説明

画像形成装置

【課題】用紙のスタック性能を向上させることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像形成装置の一実施形態に係る複合機1は、画像が形成された用紙100が載置される載置面87を有する排紙トレイ3と、排紙トレイ3へ用紙100を排紙する排紙機構部57と、排紙中の用紙100を、排紙方向79と垂直な断面の中央部を下方に凹ませるコルゲーションローラ733と、排紙中の用紙100に対して、コルゲーションローラ733が凹ませた部分を下方に位置する排紙トレイ3の載置面87に向けて上から押さえる紙押部材45とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に画像を印刷する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式を用いて用紙に画像を印刷する画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置では、トナー画像が転写された用紙を加熱して、用紙にトナーを定着させる。このとき、用紙の一方の面に加熱した定着ローラを当てるので、用紙の一方の面の水分が他方の面より蒸発し、定着ローラを通過した用紙はカールし易くなる。定着ローラを通過した用紙は、次々と排紙トレイに排紙されるが、用紙がカールすると、きれいに積み重なり難い。
【0003】
このような点を改善するための排紙機構が、下記特許文献1に記載されている。この排紙機構は、用紙をニップして排紙する一対の排紙ローラの軸に、用紙の排紙方向と垂直な断面において、用紙を波形に変形させるための複数のコルゲーションローラが取り付けられている。用紙は、排紙方向にカールする傾向にあるので、排紙方向と垂直な断面を波形に変形させることにより、排紙された用紙がカールするのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−230746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の排紙機構では、排紙された用紙がカールするのを十分に抑制できない場合がある。例えば、より高速で印刷しようとした場合、定着ローラと用紙の接触時間が短くなるので、定着ローラをより高温にする必要があり、用紙が更にカールし易くなる。また、トナーの種類によっては、定着ローラをより高温にする必要があり、この場合も、用紙が更にカールし易くなる。このような場合、コルゲーションローラを通過した後、用紙がカールすると、排紙トレイ上できれいに積み重ならず、十分なスタック性能を得ることができない。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、用紙のスタック性能を向上させることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記問題点を解消する為、排紙トレイの上方からペーパーウェイトを吊り下げ、排紙トレイに排紙された用紙をペーパーウェイトによって押さえることにより、用紙のスタック性能を向上させようと試みた。しかしながら、コルゲーションローラによって形成した波形が、スタック位置まで排紙トレイ上を搬送される間にペーパーウェイトによって崩されてしまい、スタック性能を向上させることができなかった。そこで、本発明者は、更に検討を重ね、形成した波形を崩さずに、スタック位置まで搬送するという思想に想到した。
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、画像が形成された用紙が載置される載置面を有する排紙トレイと、排紙トレイへ用紙を排紙する排紙手段と、排紙手段によって排紙中の用紙を、排紙方向と垂直な断面において少なくとも一箇所を下方に凹ませる機構部と、排紙手段によって排紙中の用紙に対して、機構部が凹ませた部分を下方に位置する排紙トレイの載置面に向けて上から押さえる紙押部材とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置によれば、排紙手段によって排紙中の用紙が、機構部によって、排紙方向と垂直な断面において少なくとも一箇所が下方に凹むように変形される。変形された用紙は、凹んだ部分が下方に位置する排紙トレイの載置面に向けて紙押部材によって押さえられながら排紙される。これにより、機構部によって排紙方向に沿った谷が用紙に形成され、その谷が、紙押部材によって下方に押された状態で排紙トレイ上を搬送される。これにより、用紙は、機構部を通過した後も排紙方向に沿って形成された谷を崩さずにスタック位置に向かって搬送されるので、用紙が、排紙トレイ上を搬送中にカールすることを抑制できる。従って、用紙のスタック性能を向上させることができる。
【0010】
本発明に係る画像形成装置では、紙押部材が、用紙の上面に接し、用紙の凹んだ部分を下方に押さえる紙押部を有し、用紙の排紙経路における幅方向において、紙押部が配置された位置と、機構部が用紙を凹ませる位置とが略同じであることが好ましい。
【0011】
この好ましい構成によれば、機構部が用紙を凹ませた後、紙押部が用紙の上面に接し、用紙の凹んだ部分が紙押部によって下方に押さえられる。この状態で、用紙は、排紙トレイ上をスタック位置に向けて搬送される。従って、排紙方向に沿って形成された谷を崩さずに、スタック位置に向けて排紙トレイ上を搬送することができる。
【0012】
本発明に係る画像形成装置では、機構部が、排紙方向と垂直な断面において用紙を波形に変形させるコルゲーション機構部であることが好ましい。
【0013】
この好ましい構成によれば、用紙の排紙方向と垂直な断面を波形に変形させるので、排紙方向に沿って延びる山及び谷が用紙に形成され、用紙がカールすることを更に抑制できる。
【0014】
本発明に係る画像形成装置では、排紙手段が、用紙をニップして排紙するローラ対と、ローラ対を支持する一対のローラ軸とを有し、コルゲーション機構部が、一対のローラ軸のうち上方に位置するローラ軸に取り付けられ、ローラ対のニップ線より下方に突出したコルゲーションローラを含み、コルゲーションローラが、上記幅方向において、紙押部が配置された位置と略同じ位置に配置されていることが好ましい。
【0015】
この好ましい構成によれば、用紙は一対のローラ対にニップされ、ニップされた位置で、上記断面において少なくとも一箇所が、コルゲーションローラによって下方に凹むように変形される。これにより、用紙が排紙されると共に、排紙方向に沿った谷を用紙に形成することができる。また、コルゲーションローラと紙押部とが、搬送経路の幅方向において同じ位置に配置されているので、コルゲーションローラによって凹んだ部分を紙押部によって下方に押した状態で、用紙を搬送することができる。
【0016】
本発明に係る画像形成装置では、コルゲーションローラと紙押部との間に設けられ、用紙の凹んだ部分をさらに凹ませるガイド部材を備えることが好ましい。
【0017】
この好ましい構成によれば、用紙は、コルゲーション機構部によって少なくとも一部が下方に凹むように変形された後、この凹んだ部分が紙押部材によって下方に押さえられる位置まで搬送される間、凹んだ状態がガイド部材によって保たれる。すなわち、コルゲーション機構部によって排紙方向に沿った谷が用紙に形成され、その谷が保たれた状態で、紙押部材によって押さえられる位置まで用紙が搬送される。従って、排紙方向に沿って形成された谷を崩さずに、用紙を搬送することができるので、搬送中に用紙がカールすることを更に確実に抑制できる。
【0018】
本発明に係る画像形成装置では、ガイド部材が、排紙経路の上側に位置し、鉛直方向及び排紙方向に延びたリブであることが好ましい。
【0019】
この好ましい構成によれば、用紙は、コルゲーション機構部によって少なくとも一部が下方に凹むように変形された後、凹んだ部分がガイド部材によって上から押さえられた状態で、紙押部材によって下方に押さえられる位置まで搬送される。すなわち、排紙中に排紙方向に沿って形成された谷が消えないように、ガイド部材によってガイドすることができる。
【0020】
本発明に係る画像形成装置では、ガイド部材が、排紙トレイの上方かつ上流側に配置され、ガイド部材の下端が、排紙方向の下流側に向かって下方に傾斜していることが好ましい。
【0021】
この好ましい構成によれば、ガイド部材の下端が排紙方向下流側に向かって下方に傾斜しているので、排紙トレイのスタック位置に向かって上方から斜め下方に搬送される用紙に沿って、ガイド部材が用紙を上から押さえることができる。従って、用紙に形成された谷が消えないように、効果的にガイドすることができる。
【0022】
本発明に係る画像形成装置では、コルゲーションローラとガイド部材と紙押部とが、搬送されて来る用紙の搬送方向と垂直な幅方向の略中心に位置していることが好ましい。
【0023】
この好ましい構成によれば、用紙の中心ラインに沿って、コルゲーションローラによって谷が形成され、次にガイド部材及び紙押部によって谷が押さえられた状態でスタック位置に向けて搬送される。このため、用紙の中心ラインに沿って谷が形成された状態で搬送されるので、用紙がカールすることを効果的に抑制できる。
【0024】
本発明に係る画像形成装置では、紙押部材が、棒状に形成された部分を有し、棒状に形成された部分の下端部が、用紙の上面に接して下方に押さえる上記紙押部であることが好ましい。
【0025】
この好ましい構成によれば、下端部が棒状に形成されているので、下端部が用紙に接して下方に押さえることにより、コルゲーション機構部によって形成された谷形状を崩さずに、搬送することができる。
【0026】
本発明に係る画像形成装置では、排紙トレイが、載置面に設けられて排紙方向に平行に延びた2つのリブを有し、2つのリブの間に紙押部が配置されていることが好ましい。
【0027】
この好ましい構成によれば、排紙トレイの載置面上の用紙は、2つのリブによって排紙方向に沿った2つの山が形成され、2つの山の間の谷が紙押部によって下方に押される。従って、スタック位置まで用紙の谷を崩さずに搬送することができるので、用紙が排紙方向にカールすることを防止し、用紙のスタック性能を更に向上させることができる。
【0028】
本発明に係る画像形成装置では、排紙トレイの載置面に凹部が形成され、排紙トレイの上方には天井面が設けられ、紙押部材は、上端部が天井面に取り付けられて、下端部が吊り下げられ、用紙が排紙トレイ上に排紙されていない状態で、下端部が凹部内に位置することが好ましい。
【0029】
この好ましい構成によれば、排紙トレイに凹部が形成されているので、紙押部材の長さを十分確保することができる。そして、用紙が紙押部の位置まで搬送されると、用紙が紙押部の下側へ入り込み、用紙の凹んだ部分が紙押部によって下方へ押されながら搬送される。これにより、紙押部材が、用紙を押し続けるので、より効果的に谷形状を保つことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、用紙のスタック性能を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態に係る複合機を示す正面図である。
【図2】複合機の排紙空間を示す斜視図である。
【図3】複合機が有する排紙機構を示す正面図である。
【図4】複合機が有する排紙機構、ガイドリブ、紙押部材、及びペーパーウェイトを示す斜視図である。
【図5】複合機が有する排紙ユニットを示す断面図である。
【図6】複合機が有する排紙トレイを示す斜視図である。
【図7】複合機の排紙空間内に用紙が排紙される状態を説明するための排紙方向と平行な断面図である。
【図8】複合機の排紙空間内に用紙が排紙される状態を説明するための排紙方向と垂直な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。まず、図1を参照して、本発明の画像形成装置の一実施形態に係る複合機1について、概略構成を説明する。図1は、複合機1を示す正面図である。
【0033】
複合機1は、用紙に画像を印刷するプリント機能を有し、コピー機、スキャナ、ファクシミリ装置としても機能する。複合機1のプリント機能によって画像が印刷された用紙は、カールし易い状態となるが、複合機1は、画像が印刷された用紙がカールするのを抑制し、用紙を整然と排紙トレイ3にスタックできるように構成されている。
【0034】
図1に示すように、複合機1は、本体上部に配置された画像読取部5と、本体下部に配置された給紙部7と、給紙部7の上側に位置する画像形成部9と、画像読取部5の下側の排紙空間11に設置された排紙トレイ3を有している。
【0035】
画像読取部5には、最上部に原稿トレイ13が設けられ、原稿トレイ13にセットされた原稿が、自動原稿搬送装置15によって読取位置まで搬送され、本体上部に内蔵されたスキャナ17によって読み取られる。その後、原稿は、原稿トレイ13の下に設けられた原稿排紙トレイ19上に排紙される。コピー処理を行う際には、スキャナ17によって読み取られた原稿データが、画像形成部9によって用紙にプリントされる。
【0036】
プリント処理が行われる際には、給紙部7を構成する給紙カセット21内にセットされた用紙が、ピックアップローラ(図示せず)によって搬送路23上にピックアップされる。ピックアップされた用紙は、搬送路23に沿って給紙カセット21右側から上部に搬送され、給紙カセット21の右側上部に配置された画像形成部9によって画像が形成される。なお、ここで言う「右側」とは、図1に示されるように、複合機1の正面に向かって右側を言う。
【0037】
画像形成部9は、電子写真方式を用いて用紙に画像を形成する。このため、画像形成部9は、搬送路23に沿って配置された転写ユニット25と定着器ユニット27とを有している。転写ユニット25は、感光体ドラム29、現像ローラ31、及び転写ローラ33を有している。
【0038】
転写ユニット25では、感光体ドラム29に静電潜像が形成され、トナーを保持した現像ローラ31から感光体ドラム29にトナーが移転されることにより、感光体ドラム29上にトナー画像が形成される。そして、感光体ドラム29と、電圧が印加された転写ローラ33とによって搬送されて来た用紙を挟むことにより、感光体ドラム29上のトナー画像が用紙に転写される。
【0039】
定着器ユニット27は、定着ローラ35と押圧ローラ37とを有している。定着ローラ35を加熱し、トナー画像が転写された用紙を定着ローラ35と押圧ローラ37とによって挟んで搬送することにより、用紙はトナー画像が転写された側から加熱されると共に加圧され、トナーが用紙に定着する。用紙は一方の面から加熱されるので、一方の面の水分が他方の面より急激に蒸発し、カールし易い状態となる。用紙は、カールし易い状態で、搬送路23の終端部左側に位置する排紙空間11内に排紙される。なお、ここで言う「左側」とは、図1に示されるように、複合機1の正面に向かって左側を言う。
【0040】
複合機1は、搬送路23の終端部左側に配置された排紙ユニット39を備え、この排紙ユニット39によって、カールし易い状態の用紙が画像形成部9から排紙空間11内に排紙され、排紙トレイ3上に整然とスタックされる。排紙ユニット39は、本体内部の画像形成部9から排紙空間11へ用紙を排紙するための排紙機構41、排紙空間11の下部に配置された排紙トレイ3、ガイドリブ43、紙押部材45、及びペーパーウェイト47を備えている。
【0041】
図2は、複合機1の排紙空間11を示す斜視図である。図2は、図1に示す複合機1の排紙空間11を図1の左斜め下から見た斜視図である。図2に示すように、排紙空間11は、画像読取部5の下側の天井面49と、天井面49と対向するように配置された排紙トレイ3と、背面51と、左側面53と、排紙口54が形成された右側面55とによって画成されている。排紙空間11は、複合機1の正面に向かって手前側と、左側面53の手前側が開放され、ユーザが印刷済みの用紙を取り出せるように構成されている。
【0042】
右側面55に形成された排紙口54には、排紙ローラ等を含む排紙機構41が設けられ、排紙口54から用紙が排紙される。天井面49には、ガイドリブ43が固定され、紙押部材45及びペーパーウェイト47が天井面49から吊り下げられている。引き続いて、排紙ユニット39を構成する各部品について詳細に説明する。
【0043】
図3は、排紙機構41を示す正面図である。図4は、排紙機構41、ガイドリブ43、紙押部材45、及びペーパーウェイト47を示す斜視図である。図5は、排紙ユニット39を示す断面図である。図5は、鉛直方向78及び排紙方向79と平行で、排紙トレイ3における排紙方向79と垂直な幅方向80の中心を通る断面を示している。図6は、排紙トレイ3を示す斜視図である。
【0044】
図3に示すように、排紙機構41は、用紙100を略水平方向に排紙する排紙機構部57と、用紙100を波形に変形させるコルゲーション機構部59とを有している。排紙機構部57は、特許請求の範囲に記載の排紙手段として機能し、用紙100をニップして排紙する2対のローラ61と、2対のローラを支持する一対のローラ軸63とを有する。
【0045】
一対のローラ軸63は、回転駆動される駆動軸65と固定された固定軸67とで構成され、駆動軸65と固定軸67とは水平に配置されている。そして、駆動軸65が下側、固定軸67が上側に配置されている。2対のローラ61は、それぞれ、駆動ローラ69と従動ローラ71とで構成されている。駆動ローラ69は、駆動軸65に固定されている。従動ローラ71は、固定軸67に回転可能に取り付けられ、駆動ローラ69に圧接して駆動ローラ69の回転に従って回転する。また、2対のローラ61のニップ線75は、同一の直線上に位置している。
【0046】
用紙100が排紙機構部57に搬送されて来ると、用紙100は、駆動ローラ69と従動ローラ71とによってニップされることにより、排紙空間11側に搬送される。そして、用紙100は、排紙空間11の下側に配置された排紙トレイ3上に載置される。
【0047】
コルゲーション機構部59は、複数(本実施形態では7つ)のコルゲーションローラ731〜737を有している。コルゲーションローラ731〜737は、図3の紙面右側から順に並び、駆動軸65と固定軸67とに交互に取り付けられている。上側の固定軸67に取り付けられたコルゲーションローラ731,733,735,737は、ニップ線75より下側に突出している。下側の駆動軸65に取り付けられたコルゲーションローラ732,734,736は、ニップ線75より上側に突出している。
【0048】
このため、用紙100は、排紙機構41を通過する際に、コルゲーション機構部59によって、搬送方向に垂直な断面が波形に変形される。なお、図3において、太い2点鎖線によって用紙100の搬送方向に垂直でニップ線75を通る断面を示している。図3に示すように、用紙100は、排紙機構部57によって排紙されている間に、コルゲーションローラ731,733,735,737によって排紙方向と垂直な断面において4箇所が下方に凹ませられる。
【0049】
すなわち、用紙100には、コルゲーションローラ731,733,735,737によって排紙方向に沿った4つの谷が形成される。そして、この4つの谷の間には、それぞれコルゲーションローラ732,734,736によって山が形成される。7つのコルゲーションローラ731〜737のうち中央寄りのコルゲーションローラ733は、搬送されて来る用紙100の幅方向80における中央ライン77上に位置する。これにより、コルゲーションローラ733によって、用紙100には、搬送方向79と平行な中央ラインに沿った谷が形成される。
【0050】
図4及び図5に示すように、ガイドリブ43は、直角台形状に形成されたリブであり、台形の底辺と直角な一辺に取付面431が設けられ、この取付面431が天井面49に取り付けられている。すなわち、ガイドリブ43は、鉛直方向78及び排紙方向79に延びた状態で配置され、ガイドリブ43の下端432は、排紙方向79の下流側に向かって下方に傾斜している。
【0051】
このガイドリブ43は、排紙機構41より下流側、かつ、紙押部材45より上流側に配置され、ガイドリブ43の下端432は、中央ライン77上に配置されている。なお、中央ライン77は、上述したように、搬送されて来る用紙100の幅方向80における中央が通るラインである。すなわち、ガイドリブ43は、搬送方向79から見て、コルゲーション機構部59によって形成された用紙100の波形上において、中央寄りのコルゲーションローラ733と同一位相に配置されている。
【0052】
また、ガイドリブ43が有する下端432の下流側の角部は、ニップ線より下側に位置し、更に、コルゲーションローラ733の下端の面位置より下方にずれて位置している。このため、ガイドリブ43は、排紙されて来る用紙100の上側に位置し、コルゲーションローラ733によって形成された用紙100の中央の谷に、ガイドリブ43の下端432が当たり、用紙100の凹んだ部分が更に凹む。
【0053】
すなわち、用紙100は、後端側の部分が排紙機構41にニップされた状態で、排紙機構41を通過した先端側の部分が、ガイドリブ43によって中央の谷が上から押される。この状態で、用紙100は排紙トレイ3上をスタック位置まで搬送される。なお、ガイドリブ43は、特許請求の範囲に記載のガイド部材として機能する。
【0054】
紙押部材45は、棒状に形成され、上方が二股に分かれて、二股に分かれた2つの上端部451がそれぞれ天井面49に取り付けられている。紙押部材45は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂で形成することができる。
【0055】
天井面49には、ガイドリブ43の下流側に取り付けられた2つの取付板にそれぞれ軸孔(図示せず)が形成され、紙押部材45の上端部451に形成されたボスが軸孔に挿通することで、天井面49に上端部451が取り付けられている。すなわち、紙押部材45は、下端部452が排紙方向79及び鉛直方向78と平行な面上においてボスを軸に回転可能に天井面49から吊り下げられている。
【0056】
紙押部材45の下端部452は、自重で下方に垂れ下がり、用紙が排紙トレイ3上に排紙されていない状態では、排紙トレイ3上に形成された凹部83内に位置している。そして、紙押部材45は傾斜し、下端部452が、上端部451より下流側に位置している。また、下端部452は、中央ライン77上に位置する。すなわち、紙押部材45は、搬送方向79から見て、コルゲーション機構部59によって形成された用紙100の波形上において、中央寄りのコルゲーションローラ733及びガイドリブ43と同一位相に配置されている。
【0057】
ペーパーウェイト47は、紙押部材45より下流側に配置されている。紙押部材45が、用紙100の排紙中において、用紙100に形成された谷を保つための部材であるのに対して、ペーパーウェイト47は、排紙されてスタック位置に停止した用紙100を上から押さえるためのウェイトである。
【0058】
ペーパーウェイト47は、上方が二股に分かれて、紙押部材45と同様に、上端部471のボスが、天井面49に取り付けられた取付板の軸孔に挿通することで、天井面49に上端部471が取り付けられている。すなわち、ペーパーウェイト47は、下端部472が排紙方向79及び鉛直方向78と平行な面上において、ボスを軸に回転可能に天井面49から吊り下げられている。
【0059】
ペーパーウェイト47の下端部472は、自重で下方に垂れ下がり、用紙が排紙トレイ3上に排紙されていない状態では、排紙トレイ3上に形成された凹部85内に位置している。そして、ペーパーウェイト47は傾斜し、下端部472が、上端部471より下流側に位置している。また、下端部472は、中央ライン77上に位置する。
【0060】
ペーパーウェイト47は、紙押部材45と同様に合成樹脂によって形成され、また、紙押部材45より幅広に形成されているので、紙押部材45より重く、排紙トレイ3上にスタックされた用紙100を十分な力で押さえることができる。
【0061】
図6に示すように、排紙トレイ3は、排紙された用紙100を載置する載置面87を有している。この積載面87は、上向きに突出した突部871を有している。突部871は、その長手方向が、中央ライン77に沿って、排紙トレイ3の排紙方向79の全長に亘って形成されている。この突部871の上面872は、幅方向80には水平で、排紙方向79には傾斜し、下流ほど高く形成されている。
【0062】
また、載置面87の上面872には、排紙方向79に平行に延びた2本のリブ873が設けられている。この2本のリブ873は、中央ライン77を挟んで、鉛直方向78及び排紙方向79に垂直な方向に互いに対向している。また、この2本のリブ873は、上端が排紙方向79に沿って傾斜し、下流側ほど高く形成されている。上面872には、この2本のリブ873の間に、上述した凹部83,85が形成されている。すなわち、排紙方向79から見て、2本のリブ873の間に、紙押部材47の下端部452と、ペーパーウェイト47の下端部472が配置されている。
【0063】
引き続いて、排紙ユニット39によって用紙100が排紙される動作を説明する。図3に示されるように、用紙100は、定着器ユニット27を通過した後、排紙機構部57によって画像形成面を下側にして排紙空間11へ排紙されると共に、コルゲーション機構部59によって用紙100の断面が波打つように変形される。
【0064】
定着器ユニット27を通過した用紙100は、画像形成面が内側となるようにカールし易く、用紙100の排紙機構41を通過した部分は、排紙空間11内で、排紙方向79及び鉛直方向78に平行な面上において、上に突出して湾曲し易い状態となる。一方で、用紙100は、コルゲーション機構部59によって、排紙方向79と垂直な断面が波形に変形され、排紙方向79に沿って延びた谷及び山が形成されているので、用紙100がカールするのを抑制した状態となる。
【0065】
図7及び図8は、排紙空間11内に用紙が排紙される状態を説明するための図である。図7は、排紙方向79及び鉛直方向78と平行で、中央ライン77を通る断面図であり、図8は、排紙方向79と垂直で、図7に示すVIII−VIII断面を示す断面図である。
【0066】
排紙機構41を通過した用紙100の下流側の部分は、ガイドリブ43の下端432が、コルゲーションローラ733によって形成された中央の谷を押している状態で搬送される。そして、用紙100の先端中央部は、紙押部材45の下側を通り、排紙トレイ3上に形成された凹部83に到達すると、紙押部材45の下端部452の下側に滑り込む。そして、用紙100の先端中央部は、下端部452によって上から載置面87の上面872へ押されながら排紙トレイ3上を搬送される。すなわち、紙押部材45の下端部452は、特許請求の範囲に記載の紙押部として機能する。
【0067】
また、紙押部材45は、2つの上端部451にそれぞれ形成されたボスを軸に微小角度回転することにより、下端部452が用紙100の中心ラインに沿って排紙方向79に微小距離スライドする。このため、用紙100は、中央ライン状の谷に沿って、下端部452によって下方に押さえられながらスタック位置まで搬送される。
【0068】
また、用紙100の中央ラインにできた谷の両側は、搬送トレイ3に設けられた2つのリブ873によって下から上へ押されて山が形成される。すなわち、用紙100には、中央ラインに沿ってできた谷と、谷を挟む2つの山が形成された状態で、排紙トレイ3上を搬送される。
【0069】
そして、用紙100の先端がペーパーウェイト47の下側を通り、排紙トレイ3上に形成された凹部85に到達すると、用紙100の先端中央部がペーパーウェイト47の下端部472の下側に滑り込んで、ペーパーウェイト47によって押された状態で搬送される。ペーパーウェイト47は、上端部471の2つのボスを軸に微小角度で回転し、下端部472が用紙100の中央ラインに沿って排紙方向に微小距離スライドする。このため、用紙100は、ペーパーウェイト47によって下方に押さえられながら搬送される。
【0070】
用紙100の後端が、排紙機構41から排紙されると、用紙100の後端が排紙トレイ3に落下する。排紙トレイ3の載置面87に形成されたリブ873が傾斜しているので、排紙空間11を画成する右側面55側に用紙100の後端が揃い、用紙100が停止する。用紙100が停止したスタック位置では、用紙100上に位置するペーパーウェイト47によって用紙100の先端側が上から押し付けられる。
【0071】
また、用紙100の排紙方向79の中央部には、紙押部材45の下端部452が自重で垂れ下がっているので、紙押部材45がペーパーウェイトとして機能する。更に、搬送トレイ3に設けられた2つのリブ873によって、用紙100の中心ラインの両側が下から上へ押されて山が形成されている。従って、用紙100は、排紙トレイ3上を搬送中、及び、スタック位置に停止した状態で、排紙方向79と垂直な断面において、中央が凹み、その両側に山が形成された状態となっている。これにより、用紙100は、カールが抑制され、整然とスタックされる。
【0072】
以上説明した複合機1によれば、コルゲーションローラ733によって排紙方向79に沿った谷が用紙100に形成され、その谷が、紙押部材45によって用紙100の上から下方に押された状態で排紙トレイ3上を搬送される。これにより、用紙100は、コルゲーション機構部59を通過した後も排紙方向79に沿って形成された谷を崩さずにスタック位置に向かって搬送されるので、用紙100がカールすることを抑制できる。従って、用紙のスタック性能を向上させることができる。
【0073】
また、複合機1では、コルゲーションローラ733と紙押部材45の下端部452との間に、ガイドリブ43が設けられ、ガイドリブ43の下端432によって用紙100の中央にできた谷を上から下方に押さえられた状態で、用紙100が搬送される。このため、コルゲーションローラ733によって形成された用紙100の谷形状が保たれた状態で、紙押部材45によって押さえられる位置まで搬送される。従って、排紙中に排紙方向79に沿って形成された谷が消えることなく搬送することができるので、用紙100のカールを確実に抑制することができる。
【0074】
更に、ガイドリブ43の下端432が、排紙方向79下流側に向かって下方に傾斜している。このため、用紙100が排紙トレイ3のスタック位置に向かって上方から斜め下方に搬送される中で、ガイドリブ43の下端432が用紙の搬送方向に沿って谷を上から押すので、谷が消えないように効果的にガイドすることができる。
【0075】
また、コルゲーションローラ733とガイドリブ43と紙押部材45の下端部452とが、中央ライン77上に位置している。このため、用紙100の中心ラインに沿って、コルゲーションローラ733によって谷が形成され、次にガイドリブ43と紙押部材45の下端部452によって谷が押さえられた状態でスタック位置に向けて搬送される。従って、用紙の中心ラインに沿って谷が確実に形成された状態で搬送されるので、用紙がカールすることを効果的に抑制できる。
【0076】
また、紙押部材45が棒状に形成され、その下端部452が用紙100に形成された谷に接して下方に押さえることにより、コルゲーションローラ733によって形成された谷形状を崩さずに搬送することができる。
【0077】
また、排紙トレイ45の載置面87の上面872には、排紙方向79に平行に延びた2つのリブ873が設けられ、2つのリブ873の間に紙押部材45の下端部452が配置されている。このため、載置面87上の用紙100は、2つのリブ873によって排紙方向79に沿った2つの山が形成され、2つの山の間の谷が紙押部材45の下端部452によって下方に押される。従って、スタック位置まで用紙100の谷を崩さずに搬送することができるので、用紙100が排紙方向79にカールすることを防止し、用紙100のスタック性能を更に向上させることができる。
【0078】
更に、排紙トレイ3の載置面87に凹部83が形成され、紙押部材45は、下端部452が回転可能に上部から吊り下げられ、用紙100が排紙トレイ3上に排紙されていない状態で下端部452が凹部83内に位置する。このため、紙押部材45の長さを十分確保することができる。そして、用紙100が下端部452の位置まで搬送されると、用紙100が下端部452の下側へ入り込み、用紙100の凹んだ部分が下端部452によって下方へ押されながら搬送される。従って、紙押部452が用紙100を押し続けるので、より効果的に谷形状を保つことができる。
【0079】
またコルゲーション機構部59が、用紙100を波形に変形させるので、用紙100に排紙方向79に沿って延びる複数の山及び谷が形成され、用紙100がカールすることを抑制できる。
【0080】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、複数のコルゲーションローラ731〜737によって複数箇所(4箇所)を下方に凹ませたが、1つのローラを用いて、1箇所を凹ませる構成であってもよい。また、コルゲーション機構部59は、コルゲーションローラ731〜737を取り付ける駆動軸65及び固定軸67を搬送機構部57と共用したが、搬送機構部57が有する駆動軸65及び固定軸67とは別の一対の軸を有していてもよい。また、用紙を凹ませる手段としてローラ(コルゲーションローラ)を用いたが、リブ等であってもよい。
【0081】
また上記実施形態では、電子写真方式で画像形成を行い、定着ローラ35によって用紙を加熱し、トナーを用紙に定着させることとしたが、本発明に係る画像形成装置は、インクジェット方式や熱記録方式で用紙に画像形成を行う画像形成装置にも適用可能である。このような画像形成装置では、定着プロセスが不要であるため、本実施形態のように定着ローラ35の熱で用紙にカールが生じることはないが、用紙としてロール紙を使用する場合があり、この場合にはロール紙の巻き癖によって用紙にカールが生じることがある。そこで、本発明に係る画像形成装置を適用することにより、このような用紙のカールについても抑制して搬送し、スタック性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 複合機
3 排紙トレイ
43 ガイドリブ
45 紙押部材
452 下端部(紙押部)
57 排紙機構部
59 コルゲーション機構部
61 ローラ対
63 一対のローラ軸
731〜737 コルゲーションローラ
873 リブ
83 凹部
100 用紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成された用紙が載置される載置面を有する排紙トレイと、
前記排紙トレイへ前記用紙を排紙する排紙手段と、
前記排紙手段によって排紙中の前記用紙を、排紙方向と垂直な断面において少なくとも一箇所を下方に凹ませる機構部と、
前記排紙手段によって排紙中の前記用紙に対して、前記機構部が凹ませた部分を下方に位置する前記排紙トレイの載置面に向けて上から押さえる紙押部材と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記紙押部材は、前記用紙の上面に接し、前記用紙の凹んだ部分を下方に押さえる紙押部を有し、
前記用紙の排紙経路における幅方向において、前記紙押部が配置された位置と、前記機構部が前記用紙を凹ませる位置とが略同じであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記機構部は、前記排紙方向と垂直な断面において前記用紙を波形に変形させるコルゲーション機構部であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記排紙手段は、
前記用紙をニップして排紙するローラ対と、
前記ローラ対を支持する一対のローラ軸とを有し、
前記コルゲーション機構部は、
前記一対のローラ軸のうち上方に位置するローラ軸に取り付けられ、前記ローラ対のニップ線より下方に突出したコルゲーションローラを含み、
前記コルゲーションローラは、前記幅方向において、前記紙押部が配置された位置と略同じ位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記コルゲーションローラと前記紙押部との間に設けられ、前記用紙の凹んだ部分をさらに凹ませるガイド部材を備えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ガイド部材は、前記排紙経路の上側に位置し、鉛直方向及び前記排紙方向に延びたリブであることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ガイド部材は、前記排紙トレイの上方かつ上流側に配置され、
前記ガイド部材の下端は、前記排紙方向の下流側に向かって下方に傾斜していることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記コルゲーションローラと前記ガイド部材と前記紙押部とは、搬送されて来る前記用紙の搬送方向と垂直な幅方向の略中心に位置していることを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記紙押部材は、棒状に形成された部分を有し、
前記棒状に形成された部分の下端部が、前記用紙の上面に接して下方に押さえる紙押部であることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記排紙トレイは、前記載置面に設けられて前記排紙方向に平行に延びた2つのリブを有し、
前記2つのリブの間に前記紙押部が配置されていることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記排紙トレイの載置面に凹部が形成され、
前記排紙トレイの上方には天井面が設けられ、
前記紙押部材は、上端部が前記天井面に取り付けられ、前記下端部が吊り下げられ、前記用紙が前記排紙トレイ上に排紙されていない状態で、前記下端部が前記凹部内に位置することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−230886(P2011−230886A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102235(P2010−102235)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】