説明

画像形成装置

【課題】装置本体を被覆するとともに装置本体に開閉可能に支持された隔壁にトナー回収ユニットを着脱自在に支持させることで画像形成装置の大型化を抑制しつつ、トナー回収ユニットの着脱作業もスムーズに行なうことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は画像形成ステーション20K、20C、20M、20Y、トナー回収ユニット30、位置決めユニット40を備える。画像形成ステーション20K〜20Yは各導管4Aを経てトナーを排出する。位置決めユニット40は回転ノブ40B、40Cを有する。回転ノブ40B、40Cは被覆位置で画像形成装置100に係合する固定位置と係合しない解除位置との間で回転する。トナー回収ユニット30は位置決めユニット40を挟んで画像形成ステーション20K〜20Yに面し且つ導管4A、65Aに接続する装着位置で摘み40P、40Qに嵌合する係合部39B、39Cを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙に画像形成処理を行なうとともに、画像形成処理で残留したトナーを排出する導管を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置では、画像形成処理に使用して劣化したトナーを回収するトナー回収ユニットを備えている。トナー回収ユニットは、画像形成部に着脱自在に装着され回収したトナーが一定量に達した場合や、メンテナンスを行なう場合に画像形成部から脱着して交換される。
【0003】
このような画像形成装置の中には、廃トナー回収容器(トナー回収ユニット)と、固定レバーと、画像形成部の廃トナー排出孔の開閉を切り替えるシャッタと、シャッタを開位置から閉位置側へ付勢する付勢機構とを備えたものがある。廃トナー回収容器が付勢機構の付勢力に抗して装置奥手側へと押し込まれると、付勢機構の移動に連動してシャッタが閉位置から開位置へ移動し画像形成部の廃トナー排出孔が開放される。廃トナー回収容器は、廃トナー排出孔に連通する位置で固定レバーによって固定される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−77513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に開示された画像形成装置では、廃トナー回収容器を挿入するスペースの周辺に付勢機構と固定レバーを別途設ける必要があり、装置の大型化を招くという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、装置本体を被覆するとともに装置本体に開閉可能に支持された隔壁にトナー回収ユニットを着脱自在に支持させることで画像形成装置の大型化を抑制しつつ、トナー回収ユニットの着脱作業もスムーズに行なうことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の画像形成装置は、装置本体、隔壁、トナー回収ユニットを備えている。装置本体は、画像形成部を備える。画像形成部は、用紙に画像形成処理を行なうとともに画像形成処理で残留したトナーを排出する導管を有する。隔壁は、変位部材が設けられ、被覆位置で装置本体に開閉可能に支持される。変位部材は、画像形成部を被覆する被覆位置で装置本体に係合する固定位置と被覆位置で装置本体に係合しない固定解除位置との間で変位する。トナー回収ユニットは、導管を経由してトナーを回収するトナー回収ユニットであり、隔壁を挟んで画像形成部に面し且つ導管に接続する所定位置において変位部材の端部に形成された係止部に嵌合する嵌合部を有する。
【0007】
この構成では、隔壁の画像形成部に面する側面と反対側の側面でトナー回収ユニットを着脱自在に支持させる。これにより、画像形成装置の大型化を抑制しつつ、トナー回収ユニットの着脱をスムーズに行なうことができる。
【0008】
なお、嵌合部は固定位置に位置しているときにのみ係止部に嵌合可能に形成されるものとすることが好ましい。これにより、隔壁が装置本体に固定されていない状態で、トナー回収ユニットが隔壁に装着されるのを防止することができる。
【0009】
この構成において、隔壁は画像形成部を被覆する被覆位置と画像形成部を露出させる開放位置との間で回動可能に装置本体に支持されるものとすることが好ましい。これにより、隔壁を開放位置に変位させて画像形成部を露出させ、メンテナンス作業を行なうことができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、画像形成装置の大型化を抑制しつつ、トナー回収ユニットの着脱作業を容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の一実施形態に係る画像形成装置(装置本体)100について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
図1は、画像形成装置100の概略の正面断面図である。
【0013】
画像形成装置100は、主として、画像形成処理部110と、自動原稿読取部120と、画像形成処理部110を格納する筐体130とを備え、画像データに応じて用紙に多色及び単色の印刷処理を行なう。
【0014】
自動原稿読取部120は、画像形成処理部110の上部に配置されており、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92を有し、原稿載置台92上に原稿を自動搬送して原稿画像の読み取りを行う。
【0015】
画像形成処理部110は、露光ユニット1、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、画像形成ステーション(画像形成部)20K、20C、20M、20Y、給紙カセット81、手差しトレイ82、排紙トレイ91等を有し、用紙に印刷処理を行なう。画像形成ステーション20K、20C、20M、20Yは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のカラー画像に応じて配置され、ほぼ同一の構成を備えている。ここでは、画像形成ステーション20Kを例に挙げて説明する。
【0016】
画像形成ステーション20Kは、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4を有し、ブラック(K)のカラー画像に応じた潜像を形成する。
【0017】
なお、画像形成ステーション20K、20C、20M、20Yを備える例を挙げて説明しているが、画像形成装置100の仕様に応じたカラーの潜像を形成する画像ステーションを備えるものとすれば良い。
【0018】
現像器2は、背面側端部を筐体130の一部を形成するフレームに支持されている。一方、現像器2には、前面側端部に前面へ突出する突出部2Aが設けられている。
【0019】
クリーナユニット4は、トナーを排出する搬送スクリューと、搬送スクリューが配設された導管4Aとを備え、感光体ドラム3周面に残留したトナーを回収し、導管4Aを経由して排出する。
【0020】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるチャージャ型の帯電器である。
【0021】
露光ユニット1は、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)である。露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。現像器2はそれぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーにより顕像化する。
【0022】
中間転写ベルトユニット6は、感光体ドラム3の上方に配置され、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を有している。上記中間転写ローラ64は、YMCK用の各色に対応して4本設けられている。
【0023】
中間転写ベルトクリーニングユニット65は、トナーを排出する搬送スクリューが配設された導管65Aを備え、中間転写ベルト61に残留しているトナーを導管65A経由で排出する。
【0024】
給紙カセット81は、画像形成に使用する用紙が積層されており、画像形成処理部110の露光ユニット1の下側に設けられている。手差しトレイ82にも画像形成に使用する用紙を置くことができる。画像形成処理部110の上方に設けられている排紙トレイ91は、画像形成処理部110で画像形成処理を行なった用紙を集積するためのトレイである。なお、本実施形態では、画像形成処理部110が手差しトレイ82を備えている例をあげているが、画像形成装置100の仕様に応じて必要が無ければ手差しトレイ82を設けないものとしても良い。
【0025】
画像形成処理部110には、給紙カセット81または手差しトレイ82の用紙を転写ローラ10や定着ユニット7を経由して排紙トレイ91に送る用紙搬送路Lが設けられている。用紙搬送路Lは、給紙カセット81乃至手差しトレイ82から排紙トレイ91に至る搬送路である。
【0026】
用紙搬送路Lは、ピックアップローラ11A、11B、搬送ローラ対12A、レジストローラ対13、転写ローラ10、定着ユニット7,搬送ローラ対12Bが上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。
【0027】
ピックアップローラ11Aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路Lに供給する。ピックアップローラ11Bは、手差しトレイ82の端部近傍に備えられ、手差しトレイ82から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路Lに供給する。
【0028】
レジストローラ対13は、用紙搬送路Lに沿って搬送されている用紙を一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端と用紙の先端を合わせるタイミングで用紙を上流側の中間転写ベルト駆動ローラ62および転写ローラ10から成るローラ対へ搬送する。
【0029】
中間転写ベルト駆動ローラ62および転写ローラ10から成るローラ対は、用紙を狭持搬送して中間転写ベルト駆動ローラ62上に担持されているトナー像を用紙の印刷面に転写するローラ対である。
【0030】
定着ユニット7は、転写ローラ10の直上方に配置されており、ヒートローラ71および加圧ローラ72から成るローラ対を有し、トナー像が転写された用紙を加熱及び加圧して用紙表面にトナー像を定着させる。
【0031】
筐体130は、図1に破線で示す前面パネル131を有している。前面パネル131は、下端に設けられたヒンジを介して前面側へ開閉可能に支持されている。これにより、前面パネル131を開いて各種のメンテナンス作業を行なうことができる。なお、前面パネル131は、長手方向と交差する方向の側端にヒンジを設け前面側へ片開きで開閉するものとしても良い。
【0032】
図2は、前面パネル131を取り外してトナー回収ユニット30が装着(所定)位置に装着されている状態を示す斜視図である。ここで、装着位置とは、後段にて詳述するように被覆位置で固定されている位置決めユニット40の前面側に設けられたトナー回収ユニット30の取り付け位置である。
【0033】
画像形成処理部110は、画像形成ステーション20K、20C、20M、20Yの前面側に画像形成処理部110から排出されるトナーを回収するトナー回収ユニット30と、トナー回収ユニット30を着脱可能に支持する位置決めユニット(隔壁)40、排気ダクト(換気手段)45、換気ユニット(換気手段)45Aをさらに備えている。
【0034】
図3は、トナー回収ユニット30を位置決めユニット40から取り外した状態を示す正面図である。
【0035】
位置決めユニット40は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトクリーニングユニット65の前面側の隔壁の一部を形成している。位置決めユニット40は、長手方向の両下端部に設けられた回転軸42Aおよび回転軸42Bを基点として前面側に回転可能に支持されている。回転軸42Aはフレームに設けられた支持部44に回転自在に軸支されている。一方、回転軸42Bはフレームに回転自在に軸支されている。
【0036】
排気ダクト45は、位置決めユニット40の直上方に長手方向に沿って配置されている。換気ユニット45Aは、排気ダクト45の一端側に排気ダクト45に連通して設けられている。換気ユニット45Aは、帯電器5周辺から排気ダクト45を経由して換気ユニット45A側へ向かう空気流れを生成し、帯電器5で生成されるオゾンガスや飛散したトナー等から成る塵埃を排気する。
【0037】
位置決めユニット40は、図3に示す画像形成ステーション20K、20C、20M、20Yを被覆する被覆位置と、被覆位置から前面側へ回転して画像形成ステーション20K、20C、20M、20Yを外部に露出させる開放位置との間で回転可能に軸支されている。これにより、画像形成ステーション20K、20C、20M、20Yへ前面側から容易にアクセスすることができるので、メンテナンス作業をスムーズに行なうことができる。なお、位置決めユニット40は長手方向の両下端部を回転可能に軸支されている例を挙げて説明しているが、位置決めユニット40を開閉する必要がなければ位置決めユニット40は被覆位置に固定支持されているものとしても良い。
【0038】
開閉部材50は、導管4Aの前面側の先端に回転可能に挿嵌されており、導管4Aに設けられた排出口の開閉状態を切り替える。開閉部材65Bは、導管65Aの前面側の先端に回転可能に挿嵌されており、導管65Aに設けられた排出口の開閉状態を切り替える。開閉部材50および開閉部材65Bは、トナー回収ユニット30を取り外した状態では各導管4A、導管65Aを閉じた状態に保持する閉位置に位置している。
【0039】
図4は、被覆位置に位置しているときの位置決めユニット40の前面側からの斜視図である。図5は、被覆位置に位置しているときの位置決めユニット40および排気ダクト45の背面側からの斜視図である。
【0040】
位置決めユニット40は、板状に形成された基体部42を有し、係止孔40A、回転ノブ(変位部材)40B、40C、突起部40D、嵌合部41A、排気通路43が基体部42にそれぞれ設けられている。
【0041】
排気通路43は、基体部42の上端部に4つ並設されており、それぞれ背面側の排気孔43Aから前面側の開口43Bへと連通する空気通路である。各排気通路43の開口43Bは、位置決めユニット40が被覆位置に位置している状態で上方に位置する排気ダクト45に連通する。換気ユニット45Aは、各排気孔43Aから排気ダクト45を経由して換気ユニット45Aへと向かう図5に1点鎖線で示す空気流れAを生成する。これにより、画像形成ステーション20K、20C、20M、20Y周辺の空気を装置外へ排出することできる。この結果、画像形成処理で生成されるオゾンガスや装置内の塵埃を排気することができる。
【0042】
嵌合部41Aは、基体部42の背面側に長手方向に沿って4つ並設されている。回転ノブ40B、40Cは基体部42の前面側の長手方向の両端にそれぞれ形成され、回転ノブ40B近傍に係止孔40Aが設けられている。係止孔40Aは、矩形と円形を組み合わせて鍵穴状に形成されている。
【0043】
回転ノブ40Bは、回転軸42Aの上方に配置されており、基体部42を板厚方向に貫通するとともに回転自在に支持され、一例として正面視において円形を呈している。回転ノブ40Bの前面側先端は直方体状に突出する摘み(係止部)40Pが設けられている。一方、回転ノブ40Bの背面側後端には径方向に突出する突起部40Eが周縁に形成されている。
【0044】
回転ノブ40Cは、回転軸42B側の上方に配置されており、基体部42を板厚方向に貫通するとともに回転自在に支持され、一例として正面視において円形を呈している。回転ノブ40Cの前面側先端は直方体状に突出する摘み(係止部)40Qが設けられている。摘み40Qの前面側先端部には、摘み40Qの板厚方向に摘み40Qを貫通する係合孔40Hが設けられている。一方、回転ノブ40Cの背面側後端には、径方向に突出する突起部40Fが周縁に形成されている。ここで、係止孔40Aおよび係合孔40Hは、本発明における係合孔に相当する。
【0045】
回転ノブ40B、40Cは、摘み40P、40Qの長手方向がY方向と平行を成す固定位置と、固定位置から摘み40P、40Qの上端が互いに離間する方向にそれぞれ90度回転する解除位置との間で回転可能に支持されている。
【0046】
固定位置では、回転ノブ40Bの突起部40E、回転ノブ40Cの突起部40Fは、図5に示すように位置決めユニット40の長手方向の両端側に位置する。解除位置では、突起部40E、40Fは、固定位置から下側へそれぞれ90度回転する。回転ノブ40B、40Cの背面側近傍にはフレームFL1、FL2がそれぞれ配設されている。
【0047】
なお、突起部40E、40Fは、基体部42との間にそれぞれフレームFL1、FL2を挟み込む間隔を設けて回転ノブ40B、40Cの背面側にそれぞれ設けられている。一方、フレームFL1、FL2は、位置決めユニット40が被覆位置に位置している状態で、回転ノブ40B、40Cが解除位置から固定位置へ回転したときに突起部40E、40Fに係合可能な位置に筐体130から延設して設けられている。
【0048】
これにより、位置決めユニット40を被覆位置へ付勢した状態で回転ノブ40B、40Cを解除位置から固定位置に回転させて被覆位置に位置決めユニット40を固定することができる。
【0049】
位置決めユニット40を前面側の開放位置から背面側の被覆位置へ回転させた後に、回転ノブ40B、40Cを解除位置から固定位置へ回転させると、突起部40E、40FがフレームFL1、FL2に嵌合される。これにより、トナー回収ユニット30を被覆位置で固定することができる。
【0050】
嵌合部41Aは、位置決めユニット40が被覆位置に位置している状態で、現像器2の前面側に設けられた突出部2Aと離合可能に嵌合する位置にそれぞれ設けられた窪みである。これにより、位置決めユニット40が被覆位置に位置している状態で画像形成ステーション20K、20C、20M、20Yの前面側の端部をそれぞれ支持することができる。
【0051】
位置決めユニット40によれば、排気通路43とトナー回収ユニット30を作業者のアクセスが容易な前面パネル131近傍に集約して設けることができる。このため、トナー回収ユニット30の着脱作業をスムーズに行なうことができる。また、排気通路43の直下方にトナー回収ユニット30の設置スペースを設けることで省スペース化を図ることもできる。
【0052】
図6は、位置決めユニット40に取り付けられたトナー回収ユニット30の前面側の構成を示す斜視図である。図7は、位置決めユニット40に取り付けられたトナー回収ユニット30の背面側の構成を示す斜視図である。図8は、位置決めユニット40に取り付けられたトナー回収ユニット30の前面側の内部構成を示す斜視図である。図9は、図8に示す移動部材(移動手段)35周辺の構成を示す図である。
【0053】
トナー回収ユニット30は、カバー31、操作部(操作手段)32、廃トナー貯留タンク33、移動部材35、開閉部材36、37、フレーム38を備え、位置決めユニット40に着脱自在に装着されている。
【0054】
フレーム38は、前面側に、操作部32、移動部材35、が取り付けられている。フレーム38の下部には、廃トナー貯留タンク33が設けられている。フレーム38は、背面側の長手方向の両端部に係合部(嵌合部)39B、39Cが設けられている。
【0055】
係合部39Bは、操作部32近傍のフレーム38を板厚方向に矩形状に貫通して設けられた孔である。係合部39Cは、トナー回収ユニット30の長手方向の操作部32と離間した端部に設けられた矩形状の切り欠きである。
【0056】
係合部39B、39Cは、それぞれ回転ノブ40B、40Cが固定位置に位置しているときにだけ、前面側から回転ノブ40B、40Cに嵌合可能に形成されている。
【0057】
このため、回転ノブ40B、40Cの固定位置への回転操作が行なわれていない状態で、トナー回収ユニット30が位置決めユニット40に取り付けられるのを防止することができる。
【0058】
開閉部材36は、係合部39C近傍のフレーム38に回転可能に軸支されるとともに周面に開口が設けられている。開閉部材36は、フレーム38が形成する排出通路に開口が面する開位置と、排出通路に面しない閉位置との間で回転する。
【0059】
開閉部材37は、開閉部材36と同様に、開閉部材36に隣接する位置から長手方向に沿って4つ配設されている。各開閉部材37は、周面に開口が設けられており、上記排出通路に開口が面する開位置と、上記排出通路に面しない閉位置との間で回転する。
【0060】
トナー回収ユニット30を装着位置に装着したときに開閉部材36、37はそれぞれ導管65A、4Aに接続される。導管65Aの先端には開閉部材65Bが、4Aの先端には開閉部材50がそれぞれ設けられており、開閉部材36、37はそれぞれ開閉部材65B、50と開閉動作が連動する状態でそれぞれ挿嵌される。
【0061】
ここで、開閉部材37および開閉部材50の開閉動作を連動させる構成について説明すると以下の通りである。なお、開閉部材36および開閉部材65Bの開閉動作を連動させる構成は、開閉部材37および開閉部材50とほぼ同様であるため説明を省略する。
【0062】
開閉部材37は、直方体状に形成された凹部である嵌合部37Bが前面に設けられている。一方、開閉部材50の先端には直方体状の凸部である突出部50Bが設けられている。突出部50Bおよび嵌合部37Bは、開閉部材50および開閉部材37の開閉状態が一致している状態でのみ嵌合可能に形成されている。これにより、開閉部材37および開閉部材50の開閉動作を連動させることができる。
【0063】
廃トナー貯留タンク33は、開閉部材36および各開閉部材37から排出通路を経由して排出されるトナーを貯留する貯留部である。廃トナー貯留タンク33の長手方向の両端には突出部33Aが設けられている。トナー回収ユニット30の装着位置の下方の両端側には、係止部130A、130Bがそれぞれ設けられている。
【0064】
係止部130A、130Bには、突出部33Aをそれぞれ係止する弧状の窪みがその上面に設けられている。これにより、トナー回収ユニット30を位置決めユニット40に取り付けたときに下端部を係止部130A、130Bに支持させることができる。なお、図2では、係止部130A、130Bの図示を省略して示している。
【0065】
操作部32は、実線で示す第1操作位置と破線で示す第2操作位置との間で回転可能にフレーム38に支持されている円筒状の操作ノブである。操作部32は、前面側から背面側へフレーム38を貫通するとともにフレーム38に回転自在に軸支されている。
【0066】
操作部32は、フレーム38から背面側に突き出しており、操作部32が第1操作位置に位置している状態でトナー回収ユニット30を装着位置に取り付けたときに係止孔40Aに嵌入する。操作部32の背面側先端には、径方向に突出する係止部(係入部)32Aが設けられている。さらに、操作部32の第1操作位置から第2操作位置への回転に伴い係止部32Aは基体部42に係合する位置まで回転する。ここで、係止部32Aは、トナー回収ユニット30を装着位置に取り付けたときに、係止孔40Aを背面側に突き抜けフレーム38との間に基体部42を挟み込む間隔を設けて形成されている。
【0067】
これにより、トナー回収ユニット30を装着位置に位置決めすることができる。このため、トナー回収ユニット30の装着位置への取り付けを位置決めユニット40だけで行なうことができ、部品点数の低減および画像形成処理部110の小型化を図ることができる。
【0068】
本実施形態では、位置決めユニット40の係止孔40Aにトナー回収ユニット30の係止部32Aを係合させてトナー回収ユニット30を固定しているが、反対に、トナー回収ユニット30に係止孔を設け、位置決めユニット40に係止孔に着脱自在に係合する係止部を設けるものとしても良い。
【0069】
移動部材35は、開閉部材36、37の直下方に配置され、操作部32の回転移動に伴ってX方向に移動する。移動部材35は、操作部32が第1操作位置に位置している状態では先端部(係入部)35Aが回転ノブ40Cに係合しない係合解除位置に位置している。一方、移動部材35は第2操作位置へ操作部32が回転すると、先端部35Aが回転ノブ40Cの係合孔40Hに係合する係合位置側へX方向に移動する。
【0070】
移動部材35は、先端部35A寄りの位置に規制部35Dが設けられている。フレーム38には、操作部32が第1操作位置に位置しているときに規制部35Dに対向する位置に排出通路を貫通する貫通孔38Aが設けられている。
【0071】
移動部材35は、長手方向上面に沿って開閉部材36、37にそれぞれ対応しギア35Gが設けられている。一方、開閉部材36、37の周縁には各ギア35Gと離合可能に噛合するギア36G、37Gがそれぞれ設けられている。
【0072】
各ギア35Gは、回転ノブ40Cに設けられた係合孔40Hに先端部35Aが係合しない状態ではギア36G、37Gに噛合しない位置にそれぞれ設けられている。移動部材35の係合解除位置から回転ノブ40C側への移動に伴い回転ノブ40Cに係合する係合位置まで先端部35Aが移動した後、さらに、移動部材35は回転ノブ40C側へ移動しギア36G、37Gに各ギア35Gが噛合する。ギア36G、ギア37Gに噛合した各ギア35Gは、開閉部材36、37を閉位置から開位置へ回転させる。これにより、トナー回収ユニット30の位置決めユニット40への固定動作と、開閉部材36、37の開閉動作を移動部材35の移動動作に連動させて1つの動作で行なうことができる。
【0073】
このように、移動部材35の回転ノブ40C側への移動に伴い、先端部35Aが回転ノブ40Cの係合孔40Hに係合した後に、開閉部材36、37を閉位置から開位置へ回転させることができる。
【0074】
このため、移動部材35が開閉部材36、37に付勢されて撓んでも回転ノブ40Cに移動部材35が既に係合しているため、移動部材35と回転ノブ40Cとの係合状態を保持しつつ開閉部材36、37を開位置まで回転させることができる。
【0075】
上記のように、本実施形態の位置決めユニット40では、トナー回収ユニット30を装着位置に仮止めする第1工程と、トナー回収ユニット30を装着位置に固定する第2工程と、をこの順に行なってトナー回収ユニット30の取り付けを行なう。
【0076】
すなわち、第1工程では、固定位置に位置している摘み40P、40Qに係合部39B、39Cを嵌合させトナー回収ユニット30を装着位置に一旦仮止めする。
【0077】
第2工程では、操作部32の第1操作位置から第2操作位置への回転操作に伴い、先端部35A、係止部32AをそれぞれX-Y面内で変位させて係合孔40H、係止孔40Aにそれぞれ係合させトナー回収ユニット30を装着位置に固定する。
【0078】
本実施形態の位置決めユニット40によれば、第1工程でトナー回収ユニット30を装着位置に仮止めしてトナー回収ユニット30の重量を位置決めユニット40で保持させた状態で、第2工程のトナー回収ユニット30の固定動作を行なうことができる。このため、トナー回収ユニット30を装着位置にしっかり固定することができる。
【0079】
なお、本実施形態では、操作部32の第1操作位置から第2操作位置への回転操作に伴い、トナー回収ユニット30の長手方向の両端部において、係止部32Aが係止孔40Aに、先端部35Aが係合孔40Hにそれぞれ係合する例を挙げている。しかし、係止部32Aが係止孔40Aに係合するのであれば、先端部35Aは係合孔40Hに係合しなくとも良い。但し、トナー回収ユニット30の長手方向の両端部を位置決めユニット40に固定する方が本発明の実施の形態としてはより好適である。
【0080】
また、各ギア35Gの係合部39C側には、所定の間隔を挟んで当接部35Bがそれぞれ設けられている。ここで、所定の間隔は、操作部32の第2操作位置から第1操作位置側への回転に伴い、各ギア35Gとギア36G、37Gが離合したときに当接部35Bが係止部36H、37Hにそれぞれ当接し、移動部材35が係合解除位置まで移動すると開閉部材36、37を閉位置へ付勢する位置に設定されている。
【0081】
これにより、操作部32の第2操作位置から第1操作位置への移動に伴って移動部材35を介して開閉部材36、37を開位置から閉位置まで回転させることができる。
【0082】
なお、本実施形態では、移動部材35はギアを介して開閉部材36、37を回転駆動する例を挙げて説明しているが、移動部材35は開閉部材36、37を摺動する摺動部を介して回転駆動するものとしても良い。
【0083】
移動部材35は、先端部35Aと離間した端部側の下端に沿ってギア35Hが設けられている。操作部32の周面には、ギア35Hと噛合するギア32Gが設けられている。これにより、操作部32の第1操作位置と第2操作位置との間での回転に伴って移動部材35をX方向に移動させることができる。
【0084】
本実施形態では、移動部材35と一体に形成された先端部35Aを回転ノブ40Cに係合させているが、例えば、先端部35Aと移動部材35とを別々の部材によって構成するものとしても良い。
【0085】
カバー31は、トナー回収ユニット30の前面側の廃トナー貯留タンク33および操作部32を除く全面を密閉するように被覆している。これにより、開閉部材36、37周辺からトナーが外部に漏れるのをより確実に防止することができる。なお、本実施形態では、カバー31を用いる例を挙げて説明しているが、トナー回収ユニット30の仕様によってはカバー31を用いなくとも良い。
【0086】
図10(A)は、位置決めユニット40にトナー回収ユニット30が取り付けられていない状態で、操作部32が第1操作位置に位置して場合における規制部35D周辺のX-Z面内における構成を示す図である。図10(B)は、図10(A)に示す状態から位置決めユニット40にトナー回収ユニット30を取り付けた状態を示す図である。
【0087】
規制部35Dは、フレーム38側へ突き出して移動部材35に設けられた板状の部材である。図10(A)に示すように、規制部35Dは操作部32が第1操作位置に位置している状態ではフレーム38に設けられた係止部38Bに係止されている。
【0088】
このため、位置決めユニット40にトナー回収ユニット30を装着していない状態で移動部材35がX方向に移動するのを防止することができる。これにより、位置決めユニット40からトナー回収ユニット30を取り外しているときに、開閉部材36、37をそれぞれ閉位置から開位置に回転するのを防止して廃トナー貯留タンク33に貯留されているトナーが溢れるのを防止できる。
【0089】
一方、規制部35Dは位置決めユニット40にトナー回収ユニット30を装着した状態では、貫通孔38Aを前面側へ突き出す位置決めユニット40の突起部40Dに係止部38Bと係合しない位置まで前面側へ付勢される。これにより、位置決めユニット40にトナー回収ユニット30を取り付けると伴に、係止部38Bと規制部35Dとの係合を解除することができる。
【0090】
このため、トナー回収ユニット30の位置決めユニット40への装着動作に伴って移動部材35の規制を解除することができる。
【0091】
この結果、トナー回収ユニット30は、位置決めユニット40から取り外した状態では規制部35Dを係止部38Bに係止させて移動部材35の移動を規制し開閉部材36、37が開位置へ回転するのを防止することができる。
【0092】
なお、移動部材35の移動を規制する必要がない場合には、規制部35D、突起部40D、貫通孔38Aは設けなくとも良い。
【0093】
また、位置決めユニット40にトナー回収ユニット30を装着した状態で、操作部32を第1操作位置から第2操作位置へ回転させると係止孔40Aに係止部32Aが係合されるとともに回転ノブ40Cに先端部35Aが係合される。
【0094】
これにより、操作部32を第2操作位置から第1操作位置へ回転させ、トナー回収ユニット30と位置決めユニット40との間の係合を解除しなければ位置決めユニット40からトナー回収ユニット30を取り外すことはできない。
【0095】
このため、開閉部材36、37が開位置に保持された状態のままで位置決めユニット40からトナー回収ユニット30が取り外されるのを防止することができる。
【0096】
本実施形態では、移動部材35に規制部35Dを設けているが、トナー回収ユニット30が位置決めユニット40に装着されていない状態で移動部材35が移動しても良いのであれば規制部35Dを設けなくても良い。
【0097】
上記実施形態では、回転ノブ40B、40Cは、摘み40P、40Qが直方体状に形成されている例を挙げて説明しているが、位置決めユニット40に装着されるトナー回収ユニット30を係止できるのであれば、突出部を直方体状以外の形状としても良い。
【0098】
上記実施形態では、回転ノブ40B、40Cは、Z軸周りに固定位置と解除位置との間で回転自在に基体部42に設けられている例を挙げて説明しているが、例えば、X方向にスライド移動するスライドノブを基体部42の長手方向の両端部に配設するものとしても良い。この場合には、基体部42の長手方向内側に固定位置、長手方向外側に解除位置をそれぞれ設け、固定位置と解除位置との間でスライドノブをスライドさせることで本実施形態に係る位置決めユニット40と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、位置決めユニット40は、被覆位置と開放位置との間で回転可能に設けられているが、被覆位置で固定支持するものとしても良い。
【0099】
図1〜10において、断面表記は適宜省略して示している。
【0100】
なお、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】この発明の一実施形態に係る画像形成装置の正面視における全体の構成を示す図である。
【図2】前面パネルを取り除いてトナー回収ユニットが装着位置に装着されている状態を示す画像形成装置全体の斜視図である。
【図3】トナー回収ユニットを位置決めユニットから取り外した状態を示す図である。
【図4】位置決めユニット前面側の構成を示す斜視図である。
【図5】位置決めユニット背面側の構成を示す斜視図である。
【図6】トナー回収ユニット前面側の構成を示す斜視図である。
【図7】トナー回収ユニット背面側の構成を示す図である。
【図8】トナー回収ユニットの前面側の内部構成を示す図である。
【図9】操作部が第1操作位置に位置しているときの移動部材周辺の構成を示す図である。
【図10】(A)は、位置決めユニットにトナー回収ユニットが取り付けられていない状態で操作部が第1操作位置に位置している場合における規制部周辺の構成を示す図である。(B)は、(A)に示す状態から位置決めユニットにトナー回収ユニットを取り付けた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0102】
4A、65A 導管
20K 画像形成ステーション(画像形成部)
20C 画像形成ステーション(画像形成部)
20M 画像形成ステーション(画像形成部)
20Y 画像形成ステーション(画像形成部)
30 トナー回収ユニット
39B、39C 係合部(嵌合部)
40 位置決めユニット(隔壁)
40B 回転ノブ(変位部材)
40C 回転ノブ(変位部材)
40A 係止孔(係合孔)
40H 係合孔(係合孔)
40P 摘み(係止部)
40Q 摘み(係止部)
43 排気通路
45 排気ダクト(換気手段)
45A 換気ユニット(換気手段)
100 画像形成装置(装置本体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像形成処理を行なうとともに画像形成処理で残留したトナーを排出する導管を有する画像形成部を備えた装置本体と、
前記画像形成部を被覆する被覆位置で前記装置本体に係合する固定位置と前記被覆位置で前記装置本体に係合しない固定解除位置との間で変位する変位部材が設けられ、前記被覆位置で前記装置本体に開閉可能に支持された隔壁と、
前記導管を経由してトナーを回収するトナー回収ユニットであり、前記隔壁を挟んで前記画像形成部に面し且つ前記導管に接続する所定位置において前記変位部材の端部に形成された係止部に嵌合する嵌合部を有する前記トナー回収ユニットと、
を備えている画像形成装置。
【請求項2】
前記嵌合部は、前記固定位置に位置しているときにのみ前記係止部に嵌合可能に形成されている、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装置本体は、前記画像形成部における画像形成処理で生成されるガスを排出する換気手段をさらに備え、
前記隔壁は、前記画像形成部を前記換気手段に連通させる排気通路がさらに設けられている、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記隔壁は、前記画像形成部を被覆する前記被覆位置と前記画像形成部を露出させる開放位置との間で回動可能に前記装置本体に支持される、
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー回収ユニットは、トナーを貯留する貯留部と、前記貯留部を前記導管に連通させる開位置と連通させない閉位置との間で変位する開閉部材と、前記開閉部材を前記開位置または前記閉位置へ移動させる移動手段と、前記移動手段に移動力を付与し前記開閉部材を前記閉位置へ移動させる第1操作位置または前記開閉部材を前記開位置へ移動させる第2操作位置へ変位する操作手段と、前記移動手段に係合し前記操作手段を第1操作位置に保持する規制部を有し、
前記隔壁には、前記トナー回収ユニットが前記所定位置に装着されたときに前記規制部を前記移動手段との係合が解除される位置まで付勢する突起部が設けられている、
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記隔壁には、両端部に係合孔がそれぞれ設けられ、
前記移動手段と前記操作手段には、前記操作手段の前記第2操作位置への移動に伴って前記トナー回収ユニットの前記所定位置への着脱方向と直交する方向に前記係合孔に係入する係入部がそれぞれ設けられている、
請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−39395(P2010−39395A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204917(P2008−204917)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】