説明

画像形成装置

【課題】黒ヘッドとカラーヘッドとを分離及び結合して移動可能としたときに両者の相対位置精度が低下して画像品質が低下する。
【解決手段】黒色の液滴を吐出する黒ヘッド101k1、101k2が搭載され、主走査方向に移動可能な黒キャリッジ15と、黒キャリッジ15に対し、黒キャリッジ15の主走査方向領域内で、分離及び結合可能で、カラーの液滴を吐出するカラーヘッド102c、102m、102yを搭載したカラーキャリッジ16とを備え、カラーキャリッジ16は黒キャリッジ15に結合された状態で黒キャリッジ15とともに主走査方向に移動可能であり、黒キャリッジ15の主走査方向の基準位置を基準としてカラーキャリッジ16の結合及び分離を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する液体吐出ヘッドを記録ヘッドに備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限るものではなく、吐出されるときに液体となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
液体吐出方式の画像形成装置にあっては、インクを吐出する記録ヘッドの性能を維持、回復する装置(維持回復機構)が不可欠であり、その機能の1つとしてヘッド内部の気泡、異物及び増粘インクなどをノズルから排出して吐出不良を低減することが行なわれる。
【0005】
そのため、黒色のインク滴を吐出する黒ヘッドと、カラーのインク滴を吐出するカラーヘッドとを備えて、カラー画像を形成するカラー画像形成装置の場合には、黒ヘッドのみを使用してモノクロ印刷を行なっているときでも、維持回復動作としては黒ヘッドのみならずカラーヘッドについてもインク排出が行なわれ、使用していないカラーインクが消費されて印刷コストが高くなるという問題がある。
【0006】
そこで、従来、例えば、駆動力を受けて走査を行う走査型キャリアと、キャリアにそれぞれ結合・分離可能なブラックインク用キャリッジとカラーインク用キャリッジと、キャリアに結合した状態のキャリッジがキャリアの走査方向における所定の基準位置を通過したことを検出する検出手段と、検出手段の検出時期を基準としてキャリアの走査を制御する制御手段とを備えるものがある(特許文献1)
【0007】
同様に、ブラックインク用キャリッジ、カラーインク用キャリッジ、キャリアとしての走査子のそれぞれに遮蔽板を設け、キャリッジが走査子と結合したときにおける遮蔽板の間隔と、キャリッジが走査子と結合したときにおける遮蔽板の間隔は、走査子の移動方向において異なる大きさに設定し、遮蔽板の通過を検出する光センサの検出タイミングに基づいて、走査子に対してキャリッジのいずれが結合しているかを判断するものがある(特許文献2)。
【0008】
また、第1画像形成ヘッドを交換可能に搭載する第1キャリアと、第2画像形成ヘッドを交換可能に搭載する第2キャリアと、第1および第2キャリアの各々に対し切離可能な接続手段を有し、第1および第2キャリアのいずれか一方または両方を接続手段と接続させて第1および第2キャリアのいずれか一方または両方を主走査方向へ走査させる走査子とを備え、第1画像形成ヘッド及び第2画像形成ヘッドから同じ色の液滴を吐出させるものがある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−240097号公報
【特許文献2】特開平9−076481号公報
【特許文献3】特許第3332764号号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1ないし3に開示されているように、ブラックインク用キャリッジとカラーインク用キャリッジとを中間部材としての走査型キャリア(グリッパ)を介して結合する構成にあっては、中間部材を介しているためにブラックインク用キャリッジとカラーインク用キャリッジとの相対的位置精度が低下し、カラー画像の画像品質が低下するという課題がある。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、黒ヘッドとカラーヘッドとを分離及び結合して移動可能とするとともに両者を高い位置精度で結合できるようにして画像品質の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
黒色の液滴を吐出する黒ヘッドが搭載され、主走査方向に移動可能な黒キャリッジと、
前記黒キャリッジに対し、前記黒キャリッジの主走査方向領域内で、分離及び結合可能で、カラーの液滴を吐出するカラーヘッドを搭載したカラーキャリッジと、を備え、
前記カラーキャリッジは前記黒キャリッジに結合された状態で前記黒キャリッジとともに主走査方向に移動可能であり、
前記黒キャリッジの主走査方向の基準位置を基準として前記カラーキャリッジの結合及び分離を行なう
構成とした。
【0013】
ここで、前記黒キャリッジの主走査方向の基準位置は、前記黒キャリッジに設けられた突き当て部を主走査方向の端部に配置された側板に突き当てて決定する構成とできる。
【0014】
この場合、前記黒キャリッジには前記カラーキャリッジが載置される載置部が設けられ、前記載置部にカラーキャリッジを搭載した状態で、前記カラーキャリッジよりも前記側板側に前記突き当て部が設けられている構成とできる。
【0015】
また、前記カラーヘッドの吐出面をキャッピングするキャップ部材を備え、前記黒キャリッジの主走査方向の基準位置を基準として前記カラーヘッドに対するキャッピング位置を決定する構成とできる。
【0016】
この場合、前記カラーキャリッジの分離及び結合を行う位置と前記キャッピング位置が同じである構成とできる。
【0017】
また、前記カラーヘッドの吐出状況を検出する吐出状況検出手段を備え、前記黒キャリッジの主走査方向の基準位置を基準として前記カラーヘッドの吐出状況検出手段による検出位置を決定する構成とできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る画像形成装置によれば、黒色の液滴を吐出する黒ヘッドが搭載され、主走査方向に移動可能な黒キャリッジと、黒キャリッジに対し、黒キャリッジの主走査方向領域内で、分離及び結合可能で、カラーの液滴を吐出するカラーヘッドを搭載したカラーキャリッジと、を備え、カラーキャリッジは黒キャリッジに結合された状態で黒キャリッジとともに主走査方向に移動可能であり、黒キャリッジの主走査方向の基準位置を基準としてカラーキャリッジの結合及び分離を行なう構成としたので、黒ヘッドとカラーヘッドとを分離及び結合して移動可能とするとともに両者を高い位置精度で結合できるようにして画像品質の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一例の全体構成を示す斜視説明図である。
【図2】同装置の模式的側面説明図である。
【図3】同装置の画像形成部の模式的正面説明図である。
【図4】同装置の分離状態のキャリッジ部分の斜視説明図である。
【図5】同じく結合状態のキャリッジ部分の模式的平面説明図である。
【図6】同じく分離状態のキャリッジ部分の模式的平面説明図である。
【図7】キャリッジの結合動作の説明に供するフロー図である。
【図8】同じく結合動作の説明に供する模式的説明図である。
【図9】キャリッジの分離動作の説明に供するフロー図である。
【図10】同じく分離動作の説明に供する模式的説明図である。
【図11】黒キャリッジを用いたモノクロ印刷時の動作の説明に供するフロー図である。
【図12】カラー印刷時の動作の説明に供するフロー図である。
【図13】キャリッジ分離、結合位置とキャッピング位置との関係の説明に供する模式的説明図である。
【図14】カラーキャリッジの不吐出ノズルの検出位置の決定の説明に供する模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一例について図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同記録装置の全体構成を示す斜視説明図、図2は同装置の模式的側面説明図、図3は同装置の画像形成部の模式的正面説明図である。
【0021】
このインクジェット記録装置は、シリアル型インクジェット記録装置であり、記録装置本体1の内部には、画像形成部2、用紙吸引搬送部3、ロール紙収納部4、電装基板収納部6などが配置され、装置本体1の上部には画像読取り部7(図1では図示省略)が備えられている。
【0022】
画像形成部2は、両側板51、52(図3参照)に主ガイド(ガイドロッド)13及び従ガイド(ガイドレール)14が掛け渡され、これらのガイドロッド13及びガイドレール14に黒キャリッジ15が矢示A方向に摺動可能に保持され、この黒キャリッジ15に対してカラーキャリッジ16が分離及び結合可能に備えられている(図1は結合状態、図3は分離状態で図示)。
【0023】
そして、黒キャリッジ15を移動走査する主走査機構は、主走査方向の一方側に配置される駆動モータ21と、駆動モータ21によって回転駆動される駆動プーリ22と、主走査方向他方側に配置された従動プーリ23と、駆動プーリ22と従動プーリ23との間に掛け回されたベルト部材24とを備えている。なお、従動プーリ23は、図示しないテンションスプリングによって外方(駆動プーリ22に対して離れる方向)にテンションが架けられている。ベルト部材24は、キャリッジ15の背面側に設けたベルト固定部に一部分が固定保持されていることで、主走査方向にキャリッジ15を牽引する。
【0024】
また、黒キャリッジ15の主走査方向に沿って黒キャリッジ15の主走査位置を検知するためのエンコーダシート(図示せず)が配置され、キャリッジに設けたエンコーダセンサ(図示せず)によってエンコーダシートが読取られる。
【0025】
この黒キャリッジ15の主走査領域のうち、記録領域では、用紙30が用紙吸引搬送部3によって黒キャリッジ5の主走査方向と直交する方向(副走査方向:矢示B方向)に間欠的に搬送される。
【0026】
また、主走査領域のうち一方の端部側領域には、記録ヘッドの維持回復を行う維持回復機構18が配置されている。さらに、主走査方向のキャリッジ移動領域外又は、上記主走査領域のうち他方の端部側領域には、記録ヘッドのサブタンクに供給する各色のインクを収容したメインカートリッジ19が記録装置本体1に対して着脱自在に装着される。
【0027】
また、ロール紙収容部4は給紙手段であり、ロール紙(用紙)30がセットされているが、幅方向のサイズが異なるロール紙がセット可能である。ロール紙30は、その紙軸に両側からフランジ31を装着し、フランジ受け32に載置する。フランジ受け32の内部には、図示しない支持コロが設けられ、支持コロがフランジ31の外周と当接することでフランジ31が回転し、用紙30が給送される。
【0028】
この記録装置では、ロール紙収容部4から搬送された用紙30は、記録装置本体1の後方から前方に向けて、搬送手段(ローラ対33、駆動ローラ34及び従動ローラ35など)により記録領域へ搬送される。そして、黒キャリッジ15を主走査方向に移動し、用紙30を間欠的に送りながら、モノクロ印刷時には黒キャリッジ15の記録ヘッドを画像情報に応じて駆動して液滴を吐出させることによって、カラー印刷時には黒キャリッジ15にカラーキャリッジ16が結合された状態で各キャリッジ15、16の記録ヘッドを画像情報に応じて駆動して液滴を吐出させることによって、用紙30上に所要の画像が形成される。さらに、画像形成後の用紙は、所定の長さにカットされ、装置本体1の正面側に配置された図示しない排紙トレイへ排出される。
【0029】
次に、この画像形成装置のキャリッジ構成の詳細について図4ないし図6をも参照して説明する。なお、図4は分離状態のキャリッジ部分の斜視説明図、図5は同じく結合状態のキャリッジ部分の模式的平面説明図、図6は同じく分離状態のキャリッジ部分の模式的平面説明図である。
【0030】
黒キャリッジ15には黒インクの液滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる黒ヘッド101k1、101k2(以下、区別しないときは「黒ヘッド101」という。)が搭載され、黒キャリッジ15はキャリッジ走査機構によって主ガイド13に沿って主走査方向に移動走査される。黒ヘッド101には装置本体1のインクカートリッジ19からチューブ53を介して黒ヘッド101に一体的に設けたサブタンクを介してインク供給を行なっているが、黒キャリッジ101に交換可能なインクカートリッジを装着する構成とすることもできる。
【0031】
カラーキャリッジ16には例えばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各インクの液滴を吐出する液体吐出ヘッドからなるカラーヘッド102c、102m、102y(以下、区別しないときは「カラーヘッド102」という。)が搭載されている。このカラーキャリッジ16は黒キャリッジ15に結合されたときに、黒キャリッジ15の移動走査によって移動走査される。カラーヘッド102には装置本体1のインクカートリッジ19からチューブ54を介してカラーヘッド101に一体的に設けたサブタンクを介してインク供給を行なっているが、カラーキャリッジ101に交換可能なインクカートリッジを装着する構成とすることもできる。
【0032】
ここで、黒キャリッジ15にはカラーキャリッジ16を載置する載置部55,55が設けられている。載置部55、55との間には切り欠き部(開放空間)56が形成されている。この開放空間56は、カラーキャリッジ16を載置したときに、カラーヘッド102から吐出される液滴が通る空間及び維持回復機構18の後述するキャップなどが昇降(移動)する空間となる。一方、黒キャリッジ15の載置部55、55にはカラーキャリッジ16と分離可能に結合する結合部57、57が設けられ、カラーキャリッジ16には黒キャリッジ15の結合部57、57と連結ないし結合される結合部61、61が設けられている。
【0033】
また、黒キャリッジ15には、カラーキャリッジ16を載置して結合した状態で、カラーキャリッジ16よりも側板52側に突き出した基準位置検出用の突き当て部58が設けられている。黒キャリッジ15の基準位置検出は、突き当て部58が側板52に突き当たった位置を検出し(例えば主走査モータ31の駆動電流の変化を検出することで突き当たったことを検出できる)、突き当たった検出位置から所定量側板52と反対側に黒キャリッジ15を移動した位置を基準位置として決定する。黒キャリッジ15のホーム位置検知も同様に行うことができ、ホーム位置と基準位置とは同じでも異なってもよい。
【0034】
なお、黒キャリッジ15の基準位置の決定は、突き当て部58に代えて基準位置検出部材を設け、装置本体1側に設けた基準位置との位置関係を検出することにより黒キャリッジ15の基準位置を決定することもできる。この場合、例えば、装置本体1側にセンサなどの基準位置検出手段を設け、あるいは、黒キャリッジ15の位置を検出するエンコーダセンサの検出結果と予め定めた(記憶した)基準位置との合致などによって基準位置を決定することもできる。
【0035】
また、維持回復機構18には、黒キャリッジ15の黒ヘッド101をキャッピングするキャップ71と、カラーキャリッジ16のカラーヘッド102をキャッピングするキャップ72や図示しないワイパ部材などが設けられている。
【0036】
次に、上記のように構成したキャリッジ構成における結合動作について図7のフロー図を参照して説明する。
結合動作指示を受けると、黒キャリッジ15のキャッピング状態を確認し、キャップ71にて黒ヘッド101がキャッピングされているときにはキャッピングの解除(黒ヘッド101)を行う。その後、または、キャッピングされていなければそのまま、黒キャリッジ15の基準位置検知を行い、黒キャリッジ15の基準位置を決定する。そして、黒キャリッジ15をカラーキャリッジ16との結合位置に移動し(あるいは基準位置そのままの位置でもよい。)、カラーキャリッジ16をキャッピングしているキャップ72を下降させ、カラーキャリッジ16を下降させて(あるいはキャップ72とカラーキャリッジ16とが一体的に下降する形態でもよい。)、結合機構によって黒キャリッジ15の載置部55上にカラーキャリッジ16を結合する。
【0037】
この結合動作について図8の模式的説明図を参照して説明する。なお、動作説明では、前述した結合部57、61の結合に代えて結合機構80によって結合を行なうものとする。例えば同図(a)の状態で結合指示を受けると、同図(b)に示すように、黒キャリッジ15を側板52側に移動して突き当て部58を側板52に突き当てて黒キャリッジ15の基準位置を決定(前述したように、その他の方法でもよい。)し、同図(c)に示すように黒キャリッジ15を結合位置に移動させ、図示しないがカラーキャリッジ16のキャップ72を下降させ、同図(d)に示すようにカラーキャリッジ16を下降させて、同図(e)に示すように結合機構80によって黒キャリッジ15の載置部55上にカラーキャリッジ16を結合する。
【0038】
次に、分離動作について図9のフロー図を参照して説明する。
分離動作指示が行われると、カラーキャリッジ16が結合された黒キャリッジ15の基準位置決定動作を行い、黒キャリッジ15をキャリッジ分離位置へ移動する。そして、キャリッジ分離動作を実行し、動作終了後カラーキャリッジ16を上昇させ、カラーキャリッジ16のカラーヘッド102に対するキャッピング動作を行って分離動作を終了する。その後、黒キャリッジ15は再度基準位置決定動作を行ってキャッピング位置へ移動し黒ヘッド101をキャップ71にてキャッピングする。なお、分離後の黒キャリッジ15のみでの基準位置決定動作の実行は状況により行わない場合もある。
【0039】
この分離動作について図10を参照して説明すると、同図(a)に示す状態で分離動作指示が行なわれると、同図(b)に示すように黒キャリッジ15を側板52側に移動して突き当て部58を側板52に突き当てて黒キャリッジ15の基準位置を決定(前述したように、その他の方法でもよい。)し、同図(c)に示すように黒キャリッジ15を分離位置に移動させる。そして、同図(d)に示すように、結合機構80をカラーキャリッジ16から切り離して黒キャリッジ15からカラーキャリッジ16を分離し、分離動作終了後、同図(e)に示すように、カラーキャリッジ16を上昇させ、カラーキャリッジ16のカラーヘッド102に対するキャッピング動作を行う。その後、黒キャリッジ15は再度基準位置決定動作を行ってキャッピング位置へ移動し黒ヘッド101をキャップ71にてキャッピングする。なお、分離後の黒キャリッジ15のみでの基準位置決定動作の実行は状況により行わない場合もある。
【0040】
次に、黒キャリッジを用いたモノクロ印刷時の動作について図11のフロー図を参照して説明する。
モノクロ印字の指示が行われると、黒キャリッジ15のキャッピング状態を確認し、キャッピング状態ならばキャッピング解除後、印字(印刷)動作を行い、解除されていればそのまま印字動作を行う。その後、続いて印字を行うときには、モノクロ印刷ではそのまま印字動作へ移行し、カラー印刷のときには、キャリッジ結合を含むカラー印刷動作(図12)へ移行する。そして、印字終了後、黒キャリッジ基準位置決定動作を行い、黒キャリッジ15をキャッピング位置へ移動してキャッピングを行い動作終了とする。
【0041】
次に、カラー印刷時の動作について図12のフロー図を参照して説明する。
カラー印刷の指示が行われると、前述した図7で説明したように、結合動作指示を行なって、黒キャリッジ15のキャッピング状態の確認を行い、キャッピング状態ならば解除し、解除されていればそのまま動作を続行し、黒キャリッジ15の基準位置決定動作を実行し、黒キャリッジ15を結合位置へ移動、カラーキャリッジ16下降動作(キャッピング解除)し、黒キャリッジ15にカラーキャリッジ16を結合させた状態として、黒キャリッジ15を移動走査しながら、カラー印刷動作を実行する。続いて印刷を行うときには、モノクロ印刷であればキャリッジ分離動作(図9)へ移行してカラーキャリッジ分離及びキャッピング後に図11に示すモノクロ印刷を実行し、カラー印刷の場合はそのまま印刷を続行する。カラー印刷が終了したときには、黒キャリッジ15の基準位置決定動作を行い、キャリッジ分離動作(図9)を行って動作終了とする。この分離動作時に黒キャリッジ15のホーム位置(HP)の検知も行なう。
【0042】
次に、キャリッジ分離、結合位置(分割位置という)とキャッピング位置との関係について図13の模式的説明図を参照して説明する。
前述したようにカラーキャリッジ16に対するキャッピング位置は黒キャリッジ15にについて決定した基準位置に基づいて決定している。これにより、カラーキャリッジ16のキャッピング位置に対する位置決めを高精度に行なうことができ、キャップ72とカラーヘッド102との相対位置ずれを低減することができる。
【0043】
また、黒キャリッジ15とカラーキャリッジ16との分割位置は、キャップ71、72による黒キャリッジ15及びカラーキャリッジ16に対するキャッピング位置と主走査方向位置を同じにしている。
【0044】
次に、カラーキャリッジの不吐出ノズルの検出位置の決定について図14の模式的説明図を参照して説明する。
ヘッド101、102のノズルに目詰まりが生じると画像不良が発生することになる。そこで、ここでは、ノズル欠損(ノズルの目詰まりによる吐出不良や、噴射方向曲がり)を検知する吐出状況検出手段としてのノズル欠損検出手段90を備えている。このノズル欠損検出手段90による検出位置(検知位置)は、キャリッジ15、16と相対し、キャリッジ15、16が主走査方向に走査する範囲内に配置される。
【0045】
そして、この場合、カラーキャリッジ16のノズル欠損検出位置は黒キャリッジ15の基準位置の決定結果から決定するようにしている。これにより、カラーキャリッジ16のカラーヘッド102に対するノズル欠損検出位置を高精度に決定することができ、カラーヘッド102とノズル欠損検出手段90との相対位置ずれを低減することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 装置本体
2 画像形成部
3 用紙吸引搬送部
4 ロール紙収納部
6 電装基板収納部
7 画像読取り部
13 ガイドロッド
15 黒キャリッジ
16 カラーキャリッジ
18 維持回復機構
55 載置部
57 結合部
71、72 キャップ
101k1、101k2 黒ヘッド
102c、102m、102y カラーヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色の液滴を吐出する黒ヘッドが搭載され、主走査方向に移動可能な黒キャリッジと、
前記黒キャリッジに対し、前記黒キャリッジの主走査方向領域内で、分離及び結合可能で、カラーの液滴を吐出するカラーヘッドを搭載したカラーキャリッジと、を備え、
前記カラーキャリッジは前記黒キャリッジに結合された状態で前記黒キャリッジとともに主走査方向に移動可能であり、
前記黒キャリッジの主走査方向の基準位置を基準として前記カラーキャリッジの結合及び分離を行なう
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記黒キャリッジの主走査方向の基準位置は、前記黒キャリッジに設けられた突き当て部を主走査方向の端部に配置された側板に突き当てて決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記黒キャリッジには前記カラーキャリッジが載置される載置部が設けられ、前記載置部にカラーキャリッジを搭載した状態で、前記カラーキャリッジよりも前記側板側に前記突き当て部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カラーヘッドの吐出面をキャッピングするキャップ部材を備え、前記黒キャリッジの主走査方向の基準位置を基準として前記カラーヘッドに対するキャッピング位置を決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カラーキャリッジの分離及び結合を行う位置と前記キャッピング位置が同じであることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記カラーヘッドの吐出状況を検出する吐出状況検出手段を備え、前記黒キャリッジの主走査方向の基準位置を基準として前記カラーヘッドの吐出状況検出手段による検出位置を決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−116090(P2011−116090A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278023(P2009−278023)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】