説明

画像形成装置

【課題】光源アレイからなる露光手段を用いた場合にも、縦筋やバンディングの発生を抑止しつつ主走査方向及び副走査方向の画像の大きさの補正を可能にする。
【解決手段】画像処理を行う画像処理制御手段と、1次元状もしくは2次元状に配列された光源を有する露光手段と、露光手段により像担持体上に形成された静電潜像をトナーで顕像化する現像手段と、像担持体上に顕像化された画像を記録媒体Sに転写する転写手段と、記録媒体に転写された画像を定着させる定着手段とを有する画像形成装置において、主走査方向を光源が配列する長手方向、副走査方向を感光体の回転方向としたとき、画像処理制御手段は、画像をマトリクスに分解して画像処理を行い、マトリクスを複数の画素で構成し、任意の補正マトリクスにおいて主走査方向の画素数を他と異なるように制御することにより、出力画像における主走査方向の大きさを変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの機能を備えた複合機等に用いられる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)アレイや、有機EL(Electro Luminescence)アレイとロッドレンズアレイを用いたプリントヘッドが、プリンタや複写機等の画像形成装置用の露光装置として用いられている。露光装置の方式としては、半導体レーザとポリゴンスキャナを用いたレーザ走査方式もあるが、装置の小型化という観点では、プリントヘッドの方が有利であり、プリンタや複写機等の画像形成装置の小型化を実現できる。
【0003】
プリントヘッドをLEDアレイで構成するとき、LEDアレイチップを複数つなぎ合わせて、プリントヘッドを作製するため、LEDアレイチップの実装誤差等に起因して、主走査全幅(主走査方向の規定のドット数に対応する全幅)は、プリントヘッドごとに変化する。なお、以下においては、主走査方向を光源が配列する長手方向、副走査方向を感光体等の像担持体の回転方向と定義する。
【0004】
上記のようなプリントヘッドを複数用いて、カラー画像を形成するとき、複数のプリントヘッドの主走査全幅が互いに異なるため、主に主走査方向に色ずれが生じてしまう。
また、プリントヘッドを有機ELアレイで構成するときも、有機ELアレイの作製誤差の影響で、主走査全幅がプリントヘッドごとに異なり、色ずれを生じてしまう。
画像データにおいて、データの追加・削除を行うことで、主走査全幅を補正することが可能であるが、単純にデータの追加・削除を行うだけでは、出力画像に筋(縦筋)やバンディング(濃度の周期的変動)が発生してしまう。
【0005】
縦筋を低減できる例として、特許文献1(特開平11−254737号公報)に記載のように、複数個のLED素子を画像情報の最小単位として画像を形成するように構成し、LED素子の点灯制御により縦筋の低減を図る実施例が開示されている。しかし、この従来技術では、ドットのドット径のみに着目しており、ドットの位置については考慮されていない。また、この従来技術では、画像処理のマトリクスとの関連については記載されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プリントヘッドの主走査全幅のばらつきを、色ずれが問題とならないレベルまで抑えるためには、非常に高精度な実装技術、作製技術が要求され、歩留まりの低下を引き起こし、コストアップを招いてしまう。
また、コストをかけて、プリントヘッドの作製精度を向上させ、プリントヘッドの主走査全幅のばらつきを小さく抑えられたとしても、用途によっては、色ずれ以外の課題が生じる。その例を以下で説明する。
【0007】
プリントヘッドを商業印刷機に適用することを考えると、表裏の画像の大きさが揃っていることを要求される。しかし、両面印刷を行うと、表面の印刷時にトナーを記録紙に定着させる必要があるため、熱の影響で記録紙が収縮し、裏面印刷時に表面と同じ大きさで(主走査方向、副走査方向ともに)トナー像を形成したとしても、記録紙上では、表裏の画像の大きさが(主走査方向、副走査方向ともに)揃わない。そのため、裏面印刷時には、画像の大きさを縮小する必要がある。
画像を縮小する際、元画像を縮小することも考えられるが、その処理に時間がかかるため、生産性の低下を招く恐れがある。そのため、露光装置での露光時に縮小する方が、生産性の低下を招く恐れがなく、好ましい。
以上より、プリントヘッドの主走査全幅補正を実現することは、色ずれ補正、表裏の画像の大きさ補正に対して、大きな効果がある。さらに、表裏の画像の大きさ補正に関しては、副走査全幅補正も実現する必要がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、光源アレイからなる露光手段(プリントヘッド)を用いたとしても、縦筋やバンディングの発生を抑止しつつ、主走査方向及び副走査方向の画像の大きさの補正を可能にすることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明では以下の[1]〜[14]の解決手段を採っている。
[1]:画像処理を行う画像処理制御手段と、1次元状もしくは2次元状に配列された光源を有する露光手段と、前記露光手段により像担持体上に形成された静電潜像をトナーで顕像化する現像手段と、前記像担持体上に顕像化された画像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された画像を定着させる定着手段と、を有する画像形成装置において、主走査方向を光源が配列する長手方向、副走査方向を感光体の回転方向としたとき、前記画像処理制御手段は、画像をマトリクスに分解して画像処理を行い、前記マトリクスを複数の画素で構成し、任意のマトリクス(以下、補正マトリクスと呼ぶ)において主走査方向の画素数を他と異なるように制御することにより、出力画像における主走査方向の大きさを変化させることを特徴とする(請求項1)。
[2]:[1]に記載の画像形成装置において、前記画像処理制御手段は、前記補正マトリクスにおいて、隣り合う副走査ライン間で、主走査方向の位置が異なるように制御することを特徴とする(請求項2)。
[3]:[2]に記載の画像形成装置において、前記画像処理制御手段は、大マトリクスを、前記補正マトリクスを含む複数のマトリクスで構成し、前記大マトリクスを周期的に配置させた箇所を、画像の少なくとも一部に含むように制御することを特徴とする(請求項3)。
[4]:[3]に記載の画像形成装置において、前記画像処理制御手段は、前記大マトリクス内において、前記補正マトリクスの位置がランダムとなるように制御することを特徴とする(請求項4)。
[5]:[3]に記載の画像形成装置において、前記画像処理制御手段は、前記大マトリクス内において、副走査ライン番号の増大に伴い、前記補正マトリクスの位置が、常に主走査方向右側もしくは常に主走査方向左側に変化するように制御することを特徴とする(請求項5)。
[6]:[5]に記載の画像形成装置において、前記画像処理制御手段は、前記大マトリクス内において、隣り合う副走査ライン間における前記補正マトリクスの主走査方向の間隔が一定となるように制御することを特徴とする(請求項6)。
[7]:[3]〜[6]のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記画像処理制御手段は、前記大マトリクスが、副走査方向に対して角度をもって、周期的に配置するように制御することを特徴とする(請求項7)。
[8]:[1]〜[7]のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記画像処理制御手段は、前記マトリクスにおける露光画素パターンとして、各濃度ごとに複数種類の露光画素パターンを有し、前記複数種類の露光画素パターンは、基本パターンの他に、基本パターンとは重心位置が異なるパターンを少なくとも1つ有することを特徴とする(請求項8)。
[9]:[8]に記載の画像形成装置において、前記画像処理制御手段は、前記大マトリクス内において、前記補正マトリクスよりも左側のマトリクスの露光画素パターンが、基本パターンに対して重心位置が左に寄っているように制御することを特徴とする(請求項9)。
[10]:[1]〜[9]のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記画像処理制御手段は、前記露光手段における光源の発光タイミングを調整することにより、出力画像における副走査方向の大きさを変化させることを特徴とする(請求項10)。
[11]:[10]に記載の画像形成装置において、前記画像処理制御手段は、各光源の発光周期を変化させることを特徴とする(請求項11)。
[12]:[10]に記載の画像形成装置において、前記画像処理制御手段は、前記各光源の発光タイミングを変化させるラインと変化させないラインを設け、前記各光源の発光タイミングを変化させるラインは、複数ラインおきに、少なくとも1つ設けることを特徴とする(請求項12)。
[13]:[12]に記載の画像形成装置において、前記各光源の発光タイミングを変化させるラインの間隔は一定ではないことを特徴とする(請求項13)。
[14]:[13]に記載の画像形成装置において、前記各光源の発光タイミングを変化させるラインの周期性は、1mm以上の周期で最も強い周期性を有し、1mm以下の周期の周期性成分は、最も強い周期性に対して十分小さいことを特徴とする(請求項14)。
【発明の効果】
【0010】
解決手段の[1]に記載の画像形成装置では、画像処理制御手段は、画像をマトリクスに分解して画像処理を行い、前記マトリクスを複数の画素で構成し、任意のマトリクス(以下、補正マトリクスと呼ぶ)において主走査方向の画素数を他と異なるように制御することにより、出力画像における主走査方向の大きさを変化させるので、LEDヘッドを用いたときでも、縦筋やバンディングの発生を抑止しつつ、主走査方向の画像の大きさが補正ができ、主走査方向の色ずれ補正や、表裏の画像の大きさ補正が可能となる。
【0011】
解決手段の[2]に記載の画像形成装置では、[1]の構成に加えて、前記画像処理制御手段は、前記補正マトリクスにおいて、隣り合う副走査ライン間で、主走査方向の位置が異なるように制御するので、縦筋の発生を回避しつつ、主走査方向の画像の大きさの補正が可能となる。
また、解決手段の[3]に記載の画像形成装置では、[2]の構成に加えて、前記画像処理制御手段は、大マトリクスを、前記補正マトリクスを含む複数のマトリクスで構成し、前記大マトリクスを周期的に配置させた箇所を、画像の少なくとも一部に含むように制御するので、制御回路の巨大化を回避して、制御回路の低コスト化、補正アルゴリズムの単純化が実現できる。
【0012】
解決手段の[4]に記載の画像形成装置では、[3]の構成に加えて、前記画像処理制御手段は、前記大マトリクス内において、前記補正マトリクスの位置がランダムとなるように制御するので、縦筋やバンディングの発生を抑止しつつ、主走査方向の画像の大きさを変化させることができる。
また、解決手段の[5]に記載の画像形成装置では、[3]の構成に加えて、前記画像処理制御手段は、前記大マトリクス内において、副走査ライン番号の増大に伴い、前記補正マトリクスの位置が、常に主走査方向右側もしくは常に主走査方向左側に変化するように制御するので、縦線のがたがたさの変化を、補正マトリクスの位置を[4]のようにランダムに設定するときに比べて、より小さくすることができ、バンディングの発生をより小さく抑えることができる。
さらに解決手段の[6]に記載の画像形成装置では、[5]の構成に加えて、前記画像処理制御手段は、前記大マトリクス内において、隣り合う副走査ライン間における前記補正マトリクスの主走査方向の間隔が一定となるように制御するので、バンディングの発生をより小さく抑えつつ、補正アルゴリズムの単純化が実現できる。
【0013】
解決手段の[7]に記載の画像形成装置では、[3]〜[6]のいずれか一つの構成に加えて、前記画像処理制御手段は、前記大マトリクスが、副走査方向に対して角度をもって、周期的に配置するように制御するので、縦線のガタガタさの変化を([5]に比べて)より小さく抑えることができ、バンディングの発生をより小さく抑えることができる。
また、解決手段の[8]に記載の画像形成装置では、[1]〜[7]のいずれか一つの構成に加えて、前記画像処理制御手段は、前記マトリクスにおける露光画素パターンとして、各濃度ごとに複数種類の露光画素パターンを有し、前記複数種類の露光画素パターンは、基本パターンの他に、基本パターンとは重心位置が異なるパターンを少なくとも1つ有するので、1つのマトリクス内におけるドット位置を光源の解像度以上の精度で変化させることができるため、マトリクスの配置ががたがたであったとしても、ドットの配列をより均一にすることができ、バンディングの発生をより小さく設定することができる。
さらに解決手段の[9]に記載の画像形成装置では、[8]の構成に加えて、前記画像処理制御手段は、前記大マトリクス内において、前記補正マトリクスよりも左側のマトリクスの露光画素パターンが、基本パターンに対して重心位置が左に寄っているように制御するので、マトリクスの配置ががたがたであったとしても、ドットの配列をより均一にすることができ、バンディングの発生をより小さく設定することができる。
【0014】
解決手段の[10]に記載の画像形成装置では、[1]〜[9]のいずれか一つの構成に加えて、前記画像処理制御手段は、前記露光手段における光源の発光タイミングを調整することにより、出力画像における副走査方向の大きさを変化させるので、副走査の画像の大きさを変化させることができ、裏表の画像の大きさ補正等が実現できる。
また、解決手段の[11]に記載の画像形成装置では、[10]の構成に加えて、前記画像処理制御手段は、各光源の発光周期を変化させるので、副走査の画像の大きさを変化させることができ、裏表の画像の大きさ補正等が実現できる。
さらに解決手段の[12]に記載の画像形成装置では、[10]の構成に加えて、前記画像処理制御手段は、前記各光源の発光タイミングを変化させるラインと変化させないラインを設け、前記各光源の発光タイミングを変化させるラインは、複数ラインおきに、少なくとも1つ設けるので、制御回路の複雑化を招くことなく、画像の副走査方向の幅を高精度で制御でき、高精度に、画像の副走査方向の大きさを変化させることができる。
【0015】
解決手段の[13]に記載の画像形成装置では、[12]の構成に加えて、前記各光源の発光タイミングを変化させるラインの間隔は一定ではないので、バンディングの発生を抑止できる。
また、解決手段の[14]に記載の画像形成装置では、[13]の構成に加えて、前記各光源の発光タイミングを変化させるラインの周期性は、1mm以上の周期で最も強い周期性を有し、1mm以下の周期の周期性成分は、最も強い周期性に対して十分小さいことにより、バンディングは周期1mm付近が最も目立ちやすく、それよりも周期が長くなると急激に目立ちにくくなるので、よりバンディングを知覚しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る多色画像形成装置の基本的な構成例を示す概略構成図である。
【図2】マトリクスの一例を示す図である。
【図3】マトリクスが周期的に配列されている例を示す図である。
【図4】主走査方向の大きさを変化させたマトリクスの実施例を示す図である。
【図5】主走査方向の同一位置に補正マトリクスが配置されている例を示す図である。
【図6】大マトリクス内において、補正マトリクスの位置をランダムに配置した実施例を示す図である。
【図7】大マトリクス内において、副走査ライン番号の増大に伴い、補正マトリクスの主走査方向の間隔が常に増大するように配置した実施例を示す図である。
【図8】大マトリクス内において、副走査ライン番号の増大に伴い、補正マトリクスの主走査方向の間隔が常に減少するように配置した実施例を示す図である
【図9】大マトリクス内において、隣り合う副走査ライン間において補正マトリクスの主走査方向の間隔が常に一定になるように配置した実施例を示す図である。
【図10】大マトリクスを副走査方向に角度をもって周期的に配置させた実施例を示す図である。
【図11】図9の大マトリクスを副走査方向に並べた図である。
【図12】1マトリクス内での露光画素パターン(濃度22%)の例を示す図である。
【図13】1マトリクス内での露光画素パターン(濃度11%)の例を示す図である。
【図14】光源の発光周期を変化させることにより、副走査方向の画像の大きさを変化させる実施例を示す図である。
【図15】光源の発光周期を変化させることにより、副走査方向の画像の大きさを変化させる別の実施例を示す図である。
【図16】バンディングの周期と人の目による知覚度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に本発明に係る多色画像形成装置の基本的な構成例を示す。図中の符号1Y,1M,1C,1Kは、転写ベルト10に沿って並設された像担持体であり、この像担持体はドラム状の感光体である。
各感光体1Y,1M,1C,1Kは図中の矢印方向に回転され、その周囲には、感光体の回転順に帯電手段2Y,2M,2C,2K、露光手段であるプリントヘッド3Y,3M,3C,3K、各色の現像手段4Y,4M,4C,4K、転写用帯電手段6Y,6M,6C,6K、クリーニング手段5Y,5M,5C,5K等が配備されている。また、図中の符号20は記録紙等のシート状記録媒体Sを積載した給紙カセット、21は給紙ローラ、22は分離ローラ、23は搬送ローラ、24はレジストローラ、30は定着手段を示している。
【0018】
帯電手段2Y,2M,2C,2Kは、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材(図では帯電ローラによる接触式のものを示しているが、この他、帯電ブラシや、非接触式のコロナチャージャ等を用いることもできる)であり、帯電手段2Y,2M,2C,2Kにより感光体1Y,1M,1C,1Kを均一に帯電させた後、露光手段として用いたプリントヘッド3Y,3M,3C,3Kにより露光することで静電潜像が形成される。そして、各感光体1Y,1M,1C,1Kに形成された静電潜像は、各現像手段4Y,4M,4C,4Kによって現像され、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像として顕像化される。また、この現像工程にタイミングを合わせて給紙カセット20からシート状の記録媒体(例えば記録紙)Sが給紙ローラ21と分離ローラ22により1枚ずつ給紙され、搬送ローラ23を経てレジストローラ24に至る。そして、上記の現像工程で顕像化された各感光体1Y,1M,1C,1K上のトナー像が転写位置に来るタイミングに合わせてレジストローラ24により記録紙Sが転写ベルト10に送り出され、転写ベルト10により記録紙Sが担持されて各色の転写位置に順次搬送される。そして、転写ベルト10を挟んで各感光体1Y,1M,1C,1Kに対向して配置された転写用帯電手段(転写チャージャ、転写ローラ、転写ブラシ等)6Y,6M,6C,6Kにより転写バイアスが印加され、各感光体1Y,1M,1C,1K上の各色のトナー像が記録紙Sに順次重ね合わせて転写される。記録紙S上に転写された4色重ね合わせのトナー画像(カラー画像)は定着装置30によって熱及び圧力を加えることにより定着される。そして、トナー画像を定着された記録紙Sは装置外の図示しない排紙部に排出される。また、トナー画像転写後の各感光体1Y,1M,1C,1Kはクリーニング手段5Y,5M,5C,5Kのクリーニング部材(クリーニングブレード、クリーニングブラシ、クリーニングローラ等)によりクリーニングされて残留トナーや紙粉が除去される。
【0019】
なお、図1に示す画像形成装置では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のいずれか1色の画像を形成する単色モード、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のいずれか2色の画像を重ねて形成する2色モード、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のいずれか3色の画像を重ねて形成する3色モード、上記のように4色の重ね画像を形成するフルカラーモードを有し、これらのモードを図示省略の操作部にて指定して図示省略の制御部で実行することで単色、多色、フルカラーの画像形成が可能である。
【0020】
また、図1に示す構成の画像形成装置では、各色の作像部で帯電→露光→現像→転写という工程を経て記録紙S上に多色画像形成を行なうものであるが、各感光体1Y,1M,1C,1Kから記録紙Sに直接転写する方式に換えて、中間転写ベルト等の中間転写媒体を用い、各感光体1Y,1M,1C,1Kから中間転写ベルトに1次転写して各色の重ね画像を形成した後、中間転写ベルトから記録紙Sに一括して2次転写する構成の、中間転写方式の画像形成装置としてもよい。
【0021】
以上のような構成の画像形成装置において、露光手段として用いたプリントヘッド3Y,3M,3C,3Kは、光源(LEDや有機EL)が主走査方向(感光体の回転軸方向)に1次元状もしくは2次元状に複数配列された構成であり、セルフォックレンズアレイやロッドレンズアレイ、マイクロレンズアレイ等の結像素子で、各感光体表面上に光源の共役像を形成させる。
また、このプリントヘッド3Y,3M,3C,3Kは、画像形成装置において画像処理を行う画像処理制御手段(図示省略)からの制御信号によって駆動を制御される。
【0022】
なお、画像処理制御手段は、画像形成装置の制御部(図示省略)に設けられており、原稿画像読取部(スキャナ)で読み取られた画像データ、あるいは外部のパーソナルコンピュータ等から入力された画像データを、図1に示す画像形成部(プリンタ部)で出力するための画像形式の出力用画像データに変換して、プリントヘッド3Y,3M,3C,3Kを駆動する光源駆動部を制御するものであり、マイクロコンピュータからなる演算処理部(CPU)、各種制御回路からなり画像処理や補正を行う画像処理部、制御用のプログラムや各種データが記憶される記憶部(ROM,RAM,不揮発RAM等のメモリ)、画像データを一時的に記憶する画像メモリ、画素クロック制御部等を備えている。また、この画像処理制御手段の画像処理部は、一例として、色変換処理部、MTF補正部、プリンタγ補正部、色階調補正処理部、マトリクス生成部等を有している。
以下、画像処理制御手段により実行される画像処理制御動作の具体的な実施例について説明する
【実施例】
【0023】
[実施例1]
図1に示したような構成の電子写真方式の画像形成装置で画像を形成する際は、画像処理制御手段は、通常、画像処理部で複数の2次元状の画素で構成したマトリクスを周期的に並べ、マトリクス内の露光画素の個数を変化させることで中間調を形成し、画像を出力している。図2にマトリクスの一例を示す。1画素は1200dpiと考え、6×6画素を1つのマトリクスと考え、1つのマトリクス内の露光画素の個数を変化させることで、中間調を実現する。図3は、1つのマトリクスが周期的に配列されている様子を示している。図3では、12×12のマトリクスのみを図示しているが、実際は画像の大きさの分だけマトリクスが配列されている。
【0024】
本実施例では、画像処理制御手段は、入力された画像データを、画像処理部でマトリクスに分解して画像処理を行い、マトリクスを複数の画素で構成し、任意のマトリクス(以下、補正マトリクスと呼ぶ)において主走査方向の画素数を他と異なるように制御することにより、出力画像における主走査方向の大きさを変化させる。
図4は、画像処理制御手段により、主走査方向の大きさを変化させたマトリクス(補正マトリクス)の実施例であり、1つのマトリクスを5×6の画素で構成している。図4に主走査方向と副走査方向を示しているが、主走査方向については1次元もしくは二次元状に配列された光源(LEDや有機EL)アレイによって露光され、副走査方向については矢印の方向に順次露光され、画像が形成されていく。具体的には、前述の各感光体1Y,1M,1C,1Kが回転し、感光体表面が副走査方向に移動することにより、副走査方向の矢印の方向に順次露光される。
【0025】
[実施例2]
図5は、画像処理制御手段が、補正マトリクス(図中に斜線部で示す)を常に主走査方向の同一位置に配置するように制御している実施例である。図5では、12×12のマトリクスのみを示しているが、この12×12のマトリクスが画像全域に渡って周期的に配置されていると考えると、主走査方向の画像幅は、12個のマトリクスにつき、1つの補正マトリクスが配置されており、1つの画素を1200dpiと考えると、6×12×21.2μm=1.53mmにつき、21.2μmだけ画像が小さくなるため、1.4%だけ画像の主走査幅が縮小される。
しかし、このように補正マトリクスを配置すると、補正マトリクスの付近で、画素間隔が急に変化する(図5では、画素間隔が急に狭くなる)ため、縦筋が発生してしまう。
【0026】
そこで本実施例では、画像処理制御手段は、補正マトリクスにおいて、隣り合う副走査ライン間で、主走査方向の位置が異なるように制御する。
すなわち、縦筋の発生を回避するためには、画像処理制御手段により、隣り合う副走査ライン間で、補正マトリクスの主走査位置を異ならせるように制御するのが良い。補正マトリクスの配置について、以下で説明する。
【0027】
[実施例3]
画像処理制御手段により形成される複数のマトリクスで構成された大きなマトリクスを大マトリクスと定義する。図6(a)は大マトリクスの例であり、主走査方向に12個、副走査方向に4個のマトリクスで大マトリクスを構成している。また、図中の斜線部で示す部分が補正マトリクスである。
【0028】
画像全域にわたる巨大なマトリクス構成を設計しても良いが、画像処理制御手段による補正アルゴリズムが複雑になったり、画像処理部を構成する制御回路が巨大化しコストアップを招く恐れがある。そのため、画像全域の少なくとも一部に、大マトリクスを周期的に配置させるのが良く、そうすることで補正アルゴリズムの単純化が図れ、制御回路の低コスト化が図れる。また、画像全域に渡って、大マトリクスを周期的に配置させるのが、最も好ましい。
【0029】
本実施例では、画像処理制御手段は、大マトリクスを、補正マトリクスを含む複数のマトリクスで構成し、大マトリクスを周期的に配置させた箇所を、画像の少なくとも一部に含むように制御する。また、大マトリクス内において、補正マトリクスの位置がランダムとなるように制御する。
【0030】
図6(b)は、画像処理制御手段の制御により、大マトリクスが副走査方向に3個並んでいる様子を示しており、図6(c)は、そのマトリクスを用いて、1画素おきに縦1ドットラインを書いた様子を示している。図6(a)では、画像処理制御手段は、補正マトリクスの主走査方向位置を、隣り合う副走査ライン間で異ならせるように制御しており、大マトリクス内の補正マトリクスの位置はランダムに設定している。このようにすることで、縦筋やバンディング(濃度の周期的変動)の発生を抑止できる。
【0031】
なお、画像処理制御手段は、各副走査ラインにおける補正マトリクスの個数を、全副走査ラインにおいて同一にするように制御している。このように同一にすることで、画像の主走査方向の大きさが各副走査ラインで一定となり、縦線の揺らぎ等、画像の揺らぎの発生を回避できる。
【0032】
[実施例4]
画像処理制御手段による補正マトリクスの配置について別の実施例を示す。
本実施例では、画像処理制御手段は、大マトリクス内において、副走査ライン番号の増大に伴い、補正マトリクスの位置が、常に主走査方向右側もしくは常に主走査方向左側に変化するように制御する。
【0033】
図7〜図9の(a)は、大マトリクス内において、副走査ライン番号の増大に伴い、補正マトリクス(図中の斜線部)の主走査方向位置が常に右側もしくは常に左側に変化するように配置した実施例であり、図7〜図9の(b)、図7〜図9の(c)は、それぞれ図6(b)、図6(c)と同様の図である。図7は、画像処理制御手段が、大マトリクス内において、副走査ライン番号の増大に伴い、補正マトリクスの主走査方向の間隔が常に増大するように制御して配置した実施例であり、図8は、画像処理制御手段が、大マトリクス内において、副走査ライン番号の増大に伴い、補正マトリクスの主走査方向の間隔が常に減少するように制御して配置した実施例であり、図9は、画像処理制御手段が、大マトリクス内において、隣り合う副走査ライン間において、補正マトリクスの主走査方向の間隔が常に一定になるように制御して配置した実施例である。このようにすることで、縦筋の発生を回避できる。
【0034】
ここで、図6(c)を見ると、左右の端部付近の縦線は真っ直ぐなのに対し、中央付近の縦線は、比較的がたがたしている。大マトリクスは画像全域に渡って周期的に配置されるため、大マトリクスの中央付近の縦線ががたがたしていることに起因して、画像パターンによってはわずかではあるがバンディング(濃度の周期的変動)が発生する恐れがある。すなわち、大マトリクス内の補正マトリクスの位置をランダムに設定すると、このような傾向になる。
【0035】
他方、図7〜図9の(c)を見ると、左右の端部付近と、中央付近の縦線を比較したとき、中央付近が特にがたがたしているということはなく、左の端部→中央付近→右の端部に向かうに従って、縦線のがたがたさが徐々に滑らかに変化している。従って、画像処理制御手段が、大マトリクス内において、副走査ライン番号の増大に伴い、補正マトリクスの主走査方向位置が常に右側もしくは常に左側に変化するように制御して配置するとこのような傾向にあり、補正マトリクスの位置をランダムに設定するときに比べると、よりバンディングが目立ちにくくなり、好ましい。
【0036】
[実施例5]
図7〜図9の中で比較すると、バンディングに関してはどれも同等程度の小ささに抑止できる。ただし、図9のように、隣り合う副走査ライン間において、補正マトリクスの主走査方向の間隔を常に一定とした方が画像処理制御手段による補正アルゴリズムが単純となり、より好ましい。
従って、本実施例では、画像処理制御手段は、大マトリクス内において、隣り合う副走査ライン間における補正マトリクスの主走査方向の間隔が一定となるように制御する。これにより、バンディングの発生をより小さく抑えつつ、補正アルゴリズムの単純化が実現できる。
【0037】
[実施例6]
本実施例では、実施例3〜5のいずれかの制御に加え、画像処理制御手段は、大マトリクスが、副走査方向に対して角度をもって、周期的に配置するように制御する。
図10は、大マトリクスを副走査方向に角度をもって周期的に配置させる実施例である。図10では、画像処理制御手段が、大マトリクス内では、隣り合う副走査ライン間において、補正マトリクスの主走査方向の間隔が常に一定となるように制御している。
図9(c)と図10(c)を比較すると、縦線のがたがたさの変化が、図10(c)の方が低減できている。このように、画像処理制御手段により、大マトリクスを副走査方向に角度をもって周期的に配置させ、その角度を適切に設定することで、よりバンディングの発生を低減することができる。
【0038】
[実施例7]
実施例2〜6で説明したような補正マトリクスを設けると、マトリクスの配置が少しがたがたになり、それに起因して、バンディングや縦筋が発生する恐れがある。前述のように、補正マトリクスを適切に配置することで、バンディングや縦筋の発生を低減することができるが、更に、バンディングや縦筋の発生を低減させるためには、マトリクス内の露光画素パターンを適切に設定することで可能となる。
そこで本実施例では、実施例1〜7のいずれかの制御に加え、画像処理制御手段は、マトリクスにおける露光画素パターンとして、各濃度ごとに複数種類の露光画素パターンを有し、複数種類の露光画素パターンは、基本パターンの他に、基本パターンとは重心位置が異なるパターンを少なくとも1つ有するようにしている。
【0039】
図11は、図9の大マトリクスを副走査方向に3個並べた図である。補正マトリクスの影響により、マトリクスの配列が少しがたがたになっている。このがたがたさに起因して、画像パターンによっては、若干ではあるがバンディングが発生する恐れがある。バンディングは、濃度が薄めのハーフトーン(中間調)で比較的目立ちやすく、ドットの配列が、均一から少し歪むことに起因して発生する。
【0040】
前述のように、中間調は、1つのマトリクス内の露光画素の個数を増減させることで濃度を変化させることで実現する。一般的には、1つのマトリクス内で、露光画素は中央部に密集して設け、1つのドットとなるように設定する。
補正マトリクスを設けないときは、全てのマトリクスの露光画素パターンを同じにしても、ドットは均一に配置され、バンディングは生じない。しかし、補正マトリクスを設けると、図11に示すように、マトリクスの配列が若干ずれるため、マトリクスの配置ががたがたになり、それに起因してドットの配列もがたがたとなり、画像パターンによっては、若干ではあるがバンディングが発生する恐れがある。それを回避してバンディングをより小さく抑えるためには、マトリクスごとに露光画素パターンを変化させ、露光画素パターンの重心位置を変化させ、ドットの配列がなるべく均一になるようにするのが良い。
【0041】
図12、図13は、1マトリクス内の露光画素パターンの実施例である。図12、図13の(a)は基本パターンで、(b)は重心位置を左に寄せた左寄せパターン、(c)は(b)よりもさらに重心位置を左に寄せたパターン、(d)は重心位置を右に寄せた右寄せパターン、(e)は(d)よりもさらに重心位置を右に寄せたパターンの実施例である。露光画素パターンを変化させることでドットの位置を画素単位以下の解像度で移動させることができ、バンディングの低減に効果的である。
【0042】
露光画素パターンは、各濃度ごとに、基本パターンの他に、基本パターンと重心位置が異なる露光画素パターンを少なくとも1つ設けておくのが良い。また、図12、図13のように、基本パターンと重心位置が異なる露光画素パターンを複数設けても良い。
【0043】
図11において、左向きの矢印[←]で示したマトリクスは、例えば図12、図13の(b)のように重心位置を左に寄せる露光画素パターンを設定し、ドットの位置を左に寄せているマトリクスである。補正マトリクスの露光画素パターンの重心位置も左に寄せている。このようにすることで、マトリクスの配置はがたがたであっても、ドットの位置は均一に近くなるため、バンディングの発生をより小さく抑えることができる。
【0044】
なお、基本パターンと、重心位置が異なる露光画素パターンとは、露光画素の個数は同じに設定するのがよい。露光画素の強度も変化させても良く、その方が、より精度良く、ドット位置をずらすことができる。また、基本パターンと、重心位置が異なる露光画素パターンの露光画素の個数を異ならせることも可能だが、その際は、露光画素の強度も合わせて変化させ、ドットの濃度が変化しないようにするのが良い。
【0045】
[実施例8]
本実施例では、実施例7の制御に加えて、画像処理制御手段は、大マトリクス内において、補正マトリクスよりも左側のマトリクスの露光画素パターンが、基本パターンに対して重心位置が左に寄っているように制御する。
重心位置を変化させるマトリクスの配置方法と、重心位置の変化のさせ方の1つの実施例としては、大マトリクス内において、補正マトリクスよりも左側にある全てのマトリクスの露光画素パターンの重心位置を左に寄せることで、全てのドットの位置を均一にすることができる。また、補正マトリクスの露光画素パターンの重心位置も左に寄せるのが良い。
【0046】
[実施例9]
上記では、主走査方向の画像の大きさを変化させる方法について説明した。前述のように、プリントヘッドを商業印刷機に適用することを考えると、表裏の画像の大きさが揃っていることを要求される。しかし、表面印刷時の定着の熱による紙の収縮の影響で、同じ大きさで裏面画像を形成しても、表裏の画像の大きさが揃わない。主走査方向については、上述の方法で画像の大きさを変化できる。
そこで本実施例では、画像処理制御手段は、露光手段における光源の発光タイミングを調整することにより、出力画像における副走査方向の大きさを変化させる。
以下では、副走査方向の画像の大きさを変化させる方法について説明する。
【0047】
前述のプリントヘッド3Y,3M,3C,3Kの場合、副走査方向については、各光源の点灯タイミングを変更することで、副走査方向の画像の大きさを変更できる。より具体的な実施例を以下に示す。
【0048】
[実施例10]
本実施例では画像処理制御手段は、プリントヘッド3Y,3M,3C,3Kの各光源の発光周期を変化させる。
図14は、光源の発光周期を変化させることで画像の副走査方向の大きさを変化させることを示す図である。図14の(a)は通常の大きさで画像を形成するときの図であり、図14では、プリントヘッド3Y,3M,3C,3Kの各光源は、パルス信号を受けることで発光し、パルス信号のHIGHレベルの時間だけ発光し、LOWのときは消えていると考えている。同図(b)は、パルス信号の間隔を短くすることで、画像の副走査方向の大きさを小さくしている。同図(c)は、パルス信号の間隔を長くすることで、画像の副走査方向の大きさを大きくしている。このように、光源の発光タイミングを調整することで、副走査方向の画像の大きさを変化させることができる。
【0049】
[実施例11]
本実施例では、画像処理制御手段は、各光源の発光タイミングを変化させるラインと変化させないラインを設け、各光源の発光タイミングを変化させるラインは、複数ラインおきに、少なくとも1つ設けている。
なお、この場合、各光源の発光タイミングを変化させるラインの間隔は一定ではない。また、各光源の発光タイミングを変化させるラインの周期性は、1mm以上の周期で最も強い周期性を有し、1mm以下の周期の周期性成分は、最も強い周期性に対して十分小さい。
各光源の点灯タイミングを変更することで、副走査方向の画像の大きさを変更する具体的な実施例を以下に示す。
【0050】
図15は、プリントヘッド3Y,3M,3C,3Kの各光源の発光タイミングを変化させるラインと変化させないラインを設け、発光タイミングを変化させるラインは、複数ラインおきに、少なくとも1つ設けることを示す実施例である。同図(a)は通常の大きさで画像を形成するときの図であり、副走査ラインはt0秒おきに点灯させている。同図(b)は、副走査2ラインおきに1ラインだけ、発光タイミングをt0からt1秒(t0>t1)に変更しており、そのラインの副走査位置が、間隔が狭くなる方向にシフトしている。同図(c)は、副走査2ラインおきに1ラインだけ、発光タイミングをt0からt2秒(t0<t2)に変更しており、そのラインの副走査位置が、間隔が広くなる方向にシフトしている。このようにすることで、マクロ的にみて、副走査方向の画像の大きさを変化させることができる。シフトさせる量が大きくなりすぎるとバンディングが発生する恐れがあるが、シフトさせる量を副走査ライン間隔の1/10以下で設定することで、バンディングの発生を回避することができる。
【0051】
図14と図15を比較すると、理想的には図14のように全ての副走査ラインの位置をシフトさせるのが好ましいが、画像の副走査方向の大きさを高精度に変化させようとすると、副走査ラインの時間間隔(t0)を高精度に変化させ、且つ安定に保つ必要があり、画像形成装置の制御回路に負担がかかり、コストアップになる恐れがある。その点、図15のようにすると、画像の副走査方向の大きさを変化させるためには、副走査位置をシフトさせるラインの間隔を変化させるだけでよいため、制御回路の複雑化を招くことなく、画像の副走査方向の幅を高精度で制御できるため、より好ましい。
【0052】
図15では、一定間隔で副走査ラインの間隔を変化させていたが(図15では3ライン毎に副走査ライン間隔を変化させている)、一定間隔で副走査ラインの間隔を変化させると、画像パターンによっては、その周期のバンディングが発生する恐れがある。そのため、副走査位置をシフトさせるラインの間隔は一定ではなく、少なくとも一部分にランダム性を有するように設定するのがよい。例えば、副走査位置をシフトさせるラインの間隔は、7ライン、5ライン、4ライン、8ライン、3ライン、・・・という形で、ランダムに変化させるのが良い。そうすることで、バンディングの発生を抑制することができる。
【0053】
また、画像全域に渡って、副走査位置をシフトさせるラインの間隔をランダムに設定するのは、制御回路上難しく、無理に実現しようとすると制御回路のコストアップを招いてしまう恐れがある。そのため、ある一定範囲内でのみ副走査位置をシフトさせるラインの間隔をランダムに設定し、それを周期的に繰り返すのが良い。そうすることで、制御回路のコストアップを回避できる。なお、人の目で知覚されやすいバンディングの周期は図16に示すように、周期1mm付近が最も知覚されやすく、それよりも周期が長くなるにつれて急激に知覚されにくくなる。そのため、上記の周期的に繰り返す周期は、1mm以上に設定することで、よりバンディングが知覚しにくくなる。
【符号の説明】
【0054】
1Y,1M,1C,1K:感光体(像担持体)
2Y,2M,2C,2K:帯電手段
3Y,3M,3C,3K:プリントヘッド(露光手段)
4Y,4M,4C,4K:現像手段
5Y,5M,5C,5K:クリーニング手段
6Y,6M,6C,6K:転写用帯電手段
10:転写ベルト
20:給紙カセット
21:給紙ローラ
22:分離ローラ
23:搬送ローラ
24:レジストローラ
30:定着手段
S:記録紙(記録媒体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開平11−254737号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理を行う画像処理制御手段と、
1次元状もしくは2次元状に配列された光源を有する露光手段と、
前記露光手段により像担持体上に形成された静電潜像をトナーで顕像化する現像手段と、
前記像担持体上に顕像化された画像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された画像を定着させる定着手段と、
を有する画像形成装置において、
主走査方向を光源が配列する長手方向、副走査方向を感光体の回転方向としたとき、
前記画像処理制御手段は、画像をマトリクスに分解して画像処理を行い、前記マトリクスを複数の画素で構成し、任意のマトリクス(以下、補正マトリクスと呼ぶ)において主走査方向の画素数を他と異なるように制御することにより、出力画像における主走査方向の大きさを変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記画像処理制御手段は、前記補正マトリクスにおいて、隣り合う副走査ライン間で、主走査方向の位置が異なるように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記画像処理制御手段は、大マトリクスを、前記補正マトリクスを含む複数のマトリクスで構成し、前記大マトリクスを周期的に配置させた箇所を、画像の少なくとも一部に含むように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記画像処理制御手段は、前記大マトリクス内において、前記補正マトリクスの位置がランダムとなるように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記画像処理制御手段は、前記大マトリクス内において、副走査ライン番号の増大に伴い、前記補正マトリクスの位置が、常に主走査方向右側もしくは常に主走査方向左側に変化するように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記画像処理制御手段は、前記大マトリクス内において、隣り合う副走査ライン間における前記補正マトリクスの主走査方向の間隔が一定となるように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記画像処理制御手段は、前記大マトリクスが、副走査方向に対して角度をもって、周期的に配置するように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記画像処理制御手段は、前記マトリクスにおける露光画素パターンとして、各濃度ごとに複数種類の露光画素パターンを有し、前記複数種類の露光画素パターンは、基本パターンの他に、基本パターンとは重心位置が異なるパターンを少なくとも1つ有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置において、
前記画像処理制御手段は、前記大マトリクス内において、前記補正マトリクスよりも左側のマトリクスの露光画素パターンが、基本パターンに対して重心位置が左に寄っているように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記画像処理制御手段は、前記露光手段における光源の発光タイミングを調整することにより、出力画像における副走査方向の大きさを変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像形成装置において、
前記画像処理制御手段は、各光源の発光周期を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項10に記載の画像形成装置において、
前記画像処理制御手段は、前記各光源の発光タイミングを変化させるラインと変化させないラインを設け、前記各光源の発光タイミングを変化させるラインは、複数ラインおきに、少なくとも1つ設けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12に記載の画像形成装置において、
前記各光源の発光タイミングを変化させるラインの間隔は一定ではないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13に記載の画像形成装置において、
前記各光源の発光タイミングを変化させるラインの周期性は、1mm以上の周期で最も強い周期性を有し、1mm以下の周期の周期性成分は、最も強い周期性に対して十分小さいことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−223098(P2011−223098A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87143(P2010−87143)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】