム16と、この感光体ドラム16の表面を一様に帯電する一次帯電用のスコロトロン17と、当該感光体ドラム16の表面に各色に対応した画像データに基づいて画像露光を施して静電潜像を形成する画像書込手段としての画像露光装置15と、感光体ドラム16上に形成された静電潜像をトナーによって現像する現像装置18と、感光体ドラム16の表面に残留したトナー等を清掃するクリーニング装置19とから構成されている。
【0033】
上記画像露光装置15は、図2に示すように、半導体レーザー20を画像処理装置4から出力される対応する色の画像データに応じて変調し、この半導体レーザー20からレーザー光LBを画像データに応じて出射する。この半導体レーザー20から出射されたレーザー光LBは、ミラー21、22等を介して回転多面鏡23の表面に照射され、当該回転多面鏡23によって偏向走査された後、図示しないf−θレンズや反射ミラー22、24、25等を介して感光体ドラム16上にその回転軸方向(主走査方向)に沿って走査露光される。
【0034】
上記画像処理装置4からは、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)の各色の画像形成ユニット14Y、14M、14C、14K、14LM、14LCの画像露光装置15Y、15M、15C、15K、15LM、15LCに対して対応する色の画像データが順次出力され、これらの画像露光装置15Y、15M、15C、15K、15LM、15LCから画像データに応じて出射されるレーザー光LBが、対応する感光体ドラム16Y、16M、16C、16K、16LM、16LCの表面に走査露光されて静電潜像が形成される。上記各感光体ドラム16Y、16M、16C、16K、16LM、16LCの表面に形成された静電潜像は、現像装置18Y、18M、18C、18K、18LM、18LCによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)の各色のトナー像として現像される。
【0035】
上記各画像形成ユニット14Y、14M、14C、14K、14LM、14LCの感光体ドラム16Y、16M、16C、16K、16LM、16LC上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)の各色のトナー像は、図2に示すように、各画像形成ユニット14Y、14M、14C、14K、14LM、14LCの下方に配置された長尺な無端状ベルト部材としての中間転写ベルト26上に、一次転写位置N1において一次転写ロール27Y、27M、27C、27K、27LM、27LCによって多重に転写される。この中間転写ベルト26は、駆動ロール28と、張力付与ロール29と、蛇行制御用ロール30と、従動ロール31と、背面支持ロール32と、従動ロール33との間に一定の張力で掛け回されており、図示しない定速性に優れた専用の駆動モーターによって回転駆動される駆動ロール28により、矢印B方向に沿って予め定められた移動速度で循環駆動されるようになっている。上記中間転写ベルト26としては、例えば、可撓性を有するポリイミドやポリアミドイミド等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。
【0036】
上記中間転写ベルト26上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)の各色のトナー像は、背面支持ロール32によってトナーと逆極性(正極性)の転写電圧が印加されるとともに、背面支持ロール32に中間転写ベルト26を介して圧接する接地された二次転写ロール34によって、二次転写位置N2において圧接力及び静電気力で記録媒体としての記録用紙35上に二次転写され、形成する画像の色に応じたトナー像が転写された記録用紙35は、二連の搬送ベルト36、37によって定着装置38へと搬送される。そして、上記各色のトナー像が転写された記録用紙35は、定着装置38によって熱及び圧力で定着処理を受け、プリンタ本体1の外部に設けられた排出トレイ39上に排出される。
【0037】
上記記録用紙35は、図2に示すように、プリンタ本体1の底部に配設された給紙トレイ40から所望のサイズ及び材質のものが、給紙ロール41及び図示しない用紙分離用のロール対によって1枚ずつ分離された状態で給紙され、複数の搬送ロール42、43、44が配設された用紙搬送路45を介してレジストロール46まで一旦搬送される。上記給紙トレイ40から供給された記録用紙35は、予め定められたタイミングで回転駆動されるレジストロール46によって中間転写ベルト26の二次転写位置N2へと送出される。なお、上記給紙トレイ40は、1つのみ図示されているが、互いに異なったサイズ又は同一サイズの記録用紙35を備えた複数の給紙トレイを備えていても良く、給紙トレイ40からは、多数枚の記録用紙35を連続して給紙可能となっている。
【0038】
それに先だって、上記イエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色、ライトマゼンタ色及びライトシアン色の6つの画像形成ユニット14Y、14M、14C、14K、14LM、14LCでは、上述したように、それぞれイエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色、ライトマゼンタ色、ライトシアン色のトナー像が予め定められたタイミングで順次形成されるようになっている。
【0039】
なお、上記感光体ドラム16Y、16M、16C、16K、16LM、16LCは、トナー像の転写工程が終了した後、クリーニング装置19Y、19M、19C、19K、19LM、19LCによって残留トナー等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。また、中間転写ベルト26は、従動ロール33と対向するように配設されたベルト用クリーナー47によって残留トナーや紙粉等が除去される。
【0040】
ところで、上記の如く構成されるデジタルカラープリンタでは、中間転写ベルト26がイエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色、ライトマゼンタ色及びライトシアン色の6つの画像形成ユニット14Y、14M、14C、14K、14LM、14LCにわたって配設されているため、イエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の4つの画像形成ユニット14Y、14M、14C、14Kにわたって配設された従来の中間転写ベルト26の長さが約2.2mであるのに対して、この実施の形態では、中間転写ベルト26の長さが約3mと従来のものと比較して大幅に長く設定されている。そのため、この中間転写ベルト26は、円形状に保持した場合であっても、直径が約930mmとなり、略半分に折り畳んだ状態では、約1.5mと非常に長尺となる。
【0041】
上記長尺な中間転写ベルト26は、図3に示すように、ベルトモジュール50に張架されている。このベルトモジュール50は、中間転写ベルト26を張架する駆動ロール28と、張力付与ロール29と、蛇行制御用ロール30と、従動ロール31と、背面支持ロール32と、従動ロール33とを備えている。これらの駆動ロール28と、張力付与ロール29と、蛇行制御用ロール30と、従動ロール31と、背面支持ロール32と、従動ロール33は、フロント側のフレーム51と、リア側のフレーム52とに回転自在に取り付けられている。また、上記張力付与ロール29は、中間転写ベルト26に予め定められた張力を付与するように付勢されているとともに、蛇行制御用ロール30は、中間転写ベルト26から退避する方向に移動可能にアーム53の先端部に取り付けられている。そして、上記中間転写ベルト26をベルトモジュール50から取り外す際には、蛇行制御用ロール30を中間転写ベルト26から退避する方向に移動させ、中間転写ベルト26の張力を解除するように構成されている。
【0042】
なお、上記ベルトモジュール50は、中間転写ベルト26を張架した状態で、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)の各色の画像形成ユニット14Y、14M、14C、14K、14LM、14LCに対して接離する方向(上下方向)に移動可能にプリンタ本体1に取り付けられているとともに、図示しないスライドレールによってプリンタ本体1の手前側に引き出し可能に取り付けられている。
【0043】
上記デジタルカラープリンタでは、中間転写ベルト26を新しいものと交換する際に、図4及び図5に示すように、カラープリンタ本体1の画像出力装置5の前面側に開閉自在に設けられた前面扉としてのフロントカバー54、55を開いた状態で、使用済みの中間転写ベルト26をベルトモジュール50から取り外し、新しい中間転写ベルト26と交換するように構成されている。
【0044】
このデジタルカラープリンタは、中間転写ベルト26を交換する際に、プリンタの予め定められた位置に装着され、中間転写ベルト26を保持するベルト保持具60を備えている。このベルト保持具60は、図6に示すように、SUS等の金属や剛性の高い合成樹脂等からなる略L字形状に形成された棒状に形成されており、この実施の形態では、直径5mmのSUS製の棒状部材から形成されている。
【0045】
上記ベルト保持具60の下端部には、図6に示すように、上向きの略U字形状に折り曲げられた取付部61が設けられており、当該取付部61は、図7に示すように、フロントカバー54の内面に設けられた凹所62に差し込んだ状態で固定される。
【0046】
また、上記ベルト保持具60は、図6に示すように、略垂直に配設される第1の棒状部63と、当該第1の棒状部63の上端部に略水平に折り曲げられて一体的に配設される第2の棒状部64とを備えている。この略水平に配設される第2の棒状部64には、図1に示すように、中間転写ベルト26が引っ掛けられた状態で保持されるようになっている。
【0047】
さらに、上記ベルト保持具60は、使用しないときには、フロントカバー54又は55の内面に設けられた図示しない固定部や、プリンタ本体1の一方の内側面に設けられた固定部65などに着脱自在に装着されている。
【0048】
また、上記中間転写ベルト26は、図8に示すように、未使用の状態では、収納箱70の内部に収納されている。この収納箱70は、図8に示す状態で、中間転写ベルト26の幅に対応した高さを有しているとともに、長尺な中間転写ベルト26を折り曲げた状態で収納している。その際、上記中間転写ベルト26は、収納箱70に収納された状態で、最も曲率半径が小さい部分であっても、当該中間転写ベルト26に“キンク”と呼ばれる折れ傷が発生することがないように、図9に示すように、円筒形状に形成された複数の本の巻き付け部材71に巻き付けられている。
【0049】
上記巻き付け部材71は、中間転写ベルト26に“キンク”と呼ばれる折れ傷が発生する曲率半径よりも大きい曲率半径を有する円筒形状に形成されている。中間転写ベルト26は、例えば、図10に示すように、その両端部が巻き付け部材71にそれぞれ巻き付けられるとともに、その中間部が別の巻き付け部材71に巻き付けられた状態で、図8に示すように、収納箱70に収納されている。
【0050】
その際、上記中間転写ベルト26は、直接、複数本の巻き付け部材71に巻き付けた状態で収納箱70内に収納しても良いが、新品の中間転写ベルト26は、図11に示すように、当該中間転写ベルト26よりも周長が若干短い保護用の薄いフィルムからなるシート状部材72を内周側にして、収納箱に収納されている。
【0051】
以上の構成において、この実施の形態に係るプリンタでは、次のようにして、画像を形成するために用いられる無端状ベルト部材として、従来の無端状ベルト部材と比較して長尺に形成されたものを用いた場合であっても、当該長尺な無端状ベルト部材を容易に交換することが可能となっている。
【0052】
すなわち、このプリンタでは、図1に示すように、中間転写ベルト26を新しいものと交換する際に、プリンタ本体1のフロントカバー54、55を開いた状態で、当該中間転写ベルト26を張架したベルトモジュール50をプリンタ本体1から引き出すとともに、ベルトモジュール50に張架された中間転写ベルト26の張力を弱めて、中間転写ベルト26をベルトモジュール50から取り外す。
【0053】
そして、ベルトの交換を行うサービスエンジニア又はユーザーは、図5に示すように、プリンタの一方の内側面等に装着されたベルト保持具60を取り外し、図7に示すように、当該ベルト保持具60をフロントカバー54の内面に設けられた取付部62に装着する。また、サービスエンジニア又はユーザーは、図8に示すように、収納箱70に内部に収納された新しい中間転写ベルト26を、プリンタ本体1に格納された保護用のシート状部材72を内周にした状態で、図1に示すように、ベルト保持具60の第2の棒状部64に引っ掛けた状態で保持する。
【0054】
その際、上記新品の中間転写ベルト26は、保護用のシート状部材72と共にベルト保持具60第2の棒状部64に直接引っ掛けた状態に保持しても良いが、収納箱70の内部に収納された巻き付け部材71を収納箱70の内部から先に取り出し、図12に示すように、当該巻き付け部材70を予めベルト保持具60の第2の棒状部64に引っ掛け、その後、巻き付け部材71が引っ掛けられたベルト保持具60の第2の棒状部64に、中間転写ベルト26を引っ掛けるのが望ましい。
【0055】
こうすることによって、新品の中間転写ベルト26を保護用のシート状部材72と共にベルト保持具60の第2の棒状部64に引っ掛けた際に、中間転写ベルト26が自重によって第2の棒状部64で折れ曲がり、当該中間転写ベルト26に“キンク”と呼ばれる折れ傷が発生することが回避される。
【0056】
次に、サービスエンジニア又はユーザーは、図3に示すように、ベルトモジュール50のフロント側に保護用のシート部材72と共にプリンタ本体1に格納された略円錐形状の補助ガイド80を装着した後、ベルト保持具60の第2の棒状部64に引っ掛けられた中間転写ベルト24を、両手で持った状態で、当該中間転写ベルト26を補助ガイド80を介してベルトモジュール50に装着するようになっている。
【0057】
その後、サービスエンジニア又はユーザーは、図3に示すように、ベルトモジュール50から補助ガイド80および保護用のシート部材72を取り外した後、ベルトモジュール50の張力付与ロール30を操作して、中間転写ベルト26に張力を付加した状態で、ベルトモジュール50をプリンタ本体1の内部に装着する。
【0058】
そして、プリンタのフロントカバー54に装着されたベルト保持具60を取り外して、図5に示すように、プリンタ本体1の一方の内側面等に設けられた収納部65に収容して、中間転写ベルト26の交換作業が終了する。
【符号の説明】
【0059】
1:プリンタ本体、26:中間転写ベルト,54、55:フロントカバー、60:ベルト保持具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成するために用いられる長尺な無端状ベルト部材と、
前記無端状ベルト部材を交換する際に、画像形成装置の予め定められた位置に装着され、前記無端状ベルト部材を一時的に保持するベルト保持具とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ベルト保持具は、前記無端状ベルト部材の下端部分が床面に接触しない高さに、当該無端状ベルト部材を保持することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ベルト保持具は、前記無端状ベルト部材の保持部分を、予め定められた曲率半径以上の曲率半径で保持することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ベルト保持具は、前記無端状ベルト部材を交換するために開いた画像形成装置本体の前面扉の内面に装着されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ベルト保持具は、不使用時、前記画像形成装置本体の内部に保管可能な大きさ及び形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記無端状ベルト部材は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色の画像形成部に、更に1つ以上の画像形成部を加えた5つ以上の画像形成部にわたって配設されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
新品の前記無端状ベルト部材は、当該無端状ベルト部材よりも周長が若干短い保護用のシート状部材を内周側にしてベルト保持具に保持されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
新品の前記無端状ベルト部材は、当該無端状ベルト部材の曲率を予め定められた曲率半径以上に維持する筒状部材に巻き付けられた状態で収納箱に収納されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−210687(P2010−210687A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53883(P2009−53883)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】