説明

画像形成装置

【課題】シート積載装置と両面搬送装置の両面搬送部を一体化することで、シート材の先端が画像形成装置本体まで到達してジャムが発生した場合に、ユーザが誤ってシート積載装置を抜き出して両者による負荷でシート材が破れたり、画像形成装置内部にシート材が取り残されてしまう問題を解決する画像形成装置を提供することにある。
【解決手段】シート材Pの両面の画像形成を行う両面画像形成装置Aにおいて、第1面画像形成後に前記シート材の反転及び搬送を行う両面反転搬送装置が、画像形成装置本体Bの後方と、該画像形成装置本体Bの最下方位置に設置され、両面反転機構13と両面搬送機構14とで構成される前記両面反転搬送装置10の前記両面搬送機構14がシート材積載装置1と一体化され、前記画像形成装置本体Bから着脱可能である画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体であるシート材の両面に画像形成を行う、シート材の表裏両面に印刷が可能な機構を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送シートの両面に画像形成を行う両面画像形成装置は、シート材の第一面に画像形成を行い、第一面画像形成済みシート材を反転・再給送手段部を通して再び該画像形成手段部に反転・再給送させることで該シートの他面側に対する画像形成を行わせて両面画像形成物を出力させる。
かかる両面画像形成装置においては、第一面印刷後のシート材が画像形成装置の後方に排出される場合、画像形成装置後方の反転機能部で反転後、画像形成装置の下位置の搬送経路を通って、画像形成部に再給紙される構成が採られることが一般的である(例えば、特許文献1乃至3参照)。
特許文献1には、シート材の両面に画像形成が可能な画像形成装置において、画像形成装置の下方に再搬送経路を設けることにより、画像形成装置本体に加わる荷重を少なくして画像形成装置の搬送性能を向上させる構成が開示されている。
特許文献2には、シート反転・給送方式の両面画像形成装置について、画像形成装置の背面及び下側にシート反転機能及びシート搬送機能を具備させて、シート搬送機能部の先端側をユニット化して、ユニットを装置前方から引き出す構成が開示されている。
特許文献3には、画像形成装置本体の下側に両面搬送部があり、両面搬送部の下にシート材積載装置を有する両面画像形成装置において、両面搬送部を前方に引き出す際に、両面搬送部よりシートを送り出すローラの回転を自由にするアイドルギヤを設け、ローラの回転を自由にする構成が開示されている。
【特許文献1】特開平8−310739号公報
【特許文献2】特開平8−292612号公報
【特許文献3】特開平7−125875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献の場合、両面反転搬送装置内部でジャムが発生した際に、両面反転搬送装置内部からシート材を除去するためには、上述したように、(a)両面反転搬送装置を画像形成装置本体の後方へ引き出す。(b)両面反転搬送装置を画像形成装置本体から外す。などの作業が必要となる。
上記(a)については、装置本体の後方に、両面反転搬送装置を引き抜く分だけスペースが必要になってしまう。ユーザの操作性を考慮すると、シート積載装置の操作方向である装置前方から処理が可能なことが望ましいが、(a)の方式では、装置後方からの作業が必要となり操作性に問題がでてしまう。また、(b)については、装置本体を持ち上げる作業が必要になってしまうため問題がある。
そこで、従来技術として、両面反転搬送装置本体の下位置の両面搬送機構のみを前方に引き出す技術が取られている。特許文献3では、両面搬送機構を前後に分割し、前方向から引き出すことが可能な構成となっている。この技術では、両面搬送機構の一部を引き出した後、両面搬送機構内に残されたシート材を引き出すことが可能である。
しかし、この技術では、シート材の先端が両面搬送装置本体まで到達してジャムが発生し、シート材が両面搬送機構部のローラと画像形成装置本体のレジストローラの両者に保持されている場合、ユーザが誤ってシート積載装置を抜き出してしまうと両者による負荷でシート材が破れたり、両面搬送装置内部にシート材が取り残されてしまう可能性がある。
シート材積載装置は、ユーザが最も引き出し操作を行うユニットの1つであり、ジャム処理の際にも誤って引き出されてしまう可能性が高く、ユーザがシート材積載装置を引き抜いてもシート材にダメージを与えない構成をとる必要がある。
【0004】
特許文献3においても、両面搬送機構を前方に引き出すことにより両面搬送機構内のジャム処理を行う技術が取られている。この技術の特徴としては、両面搬送機構を前方に抜き出す際に、抜き出し動作と連動して両面搬送機構内のローラの回転を自由にするアイドルギヤを設けることでジャム発生時には、クラッチをオフにしてローラの回転を自由にして、画像形成装置本体装置部のレジストローラと両面搬送機構内部のローラによるシート材の保持を解除することが可能である。
しかし、この技術にはクラッチ機構が必要であり、コストが増加する。クラッチを使用せずに両面搬送ローラ対を離間させるには両面搬送機構引き出し動作と連動させて両面搬送ローラ対を離間させる。また、この技術の前提は、画像形成装置本体の下に両面搬送機構があり、両面搬送機構の下にシート積載装置が配置される構成である。
この構成においてシート積載装置と両面搬送機構の位置が入れ替わると、前述と同様にシート材先端が画像形成装置本体に到達してジャムが発生した際に、最も引き出し操作を行うシート積載装置を誤って引き抜くおそれがある。すると保持しているローラの負荷で、シート材が破れたり、画像形成装置内部にシート材が残ってしまう可能性がある。
ユーザの両面印刷機能の必要性に応じて、両面反転搬送装置をオプション品として着脱可能な構成とする場合、片面印刷時には不要な両面搬送装置はシート積載装置の下に配置されて、取り外し可能にする必要があるため、特許文献3の技術では、前述の問題を解決できない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、シート積載装置と両面搬送装置の両面搬送部を一体化することで、シート材の先端が画像形成装置本体まで到達してジャムが発生した場合に、ユーザが誤ってシート積載装置を抜き出して両者による負荷でシート材が破れたり、画像形成装置内部にシート材が取り残されてしまう問題を解決する画像形成装置を提供することにある。
また、本発明の目的は、両面搬送機構を搬送経路で上下に分割し、両面搬送機構上部をシート積載装置と一体化し、両面搬送装置下部を本体装置に残すことでジャム処理の視認性を向上する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、両面に画像形成されるシート材が、第1面画像形成後、シート材を収容するシート材積載装置の引き出し方向と反対方向である画像形成装置本体の後方に排出され、反転され、画像形成装置本体の下位置に設けられた両面搬送経路を通過して画像形成部に再度給送され、第2面の画像形成を行われる両面画像形成装置において、前記第1面画像形成後に前記シート材の反転及び搬送を行う両面反転搬送装置は、両面反転機構及び両面搬送機構から構成され、前記両面反転機構は前記画像形成装置本体の後方に位置し、前記両面搬送機構は最下段に位置して前記シート材積載装置と一体化され、前記画像形成装置本体から着脱可能である画像形成装置を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記画像形成装置本体の最下位置にある前記両面反転搬送装置の両面搬送経路を境目に上下に分割した上部である前記両面搬送機構の1部分が前記シート積載装置ととともに前記画像形成装置本体前面から着脱自在である請求項1記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記両面搬送経路の排出口に、垂直方向に前記シート材を搬送する搬送ローラ対を有する際、前記シート積載装置と、前記シート積載装置と一体化された前記両面搬送機構の上部を引き抜く前に、前記両面反転搬送装置排出口付近の1対の搬送用ローラを離間する構成を有する請求項1又は2記載の画像形成装置を特徴とする。
【0007】
また、請求項4に記載の発明は、前記シート材積載装置と前記シート材積載装置と一体化した前記両面搬送機構の上部の底面に、下方向に弾性体により付勢された爪機構を有する請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記爪機構は前記両面搬送機構の上部を前記画像形成装置本体に装着する時、前記爪機構を押し上げ、前記両面搬送機構の上部の引き出し時には、ロックが解除され、下方向に押し下がる、前記画像形成装置本体部に設けられたロック機構を有する請求項4記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記両面搬送機構は複数の搬送ローラを備え、該搬送ローラは1本の軸と複数個のゴムローラによって構成され、全ての搬送ローラが、幅方向に一定間隔で配置され、前記爪機構は、前記両面搬送機構の上部の脱着動作時に、前記ゴムローラと接触しない軌道上に配置される請求項4又は5記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記両面搬送機構の下部の上面は、前記ゴムローラを除いた部分をカバー材で覆い、前記両面搬送機構上部の脱着動作時に、前記爪機構が移動する経路上が平面状である請求項5又は6記載の画像形成装置を特徴とする。
【0008】
また、請求項8に記載の発明は、前記両面搬送機構内に設けられた複数のローラ対は、前記両面搬送機構の上部側の搬送ローラが従動式であり、対となる前記両面搬送機構の下部側の搬送ローラが駆動を行う請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、前記複数の搬送ローラ対のうちの、前記両面搬送機構の上部の搬送ローラがばね、板ばね等の弾性体によって対となる前記両面搬送機構の下部の搬送ローラに押し付け力を付与し、前記両面搬送機構の上部が引き出される際には、前記搬送ローラの位置が上下に変動可能となる請求項1乃至8のいずれか1項記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、前記シート材積載装置と該シート材積載装置と一体化した前記両面反転搬送装置の前記両面搬送機構は、通常、前記シート材積載装置単独で前記画像形成装置本体装置外に引き抜きが可能であり、前記両面搬送経路の排出口に設けられた搬送ローラ対の離間時のみ、該離間動作と連動して、前記両面搬送機構の上部と前記シート積載装置が連結して一体化され、同時に引き出される請求項1乃至9のいずれか1項記載の画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シート積載装置と両面搬送機構を一体化して画像形成装置前方から引き出すことにより、シート材が画像形成本体内部のレジストローラと両面搬送装置内の搬送ローラの両者に保持されたままジャムが発生した際に、誤ってシート積載装置を引き出してしまった場合に、シート材に負荷が掛かって破れ、又はシート材破片が画像形成装置内部に残ることを防ぐことができる。また、両面搬送装置単独に対して、セット検知機能を追加する必要がなく、コストが削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明を適用する画像形成装置を示す概略図である。図1において、この画像形成装置Aには、シート積載装置1、このシート積載装置1からのシート材Pの搬送タイミングを合わせるためのレジストローラ2、手差し給紙部12からのシート材P(図示せず)の搬送タイミングを合わせるためのレジストローラ3が配置されている。
また、画像形成装置Aには、レジストローラ2又は3を通過した後のシート材Pに、感光体を含む現像カートリッジ4でレーザ露光ユニット5によって静電潜像を形成し、トナー現像された画像を転写し、シート材P上に画像を定着させる定着装置6を備えている。
さらに、シート材Pを排出する排出ローラ8、第2面にも画像形成する場合に、切り換え爪7でシート材Pが搬送される両面反転搬送装置10が配置されている。この両面反転搬送装置10は、画像形成装置本体Bの後方の両面反転部13と、下位置にある両面搬送部14とで構成されている。図中符号9は切り換え爪、11は両面搬送ローラを示している。
【0011】
かかる構成の画像形成装置Aにおいて、シート積載装置1、もしくは、手差し給紙部12からシート材Pが給送され、このシート材Pはレジストローラ2もしくは3を通過した後、現像カートリッジ4通過時に画像を転写され、定着装置6で画像をシート材Pに定着し、片面印刷の場合にはシート材Pはそのまま排出口8から排出される。
第2面も画像形成する場合には、切り換え爪7で両面反転搬送装置10の配置された両面搬送経路Rに搬送され、シート材Pを反転した後、画像形成装置本体Bの下位置の両面搬送経路Rに送られ、再び転写部に給送される第2面の画像形成を行う構成になっている。
すなわち、本実施の形態の両面画像形成装置Aは、両面に画像形成されるシート材Pが、第1面画像形成後、シート材Pを収容するシート材積載装置1の引き出し方向と反対方向である画像形成装置本体Bの後方に排出され、反転され、画像形成装置本体Bの下位置に設けられた両面搬送経路Rを通過して現像カートリッジ4を含む画像形成部に再度給送し、第2面の画像形成を行う。
【0012】
図2は従来技術による両面反転搬送装置の搬送機能部の引き出し構成におけるジャム処理を説明する概略図である。図3は図2の構成においてシート材の先端がレジストローラに到達してジャムが発生した場合のシート材の挙動について示す概略図である。図2及び図3は従来技術についての説明であるが、本発明との関連で説明し易いのでここで説明する。
図2において、シート積載装置1の下に位置する両面反転搬送装置10は、搬送機能部14とが引き出し構成で形成されている。(a)は搬送機能部14を引き出し前の状態で、(b)は搬送機能部14を引き出した状態で示している。
両面反転搬送装置10でシート材Pのジャムが発生した場合、両面反転搬送装置10を反転機能部13と搬送機能部14とに分割し、搬送機能部14を画像形成装置前方(図2の右方側)に引き出すことによって搬送機能部14が操作者から目視可能な状況になり、ジャム処理を行うことができる。
【0013】
図3にはシート材Pの先端が画像形成装置本体Bのレジストローラ2に到達してジャムが発生した場合、シート積載装置1(a)もしくは、反転機能部13を含む両面反転搬送装置10の、搬送機能部(両面搬送部)14(b)を引き抜いた場合のシート材Pの挙動を示している。
この場合、レジストローラ2と両面搬送ローラ11とがシート材Pを保持している状態であるため、シート材Pの先端が画像形成装置本体Bまで到達してジャムが発生し、シート材Pが搬送機能部14の両面搬送ローラ11と画像形成装置本体Bのレジストローラ2の両者に保持されている場合、シート積載装置1を抜き出す(a)か、もしくは、搬送機能部14を抜き出してしまう(b)と両者による負荷でシート材Pが破れたり、画像形成装置本体B内部にシート材Pが取り残されてしまう可能性がある。そのため、両面搬送ローラ11もしくは、レジストローラ2によるシート材Pに対する保持力を解除してやる必要がある。
この場合、両面搬送装置の搬送機能部14の引き抜きと連動して、両面搬送ローラ11の離間を行い、保持力を解除する方法が考えられる。しかし、ユーザが、両面搬送ローラ11の離間が行われる前に、シート積載装置1の引き抜き動作を行うと前述の問題と同様にシート材Pに負荷が加わり、シート材Pが破れたり、画像形成装置内部にシート材Pが取り残されてしまう可能性がある。
シート積載装置1は、ユーザが最も引き出し操作を行うユニットの1つである。従って、ジャム処理の際にも誤って引き出されてしまう可能性が高く、ユーザがシート材積載装置1を引き抜いてもシート材Pにダメージを与えない構成をとる必要がある。
【0014】
図4はシート積載装置と両面搬送機構の引き出し動作を一体にした構成を示す概略図である。図4に示すように、本発明によれば、シート材Pにダメージを与えない構成とするために、シート積載装置1と搬送機能部(両面搬送部)14を一体化して同時に引き出す構成を採っている。
両面搬送装置10の反転機能部13から分離して、シート積載装置1と搬送機能部14の引き出し動作を一体にすることでユーザの誤操作によってシート材Pに負荷が掛かることを防ぐ。
図中、符号2はレジストローラ、符号11は両面搬送ローラを示している。この構成であると、搬送機能部14がシート積載装置1の下位置になり、搬送経路内のシート材Pの目視が困難になる。
【0015】
図5は両面搬送部を両面搬送経路で上下に分割可能な構成を示す概略図である。上述したように、図4に示した構成では、両面搬送経路内のシート材の目視が困難になる。
これを改善するために、図5では、搬送機能部(両面搬送部)14を両面搬送経路Rで上下に分割可能な構成にすることにより、両面搬送部14の上部17をシート材積載装置1に設置し、搬送機能部14の下部18を両面反転搬送装置10に残す構成とする。
これにより、シート積載装置1と搬送機能部14の上部17が引き抜かれた際に、両面搬送経路Rが分割されて搬送機能部14の下部18が目視可能となり、シート材Pの除去が容易になる。なお、図中符号13は両面反転搬送装置10の反転機能部13を示している。
また、図5の構成では、両面搬送経路Rが分割されるため、両面搬送ローラ11以外の両面ローラ19、19a、20、20a、21、21a、22、22aは離間され、これらの両面ローラ19、19a、20、20a、21、21a、22、22aによって保持されていたシート材Pの保持力は解除される。
前記両面搬送装置10は、両面搬送経路Rを境目に上下に分割可能な構成を有し、分割された搬送機能部(両面搬送部)14の上部17がシート材積載装置1と一体化され、シート積載装置1と同時に引き抜くことが可能な構成である。
従って、両面搬送装置10内部で起きたジャムの処理性を向上するために、このように両面搬送経路Rを上下で分割すると、両面搬送経路Rの視認性が向上し、それに伴ってジャム処理性を向上させる。
しかし、図5に示すように、搬送機能部14の排出口に、両面搬送ローラ11が設けられている場合、図5のような両面搬送部14の上部17の引き抜き動作のみでは搬送ローラ11の保持力は解除されない。
【0016】
図6は引き抜き動作と連動して、両面搬送ローラ11の保持力を解除する構成を示す概略図である。図6において、搬送ローラ11a、11bは図5に示した着脱可能なシート材積載装置1と一体化している搬送機能部(両面搬送部)14の上部17に設けられており、本構成では、11bが従動ローラ、11aが駆動ローラとなっている。
画像形成装置本体装着時には、図6(b)に示すように、弾性体24と押し当て部材25によって搬送ローラ11bが対となる搬送ローラ11aに押し当てられて、シート材P(図示せず)の搬送力を得ている。
図6(c)は上面から見た構成である。本構成では、図6(a)の弾性体24、押し当て部材25、ストッパ26が両面反転搬送装置10の側面部に設けられている。
図5に示した搬送機能部14の上部17の引き出し時(図6(a))には、押し当て部材25と搬送ローラ11bが離れて、両面搬送ローラ11の保持力が減り、搬送機能部14の上部17を挿入する(図6(b))と、両面搬送ローラ11bが押し当て部材25と接触し、押し込むことで、弾性体24の弾性力によって、搬送ローラ11bが搬送ローラ11aを加圧する状態になる。
つまり、搬送機能部14の上部17の着脱と連動して搬送ローラ11のシート材保持力を解除することが可能となる。この押し当て部材25及び弾性体24は板ばねなどでも代用可能である。
【0017】
図7はジャム時に両面搬送経路内部に残ったシート材を掻き出す爪機構の構成を示す概略図である。図7には、搬送機能部(両面搬送部)14の上部17の着脱操作時に、ジャム時にシート材先端が両面搬送ローラ11(図示せず)に未到達だった場合、両面搬送経路R内部に残ったシート材を爪機構27で掻き出す構成について説明している。
図7で両面搬送経路R内に残ったシート材(図示せず)は、両面搬送部14の上部17を引き出す場合、(1)搬送機能部14の上部17の動作に引っ張られて、画像形成装置本体B(図1参照)外側に引き出されるか、又は(2)搬送機能部14の下部18(図示せず)の搬送ローラなどに引っ掛かり、画像形成装置本体B内部に残る、のどちらかの状態になることが考えられる。
(1)の場合、画像形成装置本体B外側に引き出されたシート材の回収は容易であるが、(2)の場合では、画像形成装置本体B内部を覗き込み、手を入れてシート材を除去する操作が必要になる。そのため、図7に示すように両面搬送部14の上部17に爪機構27を設けて、シート材を掻き出せる構成を設ける。符号19a、20aは搬送ローラを示している。
また、この爪機構27はシート材搬送時には、搬送を妨げてしまう可能性があるので、ロック機構24を設けて、搬送機能部14の上部17の引き出し開始と同時に爪機構27のロックが解除される構成となっている。図7(a)が引き出し時、図7(b)が挿入時を示している。
【0018】
図8は両面搬送部の下部と爪機構との位置関係を上方向から見た状態で示す平面図である。図8には、爪機構27が搬送機能部(両面搬送部)14の下部18のゴムローラ20に接触して損傷を与えるなどの問題を避けるための構成の例を示している。
図8のように、1本のシャフト26に、このシャフト26の軸方向に間隔を置いて設けられたゴムローラ20が複数個(図8では3つ)あり、爪機構27が、搬送機能部14の上部17の脱着時にゴムローラ20に接触せず、ゴムローラ20間の経路(ゴムローラ間の間隔)23を通るように構成する。
このように、本実施の形態では、両面搬送部14の上部17に駆動部を設けるようにはしていないため、搬送ローラの連結が不要となり、脱着動作による駆動部の破損を防ぐ。
【0019】
図9は両面搬送部の下部の爪機構の受け面となる表面部の構成を示す概略図である。図9において、両面搬送装置の搬送機能部(両面搬送部)の下部18の爪機構(図示せず)の受け面となる表面部28を示している。(a)は表面部の構成を平面図で、そして(b)は(a)の線b−b’に沿う断面図を示している。
図示してない爪機構27(図7参照)がジャム時にシート材を掻き出す際に、できるだけシート材にダメージを与えず、破れたり、画像形成装置本体内にシート材片が残らないように掻き出すために、搬送機能部の下部18の上面において、シャフト26上のゴムローラ19、20近傍を除いた部分をカバー材で囲って表面部28とする構成を有する。
爪機構27の移動経路の表面にシャフトやリブ等の凹凸部を設けず、安定してシート材を引き出せることが可能な平面状である構成を採る。従って、両面反転搬送装置10の搬送機能部の上部18を画像形成装置本体から引き抜く時に、爪機構27が搬送機能部の下部18の搬送ローラとの接触によりダメージを受けることを防ぐ。
【0020】
図10は両面搬送装置の搬送機能部の搬送ローラの構成を示す概略図である。
図10の両面反転搬送装置10において、搬送機能部(両面搬送部)14の上部17の搬送ローラ29a〜29dは従動ローラであり、搬送機能部14の下部18の搬送ローラ30a〜30dは駆動ローラという構成にする。
これよって、シート積載装置1及び搬送機能部14の上部17の脱着操作のたびに搬送ローラの駆動を連結する必要がなく、脱着操作による駆動部の破損などの問題が起きず、駆動関連部品の位置関係も固定されるため、安定した駆動を行うことができる。
搬送機能部14の上部17の搬送ローラ29a〜29dの構成について説明すると、これらは弾性体もしくは板ばね等で加圧される構成をとる。
これにより、搬送ローラ29a〜29dが縦方向に変位可能となるため、両面搬送部14の上部17脱着時に上下の搬送ローラ29a〜29d、30a〜30d同士が接触する場合でも、搬送ローラ29a〜29dが上方向に移動して、搬送ローラ同士の干渉を和らげることができ、搬送ローラが傷つくのを防ぐことが可能となる。
このように、搬送機能部14の上部17に駆動部を持たせないため、搬送機能部14の上部17の引き抜き時の搬送ローラの連結・離間機構が不要となり、脱着動作による駆動部の破損を防ぐ。
【0021】
図11はジャム処理時のみ両面搬送部の上部とシート搬送装置とが一体化する構成を示す概略図である。図11では、両面反転搬送装置の搬送機能部(両面搬送部)14の上部17が、ジャム処理時においてのみシート搬送装置1と一体化する構成を示している。
両面反転搬送装置の搬送機能部14の前方端(図の右方端)に前カバー33を設けて、搬送機能部14の下部18に前カバー33を回動する回動支点33aを設ける。この例では、前カバー33に符号11a及び11bを付した両面搬送ローラ11のうちの両面搬送ローラ11aを設けることによって、前カバー33を開く動作と連動して、両面搬送ローラ11aと11bとの離間動作を行う構成となっている。
さらに、前カバー33の両面搬送ローラ11aを取り付けた部分の上方に押し込み部材32を設けて、前カバー33の開閉と連動して、押し込み部材32が、図11bのように外れると、弾性力を付与されたロック機構31がシート積載装置1に押し当てられて、シート積載装置1と搬送機能部14の上部17を連結させる。
これによって、搬送機能部14の上部17は、前カバー33を開いた場合のみシート積載装置1と連結して画像形成装置本体から引き抜かれるため、ジャム処理時以外は、搬送機能部14の上部17を引き出すことがなく、シート積載装置1を軽量化でき、操作性が改善される。
このように、両面搬送装置の搬送機能部14の上部17がジャム処理時のみシート積載装置1と連結して引き抜かれるため、ジャム処理時以外は、搬送機能部14の上部17を引き出すことがないので、上述のごとくシート積載装置1を軽量化でき、操作性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を適用する画像形成装置を示す概略図である。
【図2】従来技術による両面反転搬送装置の搬送機能部の引き出し構成におけるジャム処理を説明する概略図である。
【図3】図2の構成においてシート材の先端がレジストローラに到達してジャムが発生した場合のシート材の挙動について示す概略図である。
【図4】シート積載装置と両面搬送機構の引き出し動作を一体にした構成を示す概略図である。
【図5】両面搬送部を両面搬送経路で上下に分割可能な構成を示す概略図である。
【図6】引き抜き動作と連動して、両面搬送ローラの保持力を解除する構成を示す概略図である。
【図7】ジャム時に両面搬送経路内部に残ったシート材を掻き出す爪機構の構成を示す概略図である。
【図8】両面搬送部の下部と爪機構との位置関係を上方向から見た状態で示す平面図である。
【図9】両面搬送部の下部の爪機構の受け面となる表面部の構成を示す概略図である。
【図10】両面搬送装置の両面搬送部の搬送ローラの構成を示す概略図である。
【図11】ジャム処理時のみ両面搬送部の上部とシート搬送装置とが一体化する構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0023】
A 画像形成装置、B 画像形成装置本体、P シート材、R 両面搬送経路 、1 シート材積載装置、2 レジストローラ、4 画像形成部(現像カートリッジ)、10 両面反転搬送装置、11 両面搬送ローラ、13 両面反転機構(両面反転部)、14 両面搬送機構(搬送機能部)、17 両面搬送機構の上部、18 両面搬送機構の下部、20 ゴムローラ、24 弾性体、25 押し当て部材、26 ストッパ、28 表面部(カバー材)、29 搬送ローラ(従動ローラ)、30 搬送ローラ(駆動ローラ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面に画像形成されるシート材が、第1面に画像形成後、シート材を収容するシート材積載装置の引き出し方向と反対方向である画像形成装置本体の後方に排出され、反転され、画像形成装置本体の下位置に設けられた両面搬送経路を通過して画像形成部に再度給送され、第2面に画像形成を行われる両面画像形成装置において、
前記第1面画像形成後に前記シート材の反転及び搬送を行う両面反転搬送装置は、両面反転機構及び両面搬送機構から構成され、前記両面反転機構は前記画像形成装置本体の後方に位置し、前記両面搬送機構は最下段に位置して前記シート材積載装置と一体化され、前記画像形成装置本体から着脱可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置本体の最下位置にある前記両面反転搬送装置の両面搬送経路を境目に上下に分割した上部である前記両面搬送機構の1部分が前記シート積載装置とともに前記画像形成装置本体前面から着脱自在であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記両面搬送経路の排出口に、垂直方向に前記シート材を搬送する搬送ローラ対を有する際、前記両面搬送機構の上部と一体化された前記シート積載装置を引き抜く前に、前記両面反転搬送装置排出口付近の1対の搬送用ローラを離間する構成を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シート材積載装置と前記シート材積載装置と一体化した前記両面搬送機構の上部の底面に、下方向に弾性体により付勢された爪機構を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記爪機構は前記両面搬送機構の上部を前記画像形成装置本体に装着する時、前記爪機構を押し上げ、前記両面搬送機構の上部の引き出し時には、ロックが解除され、下方向に押し下がる、前記画像形成装置本体部に設けられたロック機構を有することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記両面搬送機構は複数の搬送ローラを備え、該搬送ローラは1本の軸と複数個のゴムローラによって構成され、全ての搬送ローラが、幅方向に一定間隔で配置され、前記爪機構は、前記両面搬送機構の上部の脱着動作時に、前記ゴムローラと接触しない軌道上に配置されることを特徴とする請求項4又は5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記両面搬送機構の下部の上面は、前記ゴムローラを除いた部分をカバー材で覆い、前記両面搬送機構上部の脱着動作時に、前記爪機構が移動する経路上が平面状であることを特徴とする請求項5又は6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記両面搬送機構内に設けられた複数のローラ対は、前記両面搬送機構の上部側の搬送ローラが従動式であり、対となる前記両面搬送機構の下部側の搬送ローラが駆動を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記複数の搬送ローラ対のうちの、前記両面搬送機構の上部の搬送ローラがばね、板ばね等の弾性体によって対となる前記両面搬送機構の下部の搬送ローラに押し付け力を付与し、前記両面搬送機構の上部が引き出される際には、前記搬送ローラの位置が上下に変動可能となることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記シート材積載装置と該シート材積載装置と一体化した前記両面反転搬送装置の前記両面搬送機構は、通常、前記シート材積載装置単独で前記画像形成装置本体装置外に引き抜きが可能であり、前記両面搬送経路の排出口に設けられた搬送ローラ対の離間時のみ、該離間動作と連動して、前記両面搬送機構の上部と前記シート積載装置が連結して一体化され、同時に引き出されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−85622(P2010−85622A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253481(P2008−253481)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】