説明

画像形成装置

【課題】転写部から効率よく定着オイルを除去することができ、良好な画像形成を行う。
【解決手段】感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kのトナー画像が転写される中間転写ベルト8上のトナー画像を記録媒体Pに転写する2次転写ローラ19と、2次転写ローラ19の表面を清掃する清掃ブレード40とを備え、定着オイルを使用する定着器20とを備える画像形成装置100において、2次転写ローラ19に付着したとき、2次転写ローラ19に定着オイルの付着領域を含む領域を覆うトナーパターンを転写し、トナーTと同じ極性のバイアス電圧が印加されると共にトナーTと定着オイルの層60とブラシ部材31で混合し清掃ブレード40で除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に係り、特に像担持体上のトナー画像が転写される中間転写体と、前記像担持体上のトナー画像を前記中間転写体上に転写する第一の転写手段と、前記中間転写体上のトナー画像を転写材に転写する第二の転写手段と、前記第二の転写手段の表面を清掃する清掃手段と、前記第二の転写手段により転写されたトナー画像を前記転写材に定着させる定着手段とを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光体上に形成されたトナー像を転写する手段として、ベルト転写装置が多く用いられている。ベルト転写装置は、転写材へのトナー像転写に用いる場合、転写材の種類や状態に関わらず感光体からの転写材の安定した分離が期待でき、また複数回の転写を容易に行うことができる。また、ベルト転写装置は、転写ベルト上へのトナー像転写を行った後、転写材に再度転写する中間転写装置としても用いられている。中間転写体を使用したフルカラー画像形成装置は、一次転写工程を色ごとに繰り返す際、転写材の種類に影響を受けずに多色画像の安定した形成が可能であり、また転写材を感光体に巻きつける必要がないため、転写材の搬送経路を直線上に構成でき、多種の転写材を使用することが可能である。
【0003】
中間転写体を用いた画像形成装置は、第一の像担持体である感光体、第二の像担持体である中間転写体、帯電手段、露光手段、現像手段、一次転写手段、二次転写手段、定着手段などで構成される。
【0004】
画像を形成するために、まず感光体の表面を帯電手段によって帯電させる。次にレーザなどの露光手段によって感光体表面に画像パターンが露光し、感光体表面の露光部分と未露光部分に電位差を生じさせ、感光体表面に静電潜像を形成させる。この静電潜像を現像手段によって現像すると、帯電されたトナーが露光部に付着し、潜像がトナー画像として可視化される。
【0005】
感光体に形成されたトナー像を、中間転写体にトナーと逆極性の電圧を印加することにより、感光体上に形成されたトナー画像が中間転写体に一次転写される。フルカラー画像の場合は、前記工程を複数色のトナーについて繰り返すことにより、中間転写体の表面に複数色のトナーが重なった画像を形成する。
【0006】
次に、中間転写体の表面に形成した画像を、二次転写手段によりトナーと逆極性の電圧を印加することで、転写材に転写する。このようにして二次転写された転写材を、定着手段により熱や圧力を利用してトナーを転写材に定着する。定着装置は、内部にヒータを有する加熱ローラと、この加熱ローラに圧接する加圧ローラとから構成されている。加熱ローラと加圧ローラとのニップ部に未定着トナー像が転写された用紙を通紙した場合に、用紙の画像が加熱ローラに転写されてしまう可能性があるため、シリコンオイル等の定着オイルをオフセット防止として加熱ローラに塗布している。
【0007】
画像形成装置では感光体や中間転写ベルト等の像担持体や転写ローラ等に異物が付着するフィルミング現象が発生することが広く知られ、フィルミングが発生すると画像に不具合が発生する。例えば、部分的にムラのあるフィルミングが発生すると表面に抵抗ムラが発生し、転写効率の違いにより画像ムラとなる。また、高湿環境で吸湿し画像が流れる現象が発生する。その他にもトナーとの物理的密着力が変化することで転写効率が変化し、濃度ムラや文字の中抜けなどの画像不良が発生しやすくなる。また装置環境が高温の場合には表面摩擦係数が上昇し、トナーとの付着力が強くなり清掃不良が発生しやすくなる。
【0008】
フィルミングは一般的にはトナーの添加剤や樹脂の付着によって発生するが、両面印刷時、第1面の通紙後に付着した定着オイルが2面目の転写時に二次転写部に付着するという定着オイルの回り込によっても発生する。このようなフィルミングの除去については、様々なものが提案されている。
【0009】
特許文献1には、中間転写体と二次転写ローラの周速度を異ならせて摺接させる方法が提案されている。即ち特許文献1には、画像形成部へのフィルミングが画像品質に影響を与えるのを防止するため、中間転写体に付着した異物を除去する除去モードを有し、二次転写ローラの周速度をトナーの転写時とは異なる周速度で動作させ、中間転写体と摺接させるものが記載されている。
【0010】
また、特許文献2には、バイアス印加により定着の離型剤を除去させせるものが記載されている。即ち、特許文献2には、同様に画像形成部へのフィルミングが画像品質に影響を与えるのを防止するため、シートに付着した離型剤を電界作用にて転移除去するものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、除去できる対象が電界作用によって転移させることができるものだけであり、電界により作用されない定着オイルのような場合には除去できないという問題がある。
【0012】
また、特許文献2に記載のものは、両面印刷時に定着オイルが回り込んで二次転写部に付着する場合には、異なる周速度で摺接するだけでは定着オイルは除去できず、逆に付着範囲を広げてしまうという問題がある。
【0013】
そこで本発明は、転写部から効率よく定着オイルを除去することができ、良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、表面にトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上のトナー画像が転写される中間転写体と、前記像担持体上のトナー画像を前記中間転写体上に転写する第一の転写手段と、前記中間転写体上のトナー画像を転写材に転写する第二の転写手段と、前記第二の転写手段の表面を清掃する清掃手段と前記第二の転写手段により転写されたトナー画像を前記転写材に定着させる定着手段とを有し、前記定着手段で定着オイルを用いる画像形成装置において、前記第二の転写手段に付着した前記定着オイルの付着領域を含む領域を覆うトナーパターンを作成するトナーパターン作成手段と、前記第二の転写手段に転写したトナーパターンと同極性のバイアス電圧を印加する手段を備えると共に前記第二の転写手段に接触して転写されたトナーパターンに対して前記バイアス電圧で斥力を与える清掃補助手段と、を備え、前記転写材への両面印刷の後、前記トナーパターン作成手段で前記第二の転写手段に所定のトナーパターンを生成し、前記清掃手段で前記定着オイルを前記トナーパターンと共に除去するものであることを特徴とする画像形成装置である。
【0015】
請求項2の発明は、画像形成装置において、表面にトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上のトナー画像を記録材に転写する転写手段と、前記転写手段の表面を清掃する清掃手段と、前記転写手段により転写されたトナー画像を前記転写材に定着させる定着手段と、を有し、定着時に定着オイルを用いる画像形成装置において、前記転写手段に転写したトナーパターンと同極性のバイアス電圧を印加する手段を備えると共に前記転写手段に接触して転写されたトナーパターンと定着オイルとを混合する清掃補助手段と、を備え、前記転写材への両面印刷の後前記トナーパターン作成手段で前記転写手段に所定のトナーパターンを生成し、前記清掃手段で前記定着オイルを前記トナーパターンと共に除去するものである。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の画像形成装置において、前記清掃補助手段に印可する定着オイル除去のためのバイアス電圧の値は転写のために印可するバイアス電圧の値よりも小さいことを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の画像形成装置において、前記トナー除去時のバイアス電圧の印加は、前記転写のためのバイアス電圧の印加がされていないとき行うことを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までの何れか一項に記載の画像形成装置において、前記清掃補助手段は、前記清掃手段の上流側に配置されていることを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までの何れか一項に記載の画像形成装置において、前記定着オイルの除去動作の実行時間及び形成するトナーパターンの長さは、印刷する転写材の搬送方向の長さに基づいて決定されることを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までの何れか一項に記載の画像形成装置において、前記定着オイルの除去動作の実行時間及び形成するトナーパターンの長さは、印刷する転写材の種類に基づいて決定されることを特徴とする。
【0021】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までの何れか一項に記載の画像形成装置において、前記定着オイルの除去動作の実行時間及び形成するトナーパターンの長さは、形成する画像面積率に基づいて決定されることを特徴とする。
【0022】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8までの何れか一項に記載の画像形成装置において、前記定着オイルの除去動作の実行時間及び形成するトナーパターンの長さは、環境条件に基づいて決定されることを特徴とする。
【0023】
請求項10の発明は、請求項1から請求項9までの何れか一項に記載の画像形成装置において、前記清掃補助手段は、ブラシ状の回転部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る画像形成装置によれば、清掃補助手段でトナーパターン生成手段により形成されたトナーパターンのトナーはバイアス電圧により転写オイルに入り込み、このトナーが入り込んだ転写オイルは清掃手段で効率よく除去することができるので、転写部材に付着した定着オイルによる画像不良やフィルミングを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】画像形成装置の作像装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】転写装置及び清掃補助手段を示す断面図である。
【図4】画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
【図5】実施例に係る定着オイルの除去状態を示す模式図である。
【図6】実施例に係る定着オイル除去のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】第2の実施例に係る定着オイル除去のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】第3の実施例に係る定着オイル除去のタイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る画像形成装置は、表面にトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上のトナー画像が転写される中間転写体と、前記像担持体上のトナー画像を前記中間転写体上に転写する第一の転写手段と、前記中間転写体上のトナー画像を転写材に転写する第二の転写手段と、前記第二の転写手段の表面を清掃する清掃手段と前記第二の転写手段により転写されたトナー画像を前記転写材に定着させる定着手段とを有し、前記定着手段で定着オイルを用いる画像形成装置において、前記第二の転写手段に付着した前記定着オイルの付着領域を含む領域を覆うトナーパターンを作成するトナーパターン作成手段と、前記第二の転写手段に転写したトナーパターンと同極性のバイアス電圧を印加する手段を備えると共に前記第二の転写手段に接触して転写されたトナーパターンに前記バイアス電圧で斥力を与える清掃補助手段と、を備え、前記転写材への両面印刷の後、前記トナーパターン作成手段で前記第二の転写手段に所定のトナーパターンを生成し、前記清掃手段で前記定着オイルを前記トナーパターンと共に除去するものである。
【0027】
本例によれば、トナーパターン生成手段により形成されたトナーパターンのトナーはバイアス電圧により清掃補助手段から斥力を受けて転写オイルに入り込み、このトナーが入り込んだ転写オイルは清掃手段で効率よく除去することができるので、第二の転写部材に付着した定着オイルによる画像不良やフィルミングを防止することができる。
【0028】
また、本発明に係る画像形成装置は、表面にトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上のトナー画像を記録材に転写する転写手段と、前記転写手段の表面を清掃する清掃手段と、前記転写手段により転写されたトナー画像を前記転写材に定着させる定着手段と、を有し、定着時に定着オイルを用いる画像形成装置において、前記転写手段に転写したトナーパターンと同極性のバイアス電圧を印加する手段を備えると共に前記転写手段に接触して転写されたトナーパターンと定着オイルとを混合する清掃補助手段と、を備え、前記転写材への両面印刷の後前記トナーパターン作成手段で前記転写手段に所定のトナーパターンを生成し、前記清掃手段で前記定着オイルを前記トナーパターンと共に除去するものである。
【0029】
本例によれば、清掃補助手段でトナーパターン生成手段により形成されたトナーパターンのトナーはバイアス電圧により転写オイルに入り込み、このトナーが入り込んだ転写オイルは清掃手段で効率よく除去することができるので、転写部材に付着した定着オイルによる画像不良やフィルミングを防止することができる。
【0030】
本発明に係る画像形成装置では、前記清掃補助手段に印可する定着オイル除去のためのバイアス電圧の値は転写のために印可するバイアス電圧の値よりも小さいものとすることができる。定着オイル除去のための補助清掃装置へのバイアス電圧が転写のためのバイアス電圧よりも大きくなると転写条件が変化し、画像不良が発生する。本例によれは、転写に副作用を起こすことなく、画像不良やフィルミングを防止することができる。
【0031】
本発明に係る画像形成装置では、前記トナー除去時のバイアス電圧の印加は、前記転写のためのバイアス電圧の印加がされていないとき行うものとできる。転写のためのバイアス電圧の印加と定着オイル除去のための補助清掃装置へのバイアス電圧が同時に印加されると転写条件が変化し、画像不良が発生する。本例ではこれを防止することができ転写に悪影響を及ぼすこすことなく、画像不良やフィルミングを防止することができる。
【0032】
本発明に係る画像形成装置において、前記清掃補助手段は、前記清掃手段の上流側に配置されているものとできる。両面印刷時、第1面の通紙時に用紙に付着した定着オイルが第2面の通紙時に二次転写部に付着し、フィルミングが発生する。本例では回り込む定着オイル量が多い場合でも付着したオイルの除去が可能となり、画像不良やフィルミングを防止することができる。
【0033】
本発明に係る画像形成装置において、前記定着オイルの除去動作の実行時間及び形成するトナーパターンの長さは、印刷する転写材の搬送方向の長さに基づいて決定されることとできる。転写材に付着する定着オイルの量は、転写材の長さによって変化する。本例は、この転写材の長さに基づいて除去条件を決定するから、転写材の長さによって定着オイル量が変化しても、変化に対応した定着オイル除去処理が可能となり、画像不良やフィルミングを防止することができる。
【0034】
本発明に係る画像形成装置において、前記定着オイルの除去動作の実行時間及び形成するトナーパターンの長さは、印刷する転写材の種類に基づいて決定することができる。転写材に付着する定着オイルの量は、転写材の種類によって変化する。本例は、この転写材の種類に基づいて除去条件を決定するから、転写材の種類によって定着オイル量が変化しても、変化に対応した定着オイル除去処理が可能となり、画像不良やフィルミングを防止することができる。
【0035】
本発明に係る画像形成装置において、前記定着オイルの除去動作の実行時間及び形成するトナーパターンの長さは、形成する画像面積率に基づいて決定することができる。転写材に付着する定着オイルの量は、形成する画像面積率によって変化する。本例は、この形成する画像面積率に基づいて除去条件を決定するから、形成する画像面積率によって定着オイル量が変化しても、変化に対応した定着オイル除去処理が可能となり、画像不良やフィルミングを防止することができる。
【0036】
本例に係る画像形成装置は、前記定着オイルの除去動作の実行時間及び入力形成するトナーパターンの長さは、環境条件に基づいて決定することができる。転写材に付着する定着オイルの量は、環境条件によって変化する。本例は、この環境条件に基づいて除去条件を決定するから、環境条件によって定着オイル量が変化しても、変化に対応した定着オイル除去処理が可能となり、画像不良やフィルミングを防止することができる。
【0037】
そして、本発明に係る画像形成装置の前記清掃補助手段は、ブラシ状の回転部材を備えるものとできる。本例によれば、ブラシ状の回転部材でトナーパターンのトナーと定着オイルを混合できるので、清掃手段による定着オイルの除去をより効率よく行うことができる。
【実施例】
【0038】
以下実施例に係る画像形成装置について説明する。図1は実施例に係る画像形成装置を示す断面図、図2は作像ユニットの構成を示す断面図である。画像形成装置100は、それぞれ、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)のトナー像を形成する作像ユニット6Y,6C,6M,6Kと、各作像ユニット6Y,6C,6M,6Kの像担持体である感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kに書込光を射出する書込ユニット7と、作像ユニット6Y,6C,6M,6Kのトナー像を転写して、記録媒体Pに転写する中間転写ユニット15とを備える。
【0039】
作像ユニット6Yは、感光体ドラム1と、現像ローラ61を備えた現像器62、感光体ドラム1上をクリーニングするクリーナ63、感光体ドラム1を帯電させる帯電器64、感光体ドラム1に静電潜像を書き込む露光器を備えて構成される。他の作像ユニット6Y,6C,6M,6Kも作像ユニット6Yと同様の構成を備える。
【0040】
また、各作像ユニット6Y,6C,6M,6Kの各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kと第1の転写手段である転写ローラ9Y,9C,9M,9Kとの間には中間転写体である中間転写ベルト8が配置されている。中間転写ベルト8には各作像ユニット6Y,6C,6M,6Kで作成された各色のトナー像が同期して転写され、カラートナー像が形成される。
【0041】
中間転写ベルト8は下部において転向ローラ18に巻き掛けられており、この転向ローラ18に対向して第2の転写手段としての2次転写ローラ19が配置されている。
【0042】
第1面だけの印刷を行う場合、給紙トレイ26に配置された用紙等の記録媒体は、搬送経路K1を経てレジストローラ28に搬送される。そして、レジストローラ28の位置に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ28が回転駆動されて、記録媒体Pは中間転写ベルト8と2次転写ローラ19とのニップ部(転写位置)に向けて搬送される。こうして、記録媒体Pの裏面を転写面として、記録媒体Pの裏面上に、所望のカラー画像が転写される。カラートナー像が転写された記録媒体Pは定着器20で定着され排紙トレイに排紙される。
【0043】
本例に係る画像形成装置100には、記録媒体Pの第1面に画像が転写・定着された後に、その記録媒体Pの裏面である第2面にトナー像を形成するための両面プリント手段が設置されている。即ち画像形成装置100には、両面プリント用の搬送経路K2(図中、一点鎖線で示す)や、記録媒体Pの表裏を反転して搬送するための反転機構(正逆反転ローラ29)等が設置されている。
【0044】
不図示の操作部の操作によって両面プリントモードが選択された場合、上述した画像形成プロセスを経て第1面にトナー像が転写・定着された後の記録媒体Pは、定着器20から送出された後に、不図示の切替爪の動作によって、装置外に排出されることなく、垂直搬送経路から正逆反転ローラ29に向けて導かれる。その後、反転機構の位置に達した記録媒体P(第1面に画像が形成された状態)は、正逆反転ローラ29の逆回転動作と、切替爪(不図示である。)の動作と、によって水平経路に導かれた後に、レジストローラ28の位置に向けて搬送される。
【0045】
そして、レジストローラ28の位置に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ28が回転駆動されて、記録媒体Pはニップ部(転写位置)に向けて搬送される。こうして、記録媒体Pの裏面を転写面として、記録媒体Pの裏面上に、所望のカラー画像が転写される。その後、裏面に画像が転写された記録媒体Pは、定着器20での定着工程を経て、装置外に排出される。これにより、記録媒体Pに対する両面プリントが完了する。
【0046】
このような両面印刷時には、第1面の印刷時に定着器20を通過する際に定着オイルが記録媒体Pに付着し、第2面印刷時に2次転写ローラ19を通過する際に、定着オイルを付着させてしまう。
【0047】
本例では、2次転写ローラ19には、2次転写ローラ19の清掃手段として清掃ブレード40と、この清掃ブレード40の上流側に配置した清掃補助手段30とを配置している。
【0048】
図3は実施例に係る画像形成装置の2次転写ローラを示す拡大断面図である。2次転写ローラ19には清掃ブレードの他、2次転写ローラ19の定着オイルが付着した部分にトナーと同極性のバイアス電圧を印加する清掃補助手段30を配置している。清掃補助手段30は、回転可能に配置されたブラシ部材31と、このブラシ部材31にバイアス電圧を印加する電源32とを備える。なお、ブラシ部材31は図示していないモータなどの駆動手段で回転駆動される。
【0049】
本例では、用紙と用紙の間のタイミングでトナーパターンを生成して定着オイルが付着した2次転写部にトナーを付着させ、清掃補助手段30でトナーと同極性のバイアスを印加し且つブラシ部材31で両者を混合し、トナーが混合された定着オイルを清掃ブレード40で除去する。
【0050】
次に本画像形成装置における定着オイル除去処理について説明する。図4は画像形成装置の制御系を示すブロック図、図5は実施例に係る定着オイルの除去状態を示す模式である図1及び図4に示すように、画像形成装置100には、トナーパターン作成手段である定着オイル除去制御手段50が配置され、この定着オイル除去制御手段50は、書込ユニット7、作像ユニット6、中間転写ユニット15及び清掃補助手段30を所定のタイミングで動作させ、定着オイルの除去を行う。定着オイル除去制御手段50はCPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータで構成することができ、制御プログラムを実行して、所定のタイミングで定着オイルの除去を行う。尚、定着オイル除去制御手段50は画像形成装置100の印刷制御を行う制御部にその機能を実行させることができる。
【0051】
定着オイル除去制御手段50は、書込ユニット7に所定のタイミングでトナーパターン形成用の書込光を発生して感光体ドラム1(例えばブラックの作像ユニット6Kの感光体ドラム1)を感光させ、作像ユニット6Kでトナーパターンを描くトナー像を生成し、中間転写ベルト8に転写する。このトナーパターンは、前回の両面印刷で定着された記録媒体Pの第1面に付着した定着オイルが2次転写ローラ19に付着した領域に対応するよう形成される。
【0052】
ここで、清掃補助手段30で印加するバイアス電圧、即ちトナー除去バイアス値は、転写時に印加するバイアスに影響を与えないように、転写バイアス電圧の値が定着オイル除去のためのバイアス電圧の値より大きくなるよう設定している。また、バイアスの影響を完全に排除するために、トナー除去バイアスは転写バイアスが印加されていないタイミングのみ印加することもが好適である。
【0053】
このような紙間パターンとして第二の転写手段である2次転写ローラ19に転写されたトナーパターンのトナーTは、2次転写ローラ19の回転に従って清掃補助手段30の配置位置まで移動し、清掃補助手段30はトナーと同極性のバイアスが印加されているから、この清掃補助手段30から斥力(反発力)を受け、図5に示すように、2次転写ローラ19の表面方向即ち2次転写ローラ19の中心に向けトナーTが移動するよう作用する。
【0054】
また、本実施例では清掃補助手段にはブラシ部材31を配置しているので、前記バイアス電圧によるトナーの移動作用に加え、ブラシ部材31が2次転写ローラ19に接触してトナーTの層(厚さ:数μm〜数十μm)と定着オイルの層60(厚さ:数μm〜数百μm)とを撹拌する。そして、トナーTが定着オイルの層60に混ざり合った状態で清掃ブレード40に到達する。ここで、トナーTが混合した定着オイルは、定着オイル単体より清掃ブレード40で除去されやすいため、定着オイルの層60は混合したトナーTとともに効率よく除去される。また、清掃補助手段にトナーと同極性のバイアスが印加されることで、清掃補助手段上にトナーが溜まって汚れとなって蓄積する不具合も防止できる。
【0055】
次にトナーパターンを生成して定着オイルを除去するタイミングについて説明する。図6は実施例に係る定着オイル除去のタイミングを示すタイミングチャートである。図6において、各長方形は二次転写位置で転写されるトナー像を示している。この例では第2面(裏面)印刷時に2次転写ローラ19に定着オイルが付着し、これによりフィルミングが発生する。本例では、第2面の印刷が終了したタイミングでトナーパターンを形成する。図6に示した例では、第1面だけの印刷の後、両面印刷(第1面、第2面)の印刷を行っているので、第2面の印刷の後トナーパターンを形成して、定着オイルを除去している。
【0056】
ここで、紙間のタイミングでトナー除去バイアスを印加させるのと並行して、感光体ドラム1に次の印刷のためのトナー像を生成し、更に中間転写ベルトとのニップ位置でトナー像の転写を行っておけば、定着オイル除去を印刷の合間におこなうことができ、全体の印刷時間を短縮できる。
【0057】
この場合、トナー除去バイアスが大きいと、このバイアスがローラを介してニップ位置に作用し、転写動作に影響を及ぼし、次の画像印刷で画像チリや白ポチなどの画像不良が発生するおそれがある。そこで、本例では、定着オイル除去用のバイアス電圧の値を転写バイアス電圧の値よりも小さく設定して、トナー除去バイアスが転写に悪影響を与えないようにしている。
【0058】
本発明者は、トナー除去バイアス電流を、転写バイアス電流(数μA〜数百μA程度)の13パーセント以内の大きさに設定すれば、転写への副作用・画像不良を十分に防止できることを実験により確認している。従ってトナー除去バイアス電流を転写バイアス電流の13パーセント以内の大きさに設定することが望ましい。尚、定電流制御された転写バイアスに対して、トナー除去バイアス電流の大きさを設定することが望ましい。
【0059】
また、本実施例では、定着オイル除去制御手段50で設定する前記定着オイルの除去動作の実行時間及び形成するトナーパターンの長さは、印刷する転写材の搬送方向の長さ、印刷する転写材の種類、形成する画像面積率及び環境条件に基づいて決定することができる。実験等でこれらの条件に基づく実行時間及びトナーパターンの長さを定めておき、定着オイル除去制御手段50のRAM等に格納し、使用する用紙等の条件を手動又は自動的に読み取り各条件を決定する。このような制御を行うことにより、各種の条件に最適な定着オイル除去処理が可能となり、画像不良やフィルミングを防止することができる。
【0060】
次に第2の実施例に係る定着オイルの除去タイミングについて説明する。図7は第2の実施例に係る定着オイル除去のタイミングを示すタイミングチャートである。本例は、第2面(裏面)に印刷(二次転写)をしたのち、次の印刷が開始されるまでの時間内に2次転写ローラ19にトナーパターンを転写し、このトナーパターンに転写バイアス電圧を印加して2次転写ローラ19にトナーパターンを転写するものである。この例では、時刻t1でトナーパターンの転写を完了させ、転写バイアスをOFFにし、その後、時刻t2で清掃補助手段30による定着オイル除去用のバイアス電圧をONにして所定時間だけ定着オイル除去用のバイアス電圧を印加する。次いで、定着オイル除去用のバイアス電圧を時刻t3にOFFして、時刻t4で次の印刷のタイミングで転写用のバイアス電圧をONする。本例は、このように両バイアス電圧の印加タイミングを制御するので、転写動作中に除去バイアスが印加されることがなく、転写に副作用を与える不具合はない。画像チリや白ポチなどの画像不良の問題を確実に防止できる。
【0061】
更に第3の実施例に係る定着オイルの除去タイミングについて説明する。図8は第3の実施例に係る定着オイル除去のタイミングを示すタイミングチャートである。本例では、一連の印刷ジョブが終了した後の印刷待機時に定着オイルの除去を行う。すなわち、印刷ジョブが終了を待って、トナーパターン転写、定着オイル除去用バイアス電圧の印加、定着オイル除去を実行する。この例では、印刷時を避けるようにして定着オイルの除去を行うようにしているので、タイミングを詳細に設定する必要がなく、実行タイミングを高い自由度で設定できる。また、転写動作(印刷)を行わないときに定着オイル除去用バイアス電圧を印加することになるので、印刷条件に悪影響を与えることなく、画像チリや白ポチなどの画像不良の問題を防げる。
【0062】
尚、前記実施例では、画像形成装置として二次転写装置を備え、二次転写ベルト等に転写したトナー像を記録媒体Pに転写するものを例として説明したが、本発明は、像担持体である感光体上に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する画像装置に適用することができる。この場合、像担持体に対向して配置される転写ローラ等の転写体に清掃補助手段を設け、上述した実施例と同様の処理を行えばよい。
【符号の説明】
【0063】
1Y,1C,1M,1K 感光体ドラム
6Y,6C,6M,6K 作像ユニット
7 書込ユニット
8 中間転写ベルト
9Y,9C,9M,9K 転写ローラ
15 中間転写ユニット
18 転向ローラ
19 2次転写ローラ
20 定着器
26 給紙トレイ
28 レジストローラ
29 正逆反転ローラ
30 清掃補助手段
31 ブラシ部材
32 電源
40 清掃ブレード
50 定着オイルの層
60 定着オイル除去制御手段
61 現像ローラ
62 現像器
63 クリーナ
64 帯電器
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開2000−275988号
【特許文献2】特開2000−137403号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上のトナー画像が転写される中間転写体と、前記像担持体上のトナー画像を前記中間転写体上に転写する第一の転写手段と、前記中間転写体上のトナー画像を転写材に転写する第二の転写手段と、前記第二の転写手段の表面を清掃する清掃手段と前記第二の転写手段により転写されたトナー画像を前記転写材に定着させる定着手段とを有し、
前記定着手段で定着オイルを用いる画像形成装置において、
前記第二の転写手段に付着した前記定着オイルの付着領域を含む領域を覆うトナーパターンを作成するトナーパターン作成手段と、
前記第二の転写手段に転写したトナーパターンと同極性のバイアス電圧を印加する手段を備えると共に前記第二の転写手段に接触して転写されたトナーパターンに対して前記バイアス電圧で斥力を与える清掃補助手段と、を備え、
前記転写材への両面印刷の後、前記トナーパターン作成手段で前記第二の転写手段に所定のトナーパターンを生成し、前記清掃手段で前記定着オイルを前記トナーパターンと共に除去することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
表面にトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上のトナー画像を記録材に転写する転写手段と、前記転写手段の表面を清掃する清掃手段と、前記転写手段により転写されたトナー画像を前記転写材に定着させる定着手段と、を有し、
定着時に定着オイルを用いる画像形成装置において、
前記転写手段に転写したトナーパターンと同極性のバイアス電圧を印加する手段を備えると共に前記転写手段に接触して転写されたトナーパターンと定着オイルとを混合する清掃補助手段と、を備え、
前記転写材への両面印刷の後前記トナーパターン作成手段で前記転写手段に所定のトナーパターンを生成し、前記清掃手段で前記定着オイルを前記トナーパターンと共に除去することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記清掃補助手段に印可する定着オイル除去のためのバイアス電圧の値は転写のために印可するバイアス電圧の値よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー除去時のバイアス電圧の印加は、前記転写のためのバイアス電圧の印加がされていないとき行うことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記清掃補助手段は、前記清掃手段の上流側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着オイルの除去動作の実行時間及び形成するトナーパターンの長さは、印刷する転写材の搬送方向の長さに基づいて決定されることを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記定着オイルの除去動作の実行時間及び形成するトナーパターンの長さは、印刷する転写材の種類に基づいて決定されることを特徴とする請求項1から請求項6までの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記定着オイルの除去動作の実行時間及び形成するトナーパターンの長さは、形成する画像面積率に基づいて決定されることを特徴とする請求項1から請求項7までの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記定着オイルの除去動作の実行時間及び形成するトナーパターンの長さは、環境条件に基づいて決定されることを特徴とする請求項1から請求項8までの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記清掃補助手段は、ブラシ状の回転部材を備えることを特徴とする請求項1から請求項9までの何れか一項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−197110(P2011−197110A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61238(P2010−61238)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】