説明

画像形成装置

【課題】感光体の光疲労を招くことなく、光触媒に光を照射してその活性化を図り、帯電領域に発生する放電生成物を効果的に分解し減少せしめることができるようにする。
【解決手段】感光体3と、該感光体を帯電するための帯電装置21とを備えた画像形成装置であって、前記帯電装置の内部に配置された光触媒J1と、該光触媒を活性化させるための光を放出する光源S1とを有すると共に、該光源から放出される光が感光体に直接に照射されることを規制する規制機構としての小壁部材W1が設けられている、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機,ファクシミリ装置,プリンタ或いはこれらの複合機などに適用される電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば複写機,ファクシミリ装置,プリンタ或いはこれらの複合機などに適用される電子写真方式の画像形成装置では、その作像工程において、トナー画像を坦持する例えばドラム状などのトナー画像坦持体(所謂、感光体)の表面を、所定の帯電装置により一様に帯電させて所要電位を与える、所謂、帯電処理が行われる。
【0003】
かかる帯電工程では、オゾンや窒素酸化物に代表される放電生成物が発生することが知られている。窒素酸化物は空気中の水分と容易に反応して硝酸を生成し、この硝酸は空気中の微量のアンモニア等と反応して硝酸アンモニウムを形成するなど、種々の硝酸化合物に変化する。
オゾンや窒素酸化物などの放電生成物が残留して感光体表面に付着すると、いわゆる「白抜け」や「像流れ」或いは「地肌かぶり」等の画像不良を招来することになる。このため、オゾンや窒素酸化物などの放電生成物を除去して残留を防止するための方法が種々提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、コロナ放電器の近傍に、放電生成物を除去するためのフィルタを配置し、帯電工程が終了すると直ちに放電生成物を除去する方法が提案されている。また、特許文献2には、コロナ放電器において、放電時に発生する発光または別途の光源を用いて光触媒を活性化させることにより、放電生成物を除去する方法が提案されている。更に、特許文献3では、光触媒を活性化させるための光源としてプラズマ発光を用いた構成が提案されている。
【0005】
また更に、特許文献4では、揮発性有機化合物(VOC)などを分解するための方法として、外光や露光の光を切り替えて直接的に光触媒を活性化させる方法が提案されている。また更に、特許文献5では、外光や露光の光を直接利用する代わりに、例えば感光体の除電用の光などを組み合わせて蓄光部材を用いた発光を行い、光触媒の活性化を行う方法が提案されている。
【0006】
また更に、特許文献6では、帯電ローラの表面層に光触媒物質を混合する方法が提案されている。この方法の場合、放電生成物が発生する最近接部位に光触媒物質を配置することが可能である。また更に、特許文献7及び特許文献8では、現像剤にオゾン吸収剤や光触媒物質を混ぜることで、発生した放電生成物を除去する方法が提案されている。
【特許文献1】特開平6−317974号公報
【特許文献2】特開2000−356892号公報
【特許文献3】特開2006−350020号公報
【特許文献4】特開2005−309280号公報
【特許文献5】特開2007−229036号公報
【特許文献6】特開2000−356931号公報
【特許文献7】特開平6−148931号公報
【特許文献8】特開2001−83782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、以上の先行技術では、それぞれ次のような課題があった。
例えば、特許文献1に開示された構成では、放電生成物を除去するフィルタを積極的に活性化する機構が特に設けられていないので、時間の経過と共にフィルタの放電生成物除去能力が減衰してしまい、放電生成物の除去能力を維持するためには頻繁にフィルタを交換する必要があり、ユーザにとって交換作業が増え負担となる。
また、特許文献2や特許文献3に開示された構成では、光触媒の活性化に用いる光が感光体にも照射されてしまうので、光触媒の活性化の繰り返しに伴って、感光体の少なくとも表面層にも光疲労が蓄積し寿命に悪影響を及ぼすことになる。
【0008】
更に、特許文献4に開示された構成では、用いられている光触媒機構は、画像形成装置全体として揮発性有機化合物(VOC)などを分解し、装置外部への漏洩を防止することが主たる目的であって、必ずしも帯電領域およびその周囲に特化したものではない。このため、画像形成装置の内部としては有害物質の低濃度化が可能であるが、画像形成装置内の帯電領域およびその周囲に注目すると、必ずしも感光体表面に放電生成物が付着する以前に迅速に放電生成物を分解除去できるとは限らない。従って、放電生成物が残留して感光体表面に付着することによる画像不良の発生を防止する上で、必ずしも効果的であるとは言えない。
【0009】
また更に、特許文献5に開示された構成では、蓄光部材を用いていることに起因して、放出光は照射光に比べて必然的に長波長化してしまうという問題と、総発光エネルギーが総受光エネルギーを下回るという問題がある。このため、光触媒の活性化を十分に高めることは難しい。
また更に、特許文献6に開示された構成では、放電生成物が発生する最近接部位で光触媒反応が可能な利点もあるが、帯電ローラとしての特性を維持・確保する必要があるので、積極的に帯電ローラ表面層に光触媒物質を混ぜたり、帯電ローラ表面に光を照射して触媒を活性化することは難しい。例えば、表面層において光触媒を担持させるための物質としてゴムや樹脂を用いるような場合は、ゴムや樹脂自身が光触媒の効果で徐々に分解変質する可能性も想定される。表面層について特殊な材質や製法を用いることで対応を図ることも考えられるが、帯電ローラの製造コストの上昇を招くという問題が生じる。
【0010】
また更に、特許文献7及び特許文献8にそれぞれ開示された構成では、放電生成物を除去するための物質を現像剤に多量に混合できないという問題がある。特に、カラー機やデジタル機においては、放電生成物除去部材の色の問題や、要求される画質レベル(階調性、粒状性など)が厳しいために、放電生成物を除去するための物質の混合可能量について、さらに厳しい制限がある。
【0011】
本発明は、以上の諸問題に鑑みてなされたもので、感光体の光疲労を招くことなく、光触媒に光を照射してその活性化を図り、帯電工程において帯電領域に発生するオゾンや窒素酸化物などの放電生成物を効果的に分解し迅速に減少せしめることができるようにする、ことを基本的な目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このため、本発明に係る画像形成装置は、感光体と、該感光体を帯電するための帯電器とを備えた画像形成装置であって、前記帯電器の内部に配置された光触媒と、該光触媒を活性化させるための光を放出する光源とを有すると共に、該光源から放出される光が前記感光体に直接に照射されることを規制する規制機構が設けられている、ことを特徴としたものである。
この構成によれば、光源から放出される光が前記感光体に直接に照射されることが規制され、感光体の光疲労を防止した状態で、光触媒の活性化を行うことができる。
【0013】
この場合において、前記光触媒は、塗布膜状およびシート状の少なくとも何れか一方の状態で、帯電器の内部に配置されている、ことが好ましい。
この構成によれば、光照射による活性化が容易で、また、光触媒の配置面積を広く確保することができ、触媒反応および再活性化反応をより効果的に進行させることが可能となり、放電生成物の分解をより促進することができる。
【0014】
以上の場合において、光触媒が可視光応答性の光触媒であることが、より好ましい。
この構成によれば、光触媒の活性化させるための光について、紫外線ではなくて可視光線領域の光を用いた構成とすることができるので、光源についても価格の低減や構造の簡素化を図ることが可能になる。
【0015】
また、以上の場合において、前記光源が、それ自体が発光する自発発光光源または別途に集光した光を誘導して放出する光源であってもよい。
この構成によれば、光触媒の活性化させるための光を放出する光源について、その種類や配置についての設定の自由度を高めることができる。また、帯電器の外部から集光した光も利用可能となるので、積極的に光量の増加を図って光触媒の活性化状態をより高めることができるようになる。
【0016】
更に、以上の場合において、前記帯電器で用いる帯電方式は、コロナ帯電方式,スコロトロン帯電方式,ローラ帯電方式およびブラシ帯電方式の何れでもよい。
従って、前記帯電方式の中から、求められる帯電特性など所要の条件に適応した帯電方式を選択した場合において、前述の作用効果を奏することができ、それぞれの帯電方式に応じて、感光体に対し画質維持に好適な帯電を行い、画質レベルの維持を図ることができる。
【0017】
また更に、前記帯電部位の空気を光触媒表面に誘導するための気流を発生させる気流発生機構を更に備えている、ことがより好ましい。
この構成によれば、帯電部位で発生した放電生成物を含む空気を積極的に光触媒表面に誘導することができるので、光触媒による放電生成物の分解をより迅速かつ効率良く行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、帯電器の内部に配置された光触媒に対して、光源から放出される光が感光体に直接に照射されることが規制された状態で、光触媒を活性化させるための光を照射することができる。つまり、照射する光の波長や光量に関係なく、感光体の光疲労を防止した状態で、光触媒に光を照射して当該光触媒の活性化を行うことができる。この結果、帯電部位で発生した放電生成物を効果的に分解し迅速に減少せしめることができ、放電生成物が残留して感光体表面に付着することに起因する「白抜け」や「像流れ」或いは「地肌かぶり」等の画像不良の発生を、有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。まず、本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成およびその作動の概略について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す説明図である。この図に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、例えば、中間転写体10上に各色の画像を形成し、記録媒体(用紙)Pに一括して転写しフルカラー画像を出力する、所謂タンデム方式のフルカラー電子写真方式のもので、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の作像ユニット2Y,2M,2C,2Kが、例えばベルト状の中間転写体10に沿って直列に配置されている。
【0020】
前記4色の作像ユニット2Y,2M,2C,2Kは、実質的に同一の基本構成を備えており、例えばイエロー(Y)用のものを例にとって、図2に詳しく示すように、各作像ユニット2Y(2M,2C,2K)には、像担持体(感光体)3Y(3M,3C,3K)の表面を一様に帯電させて所要の電位を形成するための帯電装置4Y(4M,4C,4K)と、この帯電装置4Y(4M,4C,4K)によって所望の電位に帯電された感光体3Y(3M,3C,3K)に、所定の静電潜像を形成するために光を照射する像露光装置5Y(5M,5C,5K)と、静電潜像が形成された領域にトナーといわれる粉体を電界などによって付着させて鏡像化するための現像装置6Y(6M,6C,6K)と、を備えている。
【0021】
また、各作像ユニット2Y(2M,2C,2K)には、前記感光体3Y(3M,3C,3K)から中間転写体10へのトナーの移動が完全には行われず、感光体3Y(3M,3C,3K)上にトナーが僅かながら残ってしまう場合があるので、かかる場合に、感光体3Y(3M,3C,3K)上に残留した残留トナーを感光体3Y(3M,3C,3K)上から、電気的・機械的に除去するための清掃装置7Y(7M,7C,7K)が備えられ、更に、感光体3Y(3M,3C,3K)上に帯電・露光・現像・清掃の各処理を順次施すことによって電位的にばらついた状態を、光によって消去・略リセット電位にするための除電装置8Y(8M,8C,8K)が配置されている。
【0022】
画像形成装置1には、鏡像化された感光体3Y,3M,3C,3K上のトナーを、記録紙などの記録媒体Pへ電界・圧力によって移動させるための前記中間転写体10および転写装置11が設けられると共に、記録媒体P上のトナーを熱や圧力によって永久的に固定するための定着装置12が設けられている。
【0023】
現像装置6Y,6M,6C,6Kから感光体3Y,3M,3C,3K上の静電潜像にトナーが顕像化されてトナーが消費されると、トナーカートリッジといわれる各色用の現像剤収容器16Y,16M,16C,16Kから、消費された分を補う量のトナーが補給される。このため、トナーカートリッジ16Y,16M,16C,16Kはトナーカートリッジ収納部15に装着されており、各色用のトナーは、各トナーカートリッジ16Y,16M,16C,16Kからトナーカートリッジ収納部15を経由して、現像装置6Y,6M,6C,6Kなどへトナー等の現像剤が供給される。
【0024】
本実施形態に係る画像形成装置1は、このようにして極めて長期間にわたって画像形成が行えるよう構成されているが、使用環境の変化やユーザの使用頻度などにより画像が劣化してしまう場合があるので、画像品位を一定に保つために、画像調整用センサ17が配設され、該センサ17の検出値に応じて画像調整を行う画像調整制御モードが搭載されている。
【0025】
また、具体的には図示していないが、画像形成装置1には、当該画像形成装置1に関係する構成要素を制御するための制御ユニットが設けられている。この制御ユニットは、例えばマイクロコンピュータを主要部として構成されており、前述の作像ユニット2Y,2M,2C,2K内の各構成要素,中間転写体10,転写装置11,定着装置12などを含む種々の制御要素の駆動機構が信号授受可能に接続されている。また、前述の画像調整用センサ17を含む種々のセンサ類の検出信号なども入力されるようになっている。
尚、以上のような構成を備えた画像形成装置1の基本的な作動および制御等は、従来よく知られたものと同様のものであるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0026】
画像形成に関するプロセスのうちで、本発明に直接に関係しない構成や機構については、種々の目的に応じて最適な構成や機構を選択することができるものであり、特に図1あるいは図2の構成に限定されるものではない。
例えば、感光体3Y,3M,3C,3Kについては、特に製造方法,表面層等の構成や組成を限定するものではなく、プロセス速度や帯電方式に応じて、種々の方法が適用できるものである。ただし、耐摩耗性に優れた表面処理を適用すれば、寿命を延ばすことが可能であり、感光層の厚さの変化に伴う感度変化の調整に関する画像調整制御の頻度を減らすことも可能になり、発明の効果を更に高めることができる。具体的には、無機感光体の使用や耐摩耗性に優れた樹脂を表面層に用いた有機感光体の適用などが該当するが、これらに限定されるものではない。勿論、使用頻度の高い特定の色についてのみ、耐摩耗性を強化した処理を適用したり感光体の大きさを変えることも可能である。
【0027】
また、トナーについても、特に製造方法,樹脂の種類,添加剤の種類や帯電調整剤の種類などを限定するものではなく、必要な帯電性能,色再現性,転写性,定着性などに応じて、種々の公知の方法を適用できる。ただし、重合トナーを用いれば、画質をさらに向上することができるので、発明の効果を更に高めることができる。
【0028】
現像装置6Y,6M,6C,6K、転写装置11,清掃装置7Y,7M,7C,7Kあるいは除電装置8Y,8M,8C,8Kについても、種類や配置あるいは構成や制御方法を特に限定するものではなく、必要な画質や画像形成速度や用いる記録媒体Pの種類に応じて、種々の方法を適用できる。
例えば、現像装置6Y,6M,6C,6Kについては、図1及び図2においては感光体3Y,3M,3C,3Kと同数を設置しているが、感光体1本に対して複数の現像装置を対応させる構成も可能である。
【0029】
転写装置11についても、必要な画質や画像形成速度を確保できるならば、中間転写体10の使用にこだわるものではなく、記録媒体P上へ直接に転写を行う方式を採用してもよい。清掃装置7Y,7M,7C,7Kについても、種類や方法を特に限定するものではなく、必要な画質を確保できるならば、省略も可能である。除電装置についても、種類や方法を特に限定するものではなく、必要な画質を確保できるならば、省略した構成も可能である。
【0030】
本実施形態では、感光体3Y,3M,3C,3Kの光疲労を招くことなく、光触媒に光を照射してその活性化を図り、帯電工程において帯電領域に発生するオゾンや窒素酸化物などの放電生成物を効果的に分解し迅速に除去できるようにするために、光触媒に光を照射する際に、この照射光が感光体3Y,3M,3C,3Kの表面を少なくとも直接に照射することがないように、帯電装置4Y,4M,4C,4Kが構成されている。
【0031】
次に、本実施形態に係る帯電装置の具体構成について説明する。
尚、前述の説明から明らかなように、前記4色の作像ユニット2Y,2M,2C,2Kは、実質的に同一の基本構成を備え、色の違いを除いては同一の作用をなすものである。従って、以下の帯電装置の説明においては、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の4色の色の違いを表示するアルファベット符号(Y,M.C,K)を付すことなく、数字符号のみで表示することとする。つまり、以下の説明は、各色用の構成について全て共通である。
【0032】
図3は、前記画像形成装置1に用いられる帯電装置4の第1実施例に係る具体構成を拡大して示す断面説明図である。
この図に示すように、第1実施例に係る帯電装置21は、非接触放電方式で少なくともコロナ電極とグリッド電極とを備えた所謂スコロトロンタイプのもので、被帯電物(つまり感光体3)の表面に対向する側が開口したケース体B1(所謂、シールドケース)を備え、その内部の例えば略中央に、例えば鋸歯状の電極Dが配設され、ケース体B1の開口部H1に所謂グリッド電極Gが配置されている。鋸歯電極Dは、図3における紙面に垂直な方向に伸長している。この電極Dとしては、鋸歯状に限られるものではなく、例えばワイヤ状など、他の形態のものを用いることができる。尚、矢印aは感光体3の回転方向を示している。
【0033】
このタイプの帯電装置21では、前記ケース体B1は、装置全体の収納ケースとしての役割と、電位安定作用を有する安定板としての役割とを果たすもので、本実施例では、感光体3の表面に対向する側が開口した矩形の断面形状を有している。
本実施例では、帯電工程で発生するオゾンや窒素酸化物などの放電生成物を分解するために、光触媒J1と、該光触媒J1を活性化させるための光を放出する光源S1とが、帯電装置21の内部に配置されている。
【0034】
具体的には、ケース体B1の内壁面(つまり、左右の側壁Bd,Bu及び奥壁Bwの内面)に塗布膜状またはシート状の光触媒J1が配置され、ケース体B1内壁面のグリッド電極Gに近接した箇所に光源S1が配置されている。
光触媒J1を塗布膜状またはシート状としたことにより、光照射による活性化をより容易とし、光触媒J1の配置面積を広く確保することができる。これにより、触媒反応および再活性化反応をより効果的に進行させることが可能となり、放電生成物の分解をより促進することができる。尚、光触媒J1の配置領域としては、帯電工程での帯電部位(つまり、感光体3の表面)にできるだけ面した領域を含むことが好ましい。
【0035】
本実施例では、光源S1から放出される光が感光体3に直接に照射されることを規制するために、光源S1の感光体3に近い側に、光源S1から放射される光を遮蔽する所定幅の小壁部材W1が配設されている。この実施例では、光源S1及び小壁部材W1は、感光体3の回転方向(矢印a方向)における上流に対応した側に設けられている。尚、図3に示した例では、小壁部材W1は光源S1の外側に設置されているが、光照射領域A1を規定するための部材を光源S1と一体化して設置することもできる。
【0036】
この小壁部材W1を設けたことにより、光源S1から放射される光は、感光体3に直接に照射されることはなく、図3において斜線ハッチングで概略的に示した照射領域A1のみに光が照射されることになる。小壁部材W1は、ケース体奥壁Bwと実質的に平行な方向に伸長しており、光照射領域A1は、この小壁部材W1の伸長方向と、ケース体Bの奥壁Bw及び左右の側壁Bd,Buで規定される範囲に制限され、感光体3側に光が向かうことが防止されている。
【0037】
そして、この照射領域A1に対応するケース体B1内壁面には、前述のように、塗布膜状またはシート状の光触媒J1が配置されており、この光触媒J1が光源S1からの照射光によって活性化されるようになっている。すなわち、光源S1から放出される光が感光体3に直接に照射されることが規制され、感光体3の光疲労を防止した状態で、光触媒J1の活性化を行うことができるのである。
【0038】
以上、説明したように、本実施例によれば、帯電装置21の内部に配置された光触媒J1に対して、光源S1から放出される光が感光体3に直接に照射されることが規制された状態で、光触媒J1を活性化させるための光を照射することができる。つまり、照射する光の波長や光量に関係なく、感光体3の光疲労を防止した状態で、光触媒J1に光を照射して当該光触媒J1の活性化を行うことができる。この結果、帯電部位で発生した放電生成物を効果的に分解し迅速に減少せしめることができ、放電生成物が残留して感光体3表面に付着することに起因する「白抜け」や「像流れ」或いは「地肌かぶり」等の画像不良の発生を、有効に防止することができるのである。
【0039】
尚、この第1実施例を含めて以下に説明する全ての実施例においては、光源に関連した配線や、光源の安全性を確保するために必要な絶縁部材等についての表示を省略しているが、実施に際しては、前述の作用効果に特に影響を及ぼさない範囲で、所要の配線や絶縁部材などを配置することができる。
【0040】
前記光源S1の種類としては、光触媒J1の活性化において必要な波長について、光量が十分であれば特に差支えはない。
例えば、光触媒J1が通常のアナターゼ型二酸化チタンから成る場合であれば、活性化に必要な波長が380nm未満であるので、波長380nm未満の光を多<含む光源S1を用いれば、活性化効率を上昇させることができる。
これに該当する光源S1としては、例えば紫外光LED(ブラックライト等に使用される光源)や水銀灯やキセノンランプなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、太陽光(波長380nm未満の光の比率4パーセント)のように波長380nm未満の光を含む光源であれば特に問題はない。
【0041】
また、光触媒J1として、異種元素や異種アニオンや異種カチオンをドープした二酸化チタンを用いる場合であれば、可視領域の光に対しても触媒活性を有することが知られている。例えば、Nドープ型二酸化チタンを用いる場合であれば、波長400〜520nm領域の可視光の場合でも光吸収性があるので、光触媒J1の活性化に必要なエネルギをさらに低減することができる。従って、この場合には、前述の紫外光LEDや水銀灯やキセノンランプ以外にも、例えば青色LED(発光中心波長=450〜470nm)や緑色LED(発光中心波長=520nm)などを用いた構成や、その他の白色光光源を用いた構成も可能である。
【0042】
Sドープ型の二酸化チタンを用いる場合や、Cドープ型の二酸化チタンを用いる場合や、Crなどの遷移金属ドープ型の二酸化チタンを用いる場合でも、可視光領域の光吸収性を得ることができる。塩化白金酸を用いて白金を二酸化チタン表面に修飾した場合の光触媒でも、可視光領域の光吸収性を得ることができる。
【0043】
このように、可視光応答性の光触媒を用いた場合には、光触媒の活性化させるための光について、紫外線ではなくて可視光線領域の光を用いた構成とすることができるので、光源についても価格の低減や構造の簡素化を図ることが可能になる。
【0044】
本発明で用いる光触媒と光源の組み合わせは、照射光のエネルギが光触媒の活性化に必要なエネルギを充足するかどうかに注目して決まるものである。従って、光触媒については、特に二酸化チタンを含むことを限定するものではない。本発明で用いる光触媒の形状としては、触媒反応をより有効に進めるための面積の確保と、光照射による活性化の容易性を両立する意味で考えると、塗布膜状またはシート状などの形状が特に好適である。しかし、これらの形状に限定されるものではない。
【0045】
また、本発明で用いる光源の駆動方法としては、画像形成装置1を動作させるための電源を用いて駆動する方法が簡単であるが、特にこれに限定されるものではない。
更に、本発明で用いる光源としては、特に限定しないが、画像形成装置1の内側に余分のスペースが少ないことや、光触媒の近傍への配置の必要性などを考えると、例えばLEDや有機ELのような省スペース化に有利な光源を用いることが好ましい。或いは、光ファイバを用いて外部から光を導入し、光源として光ファイバの出口を配置するようにすることもできる。外部の光としては、例えば、スキャナ光源や画像形成装置を配置した環境の外光なども利用することができる。
【0046】
このように、光源として、通常のランプのようにそれ自体が発光する自発発光光源だけでなく、光ファイバ等で別途に集光した光を誘導して放出する光源も用いることができるので、光触媒の活性化させるための光を放出する光源について、その種類や配置についての設定の自由度を大いに高めることができる。また、帯電装置の外部から集光した光も利用可能となるので、積極的に光量の増加を図って光触媒の活性化状態をより高めることができるようになる。
【0047】
また、本発明で用いる光源の点灯動作は、発生する放電生成物を分解する必要から、少なくとも画像形成動作の間に1回の点灯を行う必要があるが、画像形成動作が完了するまで連続点灯を行ってもよいし、或いはパルス光を複数回点灯させるようにしてもよい。
更に、画像形成動作の終了と同時に光源を停止するようにしてもよいし、或いは、画像形成動作の終了後において放電生成物の量を十分に減少できるまで点灯を行うようにしてもよい。放電生成物の残存量に応じて、制御方法を変更してもよい。光源が画像形成装置を配置した環境の外光をそのまま誘導し利用する方式の場合であれば、絶えず光を照射したままの構成でもよい。
【0048】
本発明の場合は、光触媒の活性化に用いる光が直接に感光体に照射されることがないので、光の波長や光量の値にかかわらず、感光体に対する影響がない。このため、光源の種類や配置や能力の選定においては、光触媒による分解能力の下限を満たすような設計であればよい。つまり、感光体の光疲労や帯電性変化も想定しなくてよいので、画像形成装置の設計においても有利である。
【0049】
また、本発明においては、光触媒の効率を高めるためには、長手方向において連続的または複数の場所に光源を配置して、長手方向において連続的または複数の場所に光触媒を配置することが望ましいが、光触媒の効果に問題がないならば、光源と光触媒を長手方向の少なくとも一箇所に集約配置する方法を採用してもよい。光源を長手方向において連続的または複数の場所に配置する場合には、長手方向の特定部位の光源配置密度を増加させる目的で、長手方向において光源の配置密度や光源の規格を変更するようにしてもよい。
【0050】
光触媒についても、長手方向の特定部位の能力を増加させる目的で、長手方向において光触媒の配置密度や光触媒の規格を変更することも可能である。
図3に示した第1実施例では、ケース体B1の内壁に光源S1を配置しているが、この配置の場合であれば、放電の影響を避けるためには、光源S1および該光源S1に付属する部材(電源ケーブルなど)については、絶縁性の部材で周囲を覆い、発光表面についても絶縁性の透明部材で保護することが望ましい。
【0051】
図3に示した前記第1実施例の構成は、光源や光触媒の配置などについて種々の変更が可能である。次に、本発明の他の実施例について説明する。尚、以下の説明において、図3に示した第1実施例における場合と実質的に同様の構成を備え同様の作用をなすものについては、同一の符号を付し、それ以上の説明は主略する。
【0052】
図4〜図9は、第1実施例の構成に対し光源や光触媒の配置を変更した第2実施例〜第7実施例の具体構成を示す断面説明図である。
図4に示す第2実施例に係る帯電装置22は、光源S1及び小壁部材W1の配置を変更したものである。第1実施例では、光源S1及び小壁部材W1は、感光体3の回転方向(矢印a方向)における上流に対応した側のケース体側壁Buに設けられている。これに対して、この第2実施例では、光源S1及び小壁部材W1が、感光体3の回転方向における下流に対応した側のケース体側壁Bdに設けられている。
【0053】
この第2実施例に係る帯電装置22は、光源S1及び小壁部材W1を感光体3の回転方向における下流に対応した側に設けた点を除いては、第1実施例に係る帯電装置21と同じである。従って、第1実施例における場合と、同様の作用効果を奏することができる。
【0054】
図5,図6に示す第3,第4実施例に係る帯電装置23,24では、光源S1及び小壁部材W1がそれぞれ2組ずつ設けられている。
第3実施例(図5参照)の帯電装置23では、感光体3の回転方向(矢印a方向)における上流に対応した側のケース体側壁Buにおいて、第1実施例と同じくグリッド電極Gに近接した箇所に光源S1及び小壁部材W1が設けられるだけでなく、この箇所とケース体B1の奥壁Bwとの略中間位置にも、同様の光源S2と小壁部材W2とが配設されている。
【0055】
一方、第4実施例(図6参照)の帯電装置24では、ケース体B1内壁部のグリッド電極Gに近接した箇所について、感光体3の回転方向(矢印a方向)における上流に対応した側と下流に対応した側の両方のケース体側壁Bu,Bdに、それぞれ光源S1及び小壁部材W1,光源S2及び小壁部材W2が配設されている。
【0056】
このように、光源S1,S2及び小壁部材W1,W2を2組ずつ設けたことにより、光照射領域A1(斜線ハッチング)内をより均一に照射することが可能になる。また、光量がより低い光源S1,S2を採用することも可能になる。或いは、グリッド電極Gに近接した(つまり、感光体3に近接した)箇所に配置する光源S1の光量を低くし、グリッド電極Gから離間した(つまり、感光体3から離間した)箇所に配置する光源S2の光量を高くするなど、2つの光源S1,S2の特性を変えるようにしてもよい。
【0057】
図7に示す第5実施例に係る帯電装置25では、鋸歯電極Dとケース体B1の一方の側壁Buとの間に光源S1が配置され、鋸歯電極Dを挟んで反対側の側壁Bdとの間に、塗布膜状またはシート状の光触媒J2を支持する触媒支持板Eが配置されている。光源S1からの光が感光体3に照射されることを規制する小壁部材W3は、光触媒J2及び触媒支持板Eに面した側のみが開口したコ字状断面を有している。従って、光源S1から放射された光は触媒支持板E上に支持された光触媒J2のみに向かうので、光照射領域A2(斜線ハッチング)はかなり狭く制限される。勿論,光源S1からの光が感光体3を直接に照射することはない。
【0058】
この場合には、光源S1から光触媒J2に至る距離を短くでき、また、光照射領域A2が狭いので、光源S1の出射光量が同じであれば、より効率良く光触媒J2を照射し活性化させることができる。
【0059】
図8に示す第6実施例に係る帯電装置26では、ケース体B1の奥壁Bwと一方(図8における右方)の側壁Buとが交差する隅部に対角線の方向に延びる小壁部材W4が配設されており、この小壁部材W4とケース体奥壁Bwとで形成された鋭角状の空間部に光源S1が配置されている。
【0060】
この場合、小壁部材W4は、奥壁Bwと側壁Buとの交差部から対角線方向に伸長しており、光照射領域A3(斜線ハッチング)は、小壁部材W4の伸長方向と、ケース体B1の奥壁Bw及び左側壁Bdで規定される三角形状の範囲に制限される。従って、光源S1からの光が感光体3を直接に照射することはない。また、ケース体B1の右側の側壁Buの内面には、光触媒J3は配置されていない。
【0061】
図9に示す第7実施例に係る帯電装置27では、ケース体B1の奥壁Bw内面の左右方向における略中央部分に、光源S1が配置されている。そして、この光源S1と鋸歯電極Dとの間で比較的光源S1に近い側に、奥壁Bwと実質的に平行に延びる小壁部材W5が配設されている。
この場合、光照射領域A4(斜線ハッチング)は、小壁部材W5の左右端部と光源S1とを結ぶ線と、ケース体B1の奥壁Bw及び左右の側壁Bd,Buで規定される2つの三角形状の範囲に制限されており、光源S1からの光が感光体3を直接に照射することはない。
【0062】
図10に示す第8実施例に係る帯電装置28では、ケース体B2の外側に光源S1が配置されている。すなわち、ケース体B2の例えば右側の側壁Buの外側に、取付部材Fを介して光源S1が取り付けられている。光源S1から放射された光は、取付部材F及び側壁Buに設けられた開口h5を通してケース体B2の内部を照射する。
【0063】
この場合、光照射領域A5(斜線ハッチング)は、取付部材F及び側壁Buに設けられた開口h5の周縁形状で定まる放射角とケース体B2の左側の側壁Bdとで規定される、三角形に近い台形状の範囲に制限される。従って、光源S1からの光が感光体3を直接に照射することはない。また、光触媒J5は、ケース体Bの左側の側壁Bdの内面にのみ配置されている。
【0064】
図11に示す第9実施例に係る帯電装置29は、帯電部位の空気を光触媒J6の表面に誘導するための気流を発生させる気流発生機構を備えている。すなわち、ケース体B3の例えば奥壁Bwの中央部分に開口部Bhが形成され、この開口部Bhに気流配管Qhの一端側が繋ぎ込まれている。この気流配管Qhの他端側は、例えば吸引ファン等の気流発生装置(不図示)に接続されている。
【0065】
帯電装置29の内部には、第1実施例と同様に光源S1及び小壁部材W1が配設されている。光触媒J6の配置構造は、奥壁Bwの中央部分の前記開口部Bhに対応する領域に光触媒が配置されない点を除いては、第1実施例と同様である。尚、この場合、光照射領域A6(斜線ハッチング)は、気流配管Qhの内部にも及ぶことになる。
【0066】
気流発生装置(不図示)を駆動して、開口部Bhから帯電部位の空気を吸引することにより、帯電部位に気流を発生させ、帯電部位で発生した放電生成物を含む空気を積極的に光触媒J6の表面に誘導することができる。これにより、光触媒J6による放電生成物の分解をより迅速かつ効率良く行うことができるのである。
尚、前記開口部Bh及び気流配管Qhは、ケース体B3の長手方向(図11における紙面に垂直な方向)について複数設けることができ、その数や大きさは、気流の発生に支承がない限り、特に限定されるものではない。
【0067】
スコロトロンタイプの帯電装置21〜29を例にとった以上の第1〜第9実施例においては、光触媒以外の帯電装置に関する構成については、特に限定するものではなく、変更した構成も実施可能である。例えば、各電極の形状や数を変更した構成や、グリッド電極Gを配置しない構成や、安定板としてのケース体B1〜B3の断面形状を変更する構成も可能である。帯電装置の制御に関しても、特に限定されるものではない。
【0068】
図12に示す第10実施例に係る帯電装置30は、所謂ローラ帯電方式のもので、被帯電物(つまり感光体3)の表面に対向する側が開口した収納ケースB10内に、帯電ローラR1と、該帯電ローラR1の表面部を清掃するための清掃ローラR2とを収納して構成されている。尚、このタイプの帯電装置30では、前述のスコロトロンタイプのものとは異なり、収納ケースB10は、電位安定作用を有するものではなく、専ら装置全体の収納ケースとしての役割を果たすものである。
【0069】
収納ケースB10の内壁に、塗布膜状またはシート状の光触媒J10を配置し、且つ、光触媒J10に対して光を照射するための光源S1を、収納ケースB10の内壁(本実施例では、奥壁Bw)に配置している。
この場合、光照射領域A10(斜線ハッチング)は、基本的には、帯電ローラR1の外周部あるいはこれに加えて清掃ローラR2の外周部と光源S1との位置関係によって規定され、光源S1からの光は、収納ケースB10の開口部H10に位置する帯電ローラR1によって、感光体3に直接に照射することが規制されている。
【0070】
この第10実施例では、前記帯電ローラR1は、感光体3の表面に対して僅かな隙間を伴って設置しているが、帯電ローラR1を感光体3の表面に直接に接触させてもかまわない。収納ケースB10は、感光体3の回転の障害にならないための必要な最小限の空間を残して、帯電ローラR1を覆う形で配置されている。
【0071】
この場合、放電生成物が収納ケースB10の外部に漏洩することを防止できるので、より効率的に光触媒J10を用いた放電生成物の分解が可能である。
尚、この第10実施例では、帯電ローラR1を清掃するためのローラ状清掃部材R2が1本配置されているが、清掃部材の有無および種類,形状,数,電気的制御の有無などについては、光触媒J10による放電生成物の分解反応の障害にならない限り、特に限定されるものではなく、種々の公知の方式を採用することができる。
【0072】
図13に示す第11実施例に係る帯電装置31は、所謂ブラシ帯電方式のもので、被帯電物(つまり感光体3)の表面に対向する側が開口した収納ケースB11内に、帯電ブラシV1と、該帯電ブラシVR1の表面部を清掃するための清掃ブラシV2とを収納して構成されている。尚、このタイプの帯電装置31では、前述の第10実施例のものと同じく、収納ケースB11は、電位安定作用を有するものではなく、専ら装置全体の収納ケースとしての役割を果たすものである。
【0073】
収納ケースB11の内壁に、塗布膜状またはシート状の光触媒J11を配置し、且つ、光触媒J11に対して光を照射するための光源S1を、収納ケースB11の内壁(本実施例では、奥壁Bw)に配置している。
この場合、光照射領域A11(斜線ハッチング)は、基本的には、帯電ブラシV1の外周部あるいはこれに加えて清掃ブラシV2の外周部と光源S1との位置関係によって規定され、光源S1からの光は、収納ケースB11の開口部H11に位置する帯電ブラシV1によって、感光体3に直接に照射することが規制されている。
【0074】
この第11実施例では、前記帯電ブラシV1は、感光体3の表面に対して僅かな隙間を伴って設置しているが、帯電ブラシV1を感光体3の表面に直接に接触させてもかまわない。収納ケースB11は、感光体3の回転の障害にならないための必要な最小限の空間を残して、帯電ブラシV1を覆う形で配置されている。
【0075】
この場合においても、放電生成物が収納ケースB11の外部に漏洩することを防止できるので、より効率的に光触媒J11を用いた放電生成物の分解が可能である。
また、この第11実施例では、帯電ブラシV1を清掃するためのブラシ状清掃部材V2が1本配置されているが、清掃部材の有無および種類,形状,数,電気的制御の有無などについては、光触媒J11による放電生成物の分解反応の障害にならない限り、特に限定されるものではなく、種々の公知の方式を採用することができる。
【0076】
以上のように、本実施形態で用いる帯電装置の帯電方式は、コロナ帯電方式,スコロトロン帯電方式,ローラ帯電方式およびブラシ帯電方式の何れでもよい。これら帯電方式中から、求められる帯電特性など所要の条件に適応した帯電方式を選択した場合において、感光体の光疲労を防止した状態で光触媒の活性化を行うことができるという、前述の作用効果を奏することができ、それぞれの帯電方式に応じて、感光体に対し画質維持に好適な帯電を行い、画質レベルの維持を図ることができる。
【0077】
何れの帯電方法を用いる実施例においても、明示された実施例に限定されるものではなく、種々の変更や修正が可能である。要するに、光源からの光が感光体に直接に照射されることが規制される形態であればよく、例えば、光源の配置,光源の種類,光触媒の種類,光触媒の配置方法,気流発生機構の付加の有無などについては、自由に変更や修正が可能である。帯電部位から発生した放電生成物が、安定板としてのケース体や収納ケースの外側に漏洩することが避けられない場合には、画像形成装置の内側のその他の部位に光触媒を用いた放電生成物の分解機構を別途に配置することもできる。帯電装置についても、帯電装置の性能の改善や維持を目的として、構成や部材あるいは制御方法を変更・修正することが可能である。
【0078】
このように、本発明は、以上の実施形態やその変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更や修正を加え得るものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す説明図である。
【図2】前記画像形成装置に備えられた作像ユニットの概略構成を拡大して示す説明図である。
【図3】前記画像形成装置に用いられる帯電装置の第1実施例に係る具体構成を拡大して示す断面説明図である。
【図4】第2実施例に係る帯電装置の具体構成を示す断面説明図である。
【図5】第3実施例に係る帯電装置の具体構成を示す断面説明図である。
【図6】第4実施例に係る帯電装置の具体構成を示す断面説明図である。
【図7】第5実施例に係る帯電装置の具体構成を示す断面説明図である。
【図8】第6実施例に係る帯電装置の具体構成を示す断面説明図である。
【図9】第7実施例に係る帯電装置の具体構成を示す断面説明図である。
【図10】第8実施例に係る帯電装置の具体構成を示す断面説明図である。
【図11】第9実施例に係る帯電装置の具体構成を示す断面説明図である。
【図12】第10実施例に係る帯電装置の具体構成を示す断面説明図である。
【図13】第11実施例に係る帯電装置の具体構成を示す断面説明図である。
【符号の説明】
【0080】
1 画像形成装置
2Y,2M,2C,2K 作像ユニット
3(3Y,3M,3C,3K) 感光体
4Y,3M,3C,3K,21〜31 帯電装置
A1〜A6,A10,A11 光照射領域
B1,B2,B3 ケース体
B10,B11 収納ケース
Bh (ケース体の)開口部
J1〜J3,J5,J6,J10,J11 光触媒
S1,S2 光源
Qh 気流配管
R1 帯電ローラ
V1 帯電ブラシ
W1〜W5 小壁部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、該感光体を帯電するための帯電器とを備えた画像形成装置であって、
前記帯電器の内部に配置された光触媒と、該光触媒を活性化させるための光を放出する光源とを有すると共に、
該光源から放出される光が前記感光体に直接に照射されることを規制する規制機構が設けられている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記光触媒が、塗布膜状およびシート状の少なくとも何れか一方の状態で、前記帯電器の内部に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記光触媒が可視光応答性の光触媒である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記光源が、それ自体が発光する自発発光光源または別途に集光した光を誘導して放出する光源である、ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記帯電器で用いる帯電方式が、コロナ帯電方式,スコロトロン帯電方式,ローラ帯電方式およびブラシ帯電方式の何れかである、ことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電部位の空気を光触媒表面に誘導するための気流を発生させる気流発生機構を更に備えている、ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−39245(P2010−39245A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202697(P2008−202697)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】