説明

画像形成装置

【課題】サーバやネットワークに障害があった場合にも勤怠管理が可能で、かつ、このような場合に従業員等の対応の負担を軽減できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】ユーザ認証に基づいて上記ユーザの勤怠管理を行う管理手段と、上記サーバまたは上記ネットワークに障害が発生したことを検知する検知手段とを設ける。そして、この障害が発生した際に、上記勤怠管理の内容を証明書として出力する出力手段を設ける。これにより、サーバやネットワークがダウンした場合でも、画像形成装置によって勤怠管理をすることができ、かつ、勤怠管理の内容についての証明書を容易に発行することが可能となる。ここで、上記出力手段は、上記勤怠管理の内容をバーコード形式で上記証明書として出力することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの認証を行う認証手段を備えた複写機、複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの会社や事業所等では、従業員の出勤・退勤・外出等の時間を管理(勤怠管理)しているのが通例である。従来このような勤怠管理は、専用の打刻器などによってタイムカードなどに打刻して行うことが一般的であった。
【0003】
しかし、昨今の会社内等では、従業員1人について1台のパーソナルコンピュータ(PC)が割り当てられていることも稀ではなく、これらのPCがLAN(Local Area Network)等により接続されて、相互に通信可能となっている。そして、主要な1台のPCをサーバとして位置づけ、これらすべてのPCの管理に用いることが多い。
【0004】
このような状況において、上記の勤怠管理を次のような方法で行うことが行われるようになってきている。即ち、例えばある従業員が出勤して自身に割り当てられたPCを起動した際に、この起動を上記サーバに通知し、これによってこの従業員が出勤したことをこのサーバで認識するのである。退勤や外出などの場合も同様であり、PCを終了する(電源を落とす)操作がなされた場合に、これを上記サーバに通知し、この従業員が退勤・外出したことを上記サーバで認識するのである。
【0005】
このような勤怠管理は一見合理的とも思えるが、次のような問題を内包していることも事実である。まず、PCの起動には時間がかかることがあり、正確な出勤・退勤時刻等を反映しづらい。特に、PC内のプログラムの更新などがある場合には、PCの終了手続後もこの更新が続行されて、実際に電源が落ちるのは大分後になる場合がある。また、PCの動作に不具合がある場合は、従業員が勤務中であってもPCを再起動する場合が多々あり、上記サーバがこれを実際の出勤・退勤・外出等と区別することは容易ではない。
【0006】
そこで、上記のようなPCに代えて、複写機や複合機などの画像形成装置を用いて勤怠管理を行う技術が、例えば下記の特許文献1に開示されている。即ち、昨今の会社内等では、例えば1つの部署に1台の画像形成装置が設置され、その部署の従業員が各自のIDカードなどを装着して複写等を行うことができるようになっている。これを利用して、例えば従業員が出勤した際には、必ず上記IDカードを装着するようにする。するとこのIDカードが装着されたことを、LAN等のネットワークを通じて画像形成装置から上記サーバへ通知して勤怠管理を行うというのが、この特許文献1に示された従来技術である。画像形成装置は、PCなどに比べて起動に時間がかからない上、再起動することも稀であるので、この従来技術はある程度有効であると評価できる。
【特許文献1】特開2004−133631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この従来技術にも次のような問題点がある。即ち、上記のサーバやネットワークに障害があった場合には、当然のことながら上記勤怠管理を行えないことになる。ここで、さらに問題となるのが、このような障害が発生した場合の、従業員のとるべき対応である。即ち、このような場合多くの会社や事業所等では、各従業員は、自己の出勤・退勤時間などを、例えば2人以上の上司に証明してもらい、その上司が押印した証明書を管理部門の担当者などに提出しなければならない。このような対応は各従業員にとって煩雑であるし、管理部門の担当者も全従業員についてこのような対応をしなければならないので、大変な手間となる。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑み、サーバやネットワークに障害があった場合にも勤怠管理が可能で、かつ、このような場合に従業員等の対応の負担を軽減できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成するために、本発明では以下のような手段を採用している。
【0010】
まず、本発明は、ユーザの認証を行う認証手段を備え、この認証に関してネットワークを通じてサーバと通信可能な画像形成装置を前提としている。
【0011】
このような画像形成装置において、上記認証に基づいて上記ユーザの勤怠管理を行う管理手段と、上記サーバまたは上記ネットワークに障害が発生したことを検知する検知手段とを設ける。そして、この障害が発生した際に、上記勤怠管理の内容を証明書として出力する出力手段を設ける。これにより、サーバやネットワークがダウンした場合でも、画像形成装置によって勤怠管理をすることができ、かつ、勤怠管理の内容についての証明書を容易に発行することが可能となる。
【0012】
ここで、上記出力手段は、上記勤怠管理の内容をバーコード形式で上記証明書として出力することもできる。また、バーコード形式の上記証明書を読み取って、上記勤怠管理の内容を復元する読取手段を設けることもできる。さらに、上記障害が復旧した際に、上記勤怠管理の内容を上記ユーザに電子メールで通知する通知手段を設けてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の画像形成装置によれば、サーバやネットワークに障害があった場合にも勤怠管理が可能で、かつ、このような場合に従業員等の対応の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。この実施の形態では、画像形成装置の一形態であるデジタル複合機として本発明を具体化している。
【0015】
図1は、本実施の形態における複合機100の全体構成の概略図である。ユーザが複合機を利用して原稿の印刷を行う場合、原稿を例えば原稿台103に載置し、原稿台103近傍に備えられたタッチパネル300の操作ボタンに対して印刷の指示を行う。当該指示があると、以下に示す各部(駆動部)が作動することで、印刷が行われる。
【0016】
画像読取部101において、光源104から照射された光は、原稿台103に置かれた原稿に反射し、ミラー105、106、107によってCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子108に導かれる。撮像素子108は受光した光を光電変換し、原稿の画像データを生成する。このようにして原稿の画像データが、画像読取部101にて読み取られる。
【0017】
画像形成部102に備えられた感光体ドラム109は、一定速度で所定の方向に回転し、その周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器110、露光器111、現像器112、転写器113などが配置されている。帯電器111は、感光体ドラム109表面を一様に帯電させる。露光器111は、画像読取部101によって読み取られた画像データに応じて光を照射し、感光体ドラム109上に静電潜像を形成する。現像器112は、上記露光器111によって形成された静電潜像にトナーを付着させ、感光体ドラム109上にトナー像を形成する。転写器113は、感光体ドラム109上のトナー像を用紙に転写する。このようにして、感光体ドラム109が回転することによりこれらの一連のプロセスが画像形成部102において行われる。
【0018】
また画像形成部102は、印刷を行うときは、給紙装置114から例えばA4サイズの用紙1枚がピックアップローラ115を用いて搬送路Lへ引き出される。この複合機100には、この給紙装置114の他に、上記背景技術で説明したような、補助給紙装置(オプションペーパーフィーダ)114a,114b,114cが外部から装着可能である。そしてこれらには、例えばB5,B4,A3等それぞれ異なるサイズの用紙が収納されており、ユーザが用途に応じて選んだサイズの用紙が給紙される。搬送路Lに引き出された用紙は、搬送ローラ116やレジストローラ117によって感光体ドラム109と転写器113の間に送り込まれる。
【0019】
定着装置118において、加熱ローラ119と加圧ローラ120の間を用紙が通過すると、熱と用紙への押圧力によって可視像が用紙に定着する。定着を適切に行うため、加熱ローラの熱量は用紙サイズに応じて最適に設定されている。画像形成部102は、定着装置118を通過した用紙を排紙トレイ121へ排紙する。
【0020】
図2は、本実施の形態における複合機100の制御関連の概略構成図である。
【0021】
複合機100は、CPU(Central Processing Unit)201、RAM(Random Access Memory)202、ROM(Read Only Memory)203、HDD(Hard Disk Drive)204及び上記印刷における各駆動部に対応するドライバ205が内部バス206を介して接続されている。
【0022】
上記CPU201は、例えばRAM202を作業領域として利用し、ROM203やHDD204等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ205とデータや命令を授受することにより上記図1に示した各駆動部の動作を制御する。また、上記駆動部以外の後述する各手段(図3に示す)についても、CPU201がプログラムを実行することで各手段として動作する。
【0023】
さて、このような複合機100を用いて、上記背景技術で説明したような勤怠管理を行うには、次のようにする。
【0024】
出勤してきたユーザ(従業員等)は、まず、カードリーダ1に自己のIDカード2を装着する。すると、認証手段301が、このIDカード2の情報(例えばユーザID)を読み取り、この認証手段301に登録されているユーザIDと比較してユーザ認証を行う。なお、このユーザ認証の手順は一例であって、他の手順、例えば上記タッチパネル300からパスワード等を入力する手順などであってもよい。
【0025】
このようにしてユーザ認証が行われると、認証手段301はタッチパネル300に、例えば図4に示すような勤怠管理画面400を表示させる。そして、ユーザが「出勤」ボタン401を押下し、さらに「OK」ボタン405を押下すると、このユーザが出勤したことが管理手段302に通知される。
【0026】
同様に、勤怠管理画面400において、ユーザが「退勤」ボタン402、「外出」ボタン403、「再入」ボタン404を押下し、さらに「OK」ボタン405を押下することで、このユーザがそれぞれ、退勤、外出、再入したことが管理手段302に通知される。以下では便宜上、上記出勤の場合も含め、これらの手続を総括して「勤怠手続」と呼ぶことにする。
【0027】
このようにして、管理手段302は、各ユーザの勤怠管理を行う。なお、ここで示した出勤、退勤、外出、再入は勤務形態の一例であり、これ以外の勤務形態があってもよいことはもちろんである。
【0028】
本発明の複合機100は、通信インターフェース310を備えており、LAN(Local Area Network)等のネットワーク360を介して、各ユーザのパーソナルコンピュータ(PC)350、351、352と通信可能となっている。本実施形態ではこれらのPCのうち、PC350をサーバとして位置づけ、各ユーザのPC351、352の管理を行っている場合を例にして説明する。
【0029】
上記管理手段302は、上述のようにして行った勤怠管理をサーバ350に送信し、このサーバ350で勤怠管理を行うことも可能である。PC351、352の各ユーザは、各自の勤怠管理の内容をこのサーバ350に問い合わせることもできる。そしてその内容を、例えば図5に示すような表形式で、このサーバ350から入手することも可能である。
【0030】
ここで、何らかの事情により、サーバ350またはネットワーク360に障害が発生したとする。すると、検知手段303がこの障害の発生を検知する。この検知は例えば、ユーザが「出勤」ボタン401、「退勤」ボタン402、「外出」ボタン403、「再入」ボタン404を押下し、さらに「OK」ボタン405を押下したタイミングで、認証手段301がサーバに対して認証のリクエストを出す時に行われる。このように障害の発生が検知されている状態で、ユーザが上記のような勤怠手続を行った場合には、出力手段304がこのユーザの勤怠管理の内容を証明書として出力する。あるいは、出力手段304は、この障害発生時の上記ユーザの勤怠手続'(即ち一回の手続)の内容を証明書として出力する。
【0031】
この証明書は、先に図5に示した表形式の勤怠管理を、この複合機100によって紙媒体に記録した印刷物である。あるいは、出力手段304が、勤怠管理の内容を、図6に示すように、バーコード形式で上記証明書として出力するようにしてもよい。これは、とくに図5に示した表形式の勤怠管理を他人に見られたくないような場合に有効である。
【0032】
ユーザはこうして出力された証明書を、例えば管理部門の担当者などに提出する。こうすれば、サーバやネットワーク障害の発生時において、各従業員にとっても管理部門の担当者にとっても、勤怠管理が簡単に行える。
【0033】
特に、上記のように証明書をバーコード形式で発行する場合には、複合機100の読取手段305によって、このバーコードを読み取って勤怠管理の内容を復元するように構成することができる。これにより、障害が復旧した際には、管理手段302がこの勤怠管理の内容を、ネットワーク360を介してサーバ350に送信し、通常の勤怠管理へと復元することができる。
【0034】
また、特に、上記障害が復旧した際に、通知手段306が上記勤怠管理の内容をこのユーザのPC351に電子メールで通知するように構成することもできる。こうすれば、上記のような障害があった場合でも、各ユーザは自己の勤怠管理が支障なく行われていることを確認できるので、安心である。
【0035】
以上のように、本発明によれば、ネットワークの障害が発生したような場合でも、安心で簡便な勤怠管理を実現することができる。
【0036】
なお、図6では、証明書をバーコード形式で出力するように説明したが、このバーコードが二次元バーコードであってもよいのはもちろんである。また、この証明書は、バーコード形式以外にも、例えばOCR(Optical Character Reader)で読み取り可能なテキスト形式で出力してもよい。これらの場合には、読取手段305をそれぞれの形式の証明書を読み取れる構成に変更してやればよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る画像形成装置は、サーバやネットワークに障害があった場合にも勤怠管理が可能で、かつ、このような場合に従業員等の対応の負担を軽減することができる。従って、複写機や複合機等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の複合機の全体構成の概略図。
【図2】本発明の複合機のハードウェア構成図。
【図3】本発明の複合機のソフトウェア構成図。
【図4】勤怠管理画面の一例。
【図5】勤怠管理の内容の一例。
【図6】バーコードの一例。
【符号の説明】
【0039】
1 カードリーダ
2 IDカード
100 複合機
300 タッチパネル
301 認証手段
302 管理手段
303 検知手段
304 出力手段
305 読取手段
306 通知手段
310 通信インターフェース
350 サーバ
351,352 パーソナルコンピュータ
360 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの認証を行う認証手段を備え、該認証に関してネットワークを通じてサーバと通信可能な画像形成装置において、
上記認証に基づいて上記ユーザの勤怠管理を行う管理手段と、
上記サーバまたは上記ネットワークに障害が発生したことを検知する検知手段と、
上記障害が発生した際に、上記勤怠管理の内容を証明書として出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
上記出力手段が、上記勤怠管理の内容をバーコード形式で上記証明書として出力する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
バーコード形式の上記証明書を読み取って、上記勤怠管理の内容を復元する読取手段を備える、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記障害が復旧した際に、上記勤怠管理の内容を上記ユーザに電子メールで通知する通知手段を備える、請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−86155(P2010−86155A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252509(P2008−252509)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】