説明

画像形成装置

【課題】給紙部から給送された転写材による大きい騒音を低減することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】作像部3で形成された画像を転写材Pに転写する転写位置に向けて、給紙部4から搬送路34を介して搬送された転写材Pを所定のタイミングで送り出すレジストローラ対30A、30Bを具備する画像形成装置において、レジストローラ対30A、30Bの周辺と、該レジストローラ対30A、30B手前部分の搬送路34周辺を覆った遮音部材37,38を有し、搬送路34周辺を覆う遮音部材37、38は、レジストローラ対30A、30Bのニップ中央から転写材搬送方向上流側に向かって予め定めた距離Lまでの搬送路を覆っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成部で形成された画像を転写材に転写する転写位置に向けて該転写材を所定のタイミングで送り出すレジストローラ対を具備する複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれら少なくとも2つの機能を有する複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記形式の画像形成装置は、給紙部より送り出された記録媒体、例えば転写材をレジストローラ対に突き当てて一旦停止させた後、画像形成部で形成された画像にタイミングを合わせて送り出している。このとき、転写材の先端がレジストローラ対に衝突した際、発突出的に大きな衝突音が発生し耳障りであった。そのため、この衝突音を含め、給紙された転写材が転写位置に達するまでの搬送時に発生する騒音を低減することが従来から求められていた。
【0003】
そこで、この問題を解決する為に、特許文献1には、分離給紙部とレジストローラとの間に、レジストローラと分離給紙部とに対向する部分にのみ記録紙が出入する開口部を有して他の部分が閉じたボックス状の記録紙搬送ガイド体を設けているものが開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、内壁と外壁及びこれらの間の内部仕切り壁から成る複数の遮音壁を有する遮音ケースが開示されている。なお、この特許文献2に記載された遮音ケースは樹脂材料で成形され、また形状が複雑な為、遮音ケースのコストが高くなってしまう。
【0005】
ところで、上記特許文献1において転写材は給紙時においてガイド板に接触しながら搬送され、騒音を発生すると記載されている。
ところが、本発明者が転写材搬送音について分析したところ、転写材搬送音の中ではレジスト衝突音が極めて大きいことが判明した。すなわち、給紙分離からレジストローラまでの間において、転写材がガイド板に接触して発生する音を抑えても、転写材搬送音を大きく低減することはできないことが判明した。
【0006】
【特許文献1】特開平7−228384号公報
【特許文献2】特許第3535703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した従来の事情に鑑み、給紙部から給送された転写材による大きい騒音を低減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、画像形成部で形成された画像を転写材に転写する転写位置に向けて、給紙部から搬送路を介して搬送された転写材を所定のタイミングで送り出すレジストローラ対を具備する画像形成装置において、前記レジストローラ対周辺と、該レジストローラ対の手前部分の前記搬送路周辺を覆った遮音部材を有し、該搬送路周辺を覆う遮音部材は、前記レジストローラ対のニップ中央から、転写材搬送方向上流側に向かって予め定めた距離までの前記搬送路を覆うことを特徴とする画像形成装置を提案する。
【0009】
また、上記課題を解決するため、本発明は、画像形成部で形成された画像を転写材に転写する転写位置に向けて、給紙部から搬送路を介して搬送された転写材を所定のタイミングで送り出すレジストローラ対を具備する画像形成装置において、前記レジストローラ対周辺と、該レジストローラ対の手前部分の前記搬送路周辺を覆った遮音部材を有し、該遮音部材は、前記レジストローラ対のニップ中央から、転写材搬送方向上流側に向かって予め定めた距離までの前記搬送路を中空の部材で覆うとともに、転写材が該中空内を通ることを特徴とする画像形成装置を提案する。
【0010】
なお、本発明は、前記搬送路周辺を覆う遮音部材の前記搬送路を覆う予め定めた距離がほぼ30mmであると、効果的である。
さらに、本発明は、前記遮音部材は、前記レジストローラ対周辺と前記レジストローラ対手前部分の側面とを一体で覆っており、前記レジストローラ対の軸線方向両端において形成される隙間部分は隙間埋め部材で埋めると、効果的である。
【0011】
さらにまた、本発明は、前記搬送路が搬送ガイド部材によって形成され、該搬送ガイド部材は前記遮音部材に取付けられていると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記遮音部材は、通気性のない材料で形成されていると、効果的である。
【0012】
さらにまた、本発明は、前記遮音部材は、再生紙で形成されていると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記遮音部材は、段ボールシートで形成されていると、効果的である。
【0013】
さらにまた、本発明は、前記遮音部材は、パルプモウルドで形成されていると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記遮音部材の外側に制振部材を有すると、効果的である。
【0014】
さらにまた、本発明は、前記遮音部材の内側に吸音部材を有すると、効果的である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レジスト部において発生する騒音の性質を見出し、該騒音を効率的に遮音してレジスト衝突音を低減することができる画像形成装置を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って詳細に説明する。
図1は電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略垂直断面図であり、ここに示した画像形成装置は電子複写機として構成されている。その画像形成装置本体1の内部には、上部に原稿画像を読み取る画像読み取り部2が、ほぼ中央に転写材に画像を形成する作像部3が、そして作像部3の下方に、該作像部に転写材Pを供給する給紙部4が設けられている。
【0017】
作像部3は、像担持体の一例であるドラム状の感光体11と、その周辺に配設された帯電装置12、現像装置13、転写装置14、クリーニング装置15、及び除電ランプ16を有しているほか、露光装置17、レジストローラ対30及び定着装置18などを具備する。
【0018】
画像形成動作の開始に伴って、感光体11は時計方向に回転駆動され、このとき帯電装置12によって感光体表面が帯電される。露光装置17からは、画像読み取り部2で読み取られた画像信号に対応して光変調されたレーザ光Lが出射し、そのレーザ光Lが帯電された感光体表面を露光して光書き込みが行われる。これにより、感光体表面に静電潜像が形成され、この静電潜像は、現像装置13を通るとき、トナーによって可視像化される。
【0019】
一方、給紙部4は、例えば転写紙より成る各種サイズの転写材Pをそれぞれ収容した複数の給紙カセット20,21,22と、各給紙カセット内の最上位の転写材を1枚ずつ送り出す給紙ローラ23,24,25とを有しており、選択された給紙カセット内の転写材Pが給紙ローラの回転により送り出される。
【0020】
送り出された転写材Pは、搬送ローラ31を介して停止しているレジストローラ対30に突き当てられた後、レジストローラ対30が回転することによって、所定のタイミングで感光体11とこれに当接した転写装置14との間のニップ部に送り込まれる。このとき転写装置14には転写電圧が印加され、これによって感光体上のトナー像が転写材P上に転写される。次いで、この転写材Pは感光体11から分離されて定着装置18へ搬送され、転写材Pがこの定着装置18を通るとき、少なくとも熱の作用で、転写材P上に転写されたトナー像がその転写材P上に定着される。トナー像定着後の転写材Pは、排紙ローラ等を介して排紙トレイ27上に排出される。
【0021】
一方、トナー像転写後に感光体上に付着している転写残トナーは、感光体用のクリーニング装置15によって除去される。クリーニング装置15により表面を清掃された感光体表面には、除電ランプ16からの光が照射され、その表面の電位が初期化される。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態を示すレジスト部の説明図である。
図2において、レジストローラ対30は上側のレジストローラ30Aと下側のレジストローラ30Bで構成され、図1に示す給紙部4から給紙された転写材Pが搬送ローラ対31A、31Bを介して搬送されてくる。なお、レジストローラ30Bと搬送ローラ31Bは、図示しない駆動手段によって駆動される。搬送ロ−ラ対31A、31Bとレジストローラ対30A、30Bの間はガイド板32、33によって形成される搬送路34が形成される。レジストロ−ラ30A、30Bの転写材搬送方向上流側近傍には、搬送されてきた転写材Pの先端の通過を検出するセンサ(フォトセンサ等の検出手段)35がガイド板32に設けられている。
【0023】
このように構成されるレジスト部は、図2に示すように、搬送されてきた転写材Pの先端がまず上側のレジストローラ30Aに衝突する。そして、次に転写材Pの先端は、図3に示すようにレジストローラ30A、30Bのニップに衝突して停止する。このとき、レジストローラ30A、30Bは停止している。
【0024】
次に、本発明者はレジスト部での衝突音の解析実験を行ったのでその説明する。
かかる実験では、まず転写材Pの先端がレジストローラ30A、及びレジストローラ30A、30Bのニップに衝突する前後の音を集音マイクで集音し、時間軸での音圧分析を行った。
【0025】
図4に測定結果を示す。横軸が時間(s)、縦軸が音圧(Pa)である。この測定では、搬送ローラ31A、31Bの転写材搬送方向上流に設置してある図示していないセンサ信号をトリガとし、転写材Pの先端がこのセンサを通過した際の検知信号で測定を開始した。図4のT1(s)のピークは、図2に示すように転写材Pの先端がレジストローラ6に衝突した時に発生した音である。T2(s)のピークは、図3に示すように転写材Pの先端がレジストローラ30A、30Bのニップに衝突した時に発生した音である。
【0026】
従って図4のグラフから、転写材Pの先端がレジストローラ対30A、30Bのニップに衝突した時に突出的に大きな音が発生することが明らかになった。
そして次に、転写材Pの先端がレジストローラ6、及びレジストローラ6、7のニップに衝突する前後の音響放射の様子を、B&K社のSTSF(Spatial Transformation of Sound Fields)可視化装置を用いて可視化し、時間軸での音響放射の仕方を分析した。その結果、図2の転写材Pの先端がレジストローラ6に衝突した時(t=T1)と、図3の転写材Pの先端がレジストローラ6、7のニップに衝突した時(t=T2)に、図5に示すように転写材Pの先端部から音響放射していることが確認できた。
【0027】
図5に示すように、音響放射の波は破線の矢印の方向へ広がって行く。また最初の波(1波目)の後に、次の波(2波目)、さらに次の波(3波目)(図5に示していない。)が発生する。音響放射の大きさは1波目が最も大きく、徐々に小さくなっていくことも確認できた。図6は、図5のD方向から見た音響放射を示した図である。
【0028】
そこで、本発明では、上記実験から得た新たな知見から、図5に示す転写材Pの先端部を遮音しようとするものである。以下に列挙する実施例により、レジスト衝突音を低減することができる。
【実施例1】
【0029】
本発明の実施例1を図7に示す。
図7において、37は上側遮音カバー、38は下側遮音カバーである。上側遮音カバー37と下側遮音カバー38は、レジストローラ30A、30Bと、搬送ガイド板32、33によって形成される搬送路34を一体で覆っている。図8は、図7に示したAの方向から見た図である。図7は図8の断面図である。遮音カバー37、38の側面は開口していない。39、40は転写材搬送方向と直交する両側に配置されている側板である。遮音カバー37、38は、アングル41によって側板39、40に取付けられている。なお、図7において、レジスト部の構成は図2と同一の構成であるので、同一部材には同一符号を付すとともに、その説明を省略する。 本実施例1では、図1に示すような構成の複写機を用い、転写材Pとして転写材を通紙して搬送音の測定実験を行った。本実験では、給紙速度980mm/sで180K紙を通紙した。測定はマイクロホーンで行い、マイクロホーンは複写機(図1)の右側で、カバーから30cm離れた位置に設置した。測定結果を図10に示す。図10のグラフのピークは、転写材の先端がレジストローラ30A、30Bのニップに衝突したレジスト衝突音である。(1)は、遮音カバーを設けない場合である。(3)は、図7に示す本実施例の遮音カバー37、38を設けた場合である。図10のグラフ中(2)は比較として、図9に示すようにガイド板32、33からなる搬送路部分だけを遮音カバー37’、38’で覆った場合である。
【0030】
図10のグラフにおいて、(1)と比較すると(2)でもレジスト衝突音は低減するが、レジスト衝突時に最も音響放射が大きい転写材先端部が覆われていない為、その覆われていない部分から音が漏れてしまい、レジスト衝突音の低減効果が小さい。(3)は転写材先端部を遮音カバー37、38で覆えている為、レジスト衝突音を効果的に低減することができる。
【実施例2】
【0031】
次に、本発明の第2の実施例を図11に示す。図11は側面から見た図で、44は上側遮音カバー、45は下側遮音カバーである。遮音カバー44、45において、転写材Pの出入口部分は開口されている。搬送ガイド板32、33は、遮音カバー44、45の内側に取付けられている。46はレジストローラ30A、30Bの軸受けである。図12は、図11に示したBの方向から見た図である。軸受け48は図示していない。遮音カバー44、45は、アングル49によって側板39、40に取付けられている。なお、図11において実施例1と同一の構成については同一部材には同一符号を付すとともに、その説明を省略する。 このような構成にすることにより、上側遮音カバー44と下側遮音カバー45との長手方向両側における隙間をほぼなくすことができる。隙間は、図11の斜線部Cのみである。また斜線部Cの隙間を、隙間埋め部材(図示せず)を後からはめ込む等して防ぐとより遮音効果が高まり、レジスト衝突音の低減をさらに高められる。
【0032】
実施例1の実験と同様に、搬送音の測定実験を行った。図13の(4)は、本実施例の測定結果である。比較として、実施例1の(3)の結果データを記載する。本実施例の(4)では、レジスト衝突音をさらに効果的に低減することができる。
【実施例3】
【0033】
次に、本発明の第3の実施例について図14を用いて説明する。
図14において、レジスト衝突音はレジストローラ対30A、30Bと衝突した転写材先端部からの放射が大きい。音はすぐに減衰するため、転写材後方での音響放射は小さい。転写材後方とは、ここでは転写材後端のことである。従って、転写材の先端側をある程度の範囲まで遮音カバー37、38または44、45で遮音すればレジスト衝突音は大きく低減する。一方、転写材の後方側をさらに広い範囲で遮音しても、ほとんど遮音効果は上がらない。
【0034】
図14に示すように、搬送路周りの遮音カバー37、38または44、45の長さLを変えて、実施例1、2と同様の搬送音の測定実験を行った。構成は実施例2と同一である。長さLとレジスト衝突音の音圧レベルの関係を図15に示す。図15の音圧レベルとは、搬送音のピークの音圧レベルである。図13で説明すると、「レジストローラのニップに衝突」と示した音圧レベルであり、すなわちレジスト衝突音のことである。
【0035】
図15は、遮音カバー37、38または44、45の長さLによるレジスト衝突音を測定したグラフである。180K紙を線速560mm/sで通紙し、マシン正面から0.5m離れた位置にマイクを設置してレジスト衝突音を測定した。
【0036】
図15に示すように長さLが30mmまでは、その長さに応じてレジスト衝突音の低減効果が上がった。しかし、長さLが30mm以上になると、Lが長くなってもレジスト衝突音の低減効果は変わらなかった。
【0037】
従って、遮音カバー37、38または44、45の長さLを30mm以上とすれば、効果的にレジスト衝突音の低減効果を得ることができる。また遮音カバー37、38または44、45の長さLを長くしたことによるマシンの大型化を防ぐ為に、遮音カバー37、38または44、45の長さLは50mm以下とするのが良い。
【0038】
また、ここで、遮音カバー37、38または44、45の材質を段ボールシートとすると、低コストで遮音カバーを提供することができる。段ボールシートとは、波形に成形した中しん原紙の片面、または両面にライナーを貼り合せたものである。ライナーとは段ボールの外側を形成する紙で、原料は主に古紙、クラフトパルプを用いる。
【0039】
遮音カバー37、38または44、45の別の材質としてパルプモウルドを用いても、低コストで遮音カバーを提供することができる。パルプモウルドとは、植物繊維を水で溶かして、金網で抄き上げた後、乾燥してできる紙成形品である。新聞・雑誌・段ボール・牛乳パックなどの故紙を集めて再資源化したものが原料となる。パルプモウルドは紙を利用しているので、形状の柔軟性に優れ、複雑なカバー形状を作ることができる。また、パルプモウルドは廃棄時に焼却しても、塩化水素などの有害物質を排出せず、自然環境に適している。
【0040】
また再生紙、段ボール、パルプモウルドは、振動を伝播しにくいので、再生紙、段ボール、パルプモウルドを遮音部材に用いた場合の遮音効果は、従来の樹脂、及び金属を遮音部材に用いた遮音カバーよりも遮音効果が大きい。
【実施例4】
【0041】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。
上記実施例で説明した構成においては、遮音カバー44、45内で発生したレジスト衝突音によって遮音カバー44、45に振動が発生し、遮音カバー44、45の外側に騒音が発生する場合がある。本実施例では、図15に示すように遮音カバー44、45の外面に制振材52を貼り付ける。制振材52は、鉛、鋳鉄、マグネシウム等を含んだ合金材である。他の構成は、実施例2と同様である。
このようにすれば、遮音カバー44、45外面の振動を抑えられ、遮音カバー44、45の表面から発生する騒音を防止することができる。従って、レジスト衝突音を確実に低減することができる。
【実施例5】
【0042】
次に、本発明の第5の実施例について説明する。
図17に示すように、遮音カバー44、45の内側に吸音材53を貼り付ける。他の構成は、実施例2と同様である。吸音材53は、中綿素材の不織布、高密度のグラスウール等である。
【0043】
このようにすれば、遮音カバー44、45内で発生したレジスト衝突音の特に高周波成分を吸収でき、レジスト衝突音を低減することができる。
そこで本発明では、上記実験から得た新たな知見から、図5に示す転写材Pの先端部を遮音する。それにより、レジスト衝突音を低減することができる。
【0044】
次に、本発明の別の実施形態について図18を用いて説明する。
図18において、レジストローラ30A、30Bと、搬送ローラ31A、31Bとの間に、中空の搬送ガイド体56を設置する。搬送ガイド体56の内側は転写材の搬送ガイドとなっており、転写材はその搬送ガイドに沿って搬送される。図19は、搬送ガイド体26を通紙方向に上流側から見た図である。動作については、図2を用いて説明した動作と同様である。
【0045】
図6を用いて説明したように、レジスト衝突音は転写材の先端部から放射するので、図20に示すように転写材のレジスト部の遮音カバー44、45と搬送ガイド体56とを一体に構成して搬送路を覆うと、レジスト衝突音はさらに低減することができる。
【0046】
以上のように、本実施形態の搬送ガイド体56は中空部材で側面側には開口部がないので、側面側からの音の漏れを防止できる。搬送ガイド体56の上面は、転写材のたるみに対応する為に、図18のように上流側を高くする。
【0047】
上記搬送ガイド体56はその材質がアルミ等の金属、またはABS、PC等の樹脂である。また、搬送ガイド体56は部品を分割して作っても良いが、搬送ガイド体56を一体で成形すると、部品のつなぎ目からの音の漏れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る画像形成装置を示す概略図である。
【図2】転写紙先端がレジストローラに衝突したレジスト部を示す説明図である。
【図3】転写紙先端がレジストローラ対のニップに衝突した状態を示す説明図である。
【図4】レジスト部付近の搬送音を時間軸で分析した結果のグラフである。
【図5】レジスト衝突音の音響放射の仕方を示した説明図である。
【図6】図5のレジスト衝突音の音響放射の仕方を側面側から見た説明図である。
【図7】実施例1のレジスト部の概略構成図である。
【図8】図7を側面側から見たレジスト部の概略構成図である。
【図9】実施例1で比較として用いたレジスト部の概略構成図である。
【図10】実施例1で行った搬送音測定結果のグラフである。
【図11】実施例2のレジスト部の概略構成図である。
【図12】図11を側面側から見たレジスト部の概略構成図である。
【図13】実施例2で行った搬送音測定結果のグラフである。
【図14】実施例3の遮音カバーの長さLを説明する図
【図15】実施例3の遮音カバーの長さによるレジスト衝突音の測定結果のグラフである。
【図16】実施例4のレジスト部の概略構成図である。
【図17】実施例5のレジスト部の概略構成図である。
【図18】本発明の別の実施形態を示す搬送路の概略構成図である。
【図19】図18の搬送路を側面側から見た概略構成図である。
【図20】図18の実施形態の変形例を示すレジスト部の概略構成図である。
【符号の説明】
【0049】
30A、30B レジストローラ対
31A、31B 搬送ローラ対
32、33 ガイド板
34 搬送路
12 スイッチバック路
17 反転ローラ
19,36 ターン部
31,32 反転前ローラ対
33 反転ガイド板
34、35 反転後ローラ対
37、38、43、44、46、47 遮音カバー
56 搬送ガイド体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部で形成された画像を転写材に転写する転写位置に向けて、給紙部から搬送路を介して搬送された転写材を所定のタイミングで送り出すレジストローラ対を具備する画像形成装置において、
前記レジストローラ対周辺と、該レジストローラ対の手前部分の前記搬送路周辺を覆った遮音部材を有し、
該搬送路周辺を覆う遮音部材は、前記レジストローラ対のニップ中央から、転写材搬送方向上流側に向かって予め定めた距離までの前記搬送路を覆うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成部で形成された画像を転写材に転写する転写位置に向けて、給紙部から搬送路を介して搬送された転写材を所定のタイミングで送り出すレジストローラ対を具備する画像形成装置において、
前記レジストローラ対周辺と、該レジストローラ対の手前部分の前記搬送路周辺を覆った遮音部材を有し、
該遮音部材は、前記レジストローラ対のニップ中央から、転写材搬送方向上流側に向かって予め定めた距離までの前記搬送路を中空の部材で覆うとともに、転写材が該中空内を通ることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送路周辺を覆う遮音部材の前記搬送路を覆う予め定めた距離がほぼ30mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記遮音部材は、前記レジストローラ対周辺と前記レジストローラ対手前部分の側面とを一体で覆っており、前記レジストローラ対の軸線方向両端において形成される隙間部分は隙間埋め部材で埋めることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送路が搬送ガイド部材によって形成され、該搬送ガイド部材は前記遮音部材に取付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記遮音部材は、通気性のない材料で形成されていることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記遮音部材は、再生紙で形成されていることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記遮音部材は、段ボールシートで形成されていることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記遮音部材は、パルプモウルドで形成されていることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記遮音部材の外側に制振部材を有することを特徴とする請求項1ないし9の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記遮音部材の内側に吸音部材を有することを特徴とする請求項1ないし10の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−26439(P2010−26439A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190879(P2008−190879)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】