説明

画像形成装置

【課題】 レバー構造部の小型化を図る。
【解決手段】 リング部25F内周側のうち、開口部25Eの縁部25Gにレバー側返し面25Hを設け、揺動軸25Cに軸側返し面25Qを設けるとともに、軸側返し面25Qが開口方向D4、つまり外力の方向に対して交差する方向に平行となるようにする。これにより、操作レバー25Bに外力が作用した場合には、レバー側返し面25Hと軸側返し面25Qと接触し、軸側返し面25Qにて外力を受けることとなる。軸側返し面25Qは、外力の方向に対して交差する方向に平行であるので、外力によりリング部25Fを拡げるように撓ませる向きの力、つまり外力の方向に対して直交する方向の力が発生し難い。このため、請求項1に記載の発明では、操作レバー25Bに外力が作用しても、揺動軸25Cから操作レバー25Bが外れてしまうことは殆どない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の発明では、ユーザにより操作される操作レバーを貫通する軸により、操作レバーが回転(揺動)可能に装置本体に組み付けられている。
【特許文献1】特開2005−257852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、操作レバーを軸が貫通している場合には、特許文献1の図2に示すように、軸の両端側を支持する支持部材と軸とが、別部品として組み付けられる構造となっている必要がある。すなわち、仮に、支持部材と軸とが一体形成された一部品であると、操作レバーを軸に組み付けることが構造的にできないからである。
【0004】
しかし、支持部材と軸とが、別部品として組み付けられる構造であると、軸を支持部材に填め込むようにして組み付ける必要があるので、軸長を小さくすることができず、操作レバー、軸及び支持部材等からなるレバー構造部の小型化を図ることが難しい。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、レバー構造部の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、ユーザにより操作される操作レバー(25B)と、操作レバー(25B)を回転可能に支持する軸(25C)と、軸(25C)をその軸方向両端側で支持するとともに、軸(25C)と一体形成された一対の支持部材(25D)と、操作レバー(25B)に設けられ、軸(25C)に対して回転可能に填め込まれ、かつ、一部に開口部を有する略C字状のリング部(25F)とを備え、リング部(25F)の内周側のうち、開口部(25E)の縁部(25G)には、軸方向と平行な方向から見て、開口部(25E)の開口方向(D4)に対して交差する方向に平行な面を有するレバー側返し面(25H)が設けられており、さらに、軸(25C)には、外周からその軸中心(O3)側に陥没するとともに、操作レバー(25B)が軸(25C)に対して回転したときに、レバー側返し面(25H)と略平行となり得る面を有する軸側返し面(25Q)が設けられていることを特徴とする。
【0007】
これにより、請求項1に記載の発明では、軸(25C)と一対の支持部材(25D)とが一体形成されているので、一対の支持部材(25D)を含む軸方向寸法の小型化を図ることができる。
【0008】
また、請求項1に記載の発明では、リング部(25F)の内周側のうち、開口部(25E)の縁部(25G)にレバー側返し面(25H)を設けられ、一方、軸(25C)に軸側返し面(25Q)を設けているので、軸(25C)から操作レバー(25B)を抜き取るような力が操作レバー(25B)に作用した場合には、レバー側返し面(25H)と軸側返し面(25Q)と接触し、軸側返し面(25Q)にて外力を受けることとなる。
【0009】
そして、軸側返し面(25Q)は、開口方向(D4)、つまり外力の方向に対して交差する方向に平行であるので、外力によりリング部(25F)を拡げるように撓ませる向きの力、つまり外力の方向に対して直交する方向の力が発生し難い。このため、請求項1に記載の発明では、操作レバー(25B)に外力が作用しても、軸(25C)から操作レバー(25B)が外れてしまうことは殆どない。
【0010】
以上のように、請求項1に記載の発明では、操作レバー(25B)の組み付け作業性を損なうことなく、操作レバー(25B)に外力が作用した場合であっても操作レバー(25B)が外れてしまうことを防止しつつ、レバー構造部の小型化を図ることができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明では、リング部(25F)のうち、開口部(25E)を挟んで一方側の第1円弧部(25K)は、他方側の第2円弧部(25L)に比べて曲げ剛性が小さく、さらに、レバー側返し面(25H)は、第1円弧部(25K)に設けられていることを特徴とする。
【0012】
これにより、請求項2に記載の発明では、レバー側返し面(25H)を第1円弧部(25K)及び第2円弧部(25L)に設けた場合に比べて、リング部(25F)の形状が過度に複雑になることを防止できる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明では、第2円弧部(25L)には、カムレバー(25A)のカム面(25M)に摺接しながらカムレバー(25A)を押圧するカム部(25N)が設けられていることを特徴とする。
【0014】
これにより、請求項3に記載の発明では、カム部(25N)を構成するために必要な高剛性部を別途に設けることなく、高い剛性を有する第2円弧部(25L)を利用してカム部(25N)を構成することができるので、操作レバー(25B)の形状が過度に複雑になることを防止できる。
【0015】
なお、請求項4に記載の発明では、軸(25C)の断面形状は、平面部(25P)を有して略D字状に形成されており、さらに、軸側返し面(25Q)と平面部(25P)とのなす角は90度以下であることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項5に記載の発明では、操作レバー(25B)の通常作動領域からずれた領域まで操作レバー(25B)が回転したときに、平面部(25P)と開口方向(D4)とが平行となることを特徴とするので、請求項5に記載の発明では、通常作動領域において、大きな外力が操作レバー(25B)に作用しても、操作レバー(25B)が軸(25C)から外れてしまうことを防止できる。
【0017】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本実施形態は、本発明に係る画像形成装置を電子写真方式の画像形成装置に適用したものであり、以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.図面の説明
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す中央断面図であり、図2はリアカバー16を開いた状態を上方側から見た斜視図であり、図3はリアカバー16が閉じた状態を示す中央断面図であり、図4(a)はリアカバー16が第1所定角度まで開いた状態を示す中央断面図であり、図4(b)は図4(a)のA部拡大図である。
【0019】
また、図5はリアカバー16が第2所定角度まで開いた状態を示す中央断面図であり、図6(a)は第1排紙ローラ14が下がった状態を示す図であり、図6(b)は第1排紙ローラ14が上がった状態を示す図あり、図7は図3のA−A断面図である。
【0020】
また、図8(a)及び図8(b)は加圧ローラ変位機構の作動を示す図であり、図9は加圧ローラ変位機構の拡大斜視図であり、図10は図9の分解斜視図であり、図11(a)は加圧ローラ変位機構の断面図であり、図11(b)は図11(a)のA部拡大図である。
【0021】
さらに、図12は本実施形態に係る画像形成装置1の電気系を示すブロック図であり、図13は本実施形態に係る画像形成装置1の制御の一部を示すフローチャートであり、図14(a)及び図14(b)は試作検討品に係る操作レバー25Bを示す図であり、図15は本発明の第1実施形態に係る操作レバー25Bの効果を示す図である。
【0022】
2.画像形成装置の構成
2.1.画像形成装置の概略構造
画像形成装置1の筐体3内には、図1に示すように、記録用紙やOHPシート等の記録シート(以下、用紙という。)に現像剤像を転写することにより、用紙に画像を形成する電子写真方式の画像形成部5が収納されており、この画像形成部5は、周知のごとく、プロセスカートリッジ7、露光器9及び定着器11等から構成されている。
【0023】
なお、プロセスカートリッジ7は、現像剤像が担持される感光ドラム7A、及び感光ドラム7Aを帯電させる帯電器7B等から構成されており、露光器9は、レーザ光を走査しながら感光ドラム7Aを露光するものである。
【0024】
そして、帯電した感光ドラム7Aを露光器9にて露光して感光ドラム7Aの外周面に静電潜像を形成した後、電荷を帯びた現像剤を感光ドラム7Aに供給すると、感光ドラム7Aの外周面に現像剤像が担持(形成)される。
【0025】
また、定着器11は、用紙の印刷面側に配設されて現像剤を加熱しながら用紙に搬送力を付与する加熱ローラ11A、及び用紙を挟んで加熱ローラ11Aと反対側に配設されて用紙を加熱ローラ11A側に押圧する加圧ローラ11B等を有して構成されており、本実施形態では、加圧ローラ11Bを加熱ローラ11Aに対して相対変位させることができる。
【0026】
なお、この加圧ローラ11Bを変位させるための構成(以下、加圧ローラ変位機構という。)の詳細は後述する。
また、感光ドラム7Aと対向する位置には、感光ドラム7Aに担持された現像剤を用紙に転写させる転写ローラ13が設けられており、現像剤像が転写された用紙は、定着器11に搬送されて加熱され、用紙に転写された現像剤像が用紙に溶着(定着)する。
【0027】
そして、定着器11から排出された用紙は、第1排紙ローラ14により上方側に搬送され、その後、第1搬送シュート16A及び第2搬送シュート16Bにより搬送方向が略180°転向された後、第2排紙ローラ15により排紙トレイ3Aに排出される。
【0028】
なお、第1排紙ローラ14及び第2排紙ローラ15は、電動モータ31(図12参照)等の駆動源から駆動力を得て回転する駆動ローラであり、ピンチローラ14Aは用紙を第1排紙ローラ14に押し付けることにより用紙の搬送とともに従動回転するローラであり、ピンチローラ15Aは用紙を第2排紙ローラ15に押し付けることにより用紙の搬送と共に従動回転するローラである。
【0029】
2.2.リアカバー及びその周囲の構造
筐体3の後方側に設けられた開口部3B(図1参照)は、図2に示すように、略板状のリアカバー16により開閉され、このリアカバー16は、揺動軸16Bを介して本体フレーム19に揺動可能に組み付けられている。このため、本実施形態に係る画像形成装置1では、リアカバー16が開かれた状態で画像形成処理が実行されると、画像形成が完了した用紙は、開口部3Bから排出されてリアカバー16上に載置されていく。
【0030】
なお、本体フレーム19とは、プロセスカートリッジ7や定着器11等が組み付けられる装置本体の少なくとも一部を構成するものであり、この本体フレーム19は、略板状に形成されて画像形成装置1の幅方向(左右方向)両端側に設けられている。
【0031】
また、リアカバー16より定着器11側、つまりリアカバー16より内方側には、図3に示すように、ジャムカバー18が揺動軸18Aを介して本体フレーム19に揺動可能に組み付けられており、このジャムカバー18が閉じられた状態(図3又は図4(a)に示す状態)では、ジャムカバー18は、定着器11の用紙排出側を閉塞するような位置にある。
【0032】
そして、第1排紙ローラ14がジャムカバー18に保持されているいため、このジャムカバー18がリアカバー16側に揺動変位して開かれると、図5に示すように、第1排紙ローラ14がピンチローラ14Aから離隔するとともに、定着器11の用紙排出側に構成された略U字状の用紙搬送経路Lo(図1参照)が開放される。
【0033】
また、ジャムカバー18のうち定着器11の排紙口11C側には、図2に示すように、センサアクチュエータ20が揺動可能に組み付けられており、このセンサアクチュエータ20は、用紙の搬送方向先端側又は後端が、このセンサアクチュエータ20が配設された部位(以下、この部位を検出部という。)を通過したか否かを検出するための手段である。
【0034】
因みに、図2〜図5では、第1排紙ローラ14は、仮想線(二点鎖線)で描かれているが、これは、センサアクチュエータ20を図示するためであり、実際は、第1排紙ローラ14はジャムカバー18に組み付けられているので、揺動軸18A周りに対しては、ジャムカバー18と一体的に揺動変位する。
【0035】
また、センサアクチュエータ20は、排紙口11Cの幅方向(画像形成装置1の左右方向)略中央部に位置しており、このセンサアクチュエータ20と一体的に揺動する揺動軸20Aは、ジャムカバー18の幅方向一端側に配設された透過型の光センサ20Bまで延びている。
【0036】
因みに、光センサ20Bは、周知のごとく、発光素子と受光素子とが所定の隙間を介して対向配置されたものであり、この光センサ20Bは、発光素子から出射された光を受光素子にて受光した場合には、例えばON状態となり、逆に、受光できなかった場合にはOFF状態となる。
【0037】
そして、揺動軸20Aの軸端のうち光センサ20B側には、揺動軸20Aと一体的に揺動する遮光板20Cが設けられており、この遮光板20Cは、発光素子から受光素子に至る光路を遮る位置と開放する位置との間で揺動する。
【0038】
このため、検出部に用紙が存在しない場合には、センサアクチュエータ20及び遮光板20Cは、図3の実線で示す状態となるため、光センサ20BはOFF状態となる。一方、センサアクチュエータ20が用紙の搬送方向先端側に接触した時から用紙搬送方向後端側が検出部から離脱するまでは、センサアクチュエータ20及び遮光板20Cは、図3の二点鎖線で示す状態となるため、光センサ20BはON状態となる。
【0039】
また、ジャムカバー18の端部のうち本体フレーム19側には、図2に示すように、ジャムカバー18を閉じた状態に保持するためのロック機構21が設けられており、このロック機構21は、カバー側アーム21Aの先端部に設けられた係合部21B、被係合部21Cが設けられた係合レバー21D、及び係合レバー21Dに弾性力を作用させるバネ21J等から構成されている。
【0040】
すなわち、カバー側アーム21Aは、図4(a)に示すように、揺動軸18A側から上方側に延びるように、ジャムカバー18の揺動中心O1から放射方向D1と略平行な方向に延びているとともに、ジャムカバー18に一体化されている。
【0041】
そして、カバー側アーム21Aの延び方向先端側(図4(a)では、上端側)21Eに係合部21Bが一体成形されており、この係合部21Bは、図4(b)に示すように、揺動軸18Aの軸方向と平行な方向から見て、カバー側アーム21Aの延び方向先端側(図4(b)では、上端側)が凸となるような略三角形状に形成されている。
【0042】
なお、係合部21Bの定着器11側に形成された第1傾斜面21Fとリアカバー16側に形成された第2傾斜面21Gとは、カバー側アーム21Aの延び方向(放射方向D1)に対して傾斜しているとともに、延び方向先端側(図4(b)では、上端側)で滑らかに連続している。
【0043】
また、係合レバー21Dの根元側は、図4(a)に示すように、揺動軸21Hを介して本体フレーム19の内側面に揺動可能に組み付けられており、この係合レバー21Dの先端側に係合部21Bと係合する被係合部21Cが設けられている。
【0044】
なお、被係合部21Cは、図4(b)に示すように、揺動軸18Aの軸方向と平行な方向から見て、係合部21B側が凸となるように三角形状に形成されており、被係合部21Cの定着器11側に形成された第1傾斜面21Kとリアカバー16側に形成された第2傾斜面21Lとは、係合部21B側で滑らかに連続している。
【0045】
また、バネ21Jは、係合レバー21Dを係合部21B側に押圧することにより、被係合部21Cを係合部21B側に押圧する弾性力を発生させる弾性手段であり、このバネ21Jは、図4(a)に示すように、その軸方向一端側が係合レバー21Dに組み付けられ、軸方向他端側が本体フレーム19に設けられた座部19Aに接触するように構成されている。
【0046】
ところで、リアカバー16とジャムカバー18とは、図4(a)に示すように、リンク部材22A等からなるリンク機構22により連結されており、このリンク部材22Aは、第1搬送シュート16Aと共に樹脂にて略板状に一体成形されている。
【0047】
そして、リンク部材22Aは、一端側が揺動軸22Bを介してジャムカバー18の幅方向両端側に回転可能に連結され、他端側が揺動軸22Cを介してリアカバー16に回転可能に連結されている。
【0048】
また、リンク部材22Aの揺動軸22Cは、摺動かつ回転可に溝部22Dに嵌合されており、かつ、溝部22Dは、リアカバー16の揺動中心O2からリアカバー16の先端側に向かう方向D2と略平行な方向に延びているため、揺動軸22Cは、リアカバー16の開閉(揺動)作動に連動して回転しながら溝部22Dに沿って方向D2と略平行な方向に変位する(図3及び図4(a)参照)。
【0049】
つまり、リアカバー16が開かれた状態では、図4(a)に示すように、揺動軸22Cは、溝部22Dの長手方向端部のうち揺動軸16B側の端部に位置し、一方、リアカバー16が閉じられた状態では、揺動軸22Cは、図3に示すように、溝部22Dの長手方向端部のうち揺動軸16Bと反対側の端部に位置する。
【0050】
因みに、本実施形態では、溝部22Dの長手方向は、リアカバー16の揺動中心O2からリアカバー16の先端側に向かう方向D2に対して完全に平行ではなく、僅かに傾いているが、これは、リンク部材22Aが揺動軸22Bを中心に揺動(回転運動)するからである。
【0051】
したがって、「揺動軸22Cがリアカバー16の揺動中心O2からリアカバー16の先端側に向かう方向D2と略平行な方向に変位する」とは、「揺動軸22Cがリアカバー16の揺動中心O2側から先端側までの間を往復変位する」といった意味であり、厳格に「方向D2と略平行な方向に変位する」といった意味ではない。
【0052】
また、リアカバー16のうち溝部22Dが形成されたガイド壁16Cは、図2に示すように、リアカバー16が開かれたときに、開口部3Bから排出された用紙の幅方向両端側の位置を規制する規制手段として機能するとともに、その先端部には、リアカバー16が閉方向に揺動させられたときに、ジャムカバー18を閉方向に押圧する押圧部16Dが設けられている。
【0053】
また、開口部3Bの縁部のうちリアカバー16の揺動中心側、つまり開口部3Bの下端側縁部には、リアカバー16が図4(a)に示す状態を超えて図5に示す状態まで開いたとき、リアカバー16が図5に示す状態を超えて開くことを防止するストッパ3Cが設けられている。
【0054】
ところで、本実施形態では、第1排紙ローラ14及びピンチローラ14A(以下、これらのローラを総称するときは、第1排紙ローラ14等と記す。)を、その軸方向と直交する方向(本実施形態では、上下方向)に揺動変位可能な構成となっている。
【0055】
なお、第1排紙ローラ14等を揺動変位可能するための具体的な構成及び目的は、例えば特開平7−48046号公報と同じであるので、その詳細説明は省略する。
そして、本実施形態では、図6(a)に示すように、操作部40がユーザにより操作されて、操作部40が画像形成装置1の幅方向一端側に位置するときには(以下、この位置を第1ポジションという。)、第1排紙ローラ14等が下方側に変位し、一方、操作部40が幅方向他端側に位置するときには(以下、この位置を第2ポジションという。)、図6(b)に示すように、第1排紙ローラ14等が下方側に変位する。
【0056】
また、操作部40は、図7に示すように、リアカバー16側に突出した板状の突起部にて構成され、かつ、ジャムカバー18に変位可能に組み付けられたもので、この操作部40はユーザにより把持・操作される。
【0057】
一方、リアカバー16のうち、リアカバー16が閉じられたときに操作部40と対向する位置には、リアカバー16が閉じられたときに、操作部40を強制的に第1ポジション又は第2ポジションとするポジションセッター41が設けられている。
【0058】
このポジションセッター41は、第1傾斜面41A及び第2傾斜面41B、並びに第1傾斜面41Aと第2傾斜面41Bとの繋ぐ部位に設けられたセパレータ壁41C等から構成されている。
【0059】
そして、第1傾斜面41Aは、幅方向一端側に向かうほどリアカバー16に近づくように、リアカバー16の揺動方向D3と交差する方向に傾斜し、一方、第2傾斜面41Bは、幅方向他端側に向かうほどリアカバー16に近づくように揺動方向D3と交差する方向に傾斜している。
【0060】
このため、リアカバー16が閉じられる際に、操作部40の先端が第1傾斜面41Aに接触した場合には、操作部40は、リアカバー16がジャムカバー18に近づくにつれて第1傾斜面41Aに摺接しながら幅方向一端側、つまり第1ポジション側に変位する。
【0061】
また、リアカバー16が閉じられる際に、操作部40の先端が第2傾斜面41Bに接触した場合には、操作部40は、リアカバー16がジャムカバー18に近づくにつれて第2傾斜面41Bに摺接しながら幅方向他端側、つまり第2ポジション側に変位する。
【0062】
このため、リアカバー16が閉じられたときには、操作部40は、必ず第1ポジション及び第2ポジションのうちいずれかのポジションとなる。なお、セパレータ壁41Cは、操作部40を第1傾斜面41A又は第2傾斜面41Bに確実に誘導するためのものである。
【0063】
2.3.リアカバー及びジャムカバーの開閉作動等
リアカバー16が開かれた状態では、図4(a)に示すように、揺動軸22Cは溝部22Dのうち揺動軸16B側の端部に位置し、揺動軸22Cは、それ以上揺動中心O2側に変位することができないので、リアカバー16は、図4(a)に示す状態(以下、この状態を「リアカバー16が第1所定角度まで開かれた状態」という。)で静止する。
【0064】
しかし、リアカバー16が第1所定角度まで開かれた状態において、リアカバー16を更に開く向きの力F1が作用すると、力F1によるリアカバー16を揺動させるモーメントM1によってリンク部材22Aに力F2が作用するので、ジャムカバー18にジャムカバー18を開くためのモーメントM2(以下、モーメントを開放力という。)が作用する。
【0065】
一方、ロック機構21は、被係合部21Cがバネ21Jにより係合部21B側に押圧されることにより、ジャムカバー18を閉じた状態に保持するための力、つまり開放力に対向する力(保持力)を発生させている。
【0066】
このため、保持力が開放力より大きいときには、図4(a)に示すように、リアカバー16は、第1所定角度まで開いた状態で静止し、一方、開放力が保持力より大きい場合には、図5に示すように、リアカバー16及びジャムカバー18が、保持力に逆らって第1所定角度を超えて開く向きに揺動する。
【0067】
そして、リアカバー16が第1所定開度を超えて第2所定開度まで開くと、リアカバー16の揺動中心側(下端側)がストッパ3Cに衝突し、リアカバー16が第2所定角度を超えて更に開くことが防止される。
【0068】
また、リアカバー16及びジャムカバー18が開いた状態(図5参照)からリアカバー16が閉じられると、リアカバー16の押圧部16Dがカバー側アーム21Aに設定された曲面状の被押圧部21M(図3参照)に接触し、カバー側アーム21Aを閉じる向きに押圧するため、リアカバー16が閉じられると、これに連動してジャムカバー18も閉じられる。
【0069】
なお、押圧部16Dは、被係合部21Cの第2傾斜面21Lが係合部21Bの第1傾斜面21Fと接触している間は被押圧部21Mに接触してカバー側アーム21Aを押圧する。その後、被係合部21Cの頂部が係合部21Bの頂部を乗り越えると、被係合部21Cの第1傾斜面21Kが係合部21Bの第2傾斜面21Gとが接触し、押圧部16Dと被押圧部21Mとが非接触状態となる。
【0070】
そして、被係合部21Cの頂部が係合部21Bの頂部を乗り越え、押圧部16Dと被押圧部21Mとが非接触状態となった後は、バネ21Jの弾性力により被係合部21Cの頂部が係合部21Bの第2傾斜面21G上を摺動しながら移動し、最終的に、係合部21Bと被係合部21Cとが完全に係合した状態(図3参照)となる。
【0071】
2.4.加圧ローラ変位機構
加圧ローラ変位機構25は、図8(a)及び図8(b)に示すように、加圧ローラ11Bを加熱ローラ11Aに対して変位させることにより、用紙を加熱ローラ11Aに押し付け押圧力を変更するための機構であり、この加圧ローラ変位機構25は、加圧ローラ11Bを変位させる揺動アーム25A、及びユーザにより操作される操作レバー25B等から構成されている。
【0072】
すなわち、揺動アーム25Aは、その長手方向一端側が定着器11のハウジング等に揺動可能に組み付けられ、長手方向他端側がジャムカバー18のカバー側アーム21A側に延びており、この揺動アーム25Aの長手方向中間部(本実施形態では、長手方向中央より一端側に近接した部位)には、加圧ローラ11Bが組み付けられている。
【0073】
なお、揺動アーム25Aは、押圧用バネ等の弾性手段(図示せず。)により、加圧ローラ11Bが加熱ローラ11Aに近づく向きに押圧されており、この押圧用バネの弾性力により、用紙を加熱ローラ11Aに押し付ける押圧力が発生する。
【0074】
一方、操作レバー25Bは、カバー側アーム21Aに設けられた揺動軸25Cに回転可能に支持されており、この揺動軸25Cの軸方向両端側それぞれは、図9又は図10に示すように、カバー側アーム21Aを構成する一対の板状支持部材25Dに一体化されている。因みに、板状支持部材25D(カバー側アーム21A)、揺動軸25C及び係合部21B等は、樹脂にて一体成形されている。
【0075】
また、操作レバー25Bには、図11(a)に示すように、開口部25Eを有する略C字状のリング部25Fが設けられており、このリング部25Fが揺動軸25Cに回転可能に填め込まれているため、操作レバー25Bは揺動軸25Cに対して回転することができる。因みに、本実施形態では、リング部25Fは、操作レバー25Bと共に樹脂にて一体成形されている。
【0076】
また、リング部25Fの内周側のうち、開口部25Eの縁部25Gには、レバー側返し面25Hが設けられており、このレバー側返し面25Hは、揺動軸25Cと平行な方向から見て、開口部25Eの開口方向D4に対して交差する方向に平行な面である。
【0077】
そして、本実施形態では、図11(b)に示すように、開口方向D4とレバー側返し面25Hとのなす角θ1を90°以下とすることにより、開口部25Eの縁部25Gが揺動軸25Cに向けて突出した鈎形状となるように構成している。
【0078】
なお、開口方向D4とは、C字状のリング部25Fの中心からの放射方向と平行な方向をいい、本実施形態では、開口方向D4と開口部25Eの内壁面の構成する壁面25Jとが略平行となる。
【0079】
また、リング部25Fのうち、開口部25Eを挟んで一方側(本実施形態では、上方側)の第1円弧部25Kは、図11(a)に示すように、他方側(本実施形態では、下側)の第2円弧部25Lに比べて曲げ剛性が小さくなっており、レバー側返し面25Hは、曲げ剛性の大きい第1円弧部25Kに設けられている。
【0080】
すなわち、本実施形態では、第1円弧部25Kの厚み寸法t1が第2円弧部25Lの厚み寸法t2より小さくなっており、かつ、第2円弧部25Lの外周側には、揺動アーム25Aを押圧するカム部25Nが設けられているため、第2円弧部25Lの曲げ剛性は、第1円弧部25Kの曲げ剛性に比べて十分に大きくなる。なお、カム部25Nは、揺動アーム25Aのカバー側アーム21A側に設定されたカム面25M(図8(a)参照)に摺接しながら揺動アーム25Aを押圧する。
【0081】
一方、揺動軸25Cの断面形状は、図11(a)に示すように、平面部25Pが形成された略D字状に形成されており、この平面部25Pは、図8(b)に示すように、揺動軸25Cの軸心O3(図11(a)参照)を挟んでカム面25Mと反対側(本実施形態では、上方側)に形成されている。
【0082】
つまり、揺動軸25Cの断面形状は、その外周のうちカム面25M側は円周面となり、軸心O3(図11(a)参照)を挟んでカム面25Mと反対側に平面部25Pが形成された略D字形状となる。
【0083】
そして、揺動軸25Cのうち平面部25P側には、図11(a)に示すように、軸側返し面25Qが設けられており、この軸側返し面25Qは、揺動軸25Cの外周からその軸中心O3側に陥没するとともに、操作レバー25Bが揺動軸25Cに対して回転したときに、レバー側返し面25Hと略平行となり得る面を有して構成されている。また、軸側返し面25Qと平面部25Pとのなす角θ2(図11(b)参照)は、レバー側返し面25Hと同様に、90°以下に設定されている。
【0084】
なお、フック25Rは、バネ25S(図8(a)参照)の一端側を係止するためのものであり、このバネ25Sは、操作レバー25Bを第1ポジション(図8(a)参照)に保持するための弾性力を操作レバー25Bに作用させるものである。因みに、バネ25Sの他端側は、板状支持部材25Dに係止されている(図8(a)参照)。また、外れ止め25Tは、バネ25Sがフック25Rから外れることを防止するためのものである。
【0085】
2.5.加圧ローラ変位機構の作動
2.5.1.第1ポジション(図8(a)参照)
第1ポジションでは、操作レバー25Bのカム部25Nと揺動アーム25Aのカム面25Mとは接触しておらず、揺動アーム25Aは加圧ローラ11Bを加熱ローラ11A側に押圧している。
【0086】
なお、図8(a)では、加熱ローラ11Aと加圧ローラ11Bとが一部重なっているが、加圧ローラ11Bの外周面がゴム等の弾性変形可能な材質で構成されているので、実際は、加圧ローラ11Bの一部が変形した状態で加熱ローラ11Aに接触する。
【0087】
2.5.2.第2ポジション(図8(b)参照)
操作レバー25Bがユーザにより操作されて、操作レバー25Bが図8(b)に示す位置となると、揺動アーム25Aが第1ポジションに比べて加熱ローラ11Aから離隔するので、加圧ローラ11Bが用紙を加熱ローラ11A側に押圧する際の押圧力が第1ポジションに比べて小さくなる。このため、第2ポジションは、封筒等の厚みの厚い用紙に画像形成する際に用いると好適である。
【0088】
3.画像形成装置の電気的構成及びの作動の概略(図12参照)
画像形成部5や駆動源を成す電動モータ31、及び各種情報を表示する表示部33は、図12に示すように、制御部30により制御されている。そして、制御部30には、光センサ20Bから出力される検出信号、及びユーザにより操作される操作部32から出力される操作信号等が入力されており、制御部30は、これらの信号及び予め制御部30に記憶されたプログラム等に従って画像形成部5等を制御する。
【0089】
なお、制御部30は、CPU、RAM及びROM等からなる周知のマイクロコンピュータにて構成されており、上記のプログラムは、ROM等の不揮発性記憶装置に記憶されている。
【0090】
また、制御部30は、光センサ20BのON状態が所定時間以上継続した場合には、ジャムカバー18が開かれたものみなすとともに、既に画像形成処理が開始されている場合には、画像形成部5及び電動モータ31を停止させて画像形成処理を停止させ、かつ、その旨を表示部33に表示する。
【0091】
すなわち、画像形成装置1の電源スイッチ(図示せず。)が投入されると、図13に示す制御を実行するためのプログラムがROMからCPUに読み込まれ、そのプログラムがCPU(制御部30)にて実行される、なお、この制御は、電源スイッチが遮断された時に終了する。
【0092】
そして、この制御が起動されると、先ず、光センサ20BのON状態が所定時間以上継続したか否かが判定され(S10)、継続したと判定された場合には(S10:YES)、画像形成装置1が、現在、画像形成処理中であるか否かが判定される(S20)。
【0093】
なお、画像形成処理中であるか否かの判定は、例えば画像形成装置1と接続されたコンピュータ等から印刷指令がされたか否か等に基づいて判定される。
このとき、画像形成処理中であると判定された場合には(S20:YES)、画像形成部5及び電動モータ31が停止させられて画像形成処理が停止するとともに、かつ、その旨が表示部33に表示された後(S30)、再び、S10が実行される。
【0094】
なお、S10にて光センサ20BのON状態が所定時間以上継続していないと判定された場合(S10:NO)、又はS20にて画像形成処理中でないと判定された場合には(S20:NO)には、再び、S10が実行される。
【0095】
4.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
本実施形態では、リアカバー16は、前述したように、その開度が第1所定角度を超えるまでは自由に開き、開度が第1所定開度を超えたときに、ジャムカバー18に対してジャムカバー18を開くように揺動させる向きの開放力を作用させる。
【0096】
そして、保持力に逆らってジャムカバー18及びリアカバー16が開くときに、リアカバー16に作用する開方向の力、つまり開放力は、ロック機構21が解除される際にロック機構21により吸収されるので、ジャムカバー18及びリアカバー16に大きな衝撃力が作用してしまうことが防止され、ジャムカバー18及びリアカバー16が破損してしまうことが防止される。
【0097】
また、本実施形態は、開放力と弾性力との釣り合いによってリアカバー16の開状態を保持するものではないので、リアカバー16が振動することは殆ど無く、安定した状態で開く。したがって、本実施形態では、リアカバー16の開状態を安定化しつつ、リアカバー16及びジャムカバー18の破損を防止することができる。
【0098】
また、本実施形態では、溝部22Dは、リアカバー16の揺動中心O1からリアカバー16の先端側に向かう方向と略平行な方向に変位可能となっているので、リアカバー16を閉じた際に、図3に示すように、リンク部材22Aの長手方向をリアカバー16の板面16Eと略平行とすることができる。なお、リンク部材22Aの長手方向とは、リアカバー16との連結部からジャムカバー18との連結部に向かう方向をいう。
【0099】
したがって、リンク部材22Aの長手方向がリアカバー16の板面16Eと略平行となった状態でリンク部材22Aが筐体3に収納されることとなるので、画像形成装置1の前後方向寸法が大型化してしまうことを抑制できる。
【0100】
ところで、ロック機構21の保持力は、バネ21Jによる係合部21Bと被係合部21Cとの係合力となるので、保持力のバラツキ量は、バネ21Jの弾性力のバラツキ量に比例するように変動する。
【0101】
一方、本実施形態では、ロック機構21を構成する係合部21B又は被係合部21Cは、ジャムカバー18のうち、その揺動中心O1からの放射方向側端部21E、つまり揺動中心O1から離隔した位置に設けられているので、弾性力を小さくしても大きな保持力を得ることができる。
【0102】
このため、弾性力の小さいバネ21Jを用いてロック機構21を構成することができ、かつ、弾性力の小さいバネ21Jは、弾性力のバラツキ量を容易に小さくすることができるので、保持力のバラツキ量も小さくすることができる。
【0103】
したがって、開放力によりロック機構21が解除されるタイミングが大きく変動してしまうことを防止できるので、リアカバー16及びジャムカバー18の破損を安定的に防止することができる。
【0104】
また、本実施形態では、リアカバー16は、開口部3Bから排出された用紙を載置するための排出トレイとして機能し、かつ、この排紙トレイを成すリアカバー16が、前述したように、殆ど振動することなく安定しているので、リアカバー16に載置された用紙が散乱してしまうことを防止できる。
【0105】
また、本実施形態では、ジャムカバー18が開状態となったことが検出されたときには、画像形成処理を停止させるので、画像形成処理中に、ユーザが誤って過度な開放力をリアカバー16に作用させてジャムカバー18が開いた場合に、用紙が詰まる等の不具合が発生することを未然に防止できる。
【0106】
また、本実施形態では、ストッパ3Cが設けられているので、リアカバー16が過度に開いてしまうことを確実に防止できるので、リアカバー16の損傷を確実に防止できる。
また、本実施形態では、リアカバー16に押圧部16Dが設けられているので、リアカバー16を閉じると同時に、ジャムカバー18も閉じることができるので、利便性を向上させることができる。
【0107】
また、本実施形態では、操作レバー25Bを回転可能に支持する揺動軸25Cと一対の板状支持部材25Dとが一体形成されているので、一対の板状支持部材25Dを含む軸方向寸法W(図9参照)の小型化を図ることができる。
【0108】
ところで、揺動軸25Cと一対の板状支持部材25Dとが一体形成された場合には、操作レバー25Bに揺動軸25Cを貫通させるようにして操作レバー25Bを揺動軸25Cに組み付けることはできない。
【0109】
そこで、発明者等は、図14(a)に示すように、操作レバー25Bに略C字状のリング部Rを設け、このリング部Rが拡がるようにリング部Rを弾性変形させながら、リング部Rを揺動軸Sに填め込むことにより、操作レバー25Bを揺動軸25Cに対して回転可能に組み付ける試作品を開発・検討した。
【0110】
しかし、この試作品では、操作レバー25Bを揺動軸Sに容易に組み付けることができるものの、図14(b)に示すように、操作レバー25Bに開口方向の力(以下、この力を外力という。)Fが作用すると、リング部Rが拡がるように撓み、揺動軸Sから操作レバー25Bが外れてしまうおそれがあった。
【0111】
ここで、開口方向の力Fとは、操作レバー25Bに作用する力のうち、揺動軸Sから操作レバー25Bを抜き取るような力をいう。
なお、この問題に対しては、リング部Sの剛性を十分に高めれば、揺動軸Sから操作レバー25Bが外れてしまうことを防止できるものの、この解決手段では、操作レバー25Bを揺動軸Sに組み付ける際の組み付け作業性が著しく低下するおそれがある。
【0112】
これに対して、本実施形態では、リング部25Fの内周側のうち、開口部25Eの縁部25Gにレバー側返し面25Hを設けられ、一方、揺動軸25Cに軸側返し面25Qを設けているので、操作レバー25Bに外力Fが作用した場合には、図15に示すように、レバー側返し面25Hと軸側返し面25Qと接触し、軸側返し面25Qにて外力を受けることとなる。
【0113】
そして、軸側返し面25Qは、開口方向D4、つまり外力Fの方向に対して交差する方向に平行であるので、外力によりリング部25Fを拡げるように撓ませる向きの力、つまり外力の方向に対して直交する方向の力が発生し難い。このため、本実施形態では、操作レバー25Bに外力が作用しても、揺動軸25Cから操作レバー25Bが外れてしまうことは殆どない。
【0114】
以上のように、本実施形態では、操作レバー25Bの組み付け作業性を損なうことなく、操作レバー25Bに外力が作用した場合であっても操作レバー25Bが外れてしまうことを防止しつつ、レバー構造部の小型化を図ることができる。
【0115】
また、本実施形態では、リング部25Fのうち、開口部25Eを挟んで一方側の第1円弧部25Kは、他方側の第2円弧部25Lに比べて曲げ剛性が小さく、さらに、レバー側返し面25Hは、第1円弧部25Kに設けられているので、レバー側返し面25Hを第1円弧部25K及び第2円弧部25Lに設けた場合に比べて、リング部25Fの形状が過度に複雑になることを防止できる。
【0116】
また、本実施形態では、第2円弧部25Lには、揺動アーム25Aを押圧するカム部25Nが設けられているので、カム部25Nを構成するために必要な高剛性部を別途に設けることなく、高い剛性を有する第2円弧部25Lを利用してカム部25Nを構成することができ、操作レバー25Bの形状が過度に複雑になることを防止できる。
【0117】
また、本実施形態では、操作レバー25Bが揺動軸25Cから外れてしまうことを確実に防止するために、操作レバー25Bの通常作動領域からずれた領域まで操作レバー25Bが回転したときに、平面部25Pと開口方向D4とが平行となるように構成している。
【0118】
なお、操作レバー25Bの通常作動領域とは、第1ポジション(図8(a)に示す状態)と第2ポジション(図8(b)に示す状態)との間をいい、操作レバー25Bの通常作動領域からずれた領域とは、例えば図8(b)に示す状態より更に操作レバー25Bを右向きに回転させた状態等をいう。
【0119】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る操作レバー25B揺動軸25Cには、1つの軸側返し面25Qが設けられていたが、本実施形態では、図16に示すように、揺動軸25Cの外周全域に軸側返し面25Qを設けたものである。このような構成によっても上記第1実施形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0120】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、リンク部材22Aは第1搬送シュート16Aを兼ねる略板状のものであったが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0121】
また、上述の実施形態では、リアカバー16とジャムカバー18との関係を例に発明を説明したが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。
また、上述の実施形態では、リンク部材22Aとリアカバー16との連結部が、回転可能かつ放射方向と略平行な方向に変位可能であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、これとは逆にリンク部材22Aとジャムカバー18との連結部が、回転可能かつ放射方向と略平行な方向に変位可能とする、又はリンク部材22Aの一端側をジャムカバー18側に延びるようにリアカバー16に対して固定するとともに、他端側をジャムカバー18に形成された穴部を貫通させてジャムカバー18に対して変位可能としてもよい。
【0122】
また、上述の実施形態では、係合部21B及び被係合部21Cを、ジャムカバー18の揺動中心O1からの放射方向側端部21Eに設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0123】
また、ロック機構21の構造は、上述の実施形態に示された構成に限定されるものではなく、例えば、バネ21Jを捻りバネで構成する、又は磁力を利用して閉状態を保持する構成等であってもよい。
【0124】
また、上述の実施形態では、モノクロ方式の電子写真方式の画像形成装置に本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、ダイレクトタンデム式のレーザプリンタ、又は中間転写方式のカラーレーザプリンタ等にも適用することができる。
【0125】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す中央断面図である。
【図2】リアカバー16を開いた状態を上方側から見た斜視図である。
【図3】リアカバー16が閉じた状態を示す中央断面図である。
【図4】(a)はリアカバー16が第1所定角度まで開いた状態を示す中央断面図であり、(b)は図4(a)のA部拡大図である。
【図5】リアカバー16が第2所定角度まで開いた状態を示す中央断面図である。
【図6】(a)は第1排紙ローラ14が下がった状態を示す図であり、(b)は第1排紙ローラ14が上がった状態を示す図ある。
【図7】図3のA−A断面図である。
【図8】(a)及び(b)は加圧ローラ変位機構の作動を示す図である。
【図9】加圧ローラ変位機構の拡大斜視図である。
【図10】図9の分解斜視図である。
【図11】(a)は加圧ローラ変位機構の断面図であり、(b)図11(a)のA部拡大図である。
【図12】本実施形態に係る画像形成装置1の電気系を示すブロック図である。
【図13】本実施形態に係る画像形成装置1の制御の一部を示すフローチャートである。
【図14】(a)及び(b)は試作検討品に係る操作レバー25Bを示す図である。
【図15】本発明の第1実施形態に係る操作レバー25Bの効果を示す図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る操作レバー25Bの効果を示す図である。
【符号の説明】
【0127】
1…画像形成装置、3…筐体、3A…排紙トレイ、3B…開口部、3C…ストッパ、
5…画像形成部、7…プロセスカートリッジ、7A…感光ドラム、9…露光器、
11…定着器、11A…加熱ローラ、11C…排紙口、13…転写ローラ、
14…第1排紙ローラ、14A…ピンチローラ、15…第2排紙ローラ、
15A…ピンチローラ、16…リアカバー、16A…第1搬送シュート、
16B…揺動軸、16C…ガイド壁、16D…押圧部、16E…板面、
18…ジャムカバー、18A…揺動軸、19…本体フレーム、19A…座部、
20…センサアクチュエータ、20A…揺動軸、20B…光センサ、
20C…遮光板、21…ロック機構、21A…カバー側アーム、21B…係合部、
21C…被係合部、21D…係合レバー、21E…放射方向側端部、
21F…第1傾斜面、21G…第2傾斜面、21H…揺動軸、21J…バネ、
21K…第1傾斜面、21L…第2傾斜面、21M…被押圧部、22…リンク機構、
22A…リンク部材、22B…揺動軸、22C…揺動軸、22D…溝部、
25…加圧ローラ変位機構、25A…揺動アーム、25B…操作レバー、
25C…揺動軸、25D…板状支持部材、25E…開口部、25F…リング部、
25G…縁部、25H…レバー側返し面、25J…壁面、25K…第1円弧部、
25L…第2円弧部、25M…カム面、25N…カム部、25P…平面部、
25Q…軸側返し面、25R…フック、25S…バネ、25T…外れ止め、
30…制御部、31…電動モータ、32…操作部、33…表示部、40…操作部、
41…ポジションセッター、41A…第1傾斜面、41B…第2傾斜面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、
ユーザにより操作される操作レバーと、
前記操作レバーを回転可能に支持する軸と、
前記軸をその軸方向両端側で支持するとともに、前記軸と一体形成された一対の支持部材と、
前記操作レバーに設けられ、前記軸に対して回転可能に填め込まれ、かつ、一部に開口部を有する略C字状のリング部とを備え、
前記リング部の内周側のうち、前記開口部の縁部には、前記軸方向と平行な方向から見て、前記開口部の開口方向に対して交差する方向に平行な面を有するレバー側返し面が設けられており、
さらに、前記軸には、外周からその軸中心側に陥没するとともに、前記操作レバーが前記軸に対して回転したときに、前記レバー側返し面と略平行となり得る面を有する軸側返し面が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記リング部のうち、前記開口部を挟んで一方側の第1円弧部は、他方側の第2円弧部に比べて曲げ剛性が小さく、
さらに、前記レバー側返し面は、前記第1円弧部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2円弧部には、カムレバーのカム面に摺接しながら前記カムレバーを押圧するカム部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記軸の断面形状は、平面部を有して略D字状に形成されており、
さらに、前記軸側返し面と前記平面部とのなす角は90度以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記操作レバーの通常作動領域からずれた領域まで前記操作レバーが回転したときに、前記平面部と前記開口方向とが平行となることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−79050(P2010−79050A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248605(P2008−248605)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】