説明

画像形成装置

【課題】マルチビューの機能を有する操作部を用いつつ音声出力を行うことによりユーザにとってより操作性の向上を図れる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】マルチビュー機能を有する操作表示部5は、装置に対してユーザが左斜め方向からのみ視認できる画像21aと、正面からのみ視認できる画像21bと、右斜め方向からのみ視認できる画像21cをディスプレイ52に同時表示することができる。ユーザは、画像21a〜21cに表示されている音声キー22a〜22cをタッチ入力することにより、その画像の内容を説明する音声ガイドの出力を指示することができる。操作表示部5は、画像21cの内容を説明する音声ガイドの出力中には、出力中の音声ガイドとは関係のない画像21a、21bに、音声ガイドと関係がない旨を示す確認表示23a、23bを表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザからの入力を受け付ける操作部を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置では、装置を使用するユーザがより使い易いように、例えば操作部の例としての操作パネルにディスプレイを設け、装置の状態(紙詰まり発生やジョブの実行状況など)を画面表示したり、コピーのとり方や紙詰まり(ジャム)の解除の仕方などの内容を説明する音声ガイドを出力したりするものがある(特許文献1)。ユーザは、ディスプレイ上の画面表示を目視しつつ音声ガイドも聞きながら、自己の希望するコピーモードの設定やジャム解除のための操作を行うことができる。
【0003】
また、操作パネルのディスプレイに、第1視野角の範囲からのみ視認できるように第1画像を表示し、第1視野角とは重ならない第2視野角の範囲からのみ視認できるように第2画像を表示する、いわゆるマルチビュー機能を用いたものもある(特許文献2)。
このようなマルチビュー機能を用いれば、複数の異なる画像を同時に表示できるので、操作者は、手動で画像の切換操作をしなくても、操作パネルの前で各画像の視野角に入るように左右に顔を傾けるなどの動作をすれば、各画像を見ることができ便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−218637号公報
【特許文献2】特開2007−322480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザの操作性向上という点から、上記のマルチビュー機能を有する操作部を用いつつ音声ガイドをも出力する構成をとることが考えられる。
しかしながら、マルチビュー機能の操作部に音声出力を単に導入しようとするだけでは、ユーザにとって操作性の向上を図れない場合が生じるという問題がある。
すなわち、例えば操作パネルに対して正面からのみ視認できる第1画像がコピーモード選択用の画像であり、左斜め方向からのみ視認できる第2画像がジョブの実行状況を表示する画像であり、あるユーザAが操作パネルの前に立って第1画像に対する音声ガイドを聞いている最中に、別のユーザBが複写機に近づき操作パネルに対して左斜め方向から第2画像を見てジョブの実行状況を確認しようとする場面では、出力中の音声ガイドをユーザBが聞いたときに、その音声が自己をガイドしてくれる音声であるのか、そうでないのかが判らず、混乱するおそれが生じる。
【0006】
また、異なる複数の画像それぞれに別々の音声ガイドをキー押下などの手動操作によって切り換えて出力できる構成をとろうとすると、切換のための操作が必要になって操作が面倒になる。例えば、ジャム発生のときに、第1画像に正面側で発生したジャムの解除の方法が表示され、第2画像に左側面側で発生したジャムの解除の方法が表示され、第1画像に対する第1音声ガイドと第2画像に対する第2音声ガイドを順次聞きながらジャム解除の操作を行うとする場面では、ユーザは、第1画像を見つつ第1音声ガイドを聞いて正面側でのジャム解除のための操作を行い、正面側でのジャムが解除されると、次に左側面側に移動してジャム解除のための別の操作を行うことになる。
【0007】
この場合、ユーザが第2音声ガイドに切り換えるためのキー入力の操作を忘れると、左方向から第2画像を見ることはできても第2音声ガイドを聞くことができず、正面まで戻って切り換えのための操作を行わねばならないことも生じ得る。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、マルチビューの機能を有する操作部を用いつつ音声出力を行うことによりユーザにとってより操作性の向上を図れる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、ユーザからの入力を受け付ける操作部を有する画像形成装置であって、前記操作部に設けられ、第1画像を第1視野角の範囲からのみ視認できるように表示し、第2画像を前記第1視野角の範囲とは重ならない第2視野角の範囲からのみ視認できるように表示する第1表示手段と、前記第1画像の表示内容を説明する第1画像用音声を出力する音声出力手段と、前記第1画像用音声の出力中に、当該音声が前記第2画像に対応するものではない旨を少なくとも前記第2視野角の範囲から視認可能に表示する第2表示手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このように第1画像用音声の出力中に、当該音声が第2画像に対応するものではない旨を表示すれば、これをユーザが見ることにより、自己の見ている画像とは関係がない音声であることが判り、自己をガイドしてくれる音声と勘違いして混乱するといったことを防止でき、操作性の向上を図れる。
また、前記音声出力手段は、前記第1画像用音声と、前記第2画像の表示内容を説明する第2画像用音声とを切り換えて出力可能であり、前記第2表示手段は、前記第2画像用音声の出力中には、当該音声が前記第1画像に対応するものではない旨を少なくとも前記第1視野角の範囲から視認可能に表示することを特徴とする。
【0010】
このようにすれば、第1画像を見ているユーザにとって、出力中の第2画像用音声が関係のないものであることがわかり、さらなる操作性の向上を図れる。
また、前記第1表示手段は、前記第2表示手段を兼ねており、前記第1画像用音声の出力中には、当該音声が前記第2画像に対応するものではない旨を前記第2画像に表示し、前記第2画像用音声の出力中には、当該音声が前記第1画像に対応するものではない旨を前記第1画像に表示することを特徴とする。
【0011】
このようにすれば、上記の対応するものではない旨の表示がそのユーザの見ている画像の中に含まれるように表示されるので、ユーザはその表示に気付き易くなる。
さらに、前記第1表示手段は、前記画像を第1ディスプレイに表示させ、前記第2表示手段は、前記第1ディスプレイとは別の第2ディスプレイを有し、前記第1画像用音声の出力中には、当該音声が前記第1画像に対応するものであり前記第2画像に対応するものではない旨を前記第2ディスプレイに表示し、前記第2画像用音声の出力中には、当該音声が前記第1画像に対応するものではなく前記第2画像に対応するものである旨を前記第2ディスプレイに表示することを特徴とする。
【0012】
また、前記第2表示手段は、前記第1画像用音声が出力されていることを示す第1発光素子と、前記第2画像用音声が出力されていることを示す第2発光素子を有し、前記第1画像用音声の出力中には、前記第1発光素子を点灯または点滅させると共に前記第2発光素子を消灯させ、前記第2画像用音声の出力中には、前記第1発光素子を消灯させると共に前記第2発光素子を点灯または点滅させることを特徴とする。
【0013】
このようにすれば、ユーザは上記の対応するものではない旨の表示を見易くなる。
本発明に係る画像形成装置は、ユーザからの入力を受け付ける操作部を有する画像形成装置であって、前記操作部に設けられ、第1画像を第1視野角の範囲からのみ視認できるように表示し、第2画像を前記第1視野角の範囲とは重ならない第2視野角の範囲からのみ視認できるように表示する第1表示手段と、前記ユーザの前記操作部に対する方向を検出する検出手段と、前記検出手段により検出されたユーザの方向に基づき、前記第1画像の表示内容を説明する第1画像用音声と前記第2画像の表示内容を説明する第2画像用音声のうち、いずれを出力するかを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された方の音声を出力する音声出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
このようにすれば、ユーザが音声出力を指示するためのキー操作を行う必要がなく、例えば第1画像を視認できる位置に移動すれば第1画像の内容を説明する第1画像用音声が出力される構成をとることが可能になり、自己が目視している画像の内容を説明してくれる音声を聞きながら操作を行うことができ、操作性の向上を図れる。
また、前記選択手段は、前記検出手段による検出結果からユーザが前記第1視野角の範囲内に存在することを判断すると前記第1画像用音声を選択し、前記第2視野角の範囲に存在することを判断すると前記第2画像用音声を選択することを特徴とする。
【0015】
このようにすれば、ユーザは、第1視野角の範囲内に移動すれば第1画像用音声を聞くことができ、第2視野角の範囲内に移動すれば第2画像用音声を聞くことができ、便利である。
さらに、前記音声出力手段は、前記選択された方の音声を第1の音量で出力させ、その後に選択されなかった方の音声を前記第1の音量よりも低い第2の音量で出力させることを特徴とする。
【0016】
このようにすれば、例えばユーザが第1画像を見た後、第2画像を見てその内容の操作を行うとする場合に、第1画像音声により第1画像の内容についての操作をガイドされつつ、その後に操作すべき第2画像の内容の説明を事前に聞くことができ、かつ第2画像用音声は第1画像用音声よりも低音にされるので、第1画像用と誤認して混乱することも防止され、さらなる操作性の向上を図れる、
また、前記第1画像用音声は、駆動中の当該装置から発せられる動作音であり前記第1視野角の範囲に位置するユーザに伝わる動作音とは異なる周波数帯域にピークを有する特性を有し、前記第2画像用音声は、駆動中の当該装置から発せられる動作音であり前記第2視野角の範囲に位置するユーザに伝わる動作音とは異なる周波数帯域にピークを有する特性を有し、前記音声出力手段は、装置動作中に音声出力を行う際には、前記特性を有する音声を出力させることを特徴とする。
【0017】
このようにすれば、装置駆動中に音声が出力される場合でも、ユーザは、出力される音声をより聞き易くなり、操作を行い易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1に係る複写機の全体の概略構成を示す図である。
【図2】複写機に設けられる操作表示部の拡大平面図である。
【図3】複写機に設けられる制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】操作表示部の構成を示すブロックである。
【図5】操作表示部に設けられる音声対応テーブルの内容の例を示す図である。
【図6】操作表示部に設けられる操作制御部による確認表示と音声出力の制御内容を示すフローチャートである。
【図7】別の確認表示の例を示す図である。
【図8】さらに別の確認表示の例を示す図である。
【図9】実施の形態2に係るディスプレイに同時表示される左、正面、右方向用の画像の表示例を示す図である。
【図10】ジャム検出時における画像表示と音声ガイド出力の制御内容を示すフローチャートである。
【図11】正面用の表示/音声出力処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図12】左方向用の表示/音声出力処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図13】右方向用の表示/音声出力処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図14】音量制御を含む正面用の表示/音声出力処理の一部の内容だけを示すフローチャートである。
【図15】実施の形態3に係るパターン情報テーブルと周波数特性テーブルの例を示す図である。
【図16】音声パターン設定処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を、デジタル複写機(以下、単に「複写機」という。)を例に説明する。
〔実施の形態1〕
図1は、本実施の形態に係る複写機1の全体の概略構成を示す図であり、(a)は、正面図を、(b)は、平面図を示している。
【0020】
両図に示すように、複写機1は、自動原稿搬送部2と、スキャナ部3と、プリンタ部4と、操作表示部5と、人体検出部6および制御部7などを備えたカラー複写機であり、原稿の画像を読み取るスキャンジョブと、読み取って得られた画像データに基づいて原稿画像を用紙にプリントするコピージョブと、LANなどのネットワークを介して接続されている外部端末(不図示)からのジョブの要求を受け付けて、受け付けたジョブに係る画像を用紙にプリントするプリントジョブ等の各種ジョブを実行する機能を有する。
【0021】
複写機1は、スキャナ部3の下方に空間部9を隔ててプリンタ部4を配置し、プリンタ部4から排出されるプリント後の用紙を、プリンタ部4の上部に設けられたトレイ8に収容する、いわゆる胴内排出型のものである。なお、図示していないがオプションとして、例えばプリンタ部4から排出された用紙をソートしたりパンチ孔を開けたりするフィニッシャーなどの後処理装置、多数枚の用紙を収納可能であり、収納されている用紙を1枚ずつプリンタ部4に給紙する大容量給紙装置などが接続可能になっている。
【0022】
自動原稿搬送部2は、セットされている原稿をスキャナ部3の読取位置に搬送する。
スキャナ部3は、自動原稿搬送部2により搬送される原稿の画像を読み取って画像データを得る。プリンタ部4は、周知の電子写真方式により、スキャナ部3によって得られた画像データまたは外部端末からのプリントジョブのデータに基づいて画像を形成する。
操作表示部5は、ユーザが複写機1の前に立ったときに操作し易い位置、ここではスキャナ部3の前面に配設されている。なお、図1(b)に示すように、装置正面側から操作表示部5を見たときのその正面を基準に右側を装置右側、左側を装置左側という。
【0023】
操作表示部5は、マルチビュー機能を有するディスプレイ52を備え、ディスプレイ52に同時に複数の方向、ここでは3方向、具体的には装置左側の位置Aを含む視野角αの範囲(左斜め)からのみ視認できるように画像aを表示し、装置正面の位置Bを含む、視野角αと重ならない視野角βの範囲(正面)からのみ視認できるように画像bを表示し、装置右側の位置Cを含む、視野角α、βと重ならない視野角γの範囲(右斜め)からのみ視認できるように画像cを表示することができる。以下、画像aを「左方向用の画像」、画像bを「正面用の画像」、画像cを「右方向用の画像」として区別する場合がある。
【0024】
図2は、操作表示部5の拡大平面図であり、画像a〜cの具体的な表示例を示している。同図に示すように、操作表示部5は、キー群51と、ディスプレイ52と、タッチパネル53と、スピーカー54を有している。
キー群51は、いわゆるハードキーであり、テンキー、コピースタートキー、ストップキーなどが含まれる。ディスプレイ52は、上記のようにマルチビュー機能を有する液晶表示装置である。タッチパネル53は、透光性を有し、ディスプレイ52の表面に配設されている。スピーカー54は、後述の音声ガイドを音声出力するためのものである。
【0025】
ディスプレイ52に同時表示されている画像21a〜21cのうち、画像21aは左方向用の画像に、画像21bは正面用の画像に、画像21cは右方向用の画像に相当する。
(画像21aについて)
画像21aは、ジョブ履歴を表示する画像であり、ジョブ毎に、番号、登録元、ドキュメント名、登録時間、枚数、部数、状態(実行中、待機中、終了など)などの情報が一覧表示される。画像21a内には、ユーザからのタッチ入力を受け付けるための、いわゆるソフトキーとして音声キー22aが表示されている。音声キー22aは、現に表示されている画像21aの表示内容を説明するための音声ガイドa、例えば「実行中、待機中のジョブと過去のジョブの履歴を一覧表示することができます」旨の音声をスピーカー54から出力させるためのキーである。以下、キーというときは、ソフトキーを意味するものとする。
【0026】
また、画像21a内には、確認表示23aが含まれている。確認表示23aは、文字部24aと図形部25aからなり、出力中の音声が音声ガイドaであるか否かをユーザが目視で確認できるようにするための表示である。
出力中の音声が音声ガイドaである場合には、文字部24aには「音声ガイダンス中」という文字が表示され、図形部25aにはスピーカーの絵表示が表示される。この表示は、出力中の音声がユーザの見ている画像に対するものであることをユーザに知らせるためのものであり、ユーザは、この表示を見れば、出力中の音声が、自己の見ている画像に対するものであることが判る。以下、この表示を「音声出力中表示」という。
【0027】
逆に、音声ガイドaではない(すなわち後述の音声ガイドbまたはcである)場合には、同図に示すように文字部24aには「音声ガイダンス中」という文字がグレイアウト表示され、図形部25aにはスピーカーに斜線が付加された図形が表示される。この表示は、出力中の音声がユーザの見ている画像に対するものではないことをユーザに知らせるためのものである。以下、この表示を「非対応音声表示」という。
【0028】
ユーザは、この非対応音声表示を見れば、出力中の音声が、自己の見ている画像でなく別の画像に対するものであることが判る。
確認表示23aは、出力中の音声ガイドがどの音声ガイドかによって表示形態が変わる、すなわち音声出力中表示と非対応音声表示のいずれか一方が表示されるように制御される。このことは、他の画像b、cの確認表示23b、23cについて同じである。この表示制御の内容については、後述する。
【0029】
(画像21bについて)
画像21bは、操作メニューを示す画像であり、基本設定、原稿指定、画質/濃度、応用設定の選択、カラー、用紙、倍率、片面/両面の選択などユーザからのタッチ入力を受け付けるタブを示すキー群24b、タブが示す項目に含まれる機能の選択を受け付けるためのキー群26bおよび音声キー22bが含まれている。
【0030】
音声キー22bは、現に表示されている画像21bの表示内容を説明するための音声ガイドb、例えば「カラーを選択すると、カラー画質調整を行えます。用紙を選択すると、使用する用紙を選択できます。倍率を選択すると、希望する倍率を設定できます。・・」の旨の音声をスピーカー54から出力させるためのキーである。
画像21b内には、確認表示23bが含まれている。確認表示23bは、確認表示23aと同様の構成であり、出力中の音声が音声ガイドbであるか否かをユーザが目視で確認できるようにするためのものである。音声ガイドbである場合には、音声出力中表示が表示され、音声ガイドbではない(すなわち音声ガイドaまたはcである)場合には、同図に示すように非対応音声表示が表示される。
【0031】
(画像21cについて)
画像21cは、画像21bの操作メニューに現在、表示されているキー群26bの各キーの機能説明を文章でガイダンスするための画像であり、音声キー22cが含まれている。音声キー22cは、現に表示されている画像21cの機能を説明するための音声ガイドc、例えば「片面、両面を選択すると、片面原稿の1枚目と2枚目を読み込み、1枚目の原稿の画像を1枚の用紙の表面に印字し、2枚目の原稿の画像をその用紙の裏面に印字することができます。・・」旨の音声をスピーカー54から出力させるためのキーである。
【0032】
画像21c内には、確認表示23cが含まれている。確認表示23cは、出力中の音声ガイドが音声ガイドcであるか否かをユーザが目視で確認できるようにするための表示であり、確認表示23aと同じ構成である。出力中の音声が音声ガイドcである場合には、同図に示すように音声出力中表示が表示され、音声ガイドcではない(すなわち音声aまたはbである)場合には、非対応音声表示が表示される。
【0033】
上記の画像21a〜21cが表示画像のうちの一例であることはいうまでもなく、キー入力の操作等により別の内容を示す画像a〜画像cに切り換えられる。なお、各キーは、同時表示されている左側、正面、右側用の各画像間では、それぞれ座標軸上で異なる位置に(重なることがないように)表示され、キー毎にキーとその座標位置とが予め対応付けされた情報を参照することにより、入力されたキーがどのキーであるのかが判断される。
【0034】
ユーザは、図1の視野角の範囲内でディスプレイ52を見る位置を変えることにより、ディスプレイ52に同時表示される画像21a〜21cを選択的に目視することができる。また、目視している画像に表示される音声キーをタッチ入力することにより、当該画像に対応する音声ガイドをスピーカー54から音声出力させることができる。さらに、目視している画像の確認表示から、現に出力中の音声が当該目視している画像の表示内容を説明するための音声ガイドであるか否かを理解することができる。
【0035】
図1に戻って、人体検出部6は、ユーザが複写機1の周辺であり操作表示部5に対して装置左側、正面、装置右側のいずれの方向に存在するかを検出するものである。人体検出部6としては、例えば赤外線センサが用いられる。赤外線センサは、赤外線を出射する光源部と、出射された赤外線が進行方向前方に存在する物体(ユーザ)に当たって反射したときのその反射光を受光する受光部を有する。ここでは、水平方向に視野角αの範囲を検出領域とする第1センサと、視野角βの範囲を検出領域とする第2センサと、視野角γの範囲を検出領域とする第3センサの3つの赤外線センサが配置され、それぞれが反射光を受光するとその検出信号を操作表示部5に送る。なお、装置周辺に位置するユーザを検出できれば良く、装置を基点にしたときに例えば半径1〔m〕程度までの範囲内のユーザが検出可能なように予め受光感度が調整される。
【0036】
複写機1は、記録シートの搬送路上における紙詰まり(ジャム)の発生とその発生箇所とを検出するジャム検出機能を備えており、発生しているジャムを解除する方法を示す画像(後述の図9参照)をディスプレイ52に表示させる機能も有する。ジャムが複数の箇所で発生しており、各箇所で異なる解除操作が必要な場合には、その解除方法を示す画像が最大3つ同時に表示される。
【0037】
具体的には、ジャム解除のために例えば正面から給紙カセット41を手前に引き出して詰まっている用紙を取り出すという第1操作と、右カバー91を開状態にして装置内部に詰まっている用紙を取り出すという第2操作を別々に行う必要がある場合には、第1操作の様子を示す第1の画像(図9の221b)を正面側の画像として表示させ、第2操作の様子を示す第2の画像(図9の221c)を右位置用の画像として同時表示させる。
【0038】
ユーザは、装置に対して正面に位置して第1の画像を見ながら正面側で発生しているジャム解除の操作を行うことができ、右側から第2の画像を見ながら右側で発生しているジャム解除の操作を行うことができる。ジャム解除のための操作は、ジャム発生箇所である左側、正面側、右側の3箇所においてそれぞれその位置側から行える構成になっている。
図3は、制御部7の構成を示すブロック図である。
【0039】
同図に示すように、制御部7は、主な構成要素として、通信インターフェース(I/F)部11と、画像処理部12と、画像メモリ13と、CPU14と、ROM15およびRAM16などを備え、各部はバスを介して相互に通信可能になっている。
通信I/F部11は、LANカード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースであり、外部からのプリントジョブのデータを受信して、受信したデータを画像処理部12に送る。
【0040】
画像処理部12は、通信I/F部11からのプリントジョブのデータ、およびスキャナ部3により得られた画像データをカラー用、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換して、画像メモリ13に出力し、この画像データを再現色ごとに格納させる。
CPU14は、ROM15から必要なプログラムを読み出して、画像処理部12での画像データの変換処理や、画像メモリ13における画像データの書き込み/読み出し、並びに自動原稿搬送部2、スキャナ部3、プリンタ部4などの動作をタイミングを取りながら制御して、コピーやプリントなどの各ジョブを円滑に実行させる。ROM15には、原稿搬送、原稿画像読取、画像形成動作に関する制御プログラムなどが格納されている。RAM16は、CPU14のワークエリアとして用いられる。
【0041】
図4は、操作表示部5の構成を示すブロックである。
同図に示すように、操作表示部5は、ハードキー群51、ディスプレイ(LCD)52、タッチパネル53、スピーカー54に加えて、操作制御部55、左用表示部56、正面用表示部57、右用表示部58、ディスプレイ52の背面に配されるバックライト59、画像情報記憶部60、音声情報記憶部61および音声対応テーブル62を有する。
【0042】
画像情報記憶部60には、表示すべき全ての画像(上記の画像21aやジャム解除のための画像など)のデータが予め記憶されている。また、確認表示23a〜23cとして音声出力中表示と非対応音声表示を行うためのデータも記憶されている。このように確認表示の部分だけのデータを別に用意しているのは、後述のように音声出力中については、確認表示がディスプレイ52の表示画像に重ね合わされるように、表示画像のデータに確認表示用のデータを合成して1つの表示画像のデータを生成し、生成したデータに基づく画像を表示するようにしているからである。以下、音声出力中表示用のデータを「出力中表示用データ」、非対応音声表示用のデータを「非対応表示用データ」という。
【0043】
音声情報記憶部61には、表示画像の内容を説明するための全ての音声ガイド(上記音声ガイドaなど)のデータが予め記憶されている。
音声対応テーブル62には、図5に示すように音声キーと出力すべき音声ガイドとが予め対応付けられた情報が書き込まれている。音声対応テーブル62を参照することにより、例えば音声キー22aがタッチ入力されたときには、音声ガイドaを出力すべきということを判断することができる。なお、同図は、音声キー22a〜22cだけの例であり、別の音声キーに対応する別の音声ガイドが用意されている場合には、その別の音声キーと、別の音声キーがタッチ入力されたときに出力すべき音声ガイドとが対応付けられた情報が音声対応テーブル62に追加されることになる。
【0044】
図4に戻って、操作制御部55は、表示制御部71と、音声制御部72と、タッチパネル制御部73およびバックライト制御部74を備えている。バックライト制御部74は、バックライト59を点灯制御する。タッチパネル制御部73は、タッチパネル53上でタッチ入力された箇所の座標位置を検出して、検出結果を表示制御部71に送る。
表示制御部71は、タッチパネル制御部73からの座標位置に基づき、どのキーがユーザによりタッチ入力(選択)されたのかを判断する。具体的には、ディスプレイ52に表示される全てのキーについて、その表示位置を座標位置で示すキー座標位置情報が予め記憶されており、キー座標位置情報を参照して、タッチパネル制御部73からの座標位置と同じ位置に存在するキーを判断する。また、ハードキー群51の各ハードキーによる入力を受け付けて、ユーザによりどのハードキーが押されたかを判断する。
【0045】
これら判断結果をユーザによる入力情報として、その入力情報に基づくコピー等のジョブの動作を制御部7に指示する制御を行う。
また、表示制御部71は、左、正面、右方向用の各画像の表示制御を行う。具体的には、表示させるべき画像a〜画像cのデータをその識別番号に基づき画像情報記憶部60から読み出して、読み出したデータを左用表示部56、正面用表示部57、右用表示部58に送ると共に各表示部にそのデータに基づく画像の表示を指示する。
【0046】
音声出力中の場合には、確認表示として出力中表示用データと非対応表示用データを読み出す。そして、合成部75において、画像a〜画像cのうち、音声出力中表示が必要な画像に、その表示が含まれる(画像21cの形態になる)ように、表示画像のデータに出力中表示用データを合成したものを生成した後、そのデータを対応する表示部に送る。
また、非対応音声表示が必要な画像に、その旨の表示が含まれる(画像21aの形態になる)ように、表示画像のデータに非対応表示用データを合成してデータを生成した後、そのデータを対応する表示部に送る。
【0047】
左、正面、右用表示部56〜58は、表示制御部71からの指示に基づきディスプレイ52に画像a〜画像cを同時に表示させる。この表示制御については、いわゆるデュアルビューやトリプルビューなどを含むマルチビュー機能を有するディスプレイ52の構成と共に公知の技術であるので、ここでの説明は省略する。
さらに、表示制御部71は、音声キー22a〜22cのうちいずれかがタッチ入力された場合には、タッチ入力された音声キーを示す情報を音声制御部72に送る。
【0048】
音声制御部72は、表示制御部71からの音声キーの情報を受け付けると、音声対応テーブル62を参照して、タッチ入力された音声キーに対応する音声ガイドを特定する。例えば、タッチ入力された音声キーが22aの場合には、音声ガイドaを特定する。そして、特定した音声ガイドのデータをその識別番号に基づき音声情報記憶部61から読み出して、読み出したデータに基づきその音声をスピーカー54を通じて出力させる。
【0049】
図6は、操作制御部55による確認表示と音声出力の制御内容を示すフローチャートである。当該処理は、図示しないメインルーチンによりコールされる毎に実行される。
同図に示すように、ユーザからの音声ガイドの出力要求を受け付ける(ステップS1)。ここでは、音声キー22a〜22cのうち、いずれかの音声キーのタッチ入力を受け付けると、これを出力要求の受け付けとする。
【0050】
要求された音声が正面用の音声ガイドbであるか否かを判断する(ステップS2)。この判断は、タッチ入力された音声キーが音声キー22bであるか否かにより行われる。
音声ガイドbである、すなわち音声キー22bがタッチ入力されたことを判断すると(ステップS2で「YES」)、音声ガイドbのデータを読み出して、読み出したデータに基づく音声をスピーカー54を通じて出力させる(ステップS3)。これにより、正面用の画像bを見ているユーザは、出力される正面用の音声ガイドを聞きながら操作を行うことができる。
【0051】
そして、正面用の画像bに音声ガイドを出力している旨を表示させる(ステップS4)。すなわち、正面用の画像bに音声出力中表示が含まれるように、画像bのデータに出力中表示用データを合成したものを生成し、生成したデータを正面用表示部57に送り、音声出力中表示を含む画像をディスプレイ52に表示させる。
続いて、左と右方向用の画像a、画像cに音声ガイドと関係がない旨を表示させる(ステップS5)。すなわち、画像a、画像cに非対応音声表示が含まれるように、画像a、画像cのデータに非対応表示用データを合成したものをそれぞれ生成し、生成したデータを左用表示部56と右用表示部58に送り、非対応音声表示を含む画像をディスプレイ52に表示させて、リターンする。
【0052】
これにより、例えば正面用の画像bを見ているユーザとは別のユーザが複写機1に接近して左方向用の画像aまたは右方向用の画像cを目視したときに、その画像a、画像c内の非対応音声表示に気付けば、出力中の音声ガイドbが現に自己が見ている画像a、画像cを説明するものではないことが判り、出力中の音声と関係があるかも知れないと思って混乱するといったことを防止できる。
【0053】
要求された音声が音声ガイドbではないことを判断すると(ステップS2で「NO」)、左方向用の音声ガイドaであるか否かを判断する(ステップS6)。この判断は、タッチ入力された音声キーが音声キー22aであるか否かにより行われる。
音声ガイドaである、すなわち音声キー22aがタッチ入力されたことを判断すると(ステップS6で「YES」)、音声ガイドaのデータを読み出して、読み出したデータに基づく音声をスピーカー54を通じて出力させる(ステップS7)。これにより、左方向用の画像aを見ているユーザは、出力される左方向用の音声ガイドを聞きながら操作を行うことができる。
【0054】
そして、左方向用の画像aに音声ガイドを出力している旨を表示させる(ステップS8)。すなわち、左方向用の画像aに音声出力中表示が含まれるように、画像aのデータに出力中表示用データを合成したものを生成し、生成したデータを左用表示部56に送り、音声出力中表示を含む画像をディスプレイ52に表示させる。
続いて、正面用と右方向用の画像b、画像cに音声ガイドと関係がない旨を表示させる(ステップS9)。すなわち、画像b、画像cに非対応音声表示が含まれるように、非対応表示用データを画像b、画像cのデータに合成したものをそれぞれ生成し、生成したデータを正面用表示部57と右用表示部58に送り、非対応音声表示を含む画像をディスプレイ52に表示させて、リターンする。
【0055】
これにより、例えば左方向用の画像aを見ているユーザとは別のユーザが複写機1に接近して右方向用の画像cを目視したときに、その画像cに表示されている非対応音声表示に気付けば、出力中の音声ガイドaが現に自己が見ている画像cを説明するものではないことが判り、混乱を防げる。
要求された音声が音声ガイドaではないことを判断すると(ステップS6で「NO」)、右方向用の音声ガイドcであるとして、音声ガイドcのデータを読み出して、読み出したデータに基づく音声をスピーカー54を通じて出力させる(ステップS10)。これにより、右方向用の画像cを見ているユーザは、出力される右方向用の音声ガイドを聞きながら操作を行うことができる。
【0056】
そして、右方向用の画像cに音声ガイドを出力している旨を表示させる(ステップS11)。すなわち、画像cに音声出力中表示が含まれるように、画像cのデータに出力中表示用データを合成したものを生成し、生成したデータを右用表示部58に送り、音声出力中表示を含む画像(例えば、23c)をディスプレイ52に表示させる)。
続いて、左方向用と正面用の画像a、画像bに音声ガイドと関係がない旨を表示させる(ステップS12)。すなわち、画像a、画像bに非対応音声表示が含まれるように、画像a、画像bのデータに非対応表示用データを合成したものをそれぞれ生成し、生成したデータを左用表示部56と正面用表示部57に送り、非対応音声表示を含む画像(例えば、23a、23b)をディスプレイ52に表示させて、リターンする。
【0057】
これにより、例えば右方向用の画像cを見ているユーザとは別のユーザが複写機1に接近して左方向用の画像aを目視したときに、その画像aに表示されている非対応音声表示23aに気付けば、出力中の音声ガイドcが現に自己が見ている画像aを説明するものではないことが判り、混乱を防げる。
以上説明したように、マルチビュー機能により同時表示されている複数の画像のうち、出力中の音声ガイドに関係のない画像に、別の画像用の音声である旨を表示させるので、これをユーザが見ることにより、自己の見ている画像と関係のない音声ガイドであることが判り、自己をガイドしてくれる音声と勘違いして混乱するといったことを防止できる。
【0058】
上記では、確認表示を左、正面、右方向用の画像に重ねるようにして表示するとしたが、例えば人体検出部6により検出されるユーザの、装置に対する方向(左、正面、右側のいずれか)に応じて、確認表示を表示と非表示に切り換えるとしても良い。例えば、二人のユーザが正面と左側に位置する場合には、正面と左方向用の画像にだけ確認表示を表示させる。このようにすれば、右方向用の画像については確認表示を表示させるためのデータの合成、生成等の処理を行う必要がなくなり、その分、処理負担を軽減できる。
【0059】
<他の確認表示の例>
(1)確認表示としては、上記のものに限られず、確認表示23a〜23cに代えて、例えば図7に示す確認表示123a〜123cを用いることもできる。
同図の確認表示123a、123bは、非対応音声表示に相当し、確認表示123cは、音声出力中表示に相当する。確認表示123a、123bは、出力中の音声が別の画像用である旨を、当該別の画像の位置(角度)を文字によるメッセージにより表すものである。ユーザは、自己が目視している画像の位置と確認表示が示す音声ガイドの対応画像の位置との関係から、出力中の音声が自己の目視している画像に対応するものであるか否かを判断することができる。
【0060】
(2)また、上記ではディスプレイ52が通常の画像と確認表示の両方を表示する表示部を兼用するとしたが、これに限られない。例えば、ディスプレイ52とは別の表示部を設け、その別の表示部に確認表示を表示させる構成をとることもできる。
図8は、確認表示が別の表示部に表示される構成例を示す図であり、(a)は別のディスプレイを用いる構成を、(b)はランプを用いる構成を示している。
【0061】
図8(a)の構成は、ディスプレイ52とは別に設けられたディスプレイ(LCD)152に確認表示が表示される例を示している。ディスプレイ152は、平面視でディスプレイ52の下側の位置に設けられている。
ディスプレイ152は、通常のディスプレイ(マルチビュー機能を有していないもの)であり、3つの表示領域153a、153b、153cに分けられている。表示領域153aが左方向用の画像aに対応する確認表示の表示領域に相当し、表示領域153bが正面用の画像bに対応する確認表示の表示領域に相当し、表示領域153cが右方向用の画像cに対応する確認表示の表示領域に相当する。
【0062】
同図は、表示領域153a、153bがグレイアウト表示の状態であり、表示領域153cにガイダンスという文字によるメッセージが表示されている状態の例を示している。メッセージ表示が音声出力中表示を意味し、グレイアウト表示が非対応音声表示を意味するものになる。なお、グレイアウトに代えて非表示としても良い。
操作制御部55は、表示領域153a〜153cのうち、タッチ入力された音声キー(出力中の音声ガイド)に対応する表示領域にメッセージを表示させ、他の領域をグレイアウト表示にする。例えば、音声キー22aがタッチ入力されると、表示領域153aにジョブ履歴を示すメッセージを表示させ、他の領域153b、153cをグレイアウト表示にする。また、音声キー22bがタッチ入力されると、表示領域153bに操作メニューを示すメッセージを表示させ、他の領域153a、153cをグレイアウト表示にする。
【0063】
さらに、音声キー22cがタッチ入力されると、表示領域153cにガイダンスを示すメッセージを表示させ、他の領域153a、153bをグレイアウト表示にする。
ユーザは、ディスプレイ52に表示されている画像を目視している最中に、目線を少し下に移してディスプレイ152を見て、目視している画像に対応する表示領域にメッセージが表示されているか表示されていないかを確認することにより、出力中の音声が自己の目視している画像に関係があるものか否かを判断することができる。なお、上記ではグレイアウト表示を用いたが、例えば非表示としても良い。
【0064】
図8(b)の構成は、ランプとして3つのLED163a、163b、163cが設けられており、LEDの点灯と消灯の状態を確認表示として用いるものである。
すなわち、LED163aが左方向用の画像aに対応する確認表示のための表示部に相当し、LED163bが正面用の画像bに対応する確認表示のための表示部に相当し、LED163cが右方向用の画像cに対応する確認表示のための表示部に相当する。
【0065】
同図は、LED163a、163bが消灯しており、LED163cが点灯している状態の例を示している。点灯が音声出力中表示を意味し、消灯が非対応音声表示を意味するものになる。上記の図8(a)の構成と同様に、ユーザは、例えばディスプレイ52に表示されている画像を目視しているときに、目線を少し下に移してLED163a〜163cの点灯と消灯の状態を確認することにより、出力中の音声が自己の見ている画像に関係があるものか否かを判断することができる。
【0066】
なお、音声出力中表示と非対応音声表示とを目視で区別できれば良いので、点灯と消灯に限られず、例えば点滅(音声出力中表示)と消灯(非対応音声表示)を切り換える構成としても良い。また、発光色により判別する構成、例えば赤、緑、青の発光色を切り換え可能な発光部を備え、音声ガイドと発光色を対応付けて、音声ガイド毎に発光色を切り換える構成をとることもできる。具体的には、音声キー22aと赤の発光色とが対応する場合、音声キー22aがタッチ入力されると発光部を赤色で発光させるものである。
【0067】
ユーザは、事前に各色と音声ガイドの対応関係を知っていれば、例えば赤色のときには左位置用の画像に対する音声ガイドが出力中であることが判る、換言すると正面と右位置用の画像に対する音声ではないことが判るようになる。
図8(a)の例においても、メッセージの消灯が非対応音声表示を意味する構成とすることに限られず、例えば非対応音声である旨を示す記号、具体的には×などを表示させるとしても良い。
【0068】
〔実施の形態2〕
上記実施の形態では、ユーザが音声キーをタッチ入力すると音声ガイドが出力される構成例を説明したが、本実施の形態では、ユーザが装置に対して左、正面、右のどの方向に位置しているかを検出し、検出した方向に対応する音声ガイド(ユーザが目視している画像の内容を説明するための音声ガイド)を自動的に出力するとしており、この点が実施の形態1と異なっている。以下、説明の重複を避けるため、実施の形態1と同じ内容についてはその説明を省略し、同じ構成要素については、同符号を付すものとする。
【0069】
図9は、ディスプレイ52に同時表示される左、正面、右方向用の画像221a〜221cの表示例を示す図であり、それぞれがジャム解除方法を示す内容になっている。
具体的には、左方向用の画像221aは、オプションのフィニッシャーが複写機1本体の左側面側に配置されている場合に当該フィニッシャー内で発生したジャムを解除するための方法を示している。正面用の画像221bは、プリンタ部4の給紙カセット41内部で発生したジャムを解除するための方法を示しており、右方向用の画像221cは、プリンタ部4の内部で発生したジャムを解除するための方法を示している。音声出力中には、実施の形態1と同様に、出力している音声ガイドに対応する画像、同図では221bに音声出力中表示としての確認表示223bが表示され、出力している音声ガイドと関係のない画像、同図では221a、221cに非対応音声表示としての確認表示223a、223cが表示されている。
【0070】
同図は、ジャムが左、正面、右側の3箇所で発生した場合の例であるが、発生箇所が例えば同じ正面側でも異なる給紙カセットでジャムが発生した場合には異なる画像が表示されるように発生箇所毎に表示内容が異なる。また、左、正面、右方向用の画像のうち、どの画像に、どこで発生したジャムの解除方法を表示させるのかが予め決められている。
例えば、ジャム発生箇所がフィニッシャーの場合、フィニッシャーは装置の左側面側に配置されるので、ユーザは装置に対して左側に位置して解除のための操作を行うことから、左方向用画像221aが最も見易い画像になる。そこで、フィニッシャーでジャムが発生した場合には、ジャム解除方法を左方向用画像221aに表示させるとしている。
【0071】
他の発生箇所も同様に、給紙カセット41であれば給紙カセット41を手間に引き出す操作を伴うことからジャム解除方法を正面用の画像221bに表示し、装置内部であれば右カバー91の開閉操作を伴うことから右方向用の画像221cに表示するとしている。
各画像ごとに、その画像を説明するための音声ガイドが予め対応付けされて音声ガイドのデータが記憶されていると共に、そのデータを読み出してスピーカー54を通じて出力可能に構成されていることは、実施の形態1と同様である。
【0072】
本実施の形態では、上述の人体検出部6によりユーザの位置する方向を検出して、その検出結果に応じて、出力すべき音声ガイドを選択する構成がとられている。具体的には、ユーザが、例えば左方向用の画像221aを視認可能な範囲である角度α(図1)の範囲内に位置している場合には、その画像221aの内容(ここでは、ジャム解除方法)を説明するための音声ガイドが選択される。正面用の画像221bを視認可能な範囲である角度βの範囲内に位置している場合には、その画像221bの内容を説明するための音声ガイドが選択され、右方向用の画像221cを視認可能な範囲である角度γの範囲内に位置している場合には、その画像221cの内容を説明するための音声ガイドが選択される。
【0073】
このような構成をとっているのは、ユーザが例えば角度αの範囲内に位置している場合に、ディスプレイ52を目視しているとすると、目視している画像は、左方向用の画像221aであるはずなので、左方向用の画像221aの内容を説明するための音声ガイドを出力すれば、そのユーザは、解除方法を示す画像を目視しつつ、解除方法を説明する音声ガイダンスを聞きながら解除のための操作を行うことができ、ユーザに対する操作性の向上を図れるからである。ユーザが、角度β、γの範囲内に位置する場合も同様に、ユーザが検出された方向から視認可能な画像に対応する音声ガイドが選択される。
【0074】
図10は、ジャム検出時における画像表示と音声ガイド出力の制御内容を示すフローチャートである。本制御処理は、操作制御部55により実行され、図示しないメインルーチンによりコールされる毎に開始される。
同図に示すようにジャム発生位置を検出し(ステップS21)、検出されたジャム発生位置に基づき、そのジャムを解除するための方法を示す画像をディスプレイ52に表示させる(ステップS22)。例えば、図9のような表示が実行される。
【0075】
そして、装置周辺にユーザが位置しているか否かを判断する(ステップS23)。この判断は、人体検出部6によりユーザの存在が検出されたか否かの結果に基づき行われる。未検出である場合には(ステップS23で「NO」)、ジャム解除のためにユーザが装置のところまで来ていないとして、リターンする。この場合、ジャム解除のための画像が表示されているが音声ガイドは出力されないことになる。
【0076】
一方、検出された場合(ステップS23で「YES」)、ユーザの位置する方向が正面、左、右のうち、正面と判断すると(ステップS24で「YES」)、正面用の表示/音声出力処理を実行して(ステップS25)、リターンする。左と判断すると(ステップS24で「NO」、S26で「YES」)、左方向用の表示/音声出力処理を実行して(ステップS27)、リターンする。右と判断すると(ステップS26で「NO」)、右方向用の表示/音声出力処理を実行して(ステップS28)、リターンする。以下、正面、左、右方向用それぞれの処理の内容を順次説明する。
【0077】
図11は、正面用の表示/音声出力処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。同図に示すように、正面用の画像として、ジャム解除方法を示す画像(例えば、221b)を表示しているか否かを判断する(ステップS51)。
ここでは、表示されているとして(ステップS51で「YES」)、ジャム解除用の音声ガイドのうち、当該画像に対応する音声ガイドを選択して出力する(ステップS52)。具体的には、上記のように画像毎にその画像に対応した音声ガイドのデータが予め記憶されており、音声ガイドのうち、画像221bに対応する音声ガイドを選択して、そのデータを読み出し、読み出したデータに係る音声ガイドを出力する。
【0078】
これにより、複写機1(装置)に対して正面に位置するユーザは、正面方向からジャム解除の方法を示す表示画像221bを見つつ、そのジャム解除方法を説明する音声ガイドを聞きながらジャム解除の操作を行うことができる。
そして、正面用の画像に音声ガイドを出力している旨(音声出力中表示)を表示させ(ステップS53)、左と右方向用の画像に音声ガイドと関係がない旨(非対応音声表示)を表示させる(ステップS54)。この表示は、実施の形態1と同様の方法で行われる。
【0079】
正面側で検出されたジャムが解除されたか否かを判断する(ステップS55)。ここで、解除されていないことを判断すると(ステップS55で「NO」)、リターンする。この場合、まだジャムが解除されていないので、ルーチンが一巡して再度、当該正面用の表示/音声出力処理に戻り、ステップS51〜S55の処理が実行される。ジャムが解除されるまで上記の処理が繰り返されるが、ジャムが解除されると(ステップS55で「YES」)、音声ガイドの出力を終了すると共に(ステップS56)、各画像の確認表示を消去して(ステップS57)、リターンする。
【0080】
なお、正面側で解除可能なジャムが解除された後に、当該処理がコールにより再度実行されたときにユーザが正面側の範囲内に位置している場合には、そのユーザが検出されることになるが、ジャムが既に解除済みのため正面用のジャム解除のための画像が表示されず(ステップS22)、ステップS51で「NO」と判断されて、ステップS52以降の音声出力や確認表示の処理は実行されない。このことは、左、右方向用の出力処理について同様である。従って、最初はジャム解除の方法を説明するための画像が3つ同時表示されていても、ジャム解除により1つずつ画像が消去されていき、全てのジャムが解除されるとユーザが検出されても音声ガイドは出力されないことになる。
【0081】
図12は、左方向用の表示/音声出力処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。同図に示すように、左方向用の画像として、ジャム解除方法を示す画像(例えば、221a)を表示しているか否かを判断する(ステップS61)。
ここでは、表示されているとして(ステップS61で「YES」)、ジャム解除用の音声ガイドのうち、当該画像に対応する音声ガイドを選択して出力する(ステップS62)。装置に対して左側に位置するユーザは、左側からジャム解除の方法を示す表示画像を見つつ、その解除方法を説明する音声を聞きながらジャム解除の操作を行うことができる。
【0082】
そして、左方向用の画像に音声ガイドを出力している旨(音声出力中表示)を表示させ(ステップS63)、正面と右方向用の画像に音声ガイドと関係がない旨(非対応音声表示)を表示させる(ステップS64)。左側面側で検出されたジャムが解除されたことを判断すると(ステップS65で「YES」)、音声ガイドの出力を終了すると共に(ステップS66)、各画像の確認表示を消去して(ステップS67)、リターンする。
【0083】
図13は、右方向用の表示/音声出力処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。同図に示すように、右方向用の画像として、ジャム解除方法を示す画像(例えば、221c)を表示しているか否かを判断する(ステップS71)。
表示されている場合には(ステップS71で「YES」)、ジャム解除用の音声ガイドのうち、当該画像に対応する音声ガイドを選択して出力する(ステップS72)。装置に対して右側に位置するユーザは、右側からジャム解除の方法を示す表示画像を見つつ、その解除方法を説明する音声を聞きながらジャム解除の操作を行うことができる。
【0084】
そして、右方向用の画像に音声ガイドを出力している旨を表示させ(ステップS73)、左と正面用の画像に音声ガイドと関係がない旨(非対応音声表示)を表示させる(ステップS74)。右側面側で検出されたジャムが解除されたたことを判断すると(ステップS75で「YES」)、音声ガイドの出力を終了すると共に(ステップS76)、各画像の確認表示を消去して(ステップS77)、リターンする。
【0085】
以上説明したように、本実施の形態では、装置に対するユーザの位置する方向を検出して、検出された方向から視認可能な表示画像に対応する音声ガイドを自動的に選択して出力するとしたので、ユーザが音声出力を指示するためのキー操作を行う必要がない。このため、ユーザは、キー操作を忘れても、自己が目視している画像の内容を説明してくれる音声ガイドを聞きながらジャム解除のための操作を行うことができ、操作性が向上する。
【0086】
なお、上記では、確認表示を表示させるとしたが、これを表示させない構成をとるとしても良い。また、ジャム解除のための操作を示す画像と音声ガイドの例を説明したが。これに限られることはない。例えば、実施の形態1で示す画像21a〜21c(図2)が同時表示されている場合、ユーザが正面側に位置すれば、画像21bに対応する(説明するための)音声ガイドを自動的に出力し、正面から左側に移れば、画像21aに対応する音声ガイドに自動的に切り換えて出力する構成をとることもできる。音声キーをタッチ入力する手間が不要になる。また、3つの画像に限られず、複数の画像、例えば左右の2つの画像に対応する音声ガイドを自動的に出力する構成をとるとしても良い。
【0087】
<他の音声出力制御の例>
上記では、音声ガイドの音量について規定していなかったが、以下に示すように音量を制御する構成をとることができる。すなわち、3箇所でジャムが発生し、発生したジャムの解除方法を示す3つの画像を同時表示している場合、ユーザが位置する方向から目視可能な1の画像に対応する第1音声ガイドを第1音量で出力し、他の2つの画像に対応する第2、第3の音声ガイドを第1音声ガイドによる1回の説明が終わった後に、第1音量よりも音量が低い第2音量で順次、出力させる構成が考えられる。
【0088】
具体的には、ユーザが正面に位置する場合、正面用の音声ガイドを最初に出力し、これが終わると、次に左、右方向用の音声ガイドを順次、正面用よりも小さい音量で出力させるものである。例えば、各音声ガイドが約15秒であれば、正面用の音声ガイドの出力開始から右方向用の音声ガイドの出力終了までの1回に約45秒かかることになる。
ユーザは、自己が解除しようとしている正面側のジャムの解除方法を説明する音声ガイドを聞きながら、正面以外の他の箇所でもジャムが未解除の状態であることを理解できると共にその方法を事前に知ることができる。また、他の箇所の音声ガイドについては音量を下げているので、本来のジャム解除のための音声ガイドとの区別が付き易く、操作の支障になることもない。
【0089】
この音量制御は、表示/音声出力処理の実行中、例えば図11に示す正面用の表示/音声出力処理では、ステップS51とS52の間に実行される。
図14は、音量制御を含む正面用の表示/音声出力処理の内容を示すフローチャートであり、図11とは異なる部分だけを抜き出して示している。
すなわち、ステップS51で「YES」と判断されると、正面以外に他のジャム解除方法を示す画像を表示中か否かを判断する(ステップS81)。表示していないと判断すると(ステップS81で「NO」)、ステップS52に移る。この場合、上記と同じ処理が実行される。一方、表示中と判断すると(ステップS81で「YES」)、ステップS82で正面用の画像に対応するジャム解除用の音声ガイドを第1音量で出力させ、これが終了すると、他の1または2の画像に対応するジャム解除(左、右)用の音声ガイドを、第1音量よりも音量が低い第2音量で順次出力させる制御を開始する。
【0090】
これにより、正面用の音声ガイドの第1音量による出力が終了した後、続いて左または右方向用の音声ガイドの出力が第1音量よりも音量が低い第2音量で開始されることになる。ステップS82での音量制御を開始すると、ステップS53に移って、以降の処理が実行される。
上記では、正面用の表示/音声出力処理に音量制御が含まれる場合の構成を説明したが、左、右方向用の表示/音声出力処理についても同様にステップS61とS62の間、S71とS72の間に、ステップS81とS82と同様の処理が介挿される。
【0091】
例えば、左方向用の表示/音声出力処理では、左方向用の画像に対応するジャム解除(左方向)用の音声ガイドを第1音量で出力し、これが終了すると、ジャム解除(正面、右)用の音声ガイドを第2音量で順次出力する制御が開始される。
このように音量制御を行うことにより、さらに操作性の向上を図ることが可能になる。
〔実施の形態3〕
本実施の形態では、装置動作中、例えばコピー動作中にユーザが音声キーをタッチ入力して音声ガイドを出力させる場合などに、複写機1に装着されるオプション機器の有無に応じて周波数特性の異なる音声ガイドが出力されるように制御する構成になっている。
【0092】
このような構成をとるのは、出力される音声ガイドをユーザがより聞き易くなるようにするためである。
すなわち、音声ガイドの周波数は、通常、複写機の動作中に装置から発せられる駆動音(動作音)にかき消されることがないように動作音の周波数とは帯域ができるだけ重ならないような帯域のものに決められる。
【0093】
これは、複写機単体で使用する場合を想定したものであるが、近年、フィニッシャーや大容量給紙装置などのオプション機器が装着可能な構成のものが普及して来ている。このようなオプション機器は、他の機器も複写機1とも相互に動作中の機械駆動音の周波数帯が異なることが普通なので、装置状態、具体的にはオプションが未装着の場合と装着されている場合とで、動作音もそれぞれ変わることになる。
【0094】
従って、オプション機器を装着可能なシステム構成においては、音声ガイドの周波数を複写機1に対して予め適切と思われるものに決めておいても、装着状態によっては動作音の周波数帯域の中で強度レベル(dB)がピークになる周波数(成分)が音声ガイドの周波数波形(分布)におけるピークに接近してしまうことがある。このようになると、音声ガイドが動作音にかき消されて、ユーザが聞き取り難くなるというおそれが生じる。
【0095】
そこで、オプション機器が装置に装着された時には、音声ガイドとして、装着後の装置から発せられる動作音の周波数波形におけるピークの周波数から離れた(ずれた)帯域にピークを有する周波数の音声ガイドのデータを出力するものである。
音声ガイドの内容、例えば「片面、両面を選択すると・・」などの説明の文言自体は同じであるが、周波数が変わることにより、実際に出力される際には装着されるオプション機器毎に高低が変わった音声のものが出力されることになる。
【0096】
図15(a)は、音声パターン、動作モード、方向、装着オプション(OP)を対応付けた音声パターン情報を示すパターン情報テーブル301の内容例を示す図である。
同図の音声パターンA、C、Eは、対応オプション欄に書き込まれている機器が装着されている場合の装置動作中に音声ガイドを出力する場合に、複写機とオプション機器との組み合わせに対応する音声ガイドの周波数パターンの識別番号を示している。各識別番号の音声パターンの周波数特性は、図15(b)の周波数特性テーブル302に示されている。なお、周波数特性テーブル302に示す数値は一例であり、実際のものとは異なる。
【0097】
図15(a)のパターン情報テーブル301に示すように、例えばフィニッシャーが装着されている場合に、装置動作中に音声ガイドを出力する際には、フィニッシャーとの組み合わせに対応する音声パターンAの音声ガイドとして予め記憶されているデータが読み出されて出力される。なお、装着OP欄のインナーフィニッシャーとは、図1の空間部9のスペース内に丁度、入り込むような小型のフィニッシャーのことである。
【0098】
音声パターンB、D、Fは、オプションが装着されていない場合の左、正面、右方向それぞれに対応する音声パターンになっている。オプションが装着されていない場合に各方向で音声パターンを分けているのは、次の理由による。
すなわち、オプション機器が未装着であっても、装置内部の動作音が周囲に均等に伝わるといったことが少なく、左、正面、右の方向で、その方向に位置するユーザに伝わる動作音も変わることがある。例えば、装置の遮音性によっては、装置の右側に定着部が配置されている場合、右側では定着部の駆動音が聞こえるが、正面や左側ではほとんど聞こえないことや、正面側では給紙カセット内の給紙時の用紙搬送音が聞こえるが、左側ではほとんど聞こえないといったことなどがある。
【0099】
そこで、左、正面、右の方向ごとに、伝わる動作音の周波数波形のピークとは異なるピークを有する周波数特性の音声ガイドを対応付けて、音声ガイドが動作音にかき消され難いようにしたものである。
パターンA〜Fは、オプション機器の装着時と未装着時のそれぞれについて、左、正面、右の方向(視野角α〜γの範囲)毎に、その方向に位置するユーザに伝わる装置動作音の周波数を実験から測定し、測定した周波数に含まれるそれぞれのピークに重ならないように、装置動作音とは異なる周波数帯域にピークを有する周波数が予め設定される。
【0100】
待機中(動作中ではない)のパターンGで示す音声ガイドは、実施の形態1、2の音声ガイドに相当する。
図16は、音声パターン設定処理の内容を示すフローチャートである。本処理は、操作制御部55により音声ガイドを出力する直前に実行される。
同図に示すように装置動作中であるか否かを判断する(ステップS101)。装置動作中とは、例えば装置内部の駆動モータが回転駆動している状態であり、コピージョブやスキャンジョブなどのジョブ実行中などを意味する。
【0101】
動作中ではないことを判断すると(ステップS101で「NO」)、パターン情報テーブル301を参照して音声パターンGを設定し(ステップS102)、リターンする。音声パターンの設定は、例えば図示しない記憶部にパターンを特定するための識別番号、ここではGを書き込むことにより行われる。既に設定されているものがある場合には、上書き保存される。音声ガイドを出力する際には、設定されている音声パターンの識別番号を読み出して、読み出した識別番号に対応する音声ガイドのデータを読み出し、読み出したデータをスピーカー54から出力させる。
【0102】
装置動作中であることを判断すると(ステップS101で「YES」)、出力すべき音声ガイドが左方向用の画像に対応するものであるか否かを判断する(ステップS103)。この判断は、例えば上記の音声キーがタッチ入力される場合には、入力された音声キーが表示される画像が左方向用の画像であるか否かを判断することにより行われ、またはユーザを検出する構成の場合には、その検出方向が左方向であるか否かを判断することにより行われる。この判断方法は、以下に説明する音声ガイドが正面または右方向用の画像に対応するものであるか否かを判断する際にも同様にして用いられる。
【0103】
左方向用の画像に対応する音声ガイドであると判断すると(ステップS103で「YES」)、左側にオプション機器、例えばフィニッシャーが装着されているか否かを判断する(ステップS104)。
装着されていることを判断すると(ステップS104で「YES」)、パターン情報テーブル301を参照して音声パターンAを設定し(ステップS105)、リターンする。一方、未装着と判断すると(ステップS104で「NO」)、パターン情報テーブル301を参照して音声パターンBを設定し(ステップS106)、リターンする。
【0104】
出力すべき音声ガイドが左方向用の画像に対応するものではなく、正面用に対応するものであることを判断すると(ステップS103で「NO」、S107で「YES」)、正面にオプション機器、例えばインナーフィニッシャーが装着されているか否かを判断する(ステップS108)。
装着されていることを判断すると(ステップS108で「YES」)、パターン情報テーブル301を参照して音声パターンCを設定し(ステップS109)、リターンする。一方、未装着と判断すると(ステップS108で「NO」)、パターン情報テーブル301を参照して音声パターンDを設定し(ステップS110)、リターンする。
【0105】
出力すべき音声ガイドが正面用の画像に対応するものではない、すなわち右方向用に対応するものであると判断すると(ステップS107で「NO」)、右側にオプション機器、例えば大容量給紙装置が装着されているか否かを判断する(ステップS111)。
装着されていることを判断すると(ステップS111で「YES」)、パターン情報テーブル301を参照して音声パターンEを設定し(ステップS112)、リターンする。一方、未装着と判断すると(ステップS111で「NO」)、パターン情報テーブル301を参照して音声パターンFを設定し(ステップS113)、リターンする。
【0106】
以上説明したように、本実施の形態では、装置駆動中に音声ガイドを出力する場合、複写機1に装着されるオプション機器の有無に応じて周波数特性の異なる音声ガイドを出力する制御を行うので、ユーザはオプション機器の有無に関わらず、出力される音声ガイドを聞き易くなり、操作性の向上を図れる。
なお、上記では、オプション機器毎に、その機器が装着された状態の複写機における駆動音の周波数の波形においてピークの周波数からずれた帯域にピークを有するように、音声ガイドの周波数を決めるとしたが、これに限られない。音声ガイドが動作音にかき消されるようなことがなければ良い。例えば、いわゆるアクティブ騒音制御といわれる方法を用いて、駆動音を打ち消すような逆位相の周波数を含む音声データをオプション機器毎に対応するように生成すれば駆動音を抑制することができ、音声ガイドを聞き易くなる。
【0107】
本発明は、画像形成装置に限られず、例えば確認表示の表示方法、音声ガイドの出力方法であるとしてもよい。さらに、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
【0108】
〔変形例〕
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、マルチビュー機能として、ディスプレイに3つの画像を同時表示させる構成例を説明したが、3以外の複数の画像を同時表示する構成にも適用できる。例えば、2つの画像を同時表示するデュアルビュー機能を有するものとしても良い。また、上記では、視野角α〜βの範囲が隣接(連続)するとしたが、これに限られず、例えば視野角αと視野角βの間に画像の見えない範囲が介在する構成などであっても良い。
【0109】
(2)また、本発明に係る画像形成装置をカラーデジタル複写機に適用した場合の例を説明したが、これに限られない。カラーやモノクロの画像形成に関わらず、操作表示部5を有する画像形成装置であれば、例えばプリンタ、スキャナ、FAX、MFP(Multiple Function Peripheral)等に適用できる。
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、操作表示部を有する画像形成装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 複写機
4 プリンタ部
5 操作表示部
6 人体検出部
21a〜21c、221a〜221c 表示画像
22a〜22c 音声キー
23a〜23c、123a〜123c、153a〜153c、163a〜163c、223a〜223c 確認表示
52 ディスプレイ
54 スピーカー
55 操作制御部
56 左用表示部
57 正面用表示部
58 右用表示部
60 画像情報記憶部
61 音声情報記憶部
62 音声対応テーブル
71 表示制御部
301 パターン情報テーブル
302 周波数特性テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの入力を受け付ける操作部を有する画像形成装置であって、
前記操作部に設けられ、第1画像を第1視野角の範囲からのみ視認できるように表示し、第2画像を前記第1視野角の範囲とは重ならない第2視野角の範囲からのみ視認できるように表示する第1表示手段と、
前記第1画像の表示内容を説明する第1画像用音声を出力する音声出力手段と、
前記第1画像用音声の出力中に、当該音声が前記第2画像に対応するものではない旨を少なくとも前記第2視野角の範囲から視認可能に表示する第2表示手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記音声出力手段は、
前記第1画像用音声と、前記第2画像の表示内容を説明する第2画像用音声とを切り換えて出力可能であり、
前記第2表示手段は、
前記第2画像用音声の出力中には、当該音声が前記第1画像に対応するものではない旨を少なくとも前記第1視野角の範囲から視認可能に表示することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1表示手段は、
前記第2表示手段を兼ねており、
前記第1画像用音声の出力中には、当該音声が前記第2画像に対応するものではない旨を前記第2画像に表示し、前記第2画像用音声の出力中には、当該音声が前記第1画像に対応するものではない旨を前記第1画像に表示することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1表示手段は、
前記画像を第1ディスプレイに表示させ、
前記第2表示手段は、
前記第1ディスプレイとは別の第2ディスプレイを有し、
前記第1画像用音声の出力中には、当該音声が前記第1画像に対応するものであり前記第2画像に対応するものではない旨を前記第2ディスプレイに表示し、前記第2画像用音声の出力中には、当該音声が前記第1画像に対応するものではなく前記第2画像に対応するものである旨を前記第2ディスプレイに表示することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2表示手段は、
前記第1画像用音声が出力されていることを示す第1発光素子と、前記第2画像用音声が出力されていることを示す第2発光素子を有し、
前記第1画像用音声の出力中には、前記第1発光素子を点灯または点滅させると共に前記第2発光素子を消灯させ、前記第2画像用音声の出力中には、前記第1発光素子を消灯させると共に前記第2発光素子を点灯または点滅させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ユーザからの入力を受け付ける操作部を有する画像形成装置であって、
前記操作部に設けられ、第1画像を第1視野角の範囲からのみ視認できるように表示し、第2画像を前記第1視野角の範囲とは重ならない第2視野角の範囲からのみ視認できるように表示する第1表示手段と、
前記ユーザの前記操作部に対する方向を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出されたユーザの方向に基づき、前記第1画像の表示内容を説明する第1画像用音声と前記第2画像の表示内容を説明する第2画像用音声のうち、いずれを出力するかを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された方の音声を出力する音声出力手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記選択手段は、
前記検出手段による検出結果からユーザが前記第1視野角の範囲内に存在することを判断すると前記第1画像用音声を選択し、前記第2視野角の範囲に存在することを判断すると前記第2画像用音声を選択することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記音声出力手段は、
前記選択された方の音声を第1の音量で出力させ、その後に選択されなかった方の音声を前記第1の音量よりも低い第2の音量で出力させることを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1画像用音声は、
駆動中の当該装置から発せられる動作音であり前記第1視野角の範囲に位置するユーザに伝わる動作音とは異なる周波数帯域にピークを有する特性を有し、
前記第2画像用音声は、
駆動中の当該装置から発せられる動作音であり前記第2視野角の範囲に位置するユーザに伝わる動作音とは異なる周波数帯域にピークを有する特性を有し、
前記音声出力手段は、
装置動作中に音声出力を行う際には、前記特性を有する音声を出力させることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−262105(P2010−262105A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112003(P2009−112003)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】