説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置の内部構造の冷却に、ファンなどの冷却装置が用いられるが、この内部構造の冷却に用いられた空気流を他の構造物の冷却に用いると、温度の下降が適切に行われないことがある。更に内部構造から発せられた粉塵などの悪影響が懸念される。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、上側端部210と下側端部220とを有する鉛直方向に設けられた回路基板200と、回路基板200と対向する仕切部110と、仕切部110と連続して設けられかつ回路基板200の周囲に形成された壁部材120と、回路基板200の下側端部220より下側の位置に少なくとも一部が開口した吸気口140と、回路基板200の上側端部210より上側の位置に少なくとも一部が開口した排気口150とを備え、回路基板200と対向して壁部材120に設けられたカバー部1Bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を適用した複写機やプリンタなどの画像形成装置では、感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像器によって現像してトナー像を形成し、この感光体ドラム上に形成されたトナー像を、給紙部から搬送された記録媒体上に転写し、転写されたトナー像を記録媒体に定着して印刷画像を形成している。このような画像形成装置内には、一般に熱源による装置内の温度上昇を抑えるべく冷却構造が採用されている。
【0003】
例えば、公報記載の従来技術として、内部に充電部を備え、該充電部において蓄電された電力を放電可能な構成を備えた電源ユニットにおいて、上記充電部はこれに用いられるキャパシタのセル部とバランス回路基板とが断熱部材を介して配置され、バランス回路基板に装備されている素子の放熱部材に対して強制的に外気を取り込んで空冷を行う機構を備えた技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、定着機通過直後の搬送ローラの表面を離型部材で覆い、溶融トナーの離型性を高め、ウェブおよび搬送ローラを強制冷却する冷却手段を設けることによって溶融トナーの凝集力を高め、高温オフセットを防止している。さらに、搬送ローラの離型部材の内側に断熱部材を設けることによって表面の熱時定数を大きくして速やかな冷却サイクルを実現するとともに、搬送ローラの熱膨張を低減する従来技術が存在する(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−136349号公報
【特許文献2】特開2003−335442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、画像形成装置の内部構造を冷却する際には、一般にファンなどの冷却装置が用いられる。しかしながら、この内部構造の冷却に用いられた空気流を他の構造物の冷却に用いると、冷却効果の低下が避けられず、また隣り合う熱源の相互影響により、温度の下降が適切に行われないことがある。更に内部構造から発せられた粉塵などの悪影響が懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、上側端部と下側端部とを有する鉛直方向に設けられた回路基板と、前記回路基板と対向して設けられた面を有する仕切部と、前記仕切部と連続して設けられかつ前記回路基板の周囲に形成された壁部と、前記回路基板の前記下側端部より下側の位置に少なくとも一部が開口した吸気口と、前記回路基板の前記上側端部より上側の位置に少なくとも一部が開口した排気口とを備え、前記回路基板と対向して、かつ前記回路基板に対し前記仕切部とは反対側で前記壁部に設けられたカバー部とを有する画像形成装置である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記回路基板は前記仕切部に対向する面に回路用の素子を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3記載の発明は、前記カバー部は、前記回路基板に対向する側の面に当該回路基板に向けて延びる突起を有することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項4記載の発明は、画像出力部が配置された空間と区切られた基板配置用空間と、前記基板配置用空間内に設けられ、上側端部と下側端部とを有する鉛直方向に配置された回路基板と、前記基板配置用空間の下部にて、前記回路基板の前記下側端部より下側の位置に少なくとも一部が開口し、外気と連通する吸気口と、前記基板配置用空間の上部にて、前記回路基板の前記上側端部より上側の位置に少なくとも一部が開口し外気と連通する排気口とを有する画像形成装置である。
【0009】
請求項5記載の発明は、前記画像形成装置が前記回路基板とは異なる第2回路基板をさらに有し、前記基板配置用空間は、前記第2回路基板が配置されている空間とも区切られていることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項6記載の発明は、前記基板配置用空間内には送風装置が備えられていないことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、画像形成装置の内部構造を冷却するのに用いられた空気流を用いることなく回路基板を冷却することが可能となり、また内部構造から発せられた粉塵などの悪影響が低減される。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、より簡便に回路用の素子を回路基板に配置させることができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、回路基板の冷却をより効果的に行うことができる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、画像形成装置の内部構造を冷却するのに用いられた空気流を用いることなく回路基板を冷却することが可能となり、また画像出力部から発生した熱が基板配置用空間に流入するのを防ぐことができるため、より少ない外気量での冷却が可能となる。更に内部構造から発せられた粉塵などの悪影響が低減される。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、より他の回路基板から発生した熱が基板配置用空間に流入するのを防ぐことができるため、より少ない外気量での冷却が可能となる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、より簡易な装置により回路基板を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る基板配置用空間の断面図である。
【図3】本実施の形態に係る基板配置用空間(カバー板有り)の斜視図である。
【図4】本実施の形態に係る基板配置用空間(カバー板無し)の斜視図である。
【図5】本実施の形態に係る取付脚部の構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成装置1の全体説明>
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1を示す概略構成図であり、画像形成装置1は、画像出力部と区切られた空間に、基板配置用空間100を形成し、この基板配置用空間100内に回路基板200を備えている。なお、本実施の形態に係る画像形成装置1は、さらに回路基板200とは異なる第2回路基板(図示せず)を備えている。
【0014】
画像形成装置1は、画像出力部の一態様として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の複数の画像形成ユニット30(30Y,30M,30C,30K)が設けられている。個々の画像形成ユニット30(30Y,30M,30C,30K)は、感光体ドラム(像保持体)31と、この感光体ドラム31の周囲に順次配設されている各種の電子写真用デバイスとが一体的に形成され、所謂カートリッジ化されている。この一体的に形成される電子写真用デバイスとしては、例えば、感光体ドラム31を帯電する帯電ロール32と、この帯電ロール32により帯電された感光体ドラム31上に露光形成された静電潜像を現像する現像装置33と、感光体ドラム31上の廃トナーを除去するクリーニング装置35等が含まれる。
【0015】
また、画像形成装置1は、画像出力部の一態様として、各々の感光体ドラム31を例えばレーザ光を用いて露光する露光ユニット40を有する。また、画像出力部の一態様として、各画像形成ユニット30(30Y,30M,30C,30K)の感光体ドラム31にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト51と、各画像形成ユニット31にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト51に順次転写(一次転写)する一次転写ロール52とを備えている。さらに、画像出力部の一態様として、中間転写ベルト51上に重畳して形成されたトナー像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写ロール80を備えている。また、これらの画像出力部から離間した位置に、二次転写されたトナー像を用紙P上に定着させる定着ユニット81とを備えている。また、画像形成装置1は、各画像形成ユニット30(30Y,30M,30C,30K)の現像装置33にトナーを供給するトナーカートリッジ20を有する。また、画像形成装置1の全体を制御する制御部90を備えている。
【0016】
画像形成装置1は、制御部90による動作制御の下で、一連の画像形成処理を実行する。すなわち、PCやスキャナなどから取得した画像データは、画像処理部(図示せず)により画像処理が施され、各色の画像データとなって各画像形成ユニット30に送られる。そして、各画像形成ユニット30(30Y,30M,30C,30K)では、電子写真方式により各色のトナー像を形成する。各画像形成ユニット30(30Y,30M,30C,30K)の感光体ドラム31に形成された各色トナー像は、一次転写ロール52により中間転写ベルト51上に順次、静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。中間転写ベルト51上の重畳トナー像は、中間転写ベルト51の移動に伴って二次転写ロール80が配置された二次転写領域に搬送される。一方、用紙Pが、重畳トナー像の搬送タイミングに合わせて給紙カセットから給紙され、二次転写領域に搬送される。そして、中間転写ベルト51上の重畳トナー像は、二次転写部にて二次転写ロール80が形成する転写電界により、搬送されてきた用紙P上に一括して静電転写(二次転写)される。重畳トナー像が静電転写された用紙Pは、定着ユニット81まで搬送され、定着ユニット81によって用紙P上に定着される。定着後の用紙Pは、画像形成装置1の排出部に設けられた用紙積載部に搬送される。
【0017】
<画像形成装置1の強制排気>
次に、画像形成装置1にて行われる、駆動源を用いた強制的な排気について説明する。
画像形成装置1は、画像形成装置1の例えば後面側に設けられ、電気的な駆動力を受けて回転し、空気流を形成する送風装置の一例であるファン92を有する。また、画像形成装置1の内部の空気流を排気する強制排気口94が設けられ、この強制排気口94は、画像形成装置1の一側面を形成する本体カバー1Bに設けられている(後述する図3参照)。
【0018】
例えば画像形成装置1の動作に伴い、制御部90の制御下にてファン92が回転する。ファン92の回転により、画像形成装置1内に外気が取り込まれ、画像形成装置1内に空気流が生じる。この空気流は、画像形成装置1内に形成された所謂ダクト構造によって画像出力部の各所を冷却し、本体カバー1Bに備えられた強制排気口94から排出される。図1に示す例では、図1の左下方に設けられたファン92によって、各画像形成ユニット30(30Y,30M,30C,30K)と中間転写ベルト51の各所が冷却され、図1の右側面側に設けられた強制排気口94から排気される。このファン92による吸気によって、画像形成装置1の冷却に用いられた空気が強制排気口94から強制的に、画像形成装置1の外部へ排出される。
【0019】
<画像形成装置1の自然対流排気>
次に、画像形成装置1にて行われる、駆動源を用いない自然対流排気について説明する。
本実施の形態が適用される画像形成装置1は、上述のように、画像出力部10と区切られた空間に基板配置用空間100を有し、この基板配置用空間100内に回路基板200を備えている。
また、基板配置用空間100は、第2回路基板が配置された空間とも区切られている。なお、本実施の形態における第2回路基板は、低電圧印加用基板である。第2回路基板が配置された空間は、画像出力部10が備えられた空間とは別の空間であるが、第2回路基板は画像出力部10と同じ空間内に備えられてもよい。
基板配置用空間100は、画像形成装置1の内部の一側面側(図1では右側面側)に位置し、この基板配置用空間100内に鉛直方向に立てた状態で、例えばガラスエポキシ基板からなる回路基板200を配置している。
【0020】
図2乃至図5を参照して説明する。ここで、図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1内の基板配置用空間100を説明するための断面図である。また図3は、画像形成装置1の一側面側(図1の右側面側)から画像形成装置1を眺めた斜視図である。さらに図4は、本体カバー1Bが取り除かれた画像形成装置1の内部を画像形成装置1の一側面側(図1の右側面側)から眺めた斜視図である。またさらに図5は、図2に示す取付脚部260の構造を説明するための図である。
【0021】
基板配置用空間100は、仕切部の一例である仕切板110と、壁部の一例である壁部材120と、カバー部の一例である本体カバー1Bとによって区画されている。本体カバー1Bの下方側には吸気口140を有し、本体カバー1Bの、この吸気口140よりも上方側には排気口150を有している。
基板配置用空間100は、画像出力部10が配置された空間とは区切られ、独立した空間として形成される。本実施の形態の構成では、自然対流により、下方側の吸気口140から上方側の排気口150へ空気が流れることで、回路基板200に設けられた回路用素子280を自然冷却する。
【0022】
本実施の形態における回路基板200は、図2に示すように基板配置用空間100内で上下方向に備えられ、仕切板110に備えられた取付脚部260によって上側端部210と下側端部220とが固定され、基板配置用空間100内に配置されている。
また、回路基板200は、仕切板110側の基板面200A、すなわち画像形成装置1の内部側の基板面200Aに回路用素子280を備える。ここで、本実施の形態における回路基板200は高圧電源用基板であり、回路用素子280としては、例えば帯電ロール32に電荷を注入するため数百ボルトの電圧を印加する電圧供給用素子等が用いられている。
【0023】
基板配置用空間100は、本実施の形態では、仕切板110と壁部材120と本体カバー1Bとによって区画され、これらによって形成される空間である。他の部材を更に用いて区画し、空間を形成することもできる。
ここで仕切板110は、基板配置用空間100の一面を構成し、画像形成装置1の内部との間を仕切る仕切部として機能している部材である。この仕切板110は、回路基板200と対向した面を備え、例えば回路基板200と平行に備えられる。
本実施の形態の仕切板110は、例えば厚みが0.6mm程度の金属製の板材を加工して形成することができるが、画像出力部10が配置された空間と区切り、空気の流れを妨げる部材であれば、材質や厚みなどは限定されない。
【0024】
壁部材120は、仕切板110と連続して設けられる。図4に示すように、本実施の形態においては、壁部材120は、回路基板200の上下左右の4方向を囲む4つの壁部材(122、124、126、128)から構成されている。この4つの壁部材(122、124、126、128)は、回路基板200の上側の端面、下側の端面、左側の端面、右側の端面とそれぞれ平行である。
本体カバー1Bは、回路基板200と対向して設けられ、回路基板200を挟んで仕切板110とは反対側に設けられる。また、本実施の形態においては、回路基板200は、本体カバー1Bに沿って平行に設けられている。
【0025】
基板配置用空間100の下方には吸気口140が形成されており、吸気口140は画像形成装置1の外部と連通され、外気を取り込むことができる。本実施の形態においては、吸気口140は本体カバー1Bの下方に設けられる。より詳細には、回路基板200の下側端部220が位置する水平位置よりも下側に、吸気口140の少なくとも一部が開口するように構成されている。
一方、基板配置用空間100の上部には排気口150が備えられており、排気口150は画像形成装置1の外部と連通され基板配置用空間100の空気を外部へ流出させることができる。本実施の形態においては、排気口150は本体カバー1Bの上側に設けられる。より詳細には、回路基板200の上側端部210が位置する水平位置よりも上側に、排気口150の少なくとも一部が開口するように構成されている。
【0026】
また、前述のように、回路基板200は、取付脚部260によって仕切板110に取り付けられる。図5に示すように、本実施の形態の取付脚部260は、本体部262と、本体部262と平行な2つの取付面264と、本体部262および取付面264と垂直に形成される脚部266とを有しており、例えば一枚の板部材の両端を折り曲げて形成される。
本実施の形態の取付脚部260は、本体部262が仕切り板110に接合され、取付面264が回路基板200に接合されることにより、回路基板200を仕切板110に取り付ける。ここで、本実施の形態の脚部266の長さにより、回路基板200と仕切板110との間の空間が確定される。確定されたこの空間内に、冷却のための空気が流れる。
【0027】
また、図2に示すように、画像形成装置1の基板配置用空間100には、この基板配置用空間100を仕切る突起として、複数のリブ132が形成されている。本実施の形態では、この複数のリブ132は、本体カバー1Bの内側(回路基板200に対向する面側)から回路基板200に向けて延びるように形成されている。また、この複数のリブ132は水平方向に延伸し(図2においては紙面に垂直な方向に延伸する)、さらに、基板配置用空間100の上下方向に複数形成される。複数のリブ132の水平方向の延伸としては、例えば、回路基板200の幅よりも長い距離だけ延伸している。更に好ましくは、壁部材126、128(図4参照)によって定められる基板配置用空間100の幅の近傍まで延伸することが好ましい。
この複数のリブ132は、回路基板200と本体カバー1Bとの間の空気の流れを妨げることで、回路基板200と仕切板110の間での空気の流れを促進させる。
【0028】
さらに、本実施の形態の画像形成装置1では、仕切板110と壁部材120との間に、これらの間の間隙を充填するための充填材160を有している。この充填材160としては、例えば樹脂材料であるウレタンなどが用いられる。寸法精度の問題、組み立て精度の問題等、例えば製造工程において仕切板110と壁部材120との間に間隙が生じた場合に、充填材160によりこの間隙を埋め、基板配置用空間100を良好に区画することができる。すなわち充填材160を挿入することで、密閉度を増加させることができる。
本実施の形態に係る充填材160は、仕切板110と壁部材122、124との間にそれぞれ設けられているが、仕切板110と壁部材126、128との間に設けられてもよい。
尚、充填材160の材料としては、ウレタン樹脂の他、他の弾性部材を用いることができる。密閉度を高めることができるものであれば、材質、構造は特に限定されない。
【0029】
また、図4に示すように 本実施の形態においては、排気口150と強制排気口94との間に、強制排気による空気の流れと自然対流排気による空気の流れとを隔離するためのウレタン等の樹脂材152が形成されている。すなわち、この樹脂材152を設けることにより、強制排気による空気の流れと自然対流排気による空気の流れが隔離される。樹脂材152は、カバー板に形成された突起部であってもよい。
【0030】
次に、図2乃至図5を参照しながら本実施の形態における基板配置用空間100内での自然対流排気を説明する。
本実施の形態では、回路基板200の回路用素子280が昇温することで基板配置用空間100内の空気が熱せられ、この空気が自然対流により排気口150から外部へと流出する(図2の矢印OUT参照)。これに伴い、基板配置用空間100の下部に設けられた吸気口140から自然対流により外気が流入する。流入した外気は、回路基板200の下側を通過して回路基板200と仕切板110の間の空間へ到達する(図2の矢印IN参照)。回路基板200と仕切板110の間に達した空気は、回路基板200の基板面に備えられた回路用素子280の熱を奪うことで温度が上昇する一方、回路用素子280は、熱が奪われることにより温度が低下する。
この加熱された空気は、自然対流により基板配置用空間100の上方へと向かう。加熱された空気は、回路基板200の上側を通過し、基板配置用空間100の上部に設けられた排気口150から外部へと流出する(図2の矢印OUT参照)。
【0031】
ここで、上述のように本実施の形態に係る基板配置用空間100は、画像出力部10とは区画して形成されており、画像出力部10の冷却用のファン92によって生じる空気流を、回路基板200の冷却のために用いることはない。よって、画像出力部10で加熱された空気が基板配置用空間100内に流入することを抑制できる。すなわち、他の熱源からの対流による影響を受けることなく、本実施の形態の回路用素子280の冷却を行うことができる。
【0032】
さらに、基板配置用空間100が画像出力部10と区画されることによって、画像出力部10の内部に存在するトナー、紙粉などの粉塵が回路用素子280へ流れることを抑制する。また、画像出力部10に備えられた電子機器などからの、ノイズによる回路用素子280への影響を低減する副次的効果も期待できる。さらに、回路用素子280によって生じるノイズが、画像出力部10へ与える影響の低減も期待できる。
【0033】
ここで、本実施の形態においては回路用素子280の一例として電圧供給用素子を用いたが、一般的に発熱量の少ない素子であればよい。例えば回路用素子280としては、ハードディスク、CPU、メモリーなどである主制御用素子や、ファクシミリやUSB(Universal Serial Bus)といった画像形成装置1の外部との接続を行う素子である外部接続用素子などであってもよい。
【0034】
なお、本実施の形態では、回路基板200の回路用素子280が仕切板110に向けて配置されていたが(図2参照)、本実施の形態の変形例として、回路基板200の回路用素子280が、本体カバー1Bと対向する側の面200B(図2参照)に備えられる構成であってもよい。すなわち、図2の回路基板200と裏表が反対となる構成である。この構成により、自然対流をさらに容易にすることができる。ただし、回路用素子280の配線を簡略化できるという点では、回路用素子280が仕切板110と対向する面200Aに備えられる図2のような構成が好ましい。
【0035】
回路基板200は、その面が鉛直方向を向くように配置されていることが、自然対流を阻害しにくい点で好ましいが、回路用素子280を備える側の面200Aに沿って、自然対流により空気が移動可能であれば、回路基板200は鉛直方向から傾斜して配置されても構わない。
本体カバー1Bは、壁部材120に備えられることが好ましいが、画像形成装置1の他の構成部材によって支持されてもよい。また、本体カバー1Bの材質は、金属材料、樹脂材料等が用いられるが、画像形成装置1の表層部材と同一の材質を採用できる。
【0036】
また、本実施の形態においては、仕切板110、壁部材120(より詳細には4つの壁部材(122、124、126、128))および本体カバー1Bのそれぞれ独立した部材によって基板配置用空間100を形成しているが、内部に基板配置用空間100が形成された直方体の部材、例えば箱状の一体部材を画像形成装置1に備えることによって、基板配置用空間100を形成してもよい。
さらに、仕切板110、壁部材120は、画像形成装置1における他の部材を利用することによって構成されてもよい。例えば、画像出力部10を区画する板材(図示せず)や、画像出力部10を支持するフレーム(図示せず)の一部を、仕切板110、壁部材120として利用してもよい。
【0037】
本実施の形態においては、図1に示すように、画像形成装置1の右側面側付近に基板配置用空間100を構成として説明したが、画像形成装置1内における基板配置用空間100の位置としては、画像形成装置1の外壁部に近い位置、すなわち外環側であれば特に限定されず、画像形成装置1内の左側側面、前面、後面などであってもよい。
【0038】
またさらに、本実施の形態においては、図3に示すように排気口150と強制排気口94とが、近接して設けられ、外観上は一群の排気口として形成されているが、排気口150と強制排気口94を離間させて配置させてもよい。
さらに本実施の形態では吸気口140および排気口150は本体カバー1Bに形成されているが、外気と連通される場合には、吸気口140および排気口150が壁部材120に設けられてもよい。
【0039】
なお、本実施の形態では、図3に示すように、例えば、多数の長方形を並列させて吸気口140および排気口150を構成することができる。しかしながら、吸気口140および排気口150の数、形状、配置などは限定されるものではない。例えば、吸気口140および排気口150の数は、それぞれ単数であっても複数であってもよく、吸気口140および排気口150の形状は、長方形だけでなく、正方形、楕円、円、長穴などであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…画像形成装置、10…画像出力部、100…基板配置用空間、110…仕切板、120…壁部材、130…カバー板、140…吸気口、150…排気口、160…充填材、200…回路基板、210…上側端部、220…下側端部、260…取付脚部、280…回路用素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側端部と下側端部とを有する鉛直方向に設けられた回路基板と、
前記回路基板と対向して設けられた面を有する仕切部と、
前記仕切部と連続して設けられかつ前記回路基板の周囲に形成された壁部と、
前記回路基板の前記下側端部より下側の位置に少なくとも一部が開口した吸気口と、前記回路基板の前記上側端部より上側の位置に少なくとも一部が開口した排気口とを備え、前記回路基板と対向して、かつ前記回路基板に対し前記仕切部とは反対側で前記壁部に設けられたカバー部と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記回路基板は前記仕切部に対向する面に回路用の素子を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カバー部は、前記回路基板に対向する側の面に当該回路基板に向けて延びる突起を有することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像出力部が配置された空間と区切られた基板配置用空間と、
前記基板配置用空間内に設けられ、上側端部と下側端部とを有する鉛直方向に配置された回路基板と、
前記基板配置用空間の下部にて、前記回路基板の前記下側端部より下側の位置に少なくとも一部が開口し、外気と連通する吸気口と、
前記基板配置用空間の上部にて、前記回路基板の前記上側端部より上側の位置に少なくとも一部が開口し外気と連通する排気口と
を有する画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置が前記回路基板とは異なる第2回路基板をさらに有し、
前記基板配置用空間は、前記第2回路基板が配置されている空間とも区切られていることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記基板配置用空間内には送風装置が備えられていないことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−107478(P2011−107478A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263280(P2009−263280)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】