説明

画像形成装置

【課題】現像剤保持体ユニットをより長期間にわたって使用することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、定着ユニットでの定着処理後に、加熱部材による加熱を停止した状態で(ステップS3)、モータを回転させることで、加熱部材の回転によるクーリング動作を実行させる制御ユニットを備えている。そして、この制御ユニットは、クーリング動作を実行する際に、伝達切換機構を制御して、現像剤保持体ユニットへの駆動力の伝達を切る切断制御(ステップS6)を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シート上に現像剤を熱定着させるために、記録シートを加熱するとともに回転可能な加熱部材を有する定着ユニットを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、定着ユニットと現像装置等を同一の駆動源によって駆動するものが知られている。このような画像形成装置としては、例えば特許文献1に示すように、定着処理後に、定着ユニットの冷却のために、定着ユニットを所定時間駆動させるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−13815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成であると、定着ユニットの定着処理後の駆動のたびに、現像装置等も一緒に駆動する必要があり、現像装置等の寿命が短くなるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、現像装置等(現像剤保持体ユニット)をより長期間にわたって使用することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する本発明は、現像剤を担持する現像剤保持体を有する現像剤保持体ユニットと、記録シート上に現像剤を熱定着させるために、前記記録シートを加熱するとともに回転可能な加熱部材を有する定着ユニットと、現像剤保持体ユニットおよび定着ユニットを駆動するためのモータと、モータからの駆動力を定着ユニットに伝達するための伝達ユニットと、モータから現像剤保持体ユニットへの駆動力の伝達・切り離しを切換可能な伝達切換機構と、定着ユニットでの定着処理後に、加熱部材による加熱を停止した状態で、モータを回転させることで、加熱部材の回転によるクーリング動作を実行させる制御ユニットと、を備え、前記制御ユニットは、前記クーリング動作を実行する際に、前記伝達切換機構を制御して、前記現像剤保持体ユニットへの駆動力の伝達を切る切断制御を実行することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、クーリング動作を実行する際には、制御ユニットが伝達切換機構を制御して、現像剤保持体ユニットへの駆動力の伝達が切られるので、現像剤保持体ユニットの駆動による劣化を抑えることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現像剤保持体ユニットをより長期間にわたって使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタを示す側断面図である。
【図2】感光体ドラムと現像ローラの離間を説明する図である。
【図3】伝達切換機構が切断されているときの状態を示す説明図である。
【図4】伝達切換機構が連結されているときの状態を示す説明図である。
【図5】清掃モードが入るタイミングと切断制御が入るタイミングの関係を示す表である。
【図6】制御ユニットの動作を示すフローチャートである。
【図7】定着ユニットの温度変化を示すグラフ(a)と、クーリング動作を実行しない場合のモータ制御を示すタイムチャート(b)と、定着処理直後に切断制御を実行する場合のモータ制御を示すタイムチャート(c)と、定着処理後に第1期間を待って切断制御を実行する場合のモータ制御を示すタイムチャート(d)である。
【図8】清掃モードが入るタイミングと切断制御が入るタイミングの関係の変形例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラープリンタについて、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、方向は、カラープリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって左側を「前側」、紙面に向かって右側を「後側」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0011】
<カラープリンタの全体構成>
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体2内に、記録シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部20と、給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成された用紙Pを排出する排紙部90と、制御ユニット100とを備えている。
【0012】
装置本体2の上部には、開口部2Aが形成されている。そして、この開口部2Aは、装置本体2に回動可能に支持されるアッパーカバー3によって開閉されるようになっている。アッパーカバー3の上面は、装置本体2から排出された用紙Pを蓄積する排紙トレイ4となっており、下面にはLEDユニット40を保持する複数のLED取付部材5が設けられている。
【0013】
給紙部20は、装置本体2内の下部に設けられ、装置本体2に着脱自在に装着される給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部30へ搬送する用紙供給機構22を主に備えている。用紙供給機構22は、給紙トレイ21の前側に設けられ、給紙ローラ23、分離ローラ24および分離パッド25を主に備えている。
【0014】
このように構成される給紙部20では、給紙トレイ21内の用紙Pが、一枚ずつ分離されて上方へ送られ、紙粉取りローラ26とピンチローラ27の間を通過する過程で紙粉が除去された後、搬送経路28を通って後ろ向きに方向転換され、画像形成部30に供給される。
【0015】
画像形成部30は、4つのLEDユニット40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット70と、ベルトクリーナ10と、定着ユニット80とから主に構成されている。
【0016】
LEDユニット40は、LED取付部材5に対して揺動可能に連結されており、装置本体2に設けられる位置決め部材によって適宜位置決めされて支持されている。
【0017】
プロセスカートリッジ50は、アッパーカバー3と給紙部20との間で前後方向に並んで配置され、感光体ドラム51、帯電器52、現像剤保持体の一例としての現像ローラ53、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容室54、クリーニングローラ55などを備えて構成されている。
【0018】
プロセスカートリッジ50は、ブラック用、イエロー用、マゼンタ用およびシアン用の各色のトナーが入った50K,50Y,50M,50Cの符号で示すものが用紙Pの搬送方向上流からこの順で並んで配置されている。なお、本明細書および図面において、トナーの色に対応した感光体ドラム51、現像ローラ53、クリーニングローラ55などを特定する場合には、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのそれぞれに対応させて、K、Y、M、Cの記号を付することとする。
【0019】
感光体ドラム51は、複数のプロセスカートリッジ50のそれぞれに設けられ、複数のプロセスカートリッジ50が前述したように配置されることで、前後方向に沿って一列に配列されている。
【0020】
現像ローラ53は、トナーを担持するローラであり、感光体ドラム51に接触して感光体ドラム51上の静電潜像にトナーを供給するものである。
【0021】
そして、この現像ローラ53は、図2に示すように、公知の接離機構110を制御ユニット100により制御することで、感光体ドラム51に対して離間可能となっている。詳しくは、図1に示すように、感光体ドラム51を支持するドラムユニット510に対して、現像ローラ53を支持する現像剤保持体ユニットの一例としての現像ユニット530が移動可能に支持されており、現像ユニット530の移動が接離機構110によって制御されることで、現像ローラ53が感光体ドラム51に対して接触・離間可能となっている。
【0022】
クリーニングローラ55は、各感光体ドラム51に対応するように各感光体ドラム51に隣接して複数設けられている。クリーニングローラ55には、クリーニングバイアスが印加されるようになっている。そして、クリーニングバイアスが適宜制御されることで、感光体ドラム51上に付着するトナーをクリーニングローラ55で保持(回収)したり、感光体ドラム51上に転写させることが可能となっている。
【0023】
転写ユニット70は、給紙部20と各プロセスカートリッジ50との間に設けられ、駆動ローラ71、従動ローラ72、搬送ベルト73および転写ローラ74を備えている。
【0024】
駆動ローラ71および従動ローラ72は、前後方向に離間して平行に配置され、その間に無端状のベルトからなる搬送ベルト73が張設されている。搬送ベルト73は、その外周面が各感光体ドラム51の配列方向に沿って移動するように、駆動ローラ71によって回転するようになっている。また、搬送ベルト73の内側には、各感光体ドラム51との間で搬送ベルト73を挟持する転写ローラ74が、各感光体ドラム51に対向して4つ配置されている。この転写ローラ74には、転写時に定電流制御によって転写バイアスが掛けられる。
【0025】
ベルトクリーナ10は、搬送ベルト73に摺接して、搬送ベルト73上に付着したトナー等を回収する装置であり、搬送ベルト73の下方に配置されている。具体的に、ベルトクリーナ10は、摺接ローラ11と、回収ローラ12と、ブレード13と、廃トナー収容器14とを備えている。
【0026】
摺接ローラ11は、搬送ベルト73の外周面に接触するように配置され、搬送ベルト73の内周面に配置されたバックアップローラ15との間に回収バイアスが印加されることで搬送ベルト73上の付着物を回収している。
【0027】
回収ローラ12は、摺接ローラ11に摺接するローラであり、摺接ローラ11上に付着した付着物を回収している。そして、回収ローラ12上の付着物は、当該回収ローラ12に摺接するように配置されたブレード13によって削り取られて、廃トナー収容器14内に入り込むようになっている。
【0028】
定着ユニット80は、各プロセスカートリッジ50および転写ユニット70の後側に配置され、加熱部材の一例としての加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置され加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを備えている。加熱ローラ81は、中空の円柱状に形成されて定着ユニット80の筐体に回転可能に支持されており、その内部に配置されたハロゲンヒータHHによって加熱されるようになっている。
【0029】
このように構成される画像形成部30では、カラーモードの場合、まず、各感光体ドラム51の表面が、帯電器52により一様にプラスに帯電された後、各LEDユニット40で露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光体ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、静電潜像に現像ローラ53よりトナーが供給されることで、感光体ドラム51上にトナー像が担持される。
【0030】
搬送ベルト73上に供給された用紙Pが各感光体ドラム51と搬送ベルト73の内側に配置される各転写ローラ74との間を通過することで、各感光体ドラム51上に形成されたトナー像が用紙P上に転写される。そして、用紙Pが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0031】
排紙部90は、定着ユニット80の出口から上方に向かって延び、前方に反転するように形成された排紙側搬送経路91と、用紙Pを搬送する複数対の搬送ローラ92を主に備えている。トナー像が転写され、熱定着された用紙Pは、搬送ローラ92によって排紙側搬送経路91を搬送され、装置本体2の外部に排出されて排紙トレイ4に蓄積される。
【0032】
<駆動力伝達構造>
次に、前述した各構成部品に駆動力を与えるための構造について説明する。
図3に示すように、複数の現像ユニット530と定着ユニット80は、1つのモータ200によって駆動されるようになっている。具体的には、モータ200と定着ユニット80との間には、モータ200からの駆動力を定着ユニット80に伝達するための複数のギヤ211からなる伝達ユニット210が設けられている。
【0033】
また、モータ200と各現像ユニット530との間には、モータ200から各現像ユニット530への駆動力の伝達・切り離しを切換可能な伝達切換機構220が設けられている。伝達切換機構220は、公知のフリクションギヤ機構であるが、簡単に説明すると、所定のギヤ221と、このギヤ221の回転軸を中心にして揺動可能な保持アーム222と、保持アーム222に回転可能に保持されてギヤ221に噛み合うフリクションギヤ223とを主に備えている。
【0034】
これにより、ギヤ221の回転方向に応じた方向に、フリクションギヤ223がギヤ221の周りを転動可能となっている。また、保持アーム222には段差状の係合部224が設けられ、この係合部224には、ソレノイド225によって揺動されるフック部材226が適宜係合するようになっている。
【0035】
そして、ソレノイド225やモータ200が制御ユニット100によって制御されることで、モータ200から各現像ユニット530への駆動力の伝達・切り離しが切り替えられるようになっている。
【0036】
詳しくは、図3の状態から、制御ユニット100が、モータ200を正回転(図示時計回り方向)させるとともに、ソレノイド225を制御してフック部材226を係合部224から外すと、図4に示すように、フリクションギヤ223が各現像ユニット530に連結されるギヤ列230に近付いていって噛み合う。これにより、各現像ユニット530と定着ユニット80をともに駆動することが可能となっている。
【0037】
また、図4の状態から、制御ユニット100によって、モータ200を逆回転させると、図3に示すように、フリクションギヤ223がギヤ列230から離れるように移動することで、ギヤ列230とモータ200との連結が切られる。
【0038】
なお、ドラムユニット510や搬送ベルト73などの駆動は、前述したモータ200とは別のモータによって行われている。
【0039】
<制御装置>
以下に、制御ユニット100について詳細に説明する。
制御ユニット100は、CPU,ROM,RAMなどを有し、予め用意されたプログラムに従い、印字指令(印刷データ)の受信、給紙部20、画像形成部30、排紙部90、接離機構110、モータ200および伝達切換機構220の制御を行うように構成されている。
【0040】
具体的に、制御ユニット100は、図2に示すように、各モードに応じて現像ローラ53を感光体ドラム51から離間させる公知の制御を実行するように構成されている。詳しくは、制御ユニット100は、カラーモード時においては各現像ローラ53を各感光体ドラム51に接触させ、モノクロモード時においてはブラック以外の3色に対応した各現像ローラ53Y,53M,53Cを各感光体ドラム51Y,51M,51Cから離間させる。
【0041】
また、制御ユニット100は、清掃モード時には、各現像ローラ53を各感光体ドラム51から離間させる。ここで、清掃モードとは、公知の制御であり、簡単に説明すると、図1に示すように、クリーニングローラ55で回収したトナーを、感光体ドラム51に転写させて、当該感光体ドラム51および搬送ベルト73を介してベルトクリーナ10で回収させる制御をいう。
【0042】
また、制御ユニット100は、定着ユニット80での定着処理後に、ハロゲンヒータHHをOFFにし、この状態でモータ200を回転させ続けることで、加熱ローラ81の回転によるクーリング動作を実行するように構成されている。そして、このクーリング動作を実行する際に、制御ユニット100は、伝達切換機構220を制御して、各現像ユニット530への駆動力の伝達を切る切断制御を実行するように構成されている。
【0043】
また、制御ユニット100は、所定条件が揃ったときには、定着処理後の第1期間の間、切断制御を実行せずにクーリング動作のみを実行し、第1期間の後に、切断制御を実行した後クーリング動作を再開させるように構成されている。さらに、制御ユニット100は、前述したクーリング動作および切断制御を、印字制御を禁止した状態で行われる他の制御動作と並行して実行するように構成されている。
【0044】
なお、「印字制御を禁止した状態で行われる他の制御動作」としてはどのような制御を採用してもよいが、本実施形態では、前述した清掃モードを実行するための制御動作を採用する。また、本実施形態における清掃モードは、連続印字枚数が所定枚数以上になったときと、印字制御が終了したときの2種類のタイミングで実行されるものとする。
【0045】
そして、清掃モードが開始される各タイミングに応じて、前述した切断制御を開始するタイミングが変更されるようになっている。すなわち、図5に示すように、制御ユニット100は、連続印字枚数が所定枚数以上のときには、印字処理終了後(定着処理後)に前述した第1期間だけ待った後、切断制御とモータ200の再駆動を行なう。また、制御ユニット100は、連続印字枚数が所定枚数を超えない通常の印字後では、印字処理終了後に第1期間を待たずに直ぐに切断制御を実行して、モータ200の再駆動を行う。
【0046】
具体的には、制御ユニット100は、図6に示すフローチャートに従った制御を実行する。なお、この図6のフローチャートが実行されている間、並行して清掃モードに対応した公知のフローチャートに従った制御も実行されている。
【0047】
図6に示すように、制御ユニット100は、まず、印字指令があるか否かを判断し(S1)、印字指令があった場合には(Yes)、公知の印字制御、すなわちモータ200を正回転させて、伝達切換機構220を連結した状態にする制御を実行する(S2)。
【0048】
印字制御が終了した後、制御ユニット100は、ハロゲンヒータHHをOFFにし(S3)、印字制御での連続印字枚数が所定枚数以上か否かを判断する(S4)。ステップS4において連続印字枚数が所定枚数以上である場合には(Yes)、制御ユニット100は、印字終了後の経過時間が第1期間を超えたか否かを判断し(S5)、第1期間を待った後(Yes)、切断制御を実行する(S6)。
【0049】
また、ステップS4において、連続印字枚数が所定枚数未満である場合には、制御ユニット100は、第1期間を待たずに直ぐに切断制御を実行する(S6)。具体的に、制御ユニット100は、ステップS6では、モータ200を一旦停止させた後、逆回転させることで、伝達切換機構220による連結を切断させてから、モータ200を停止させる。
【0050】
ステップS6の後、制御ユニット100は、モータ200を所定時間の間、正回転させることでクーリング動作を再開させ(S7)、所定時間の経過後に本制御を終了する。
【0051】
なお、本実施形態では、ステップS6にて伝達切換機構220による連結を切断した後に、モータ200を停止して、停止したモータ200をステップS7で正回転させたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ステップS6にて伝達切換機構220による連結を切断した後、モータ200をそのまま逆回転させ続けることで、クーリング動作を実行してもよい。
【0052】
次に、前述した制御による定着ユニット80内の温度の変化について図7を参照して説明する。
【0053】
ここで、図7(a)に2点鎖線で示す温度変化は、クーリング動作を実行しない場合(本実施形態ではない場合)の温度変化であり、このときのモータの制御を図7(b)のタイミングチャートで示している。すなわち、クーリング動作を実行しない場合には、定着処理後の時刻t1に直ぐにモータをOFFにするため、定着ユニット内の温度は比較的急な傾きで上昇していく。
【0054】
これに対し、図7(c)に示すように、定着処理後に直ぐに切断制御を行った後にクーリング動作を実行する制御では(S4;No→S6)、切断制御を行った後(時刻t2以降)は、モータ200の駆動で加熱ローラ81が回転することによって、定着ユニット80内が冷却される(図7(a)の破線参照)。そのため、時刻t2以降は、温度が緩やかな勾配で上がっていき、温度が上がりすぎることが防止されている。
【0055】
また、図7(d)に示すように、定着処理後に第1期間だけ待った後に切断動作を実行する制御では(S4;Yes→S5;Yes→S6)、定着処理後直ぐに加熱ローラ81の回転による冷却が開始され、この冷却が第1期間の間(時刻t1〜t3間)だけ継続される(図7(a)の実線参照)。これにより、第1期間を待たない制御のときよりも早い時刻t1から温度が緩やかな勾配で上がっていくので、温度が上がりすぎることがより防止されている。
【0056】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
クーリング動作を実行する際には、制御ユニット100が伝達切換機構220を制御して、現像ユニット530への駆動力の伝達が切られるので、現像ユニット530の駆動による劣化を抑えることができる。
【0057】
制御ユニット100が、定着処理後に第1期間だけ待ってから切断制御を実行可能に構成されているので、定着処理後に最も高温となる定着ユニット80を効率良く冷却することができる。
【0058】
印字制御を禁止した状態で行われる清掃モードと並行してクーリング動作や切断制御を行うので、カラープリンタ1が使えなくなる頻度を少なくすることができる。
【0059】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0060】
前記実施形態では、清掃モードを2種類のタイミングで実行し、これに合わせて切断制御のタイミングを変更したが、本発明はこれに限定されず、例えば前記実施形態の2種類のタイミングに加え、印字モードを異なるモード(例えばカラーからモノクロ)に変更するときのタイミングで清掃モードを実行してもよい。この場合には、例えば図8に示すように、モード切替後に実行する清掃モードと並行して行う切断制御は、モード切替後に第1期間を待たずに行えばよい。
【0061】
前記実施形態では、現像剤保持体および現像剤保持体ユニットとして現像ローラ53および現像ユニット530を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば感光体ドラムおよびドラムユニットを採用してもよい。
【0062】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【0063】
前記実施形態では、記録シートの一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Pを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
【0064】
前記実施形態では、加熱部材としてハロゲンヒータHHによって加熱される加熱ローラ81を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばIH(Induction Heating)方式などの方法で加熱ローラ自体が発熱するものを採用してもよい。また、伝達ユニットやモータなども、前記実施形態に限定されず、様々なタイプのものを利用できる。
【0065】
前記実施形態では、伝達切換機構としてフリクションギヤ223を利用した機構を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば一方向にしか駆動力を伝達しないワンウェイクラッチなどを採用してもよい。また、前記実施形態では、伝達切換機構をモータに隣接して配置したが、本発明はこれに限定されず、モータから現像剤保持体ユニットまでの伝達機構の一部に組み込まれていれば、どの位置に配置してもよい。
【0066】
前記実施形態では、定着処理後に第1期間を待って切断制御を行う制御と、待たない制御を条件に応じて選択的に実行するようにしたが、本発明はこれに限定されず、これら2つの制御のいずれか一方のみを実行するようにしてもよい。
【0067】
前記実施形態では、「印字制御を禁止した状態で行われる他の制御動作」として清掃モードを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば搬送ベルトに直接トナーを印字して、印字されたトナーが正しい位置に印字されているか否かを調べるためのパッチテスト制御を採用してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 カラープリンタ
53 現像ローラ
80 定着ユニット
81 加熱ローラ
100 制御ユニット
200 モータ
210 伝達ユニット
220 伝達切換機構
530 現像ユニット
HH ハロゲンヒータ
P 用紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持する現像剤保持体を有する現像剤保持体ユニットと、
記録シート上に現像剤を熱定着させるために、前記記録シートを加熱するとともに回転可能な加熱部材を有する定着ユニットと、
現像剤保持体ユニットおよび定着ユニットを駆動するためのモータと、
モータからの駆動力を定着ユニットに伝達するための伝達ユニットと、
モータから現像剤保持体ユニットへの駆動力の伝達・切り離しを切換可能な伝達切換機構と、
定着ユニットでの定着処理後に、加熱部材による加熱を停止した状態で、モータを回転させることで、加熱部材の回転によるクーリング動作を実行させる制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットは、
前記クーリング動作を実行する際に、前記伝達切換機構を制御して、前記現像剤保持体ユニットへの駆動力の伝達を切る切断制御を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、
定着処理後の第1期間の間、前記切断制御を実行せずに前記クーリング動作のみを実行し、第1期間の後に、前記切断制御を実行し、再び前記クーリング動作を実行させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、
印字制御を禁止した状態で行われる他の制御動作と並行して、前記クーリング動作および前記切断制御を実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−232532(P2011−232532A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102430(P2010−102430)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】