説明

画像形成装置

【課題】中間転写ユニットの位置決めをする。
【解決手段】カバーを開いて中間転写ユニットUを引出し、又は押し込み装着でき、ユニット引出しにあたっては、カバーとともに、中間転写ユニットUの近傍で記録用紙案内路を形成する用紙搬送ガイドGをユニットUの引出しに邪魔にならない退避位置へ退避させることができ、ユニットU及び用紙搬送ガイドGを画像形成のための正規位置へ位置決めするにあたっては、それら両者に対し、一体的に形成された位置決め部材700を用いて、精度よく位置決めできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像担持体に静電潜像を形成し、該潜像を現像してトナー像を形成できる画像形成部を1又は2以上含み、前記画像形成部で形成されるトナー像を中間転写ベルトに1次転写部材で1次転写し、該中間転写ベルト上の1次転写トナー像を、記録用紙供給部から供給されてくる記録用紙に2次転写部材にて2次転写し、該記録用紙を定着装置に通過させて該2次転写トナー像を定着させ、排出トレイに排出することができる画像形成装置に関する。
【0002】
この種の画像形成装置の中には、前記記録用紙供給部からの記録用紙搬送路を開閉するカバーを備えており、該カバーが閉じ位置におかれると該カバー内面との間に、前記中間転写ベルトと前記2次転写部材の間に記録用紙を案内するための記録用紙案内路を形成する用紙搬送ガイドが設けられている画像形成装置がある。
【0003】
また、このような開閉可能のカバーを備えた画像形成装置では、通常、該カバーを開いて中間転写ユニットを画像形成装置本体から引出し、又は押し込み装着できるようになっている。
【0004】
このように、記録用紙搬送路を開閉できるカバー及び用紙搬送ガイドを備え、該カバーを開いて中間転写ユニットを引出し又は押し込み装着できる画像形成装置は、例えば特開2008−134403号公報に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】2008−134403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、記録用紙搬送路を開閉できるカバー及び用紙搬送ガイドを備え、該カバーを開いて中間転写ユニットを引出し又は押し込み装着できる従来の画像形成装置では、中間転写ユニットの画像形成のための正規位置への位置決めと、用紙搬送ガイドの画像形成のための正規位置への位置決めとは、それらが正規位置に配置される状態では相互に極めて接近した位置をとり、従って、それだけ精度よく位置決めされなければならないところ、それぞれ別個に位置決めされている。
【0007】
また、中間転写ユニット及び用紙搬送ガイドは、それらが正規位置に配置される状態では相互に接近した位置をとるので、中間転写ユニットの交換等において中間転写ユニットを引き出すとき、両者を衝突させ、傷つけてしまうおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、静電潜像担持体に静電潜像を形成し、該潜像を現像してトナー像を形成できる画像形成部を1又は2以上含み、前記画像形成部で形成されるトナー像を中間転写ベルトに1次転写部材で1次転写し、該中間転写ベルト上の1次転写トナー像を、記録用紙供給部から供給されてくる記録用紙に2次転写部材にて2次転写し、該記録用紙を定着装置に通過させて該2次転写トナー像を定着させ、排出トレイに排出することができ、前記記録用紙供給部からの記録用紙搬送路を開閉するカバーを備えており、該カバーが閉じ位置におかれると該カバー内面との間に、前記中間転写ベルトと前記2次転写部材の間へ記録用紙を案内するための記録用紙案内路を形成する用紙搬送ガイドが設けられており、該カバーを開いて前記中間転写ベルトを含む中間転写ユニットを引出し又は押し込み装着できる画像形成装置であって、該中間転写ユニットと用紙搬送ガイドをそれぞれ画像形成のための正規位置に位置決めするとき、該位置決め操作を容易に、しかも精度よく行える画像形成装置を提供することを第1の課題とする。
【0009】
また本発明は、上記第1の課題を解決できるとともに、メインテナンス時の中間転写ユニットの引出し、押し込み装着操作を該中間転写ユニットと用紙搬送ガイドの衝突が抑制される状態で安全に簡単に行える画像形成装置を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前記第1の課題を解決するため、
静電潜像担持体に静電潜像を形成し、該潜像を現像してトナー像を形成できる画像形成部を1又は2以上含み、前記画像形成部で形成されるトナー像を中間転写ベルトに1次転写部材で1次転写し、該中間転写ベルト上の1次転写トナー像を、記録用紙供給部から供給されてくる記録用紙に2次転写部材にて2次転写し、該記録用紙を定着装置に通過させて該2次転写トナー像を定着させ、排出トレイに排出することができ、前記記録用紙供給部からの記録用紙搬送路を開閉するカバーを備えており、該カバーが閉じ位置におかれると該カバー内面との間に、前記中間転写ベルトと前記2次転写部材の間へ記録用紙を案内するための記録用紙案内路を形成する用紙搬送ガイドが設けられており、該カバーを開いて前記中間転写ベルトを含む中間転写ユニットを引出し又は押し込み装着できる画像形成装置であり、前記中間転写ユニット及び用紙搬送ガイドの両側部に対して、該中間転写ユニット及び用紙搬送ガイドを画像形成時の正規位置へそれぞれ位置決めするための、該中間転写ユニット及び用紙搬送ガイドの双方に対して一体的に設けられた位置決め部材が配置されており、該位置決め部材には、該中間転写ユニットを前記正規位置から前記カバー側へ引き出し、又はその反対方向に押し込んで前記正規位置に位置決めするための中間転写ユニット案内部と、前記用紙搬送ガイドを記録用紙案内のための前記正規位置に位置決めし、又は前記中間転写ユニットの引き出し、押し込みを妨げない退避位置へ退避可能に支持する用紙搬送ガイド支持部とが形成されている画像形成装置を提供する。
【0011】
本発明に係る上記画像形成装置によると、メインテナンス等において中間転写ユニットを引出し、又は押し込み装着しなければならないときには、前記カバーを開き、該中間転写ユニット及び前記用紙搬送ガイドの双方に対して一体的に設けられた位置決め部材の中間転写ユニット案内部に中間転写ユニットを案内させて、引出し、又は押し込み装着できる。また、このとき、前記一体的に設けられた位置決め部材の用紙搬送ガイド支持部に用紙搬送ガイドを支持させた状態で該用紙搬送ガイドを、中間転写ユニットの引出し等操作に邪魔にならないように、退避位置へ退避させておくことができ、中間転写ユニットをその正規位置に装着してのち、用紙搬送ガイドをその正規位置へ位置決めすることができる。
【0012】
このように、中間転写ユニットと用紙搬送ガイドのそれぞれに対して別々に画像形成装置本体に設けられた位置決め部材を用いて中間転写ユニット及び用紙搬送ガイドを位置決めする場合に比べると、両者の相互位置関係を精度よく保って、それぞれを精度よく位置決めできる。
【0013】
本発明は前記第2の課題を解決するため、上記第1の課題を解決できる画像形成装置において、前記カバーを開いた状態で、前記中間転写ユニットを前記正規位置から引き出すとともに該引き出し動作により該中間転写ユニットで前記用紙搬送ガイドを前記記録用紙案内のための正規位置から前記退避位置へ駆動することができる画像形成装置を提供する。
【0014】
中間転写ユニットの正規位置からの引出し操作に応じて用紙搬送ガイドがその正規位置から退避位置へ駆動されることで、それだけ中間転写ユニットのメインテナンス等において、両者を衝突させ、傷つけてしまうおそれは少なく、それだけ安全に中間転写ユニットを引き出せる。
【0015】
また、中間転写ユニットを正規位置へ装着するとき、用紙搬送ガイドを退避位置へ退避させたままの状態で中間転写ユニット装着操作を行うことで、それだけ安全に装着できる。
【0016】
中間転写ユニットの正規位置からの引出し操作に応じて用紙搬送ガイドをその正規位置から退避位置へ駆動させるについては、例えば、中間転写ユニットに、その引出し操作時に用紙搬送ガイドに接触して該ガイドを退避位置側へ押す(例えば斜面を有する)駆動部材を設けておけばよい。
【0017】
ところで、中間転写ベルトを採用する画像形成装置においては、中間転写ベルト上に画像濃度調整、色ずれ補正等に用いるトナー像(トナーパッチ、トナーパターン等とも称されている)を形成できるようになっているとともに該トナー像の濃度を検出したり、その濃度を利用してその位置を検出したりするために、トナー像の濃度を検出する濃度センサが採用されているのが一般的である。そのような濃度センサは、中間転写ベルトに接近して配置される。従って、中間転写ベルトの引出し、押し込み装着時に、該濃度センサを損傷するおそれがある。
【0018】
そこで、本発明に係る画像形成装置においては、濃度センサを、中間転写ユニットの引出し、押し込み装着時には、中間転写ユニットのその操作を妨げない位置へ退避可能の用紙搬送ガイドに設けてもよい。用紙搬送ガイドに濃度センサを設けることで、用紙搬送ガイドを退避位置へ退避させ、安全に中間転写ユニットを引出し、又は押し込み装着できる。また、用紙搬送ガイドを正規位置に配置することで、濃度センサを中間転写ベルトに対する正規位置に精度よく配置できる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によると、静電潜像担持体に静電潜像を形成し、該潜像を現像してトナー像を形成できる画像形成部を1又は2以上含み、前記画像形成部で形成されるトナー像を中間転写ベルトに1次転写部材で1次転写し、該中間転写ベルト上の1次転写トナー像を、記録用紙供給部から供給されてくる記録用紙に2次転写部材にて2次転写し、該記録用紙を定着装置に通過させて該2次転写トナー像を定着させ、排出トレイに排出することができ、前記記録用紙供給部からの記録用紙搬送路を開閉するカバーを備えており、該カバーが閉じ位置におかれると該カバー内面との間に、前記中間転写ベルトと前記2次転写部材の間へ記録用紙を案内するための記録用紙案内路を形成する用紙搬送ガイドが設けられており、該カバーを開いて前記中間転写ベルトを含む中間転写ユニットを引出し又は押し込み装着できる画像形成装置であって、該中間転写ユニットと用紙搬送ガイドをそれぞれ画像形成のための正規位置に位置決めするとき、該位置決め操作を容易に、しかも精度よく行える画像形成装置を提供することができる。
【0020】
また本発明によると、上記利点を有するうえ、さらに、メインテナンス時の中間転写ユニットの引出し、押し込み装着操作を該中間転写ユニットと用紙搬送ガイドの衝突が抑制される状態で安全に簡単に行える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る画像形成装置の1例の構成の概略を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置において側面カバーを開いた状態を示す図である。
【図3】図1の画像形成装置において開いた側面カバー上方空間を利用して中間転写ユニットを引き出すところを示す図である。
【図4】図1の画像形成装置における中間転写ユニット及び用紙搬送ガイドを位置決めする位置決め部材と、該位置決め部材における中間転写ユニット及び用紙搬送ガイドの位置決め状態を示す図である。
【図5】図4の位置決め状態から用紙搬送ガイドを退避位置へ下降させ、中間転写ユニットを引き抜いてしまった状態を示す図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置の1例の構成の概略を示している。図1の画像形成装置はタンデム型のフルカラープリンタPRである。
【0023】
プリンタPRは、駆動ローラ71とこれに対向するローラ72に巻き掛けられた無端の中間転写ベルト7を有している。ローラ71、72は一対のフレームF(図1には鎖線で示してある)に回転可能に支持されている。転写ベルト7は、図示省略のベルト駆動部により駆動される駆動ローラ71により図中反時計方向(図中矢印方向)CCWに回される。
【0024】
ローラ72には転写ベルト7上の2次転写残トナー等を清掃するクリーニング装置73が臨んでおり、駆動ローラ71には2次転写ローラ8が臨んでいる。クリーニング装置73は前記フレームFに支持されている。
【0025】
フレームF、これに支持されたローラ71、72、これらローラに巻が掛けられた中間転写ベルト7及びクリーニング装置73等は中間転写ユニットUを構成している。
【0026】
中間転写ユニットUは後述するように中間転写ユニットUの両外側に配置された一対の位置決め部材700によって画像形成のための正規位置に位置決めされ、また、その位置から後述するように引き出すこともできる。
【0027】
2次転写ローラ8は図示省略の押圧手段にて、正規位置のユニットUにおける駆動ローラ71に支持された中間転写ベルト7の部分に押圧され、中間転写ベルト7との間にニップ部を形成し、中間転写ベルト7の回転に従動して、或いは、後述するように該ニップ部に送り込まれる記録用紙(記録紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等)の移動に従動して、或いは駆動されて回転することができる。2次転写ローラ8には、図示省略の電源から2次転写バイアスを印加することができる。
【0028】
中間転写ベルト7及び2次転写ローラ8の上方には定着装置9が配置されており、下方にはタイミングローラ対11が配置されており、さらにその下方に、記録用紙Sの供給カセット10が配置されている。
【0029】
定着装置9はハロゲンランプヒータ等の熱源を備えた定着加熱ローラとこれに圧接される加圧ローラとを含むものである。
記録用紙収容カセット10に収容された記録用紙Sは、用紙供給ローラ101にて1枚ずつ引き出してタイミングローラ対11へ供給することができる。
【0030】
中間転写ベルト7を巻き掛けたローラ71、72の間には、転写ベルト7に沿って、ローラ72からローラ71に向けて、イエロー画像形成部Y、マゼンタ画像形成部M、シアン画像形成部C及びブラック画像形成部Kがこの順序で配置されている。
【0031】
Y、M、C、Kの各画像形成部は、静電潜像担持体としてドラム型の感光体1を備えており、該感光体の周囲に帯電器2、露光装置3、現像装置4及びクリーニング装置5がこの順序で配置されている。
【0032】
各画像形成部の感光体1にはベルト7を間にして1次転写ローラ6が対向配置されている。1次転写ローラ6は、図示省略の押圧手段にて感光体1の方向へ押圧され、ベルト7に接触して従動回転するとともにベルト7を感光体1に接触させることができる。
これら1次転写ローラ6も中間転写ユニットUに搭載されている。
【0033】
1次転写ローラ6には、感光体1上に形成されるトナー像をベルト7へ1次転写するための1次転写バイアスを図示省略の電源から印加できる。
【0034】
露光装置3は、図示省略のパーソナルコンピュータ、画像読取装置100等から提供される画像情報に応じて、レーザービームの点滅により感光体1にドット(点)露光で画像露光を施し、静電潜像を形成できるものである。
【0035】
各画像形成部における感光体1は、ここでは負帯電性の感光体であり、図示省略の感光体駆動モータにて図中時計方向回りに回転駆動できる。
【0036】
各画像形成部における帯電器2は、本例ではスコロトロン帯電器であり、所定のタイミングで図示省略の電源から帯電用の電圧が印加される。なお、帯電器2は帯電ローラを用いるもの等であってもよい。
【0037】
各画像形成部における現像装置4は、本例では、トナーを主体とする一成分現像剤を使用して感光体1上に形成される静電潜像を、図示省略の電源から現像バイアスが印加されるローラ形態の現像剤担持回転体(以下、「現像ローラ」という。)41(図2参照)で反転現像することができる。
【0038】
このプリンタによると、Y、M、C、Kの画像形成部のうち1又は2以上を用いて画像を形成することができる。
画像形成部Y、M、C及びKのすべてを用いてフルカラー画像を形成する場合を例にとると、先ず、イエロー画像形成部Yにおいてイエロートナー像を形成し、これを転写ベルト8に1次転写する。
【0039】
すなわち、イエロー画像形成部Yにおいて、感光体1が図中時計方向に回転駆動され、帯電器2にて表面が一様に所定電位に帯電され、該帯電域に露光装置3からイエロー画像に対応する画像露光が施され、感光体1上にイエロー画像に対応する静電潜像が形成される。
【0040】
この静電潜像はイエロートナーを有する現像装置4の現像バイアスが印加された現像ローラ41にて現像されて可視イエロートナー像となる。該イエロートナー像は1次転写ローラ6にて転写ベルト7上に1次転写される。このとき、1次転写ローラ6には図示省略の電源から1次転写バイアスが印加される。
【0041】
同様にして、マゼンタ画像形成部Mにおいてマゼンタトナー像が形成されて転写ベルト7に転写され、シアン画像形成部Cにおいてシアントナー像が形成されて転写ベルト7に転写され、ブラック画像形成部Kにおいてブラックトナー像が形成されて転写ベルト7に転写される。
【0042】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像はこれらが中間転写ベルト7上に重ねて転写されるタイミングで形成される。
かくして転写ベルト7上に形成された多重トナー像は転写ベルト7の回動により2次転写ローラ8へ向け移動する。
【0043】
一方、記録用紙Sが記録用紙収容カセット10から媒体用紙ローラ101にて引き出され、用紙上昇搬送路(記録用紙案内路)P1にてタイミングローラ対11へ供給され、待機している。
【0044】
このようにタイミングローラ対11のところで待機する記録用紙Sは、中間転写ベルト7にて送られてくる多重トナー像に合わせて、転写ベルト7と2次転写ローラ8とのニップ部に用紙上昇搬送路(記録用紙案内路)P2にて供給される。該多重トナー像は図示省略の電源から2次転写バイアスが印加された2次転写ローラ8にて記録用紙S上に2次転写される。
【0045】
その後記録用紙Sは用紙上昇搬送路(記録用紙案内路)P3にて定着装置9に通され、そこで多重トナー像が加熱加圧下に記録用紙Sに定着される。記録用紙Sはひき続き、搬送路(記録用紙案内路)P4から排出ローラ対12にて排出トレイ13に排出される。
【0046】
トナー像のベルト7への1次転写において感光体1上に残留する転写残トナー等はクリーニング装置5で清掃され、2次転写によりベルト7上に残留する2次転写残トナー等はクリーニング装置73で清掃される。これら清掃除去されたトナーはそれぞれ図示省略の搬送手段にて廃棄容器へ送られる。
【0047】
プリンタPRについてさらに説明すると、前記用紙搬送路(記録用紙案内路)P1、P2、P3及びP4のうち、本例では用紙上昇搬送路P2とP3を、ジャム処理、消耗品(ここでは特に中間転写ユニットU)の点検、交換等のために開閉するための側面カバーC1が設けられている。
【0048】
また、定着装置9を含む領域Aを上方から覆い、また、その領域を開閉できる上面カバーC2も設けられている。上面カバーC2はヒンジhgを中心に,側面カバーC1から独立して開閉可能である。
【0049】
側面カバーC1は、用紙上昇搬送路P2を形成するための案内部分p21、2次転写ローラ8及び用紙上昇搬送路P3を形成するための案内部分p31等を含んでいる。
図1のように側面カバーC1が閉じられている状態では、案内部分p21はプリンタ本体側の用紙搬送ガイドGとともに搬送路P2を形成し、案内部分p31はプリンタ本体側の用紙案内部分p32とともに搬送路P3を形成する。
【0050】
側面カバーC1は、該カバー下端部をプリンタ本体部へ回動可能に連結するヒンジ部分sを中心に、揺動下降させて開き、揺動上昇させて閉じることができる。
図2、図3は側面カバーC1を開くことにより、中間転写ユニットUを画像形成のための正規位置から引出し、又は該位置へ押し込み装着できる状態を示している。
【0051】
中間転写ユニットUは既述のとおり中間転写ユニットUの両外側に配置された一対の位置決め部材700によって画像形成のための正規位置に位置決めされ、また、その位置から引き出すこともできるのであるが、位置決め部材700は側面カバーC1に近い方の部分702が下方へ一体的に屈曲しており、その部分702に用紙搬送ガイドGが支持されている。すなわち、用紙搬送ガイドGは中間転写ユニットUの両外側に位置する、対をなす位置決め部材700の間に配置され、該部材700の一部でもある用紙搬送ガイドGの支持部分702に支持されている。
【0052】
位置決め部材700に関連する事項についてさらに説明すると、図4及び図5に示すように、各位置決め部材700は中間転写ユニットUを画像形成のための正規位置(図1、図4示す位置)に位置決めできるとともに、その位置から引き出すように、或いはその位置へ押し込み装着できるように案内する溝状の中間転写ユニット案内部701を有している。
【0053】
図4に示すように、中間転写ユニットUのローラ71、72の、フレームFに回転可能に支持されたシャフト71s、72sと中心軸線を同じくするピン部材71p、72pがフレームFの外側へ突出して溝状案内部701に嵌まって案内されることができる。このようにして中間転写ユニットUを該案内部701に案内させつつ正規位置へ押し込み装着でき、或いは図3に示すように正規位置から引き出すことができるようになっている。
【0054】
ユニットUが正規位置に配置されると、ローラ71のシャフト71sに対応するピン部材71pが、位置決め部材700の外面に固定されたストッパstに当接し、スプリングsp1でその位置にセットされる。このようにしてユニットUは正規位置に配置され、そこに安定的に保持される。スプリングsp1も部材700に設けられており、ユニット装着時にはピン部材71pに押されて上昇し、ピン部材を押さえ付ける。ユニット引出し時には、ピン部材71pに押されて上昇したのち下降する。
【0055】
ストッパst及びスプリングsp1はユニットUの着脱を妨げないように配置され、部材700に固定されている。また、中間転写ユニットUの着脱はフレームFに設けた把手74(図3参照)を持って行い易くしてある。
【0056】
図4及び図5に示すように、用紙搬送ガイドGには、その両側面のそれぞれに上下のピンGp1、Gp2を突設してあり、上ピンGp1は部材700の部分702の上側溝gr1に昇降可能に嵌まっており、下ピンGp2は部材700の部分702の下側溝gr2に昇降可能に嵌まっている。
【0057】
用紙搬送ガイドGは、図4に示すように、手動で持ち上げられて上ピンGp1が上側溝gr1の上限に達するとともに、そこにスプリングsp2で押圧されることで、画像形成のための(換言すれば記録用紙案内のための)正規位置に配置され、側面カバーC1が閉じられた状態で用紙搬送路P2を形成する。
【0058】
図3に示すように、中間転写ユニットUのフレームFのカバーC1側の端部の下面には、横から見ると三角形状の用紙搬送ガイド駆動部材75が設けられており、中間転写ユニットUを引き出すとき、該駆動部材75の斜面が用紙搬送ガイドGを押し下げることで、図5に示すように、用紙搬送ガイドGはスプリングsp2に抗して押し下げられ、中間転写ユニットUの着脱に支障のない退避位置へ下降せしめられる。この位置からの正規位置への上昇は手動で行う。
【0059】
用紙搬送ガイドGは、正規位置に配置されると中間転写ユニットUに近い位置をとる。また、本例では用紙搬送ガイドGには濃度センサSEが搭載してあり、該センサSEも中間転写ベルト7に近く位置する。しかし、中間転写ユニットUが引出し又は装着されるときには、センサSEも用紙搬送ガイドGとともに退避位置へ下降するので、中間転写ユニットUとの衝突等によるセンサSEの損傷をそれだけ抑制できる。
【0060】
なお、濃度センサSEは、画像濃度調整のためや、色ずれ補正のために中間転写ベルト7上に形成されるトナーパターンやトナーパッチ等のトナー像の濃度を検出したり、濃度検出から該トナー像の位置を検出したりすることに利用されるもので、それ自体既に知られているものである。
【0061】
以上説明したプリンタPRによると、側面カバーC1及び(又は)上面カバーC2を開いてメインテナンスを行える。
図2に示すように、側面カバーC1を開くことで、それにより接近可能となる部品や部位を点検したり、交換したりできる。例えば、図3に示すように、側面カバーC1を開いて中間転写ユニットUを点検したり、引出したり、装着しなおしたり、交換したりできる。
【0062】
以上説明した、プリンタPRによると、メインテナンス等において中間転写ユニットUを引出し、又は押し込み装着しなければならないときには、カバーC1を開き、中間転写ユニットU及び用紙搬送ガイドGの双方に対して一体的に設けられた位置決め部材700の中間転写ユニット案内部701に中間転写ユニットUを案内させて、引出し、又は押し込み装着できる。
【0063】
このとき、全体が一体的に設けられた位置決め部材700の用紙搬送ガイド支持部702に用紙搬送ガイドGを支持させた状態で該用紙搬送ガイドGを、中間転写ユニットUの引出し等操作に邪魔にならないように、退避位置へ退避させておくことができ、中間転写ユニットUをその正規位置に装着してのち、用紙搬送ガイドGをその正規位置へ位置決めすることができる。
【0064】
このようにプリンタPRでは、中間転写ユニットUと用紙搬送ガイドGのそれぞれに対して別々に画像形成装置本体に設けられた位置決め部材を用いて中間転写ユニット及び用紙搬送ガイドを位置決めする場合に比べると、両者の相互位置関係を精度よく保って、それぞれを精度よく簡単に位置決めできる。
【0065】
また、プリンタPRでは、カバーC1を開いた状態で、中間転写ユニットUを正規位置から引き出すとともに該引き出し動作により中間転写ユニットUのフレームFの駆動部材75で用紙搬送ガイドGを記録用紙案内のための正規位置から前記退避位置へ駆動することができるので、それだけ中間転写ユニットUのメインテナンス等において、両者を衝突させ、傷つけてしまうおそれは少なく、それだけ安全に中間転写ユニットUを引き出せる。
【0066】
また、中間転写ユニットUを正規位置へ装着するとき、用紙搬送ガイドGを退避位置へ退避させたままの状態で中間転写ユニットUの装着操作を行うことで、それだけ安全に装着できる。
【0067】
以上説明したプリンタPRでは、用紙搬送ガイドGは、中間転写ユニットUを脱着するとき、退避位置へ下降するが、図6に示すように、ヒンジ部分c1を中心にして中間転写ユニットUの脱着の妨げとならない退避位置へ揺動して逃げ得るようにしてもよい。
例えば、中間転写ユニットUに前記駆動部材75と同様の駆動部材を設けておき、中間転写ユニットUを引き出すとき、該駆動部材が用紙搬送ガイドGをその正規位置から退避位置へ逃げ回動するように駆動できるようにし、正規位置への復帰は手動で行えるようにする例を挙げることができる。
【0068】
また、以上説明したプリンタPRはタンデム型の画像形成装置であったが、本発明は例えば所謂サイクル型のカラー画像形成装置にも適用できる。
サイクル型のカラー画像形成装置とは、例えば、感光体のごとき静電潜像担持体上に露光装置で静電潜像を形成し、該静電潜像を、静電潜像現像域に移動可能の複数の現像装置のうち該静電潜像に応じた担当色トナーを保持した現像装置で現像してトナー像を形成し、該トナー像を中間転写ベルトに1次転写することで、該中間転写ベルト上にモノクロトナー像又は2色以上のトナー像からなる多重トナー像を形成し、該中間転写ベルト上のトナー像を記録シートへ2次転写し、定着させることができるものである。
このような画像形成装置も、感光体等を共通にする複数の画像形成部を備えたものとみることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、中間転写ユニット及び該ユニットの近くに位置して、開閉可能のカバーとともに記録用紙案内路を形成する用紙搬送ガイドの双方の位置決めを精度よく行える画像形成装置を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0070】
PR プリンタ(プリンタ部分)
Y イエロー画像形成部
M マゼンタ画像形成部
C シアン画像形成部
K ブラック画像形成部
1 感光体
2 帯電器
3 露光装置
4 現像装置
41 現像ローラ
5 感光体クリーニング装置
6 1次転写ローラ
7 中間転写ベルト
73 ベルトクリーニング装置
U 中間転写ユニット
G 用紙搬送ガイド
P1、P2、P3、P4 記録用紙の上昇搬送路(案内路)
C1 側面カバー
s カバーC1下端部のヒンジ部分
C2 上面カバー
A 定着装置を含むエリア
700 位置決め部材
701 中間転写ユニット案内部
702 用紙搬送ガイド支持部(位置決め部材の一部)
8 2次転写ローラ
9 定着装置
10 記録用紙供給部
101 記録用紙供給ローラ
13 排出トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像担持体に静電潜像を形成し、該潜像を現像してトナー像を形成できる画像形成部を1又は2以上含み、前記画像形成部で形成されるトナー像を中間転写ベルトに1次転写部材で1次転写し、該中間転写ベルト上の1次転写トナー像を、記録用紙供給部から供給されてくる記録用紙に2次転写部材にて2次転写し、該記録用紙を定着装置に通過させて該2次転写トナー像を定着させ、排出トレイに排出することができ、前記記録用紙供給部からの記録用紙搬送路を開閉するカバーを備えており、該カバーが閉じ位置におかれると該カバー内面との間に、前記中間転写ベルトと前記2次転写部材の間へ記録用紙を案内するための記録用紙案内路を形成する用紙搬送ガイドが設けられており、該カバーを開いて前記中間転写ベルトを含む中間転写ユニットを引出し又は押し込み装着できる画像形成装置であり、前記中間転写ユニット及び用紙搬送ガイドの両側部に対して、該中間転写ユニット及び用紙搬送ガイドを画像形成時の正規位置へそれぞれ位置決めするための、該中間転写ユニット及び用紙搬送ガイドの双方に対して一体的に設けられた位置決め部材が配置されており、該位置決め部材には、該中間転写ユニットを前記正規位置から前記カバー側へ引き出し、又はその反対方向に押し込んで前記正規位置に位置決めするための中間転写ユニット案内部と、前記用紙搬送ガイドを記録用紙案内のための前記正規位置に位置決めし、又は前記中間転写ユニットの引き出し、押し込みを妨げない退避位置へ退避可能に支持する用紙搬送ガイド支持部とが形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カバーを開いた状態で、前記中間転写ユニットを前記正規位置から引き出すとともに該引き出し動作により該中間転写ユニットで前記用紙搬送ガイドを前記記録用紙案内のための正規位置から前記退避位置へ駆動することができることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙搬送ガイドには、前記中間転写ユニットの中間転写ベルト上に形成されるトナー像のトナー濃度を検出する濃度センサが搭載されている請求項1又は2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−154293(P2011−154293A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16934(P2010−16934)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】