説明

画像形成装置

【課題】装置本体の側壁に形成される開口部を開閉するカバー上に排出された用紙が画像形成装置内に入り込むのを抑制することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置(カラープリンタ1)は、装置本体10の開口部13Aを開閉するカバー(リアカバー14)と、開口部13Aに対向するように配置され、記録シートをガイドするガイド部材100を備える。ガイド部材100は、下端部が装置本体10に回動可能に支持され、カバーが開かれた状態において下端部を軸として上端部124がカバーに近づくように倒れて倒姿勢となることで、画像形成部30から開口部13Aを通って開放状態のカバー側に向かう第2排出経路を構成し、さらに、倒姿勢にあるときに前記上端部124がカバーと接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体の側壁に形成される開口部を開閉するカバーを開放することにより、当該カバーに用紙を排出することが可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙(記録シート)に画像を形成する画像形成部と、装置本体の後壁に形成される開口部を開閉するリアカバーと、画像形成部と開口部との間に配置され、画像形成部から出てくる用紙を装置本体の上面に形成される排紙トレイに案内するガイド部材とを備えた画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。この技術では、ガイド部材の下端が装置本体に回動可能に支持され、ガイド部材の上端がリアカバーに連結されている。
【0003】
そのため、この技術では、リアカバーを倒すと、リアカバーに連結されたガイド部材も一緒に倒れて、トレイの一部を形成するようになっている。そして、リアカバーを倒した場合には、画像形成部から出てくる用紙を、開口部を通してリアカバー上に排出させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−330172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、リアカバーを倒したときに、リアカバーとガイド部材の先端との間に隙間ができ、この隙間から、リアカバーに排出された用紙が画像形成装置内に入り込んでしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、装置本体の側壁に形成される開口部を開閉するカバー上に排出された用紙(記録シート)が画像形成装置内に入り込むのを抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、装置本体の側壁に形成される開口部と、前記装置本体に下部が回動可能に支持されて、前記開口部を開閉するカバーと、記録シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部から前記開口部に向けて送られてくる記録シートを装置本体外の排出トレイへ案内する第1排出経路と、前記第1排出経路から前記画像形成部よりも記録シートの搬送方向上流側に記録シートを戻すために、前記第1排出経路に繋がる戻し経路と、前記第1排出経路と前記戻し経路との間において前記開口部に対向するように配置され、記録シートをガイドするガイド部材と、を備えた画像形成装置であって、前記ガイド部材は、下端部が前記装置本体に回動可能に支持され、前記カバーが開かれた状態において前記下端部を軸として上端部が前記カバーに近づくように倒れて倒姿勢となることで、前記画像形成部から前記開口部を通って開放状態のカバー側に向かう第2排出経路を構成し、さらに、前記倒姿勢にあるときに前記上端部が前記カバーと接触することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ガイド部材が倒姿勢にあるときにガイド部材の上端部とカバーとが接触するので、カバー上に排出された記録シートがガイド部材の上端部とカバーとの間から画像形成装置内に入り込むのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カバー上に排出された記録シートが、ガイド部材の上端部とカバーとの間から画像形成装置内に入り込むのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタを示す断面図である。
【図2】手差しカバーを開いた状態を示す拡大断面図である。
【図3】リアカバーを開いた状態を示す拡大断面図である。
【図4】リアカバーを閉めているときのガイド部材を示す側面図(a)と、リアカバーを開いたときのガイド部材を示す側面図(b)である。
【図5】フラッパによる経路切替の動作を示す断面図(a)〜(c)である。
【図6】リアカバーとガイド部材との間に詰まった用紙を取り出す動作を示す断面図(a)と、リアカバーを閉めるときのガイド部材の状態を示す断面図(b)である。
【図7】規制部の変形例を示す断面図である。
【図8】ガイド部材を一部品で構成した形態を示す断面図である。
【図9】戻し経路を給紙トレイの下側に形成する形態を示す断面図である。
【図10】ガイド部材の変形例を示す斜視図である。
【図11】図10の支持部材とフラッパの連結部分の右側部分を示す拡大斜視図である。
【図12】図10の支持部材とフラッパの連結部分の左側部分を示す拡大斜視図である。
【図13】図10の支持部材とフラッパの連結部分の左側部分を図12とは異なる方向から見た拡大斜視図(a)と、支持部材とフラッパとの連結部分を示す説明図(b)と、支持部材と装置本体との連結部分を示す説明図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分を詳細に説明することとする。
【0012】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって左側を「前側(手前側)」、紙面に向かって右側を「後側(奥側)」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0013】
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体10内に、記録シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部20と、給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成された用紙Pを排出する排紙部90とを備えている。
【0014】
給紙部20は、装置本体10内の下部に設けられ、装置本体10に着脱自在に装着される給紙トレイ21と、給紙トレイ21から画像形成部30へ用紙Pを搬送する用紙供給機構22を主に備えている。給紙部20では、給紙トレイ21内の用紙Pが、用紙供給機構22によって一枚ずつ分離されて画像形成部30に供給される。
【0015】
画像形成部30は、4つのLEDユニット40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット70と、定着装置80とから主に構成されている。
【0016】
LEDユニット40は、後述する感光ドラム53を露光するべく、複数のLEDを備えて構成されている。
【0017】
プロセスカートリッジ50は、後述するベルト73の上面に対向配置される感光ドラム53や、符号を省略して示す公知の帯電器、現像ローラ、トナー収容室などを備えて構成されている。
【0018】
転写ユニット70は、給紙部20と各プロセスカートリッジ50との間に設けられ、駆動ローラ71、従動ローラ72、ベルト73および転写ローラ74を主に備えている。
【0019】
定着装置80は、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置され加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。
【0020】
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光ドラム53の表面が、帯電器により一様に帯電された後、各LEDユニット40で露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光ドラム53上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、静電潜像に現像ローラよりトナーが供給されることで、感光ドラム53上にトナー像が担持される。
【0021】
次に、ベルト73上に供給された用紙Pが各感光ドラム53と各転写ローラ74との間を通過することで、各感光ドラム53上に形成されたトナー像(画像)が用紙P上に転写される。そして、用紙Pが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0022】
排紙部90は、複数対の搬送ローラ91と、一対の排紙ローラ92とを主に備えている。そして、これらの各ローラ91,92やガイド等によって、画像形成部30で印字された用紙P(定着された用紙P)を装置本体10外の排出トレイ11に案内する第1排出経路93が形成されている。具体的に、この第1排出経路93では、定着装置80から後述する装置本体10の後側の開口部13Aに向けて送られてくる用紙Pが、後述するガイド部材100等によって上方の排出トレイ11に案内されている。
【0023】
また、この第1排出経路93には、第1排出経路93から画像形成部30の用紙搬送方向上流側に用紙Pを戻すための戻し経路94が連続するように繋がっている。なお、この戻し経路94は、複数の反転搬送ローラ95とガイド96等によって形成されている。
【0024】
そして、排紙部90では、片面印字時においては、定着装置80から出た用紙Pが、複数対の搬送ローラ91と一対の排紙ローラ92とで搬送されて、排出トレイ11に排出される。一方、両面印字時においては、片面印字された用紙Pは、排紙ローラ92により途中まで排出トレイ11上に排出された後、排紙ローラ92の逆回転(スイッチバック)によって戻し経路94に送られて、画像形成部30の上流側に反転状態で再供給される。
【0025】
また、図2に示すように、装置本体10の前側には、下部を中心に揺動する手差しカバー12が設けられている。そして、開放した手差しカバー12上の用紙Pは、図示せぬ給紙ローラやレジストローラ22A等によって、画像形成部30へ送られる。
【0026】
また、図3に示すように、装置本体10の後壁13(側壁)には開口部13Aが形成されており、この開口部13Aは、下部を中心に揺動するカバーの一例としてのリアカバー14で開閉されるようになっている。そして、リアカバー14と定着装置80との間には、用紙Pをガイドするガイド部材100が設けられている。
【0027】
<ガイド部材の構造>
以下に、本発明の特徴部分であるガイド部材100の構造について詳細に説明する。
図4(a)に示すように、ガイド部材100は、支持部材110と、フラッパ120とを備えて構成されている。
【0028】
支持部材110は、上下に延びるとともに左右方向に薄い長尺板状のリブ状部材111を左右方向で間隔を空けて複数配置するとともに、それぞれを図示せぬ連結部によって連結することで構成されている。すなわち、複数のリブ状部材111は、用紙Pを載置することが可能なように、用紙Pの幅よりも狭い間隔で配置されている。そして、支持部材110は、その下端部112が装置本体10に回動可能に支持され、その上端部113でフラッパ120の回動軸122を回動可能に支持している。
【0029】
支持部材110の下端部112には、後方に向けて突出することで閉塞状態のリアカバー14と接する規制部114が設けられている。これにより、リアカバー14の閉塞時には、規制部114がリアカバー14で支持されることで、支持部材110の後方(リアカバー14側)への移動が規制されている。
【0030】
なお、規制部114は、用紙Pの幅よりも幅方向外側の位置に一対設けられており、これにより、一対の規制部114の間を用紙Pが通過するようになっている。
【0031】
また、支持部材110の上端部113には、後述するフラッパ120の回動を規制する係止部の一例としての係止リブ115が設けられている。係止リブ115は、フラッパ120の回動軸122を中心とする円弧状のリブであり、この回動軸122よりも上方の位置から左右方向外側に突出するように形成されている。
【0032】
フラッパ120は、前斜め上方に湾曲するように延びるとともに左右方向に薄い板状のリブ状部材121を左右方向で間隔を空けて複数配置するとともに、それぞれの下端部を回動軸122によって連結することで構成されている。なお、複数のリブ状部材121は、前述した支持部材110のリブ状部材111と同様に、用紙Pを載置することが可能なように、用紙Pの幅よりも狭い間隔で配置されている。
【0033】
回動軸122の端部には、径方向外側に突出する係止部の一例としての係止片123が形成されている。これにより、図4(b)に示すように、フラッパ120が図示反時計回り(リアカバー14から離れる方向)に回動する際には、係止片123が係止リブ115に当接することで、フラッパ120の回動が規制されている。また、フラッパ120(ガイド部材100)の上端部124(上端側の部分)は、ガイド部材100が後述する倒姿勢にあるときにリアカバー14と接触するようになっている。
【0034】
また、支持部材110とフラッパ120との間には、フラッパ120を前方に向けて付勢する付勢部材の一例としてのトーションバネ130が設けられている。具体的に、このトーションバネ130は、図4(a)に示すように、閉塞状態のリアカバー14で支持部材110が起立状態に保持されているときにおいて、フラッパ120を定着装置80のフレーム83(壁部)に向けて付勢するように構成されている。
【0035】
これにより、リアカバー14を開放すると、図4(b)に示すように、リアカバー14による規制部114の押さえが外れることで、トーションバネ130による付勢力でフラッパ120がフレーム83を押す力に対する反作用によって、ガイド部材100が後方に弾かれるように押される。そのため、リアカバー14を開くと、自動的にガイド部材100も後方に倒れるようになっている。
【0036】
なお、この図4(b)のような状態(フラッパ120が定着装置80のフレーム83に接するとともに、係止片123と係止リブ115とが当接した状態)においては、ガイド部材100全体の重心が、ガイド部材100全体の揺動中心(支持部材110の下端部112にある揺動中心)よりもリアカバー14側に位置するように構成されるのが望ましい。これによれば、トーションバネ130の付勢力に対する反作用に加え、ガイド部材100の自重も、ガイド部材100を揺動させる力として働くので、確実にガイド部材100を倒すことができる。
【0037】
以上のように構成されるガイド部材100は、図1に示すようにリアカバー14の閉塞時には、上下方向に沿った起立姿勢となっており、第1排出経路93(実線)と戻し経路94(破線)との間(分岐点付近)において、開口部13Aと対向するように配置されている。この状態においては、支持部材110がリアカバー14で押さえられて動かないので、この動かない支持部材110に対してフラッパ120が大きく回動することが可能となっている。すなわち、フラッパ120は、リアカバー14の閉塞時においては、大きな角度で回動することで、図5(a)〜(c)に示すように、第1排出経路93と戻し経路94とを良好に切り替えている。
【0038】
具体的には、図5(a)に示すように、リアカバー14が閉じられた状態において、定着装置80から排出された用紙Pによってフラッパ120が後方に押されると、フラッパ120が第1排出経路93から退避して、用紙Pが第1排出経路93を通ることが可能となる。すなわち、フラッパ120によって戻し経路94から第1排出経路93に切り替えられることとなる。
【0039】
そして、用紙Pの後端がフラッパ120から外れると、図5(b)に示すように、フラッパ120がトーションバネ130(図4参照)の付勢力によって元の位置に復帰する。すなわち、フラッパ120によって第1排出経路93から戻し経路94に切り替えられることとなる。
【0040】
その後は、図5(c)に示すように、スイッチバックにより用紙Pが逆向きに搬送されてくると、この用紙Pは、フラッパ120の後面で案内されて戻し経路94に送られる。
【0041】
<リアカバーの開閉時におけるガイド部材の動作>
次に、リアカバー14の開閉時におけるガイド部材100の動作について説明する。
図3に示すように、リアカバー14を開くと、ガイド部材100は、前述したようにトーションバネ130の付勢力に対する反作用によって後方に押されることで、下端部を軸として上端部124がリアカバー14に近づくように倒れていく。この際、フラッパ120の回動が係止片123と係止リブ115との係合により規制されることで(図4(b)参照)、フラッパ120が支持部材110と対向するように折り畳まれることが規制される。
【0042】
すなわち、フラッパ120と支持部材110とが略直線状に向きを揃えた姿勢(フラッパ120と支持部材110の角度が図4(b)のような鈍角)で保たれたまま、ガイド部材100が後方に倒れていく。そして、ガイド部材100の上端部124がリアカバー14と接触すると、このリアカバー14でガイド部材100が支持されて倒姿勢となる。
【0043】
これにより、定着装置80(画像形成部30)から開口部13Aを通って開放状態のリアカバー14側に向かう第2排出経路97が構成されるようになっている。そして、このように第2排出経路97が構成された場合には、例えば図2に示すように開いた手差しカバー12上の用紙Pを、前後に略真っ直ぐ送りつつ印字を行った後、リアカバー14上に排紙するといった、いわゆるストレート排紙を行うことが可能となる。なお、このストレート排紙の際、ガイド部材100は、用紙Pの後端を載せておくための補助トレイとして機能する。
【0044】
また、倒姿勢となったガイド部材100の上端部124がリアカバー14に接触することで、リアカバー14上に排出された用紙Pがガイド部材100の上端部124とリアカバー14との間から装置本体10内の戻し経路94へ入り込んでしまうことが抑制される。
【0045】
また、倒姿勢となったガイド部材100は、リアカバー14には連結されずにリアカバー14で支持されるだけなので、開いたリアカバー14に対して離間可能となっている。これにより、図6(a)に示すように、リアカバー14を開いた際に、リアカバー14とガイド部材100との間に用紙Pが詰まっている場合であっても、ガイド部材100を起こすだけで、簡単に詰まった用紙Pを取り除くことが可能となっている。
【0046】
また、ガイド部材100が倒姿勢になった際には、図3に示すように、ガイド部材100の上端部124とリアカバー14との接触点P1とガイド部材100の回動中心P2とを結ぶ直線L1と、接触点P1とリアカバー14の回動中心P3とを結ぶ直線L2とのなす角θが、鋭角となるように構成されている。ここで、「直線L1と直線L2とのなす角」とは、直線L1と直線L2とで形成される2つの角度のうち装置本体10側の角度、言い換えると接触点P1と2つの回動中心P2,P3とを結んだ三角形の内角のうち接触点P1を頂点とする内角をいう。
【0047】
そして、このように角θが鋭角となることにより、リアカバー14を閉じる場合には、図6(b)に示すように、リアカバー14の先端を持ち上げていくと、ガイド部材100の上端部124(フラッパ120の上端部124)が、リアカバー14で支持されながら上方に揺動していく。その後は、リアカバー14が完全に閉まるまでの間に、ガイド部材100のリアカバー14で支持される箇所が、フラッパ120から支持部材110の規制部114に変わり、この規制部114がリアカバー14で前方に押されていく。
【0048】
また、ガイド部材100の上端部124のうちリアカバー14に接触する面は、リアカバー14に対して反るような曲面状に形成されている。これにより、リアカバー14を閉じていく際に、ガイド部材100の上端部124の曲面状の部分がリアカバー14に引っ掛かることなくスムーズに摺接するようになっている。
【0049】
続いて、図4(b)に示すように、フラッパ120の上端が定着装置80のフレーム83に当接すると、移動が止められたフラッパ120に対して支持部材110がリアカバー14によって前方に押されて揺動する。これにより、図4(a)に示すように、フラッパ120と支持部材110との角度が開いていくことでトーションバネ130の両端が押し広げられて、フラッパ120の上端が定着装置80のフレーム83に付勢される。すなわち、リアカバー14を閉めるだけで、ガイド部材100も同時に正規位置(第1排出経路93と戻し経路94とを切替可能な位置)に位置するようになっている。
【0050】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
ガイド部材100が倒姿勢にあるときにガイド部材100の上端部124とリアカバー14とが接触するので、リアカバー14上に排出された用紙Pがガイド部材100の上端部124とリアカバー14との間から装置本体10内に入り込むのを抑制することができる。
【0051】
接触点P1とガイド部材100の回動中心P2とを結ぶ直線L1と、接触点P1とリアカバー14の回動中心P3とを結ぶ直線L2とのなす角θが鋭角となるので、リアカバー14でガイド部材100を支持した状態でこれらを一緒に閉じることができる。
【0052】
ガイド部材100の上端部124のうちリアカバー14に接触する面をリアカバー14に対して反るような曲面状に形成することで、リアカバー14を閉じていく際に、ガイド部材100の上端部124がリアカバー14上をスムーズに摺接するので、リアカバー14とともにガイド部材100を閉じやすくすることができる。
【0053】
開放状態のリアカバー14に対してガイド部材100が離間可能に構成されているので、リアカバー14とガイド部材100との間に用紙が詰まった場合であっても、詰まった用紙Pを容易に取り除くことができる。
【0054】
リアカバー14の閉塞時に支持部材110のリアカバー14側への移動を規制する規制部114を設けることで、支持部材110とフラッパ120との連結軸(回動軸122)を中心にしてフラッパ120を大きく揺動させることができるので、経路の切替を良好に行うことができる。また、リアカバー14の開放時には、装置本体10と支持部材110との連結軸(回動軸)を中心にしてガイド部材100が揺動するので、リアカバー14とガイド部材100の上端とを接触させて、これらの間から用紙Pが装置本体10内に通り抜けてしまうのを抑えることができる。
【0055】
フラッパ120を定着装置80のフレーム83に向けて付勢するトーションバネ130を設けたので、リアカバー14を開く際に、トーションバネ130の付勢力に対する反作用によって、フラッパ120がフレーム83から遠ざかるように押されるので、ガイド部材100を自動的に倒して、ストレート排紙を迅速に行うことができる。
【0056】
係止片123と係止リブ115との係合によりフラッパ120の回動を規制することで、ガイド部材100の傾倒時においてフラッパ120が支持部材110と対向するように折り畳まれるのを規制することができる。すなわち、係止片123等がない構造では、フラッパ120が支持部材110に近づくように折り畳まれてしまい、フラッパ120をリアカバー14に接触させにくいが、本実施形態の構造では、ガイド部材100の上端部124をリアカバー14に確実に接触させて、これらの間の隙間を無くすことができる。
【0057】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、規制部114を支持部材110に設けたが、本発明はこれに限定されず、例えば図7に示すように、リアカバー14に規制部141を設けてもよい。具体的に、この規制部141は、リアカバー14からガイド部材200へ向けて突出するように形成されている。
【0058】
ここで、この図7の形態におけるガイド部材200は、前記実施形態と同様のフラッパ120およびトーションバネ130を有する他、前記実施形態における支持部材110の規制部114をリアカバー14とは接触しない大きさで形成した支持部材210を有している。なお、図7や後述する図8において、前記実施形態と同様の構造には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0059】
そして、リアカバー14に設けた規制部141は、支持部材210のうちフラッパ120の揺動中心寄りに設けられている。これにより、リアカバー14の閉塞時に、規制部141が支持部材210におけるフラッパ120の揺動中心付近を支えるので、揺動中心から遠い側を規制部で支持する構造に比べ、支持部材210のガタツキを抑えることができ、フラッパ120による経路の切替をより良好に行うことができる。
【0060】
前記実施形態では、ガイド部材100を支持部材110とフラッパ120の2部品で構成したが、本発明はこれに限定されず、例えば図8に示すように、1つの部品でガイド部材300を構成してもよい。具体的に、このガイド部材300は、図7における支持部材210およびフラッパ120を一体に形成したような形状(すなわち、前記実施形態における規制部114を取り除いた形状)となっている。
【0061】
また、この構造では、リアカバー14に、コイルバネ142と、コイルバネ142の先端に設けられてガイド部材300と当接する当接部材143とが設けられている。このような構造であっても、コイルバネ142の付勢力によって経路の切替を良好に行うことができる。また、リアカバー14の開放時には、リアカバー14からガイド部材300を離間させることができるので、リアカバー14とガイド部材300との間で詰まった用紙を良好に取り除くことができる。
【0062】
なお、この構造の場合、リアカバー14を倒すだけでは、ガイド部材300が自動的に後方に倒れてこないが、ガイド部材300は、手動または定着装置80から出てくる用紙で押されることで、後方に倒せばよい。また、この図8よりもガイド部材300の姿勢を後ろに傾けた姿勢とする(すなわち、ガイド部材300の重心を揺動中心よりもリアカバー14側にする)ことで、リアカバー14を倒したときに、ガイド部材300を自重で後方に倒れるようにしてもよい。
【0063】
前記実施形態では、支持部材110およびフラッパ120を、複数のリブ状部材を左右に並べて連結することで構成したが、本発明はこれに限定されず、例えば、左右上下に延びる1枚の板で構成してもよい。ただし、前記実施形態のように、用紙搬送方向に延びる複数のリブ状部材で支持部材等を構成する場合には、用紙と支持部材等が摺接する面積を小さくできるので、搬送の際の抵抗が小さくなり、用紙を良好に搬送することができる。
【0064】
前記実施形態では、フラッパ120を定着装置80のフレーム83に付勢したが、本発明はこれに限定されず、フラッパを挟んでリアカバーとは反対側に配置される壁部であればよく、例えば、装置本体に一体形成される壁部であってもよい。
【0065】
前記実施形態では、フラッパ120を回動させることで経路の切替を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、従来技術(特開2006−330172号公報)のように、リアカバーを閉めているときには回動しないガイド部材を第1排出経路と戻し経路との間に単に配置するだけで、用紙がそのコシのみで各経路に侵入するように構成してもよい。この場合であっても、ガイド部材をリアカバーには連結させずに、リアカバーに対して離間可能に構成することで、ガイド部材とリアカバーとの間の用紙を容易に取り除くことができる。
【0066】
前記実施形態では、付勢部材としてトーションバネ130を採用したが、本発明はこれに限定されず、線バネや板バネ等を採用してもよい。
【0067】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、記録シートの一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Pを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
【0068】
前記実施形態では、カバーとしてリアカバー14を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば左右にストレート排紙を行う場合には、カバーとしてサイドカバーを採用し、このサイドカバーと画像形成部との間にガイド部材を設けてもよい。
前記実施形態では、画像形成部としてLEDを用いて露光するものを採用したが、本発明はこれに限定されず、レーザ光を用いて露光するものなど様々なものを採用できる。
【0069】
前記実施形態では、戻し経路94を給紙トレイ21の上側を通るように形成したが、本発明はこれに限定されず、図9に示すように、給紙トレイ21の下側を通るように戻し経路941を形成してもよい。なお、この場合には、図10に示すように、ガイド部材400に、用紙の幅方向において、用紙の幅より狭い間隔を空けて配置される複数の壁部(例えば壁部401,402)または連続的に形成された壁部(例えば壁部403)を、上端部404から下端部405までの全範囲に亘って設けるのが望ましい。
【0070】
これによれば、上端部404から下端部405までの全範囲に亘って前述したような壁部401〜403等を設けることで、ガイド部材400に用紙Pが通過できるような開口(用紙Pの幅よりも大きな開口)が形成されないので、ガイド部材400の傾倒時に用紙Pがガイド部材400に形成される開口から装置本体10内に入り込むのを防止することができる。
【0071】
また、図9に示すように、ガイド部材400の上端部404から下端部405までの全範囲と、リアカバー14との間に、戻し経路941が形成されることになるので、ガイド部材400の下端部405が向く方向に用紙Pを確実に搬送することができる。そのため、ガイド部材400によって、給紙トレイ21のうち用紙Pが収容される用紙収容部21Aと、給紙トレイ21の後壁21Bとの間に、用紙Pを確実に案内することができる。
【0072】
また、図11および図12に示すように、フラッパ120を付勢するトーションバネ130を左右方向の一端側に配置し、その反対側にトーションバネ130によるフラッパ120の回動を規制する係止片123および係止リブ115を配置するのが望ましい。なお、図11および図12や、後述する図13では、前記実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、その説明は省略している。これによれば、トーションバネ130、係止片123および係止リブ115を左右方向の同じ側にまとめて配置する構造に比べ、係止片123や係止リブ115を大きく形成して強度を持たせつつ、コンパクト化を図ることができる。
【0073】
また、図12に示すように、フラッパ120の回動軸122を支持する支持部材410の軸受部411のうちプリンタ使用時において係止片123(フラッパ120)が通常揺動する範囲よりも外れた位置に、フラッパ120の装着用の溝412を形成するのが望ましい。これによれば、フラッパ120が通常揺動する際に、係止片123が溝412から抜け出て、フラッパ120が支持部材410から外れるのを防止することができる。
【0074】
また、図11に示すように、フラッパ120に、トーションバネ130の先端よりも突出するリブ125を設けるのが望ましい。これによれば、トーションバネ130の先端にユーザが触れ難くなるので、トーションバネ130とフラッパ120との係合を確実に維持することができる。
【0075】
また、図11および図13(a),(b)に示すように、フラッパ120の回動軸122が支持部材410の軸受部411から突出する量を、図10および図13(c)に示すように、支持部材410の回動軸413が装置本体10の軸受部15から突出する量よりも大きくするのが望ましい。これによれば、ガイド部材400に強い力が加わった場合には、支持部材410からフラッパ120が外れる前に、支持部材410が装置本体10から外れる。そのため、支持部材410が装置本体10から外れる前に支持部材410からフラッパ120が外れてしまうものに比べ、トーションバネ130の再装着などの手間が不要となるので、ガイド部材400の装置本体10への再装着が容易になる。
【符号の説明】
【0076】
1 カラープリンタ
10 装置本体
11 排出トレイ
13 後壁
13A 開口部
14 リアカバー
30 画像形成部
93 第1排出経路
94 戻し経路
97 第2排出経路
100 ガイド部材
110 支持部材
120 フラッパ
124 上端部
130 トーションバネ
P 用紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の側壁に形成される開口部と、
前記装置本体に下部が回動可能に支持されて、前記開口部を開閉するカバーと、
記録シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部から前記開口部に向けて送られてくる記録シートを装置本体外の排出トレイへ案内する第1排出経路と、
前記第1排出経路から前記画像形成部よりも記録シートの搬送方向上流側に記録シートを戻すために、前記第1排出経路に繋がる戻し経路と、
前記第1排出経路と前記戻し経路との間において前記開口部に対向するように配置され、記録シートをガイドするガイド部材と、を備えた画像形成装置であって、
前記ガイド部材は、下端部が前記装置本体に回動可能に支持され、前記カバーが開かれた状態において前記下端部を軸として上端部が前記カバーに近づくように倒れて倒姿勢となることで、前記画像形成部から前記開口部を通って開放状態のカバー側に向かう第2排出経路を構成し、さらに、前記倒姿勢にあるときに前記上端部が前記カバーと接触することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ガイド部材の上端部と前記カバーとの接触点と、前記ガイド部材の回動中心とを結ぶ直線と、
前記接触点と、前記カバーの回動中心とを結ぶ直線とのなす角が、鋭角であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ガイド部材の上端部のうち前記カバーに接触する面は、前記カバーに対して反るような曲面状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ガイド部材の下端部と前記カバーとの間には前記戻し経路が形成され、
前記ガイド部材には、記録シートの幅方向において、記録シートの幅より狭い間隔を空けて配置される複数の壁部または連続的に形成された壁部が、上端部から下端部までの全範囲に亘って設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−154229(P2011−154229A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16276(P2010−16276)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】