説明

画像形成装置

【課題】残像及び黒ポチの発生を抑制し、さらに紙サイズ跡の発生の抑制を簡単な構成で達成可能とした画像形成装置を提供する。
【解決手段】残像及び黒ポチの発生、さらに、紙サイズ跡の発生の抑制するために、電子写真感光体1と転写ローラ6を使用している。感光体1は、電子移動物質を含有した超臨界液体で封孔処理されたアルミニウム支持体上に、電荷発生層及び電荷輸送層からなる感光層が設けられている。転写ローラ6は、回転軸6aを構成する金属製芯金上に導電性弾性層6bを有する転写ローラが使用されており、導電性弾性層6bによって、転写用紙Pを介して感光体1を押圧するようになっている。さらに、回転軸6aから転写用紙Pを介して感光体1に転写バイアス電圧を印加することによって、感光体1上のトナー像が転写用紙P上に適切に転写されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係り、特に、表面に形成された多孔性アルマイト層を、電子移動物質を含有した超臨界流体及び/もしくは亜臨界流体に接触させて封孔処理をしたアルミニウム支持体の前記多孔性アルマイト層上に少なくとも電荷発生層を有した電子写真感光体を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置においては、高画質化への要から、原稿画像の有色部に対応して電子写真感光体に画像露光して表面電荷を消失させて静電潜像を形成し、その静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成し、未露光部にはトナー像を形成しない現像法、所謂反転現像が主に用いられている。
【0003】
電子写真感光体には大きく分けて有機電子写真感光体と無機電子写真感光体とがあるが、高生産性、材料設計の容易性および将来性の観点から、有機光導電性物質による有機電子写真感光体の開発が盛んに行われ、支持体上に電荷発生層、電荷輸送層等が積層されたものが一般的に用いられている。
【0004】
有機電子写真感光体(以下、単に電子写真感光体、感光体とも呼ぶ)を反転現像で用いた場合、白地にトナーが局所的に付着する「黒ポチ」、「地汚れ」といった画像欠陥が生じることが知られている。これは導電性支持体からの電荷注入による表面電荷の局部的中和により発生する。
【0005】
この反転現像時に発生する黒ポチや地汚れを防止するために、特許文献1では、表面を電解処理して生成したアルマイト層を有するアルニウム基体に、電荷発生層と電荷輸送層とを順に積層した電子写真感光体が、特許文献2では、アルマイト層を有する支持体と、この支持体上にオキソチタニルフタロシアニン及び特定の構造の物質を含有する感光層とを備える電子写真感光体が提案されている。また、特許文献3では、アルマイト層を有するアルニウム基体上に、中間層(下引き層とも呼ぶ)である無機顔料分散層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、を順に積層した電子写真感光体が提案されている。このように、アルマイト層や中間層を有することで、支持体から感光層(電荷発生層および電荷輸送層)への電荷注入を防ぎ、繰り返し使用しても高品質な画像を出力できる。
【0006】
さらに、特許文献4では、中間層に特定の電子輸送物質を含有させることで電子輸送能を高め、中間層の膜厚が厚い構成を可能とし、結果として支持体から感光層への正孔の注入を防ぐことができる電子写真感光体が提案されている。またさらに、特許文献5では、中間層に特定の電子輸送物質を含有させることで電子輸送能を高めると共に、他の層への溶解または溶出することなく容易に形成することが可能な電子写真感光体が提案されている。
【0007】
しかし、上記特許文献1〜5に記載の発明によっても耐久性が充分でなく、経時的な劣化に伴い黒ポチや地汚れ、残像といった画像欠陥を生じ、さらには細線再現性が劣化する。しかも、画像形成される記録紙のサイズの異なるものを使用した際に、小さいサイズの記録紙の端縁が電子写真感光体表面に残存し、大きいサイズの記録紙を使用したときに、大きい記録紙上に小さいサイズの記録紙の端縁跡が記録される、所謂「紙サイズ跡」が発生する場合がある。特に、このような「紙サイズ跡」の発生は、有機電子写真感光体を使用したときに、顕著となり易い。
【0008】
一方、特許文献6には、「紙サイズ跡」の画像異常の発生を抑制するために、感光体上に形成されたトナー像を所定方向に通紙される記録紙に転写させる転写手段を備えた画像記録装置において、感光体の片側を基準としトナー像を形成すると共に、この画像形成域に合わせて記録紙を端面基準で通紙し、記録紙の通紙幅に応じて転写手段自体の配設位置を可変するように転写手段を駆動する駆動手段を備えたことを特徴とする画像記録装置が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開2001−255679号公報
【特許文献2】特開平11−282183号公報
【特許文献3】特開2005−99077号公報
【特許文献4】特開2005−162758号公報
【特許文献5】特開平11−174707号公報
【特許文献6】特許第3184285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献6に記載の発明によって、転写手段から直接刺激される感光体の領域を低減でき、直接刺激領域に発生する「紙サイズ跡」等の画像異常を防ぐことができ、また、結果として感光体の耐久性が向上するが、転写手段自体の配設位置を可変するための駆動手段が必要になること、及び通常より長い配設スペースが必要になる不具合がある。広幅の転写紙まで対応する必要のある場合には装置構成上難しい等の欠点がある。
【0011】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、残像及び黒ポチの発生を抑制し、さらに紙サイズ跡の発生の抑制を簡単な構成で達成可能とした画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、表面に静電潜像が形成される電子写真感光体と、当該電子写真感光体に形成された静電潜像に対してトナーを供給してトナー像化する現像装置と、当該現像装置によって前記電子写真感光体表面に形成されたトナー像を被転写体に転写バイアス電圧を印加して転写する転写手段を備えた画像形成装置において、
前記電子写真感光体は、アルミニウム支持体の表面に形成された多孔性アルマイト層を、電子移動物質を含有した超臨界流体及び/もしくは亜臨界流体に接触させて封孔処理をし、封孔処理された前記多孔性アルマイト層上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を積層した感光層を有し、
前記転写手段は、芯金上に導電性弾性層を有する転写ローラであり、当該転写ローラで前記被転写体を介して前記電子写真感光体を押圧しながら前記転写バイアス電圧を印加して前記被転写体に前記電子写真感光体表面に形成されたトナー像を転写することを特徴とする。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記転写ローラは、20〜50のアスカーC硬度を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の画像形成装置において、前記アルミニウム支持体の全フレ量を0.05mm以下とすることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置において、前記電子移動物質は、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド顔料、多環キノン顔料、アゾ顔料から選ばれた少なくとも1種の顔料であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置において、前記アルマイト層の厚さが2〜10μmであることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像形成装置において、前記封孔処理は、前記超臨界流体または亜臨界流体を30℃〜90℃に加熱して行われることを特徴とする。
【0018】
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像形成装置において、前記超臨界流体または亜臨界流体は二酸化炭素であることを特徴とする。
【0019】
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像形成装置において、前記画像形成装置は、前記電子写真感光体と前記現像装置とを一体に連結したプロセスカートリッジであること特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電子写真感光体は、表面に形成された多孔性アルマイト層を、電子移動物質を含有した超臨界流体及び/もしくは亜臨界流体に接触させて封孔処理をし、超臨界流体及び/もしくは亜臨界流体で洗浄したアルミニウム支持体の前記多孔性アルマイト層上に少なくとも電荷発生層を有し、転写手段は、芯金上に導電性弾性層を有する転写ローラであり、当該転写ローラで被転写体を介して前記電子写真感光体を押圧しながら転写バイアス電圧を印加して前記被転写体に前記電子写真感光体表面に形成されたトナー像を転写することすることによって、残像及び黒ポチの発生を抑制し、さらに紙サイズ跡の発生の抑制を簡単な構成で達成可能とした画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明による一実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置の概略構成を示す模式断面図である。図中、符号1は後述する本発明で使用される電子写真用感光体である。符号2は、感光体1の表面を一様に帯電する帯電装置である。符号4は、感光体1の表面に形成された静電潜像をトナー像化する現像装置で、現像装置4内に収容されているトナーを含む現像剤を攪拌スクリュー4bによって攪拌しながら現像ローラ4aからトナーを感光体1に形成された静電潜像に対して静電気的に供給するものである。符号6は、転写ローラであり、感光体1の表面に形成されたトナー像を、回転軸6aから転写バイアスを印加して被転写体である転写用紙Pに転写するものである。符号5は、転写用紙P上にトナー像を転写した後に感光体1の表面に残存するトナーを感光体1の表面から除去するクリーニング装置で、感光体1の表面に残存するトナーを感光体1の表面と摺接するクリーニングブレード5aによって感光体1の表面から除去するようになっている。
【0023】
この画像形成装置によって、画像形成する方法について説明すると、まず帯電装置2により、感光体1表面を一様に帯電する。このように一様に帯電された感光体1の表面に、形成される画像に対応するイメージ露光Lを照射し、露光された箇所では感光体1の表面電荷が消失し、感光体1表面に静電潜像が形成される。感光体1表面に静電潜像を形成した後、静電潜像に現像ローラ4aを介して現像剤と接触してトナーが供給されて、トナー像を形成する。感光体表面に形成されたトナー像は、転写ローラ6により転写バイアスが印加されてレジストローラ9から送給された転写用紙Pに転写される。このようにして転写用紙P上に転写されたトナー像は、定着装置7で加熱、加圧されて、転写用紙P上に定着される。感光体1上の残留トナーはクリーニング装置5により感光体1の表面から除去され、残留電荷は除電ランプ8で除かれて、次の電子写真サイクルに移る。
【0024】
本発明による実施形態に係る画像形成装置においては、上記のようにして、画像形成が行われるが、画像形成装置は、感光体1と共に、帯電装置2、現像装置4及びクリーニング装置5を一体構成としたプロセスカートリッジとしていることが好ましい。このようなプロセスカートリッジにすることによって、感光体1と共に一体構成された帯電装置2、現像装置4及びクリーニング装置5とを画像形成装置から引き出して、これらの部材の修理、点検を容易に行うことができると共に、これらの部材の取り付け、取り外しなどを簡便に行うことができる。この場合、プロセスカートリッジとしては、感光体1と帯電装置2、現像装置4及びクリーニング装置5の全てを一体構成とせず、感光体1と現像装置4を一体構成としたものであっても良い。
【0025】
また、本画像形成方法及び感光体を用いる電子写真プロセスは、上記一例に限定されるものではなく、少なくとも、帯電及び露光により静電潜像を形成し、この静電潜像を現像するプロセスであれば、どのようなものであっても構わない。特にこの画像形成方法では、トナーの転写効率を上げ、転写後残留するトナーを、クリーニング装置5を用いずに、帯電装置2や現像装置4で回収するクリーナーレスである方が、感光体1に対し、機械的負荷が小さいため、望ましい。また、被転写体として、上記実施形態においては、転写用紙Pを使用したが、無端状の中間転写ベルトを被転写体とし、この中間転写ベルトに感光体1からトナー像を転写し、さらに、中間転写ベルトから転写用紙Pにトナー像を転写するものであっても良い。
【0026】
また、本発明においては、残像及び黒ポチの発生、さらに、紙サイズ跡の発生の抑制するために、後述する電子写真感光体と転写ローラを使用している。転写ローラ6としては、回転軸6aを構成する金属製芯金上に導電性弾性層6bを有する転写ローラが使用されており、導電性弾性層6bによって、転写用紙Pを介して感光体1を押圧するようになっている。さらに、回転軸6aから転写用紙Pを介して感光体1に転写バイアス電圧を印加することによって、感光体1上のトナー像が転写用紙P上に適切に転写されるようになっている。このように、転写ローラ6によって、感光体に1に転写バイアス電圧を印加するようにしているので、転写チャージャのような、オゾンによる感光体の破損を適切に防止することができる。
【0027】
この場合に、転写ローラ6は、転写時間を稼ぐために導電性弾性層6bとして導電性発泡ウレタン樹脂、導電性発泡ポリエチレン樹脂、導電性シリコーン樹脂、導電性EPDM(エチレンープロピレンージエンゴム)等の導電性樹脂を用いたアスカーC硬度が20〜50のソフトローラであることが望ましい。このようなソフトローラを使用することで転写ローラ6と感光体1とで転写用紙Pを挟持するニップ長さ(転写用紙Pの搬送方向での接触長さ)を稼ぐことが可能となり、より適切に、被転写体Pへのトナー像の転写が可能となる。また、転写ローラ6の抵抗値は10〜1010(Ω・cm)の範囲が好ましい。ローラ表面にはフッ素樹脂を含有した導電性のアクリル樹脂、ウレタン樹脂等からなる被覆層を設けても良い。導電性の発現にはイオン導電性の材料も使用可能であるが、特性の安定維持、抵抗等を勘案すると、カーボンブラックが好ましい。
【0028】
次に、本発明による画像形成装置に用いられる電子写真感光体について説明する。
本発明による感光体1は、図2に示すように、円筒状アルミニウム支持体15上にアルマイト層16、後述する電荷発生層17及び電荷輸送層18等の感光層19を積層して形成される。また必要に応じて電荷輸送層18上に保護層を設けたり、電荷発生層17とアルマイト層16の間に下引層を介在させたり、電荷発生層17と電荷輸送層18との間に中間層を介在させることもできる。
【0029】
アルマイト層16はアルミニウム支持体(アルミニウム合金からなる支持体であってもよい)を陽極酸化することにより形成する。陽極酸化処理する前に、酸、アルカリ、有機溶剤、界面活性剤などの各種脱脂洗浄方法によって、脱脂処理を行なうことが望ましい。さらにその後、アルカリ、酸、弗化物等で表面エッチング処理を行なうことが好ましい。
【0030】
陽極酸化処理は、通常、例えばクロム酸、硫酸、しゅう酸、ほう酸、スルファミン酸などの酸性浴中で、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成された導電性支持体15を陽極にして電解処理を行ない、支持体表面にアルマイト層16を形成する。この場合、直流、交流いずれでもよいが、電圧は2〜160V、電流密度は0.1A/dm〜0.7A/dm、液温10〜40℃が好ましい。
アルマイト層の膜厚は2μm〜10μmが好ましく、5μm〜8μmであることがより好ましい。2μm未満では感光体の繰返使用時に帯電性の低下、局部的な地肌汚れ発生の懸念、また10μmを超えると繰返使用時に露光後電位の上昇が著しい。
【0031】
図3は、陽極酸化処理により形成されたアルマイト層の構成を示す斜視概略図であり、図4は陽極酸化処理により形成されたアルマイト層の構成を示す断面概略図である。
陽極酸化処理により形成したアルマイト層は、図3及び図4に示すように、アルミニウム支持体15上に均一に形成された薄いバリヤー層16aを有し、さらにその上層に蜂の巣のような細孔16cを有する六角柱のセル16dの集合体からなる多孔質層16bを有している。無数の微細孔16cは多孔質膜のため、封孔処理を施すことが好ましい。
【0032】
封孔処理は、前記の陽極酸化処理により形成されたアルマイト層に、電子移動物質を含有した超臨界流体及び/もしくは亜臨界流体を接触させて行われるため、通常行なわれる方法ではなく、図5に示す装置により行うのが好ましい。
陽極酸化処理を行った導電性支持体(ドラム)15を、蓋63を有する耐圧容器62に設けた超臨界流体75を上下方向に流通可能な格子状のドラム支持台64の上に鉛直に配設する。その後、分散槽65から電子移動物質を分散させた超臨界流体75を弁71、3方弁74を開き、ポンプ72により耐圧容器62中に導入し、導電性支持体15を電子移動物質の分散された超臨界流体75に浸漬した。分散槽65は攪拌機66を備え、電子移動物質分散超臨界流体75を分散槽65内で攪拌することで、電子移動物質を均一に分散させる。尚、加熱器73は電子移動物質を分散した超臨界流体を30〜90℃に加熱する。封孔処理後、ポンプ72を逆転させて電子移動物質分散超臨界流体75を徐々に耐圧容器62の外に排出し、分散槽65に戻す事により導電性支持体15の表面の陽極酸化膜(アルマイト層)16に電子移動物質により封孔したアルマイト層を形成する。尚、アルマイト層16の電子移動物質での封孔処理後、弁68、3方弁70、74を調節し、ポンプ69によりタンク67から超臨界流体を耐圧容器62中に導入して、導電性支持体15の表面(封孔されたアルマイト層面)を洗浄する事により、塗膜欠陥が少なく、さらに導電性支持体15の封孔されたアルマイト層16の表面と後述する電荷発生層や電荷輸送層等の感光層の接着性を向上させる事が出来る。
【0033】
本発明に用いる電子写真感光体の封孔処理に用いられる電子移動物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、フタルイミド、4−ニトロフタルイミド、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ニトロ安息香酸、トリニトロフルオレノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド顔料、ペリレンテトラカルボン酸ジイミダゾール顔料、多環キノン顔料、アントラキノンアクリドン顔料、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド顔料、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミダゾール顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料などが挙げられる。これらの電子移動物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。この中でも、特に本発明で有効に用いられるのは、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド顔料、多環キノン顔料、アゾ顔料などであり、以下に具体例を示すが、本発明はこれに限られるものではない。
【0034】
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド顔料の一例として下記構造式1で表される物質が本発明において用いられる。
【0035】
【化1】

【0036】
上記式中、XおよびYは置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基を示し、同一であっても異なっていてもよい。また、R1、R2、R3、R4は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、ハロゲン原子、ニトロ基、またはシアノ基を示す。
【0037】
また、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド顔料の中でも下記構造式2で表される化合物は特に有効に用いられる。
【0038】
【化2】

【0039】
上記式中、R5、R6は、それぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換のアラルキル基からなる群より選ばれる基を表し、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換のアラルキル基からなる群より選ばれる基を表す。
【0040】
上記構造式1及び2で表されるもののうち、好ましい具体例について、表1及び表2で下記化学式1−1〜1−14を示す。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
これらの化合物は、米国特許第4442193号明細書,米国特許第5468583号明細書、特公平4−12466号公報、米国特許6794102号公報、Industrial Organic Pigments 2nd edition,VCH,485(1997)などに掲載されている。
【0044】
次に多環キノン顔料の具体例について、表3で下記化学式2−1〜2−8を示す。
【0045】
【表3】

【0046】
アゾ顔料としては、カルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料が挙げられる。
【0047】
本発明で用いる超臨界流体としては、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮を起こさず、臨界温度以上、かつ、臨界圧力以上の状態にある流体である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度が低いものが好ましい。また、亜臨界流体としては、前記臨界点近傍の温度・圧力領域において高圧液体として存在する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
これらの流体の一例としては、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、メタノール、エタノール、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、クロロトリフロロメタン、ジメチルエーテルなどが好適に挙げられる。これらの超臨界流体及び亜臨界流体は単独でも2種類以上混合して併用する事も出来る。また、これらの中でも、超臨界流体及び亜臨界流体には二酸化炭素を用いることが好ましい。一方、超臨界流体及び亜臨界流体に有機溶媒(エントレーナー)を混合することもできる。エントレーナーとしてはヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒など、特に制限はないが、これらの中でも、上記電子移動物質を融かしやすいことからトルエンが特に好ましい。
【0048】
臨界温度が30〜40℃と常温に近い超臨界流体、例えば超臨界二酸化炭素や超臨界一酸化炭素は、20〜100℃の温度、及び5〜70MPaの圧力で使用するのが望ましく、30〜100℃、7〜60MPaがより好ましい。20℃未満の温度や5MPa未満の圧力では、二酸化炭素や亜酸化窒素は超臨界状態になりにくい事から好ましくない。100℃を超える温度では、感光体の構成材料を溶解する恐れや、アルマイトの耐熱性の問題があるため好ましくない。また、70MPaを超える圧力では流体ポンプ等を具備する装置の運転に支障を生ずる恐れがあるため好ましくない。尚、二酸化炭素の臨界温度は31℃、臨界圧力は7.53MPaで、一酸化炭素の臨界温度は37℃、臨界圧力は7.26MPaである。
【0049】
本発明に用いられる電子写真感光体1は、感光層19として封孔されたアルマイト層16を有する支持体15上に電荷発生層17、電荷輸送層18を順に積層した構成を有する。また必要に応じて電荷輸送層18上に保護層を設けることもできる。支持体15としては、不純物として鉄、銅を併せて0.3wt%以上含有するアルミニウム、例えばJIS3003、5052、6063等の材質からなるアルミニウムが用いられる。これらのアルミニウムはJIS 1070等の不純物の少ないものに比べて鉄、銅を併せて0.3wt%以上含有することにより同一熱処理条件において機械的強度が向上しており、薄膜軽量化が可能である。
【0050】
支持体の寸法精度としては、全フレ量を0.05mm以下とすることが好ましい。全フレ量は感光体1と現像装置4の現像ローラ4aとのギャップ精度に影響し、全フレ量が0.05mmを越えるとギャップ精度0.1mm未満を維持することが難しい。ギャップ精度が0.1mm以上では偏摩耗による長手方向での濃度バラツキが起こる場合が有る。支持体の表面粗さRzは加工性、支持体の反射によるモアレ等を考慮すると、0.05μm〜1.5μmが好ましい。アルマイト層を設けることにより表面が荒れるため、鏡面に近い粗さでもモアレは発生しにくい。
【0051】
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物等が挙げられる。
【0052】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。アゾ顔料としては、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料が挙げられる。また、アゾ顔料に加えて金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などを1種以上含有しても良い。
【0053】
これら有機系電荷発生材料の中でもチタニルフタロシアニン、特にCuKαの特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θの最大回折ピークを27.2±0.2゜に有するチタニルフタロシアニンが高感度である。特にプロセス速度が1m/秒以上の高速領域ではチタニルフタロシアニンが好適である。
【0054】
本発明に用いる電子写真感光体の電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0055】
また、本発明に用いる電荷発生層には、必要に応じて電荷輸送物質を添加してもよい。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。電荷発生層の電荷発生材料と樹脂との比率は重量比で1/1〜10/1であることにより感光層と下引層との接着性向上、露光後電位の安定化を図ることができる。
【0056】
電荷発生層を形成する方法には、溶液分散系からのキャスティング法が主に用いられる。キャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン、メチルエチルケトン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
【0057】
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01μm〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05μm〜2μmである。
【0058】
電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。さらに電荷輸送層は帯電電荷を保持させる目的達成のために電気抵抗が高いことが要求され、また保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さくかつ電荷移動性が良いことが要求される。
【0059】
これらの要件を満足させるための電荷輸送層は、電荷輸送物質、バインダー樹脂を、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジメトキシメタンなどの環状エーテル系溶剤に溶解した塗工液を塗布して形成される。必要により電荷輸送物質及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等を適量添加することもできる。環境面からはジクロロメタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、トリクロロエタン、トリクロロメタンなどの塩素系溶媒が敬遠されている。これらの環状エーテル系溶剤を用いることにより感光層と支持体又は下引き層との接着性を向上させることができる。
【0060】
本発明に用いる電子写真感光体は、電荷輸送層中の残留環状エーテル系溶剤量は20ppm〜5000ppmが好ましい。20ppm未満では支持体、又は下引き層との接着性低下、5000ppmを越えると感光体露光後電位の上昇の不具合が発生してしまう。電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
【0061】
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、ハイドロキノン系以外のモノフェノール系化合物、高分子フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、有機硫黄化合物類、有機燐化合物類等の酸化防止剤も併用して使用しても良い。
【0062】
パラフェニレンジアミン類としては、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−tーブチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0063】
有機硫黄化合物類としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
【0064】
有機燐化合物類としては、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなどが挙げられる。
【0065】
正孔輸送物質としては、以下に示す電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。
例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0066】
本発明に用いる電子写真感光体の電荷輸送層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
【0067】
本発明に用いる電子写真感光体の電荷輸送層に併用できるバインダー樹脂としては、ポリカーボネート(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ)、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダーは、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0068】
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ビスベンジルベンゼン誘導体などの可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
【0069】
酸化防止剤としては、例えば以下のものが使用される。
<モノフェノール系化合物>
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−t−ブチル−4−ヒドロキシニソールなど。
<ビスフェノール系化合物>
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
<高分子フェノール系化合物>
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェノール類など。
<パラフェニレンジアミン類>
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
<ハイドロキノン類>
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン
など。
<有機硫黄化合物類>
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
<有機燐化合物類>
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0070】
本発明に用いる電子写真感光体には、電荷輸送層塗工液中にレベリング剤を添加してもかまわない。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、測鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.001重量部〜1重量部が適当である。
【0071】
本発明に用いる電子写真感光体は、電荷輸送層上に保護層を設けても良い。
保護層は結着樹脂中に金属、又は金属酸化物の微粒子を分散した層である。結着樹脂としては可視、赤外光に対して透明で電気絶縁性、機械的強度、接着性に優れたものが望ましい。保護層の結着樹脂としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。金属酸化物としては酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、TiO、TiN、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン等が挙げられる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に等の無機材料を分散したもの等を添加することができる。保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。
なお保護層の厚さは0.1μm〜10μm程度が適当である。
【実施例】
【0072】
以下に本発明による一実施形態に係る画像形成装置の実施例を示すが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。また、「部」は重量部を意味する。
【0073】
〔実施例1〕
(アルミニウム支持体の作製)
直径30mm×長さ340mm、厚さ0.75mm、表面粗さ(R)0.9μm、全フレ量0.045mmの円筒状アルミニウム支持体表面を脱脂洗浄し、以下の浴組成中で浴温60℃に保ち5分間浸漬しエッチング処理を行なった。
【0074】
<浴組成>
水酸化ナトリウム 5%
弗化ソーダ 2%
蒸留水 残余
【0075】
その後、水洗いを繰り返した。次に、15%の硫酸電解液(溶存アルミニウム濃度5g/l)を使用し、浴温21℃、1.5A/dmの直流電流密度で陽極酸化を行なった。
【0076】
次に、図5に示す装置を用いて、前記表1に示す化学式(1−1)で表わされる電子移動物質を5(g/l)含有した温度80℃の超臨界二酸化炭素流体に1時間接触させ、陽極酸化膜(アルマイト層)の微細孔を封孔した。その後、温度80℃を保持したまま、圧力を10MPaまで低下させ、この圧力を維持したまま加圧ポンプと排圧弁を使用して、流量8(l/min)で30分間二酸化炭素を流すことによって、微細孔内に注入されなかった電子移動物質を耐圧容器から除去した。除去後、温度・圧力を徐々に大気圧雰囲気まで低下させることによって、超臨界流体処理を終了した。
【0077】
30MPa、80℃に調節し、温度および圧力が安定した後に1時間静置した。静置後、温度は80℃に保ったまま圧力を10MPaまで低下させ、この圧力を維持したまま加圧ポンプ72を逆転させ、電子移動物質を分散した超臨界二酸化炭素流体を分散槽65に戻す事により導電性支持体表面の陽極酸化膜に電子移動物質を用いて封孔したアルマイト層を形成した。
【0078】
感光層の形成に先立ち、弁68、3方弁70、74を調節し、ポンプ69によりタンク67から超臨界二酸化炭素流体を耐圧容器62中に導入して、導電性支持体61を30分間洗浄した。封孔処理後、アルマイト層の厚さは5.5μmであった。
【0079】
[電荷発生層の形成]
続いて下記化学式3の電荷発生物質2部、固形分濃度2wt%のポリビニルブチラール樹脂(BX−1;積水化学社製)/メチルエチルケトン溶液60部からなる混合物をボールミルポットに取り直径2mmのYTZボールを使用し24時間ボールミリングして電荷発生層塗布液を調整した。この塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、厚さ0.1μmの電荷発生層を形成した。尚、化学式3の電荷発生物質はX線回折測定で27.2°にピークを有していた。
【0080】
【化3】

【0081】
[電荷輸送層の形成]
次いで、下記組成により電荷輸送層用塗工液を調製し、この塗工液を用いて上記形成した電荷発生層上に浸漬塗布し、135℃で25分間乾燥し、厚さ32μmの電荷輸送層を形成した。
【0082】
<電荷輸送層用塗工液の組成>
電荷輸送物質(下記化学式4:リコー社製) 7部
ポリカーボネート樹脂(TS−2050:帝人化成社製) 10部
シリコーンオイル(KF−50:信越化学社製) 0.002部
テトラヒドロフラン(関東化学社製) 77.4部
【0083】
【化4】

【0084】
〔実施例2〕
実施例1において封孔処理に用いた電子移動物質を前記表2に示す化学式1−11に変えた以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作成した。
【0085】
〔実施例3〕
実施例1において封孔処理に用いた電子移動物質を前記表3に示す化学式2−8に変えた以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作成した。
【0086】
〔実施例4〕
実施例1において封孔処理に用いた電子移動物質を下記化学式5に変えた以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作成した。
【0087】
【化5】

【0088】
〔実施例5〕
実施例1においてアルマイト層の膜厚を1.6μmに変え、超臨界二酸化炭素中での処理温度を25℃に変更したした以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作成した。
【0089】
〔実施例6〕
実施例1においてアルマイト層の膜厚を11.5μmにした以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作成した。
【0090】
〔比較例1〕
実施例1と全く同一にしてエッチング処理、陽極酸化、水洗を行った後、酢酸ニッケル5g、ほう酸5gを蒸留水1リットルに溶解し、浴温100℃に保った中に25分間浸漬して封孔処理を行った。その後、再び十分な水洗を行ない自然乾燥させ、7.5μmのアルマイト層を形成した。続いて実施例1と全く同様にして電荷発生層、電荷輸送層を設けた。
【0091】
〔比較例2〕
実施例1において封孔処理を行わなかった以外、実施例1と全く同様にして感光層を設けた。
【0092】
〔比較例3〕
下記組成の混合物をボールミルポットに取り直径5mmの高硬度アルミナボールを使用し96時間ボールミリングした。
【0093】
<ミリング液組成>
酸化チタン(CR−60:石原産業社製) 60部
アルキッド樹脂 18.5部
(ベッコライトM6401−50大日本インキ化学工業社製;固形分50wt%)
メラミン樹脂 10.3部
(スーパーベッカミンL-121-60、大日本インキ化学工業社製;固形分60wt%)
メチルエチルケトン(関東化学社製) 21部
シクロヘキサノン(関東化学社製) 9部
【0094】
このミリング液を実施例1の陽極酸化処理前のアルミニウム支持体に浸漬塗布し、130℃で30分間乾燥して、膜厚3.5μmの下引き層を形成した。続いて電荷発生層、電荷輸送層塗工液を実施例1と全く同様にして形成した。
【0095】
〔参考例1〕
実施例1において超臨界二酸化炭素中での処理温度を120゜Cに変更した以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作成した。
【0096】
〔参考例2〕
円筒状アルミニウム支持体としてフレ精度0.14mmの素管を用いた以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作成した。
【0097】
〔トナーの作製〕
(ポリエステル樹脂の合成例)
【0098】
攪拌装置、温度計、窒素導入口、流下式コンデンサー、冷却管付き4つ口セパラブルフラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン740g、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン300g、テレフタル酸ジメチル466g、イソドデセニル無水コハク酸80g、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリn−ブチル114gをエステル化触媒とともに加えた。窒素雰囲気下で前半210℃まで常圧昇温し、後半210℃減圧にて撹拌しつつ反応させた。酸価2.3(KOHmg/g)、水酸基価28.0(KOHmg/g)、軟化点106℃、Tg62℃のポリエステル樹脂を得た。
【0099】
(母体トナーの製造例)
処方
結着樹脂 :ポリエステル樹脂 85.6部
着色剤 :カーボンブラック 8.6部
帯電制御剤 :サリチル酸の亜鉛化合物 0.9部
離型剤 :カルナバロウ 4.3部
【0100】
上記処方の原材料を下記1〜4に記載の手順に従い母体トナーを作製し体積平均粒径:6.8μmのブラック母体トナーを得た。
手順1.上記原析料を、ヘンシェルミキサーにより混合
手順2.120℃に設定したブスコニーダー(ブス社製)によって溶融混練
手順3.混練物を冷却後、ターボミル(ターボ工業社製)を用いた粉砕機によって微粉砕
手順4.風力分級機を用いて、分級
【0101】
(製品トナーの製造例)
母体トナーの製造例で得られた母体トナーに対し、シリカ(AEROSILTT600;日本アエロジル社製)を1.5重量%、酸化チタン(MT−150M;テイカ社製)を0.7重量%添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)により1000rpmで10分間混合して、目開き50μmの篩を通過させ電子写真用トナーを得た。
【0102】
(キャリアの製造例)
シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニングシリコーン社製:SR−2411)100gにトルエン100gを加えてコート液とした。この溶液をキャリア芯材(平均粒径60μmCu−Znフェライト)1kgに流動床コーティング法によりスプレー塗布後、約5分間乾燥させ、200℃にて1時間加熱し、冷却後篩にて篩い、本実施例で使用されるキャリアを製造した。なお、キャリアの平均粒径を変更してコーティングするときは、膜厚を一定にするために表面積換算してシリコーン樹脂量を調整する。
【0103】
(現像剤の製造例)
上記電子写真用トナー4部および上記キャリア96部をターブラーミキサーにて10分混合して現像剤を作成した。
【0104】
この様にして作製した電子写真感光体を反転現像方式のデジタル複写機イマジオMF250(リコー社製;露光用レーザーを波長655nmのものに変更)に取り付けた。帯電装置の高圧電源は表面電位が−600〜−650V程度になるような印加電圧に設定し、試験終了に至るまでこの帯電条件で試験を実施した。また、現像バイアスは−300Vに設定し、電子写真感光体と現像ローラ間のギャップを測定した所、実施例1〜6、比較例1〜3では0.6〜0.9mmであったが、比較例4ではプリンター手前側で0.3mm、奥側で1.2mmであった。続いて現像ローラをはずして電位計のプローブを取り付けた現像ユニットで初期の帯電電位DV(−V)、露光後電位VL(−V)を測定した。尚、転写ローラとしては導電性EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)(Asker−Cアナログ硬度計によるローラ硬度34、抵抗値8.7×10Ωcm)のソフトローラーを用い、転写電流は転写用紙厚みに応じて0.2〜1μA/cmに設定した。転写ローラの抵抗値は押厚0.35N/cmで直径30mmのアルミドラムに接触させ30rpmで回転させながら電圧1KVを3秒間印加時の平均抵抗から求めた。
【0105】
次に現像ユニットを取り付け、上述の方法で作製した現像剤を攪拌して帯電させ、感光体表面に形成された静電潜像に接触させてトナー像を形成して顕像化することで画像形成を行った。得られた画像の画像品質(黒ポチ、細線の再現性、残像)を評価した。続いてA4縦幅の転写紙を用いて画像密度5%で3万枚の連続印字を行なった後、A3縦幅の転写紙を取り付けハーフトーン画像、白紙、1ドットライン画像を印字して、画像品質(サイズ跡、黒ポチ、細線の再現性、残像)を評価した。また、現像ローラをはずして電位計のプローブを取り付けたユニットで帯電電位DV(−V)、露光後電位VL(−V)を測定した。さらに3万枚の連続印字を行なった後、ハーフトーン画像、白紙、1ドットライン画像を印字して、画像品質(黒ポチ、細線の再現性、残像)の評価、帯電電位DV(−V)、露光後電位VL(−V)を測定した。
【0106】
これらの測定は表4及び下記評価基準に従って行った。その測定結果を図6に示す。細線の再現性は1ドッド斜めラインを印字させてその再現性を評価した。残像は連続印字時の画像パターンの中に幅5mmの縦帯画像(感光体周方向)を常時印字出来る様にさせて初期、3万枚,6万枚印字後のハーフトーン画像で常時縦帯画像印字部分と他の部分での濃度差を比較した。
【0107】
【表4】

【0108】
なお、サイズ跡は15インチ通紙部とその外側の19.5インチ通紙部に対応した部分でのハーフトーン画像をマクベス濃度計で測定しその差で評価した。また6万枚印字後、感光体表面の傷、フィルミング、サイズ跡も目視で評価した。
但し、参考例2の感光体は1万枚印字後濃度バラツキ、2万枚以降現像部からのトナー吹き出しが発生したため、以後の評価を中止した。
【0109】
〔細線再現性評価基準〕
◎:1ドットで形成される縦線、横線、斜め線の全てが掠れずに再現されている。
○:1ドットで形成される細線のうち斜め線が少し掠れて再現され、縦線、横線が掠れずに再現されている。
△:1ドットで形成される細線のうち斜め線、縦線が少し掠れて再現され、横線が掠れずに再現されている。
×:1ドットで形成される細線の全てが掠れて再現されている。
【0110】
〔サイズ跡評価基準〕
◎:目視で差なし
○:かすかに濃度差あり
△:殆ど目立たない
×:明確に濃度差あり
【0111】
〔残像評価基準〕
◎:0.05未満
○:0.05〜0.1
△:0.1〜0.15
×:0.15以上
【0112】
〔黒ポチ評価基準〕
◎:1cmあたりでの直径0.05mm以上の黒ポチ数が0
○:1cmあたりでの直径0.05mm以上の黒ポチ数が1〜2
△:1cmあたりでの直径0.05mm以上の黒ポチ数が3〜6
×:1cmあたりでの直径0.05mm以上の黒ポチ数が7以上
【0113】
ただし、黒ポチの評価はカラーイメージプロセッサーSPICCA(日本アビオニクス社製)を用いて黒ポチの大きさと個数を測定し、1cmあたりでの直径0.05mm以上の黒ポチ数によって判定した。ここで、判定における◎、○、△は実用上特に問題のないことを、×の場合は実用に適さないことを意味する。尚、比較例5でトナー吹き出しが発生したのは現像ギャップの狭い手前側であった
【0114】
図6で示す上記測定結果から明らかなように、比較例1で示す酢酸ニッケル及びほう酸水溶液で封孔処理をしたアルマイト層を用いた電子写真感光体では、初期は、左程残像が悪くないものの、印字枚数が増えるに従い残像が多くなり低下している。また、比較例2で示す封孔処理を行わないアルミニウム支持体を使用した電子写真感光体では、黒ポチが発生したり、サイズ跡が発生する問題がある。比較例3で示すアルミニウム支持体上に下引き層を形成した電子写真感光体では、印字枚数が多くなるに連れ、残像が多くなり、また、サイズ跡を発生する問題が生じる。参考例1で示す超臨界ニ酸化炭素中で120℃で封孔処理した電子写真感光体では、印字枚数が多くなるにつれ黒ポチの発生が認められるようになる。また、参考例2で示すフレ精度が0.14mmのアルミニウム支持体を使用した電子写真感光体では、1万枚の印字後濃度バラツキが発生し、2万枚以降では現像ギャップ付近からトナーの噴出しが発生して使用に耐えなくなってしまう。
【0115】
これに対し、本発明による各実施例の電子写真感光体を使用したものでは、6万枚の印字後であっても良好な、黒ポチ特性、細線再現性、残像、サイズ跡特性を示すことが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明による一実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置の概略構成を示す模式断面図である。
【図2】本発明による一実施形態に係る感光体の概略断面図である。
【図3】本発明による一実施形態に係る陽極酸化処理により形成されたアルマイト層の構成を示す概略斜視図である。
【図4】本発明による一実施形態に係る陽極酸化処理により形成されたアルマイト層の構成を示す概略断面図である。
【図5】本発明による一実施形態に係る洗浄、封孔装置の概略構成を示した断面図である。
【図6】本発明による各実施例及び比較例の感光体についての評価結果を示す表図である。
【符号の説明】
【0117】
1 感光体
2 帯電ローラ(帯電装置)
L 露光
4 現像装置
4a 現像ローラ
5 クリーニング装置
6 転写ローラ
6a 回転軸
6b 導電性弾性層
7 定着装置
15 アルミニウム支持体
16 アルマイト層
16a バリア層
16b 多孔質層
16c 孔
16d セル
17 電荷発生層
18 電荷輸送層
19 感光層
62 耐圧容器
63 蓋
64 ドラム支持台
65 分散槽
66 攪拌機
67 タンク
68、71 弁
69、72 ポンプ
70、74 三方弁
73 加熱器
75 電子移動物質を分散した超臨界流体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電潜像が形成される電子写真感光体と、当該電子写真感光体に形成された静電潜像に対してトナーを供給してトナー像化する現像装置と、当該現像装置によって前記電子写真感光体表面に形成されたトナー像を被転写体に転写バイアス電圧を印加して転写する転写手段を備えた画像形成装置において、
前記電子写真感光体は、アルミニウム支持体の表面に形成された多孔性アルマイト層を、電子移動物質を含有した超臨界流体及び/もしくは亜臨界流体に接触させて封孔処理をし、封孔処理された前記多孔性アルマイト層上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を積層した感光層を有し、
前記転写手段は、芯金上に導電性弾性層を有する転写ローラであり、当該転写ローラで前記被転写体を介して前記電子写真感光体を押圧しながら前記転写バイアス電圧を印加して前記被転写体に前記電子写真感光体表面に形成されたトナー像を転写することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記転写ローラは、20〜50のアスカーC硬度を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置において、
前記アルミニウム支持体の全フレ量を0.05mm以下とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置において、
前記電子移動物質は、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド顔料、多環キノン顔料、アゾ顔料から選ばれた少なくとも1種の顔料であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置において、
前記アルマイト層の厚さが2〜10μmであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像形成装置において、
前記封孔処理は、前記超臨界流体または亜臨界流体を30℃〜90℃に加熱して行われることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像形成装置において、
前記超臨界流体または亜臨界流体は二酸化炭素であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、前記電子写真感光体と前記現像装置とを一体に連結したプロセスカートリッジであること特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−54672(P2010−54672A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217904(P2008−217904)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】