説明

画像形成装置

【課題】出力画像または感光体上や中間転写ベルト上等の作像プロセス上の画像から分解された濃度ムラを引き起こす複数の要因を抽出するだけでなく、抽出された各要因を直列に順次補正することで、各要因がどれだけ全体の濃度ムラに寄与しているのかを評価する画像評価装置を提供する。
【解決手段】 画像パターンを読み取り、画像濃度データを計測する画像読取計測手段と、前記画像読取計測手段により計測された画像濃度データから、画像パターンにおける濃度ムラを引き起こす複数の要因に分解する分解手段と、前記分解された濃度ムラを引き起こす複数の要因を要因別に補正する補正手段と、前記要因別に補正された補正効果をそれぞれ抽出する抽出手段とを設けた画像評価装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置により再現される画像の品質を評価する画像評価装置、画像評価方法及び記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式には多様な方法が知られており、一般的には像担持体表面を帯電させ、帯電させた像担持体を露光して静電潜像を形成する。次いで、静電潜像にトナーを現像し、像担持体上にトナー像を形成する。さらに、中間転写体を介して、または直接的に像担持体上のトナー像を記録材上に転写し、この転写されたトナー像を加熱、圧力もしくはこれらの併用によって定着することにより、記録材上に画像が形成される。なお、トナー像転写後の像担持体上に残ったトナーは、ブレード、ブラシ、ローラ等の既知の方法によりクリーニングされる。
近年の電子写真技術の動向として、高画質化、デジタル化、カラー化、高速化が要求されている。例えば、解像度は1200dpi以上の高解像のものが検討されており、これを実現するために、従来以上に高品位の画像が望まれている。この高品位な画像を得るためには、記録紙上の画像で欠陥の少ない、高精細な画像にしなければならない。とくに、最近はカラー画像が多くなっており、カラー画像形成装置における画像の均一性は専門的な知識や熟練された感覚を有していなくても優劣が判別可能な特性であるため、非常に重要な要素となっている。とくに、複数のカラートナーを重ね合わせて多数の中間調の色を再現することから、濃度ムラを最小限に抑える必要がある。
そこで、特許文献1では、画像品位に関連するプロセスに関わる状態量を用いて画像形成プロセスにおける画像劣化の要因を推定する方法を提案している。しかしながら、上記特許文献1は、ある特定部位の特性しか捉えられないため、ページ内の濃度ムラ発生状況を正確に把握することができないという問題があった。
【0003】
また、カラー画像の出力には、複数の像担持体と現像装置を用いて、各像担持体上に形成したカラートナー画像を、中間転写体を介して、または直接的に記録材上に転写するタンデム型の電子写真方式が用いられている。特に、中間転写体を用いた転写方式は、記録材の搬送が簡単であり、多様な記録材を使用できる利点が有るため様々な複写機やプリンタに採用されている。このようなプロセスを必要としていることから、高品位な画像を得るためには、どのようなプロセス過程に起因して濃度ムラが発生しているか重み付けをする必要がある。
特許文献2では、中間転写ベルトに形成された画質検知パターンを光学手段により画質を検出する際、前記画質検知パターンが、複数色の画像を重ねて形成され、前記複数色のうち最下層の色(先頭色)の画像パターンがベタ画像からなり、このベタ画像パターンの上層に2番目、3番目、4番目の色のベタ画像ではない画像パターンを形成し、ベタパターンと各色の画像パターンの濃度ムラを光学的に測定し、前記ベタパターンを測定したときの出力と前記各色の画像パターンを測定したときの出力をそれぞれ比較して画質を評価するようにした画質検出装置が開示されている。
また、特許文献3では、複写機でハーフトーンチャートを複写し搬出されてきた複写紙を吸着部によって吸着した状態で搬送部により搬送し、その過程で均一照明するライン光源で複写紙を照射しラインセンサカメラで1ラインごとに撮像し、その画像データを画像入力部で濃淡データに変換し、ピーク検出・画質判定部により濃淡データに基づいてスジ状画質不良の有無の判定を行う画質検査装置が開示されている。
しかし、これらは、単に得られた画像上の濃度ムラを評価するだけである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、出力画像または感光体上や中間転写ベルト上等の作像プロセス上の画像から分解された濃度ムラを引き起こす複数の要因を抽出するだけでなく、抽出された各要因を直列に順次補正することで、各要因がどれだけ全体の濃度ムラに寄与しているのかを評価する画像評価装置、画像評価方法及びこの画質検出方法を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータにダウンロードして容易に実行できるようにした記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の画像評価装置は、画像パターンを読み取り、画像濃度データを計測する画像読取計測手段と、前記画像読取計測手段により計測された画像濃度データから、画像パターンにおける濃度ムラを引き起こす複数の要因に分解する分解手段と、前記分解された濃度ムラを引き起こす複数の要因を要因別に補正する補正手段と、前記要因別に補正された補正効果をそれぞれ抽出する抽出手段とを設けたことを特徴とする。
また、本発明の画像評価装置は、さらに、抽出された要因別の補正効果の大小を比較する比較手段を設けたことを特徴とする。
また、本発明の画像評価装置は、さらに、前記濃度ムラを引き起こす要因が、傾斜ムラ、周期ムラ、スジ・帯のいずれかであることを特徴とする。
また、本発明の画像評価装置は、さらに、前記濃度ムラの特徴量は前記画像濃度データの標準偏差または分散であることを特徴とする。
また、本発明の画像評価装置は、さらに、前記濃度ムラ特徴量は主走査方向と副走査方向それぞれ独立して計測することを特徴とする。
【0006】
本発明の画像評価方法は、画像パターンを読み取り、画像濃度データを出力する画像読み取り計測工程と、前記出力された前記画像濃度データについて濃度ムラを引き起こす複数の要因に分解する分解工程と、前記分解された濃度ムラを引き起こす複数の要因を要因別に補正する補正工程と、前記要因別に補正された補正効果をそれぞれ抽出する抽出工程とを設けたことを特徴とする。
また、本発明の画像評価方法は、さらに、前記抽出された要因別の補正効果の大小を比較する比較工程を設けたことを特徴とする。
また、本発明の画像評価方法は、さらに、前記濃度ムラを引き起こす複数の要因が、傾斜ムラ、周期ムラ、スジ・帯のいずれかであることを特徴とする。
また、本発明の画像評価方法は、さらに、前記濃度ムラ特徴量は前記画像濃度データの標準偏差または分散であることを特徴とする。
また、本発明の画像評価方法は、さらに、前記濃度ムラ特徴量は主走査方向と副走査方向それぞれ独立して計測することを特徴とする。
【0007】
本発明の記録媒体は、上記のいずれかに記載の画像評価方法をコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0008】
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
本発明の画像評価装置及び画像評価方法によって、画像のパターンから濃度ムラを引き起こす複数の要因と各要因の補正効果と各要因の補正効果の大小を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に適用した画像評価装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態による画像評価装置の構成を示すブロック図である。
【図3】画像パターンの画像濃度のうち傾斜を有する傾斜ムラを表す模式図と画像濃度データを示す図である。
【図4】画像パターンの画像濃度のうち周期的なムラを有する周期ムラを表す模式図と画像濃度データを示す図である。
【図5】画像パターンの画像濃度のうちスジ状又は帯状に表れた濃度ムラを表す模式図と画像濃度データを示す図である。
【図6】画像評価装置の動作制御を示すフローチャートである。
【図7】濃度ムラのうち傾斜ムラと補正した濃度ムラを表す模式図と画像濃度データを示す図である。
【図8】濃度ムラのうち周期ムラと補正した周期ムラを表す模式図と画像濃度データを示す図である。
【図9】濃度ムラのうちスジ状又は帯状と補正されたスジ状又は帯状を表す模式図と画像濃度データを示す図である。
【図10】横軸は要因項目、縦軸は標準偏差であり、折れ線グラフは該当要因補正前後の標準偏差の変化、棒グラフは補正効果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に適用した画像評価装置の構成を示す概略図である。
この画像評価装置120は、例えば、一般的構成のパーソナルコンピュータ(PC)に、所定の機能を備えた構成にしている画像処理装置122を備えている。なお、画像処理装置122には、所定の機能として、後述する読取装置(スキャナ)100からの画像パターン1による画像データを濃度として読み取る画像読取計測手段としての計測部101、読み取った濃度ムラを要因に分解する分解手段としての要因分解部103、各濃度ムラ要因別に補正する補正手段としての補正部104、105、106、補正効果をそれぞれ抽出する抽出手段としての補正効果演算部112、さらに、要因別の補正効果の大小を比較する比較手段としての比較部114を挙げることができる。
この画像処理装置122には、不図示の印刷出力装置としてプリンタが接続され、画像処理装置122で処理した画像の印刷出力が可能にしてもよい。これによって、印刷出力して変更した画質、補正した画質を確認することができる。また、画像処理装置122には、記録媒体124が備えていて、画像評価をするためのプログラムが記録されている。濃度ムラ評価機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納したので、画像評価装置120を汎用的に構築できる。
また、画像評価装置120には、評価する画像を読み取るための読取装置(スキャナ)100を備えている。読取装置121は、ラインイメージセンサの読取位置を固定し、読取位置に対して読取原稿を副走査方向へ移動させ、露光装置によって露光し、その原稿の反射光を原稿画像としてラインイメージセンサにより読み取る、ラインイメージセンサから出力される画像信号をサンプリングし、デジタル信号に変換して読取画像データを形成している。
【0012】
図2は、本発明の実施の形態による画像評価装置の構成を示すブロック図である。
図2において、画像評価装置120は、まず、画像パターン1をスキャナ等の読取装置121で読み取り、読み取った画像データ2から、画像処理装置122の計測部101で画像パターン1の画像濃度を主走査方向及び副走査方向に平均化して、得られた1次元の画像濃度データ3として出力する。
次に、画像処理装置122の濃度ムラ算出部102は、入力された画像濃度データ3の標準偏差又は分散を計算し、これをこの画像、すなわち画像パターン1の濃度ムラ特徴量10とする。濃度ムラ特徴量10は記録部111に記録される。特徴量とは、画像パターン1の特徴を抽出して、その特徴を比較できるように数値化したものである。
【0013】
また、別に、画像パターン1の画像濃度データ3は計測部101より要因分解部103にも入力され、濃度ムラを引き起こす複数の要因に分解する。本実施の形態では一例として、主走査方向の濃度ムラ要因を傾斜ムラ4、周期ムラ5、スジ・帯6に分解する。
図3は、画像パターンの画像濃度のうち傾斜を有する傾斜ムラを表す模式図と画像濃度データを示す図である。図4は、画像パターンの画像濃度のうち周期的なムラを有する周期ムラを表す模式図と画像濃度データを示す図である。図5は、画像パターンの画像濃度のうちスジ状又は帯状に表れた濃度ムラを表す模式図と画像濃度データを示す図である。ここでは、主走査方向の濃度ムラを示しているが、同様の濃度ムラは、無論、副走査方向にも生ずる。
傾斜ムラ要因の寄与が最も高い場合は、現像ギャップ偏差または現像剤の汲み上げ偏差などが原因として考えられる。また、周期ムラ要因の寄与が高い場合はその周波数とローラ径などの情報をもとに感光体や現像ローラ、現像スクリューなどの部品が特定できる。さらに、スジや帯ムラ要因の寄与が高い場合はその幅などの特徴から現像ドクター部での異物の詰まり、現像剤が現像ローラに連れ回ることによる汲み上げ量低下などの要因が考えられる。
【0014】
次に、画像処理装置122の要因分解部103で、濃度ムラをそれぞれの形態である傾斜ムラ4、周期ムラ5、スジ・帯ムラ6に分解された後、それぞれを補正する。補正は直列に順次行い、傾斜ムラ4、周期ムラ5、スジ・帯ムラ6の順に行うとする。これらの補正は傾斜ムラ補正部104、周期ムラ補正部105、スジ・帯補正部106において行われる。
図6は、画像評価装置の動作制御を示すフローチャートである。
まず、画像読取装置121および画像処理装置122により画像パターン1の主走査方向の画像濃度データ3を求め(S1)、この画像濃度データ3から濃度ムラ算出部102により濃度ムラ特徴量10(S2)を求める。この結果は記録部111に記録される。
次に、画像濃度データを傾斜ムラ補正部104で傾斜ムラ4を補正する方法(S3)について述べる。
傾斜ムラ4補正は画像濃度データ3のプロファイルに対して多項式近似式に当てはめることで行う。例えば、画像濃度データ3のプロファイルY(i)はY(i)=a*i+b*i+c*i+d*i+eとおける。ここで、iは主走査位置である。このとき、a〜eの係数を求めることで任意の主走査位置iにおける画像濃度データを予測する。
ここでは4次式を用いたが、次数は4次に限定されるものではなく、適切に選択すれば良い。次に、元の画像濃度データ3を対応する主走査位置iごとにY(i)で割り、補正係数配列N(i)を得る。画像濃度データ3の平均値に補正係数配列N(i)を掛けることで、傾斜ムラ4補正後の画像濃度データ7が得られる(S4)。
この画像濃度データ7から濃度ムラ算出部107により濃度ムラ特徴量11(S5)を求める。この結果は記録部111に記録される。
【0015】
次に、傾斜ムラ4補正後の画像濃度データ7を周期ムラ補正部105で周期ムラ5補正する方法(S6)について述べる。周期ムラ補正は画像濃度データ7に対してフーリエ変換を行い、周波数解析を行う。周波数解析することで、周期ムラ5の周波数と振幅を抽出する。任意の周波数を除去し、逆フーリエ変換により周期ムラ5を補正する(S7)。ここで、除去する周波数は相対的に振幅の大きい部分でも良いし、部品スペックや設計仕様をもとに決めても良い。周期ムラ5を補正して得られた画像濃度データ8から濃度ムラ算出部108により濃度ムラ特徴量12(S8)を求める。この結果は記録部111に記録される。
【0016】
次に、周期ムラ5補正後の画像濃度データ8をスジ・帯補正部106でスジ・帯ムラ6補正する方法(S9)について述べる。スジ・帯補正は画像濃度データ8に対してウェーブレット縮退の処理を行い、スジ・帯ムラ6とランダムノイズを分離する。ウェーブレット縮退とは画像をウェーブレット変換し、ウェーブレット展開係数を求め、その係数の絶対値があるしきい値より小さいものをゼロに置き換えた上で、画像の再構成を行うことでノイズを除去する手法である。この手法により、突発的・非定常な音響や振動等の時間的変化に対するスペクトル解析が可能になり、微細な不連続変化を捉えることができる。
ウェーブレット縮退の詳細はD.L.
Donoho and I.M. Johnstone "Ideal Spatial Adaptation by Wavelet
Shrinkage", Biometrika, Vol.81, pp.425-455(1994)、中野宏毅、山本鎭男、吉田靖夫著「ウェーブレットによる信号処理と画像処理」共立出版
を参照する。
このようにして得られたスジ・帯6補正後の画像濃度データ9から濃度ムラ算出部109により濃度ムラ特徴量13(S11)を求める。この結果は記録部111に記録される。
【0017】
図7は、濃度ムラのうち傾斜ムラと補正した濃度ムラを表す模式図と画像濃度データを示す図である。図8は、濃度ムラのうち周期ムラと補正した周期ムラを表す模式図と画像濃度データを示す図である。図9は、濃度ムラのうちスジ状又は帯状と補正されたスジ状又は帯状を表す模式図と画像濃度データを示す図である。
記録部111に記録された濃度ムラ特徴量10、11、12、13から補正効果演算部112により各濃度ムラ要因の補正効果を求める(S12)。まず、図7に示すように、傾斜ムラ4補正で改善された傾斜ムラ補正効果21は「濃度ムラ特徴量10−濃度ムラ特徴量11」となる。同様に、図8に示すように、周期ムラ補正効果22は「濃度ムラ特徴量11−濃度ムラ特徴量12」、図9に示すように、スジ・帯補正効果23は「濃度ムラ特徴量12−濃度ムラ特徴量13」となる。これらの結果は記録部113に記録される。
【0018】
次に、記録部113からの比較部114において記録された各補正効果21〜23の大小を比較して(S13)、最も大きい補正効果を得た濃度ムラ要因が画像パターン1の濃度ムラに最も影響を与えている濃度ムラ要因24として抽出される。得られた結果の一例を図10に示す。図10は、横軸は要因項目、縦軸は標準偏差であり、折れ線グラフは該当要因補正前後の標準偏差の変化、棒グラフは補正効果を表す図である。この例では、濃度ムラの標準偏差が約0.78で、この濃度ムラに対して傾斜ムラ4を補正すると最も濃度ムラの補正効果が大きく、周期ムラの補正効果が最も小さいことがわかる。濃度ムラを表す特性として画像濃度データの標準偏差または分散を用いることで、シンプルな計算で評価が可能となるため、アルゴリズムを高速化することができる。
傾斜ムラ4は、画像濃度データ3がある傾きで変化している時に生じる濃度ムラ要因である。図3に示すような主走査方向の傾斜ムラ4は、現像ローラの現像剤の供給が不十分又はトナーの補給が一様でない場合、現像ローラと感光体との間隙が狭い場合、現像二成分現像剤の場合はトナー濃度が低くなっている場合に生ずることがある。
周期ムラ5は、画像濃度データ3がある周期で変化している時に生じる濃度ムラ要因である。図4に示すような主走査方向の周期ムラ5は、現像ローラと感光体との間隙が小さく現像剤がつまって均一な駆動ができていない場合、感光体や現像ローラの大きさが設定値と異なる場合に生ずることがある。
スジ・帯6は、画像濃度データの中にランダムな幅と強度で抜けが発生している時に生じる濃度ムラ要因である。図5に示すような主走査方向のスジ・帯6は、感光体への傷の発生による場合、クリーニングブレードの振動等によるクリーニング不良による場合、現像剤のくみ上げ量が低下している場合に生ずることがある。いずれも、原因を固定することができないが長期にわたる画像形成動作では、明確に区別できない場合もある。また、この他にも、これらと異なる濃度ムラの形態もあるが、この3つが画像に大きな影響を与える濃度ムラである。
以上のように、出力画像から濃度ムラを引き起こす種々の形態のある要因寄与が明確になり、技術者が複写機やプリンタなどの画像出力装置の濃度ムラを引き起こす原因の絞り込みがし易くなる。なお、本実施の形態では出力画像の主走査方向の画像評価を行う場合について説明したが、副走査方向の画像評価を行うようにしても良く、さらには画像形成プロセスに遡り、感光体上や中間転写ベルト上等の作像プロセス上における画像の評価を行うようにしても良い。濃度ムラを主走査方向と副走査方向を別々に評価することで、画像読み取り時のランダムノイズをキャンセルできるため、濃度ムラを精度よく評価することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 画像パターン
3 画像濃度データ
4 傾斜ムラデータ
5 周期ムラデータ
6 スジ・帯データ
7 傾斜ムラ補正データ
8 周期ムラ補正データ
9 スジ・帯補正データ
10 濃度ムラ特徴量
11 傾斜ムラ特徴量
12 周期ムラ特徴量
13 スジ・帯特徴量
21 傾斜ムラ補正効果
22 周期ムラ補正効果
23 スジ・帯補正効果
24 最終データ
101 計測部
102、107、108、109 画像濃度ムラ算出部
103 要因分解部
104 傾斜ムラ補正部
105 周期ムラ補正部
106 スジ・帯補正部
111、113 記録部
112 補正効果演算部
114 比較部
120 画像評価装置
121 読取装置
122 画像処理装置
124 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開平06−202407号公報
【特許文献2】特開20004−302167号公報
【特許文献3】特開平07−055714号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像パターンを読み取り、画像濃度データを計測する画像読取計測手段と、
前記画像読取計測手段により計測された画像濃度データから、画像パターンにおける濃度ムラを引き起こす複数の要因に分解する分解手段と、
前記分解された濃度ムラを引き起こす複数の要因を要因別に補正する補正手段と、
前記要因別に補正された補正効果をそれぞれ抽出する抽出手段とを設けた
ことを特徴とする画像評価装置。
【請求項2】
前記画像評価装置は、抽出された要因別の補正効果の大小を比較する比較手段を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の画像評価装置。
【請求項3】
前記濃度ムラを引き起こす要因が、傾斜ムラ、周期ムラ、スジ・帯のいずれかである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像評価装置。
【請求項4】
前記濃度ムラの特徴量は前記画像濃度データの標準偏差又は分散である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像評価装置。
【請求項5】
前記濃度ムラ特徴量は主走査方向と副走査方向それぞれ独立して計測する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像評価装置。
【請求項6】
画像パターンを読み取り、画像濃度データを出力する画像読み取り計測工程と、
前記出力された前記画像濃度データについて濃度ムラを引き起こす複数の要因に分解する分解工程と、
前記分解された濃度ムラを引き起こす複数の要因を要因別に補正する補正工程と、
前記要因別に補正された補正効果をそれぞれ抽出する抽出工程とを設けた
ことを特徴とする画像評価方法。
【請求項7】
前記抽出された要因別の補正効果の大小を比較する比較工程を設けた
ことを特徴とする請求項6に記載の画像評価方法。
【請求項8】
前記濃度ムラを引き起こす複数の要因が、傾斜ムラ、周期ムラ、スジ・帯のいずれかである
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像評価方法。
【請求項9】
前記濃度ムラ特徴量は前記画像濃度データの標準偏差または分散である
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の画像評価方法。
【請求項10】
前記濃度ムラ特徴量は主走査方向と副走査方向それぞれ独立して計測する
ことを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の画像評価方法。
【請求項11】
請求項6乃至10のいずれかに記載の画像評価方法をコンピュータに実現させるためのプログラムを記録した読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図10】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−220182(P2010−220182A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140736(P2009−140736)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】