説明

画像形成装置

【課題】サブタンクの液体残量に応じて変位する変位部材を装置本体側の検知手段で検知して満タン検知を行なうようにした場合に印字速度が低下する。
【解決手段】キャリッジ33を所定の満タン検知を行なう位置に移動させて、サブタンク35にインク供給を行い、第1センサ251がサブタンク35の変位部材205を検知するまで充填し、更にそのまま送液を継続して第2センサ301がサブタンク35の変位部材205を検知するまで充填を行なって、第1センサ251がサブタンク35の変位部材205を検知してから第2センサ301がサブタンク35の変位部材205を検知するまでの送液量を差分送液量として検出して保持し、印字動作中は第1センサ251が変位部材205を検知した後差分供給量分の充填を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッド及び記録ヘッドに液体を供給するサブタンクを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
このような画像形成装置において、記録ヘッドにインクを供給するサブタンク(ヘッドタンク、バッファタンクとも称される。)を備え、装置本体側に着脱自在に装着されるメインタンク(インクカートリッジとも称する)からサブタンクに対してインクを供給する方式のものが知られている。
【0005】
このような画像形成装置において、記録ヘッドにインクを供給するサブタンク(ヘッドタンク、バッファタンクとも称される。)を備え、記録ヘッドのノズルからのインクの染み出しやダレを防止するために負圧を発生する負圧形成機能(機構)をサブタンクに持たせたものが知られている。このサブタンクは、インクを収容するインク収容部の一面を形成する可撓性部材(フィルム部材)と、可撓性部材を外方に付勢する弾性部材とを含む負圧形成手段を有し、インク収容部内を大気に開放する開閉可能な大気開放機構を有して、インク収容部から記録ヘッドにインクを供給する構成となっている。
【0006】
そして、このサブタンクには可撓性部材の変位に応じて変位する変位部材(検知部材、検知フィラともいう。)を設け、サブタンクの大気開放機構を開放してメインタンクからサブタンクにインクを供給する大気開放充填を行なうときには、キャリッジを所定の検知位置(満タン充填位置)に移動し、装置本体側に設けた大気解放機構の駆動手段を作動させてサブタンクを大気開放した状態で、キャリッジを予め定めたキャリッジ位置に移動させた状態からインク充填を行なって、装置本体側の検知手段が変位部材を検知したときを満タン充填位置とするようにしている(特許文献1ないし9)。
【0007】
この場合、印字動作中でもインクの補充供給を行えるようにするため、印刷中のインク消費量が予め定めた第1の所定値以上のとき、印刷中にメインタンクからサブタンクに対して供給したインク供給量に相関する情報に基づき、供給量が予め定めた第2の所定値以下のときにはメインタンクからサブタンクに対してインク供給を行い、供給量が第2の所定値を超えているときにはメインタンクからサブタンクに対してインク供給を行わないようにしている(上記特許文献9)。
【0008】
なお、上述したようなサブタンク構成ではなく、サブタンクにインク残量検出手段を設けて印字動作中もインク供給を行なうものもある(特許文献10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4298464号公報
【特許文献2】特許第4190001号公報
【特許文献3】特許第4155879号公報
【特許文献4】特開2007−015153号公報
【特許文献5】特開2007−130979号公報
【特許文献6】特開2008−132638号公報
【特許文献7】特開2009−023329号公報
【特許文献8】特開2009−274325号公報
【特許文献9】特開2009−023092号公報
【特許文献10】特許第3219326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、サブタンクにインク残量に応じて変位する変位部材を有し、装置本体側でサブタンクの満タン検知を行なうようにした場合、メインタンクからサブタンクにインクを供給するときに、キャリッジを所定の充填満タン位置まで移動しなければならず、印字動作中にサブタンク内のインク残量が少なくなると供給動作を行なうために印字動作を中断しなければならなくなり、印字速度が低下するという課題がある。
【0011】
この場合、サブタンクのインク消費量を吐出滴数のカウントなどによって算出し、消費量に相当する供給量でメインタンクからインク供給を行なうこともできるが、正確に充填満タン位置の検知を行なっていないために、供給不足による過剰負圧、あるいは、供給過剰による過小負圧になるおそれがあり、必ず、定期的にキャリッジを充填満タン検知位置にして大気開放充填を行なう必要があり、印字動作を中断しなければならなり、印字速度が低下するという課題は残る。
【0012】
また、キャリッジ側にサブタンクのインク残量を検出する手段やサブタンクの大気開放機構を駆動する手段を備えて、サブタンクに対するインク供給を制御するために必要な部材や手段をキャリッジに搭載することも考えられるが、このような構成を採用すると、キャリッジ重量が増加するという課題や、キャリッジサイズが大きくなり、装置全体が大型化するという課題が生じることになる。
【0013】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、サブタンクの液体残量に応じて変位する変位部材を装置本体側の検知手段で検知して満タン検知を行なうようにした場合でも、印字動作中のサブタンクへの満タン充填を行なえるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容するサブタンクと、
前記記録ヘッド及び前記サブタンクを搭載したキャリッジと、
前記サブタンクに供給する液体を収容するメインタンクと、
前記メインタンクから前記サブタンクへの液体供給を行なう送液手段と、を備え、
前記サブタンクは液体残量に応じて変位する変位部材を有し、
前記キャリッジには前記変位部材が所定の第1位置になったことを検知する第1検知手段が設けられ、
装置本体側には、前記変位部材が所定の第2位置になったことを検知する第2検知手段が設けられ、
前記第1位置は前記第2位置よりも前記サブタンクの液体残量が少ない位置であり、
前記変位部材が前記第1検知手段で検知される位置と前記第2検知手段で検知される位置との間の前記変位部材の変位量に対応する差分供給量を検出して保持し、
前記第2検知手段を使用しないで前記メインタンクから前記サブタンクに液体を供給するとき、前記第1検知手段が前記変位部材を検知した後前記差分供給量の液体を前記サブタンクに供給する制御を行なう手段を備えている
構成とした。
【0015】
ここで、前記差分供給量の供給は、前記変位部材が前記第1位置から前記第2位置に移動するまでに要する前記送液手段の駆動時間で制御する構成とできる。
【0016】
また、前記差分供給量の供給は前記変位部材が前記第1位置から前記第2位置に移動するまでに要する前記送液手段の回転数で制御する構成とできる。
【0017】
また、前記差分供給量の供給は前記変位部材の変位量を検出して制御する構成とできる。
【0018】
また、装置の環境温度及び環境湿度の少なくともいずれかを検出する手段を有し、検出結果と予め定めた閾値との差が所定値以上になったときには、前記差分供給量の検出動作を行う構成とできる。
【0019】
また、前記第1位置は、装置の環境温度及び環境湿度の少なくともいずれかが予め定めた所定値であるときに前記第2位置との間の前記変位部材の変位量が予め定めた所定範囲内に収まる位置である構成とできる。
【0020】
また、前記第2検知手段を使用しないで前記メインタンクから前記サブタンクに液体を供給するときは、前記記録ヘッドから吐出した吐出量が予め定めた所定量を超えたときである構成とできる。
【0021】
また、前記記録ヘッドから吐出した吐出量が予め定めた所定量以上になっても前記第1検知手段が前記変位部材を検出しないときには、前記第1検知手段が前記変位部材を検知するまで液体を吐出する制御を行なう構成とできる。
【0022】
この場合、記第1検知手段が前記変位部材を検知するまで液体を吐出する制御を行なった回数が予め定めた所定回数になったときには、前記記録ヘッドからの滴吐出動作を停止する構成とできる。
【0023】
また、前記キャリッジの走査中で、前記キャリッジの走査方向が、前記サブタンクの前記変位部材が走査方向前方側に向かう方向であるときに、前記サブタンクに液体を供給する構成とできる。
【0024】
また、前記差分供給量の検出を行うときに、前記第1検知手段が前記変位部材を検知するまで、前記サブタンクから前記メインタンク側に液体を吸引させて前記変位部材を変位させる構成とできる。
【0025】
また、前記第2検知手段を使用しないで前記メインタンクから前記サブタンクに液体を供給するとき、前記第1検知手段が前記変位部材を検知した位置よりも液体残量が少ない予め定めた液体消費量になったときに前記メインタンクから前記サブタンクに液体を供給する構成とできる。
【0026】
この場合、
前記変位部材は変位方向に少なくとも2以上の検知部位を有し、
前記第1検知手段が前記変位部材の液体残量が少ない側の検知部位を検知したときから前記液体消費量を算出し、
前記第1検知手段が前記変位部材の液体残量が多い側の検知部位を検知したときから前記差分供給量の供給を開始する
構成とできる。
【0027】
また、前記変位部材は少なくとも2以上の検知部位を有し、
前記差分供給量の液体を供給するために前記第1検知手段で検知する前記変位部材の検知部位を、前記差分供給量に応じて切り替える構成とできる。
【0028】
また、前記2以上の検知部位が前記変位部材の変位方向の両端部である構成とできる。
【0029】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容するサブタンクと、
前記記録ヘッド及び前記サブタンクを搭載したキャリッジと、
前記サブタンクに供給する液体を収容するメインタンクと、
前記メインタンクから前記サブタンクへの液体供給を行なう送液手段と、を備え、
前記サブタンクは液体残量に応じて変位する変位部材を有し、
前記キャリッジには前記変位部材の少なくとも2以上の検知部位を検知する検知手段が設けられ、
前記変位部材の少なくとも2以上の検知部位のうちの1つの検知部位が前記検知手段で検知される位置と他の1つの検知部位が前記検知手段で検知される位置との間で、前記変位部材が変位するように前記サブタンクに対する液体供給を制御する手段を有する
構成とした。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る画像形成装置によれば、サブタンクは液体残量に応じて変位する変位部材を有し、キャリッジには変位部材が所定の第1位置になったことを検知する第1検知手段が設けられ、装置本体側には、変位部材が所定の第2位置になったことを検知する第2検知手段が設けられ、第1位置は第2位置よりもサブタンクの液体残量が少ない位置であり、第1検知手段で検知される位置と第2検知手段で検知される位置との間の変位部材の変位量に対応する差分供給量を検出して保持し、第2検知手段を使用しないでメインタンクからサブタンクに液体を供給するとき、第1検知手段が変位部材を検知した後差分供給量の液体をサブタンクに供給する制御を行なう手段を備えている構成としたので、キャリッジの移動中でもサブタンクにメインタンクから適切な量の液体を供給することができ、印刷速度の向上を図れる。
【0031】
本発明に係る画像形成装置によれば、サブタンクは液体残量に応じて変位する変位部材を有し、キャリッジには変位部材の少なくとも2以上の検知部位を検知する検知手段が設けられ、変位部材の少なくとも2以上の検知部位のうちの1つの検知部位が検知手段で検知される位置と他の1つの検知部位が検知手段で検知される位置との間で、変位部材が変位するようにサブタンクに対する液体供給を制御する手段を有する構成としたので、キャリッジの移動中でもサブタンクにメインタンクから適切な量の液体を供給することができ、印刷速度の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態の説明に供する画像形成装置の機構部の側面概略構成図である。
【図2】同機構部の要部平面説明図である。
【図3】サブタンクの一例を示す模式的平面説明図である。
【図4】同じく図3の模式的正断面説明図である。
【図5】インク供給排出系の説明に供する模式的説明図である。
【図6】制御部の概要を説明するブロック説明図である。
【図7】サブタンクの負圧形成動作の説明に供する説明図である。
【図8】サブタンク内の負圧とインク量の関係の説明に供する説明図である。
【図9】サブタンク内のインク量を満タンに設定する方法の説明に供する説明図である。
【図10】第2センサのみを用いてサブタンク内のインク量を満タンに設定する方法の説明に供する説明図である。
【図11】第1、第2センサのみを用いてサブタンク内のインク量を満タンに設定する方法の説明に供する説明図である。
【図12】第1センサ及び第2センサの配置例の一例を説明する説明図である。
【図13】第1センサ及び第2センサの配置例の他の例を説明する説明図である。
【図14】制御部による差分供給量の検出処理の説明に供するフロー図である。
【図15】同じく印字中充填の説明に供するフロー図である。
【図16】本発明の第2実施形態の説明に供する説明図である。
【図17】本発明の第3実施形態の説明に供するサブタンクの模式的平断面説明図である。
【図18】同じく湿度と変位部材の変位量の関係の一例を示す説明図である。
【図19】同実施形態の説明に供する説明図である。
【図20】本発明の第4実施形態の説明に供するキャリッジ走査中のサブタンク内の圧力変動を説明する説明図である。
【図21】同じくキャリッジ走査方向と変位部材の傾きの説明に供する説明図である。
【図22】本発明の第5実施形態の説明に供するサブタンクの模式的説明図である。
【図23】本発明の第6実施形態における変位部材の各位置の説明に供する説明図である。
【図24】同じく差分供給量の検出の説明に供する説明図である。
【図25】同じく動作説明及び作用効果の説明に供する説明である。
【図26】第1センサ及び第2センサの配置例の更に異なる例を説明する説明図である。
【図27】本発明の第7実施形態の説明に供する説明図である。
【図28】本発明の第8実施形態の説明に供する説明図である。
【図29】本発明の第9実施形態の説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、後述する主走査モータによってタイミングベルトを介してキャリッジ主走査方向に移動走査する。
【0034】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0035】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0036】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク35a、35b(区別しないときは「サブタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のメインタンクであるインクカートリッジ10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して、各色の記録液が補充供給される。
【0037】
また、キャリッジ33の主走査方向に沿ってエンコーダスケール91が配設され、キャリッジ33にはエンコーダスケール91を読み取るエンコーダセンサ92が設けられて、これらのエンコーダスケール91とエンコーダセンサ92によってリニアエンコーダ90を構成し、このリニアエンコーダ90の検出信号によってキャリッジ33の主走査方向位置(キャリッジ位置)や移動量を検出するようにしている。
【0038】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0039】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0040】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、後述する副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0041】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0042】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0043】
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
【0044】
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0045】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0046】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0047】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0048】
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0049】
次に、サブタンク35の一例について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は同サブタンク35の1つのノズル列分の模式的上面説明図、図4は同じく模式的正面説明図である。
サブタンク35は、インクを保持するための一側部が開口したインク収容部を形成するタンクケース201を有し、このタンクケース201の開口部は可撓性部材である可撓性フィルム203で密閉してインク収容部202を形成し、タンクケース201内に配置した弾性部材としてバネ204によって可撓性フィルム203を常時外方へ付勢している。これにより、タンクケース201のフィルム203がバネ204によって外方への付勢力が作用しているので、タンクケース201のインク収容部202内のインク残量が減少することによって負圧が発生する。
【0050】
また、タンクケース201の外側には、一端部側を支軸206で揺動可能に支持され、スプリング210によってタンクケース201側に向けて付勢されているフィラからなる変位部材(以下、単に「フィラ」とも表記することがある。)205がフィルム203に接着などで固定され、可撓性フィルム203の動きに連動して変位部材205が変位する。この変位部材205をキャリッジ33に設ける後述する第2検知手段(第2センサ)301や装置本体側に配置された後述する第1検知手段(第1センサ、満タン検知センサ)251などで検知することでサブタンク35内のインク残量や負圧などを検知することができる。
【0051】
また、タンクケース201の上部には、インクカートリッジ10からインクを供給するための供給口209があり、インク供給チューブ36に接続されている。また、タンクケース201の側部には、サブタンク35内を大気に開放する大気開放機構207が設けられている。この大気開放機構207は、サブタンク35内に連通する大気開放路207aを開閉する弁体207b及びこの弁体207bを閉弁状態に付勢するスプリング207cなどを備え、装置本体側の大気開放ソレノイド302によって弁体207bを押すことで開弁されて、サブタンク35内に大気開放状態(大気に連通した状態)になる。
【0052】
また、サブタンク35内のインク液面高さを検出するための電極ピン208aと208bが取り付けられている。インクは電導性を持っており、電極ピン208aと208bの所までインクが到達すると、電極ピン208aと208b間に電流が流れて両者の抵抗値が変化するため、インク液面高さが所定高さ以下になった、すなわち、サブタンク35の空気量が所定量以上になったことを検出することができる。
【0053】
次に、この画像形成装置におけるインク供給排出系について図5を参照して説明する。
まず、インクカートリッジ(以下、「メインタンク」という。)10からサブタンク35に対するインク供給は、供給ユニット24の送液手段である送液ポンプ241によって供給チューブ36を介して行なわれる。なお、供給ポンプ241は、チューブポンプなどで構成した可逆ポンプであり、インクカートリッジ10からサブタンク35にインクを供給する動作と、サブタンク35からインクカートリッジ10にインクを戻す動作とを行なえるようにしている。
【0054】
また、維持回復機構81は、前述したように記録ヘッド34のノズル面をキャッピングする吸引キャップ82aと、吸引キャップ82aに接続された吸引ポンプ812を有し、キャップ82aでキャッピングした状態で吸引ポンプ812を駆動することで吸引チューブ811を介してノズルからインクを吸引することによってサブタンク35内のインクを吸引することができる。なお、吸引された廃インクは廃液タンク813に排出される。
【0055】
また、装置本体側にはサブタンク35の大気解放機構207を開閉する押圧部材である大気開放ソレノイド302が配設され、この大気開放ソレノイド302を作動させることで大気解放機構207を開放することができる。
【0056】
さらに、キャリッジ33には変位部材205を検知する第1検知手段である光学センサからなる第1センサ251が設けられ、装置本体側には変位部材205を検知する光学センサからなる第2検知手段である第2センサ301が設けられている。後述するように、これらの第1、第2センサ251、301の検知結果を使用してサブタンク35に対するインク供給動作を制御する。
【0057】
なお、上述した送液ポンプ241、大気開放ソレノイド302、吸引ポンプ812の駆動制御、本発明に係るインク供給動作は、制御部500によって行なわれる。
【0058】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図6を参照して説明する。なお、同図は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司り、本発明に係る制御手段などを兼ねるCPU501と、CPU501が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
【0059】
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81の維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510と、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511と、サブタンク35の大気開放機構207を開閉する装置本体側に設けられた大気開放ソレノイド302、送液ポンプ241を駆動する供給系駆動部512などを備えている。
【0060】
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0061】
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0062】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0063】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0064】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド7を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0065】
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ制御部510、ACバイアス供給部511の制御、サブタンク35に対するインク供給の制御などに使用する。
【0066】
センサ群515は、前述した第1センサ251、第2センサ301、検知電極ピン208a、208bのほか、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ(環境温度センサ、環境湿度センサ)、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0067】
次に、このように構成した画像形成装置におけるサブタンク35の負圧形成動作について図7を参照して説明する。
図7(a)に示すように、サブタンク35にメインタンク10からインクを供給した後、上述したようにしてサブタンク35からインクを吸引し、あるいは、記録ヘッド34を駆動して滴吐出(画像形成に寄与しない液滴の吐出:空吐出)を行ない、サブタンク35内のインク量を減少させることで、同図(b)に示すように、スプリング204の付勢力に抗して可撓性フィルム203が内側に変位しようとし、スプリング204の付勢力でサブタンク35内に負圧が発生する。
【0068】
さらに、送液ポンプ241にてサブタンク35内を吸引することで、可撓性フィルム203がサブタンク35の内方に引き込まれ、スプリング204が更に圧縮されて負圧が高まる。
【0069】
この状態からサブタンク35内へインクを供給すると、可撓性フィルム203がサブタンク35の外方向に押し出されるので、スプリング204が伸びて負圧が低下する。
【0070】
これらの動作を繰り返すことで、サブタンク35内の負圧を一定内に保つよう制御することができる。
【0071】
すなわち、図8に示すように、サブタンク35内の負圧はサブタンク35内のインク量と相関関係にあり、サブタンク35内のインク量が多いとき、サブタンク35内の負圧は小さく弱い状態であり、インク量が少ないとき、サブタンク35内の負圧は大きく強くなる。そして、サブタンク35内の負圧が弱すぎると記録ヘッド34からインクが漏液することになり、負圧が強すぎると記録ヘッド34から空気や塵を混入してしまい、吐出不良が生じやすくなる。
【0072】
そこで、サブタンク35内の負圧が所定の負圧制御範囲A内に収まるサブタンク35内のインク量Bの範囲内になるように、サブタンク35に対するインク供給を制御するようにしている。なお、以下では、この負圧制御範囲Aの下限値(負圧が小さい値、インク量が多い値)に対応するサブタンク35のインク量を変位部材205の変位位置で「充填満タン位置」と表記し、負圧制御範囲Aの上限値(負圧が大きい値、インク量が少ない値)に対応するインク量を変位部材205の変位位置で「インク空位置」(インク残量なしとして設定する位置)と表記する。
【0073】
次に、サブタンク35内のインク量を充填満タン位置に設定する方法について図9を参照して説明する。なお、以下の図ではサブタンク35は図3及び図4と異なり模式的に示している。
まず、図9(a)に示す状態から、大気解放機構207を開いてサブタンク35内の負圧を開放することで、図9(b)に示すようにサブタンク35内の液面が低下する。なお、このとき、供給口部209の供給口209aは液面下にあることが好ましい。すなわち、供給口209aが液面上になると、供給口209aか供給口部209を介して供給チューブ36に空気が混入し、次にインクを供給したとき、供給口209aからインクと共に気泡が排出されることがあり、そのまま供給を続けると、気泡が大気解放機構207内に付着して、弁の固着や液漏れを生じるおそれがある。
【0074】
そして、サブタンク35の負圧が開放され、液面が下がった後、図9(c)に示すように、インク300を供給する。インク300を供給することで液面が上昇し、電極ピン208a、208bが所定高さの液面を検知するまで、つまり所定の位置までインク300を供給する。その後、大気解放機構207を閉じて、例えば所定量インクを吸引排出することで、所定の負圧値となり、サブタンク35のインク量を所定の負圧値が得られる充填満タン位置にすることができる。
【0075】
次に、サブタンク35の変位部材205の変位量の検知について図10及び図11を参照して説明する。
まず、図10を参照して、装置本体側に設けられた第2センサ(満タン検知センサ)301のみを使用して変位量を検知する場合について説明すると、図5(a)に示すように、第2センサ301がサブタンク35の変位部材205を検知しているときのキャリッジ33の位置(キャリッジ位置:リニアエンコーダ90によって得られる。)を記憶しておき、図10(b)に示すように変位部材205が実線図示の位置から破線図示の位置まで変位した場合に、第2センサ301が変位部材205を検知するまでキャリッジ33を移動することで、記憶したキャリッジ位置との差分(キャリッジ移動量)を変位量として得ることができる。
【0076】
ここで、サブタンク35のインク量を前述した充填満タン位置に設定する場合、例えば、前述したように、大気開放機構207を開放状態にしてサブタンク35内を大気圧にした後、電極ピン208が液面を検知する所定の位置までインク供給して大気開放機構207を閉じる。このとき、キャリッジ33を走査することで、変位部材205を第2センサ301で検知させ、第2センサ301が検知したときのキャリッジ位置を大気開放位置として記憶する。そして、記録ヘッド34からインクを所定量吸引排出してサブタンク35から所定量を吸引することで負圧を発生させ、このときの変位部材205の位置を充填満タン位置として設定する。大気開放位置から所定量を吸引するので、充填満タン位置の変位部材205の位置は大気開放位置よりも内側の位置になる。
【0077】
この構成だけでは、サブタンク35に充填満タン位置までインクを充填する動作を行うときには、サブタンク35の変位部材205の変位量を検知する必要があるので、その度に変位部材205を第2センサ301による検知可能位置に合わせてキャリッジ33を移動させる必要がある。
【0078】
そこで、図11を参照して、本発明では、装置本体側の第2センサ301とともに、キャリッジ33にサブタンク35の変位部材205を検知する第1センサ251を備えている。
【0079】
つまり、装置本体1側の第2センサ301が変位部材205を検知する位置を第2位置とし、この第2位置を充填満タン位置とする。また、キャリッジ33側の第1センサ301が変位部材205を検知する位置を第1位置とし、この第1位置は第2位置よりもサブタンク35内のインク残量が少ない位置とする。
【0080】
言い換えれば、ここでは、キャリッジ33には変位部材205が所定の第1位置になったことを検知する第1検知手段(第1センサ)251が設けられ、装置本体1側には、キャリッジ33を所定の検知位置(満タン検知位置)に停止させてメインタンク10からサブタンク35に液体を充填するときに変位部材205が所定の第2位置(充填満タン位置)になったことを検知する第2検知手段(第2センサ)301が設けられ、第1位置は第2位置よりもサブタンク35の液体残量が少ない位置としている。
【0081】
そして、サブタンク35のインク量を前述した充填満タン位置に設定する(充填満タン位置になるまでインク充填を行なう)場合には、図11(a)に示すように第2センサ301によって変位部材205が検知された大気開放位置から、図11(b)に示すように、充填満タン位置の検知位置にキャリッジ33を移動させ、図11(c)に示すように変位部材205が第1センサ251で検知される位置を通過するまで送液ポンプ241を逆転駆動してサブタンク35内をメインタンク10側に向けて吸引した後、送液ポンプ241を正転駆動してメインタンク10からサブタンク35にインクを供給(送液)し、図11(d)に示すように第2センサ301が変位部材205を検知したとき(充填満タン位置になったとき)に送液を停止する。
【0082】
ここで、第1センサ251が変位部材205を検知した時点から充填満タン位置となる第2センサ301が変位部材205を検知するまでの間における送液ポンプ241による送液量を検出することで、第1センサ251の検知位置から第2センサ301の検知位置までに変位部材205(可撓性フィルム203)が変位した変位量Cを得ることができる。この変位量Cに相当する供給量が差分供給量となるので、これを記憶する。
【0083】
この場合、変位量Cは、第1センサ251が変位部材205を検知した時点から充填満タン位置となる第2センサ301が変位部材205を検知するまでの時間(送液ポンプ241の駆動時間)又は回転数(送液ポンプ241の駆動回転数)として得ることもできる。
【0084】
このようにして、差分供給量(変位量C)を得て記憶しておき、キャリッジ33の走査中にインクが所定量吐出されたことを検出したとき(インク消費量が所定量以上になったとき)に、メインタンク10からサブタンク35にインクを供給充填し、第1センサ251でサブタンク35の変位部材205を検知した後、更に差分供給量分のインクを供給することで、サブタンク35内に充填満タン位置までインクを供給することができる。
【0085】
この場合、第1センサ251による検知は位置検知であるので、インクの吐出量の検知誤差や、送液ポンプ241の送液量の検知誤差など、検知誤差の積み上がりは、第1センサ251が検知した時点でなくなり、検知誤差が積み上がることなく、キャリッジ33を走査中でも、インク吐出及びインク供給を繰返し行うことができるようになる。
【0086】
これら一連の動作を繰り返すことにより、印刷動作を途中で中断することなく、常にサブタンク35に充填満タン位置までインクを供給することができ、印刷速度や印刷効率の向上を図ることができる。
【0087】
ここで、第1センサ及び第2センサの配置例の異なる例について図12及び図13を参照して説明する。
図12に示す例は、サブタンク35の変位部材205に支軸206(揺動支点)からの長さの異なる検知部205a、205bを設けて、キャリッジ33の第1センサ251で検知部205aを、装置本体側の第2センサ301で検知部205bを検知する構成としている。
【0088】
図13に示す例は、サブタンク35の変位部材205に支軸206(揺動支点)からの長さが同じ検知部205a、205bを設けて、キャリッジ33の第1センサ251で検知部205aを、装置本体側の第2センサ301で検知部205bを検知する構成としている。
【0089】
次に、検知した変位量Cに応じて印字動作中にサブタンク35にインクを供給するときの供給量について説明する。
この場合、検知した変位量Cが、送液ポンプ241が殆ど駆動しないような微量である所定下限値以下の場合、印字動作中に送液するとき、第1センサ251が変位部材205を検知してからの差分送液量を所定下限値に相当する量に、また、検知した変位量Cが所定上限値以上の場合は、差分送液量は第1センサ251が変位部材205を検知してから所定上限値に相当する量に設定するようにしている。
【0090】
そこで、制御部による上述した動作の制御について図14及び図15のフロー図を参照して説明する。
まず、図14に示す差分供給量検出処理では、キャリッジ33をホーム位置に移動してキャップ82aでキャッピングし、サブタンク35の大気開放機構207を開き、電極ピン208a、208bによって液面を検知しながら、メインタンク10からサブタンク35にインクを充填する大気開放充填を行なう。
【0091】
その後、サブタンク35の大気開放機構207を閉じ、キャリッジ33を移動させ、移動量を検出しながら、装置本体側の第2センサによってサブタンク35の変位部材205を検知して、充填満タン位置を算出する。
【0092】
次いで、キャリッジ33を充填満タン位置に移動させ、送液ポンプ241を逆転駆動してサブタンク35内を吸引し、サブタンク35の変位部材205が第1センサ251を通過するまで吸引を行なう。
【0093】
その後、送液ポンプ241を正転駆動してメインタンク10からサブタンク35にインクを供給し、第1センサ251がサブタンク35の変位部材205を検知するまで充填し、更にそのまま送液を継続して第2センサ301がサブタンク35の変位部材205を検知するまで充填を行なった後、送液ポンプ241を停止する。
【0094】
そして、第1センサ251がサブタンク35の変位部材205を検知してから第2センサ301がサブタンク35の変位部材205を検知するまでの送液量(例えばポンプ駆動時間やポンプ回転する)を算出する。
【0095】
この算出した送液量が予め定めた所定下限値以下であれば当該所定下限値を、予め定めた所定上限値以上であれば当該所定上限値を差分供給量として記憶し、所定下限値と所定上限値の範囲内であれば、算出した送液量差分供給量として記憶する。
【0096】
このようにして、第2センサ301の検知位置が充填満タン位置となる位置にキャリッジ33を停止させて、メインタンク10からサブタンク35に液体を充填(供給)し、第1センサ251が変位部材205を検知した後第2センサ301が変位部材205を検知するまでの変位部材205の変位量に対応する差分供給量を検出して保持する。
【0097】
次に、図15を参照して、印字動作中充填処理では、サブタンク35のインク消費量を算出する。このインク消費量の算出は、例えば画像形成のために吐出された滴数や印字動作中の空吐出動作で吐出された滴数をカウントし、そのカウント値に当該滴の滴量を乗じることで計算上得ることができる(ソフトカウントという。)。また、記録ヘッド34からインクを吸引するクリーニング動作を行なったときには、当該吸引による消費量(吸引量)は予め定められているので、当該吸引量を加算すればよい。
【0098】
そして、充填満タン位置のインク量とインク消費量からサブタンク35の計算上のインク残量が所定値になったか否かを判別し、インク残量が所定値になったときには、送液ポンプ241を正転駆動してメインタンク10からサブタンク35へのインク充填を行なう。このとき、第1センサ251がサブタンク35の変位部材205を検知したか否かを判別し、第1センサ251がサブタンク35の変位部材205を検知したときには、そのときから更に差分供給量のインクをサブタンク35に充填する。これにより、サブタンク35には充填満タン位置までインクが充填される。
【0099】
その後、送液ポンプ241を停止し、インク消費量の計算値をリセットする。
【0100】
このようにして、印字動作中でも、キャリッジ33をホーム位置に戻すことなく、充填満タン位置までサブタンク35にインクを充填することができる。
【0101】
このように、サブタンクは液体残量に応じて変位する変位部材を有し、キャリッジには変位部材が所定の第1位置になったことを検知する第1検知手段が設けられ、装置本体側には、変位部材が所定の第2位置になったことを検知する第2検知手段が設けられ、第1位置は第2位置よりもサブタンクの液体残量が少ない位置であり、第1検知手段で検知される位置と第2検知手段で検知される位置との間の変位部材の変位量に対応する差分供給量を検出して保持し、第2検知手段を使用しないでメインタンクからサブタンクに液体を供給するとき、第1検知手段が変位部材を検知した後差分供給量の液体をサブタンクに供給する制御を行なう手段を備えている構成とすることで、キャリッジの移動中でもサブタンクにメインタンクから適切な量の液体を供給することができ、印刷速度の向上を図れる。
【0102】
ここで、キャリッジ33側の第1センサ251のみで検知を行わないで装置本体側にも第2センサ301を設ける理由について説明しておく。
まず、サブタンク35が満タンになる位置は環境によって変化し、その変化量はキャリッジ33に搭載した第1センサ251では一点の位置しか検知できないために把握することができない。そこで、装置本体側に第2センサ251を設けることで、環境によって変化する大気開放位置や満タン検知位置キャリッジ33を移動することで検出することができるようになる。
【0103】
つまり、キャリッジ33上の固定された検知点とキャリッジ33を移動することで検知位置を移動可能な検知点の2点間をポンプ駆動時間や駆動回転数、またはキャリッジ移動によるエンコーダカウントにより2点間距離を検出することができ、環境に応じた供給量制御を行なうことができるようになる。
【0104】
また、キャリッジ33上のみで全ての変位を確認できるセンサやエンコーダを搭載することは、検出手段のコストが高くなり、更にキャリッジサイズが大きくなることで装置が大型化するという問題を生じることになる。
【0105】
また、送液ポンプの送液量(供給量や吸引量)は環境や経年度合い、各ポンプの部品ばらつきなどによってバラツキが生じる。そのため、環境によって変化する装置本体側の第2センサ301による検知位置までのポンプ供給量をセンサによる位置検知にて確認する必要がある。これを、装置本体側に第2センサ301を設けないで、送液ポンプの駆動量だけで制御すると、供給過多や不足による障害が発生することになるので、装置本体側にも第2センサ301を設けて制御の安全性を確保している。
【0106】
次に、本発明の第2実施形態について図16を参照して説明する。なお、図16は同実施形態の説明に供する説明図である。
ここでは、変位部材205の第1センサ251で検知される位置と第2センサ301で検知される位置との間の変位量に対応する差分供給量を検出する方法として、図16(a)に示すように、第2センサ301が変位部材205を検知可能な位置にキャリッジ33を移動させ、図16(b)に示すように、変位部材205が大気開放位置又は充填満タン位置にある状態から送液ポンプ241の逆転動作にて、第1センサ251が変位部材205を検知するまでインク吸引してから逆転動作を停止し、図16(c)に示すように、第1センサ251を変位部材205が検知している状態で、キャリッジ33を第2センサ301が変位部材205を検知するまで移動し、その移動距離をリニアエンコーダ90で測定することで、大気開放位置又は充填満タン検出位置から第1センサ251が変位部材205を検知するまでの可撓性フィルム203又は変位部材205の変位量を検知し、変位量に相当する差分供給量を測定している。
【0107】
次に、本発明の第3実施形態について図17ないし図19を参照して説明する。なお、図17は同実施形態の説明に供する模式的平断面説明図、図18は湿度と変位部材の変位量の関係の一例を示す説明図、図19は同実施形態の説明に供する説明図である。
画像形成装置の周囲環境によってサブタンク35の可撓性フィルム203は変位する。環境の変化、例えば湿度の変化により可撓性フィルム203は伸縮するので、図16及び図17に示すように、低湿度10%RHの時の充填満タン位置である変位部材205の位置をDとした場合、そのまま湿度を高湿度80%RHまで上昇させると、可撓性フィルム203が伸びることで、変位部材205も同様に位置Eに変位する。
【0108】
つまり、周囲環境の変化によって、図18に示す変位部材205の大気開放位置Fや充填満タン位置Gが変化することとなる。
【0109】
そこで、第1センサ251は、可撓性フィルム203が所定の環境下で最も収縮するときの所定の検知位置に設置する。例えば、第1センサ251を最低湿環境時でも変位部材205を充填満タン位置Dにて検知可能な位置に設置する。
【0110】
このようにすることで、最低湿環境時に充填満タン位置Dに設定するとき、インク供給により変位する変位部材205が充填満タン位置Dまで変位したとき、第1センサ251にて変位部材205を検知するとともに、第2センサ301も変位部材205を検知し(変位量C=0となる。)、高湿環境時に充填満タン位置Eに設定するとき、第1センサ251が必ず先に変位部材205を検知し、その後、第2センサ301が変位部材205を検知するようになる。
【0111】
このとき、第1センサ251による検知から第2センサ301による検知までの変位量C(max)を記憶することで、印字動作中でも第1センサ251の検知位置H(図19)から変位量C分をインク供給することで、各環境に適した充填満タン位置を設定することが可能となる。
【0112】
また、変位量Cを再測定(再検出)するときは、例えば、周囲環境を検知する湿度検出手段を用いて、ある時点での変位量Cを記憶した湿度から所定値以上の湿度差を検出したときとして、変位量Cを再測定し、記憶し直すようにする。
【0113】
また、環境温度変化によりサブタンク35の可撓性フィルム203が伸縮する場合、可撓性フィルム203が所定温度環境で最も収縮する位置に第1センサ251を設置してもよい。この場合、周囲環境を検知する温度検知手段を備え、ある時点での変位量Cを記憶した温度から所定値以上の温度差を検出したとき、再度変位量Cを検出し、記憶し直すようにする。
【0114】
また、印字中に急激な環境変化による影響や、インク吐出量検知の所定以上の検知誤差や送液ポンプ241の所定以上の送液量検知誤差など予期せぬ誤差により、第1センサ251の検知位置Hと吐出量検知による所定量消費検知位置Iとが逆転したとき、所定量消費検知後に充填満タン位置までインク供給すると、第1センサ251が変位部材205を検知することなくインク供給を続けることになるため、サブタンク35内のインク容量が過多状態となり、サブタンク35の破損やインク漏れの原因となる。
【0115】
そこで、吐出量検知による所定量消費検知位置Iに到達したとき、それまでに第1センサ251を変位部材205が通過せず、検知していないときは、第1センサ251が変位部材205を検知するまでインクを吐出し、第1センサ251が変位部材205を検知した後、変位量C分のインク供給を行うようにする。
【0116】
このとき、これらの動作を所定回数行ったことを検知したとき、印字動作を中断し、再度充填満タン位置に設定し、変位量Cを再検出するようにする。
【0117】
次に、本発明の第4実施形態について図20及び図21を参照して説明する。なお、図20はキャリッジ走査中のサブタンク35内の圧力変動を説明する説明図、図21はキャリッジ走査方向と変位部材205の傾きの説明に供する説明図である。
まず、キャリッジ33が往復走査されるとき、往路から復路へ、復路から往路への切り返しの際、キャリッジ33の減速及び加速が行なわれることで、図19に示すように、サブタンク35内は圧力変動が起こる。
【0118】
このような状態のとき、送液ポンプ241からサブタンク35へインクを供給すると、インク供給圧とキャリッジ駆動圧が同時にサブタンク35内に加わることで、サブタンク35内の負圧の安定を崩すことがある。
【0119】
そこで、キャリッジ33の走査中にサブタンク35内へインク供給するときは、キャリッジ駆動圧の影響の少ない、キャリッジ33が等速度で走査しているときに行うことが好ましい。等速度でのインク供給は、加減速時に比べ、変位部材205の挙動量が小さいため、第1センサ251による誤検知が生じ難くなる。
【0120】
また、サブタンク35の可撓性フィルム203に押圧接触している変位部材205は、キャリッジ33の走査方向により、挙動が変化する。すなわち、図20に示すように、キャリッジ33の走査時、キャリッジ33の走査方向側に設置している変位部材205は押圧接触している可撓性フィルム203に対して傾倒方向に付勢されることで挙動が小さいが、キャリッジ33の走査方向側と反対面側に設置している変位部材205は可撓性フィルム203と離反方向に付勢されることで挙動が大きくなる。
【0121】
そこで、キャリッジ33の走査中にサブタンク35内にインクを供給するときには、キャリッジ33の走査方向側に可撓性フィルム203(変位部材205)があるサブタンク35にインクを供給する。これにより、走査中でもサブタンク35内の負圧を安定させてインク供給を行うことができる。
【0122】
次に、本発明の第5実施形態について図22を参照して説明する。なお、図22は同実施形態の説明に供する模式的平断面説明図である。
ここでは、第1センサ251として、変位部材205にエンコーダスケール261を設け、他方キャリッジ側にエンコーダスケール261を読取るエンコーダセンサ262を設けた、リニアエンコーダ260を使用している。
【0123】
これにより、第2センサ301が変位部材205を検知するまでの変位部材205の距離(変位量)を直接的に測定することができ、サブタンク35の可撓性フィルム203の変位による変位量Cを得ることができて、サブタンク35内のインク容量を検出することができる。
【0124】
次に、本発明の第6実施形態について図23ないし図25を参照して説明する。なお、図23は同実施形態における変位部材の各位置の説明に供する説明図、図24は同じく差分供給量の検出の説明に供する説明図、図25は同じく動作説明及び作用効果の説明に供する説明である。
【0125】
まず、サブタンク35の負圧の適正範囲として、変位部材205の位置を、負圧の小さい側を充填満タン位置(インク量上限値)G、負圧の大きい側を供給開始位置(インク量下限値)Iとする。このとき、大気開放位置Fは充填満タン位置Gよりも開いた位置となる。
【0126】
サブタンク35を一度大気開放した状態でインクを供給し、大気遮断することで大気状態での変位部材205の位置を第2センサ301で検知でき、そこから指定カウントL分をキャリッジ走査し、変位レバー205を検知するまでインクを逆引した(メインタンク10に戻した)ところを充填満タン位置Gとする。これにより、前述したように、部品バラツキの積み上げの影響を受けず、また、温湿度によりフィルム203の伸縮の影響がある場合は、充填満タン位置を再設定することで、常時一定の負圧を充填満タン位置と設定することができる。
【0127】
そこで、サブタンク35内のインク残量に応じて変位する変位部材205と、変位部材205を検知するキャリッジ33上に固定された透過型フォトセンサからなる第1センサ251と、装置本体側に固定された第2センサ301とを有し、図24に示すように、第2センサ301によるサブタンク充填満タン位置でのキャリッジ位置401と、第1センサ251で変位部材205を検知した位置でのキャリッジ位置402との差分Aを記憶し、印字中の吐出量カウント及び供給量を補正制御する。
【0128】
つまり、キャリッジ33上の第1センサ251を備えることで、前述したように、印字中でも第1センサ251が変位部材205を検知する位置まで供給を行うことができ、さらに、記憶している前記差分Aを供給量、供給時間、供給ポンプ回転数などに換算し、その分を供給することで、充填満タン位置まで供給することができる。
【0129】
このようにすれば、前述したように、充填満タン位置を再設定することで、部品バラツキの積み上げの影響、温湿度によりフィルム203の伸縮の影響を受けなくなる。また、充填満タン位置の温湿度テーブルをデータとして有していれば、大気開放を含む再設定も要しないな。また、供給開始位置についても、印字中の吐出量をすべてソフトカウントするよりも、第1センサ251で検知してから残り分のみをソフトカウントすることができて、高い精度が得られる。これは、ポンプの供給バラツキや、ソフトカウントはバラツキが大きいことから、センサ251の検知精度に依存する方がよいためである。
【0130】
そして、本実施形態では、図25(a)に示すように、第1センサ251による変位部材205の変位方向における検知部位を少なくとも2点以上としている。なお、変位部材205の変位方向は、サブタンク35の液体残量が増加するときに変位部材205が変位する方向を変位方向S1、液体残量が減少するときに変位部材205が変位する方向を変位方向S2とする。
【0131】
また、変位部材205に変位方向に幅広の検知部205Aを設けて、検知部205Aの変位方向S1の端(エッジ)aと、検知部205Aの変位方向S2の端(エッジ)bをそれぞれ検知部位とし、第1センサ251で検知部位aを検知したときの位置を第1センサ検知位置H1とし、第1センサ251で検知部位bを検知したときの位置を第1センサ検知位置H2としている。
【0132】
つまり、キャリッジ33上の第1センサ251は透過型フォトセンサを使用しており、第1センサ251の位置は、キャリッジ33内で固定されている。検知部位が2箇所であるということは、例えば、変位部材205の変位方向の両端部(両端エッジ)がそれぞれ検知部位になるということである。変位部材205には厚みがあり、その厚みを利用する(ここでは、明確にするために検知部205Aを設けている。)ことで、固定の第1センサ251で変位部材205の両エッジを検知することができる。つまり、第1センサ251の検知結果が透過から遮断に切り替わる部位(検知部205Aの検知部位b)が1点目の検知部位、遮断から透過に切り替わる点が2点目の検知部位(検知部205Aの検知部位a)ということを意味している。
【0133】
そして、図25(a)に示すように、第2センサ301を使用しないでメインタンク10からサブタンク35にインクを供給するとき、第1センサ251が変位部材205を検知した位置(第1センサ検知位置H)よりもインク残量が少ない予め定めた液体消費量(所定消費量検知位置I;供給開始位置)になったときにメインタンク10からサブタンク35にインクを供給する構成とした上で、第1センサ251が変位部材205の検知部205Aの検知部位bを検知したときから供給開始位置Iを決めるインク消費量を算出し、供給開始後、第1センサ251が変位部材205の検知部205Aの検知部位aを検知したときから差分供給量の供給を開始する制御を行うようにしている。
【0134】
これにより、送液時は、第1センサ検知位置H2から充填満タン位置Gまでの差分供給を行い、吐出時は、第1センサ検知位置H1で変位部材205を検知してからインク消費量のソフトカウントを行うことで、第1センサ251の検知結果を利用する幅が広がり(検知部位a〜b間は第1センサ251の検知結果を利用できる。)、バラツキの多い差分供給とソフトカウントを少なくできることから、1回の供給量、吐出量が多くでき、供給頻度が少なくなり、ポンプの寿命を長くすることができる。
【0135】
これに対して、図25(b)に示すように、第1センサ251による変位部材205の検知部位を1点としたときには、第1センサ251による第1センサ検知位置Hを基準として、差分供給とソフトカウントを行うことになる。つまり、送液時は、第1センサ検知位置Hから充填満タン位置までの差分供給を、吐出時は、第1センサから供給開始位置Iまでのソフトカウントを行うことになり、差分供給量、ソフトカウントの幅が2点検知の場合よりも広くなって、バラツキを考慮すると、余裕分を多くする必要があることから、供給頻度が多くなり、ポンプの寿命が短くなる。
【0136】
なお、変位部材が2箇所の検知部位を有する例で説明しているが、変位部材がエンコーダスケールなどの多点検知部を有していれば、サブタンク35の残量をリニアに監視できるので、第1センサ251だけで、過充填位置に設定ができたり、クリーニング中の供給も可能になり、第2センサ301を省略することもできる。また、印字率が高いときなど供給が間に合わないおそれがある場合でも、前もってサブタンク35に充填することができるようになる。
【0137】
ここで、第1センサ及び第2センサの配置例の更に異なる例について図26を参照して説明する。
図26に示す例は、サブタンク35の変位部材205に支軸206(揺動支点)からの長さの異なる検知部205a、205bを下方に設けて設け、キャリッジ33の第1センサ251で検知部205aを、装置本体側の第2センサ301で検知部205bを検知する構成としている。
【0138】
なお、変位部材自体に2つの検知部材を設ける代わりに、2つの第1センサを設けて、変位部材の異なる部位を検知することでも同様の作用効果をえることができる。
【0139】
次に、本発明の第7実施形態について図27を参照して説明する。なお、図27は同実施形態の説明に供する説明図である。
ここでは、第2センサ301で検知するサブタンク充填満タン位置と第1センサ251での変位部材205の検知位置との差分量に応じて、第1センサ251の変位部材205の検知する箇所(検知部位)を切り替えるようにしている。
【0140】
つまり、図28(a)に示すように、部品バラツキや温湿度変化などの条件によってバラツキ+側条件の場合とバラツキ−側条件で示す位置のように変位部材251の位置がばらついたとき、第1センサ251と変位部材205の位置関係のバラツキXの方が、変位部材205の変位幅Y(充填満タン位置〜供給開始位置)よりも大きい場合(X>Y)には、条件によっては適正負圧範囲で第1センサ251が変位部材205を検知できないことが生じる。
【0141】
そこで、図28(b)に示すように、第1センサ251による変位部材205の検知部位が検知部205Aの検知部位a、bのように2箇所あり、2箇所の検知部位a、bの距離Zが、X<Y+Zとなっていれば、検知する2つの検知部位a、bをバラツキXによって切り替えることで、適正負圧範囲で第1センサ251による変位部材205の検知を行うことができる。
【0142】
この場合、第1センサ251による変位部材205の検知箇所が変位部材205の変位方向の部品幅の両端部である両端エッジである2箇所を含むことにより、簡単な構成で安価に2箇所を検知することができ、また、2つの検知箇所の距離も変位部材205の部品幅で容易に設定できる。
【0143】
次に、本発明の第8実施形態について図28を参照して説明する。なお、図28は同実施形態の説明に供する説明図である。
本実施形態は、前記各実施形態における第2センサを用いることなく、キャリッジ33上の第1センサ251のみでサブタンク35に対する液体供給開始位置及び充填満タン位置の検知を行うようにしている。ただし、第2センサを併用することもできる。
【0144】
すなわち、変位部材205にはサブタンク35に対する供給開始位置及び充填満タン位置に対応する変位方向の幅を有する検知部205Bが設けられ、検知部205Bの変位方向の両端エッジを検知部位a、bとしている。そして、第1センサ251で変位部材205の検知部205Bの検知部位aを検知したときにサブタンク35に対する供給を開始し、第1センサ251で変位部材205の検知部205Bに検知部位bを検知したときに充填満タン位置になったものとして供給を停止する。なお、この変位部材205の検知部205Bによる2つの検知部位a、bの位置はサブタンク35の負圧が適性範囲にある位置に設定している。これにより、容易な構成、制御でサブタンク35の負圧管理が可能になる。
【0145】
このように、サブタンクは液体残量に応じて変位する変位部材を有し、キャリッジには変位部材の少なくとも2以上の検知部位を検知する検知手段が設けられ、変位部材の少なくとも2以上の検知部位のうちの1つの検知部位が検知手段で検知される位置と他の1つの検知部位が検知手段で検知される位置との間で、変位部材が変位するようにサブタンクに対する液体供給を制御する手段を有する構成とすることで、キャリッジの移動中でもサブタンクにメインタンクから適切な量の液体を供給することができ、印刷速度の向上を図れる。
【0146】
次に、本発明の第9実施形態について図29を参照して説明する。なお、図29は同実施形態の説明に供する説明図である。
本実施形態では、変位部材205に検知部205C、205Dをそれぞれ設けている。検知部205Cは遮光部材で、検知部205Dは遮光と透過の中間の透過率の部材で形成している。これにより、第1センサ251を透過型フォトセンサとすることで、検知部205C、205Dがセンサ検知中心位置から外れたとき(透過状態のとき)を第1範囲(a)、検知部205Cがセンサ検知中心位置にあるとき(遮光状態:遮断状態のときを第2範囲(b)、検知部205がセンサ検知中心位置にあるとき(半透過:所定の透過率)を第3範囲(c)として検知することができる。
【0147】
そこで、前記第8実施形態において、第1センサ251と変位部材205により、第1範囲(a)、第2範囲(b)、第3範囲(c)を検知し、印字中は第2範囲内に変位部材205が位置するようにサブタンク35に対するインクの供給及び供給停止を制御する。
【0148】
つまり、前記第8実施形態では、電源オン時などに、変位部材205が適正負圧範囲外にある場合、充填満タン位置より外側にあるのか、供給開始位置より内側にあるのか判別できない。そこで、第1範囲を充填満タン位置より外側、第3範囲を供給開始位置より内側に設定し、第1範囲と第3範囲との間の第2範囲内に変位部材205があることを検知できることでフェイルセーフとしている。
【0149】
なお、第1範囲を透過、第2、第3範囲を遮断とし、電源オン時は必ず、充填満タン位置(第1範囲と第2範囲の境目)に変位部材205が位置するようにすることもできる。
【0150】
以上のサブタンクに対するインク供給動作に関する制御(処理)は、ROM502に格納されているプログラムによってコンピュータに実行させる。このプログラムは、情報処理装置(ホスト600)側にダウンロードして画像形成装置にインストールすることができる。また、本発明に係る画像形成装置と情報処理装置又は画像形成装置と本発明に係る処理を行うプログラムを有する情報処理装置とを組み合わせて画像形成システムとして構成することもできる。
【符号の説明】
【0151】
10 インクカートリッジ(メインタンク)
33 キャリッジ
34、34a、34b 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
35 サブタンク
81 維持回復機構
201 タンクケース(液体収容部)
203 可撓性部材(可撓性フィルム)
205 変位部材(フィラ)
251 第1センサ(第1検知手段)
301…第2センサ(第2検知手段)
500…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容するサブタンクと、
前記記録ヘッド及び前記サブタンクを搭載したキャリッジと、
前記サブタンクに供給する液体を収容するメインタンクと、
前記メインタンクから前記サブタンクへの液体供給を行なう送液手段と、を備え、
前記サブタンクは液体残量に応じて変位する変位部材を有し、
前記キャリッジには前記変位部材が所定の第1位置になったことを検知する第1検知手段が設けられ、
装置本体側には、前記変位部材が所定の第2位置になったことを検知する第2検知手段が設けられ、
前記第1位置は前記第2位置よりも前記サブタンクの液体残量が少ない位置であり、
前記第1検知手段で検知される位置と前記第2検知手段で検知される位置との間の前記変位部材の変位量に対応する差分供給量を検出して保持し、
前記第2検知手段を使用しないで前記メインタンクから前記サブタンクに液体を供給するとき、前記第1検知手段が前記変位部材を検知した後前記差分供給量の液体を前記サブタンクに供給する制御を行なう手段を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記差分供給量の供給は、前記変位部材が前記第1位置から前記第2位置に移動するまでに要する前記送液手段の駆動時間で制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記差分供給量の供給は前記変位部材が前記第1位置から前記第2位置に移動するまでに要する前記送液手段の回転数で制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記差分供給量の供給は前記変位部材の変位量を検出して制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
装置の環境温度及び環境湿度の少なくともいずれかを検出する手段を有し、検出結果と予め定めた閾値との差が所定値以上になったときには、前記差分供給量の検出動作を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1位置は、装置の環境温度及び環境湿度の少なくともいずれかが予め定めた所定値であるときに前記第2位置との間の前記変位部材の変位量が予め定めた所定範囲内に収まる位置であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2検知手段を使用しないで前記メインタンクから前記サブタンクに液体を供給するときは、前記記録ヘッドから吐出した吐出量が予め定めた所定量を超えたときであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記記録ヘッドから吐出した吐出量が予め定めた所定量以上になっても前記第1検知手段が前記変位部材を検出しないときには、前記第1検知手段が前記変位部材を検知するまで液体を吐出する制御を行なうことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2検知手段が前記変位部材を検知するまで液体を吐出する制御を行なった回数が予め定めた所定回数になったときには、前記記録ヘッドからの滴吐出動作を停止することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記キャリッジの走査中で、前記キャリッジの走査方向が、前記サブタンクの前記変位部材が走査方向前方側に向かう方向であるときに、前記サブタンクに液体を供給することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記差分供給量の検出を行うときに、前記第1検知手段が前記変位部材を検知するまで、前記サブタンクから前記メインタンク側に液体を吸引させて前記変位部材を変位させることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第2検知手段を使用しないで前記メインタンクから前記サブタンクに液体を供給するとき、前記第1検知手段が前記変位部材を検知した位置よりも液体残量が少ない予め定めた液体消費量になったときに前記メインタンクから前記サブタンクに液体を供給することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記変位部材は変位方向に少なくとも2以上の検知部位を有し、
前記第1検知手段が前記変位部材の液体残量が少ない側の検知部位を検知したときから前記液体消費量を算出し、
前記第1検知手段が前記変位部材の液体残量が多い側の検知部位を検知したときから前記差分供給量の供給を開始する
ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記変位部材は変位方向に少なくとも2以上の検知部位を有し、
前記差分供給量の液体を供給するために前記第1検知手段で検知する前記変位部材の検知部位を、前記差分供給量に応じて切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記2以上の検知部位が前記変位部材の変位方向の両端部であることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項16】
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容するサブタンクと、
前記記録ヘッド及び前記サブタンクを搭載したキャリッジと、
前記サブタンクに供給する液体を収容するメインタンクと、
前記メインタンクから前記サブタンクへの液体供給を行なう送液手段と、を備え、
前記サブタンクは液体残量に応じて変位する変位部材を有し、
前記キャリッジには前記変位部材の少なくとも2以上の検知部位を検知する検知手段が設けられ、
前記変位部材の少なくとも2以上の検知部位のうちの1つの検知部位が前記検知手段で検知される位置と他の1つの検知部位が前記検知手段で検知される位置との間で、前記変位部材が変位するように前記サブタンクに対する液体供給を制御する手段を有する
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−207206(P2011−207206A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182734(P2010−182734)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】