説明

画像形成装置

【課題】 ジョブ実行後のログアウトのし忘れ、タイムアウトが経過するまで間に、次のユーザが前ユーザのIDのまま、且つ、前のユーザのモード設定のままジョブを実行することができてしまう。
【解決手段】 ICカードから認証情報を読み取り、前記ユーザ登録手段によって、予め登録された前記ユーザとを比較し、ユーザのログイン・ログアウトの認証を行う場合に、認証されたユーザを記憶しておき、その後のユーザのログイン認証の際に、ログイン認証を行ったユーザが前回認証されたユーザと同じか否かを判断し、異なると判断した場合には、モード設定のクリアを行い、同じユーザであると判断した場合は、モード設定のクリアを行わないように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型のICカードを用いてログイン認証処理を実行する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、非接触型のICカードを用いてログイン認証処理を実行するものとしては、装置の機能制限を行う技術が一般的であった。
【0003】
機能制限を行う技術としては、例えば、ICカードが挿入されるとコピー部数のみを設定でき、他の設定項目については、グレー表示にするなどして設定できないように処理を実行するものであった。(例えば、特許文献1参照)
また、ICカードを利用した認証システムにおいて、ログアウトして一定時間経過した場合、いち早く抜き忘れをユーザが察知できるように処理を実行するものがあった。(例えば、特許文献2参照)
【特許文献1】特開2005−332072号公報
【特許文献2】特開2006−215770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術の場合、ログイン認証処理を実行するためにユーザがログイン後、一時的にその場を離れた後、戻ってきたときに、タイムアウトによるログアウト実行によって、先に設定していたモードがクリアされる。それによってセキュリティを高めることができる。しかし、ジョブ実行後のログアウトのし忘れ、タイムアウトが経過するまで間に、次のユーザが前ユーザのIDのまま、且つ、前のユーザのモード設定のままジョブを実行することができてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、認証情報が記録されているICカードと、ICカード内に記録されている情報を読み取るためのICカードリーダと、予め前記ICカードを前記画像形成装置のユーザとして登録するユーザ登録手段と、前記ICカードリーダを介してICカードから認証情報を読み取り、前記ユーザ登録手段によって、予め登録された前記ユーザとを比較し、前記画像形成装置の使用可否を判断してログインの認証を行う認証手段と、前記認証手段によって、認証されたユーザを記憶する記憶手段と、前記認証手段によるログイン認証の際に、前記記憶手段によって記憶された前回、画像形成装置を使用していたユーザと同じか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって、異なるユーザの場合には、モード設定のクリアを行い、同じユーザの場合は、モード設定のクリアを行わないように制御するクリア手段とを有すること特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記、本発明に係る画像形成装置によれば、ユーザが、前にログインしていたユーザと同じであるか否かによって、モード設定をクリアするか否かを決定し、ユーザの利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0008】
以下に図面を参照しながら、本発明に係わる実施の形態を詳細に説明する。本実施形態では画像形成装置としてファクシミリ装置を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
図1は、実施形態におけるファクシミリ装置100の構成を示すブロック図である。
【0010】
同図において、101は、CPUでシステム制御部であり、装置全体を制御する。
【0011】
102は、ROMであり、CPUの制御プログラムを格納するものである。
【0012】
103は、RAMであり、SRAM等で構成され、プログラム制御変数等を格納するためのものである。また、オペレータが設定した回線選択方法や各種設定値、装置の管理データ類、各種ワーク用バッファもRAM103に格納されるものである。
【0013】
104は、蓄積メモリであり、DRAM等で構成され、画像データを蓄積するものである。
【0014】
105は、外部表示部であり、LCD、LED等でユーザに表示通知するためのものである。
【0015】
106は、操作部であり、キーボード、タッチパネル等で構成され、画面を表示したり、オペレータから各種入力操作を受付けたりするためのものである。
【0016】
107は、スピーカであり、音声によってユーザに通知、警告をしたり、後述する通信回線115を通して送受している信号音をモニターしたりするものである。
【0017】
108は、画像処理部であり、読み取られた画像データに補正処理を施して高精細な画像データを出力するものである。
【0018】
109は、スキャナであり、CSイメージセンサ、原稿搬送機構などで構成され、原稿を光学的に読み取って電気的な画像データに変換するものである。
【0019】
110は、プリンタフォーマッタであり、例えば、ワークステーションなどからのファイルデータのプリントを行う際に、プリンタ記述言語を解析し、画像データに変換するものである。
【0020】
111は、記録部であり、受信画像やファイルデータを記録紙に記録する装置である。
【0021】
112は、MODEMであり、FAX送受信信号の変復調をおこなうものである。
【0022】
113は、NCUであり選択信号(ダイヤルパルス、または、トーンダイヤラ)を114である通信回線制御部を介して通信回線115に送出する機能を有し、呼び出し音の検出による自動着信も行う。
【0023】
115は、通信回線であり、具体的には一般公衆回線網(PSTN,ISDN回線等)である。
【0024】
116は、ネットワークI/Fであり、後述するLANに接続されたパソコンやホストコンピュータと本実施形態におけるFAX装置のインターフェースである。このインターフェースにより、例えば、パソコンからのプリントや本実施形態におけるFAX装置からパソコンへ原稿画像を送信することができる。
【0025】
117は、LAN(ローカルエリアネットワーク網)であり、本実施形態におけるファクシミリ装置と同様に、パソコン、複写機、プリンタなどが接続されている。
【0026】
118は、ICカードリーダI/Fであり、ICカード内に記録されている情報を読み取るためのICカードリーダと、無線で通信を行うためのインターフェースである、
次に、図2を用いて、以上に構成される画像形成装置100において本発明に係わる処理手順を説明する。図2のフローチャートに示す各ステップは、CPU101が、ROM102に記憶された制御プログラムを読出して実行することによって行われる。
【0027】
まず、画像形成装置100の電源の起動後、S1で、CPU101は、ICカードのログイン画面を操作部106に表示する。そして、S2に移行する。S2で、CPU101は、ICカードリーダI/F118にICカードがかざされたか否かを判断する。ICカードがかざされたらS3に移行する。ICカードがかざされていなければ、ICカードがかざさされるまで待つ。
【0028】
S3では、CPU101は、ICカードリーダI/F118からID(認証情報)を読み取り、予めRAM103などの記憶部にユーザ登録されたユーザのID(認証情報)と比較し、比較結果に基づいて認証がOK(成功した)か否かを判断する。言い換えると、CPU101は、ユーザのログイン認証の際に、画像形成装置100の使用可否を判断する。認証がOKであれば、S4に移行し、認証がNGであればS2に戻る。S4で、CPU101は、前回、ログインしていたユーザと一致しているか否かを判断する。一致していれば、S5に移行する。不一致であればS6に移行する。
【0029】
S5で、CPU101は、コピーモードや送信モードなどのモード設定をクリアするか否かを、ユーザにより設定された情報を予め保持しておき、保持された情報に基づいて判断する。モード設定のクリアであれば、S6に移行し、そうでなければS7に移行する。
【0030】
S6で、CPU101は、コピーモードや送信モードなどのモード設定をクリアし、S7に移行する。S7では、コピーや送信、スキャン、メディアからのプリントなどのファンクションを選択するためのファウンクション画面を表示する。そして、S8に移行する。
【0031】
S8で、CPU101は、コピーが選択されたか否かを判断する。コピーが選択された場合は、S9に移行し、選択されていなければ、S16に移行する。S9で、CPU101は、コピー画面を表示しS10に移行する。S10で、CPU101は、ユーザから受付けた指示に従って、コピー部数や濃度などを設定するコピーモード設定処理を行い、設定処理が終わればS11に移行する。
【0032】
S11で、CPU101は、操作部106を介してジョブスタートの指示がなされたかを判断する。ジョブスタートであれば、S12に移行し、ジョブスタートでなければ、S10に戻る。S12では、スキャナ109によって原稿を読み取り、S13に移行する。S13では、S12で読み取った原稿を記録部111によって記録する。そして、S14に移行する。
【0033】
S14で、CPU101は、ジョブが終了したかを、予めユーザによってなされている設定に基づいて判断する。ジョブが終了していればS15に移行し、ジョブが終了でなければ、S12に戻る。S15で、CPU101は、1ジョブ毎にログアウトするか否かを判断し、ログアウトであれば、S1に戻る。ログアウトでなければ、S10に戻る。
【0034】
一方、S8からS16に移行した場合、CPU101は、S16で、送信が選択されたか否かを判断する。送信が選択された場合は、S17に移行し、選択されていなければ、S24に移行する。
【0035】
S17で、CPU101は、送信画面を表示しS18に移行する。S18では、送信先や解像度などを設定する送信モード設定処理を行い、設定が終わればS19に移行する。S19で、CPU101は、操作部106を介してジョブスタートがなされたかを判断する。ジョブスタートの指示がなされていれば、S20に移行し、ジョブスタートの指示がなされていなければ、S18に戻る。S20で、CPU101は、スキャナ109によって原稿を読み取りS21に移行する。S21で、CCPU101は、S20で読み取った原稿を、例えば、ネットワークI/F116を介して外部に送信する。そして、S22に移行する。S22で、CPU101は、ジョブが終了したかを判断する。ジョブが終了していればS23に移行し、ジョブが終了していなければ、S20に戻る。S23では、1ジョブの実行毎にログアウトするか否かを判断し、ログアウトであれば、S1に戻る。ログアウトでなければ、S18に戻る。
【0036】
また、S16からS24に移行した場合、S24で、CPU101は、スキャンが選択されたか否かを判断する。スキャンが選択された場合は、S25に移行し、選択されていなければ、S32に移行する。S25で、CPU101は、操作部106にスキャン画面を表示しS26に移行する。S26で、CPU101は、スキャン先や解像度などを設定するスキャンモード設定処理を行い、設定が終わればS27に移行する。S27で、CPU101は、ジョブスタート指示がなされたかを判断する。ジョブスタート指示がなされていれば、S28に移行し、ジョブスタートでなければ、S26に戻る。S28で、CPU101は、スキャナ109によって原稿を読み取りS29に移行する。S29で、CPU101は、S28で読み取った原稿を蓄積メモリ104のようなメディアに保存する。そして、S30に移行する。S30で、CPU101は、ジョブが終了したかを判断する。ジョブが終了していればS31に移行し、ジョブが終了でなければ、S28に戻る。S31で、CPU101は、1ジョブの実行後にログアウトするか否かを判断し、ログアウトであれば、S1に戻る。ログアウトでなければ、S26に戻る。
【0037】
また、S24からS32に移行した場合、CPU101は、メディアからのプリントが選択されたと判断し、メディアからのプリント画面を表示しS33に移行する。S33で、CPU101は、部数や解像度などを設定するメディアプリントモード設定処理を行い、設定が終わればS34に移行する。S34で、CPU101は、操作部106からジョブスタートの指示がなされたか否かを判断する。ジョブスタートの指示がなされていれば、S35に移行し、ジョブスタートの指示がなされていなければ、S33に戻る。S35で、CPU101は、メディアからファイルを読み出しS36に移行する。S36で、CPU101は、S35で読み出したファイルのデータを記録部111によって記録する。そして、S37に移行する。S37で、CPU101は、ジョブが終了したかを判断する。ジョブが終了していればS38に移行し、ジョブが終了していれば、S35に戻る。S38で、CPU101は、1ジョブ後にログアウトするか否かを判断し、ログアウトすると判断した場合、S1に戻る。ログアウトでなければ、S33に戻る。
【0038】
また、ログイン後のS7からS38の処理中に、ログアウト要求(例えばIDキーが押下された/IDカードがかざされた/タイムアウトなど)が発生した場合、CPU101は、ユーザを画像形成装置100からログアウトさせる。そして、S1に移行する。
【0039】
尚、本発明は、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インターフェース機器、リーダ、プリンタなど)からなるシステムに適用しても、一つの機器からなる画像形成装置(例えば、複写機、FAX装置など)に適用してもよい。
【0040】
また、本発明の目的は前述した実施形態を実現するソフトウエアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPU若しくはMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出しすることによって達成される。
【0041】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述実施形態の機能を実施することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は、本発明を構成することになる。
【0042】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0043】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部又は全部を行うことよって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0044】
更に、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置のブロック構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置における処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 蓄積メモリ
105 外部表示部
106 操作部
108 画像処理部
109 スキャナ
118 ICカードリーダI/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
認証情報が記録されているICカードと、
ICカード内に記録されている情報を読み取るためのICカードリーダと、
予め前記ICカードを前記画像形成装置のユーザとして登録するユーザ登録手段と、
前記ICカードリーダを介してICカードから認証情報を読み取り、前記ユーザ登録手段によって、予め登録された前記ユーザとを比較し、前記画像形成装置の使用可否を判断してログインの認証を行う認証手段と、
前記認証手段によって、認証されたユーザを記憶する記憶手段と、
前記認証手段によるログイン認証の際に、前記記憶手段によって記憶された前回、画像形成装置を使用していたユーザと同じか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって、異なるユーザの場合には、モード設定のクリアを行い、同じユーザの場合は、モード設定のクリアを行わないように制御するクリア手段とを有すること特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判断手段によって、同じユーザの場合、モード設定をクリアするか否かの設定を保持する保持手段と、
前記クリア手段は、前記判断手段によって、同じユーザの場合、前記保持手段によって保持された設定に応じて、モード設定をクリアすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記認証手段によるログイン後、1ジョブの実行後にログアウトすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記認証手段によるログイン後、1ジョブの実行後にログアウトするか否かの設定を登録する登録手段と、
前記認証手段によるログイン後に、前記登録手段に登録された設定に応じて、1ジョブの実行後にログアウトの制御をする前記認証手段とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−3131(P2010−3131A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161667(P2008−161667)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】