説明

画像形成装置

【課題】2次転写工程において色再現性が良好な画像が形成される、画像形成装置を提供する。
【解決手段】有色トナーによるトナー像がそれぞれ形成される複数の像担持体1Y、1M、1C、1Kと、透明トナーによるトナー像が形成される第2の像担持体1Wと、第2の像担持体1W上に形成された透明トナーによるトナー像が1次転写された後に複数の像担持体1Y、1M、1C、1K上にそれぞれ形成された有色トナーによるトナー像が重ねて1次転写される中間転写体8と、を備える。そして、透明トナーの凝集度が所定値以上になるように定めて、その凝集度に応じて第2の像担持体1Wから中間転写体8上に1次転写される透明トナーの付着量を定める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置に関し、特に、中間転写ベルトや中間転写ドラム等の中間転写体に複数色のトナー像が重ねて1次転写される画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、中間転写ベルト、中間転写ドラム等の中間転写体に、複数の有色トナーによるトナー像とともに、透明トナーによるトナー像を重ねて1次転写する技術が広く知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特許文献1等における画像形成装置は、5つの感光体ドラム(像担持体)が中間転写ベルト(中間転写体)に対向するように並設されている。そのうち4つの感光体ドラムでは、それぞれ、ブラック(黒色)、イエロー、マゼンタ、シアンの有色のトナー像が形成される。また、1つの感光体ドラムでは、透明色のトナー像が形成される。そして、透明色のトナー像と、ブラック(黒色)、イエロー、マゼンタ、シアンの有色のトナー像と、が中間転写ベルト上に重ねて転写(1次転写)される。さらに、中間転写ベルト上に担持された複数色のトナー像は、中間転写ベルトと2次転写部材(転写器)との対向位置で、カラー画像として記録媒体上に転写(2次転写)される。
【0003】
ここで、特許文献2等における画像形成装置では、中間転写体に複数の有色トナーによるトナー像が重ねて1次転写される前に、透明トナーによるトナー像を中間転写体に1次転写する技術が開示されている。詳しくは、記録媒体上に平滑性が優れた画像を形成するために、中間転写体上に形成される有色トナー像の厚さとの和がほぼ一定となるように中間転写体上に形成される画素毎に透明トナー像の厚さを制御している。
【0004】
他方、特許文献3等には、中間転写体上に形成されたトナー像(濃度検知用パターン)の画像濃度を濃度検知センサで検知して、その検知結果に基いて像担持体上や中間転写体上にトナー像を形成する際の画像形成条件を制御する技術が開示されている。
また、特許文献4等には、トナーの凝集度やその測定方法について詳しく開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の画像形成装置は、中間転写体に形成されたカラーのトナー像が記録媒体上に2次転写される際の2次転写率が充分に高くないために、中間転写体上で調整したカラートナー像がそのまま記録媒体上に再現されないという問題があった。
【0006】
このように2次転写工程において色再現性が低下する問題は、上述した特許文献2等に開示された技術を用いることで、ある程度解決することができる。すなわち、中間転写体に複数の有色トナーによるトナー像が重ねて1次転写される前に、透明トナーによるトナー像を中間転写体に1次転写することで、中間転写体と有色トナー像との間に透明トナー像が介在されるため、中間転写体に対する有色トナー像の付着力が弱まって、2次転写工程における有色トナー像の2次転写率が向上する。
しかし、このような場合であっても、2次転写工程において色再現性が低下する問題は、完全に解決されていなかった。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、2次転写工程において色再現性が良好な画像が形成される、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、次の事項を知るに至った。
中間転写体に複数の有色トナーによるトナー像が重ねて1次転写される前に、透明トナーによるトナー像を中間転写体に1次転写する場合に、透明トナーとして凝集度が所定値以上のものを用いるとともに、中間転写体上における透明トナーの付着量を最適化することで、中間転写体に形成されたカラーのトナー像が記録媒体上に2次転写される際の2次転写率を充分に高めることができる。
また、透明トナーの代わりに、記録媒体の地肌と同系色である白色トナーを用いた場合にも、同じように、カラートナー像の2次転写率を充分に高めることができる。
【0009】
この発明は以上述べた事項に基づくものであり、すなわち、この発明の請求項1記載の発明にかかる画像形成装置は、有色トナーによるトナー像がそれぞれ形成される複数の像担持体と、透明トナー又は白色トナーによるトナー像が形成される第2の像担持体と、前記複数の像担持体と前記第2の像担持体とに対向するとともに、前記第2の像担持体上に形成された透明トナー又は白色トナーによるトナー像が1次転写された後に前記複数の像担持体上にそれぞれ形成された有色トナーによるトナー像が重ねて1次転写される中間転写体と、前記中間転写体に1次転写されたトナー像を記録媒体に2次転写する2次転写部材と、を備え、前記透明トナー又は前記白色トナーの凝集度が所定値以上になるように定めて、その凝集度に応じて前記第2の像担持体から前記中間転写体上に1次転写される前記透明トナー又は前記白色トナーの付着量を定めるものである。
【0010】
また、請求項2記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記透明トナー又は前記白色トナーの凝集度が12%以上になるように定めて、前記中間転写体上における前記透明トナー又は前記白色トナーの前記付着量が0.45mg/cm2以上になるように制御するものである。
【0011】
また、請求項3記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記透明トナー又は前記白色トナーの凝集度が25%以上になるように定めて、前記中間転写体上における前記透明トナー又は前記白色トナーの前記付着量が0.3〜0.45mg/cm2になるように制御するものである。
【0012】
また、請求項4記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記透明トナー又は前記白色トナーの凝集度が40%以上になるように定めて、前記中間転写体上における前記透明トナー又は前記白色トナーの前記付着量が0.15〜0.3mg/cm2になるように制御するものである。
【0013】
また、請求項5記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記有色トナーによるトナー像がすべて1次転写された後の前記中間転写体上のトナー像の画像濃度を検知する検知手段をさらに備え、前記検知手段の検知結果に基いて、前記複数の像担持体から前記中間転写体上に1次転写される前記有色トナーによるトナー像の画像濃度をそれぞれ調整するものである。
【0014】
また、請求項6記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項5に記載の発明において、前記透明トナー又は前記白色トナーによるトナー像が1次転写された後の前記中間転写体上のトナー像の画像濃度を前記検知手段によって検知して、その検知結果に基いて前記第2の像担持体から前記中間転写体上に1次転写される前記透明トナー又は前記白色トナーの付着量をも調整するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、中間転写体に複数の有色トナーによるトナー像が重ねて1次転写される前に、透明トナー又は白色トナーによるトナー像を中間転写体に1次転写する場合に、透明トナー又は白色トナーとして凝集度が所定値以上のものを用いるとともに、中間転写体上における透明トナー又は白色トナーの付着量を最適化しているため、中間転写体に形成されたカラーのトナー像が記録媒体上に2次転写される際の2次転写率を充分に高めることができる。これにより、2次転写工程において色再現性が良好な画像が形成される、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】作像部を示す断面図である。
【図3】中間転写ベルトの近傍を示す構成図である。
【図4】透明トナーの凝集度と、中間転写ベルト上の透明トナーの付着量と、を変動させたときの、色再現性の変化を示す表図である。
【図5】中間転写ベルト上に担持されるトナーの状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態.
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0018】
まず、図1〜図3にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2はその作像部を示す拡大図である。また、図3は、中間転写ベルト8の近傍を示す構成図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の中央には、中間転写ユニット15(中間転写ベルト装置)が設置されている。また、中間転写ユニット15の中間転写ベルト8(中間転写体)に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した有色トナー用の作像部6Y、6M、6C、6Kと、透明トナーに対応した透明トナー用の作像部6Wと、が並設されている。さらに、中間転写ユニット15の中間転写ベルト8に対向するように、2次転写部材としての2次転写ローラ19が配設されている。
【0019】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、像担持体としての感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電部4Y、現像部5Y、クリーニング部2Y、除電部(不図示である。)等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0020】
なお、他の4つの作像部6M、6C、6K、6Wも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の4つの作像部6M、6C、6K、6Wの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
ここで、透明トナー用の作像部6Wで用いられる透明トナー(現像部やトナー容器に収容されている。)は、有色トナー用の作像部6Y、6M、6C、6Kで用いられる有色トナーとは異なり、着色剤が含有されておらず(又は、透明色の着色剤が含有されていて)、透明色のトナーである。
【0021】
図2を参照して、像担持体としての感光体ドラム1Yは、不図示の駆動モータによって図2中の反時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0022】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像部5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び転写ローラ9Y(1次転写ローラ)との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0023】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング部2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによってクリーニング部2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0024】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6K、6Wでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の上方に配設された露光部7から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6K、6Wの感光体ドラム1M、1C、1K、1W上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写体としての中間転写ベルト8上に重ねて転写(1次転写)する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0025】
ここで、図1を参照して、5つの作像部6Y、6M、6C、6K、6Wは、中間転写ベルト8の走行方向上流側から、透明トナー用の作像部6W、イエロートナー用の作像部6Y、シアントナー用の作像部6C、マゼンタトナー用の作像部6M、ブラックトナー用の作像部6K、の順に並設されている。したがって、中間転写ベルト8には、透明トナー用の感光体ドラム1W(第2の像担持体)上に形成された透明トナーによるトナー像が1次転写された後に、有色トナー用の感光体ドラム1Y、1M、1C、1K(複数の像担持体)上にそれぞれ形成された有色トナーによるトナー像が重ねて1次転写されることになる。なお、透明トナー像は、仮に記録媒体P上に2次転写されてしまっても、透明であるために記録媒体P上に2次転写された有色トナーによるカラー画像の画質に影響することはほとんどない。
【0026】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8(中間転写体)は、2次転写部材としての2次転写ローラ19との当接位置(ニップ部)に達する。この位置では、2次転写対向ローラ12Bが、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップ部を形成している。そして、2次転写対向ローラ12Bにトナーの極性とは同極性のバイアス(高圧電圧)が印加されるとともに、2次転写ローラ19にトナーの極性とは逆極性のバイアス(高圧電圧)が印加される。これにより、中間転写ベルト8上に形成されたカラーのトナー像は、この2次転写ニップ部の位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写(2次転写)される(2次転写工程である。)。このとき、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが除去される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0027】
ここで、図1を参照して、ニップ部(2次転写ニップ部)の位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体100の下方に配設された給紙部26(又は、側方に配設された給紙部)から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0028】
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップ部に向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0029】
その後、2次転写ニップ部の位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対(不図示である。)によって装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出された被転写Pは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0030】
次に、図2にて、作像部における現像部の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像部5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55Yと、現像剤収容部に開口を介して連通するトナー補給経路43Yと、現像剤中のトナー濃度を検知する磁気センサ56Yと、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。
なお、トナー補給経路43Yは、新品のトナーが収容されたトナー容器(不図示である。)から現像装置5Yに向けて新品トナーを適宜に補給するためのものである。また、現像装置5Yへの新品トナーの補給は、磁気センサ56Yによって検知されるトナー濃度(現像剤中のトナーの割合である。)が所定の範囲内になるようにおこなわれる。
【0031】
このように構成された現像部5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。
その後、現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤とともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0032】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤はスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0033】
次に、図3にて、中間転写ユニット15(中間転写ベルト装置)についてさらに詳しく説明する。
図3に示すように、中間転写ユニット15は、中間転写体としての中間転写ベルト8、5つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、9W、駆動ローラ12A、2次転写対向ローラ12B、テンションローラ12C、補正ローラ12D、中間転写クリーニング部10、検知手段としての濃度検知センサ65、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材12A〜12Dによって張架・支持されるとともに、1つのローラ部材(駆動ローラ)12Aの回転駆動によって図3中の矢印方向に無端移動される。
有色トナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)によるトナー像がそれぞれ形成される複数の像担持体としての感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kと、透明トナーによるトナー像が形成される第2の像担持体としての感光体ドラム1Wと、はそれぞれ中間転写ベルト8に対向するように並設されている。
【0034】
5つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K、9Wは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K 、1Wとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K、1Wに、トナーの極性とは逆極性の高圧電圧(転写バイアス)が印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K、9Wの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K、1W上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される(透明トナー像、イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像、ブラックトナー像の順である。)。
なお、中間転写ベルト8上において透明トナー像が有色トナー像の下層に確実に形成されるように、透明トナー用の作像部6Wでは、有色トナー像の画像部と同じ範囲に透明トナー像による画像部を形成してもよいし、全画像域(有色トナー像の画像部及び非画像部)に透明トナー像による画像部を形成してもよい。
【0035】
本実施の形態において、中間転写体としての中間転写ベルト8は、PI(ポリイミド)、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PC(ポリカーボネート)、等を単層又は複数層に構成して、カーボンブラック等の導電性材料を分散させたものである。
中間転写ベルト8は、23℃50%の環境下でのベルト裏面側の表面抵抗率が109.5〜1011.5Ω/□の範囲になるように調整されている。ここで、中間転写ベルト8のベルト裏面側の表面抵抗率が109.5Ω/□以上の場合には、第1電源部61(定電流電源)より2次転写対向ローラ12Bを介して中間転写ベルト8に印加した電流(トナーと同極性の電流である。)のほぼすべてが、記録媒体Pや2次転写ローラ19へ向かう転写電流として用いられるので、2次転写工程における転写率が安定する。これに対して、中間転写ベルト8のベルト裏面側の表面抵抗率が109.5Ω/□より小さい場合には、第1電源部61(定電流電源)より2次転写対向ローラ12Bを介して中間転写ベルト8に印加した電流の一部が、中間転写ベルト8の内周面等から中間転写ベルト8に接触する他の部材に漏れてしまうため、記録媒体Pや2次転写ローラ19へ向かう転写電流が減少してしまい、2次転写工程における転写率が低下する。他方、中間転写ベルト8のベルト裏面側の表面抵抗率が1011.5Ω/□を超える場合には、中間転写ベルト8に電荷が残留するようになり、放電痕画像等の異常画像が発生しやくなる。また、中間転写ベルト8のベルト裏面側の表面抵抗率が1011.5Ω/□を超える場合には、記録媒体Pとして坪量の小さい薄紙が用いられるときに、2次転写工程後に中間転写ベルト8から記録媒体Pを分離する工程において、記録媒体Pが中間転写ベルト8から分離し難くなってしまう。これらのことから、中間転写ベルト8のベルト裏面側の表面抵抗率を上述の範囲に設定することが好ましい。なお、中間転写ベルト8の表面抵抗率の測定は、「ハイレスタIP」とそれに付属する「HRプローブ」(いずれも三菱化学社製)とを用いて、印加電圧500Vの10秒値としたものである。
また、中間転写ベルト8は、体積抵抗率が107〜1012Ωcm程度に、厚さが80〜100μm程度に設定されている。
なお、必要に応じて中間転写ベルト8の表面に離型層をコートすることもできる。その際、コートに用いる材料として、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)、等のフッ素樹脂を使用できるが、これに限定されるものではない。
また、中間転写ベルト8の製造方法としては、注型法、遠心成形法、等があり、必要に応じてその表面を研磨する工程がおこなわれる。
【0036】
駆動ローラ12Aは、不図示の駆動モータによって回転駆動される。これにより、中間転写ベルト8は所定の走行方向(図3の時計方向である。)に走行することになる。
補正ローラ12Dは、蛇行検知センサ(不図示である。)によって検知された中間転写ベルト8の変位(変位量)に基いて、一端側を固定端として他端側が上下方向に移動するように(回転軸が傾斜するように)構成されている。これにより、中間転写ベルト8の幅方向の変位(蛇行)が補正される。
テンションローラ12Cは、中間転写ベルト8の外周面に当接している。2次転写対向ローラ12Bとテンションローラ12Cとの間に、中間転写クリーニング部10(クリーニングブレード)が設置されている。
【0037】
2次転写対向ローラ12Bは、中間転写体としての中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ19(2次転写部材)に当接している。2次転写対向ローラ12Bは、芯金上に中抵抗ゴム層を形成したものであって、23℃50%環境下での抵抗値が107〜108.5Ωになるように設定されている。
【0038】
2次転写部材としての2次転写ローラ19(2次転写ユニット30)は、不図示の接離機構によって、2次転写対向ローラ12Bに対して接離自在に移動(図3の両矢印方向の移動である。)するように構成されている。
通常時(2次転写工程時)には、接離機構によって、2次転写ローラ19は中間転写ベルト8を介して2次転写対向ローラ12Bに圧接している(図3の状態である。)。そして、2次転写工程がおこなわれないとき(ウォーミングアップ時や待機等である。
なお、図示は省略するが、2次転写ユニット30は、筐体36内に、2次転写ローラ19や第2電源部62の他に、クリーニングブレード、潤滑剤供給ブラシ、除電針、紙粉取りブラシが2次転写ローラ19に当接するように内包されている。
【0039】
2次転写部材としての2次転写ローラ19は、芯金上に、NBR(二トリルゴム)等からなりゴム硬度が48〜58Hs程度の導電性ゴム層が形成されたものである。
なお、本実施の形態では、2次転写工程をおこなうための2次転写部材として2次転写ローラを用いたが、2次転写部材としてコロナ放電を用いた公知の2次転写器を用いることもできる。
【0040】
ここで、図2及び図3を参照して、本実施の形態では、有色のトナー像(イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像、ブラックトナー像である。)がすべて1次転写された後の中間転写ベルト8上のトナー像(カラートナー像)の画像濃度を検知する検知手段としての濃度検知センサ65が設置されている。
詳しくは、濃度検知センサ65(検知手段)は、発光素子と受光素子とからなるフォトセンサであって、中間転写ベルト上に形成されたトナー像(濃度検知用に形成されたパッチパターンである。)に向けて発光素子から照射した光の反射光を受光素子で受光することでトナー像の画像濃度を検知するものである。濃度検知センサ65(検知手段)は、中間転写ベルト8の走行方向に対して最下流のブラック用感光体ドラム1Kのさらに下流側に、中間転写ベルト8の表面に対向するように1つ設置されている。
【0041】
濃度検知センサ65(検知手段)による濃度検知は、通常の画像形成プロセスとは異なるタイミング(例えば、ウォーミングアップ時や紙間のタイミングである。)でおこなわれる。濃度検知センサ65によって検知される濃度検知用のパッチパターン(トナー像)は、例えば、すべてのトナー像(透明トナー像、イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像、ブラックトナー像である。)について別々の位置に重ならないように形成したものと、透明トナー像の上に単色トナー像(イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像、ブラックトナー像である。)をそれぞれ別々に重ねたものと、を用いることができる。そして、これらのパッチパターンの画像濃度をそれぞれ濃度検知センサ65で検知して、その検知結果(濃度情報)に基づいて各感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K 、1Wから中間転写ベルト8上に1次転写される有色トナー像の画像濃度や透明トナー像の付着量をそれぞれ調整する。
具体的に、図2を参照して、濃度検知センサ65によって検知された結果が制御部80に送られて、その結果に基いて制御部80によって帯電電源61(帯電電位)や露光部7(露光電位)や現像電源62(現像バイアス)や転写電源63(1次転写バイアス)が調整制御される。これにより、中間転写ベルト8上に形成されるカラー画像の画像濃度等の画質が最適化される。
【0042】
以下、本実施の形態における画像形成装置において特徴的な、構成・動作について詳述する。
本実施の形態では、先に説明したように、透明トナー用の感光体ドラム1W(第2の像担持体)上で形成された透明トナー像が中間転写ベルト8(中間転写体)上に1次転写された後に、有色トナー用の4つの感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K(複数の像担持体)上でそれぞれ形成された有色トナー像が順次重ねて1次転写される。
【0043】
ここで、本実施の形態では、透明トナーの凝集度が所定値以上になるように定めて、その凝集度に応じて透明トナー用の感光体ドラム1Wから中間転写ベルト8上に1次転写される透明トナーの付着量を定めている。
具体的に、本実施の形態では、透明トナーの凝集度が12%以上になるように定めている。そして、中間転写ベルト8上における透明トナーの付着量(中間転写ベルト8上に1次転写される単位面積当りのトナー付着量である。)が、0.45mg/cm2以上になるように制御している。
【0044】
さらに詳しくは、透明トナー用の作像部6Wの現像部とトナー容器とには、凝集度が12%以上になるように形成された透明トナーが収容されている。この透明トナーは、平均粒径が5.2μmのポリエステルを主材としてワックスを分散した重合トナーであって、外添剤としてシリカと酸化チタンが外添されている。そして、図4を参照して、外添するシリカの粒径やワックス量等を調整することで、凝集度が12%以上になるように形成している。なお、透明トナーの凝集度の測定は、先に説明した特許文献4の0093段落、0094段落に記載されたものと同様におこなうことができる。
そして、中間転写ベルト8上における透明トナーの付着量が0.45mg/cm2以上になるように、透明トナー用の作像部6Wにおける帯電電位、露光電位、現像バイアス、1次転写バイアス等の作像条件が設定されている。
このような構成により、中間転写ベルト8に形成されたカラーのトナー像(有色トナー像)が記録媒体P上に2次転写される際の2次転写率を充分に高めることができ(2次転写率を100%に近づけることができ)、2次転写工程において色再現性が良好な画像が形成されることになる。
【0045】
このような構成は、図4に示す実験結果に基づいて創出されたものである。
図4は、透明トナーの凝集度と、中間転写ベルト8上の透明トナーの付着量と、を変動させたときの、色再現性の変化を示す表図である。
図4に関わる実験は、本実施の形態における画像形成装置100において、凝集度の異なる透明トナー(シリカ粒径とワックス量とを可変して調整したものである。)を用いて、中間転写ベルト8上に1次転写される透明トナーの付着量を変化させたときに、2次転写工程後に中間転写ベルト8上に残留した有色トナーの量を観察したものである。図4において、「◎」は中間転写ベルト8上に有色トナーがまったく存在せずに色再現性が最良好なレベル(2次転写率が100%の状態である。)を示し、「○」は中間転写ベルト8上に有色トナーがほんの僅かに存在するものの色再現性が良好なレベル(充分に許容できるレベルである。)を示し、「△」は中間転写ベルト8上に有色トナーが少量存在して色再現性がやや低下するレベル(若干許容できないレベルである。)を示し、「×」は中間転写ベルト8上に有色トナーが存在して色再現性が低下するレベル(許容できないレベルである。)を示す。なお、この実験では、記録媒体Pとして平滑度が30秒の上質紙を用いた。
【0046】
図4に示す実験結果から、本実施の形態では透明トナーの凝集度を12%以上に設定して、中間転写ベルト8上における透明トナーの付着量が0.45mg/cm2以上になるように設定することで、有色トナーの2次転写率を100%近くに向上させることができる(図4の「○」又は「◎」の結果を得ることができる。)。すなわち、濃度検知センサ65を用いた画像濃度制御によって最適化された画像濃度のカラー画像が、記録媒体P上にそのまま再現されることになる。なお、透明トナーの凝集度を25%以上に設定して、中間転写ベルト8上における透明トナーの付着量が0.45mg/cm2以上になるように設定することで、上述の効果がさらに確実に発揮されることになる(図4の「◎」の結果を得ることができる。)。
【0047】
ここで、本実施の形態では、透明トナーの凝集度を12%以上に設定して、中間転写ベルト8上における透明トナーの付着量が0.45mg/cm2以上になるように設定した。
これに対して、透明トナーの凝集度を25%以上に設定して、中間転写ベルト8上における透明トナーの付着量が0.3〜0.45mg/cm2の範囲内になるように設定することもできる。このような場合にも、図4の実験結果から、有色トナーの2次転写率を100%近くに向上させて良好な色再現性を得ることができる(図4の「○」又は「◎」の結果を得ることができる。)。また、このような場合に、透明トナーの凝集度を30%以上に設定して、中間転写ベルト8上における透明トナーの付着量が0.3〜0.45mg/cm2になるように設定することで、上述の効果がさらに確実に発揮されることになる(図4の「◎」の結果を得ることができる。)。さらに、このような場合には、透明トナーの付着量の上限値(0.45mg/cm2)が定められているために、透明トナーの消費量をある程度軽減することができる。
さらに、透明トナーの凝集度を40%以上に設定して、中間転写ベルト8上における透明トナーの付着量が0.15〜0.3mg/cm2の範囲内になるように設定することもできる。このような場合にも、図4の実験結果から、有色トナーの2次転写率を100%近くに向上させて良好な色再現性を得ることができる(図4の「○」又は「◎」の結果を得ることができる。)。さらに、このような場合には、透明トナーの付着量の上限値(0.3mg/cm2)が定められているために、透明トナーの消費量をある程度軽減することができる。
【0048】
以下、図5を用いて、中間転写ベルト8上に担持される透明トナーTWと有色トナーTとの状態について説明する。
図5(A1)は凝集度が低い透明トナーTWが用いられたときの2次転写工程前の中間転写ベルト8上に担持された透明トナーTWと有色トナーTとの状態を示す模式図であり、図5(A2)は凝集度が低い透明トナーTWが用いられたときの2次転写工程後の中間転写ベルト8上の状態(記録媒体P上に転写されなかった残留トナーの状態である。)を示す模式図である。また、図5(B1)は凝集度が高い透明トナーTWが用いられたときの2次転写工程前の中間転写ベルト8上に担持された透明トナーTWと有色トナーTとの状態を示す模式図であり、図5(B2)は凝集度が高い透明トナーTWが用いられたときの2次転写工程後の中間転写ベルト8上の状態(記録媒体P上に転写されなかった残留トナーの状態である。)を示す模式図である。
【0049】
一般的に、トナーの凝集度が高くなると、トナーと中間転写ベルト8との間の非静電付着力が大きくなるため、2次転写率が低下する。しかし、図4の実験結果から、透明トナーTWの凝集度が高い方が有色トナーの2次転写率が高くなることが分かる。これは、次のようなメカニズムによるものである。
図5(B1)に示すように、透明トナーTWの凝集度が高い場合には、各色トナーTW、Tが1次転写される順番で中間転写ベルト8上に透明トナーTW及び有色トナーTが1次転写されるが、その順番通りに中間転写ベルト8に積層されていく。したがって、中間転写ベルト8に直接的に接触しているのは透明トナーTWのみである。これは、各色トナーの粒径や帯電量や非静電付着力のバラツキがあっても、透明トナーTW全体で充分な凝集度があるためである。すなわち、各色トナーが順次1次転写されても各色トナー同士の相対的な入れ替わりが発生しないで、1次転写される順番に中間転写ベルト8上に各色のトナー層が形成される。そのため、2次転写工程時においては、その逆の順番通りに記録媒体Pに各色トナーの2次転写がされることになる。その結果、図5(B2)に示すように、2次転写されずに中間転写ベルト8上に残留するトナーは中間転写ベルト8に接触していた透明トナーTWだけとなる。この残留するトナー量は、図5(A2)に示した凝集度の低い透明トナーTWを用いた場合よりも多くなる。このように凝集度の高い透明トナーTWを用いる場合には、2次転写されずに中間転写ベルト8上に残留するトナー量が比較的多くなるものの、その残留トナーのほとんどが透明トナーTWである。すなわち、有色トナーT(カラー画像)の2次転写率は、ほぼ100%になる。
【0050】
これに対して、図5(A1)に示すように、透明トナーTWの凝集度が低い場合には、各色トナーTW、Tが1次転写される順番で中間転写ベルト8上に透明トナーTW及び有色トナーTが1次転写されるが、その順番通りに中間転写ベルト8に積層されない。すなわち、各色トナーの1次転写工程において各色トナー同士の入れ替わりが一部に生じて、中間転写ベルト8に直接的に接触するのは透明トナーTWのみにはならずに、有色トナーTの一部も中間転写ベルト8に直接的に接触することになる。これは、各色トナーの粒径や帯電量や非静電付着力のバラツキがあって1次転写される速度にバラツキが生じるためであり、透明トナーTWの凝集度が低いのでトナーの入れ替わりが生じる。また、2次転写工程時においても各色トナーの入れ替わりが生じるので、図5(A2)に示すように、2次転写されずに中間転写ベルト8上に残留するトナーは、透明トナーTWだけではなく、有色トナーTも含まれることになる。しかし、この残留するトナー量は、図5(B2)に示した凝集度の高い透明トナーTWを用いた場合よりも少なくなる。このように凝集度の低い透明トナーTWを用いる場合には、2次転写されずに中間転写ベルト8上に残留するトナー量が比較的少ないものの、その残留トナーに有色トナーTが含まれてしまう。すなわち、2次転写されずに中間転写体上に残留するトナーの量は比較的少ないものの、有色トナーTも残留することとなる。したがって、有色トナーT(カラー画像)の2次転写率は、100%に達しないことになる。
【0051】
このようなメカニズムからも、中間転写ベルト8に複数の有色トナーTによるトナー像が重ねて1次転写される前に、透明トナーTWによるトナー像を中間転写ベルト8に1次転写する場合に、2次転写工程時における有色トナーT(カラー画像)の2次転写率に対して、透明トナーTWの凝集度が大きく関与することがわかる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態では、中間転写ベルト8(中間転写体)に複数の有色トナーTによるトナー像が重ねて1次転写される前に、透明トナーTWによるトナー像を中間転写ベルト8に1次転写する場合に、透明トナーTWとして凝集度が所定値以上のものを用いるとともに、中間転写ベルト8上における透明トナーの付着量を最適化しているため、中間転写ベルト8に形成されたカラーのトナー像が記録媒体P上に2次転写される際の2次転写率を充分に高めることができる。これにより、2次転写工程において色再現性が良好な画像を形成することができる。
【0053】
なお、本実施の形態において、透明トナーの代わりに、白色トナーを用いることもできる。白色トナーは、白色の着色剤を用いたものであって、濃度検知センサ65による有色トナー像の濃度検知にほとんど影響を与えない。また、この白色トナーは、本実施の形態における透明トナーと同様に、2次転写工程において記録媒体P上にほとんど2次転写されないために、有色トナーによるカラー画像の画質に与える影響が少ない。
そして、中間転写ベルト8に複数の有色トナーTによるトナー像が重ねて1次転写される前に、白色トナーによるトナー像を中間転写ベルト8に1次転写する場合に、本実施の形態と同様に、白色トナーとして凝集度が所定値以上のものを用いるとともに、中間転写ベルト8上における白色トナーの付着量を最適化することで、本実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、中間転写体として中間転写ベルト8を用いたが、中間転写体として中間転写ドラムを用いることもできる。
また、実施の形態では、2次転写部材として2次転写ローラ19を用いたが、2次転写部材として2次転写ベルトを用いることもできる。
そして、これらの場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0056】
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム(像担持体)、
1W 感光体ドラム(第2の像担持体)、
6Y、6M、6C、6K 有色トナー用の作像部、
1W 透明トナー用の作像部、
8 中間転写ベルト(中間転写体)、
9Y、9M、9C、9K、9W 1次転写ローラ、
19 2次転写ローラ(2次転写部材)、
65 濃度検知センサ(検知手段)、
100 画像形成装置本体(装置本体)、
T 有色トナー、 TW 透明トナー、 P 記録媒体。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特開2008−225000号公報
【特許文献2】特開平10−213942号公報
【特許文献3】特許第3820733号公報
【特許文献4】特許第3909839号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有色トナーによるトナー像がそれぞれ形成される複数の像担持体と、
透明トナー又は白色トナーによるトナー像が形成される第2の像担持体と、
前記複数の像担持体と前記第2の像担持体とに対向するとともに、前記第2の像担持体上に形成された透明トナー又は白色トナーによるトナー像が1次転写された後に前記複数の像担持体上にそれぞれ形成された有色トナーによるトナー像が重ねて1次転写される中間転写体と、
前記中間転写体に1次転写されたトナー像を記録媒体に2次転写する2次転写部材と、
を備え、
前記透明トナー又は前記白色トナーの凝集度が所定値以上になるように定めて、その凝集度に応じて前記第2の像担持体から前記中間転写体上に1次転写される前記透明トナー又は前記白色トナーの付着量を定めることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記透明トナー又は前記白色トナーの凝集度が12%以上になるように定めて、前記中間転写体上における前記透明トナー又は前記白色トナーの前記付着量が0.45mg/cm2以上になるように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記透明トナー又は前記白色トナーの凝集度が25%以上になるように定めて、前記中間転写体上における前記透明トナー又は前記白色トナーの前記付着量が0.3〜0.45mg/cm2になるように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記透明トナー又は前記白色トナーの凝集度が40%以上になるように定めて、前記中間転写体上における前記透明トナー又は前記白色トナーの前記付着量が0.15〜0.3mg/cm2になるように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記有色トナーによるトナー像がすべて1次転写された後の前記中間転写体上のトナー像の画像濃度を検知する検知手段をさらに備え、
前記検知手段の検知結果に基いて、前記複数の像担持体から前記中間転写体上に1次転写される前記有色トナーによるトナー像の画像濃度をそれぞれ調整することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記透明トナー又は前記白色トナーによるトナー像が1次転写された後の前記中間転写体上のトナー像の画像濃度を前記検知手段によって検知して、その検知結果に基いて前記第2の像担持体から前記中間転写体上に1次転写される前記透明トナー又は前記白色トナーの付着量をも調整することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−118228(P2011−118228A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276590(P2009−276590)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】