説明

画像形成装置

【課題】 FMスクリーン処理を実行するときにFMスクリーン処理の後でAMスクリーン処理も実行する構成である場合に、FMスクリーン処理を実行した印刷物にAMスクリーン処理が悪影響を及ぼすことを防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 MFPのスクリーン処理制御部がAMスクリーン処理部およびFMスクリーン処理部を制御するパターンは、画像に対してAMスクリーン処理およびFMスクリーン処理のうちAMスクリーン処理のみが実行される第1パターンと、画像に対してFMスクリーン処理の後でAMスクリーン処理が実行される第2パターンとであり、AMスクリーン設定部は、画像の階調がAMスクリーン処理の前後で同一となるAMスクリーンを第2パターンのときに設定する(S108)ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AM(Amplitude Modulation)スクリーンによるスクリーン処理であるAMスクリーン処理と、FM(Frequency Modulation)スクリーンによるスクリーン処理であるFMスクリーン処理とを実行することができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、AMスクリーン処理と、FMスクリーン処理とを実行することができる画像形成装置として、AMスクリーン処理と、FMスクリーン処理とを1ページ内の画像の領域単位で使い分けるものが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−323256号公報
【特許文献2】特開2006−50339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、AMスクリーン処理と、FMスクリーン処理とは、同一の画像に対して何れか一方が実行されれば良い処理である。
【0005】
したがって、画像形成装置において、FMスクリーン処理を実行するときにFMスクリーン処理の後でAMスクリーン処理も実行する構成である場合、FMスクリーン処理を実行した印刷物にAMスクリーン処理が悪影響を及ぼすという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、FMスクリーン処理を実行するときにFMスクリーン処理の後でAMスクリーン処理も実行する構成である場合に、FMスクリーン処理を実行した印刷物にAMスクリーン処理が悪影響を及ぼすことを防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、AMスクリーンによるスクリーン処理であるAMスクリーン処理を所定の単位の画像に対して実行するAMスクリーン処理部と、FMスクリーンによるスクリーン処理であるFMスクリーン処理を前記画像に対して実行するFMスクリーン処理部と、前記AMスクリーン処理部および前記FMスクリーン処理部を制御するスクリーン処理制御部と、前記AMスクリーン処理部における前記AMスクリーンを設定するAMスクリーン設定部とを備えており、前記スクリーン処理制御部が前記AMスクリーン処理部および前記FMスクリーン処理部を制御するパターンは、前記画像に対して前記AMスクリーン処理および前記FMスクリーン処理のうち前記AMスクリーン処理のみが実行される第1パターンと、前記画像に対して前記FMスクリーン処理の後で前記AMスクリーン処理が実行される第2パターンとを含んでおり、前記AMスクリーン設定部は、前記画像の階調が前記AMスクリーン処理の前後で同一となる前記AMスクリーンを前記第2パターンのときに設定することを特徴とする。
【0008】
この構成により、本発明の画像形成装置は、第2パターンにおいて、FMスクリーン処理を実行するときにFMスクリーン処理の後でAMスクリーン処理も実行する。そして、本発明の画像形成装置は、画像の階調がAMスクリーン処理の前後で同一となるAMスクリーンを第2パターンのときに設定するので、FMスクリーン処理を実行した印刷物にAMスクリーン処理が悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0009】
また、本発明の画像形成装置の前記AMスクリーン設定部は、前記第1パターンおよび前記第2パターンの一方が他方に切り替わるときに、前記他方用の前記AMスクリーンを設定することが好ましい。
【0010】
この構成により、本発明の画像形成装置は、第1パターンおよび第2パターンのそれぞれに適したAMスクリーンを設定することができる。
【0011】
また、本発明の画像形成装置の前記AMスクリーン設定部は、前記一方が前記他方に切り替わるときに、前記一方が終了した後で前記他方用の前記AMスクリーンを設定することが好ましい。
【0012】
この構成により、本発明の画像形成装置は、第1パターンの実行中にもかかわらず第2パターン用のAMスクリーンを設定してしまう不具合や、第2パターンの実行中にもかかわらず第1パターン用のAMスクリーンを設定してしまう不具合の発生を防止することができる。
【0013】
本発明の画像形成方法は、AMスクリーンによるスクリーン処理であるAMスクリーン処理を所定の単位の画像に対して実行するAMスクリーン処理ステップと、FMスクリーンによるスクリーン処理であるFMスクリーン処理を前記画像に対して実行するFMスクリーン処理ステップと、前記AMスクリーン処理ステップおよび前記FMスクリーン処理ステップを制御するスクリーン処理制御ステップと、前記AMスクリーン処理ステップにおける前記AMスクリーンを設定するAMスクリーン設定ステップとを備えており、前記スクリーン処理制御ステップが前記AMスクリーン処理ステップおよび前記FMスクリーン処理ステップを制御するパターンは、前記画像に対して前記AMスクリーン処理および前記FMスクリーン処理のうち前記AMスクリーン処理のみが実行される第1パターンと、前記画像に対して前記FMスクリーン処理の後で前記AMスクリーン処理が実行される第2パターンとを含んでおり、前記AMスクリーン設定ステップは、前記画像の階調が前記AMスクリーン処理の前後で同一となる前記AMスクリーンを前記第2パターンのときに設定することを特徴とする。
【0014】
この構成により、本発明の画像形成方法を実行する装置は、第2パターンにおいて、FMスクリーン処理を実行するときにFMスクリーン処理の後でAMスクリーン処理も実行する。そして、本発明の画像形成方法を実行する装置は、画像の階調がAMスクリーン処理の前後で同一となるAMスクリーンを第2パターンのときに設定するので、FMスクリーン処理を実行した印刷物にAMスクリーン処理が悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像形成装置は、FMスクリーン処理を実行するときにFMスクリーン処理の後でAMスクリーン処理も実行する構成である場合に、FMスクリーン処理を実行した印刷物にAMスクリーン処理が悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係るMFPのブロック図である。
【図2】図1に示すメインコントローラの動作のフローチャートである。
【図3】図1に示すプリントエンジンの特性を示す図である。
【図4】図1に示すAMスクリーン処理部に設定される第1パターン用のAMスクリーンの性質を示す図である。
【図5】図1に示すMFPの印刷の特性を示す図である。
【図6】図1に示すFMスクリーン処理部に設定されるFMスクリーンの性質を示す図である。
【図7】図1に示すAMスクリーン処理部に設定される第2パターン用のAMスクリーンの性質を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
まず、本実施の形態に係る画像形成装置としてのMFP(Multifunction Peripheral)の構成について説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係るMFP10のブロック図である。
【0020】
図1に示すように、MFP10は、MFP10全体を制御するメインコントローラ11と、用紙にCMYKでの印刷を実行するプリントエンジン12と、プリントエンジン12を制御するエンジンコントローラ13と、AMスクリーンによるスクリーン処理であるAMスクリーン処理をページ単位で実行するAMスクリーン処理部14と、FMスクリーンによるスクリーン処理であるFMスクリーン処理をページ単位で実行するFMスクリーン処理部15と、種々の情報を表示する表示パネル16と、利用者によって種々の操作が入力される操作部17と、原稿を読み込んで画像データを生成する読込デバイスであるスキャナ18と、PC(Personal Computer)などの図示していない外部の装置とLAN(Local Area Network)などのネットワークを介して通信を行うためのネットワーク通信部19と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線を介してFAX通信を行うためのファクシミリ通信部20とを備えている。
【0021】
メインコントローラ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することによってメインコントローラ11を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0022】
ここで、メインコントローラ11は、AMスクリーン処理部14およびFMスクリーン処理部15を制御するスクリーン処理制御部11aと、AMスクリーン処理部14におけるAMスクリーンを設定するAMスクリーン設定部11bとして機能するようになっている。
【0023】
プリントエンジン12は、例えば、スキャナ18によって生成された画像データや、外部の装置からネットワーク通信部19を介して受信された印刷データや、外部のファクシミリ装置からファクシミリ通信部20を介して受信されたFAXデータなどの各種のデータを印刷する印刷デバイスである。
【0024】
エンジンコントローラ13は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられるRAMとを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することによってエンジンコントローラ13を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0025】
AMスクリーン処理部14は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって構成されている。AMスクリーン処理とは、プリントエンジン12によって用紙上に生成される網点の大きさで階調を表現するための処理である。AMスクリーンとは、AMスクリーン処理のためにAMスクリーン設定部11bによってAMスクリーン処理部14に設定される色調整のためのテーブルである。AMスクリーン処理部14は、1つのAMスクリーンのみを記憶することができるようになっている。
【0026】
FMスクリーン処理部15は、AMスクリーン処理部14とは別のASICによって構成されている。FMスクリーン処理とは、プリントエンジン12によって用紙上に生成される網点の数で階調を表現するための処理である。FMスクリーンとは、FMスクリーン処理のためにメインコントローラ11によってFMスクリーン処理部15に設定される色調整のためのテーブルである。FMスクリーン処理部15は、1つのFMスクリーンのみを記憶することができるようになっている。
【0027】
ここで、AMスクリーン処理部14は、FMスクリーン処理部15によってFMスクリーン処理が実行された後、FMスクリーン処理部15によってFMスクリーン処理が実行された画像に対して必ずAMスクリーン処理を実行するようになっている。一方、FMスクリーン処理部15は、AMスクリーン処理部14によってAMスクリーン処理が実行された画像に対してFMスクリーン処理を実行するようにはなっていない。したがって、スクリーン処理制御部11aは、画像に対してAMスクリーン処理およびFMスクリーン処理のうちAMスクリーン処理のみが実行される第1パターンと、画像に対してFMスクリーン処理の後でAMスクリーン処理が実行される第2パターンとでAMスクリーン処理部14およびFMスクリーン処理部15を制御するようになっている。
【0028】
表示パネル16は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである。
【0029】
操作部17は、表示パネル16とともにタッチパネルを形成するボタンなどの入力デバイスから構成されている。
【0030】
ネットワーク通信部19は、例えば、スキャナ18によって生成された画像データを外部の装置に送信したり、プリントエンジン12で印刷されるための印刷データを外部の装置から受信したりするようになっている。
【0031】
ファクシミリ通信部20は、例えば、スキャナ18によって生成された画像データを外部のファクシミリ装置にFAX送信したり、プリントエンジン12で印刷されるためのFAXデータを外部のファクシミリ装置から受信したりするようになっている。
【0032】
次に、MFP10の動作について説明する。
【0033】
MFP10は、スキャナ18によって生成された画像データをプリントエンジン12によって印刷することができる(コピー機能)。また、MFP10は、外部の装置からネットワーク通信部19を介して受信した印刷データをプリントエンジン12によって印刷することもできる(プリンタ機能)。また、MFP10は、外部のファクシミリ装置からファクシミリ通信部20を介してFAX受信したFAXデータをプリントエンジン12によって印刷することもできる(FAX機能)。
【0034】
図2は、メインコントローラ11の動作のフローチャートである。
【0035】
プリントエンジン12によって印刷されるべき画像がスキャナ18、ネットワーク通信部19またはファクシミリ通信部20からメインコントローラ11に入力されると、メインコントローラ11は、図2に示す処理を開始する。なお、メインコントローラ11は、入力された画像をページ単位で順番に処理する。
【0036】
図2に示すように、メインコントローラ11は、入力された画像から1つのページを今回のページとして選択し、今回のページがコピー機能によるページであるか否かを判断する(S101)。
【0037】
メインコントローラ11は、今回のページがコピー機能によるページではない、すなわちプリンタ機能またはFAX機能によるページであるとS101において判断すると、前回のページがコピー機能によるページであったか否かを判断する(S102)。
【0038】
なお、メインコントローラ11のAMスクリーン設定部11bは、プリンタ機能またはFAX機能によるページに対するAMスクリーン処理のために、後述するS104において第1パターン用のAMスクリーンを設定し、コピー機能によるページに対するFMスクリーン処理後のAMスクリーン処理のために、後述するS108において第2パターン用のAMスクリーンを設定する。したがって、前回のページがコピー機能によるページであったということは、AMスクリーン処理部14に第2パターン用のAMスクリーンが設定されているということである。一方、前回のページがコピー機能によるページではなかったということは、AMスクリーン処理部14に第1パターン用のAMスクリーンが設定されているということである。
【0039】
メインコントローラ11は、前回のページがコピー機能によるページであったとS102において判断すると、前回のページの画像をAMスクリーン処理部14から受信したと判断するまで、前回のページの画像をAMスクリーン処理部14から受信したか否かを判断する(S103)。すなわち、メインコントローラ11は、前回のページの画像をAMスクリーン処理部14から受信したと判断するまで待機する。
【0040】
前回のページの画像をAMスクリーン処理部14から受信したとS103においてメインコントローラ11が判断すると、メインコントローラ11のAMスクリーン設定部11bは、第1パターン用のAMスクリーンをAMスクリーン処理部14に設定する(S104)。
【0041】
次いで、メインコントローラ11のスクリーン処理制御部11aは、今回のページの画像をAMスクリーン処理部14に送信する(S105)。
【0042】
また、メインコントローラ11は、前回のページがコピー機能によるページではなかったとS102において判断すると、前回のページの画像をAMスクリーン処理部14から受信したと判断するまで待機することも、第1パターン用のAMスクリーンをAMスクリーン処理部14に改めて設定することもなく、今回のページの画像をAMスクリーン処理部14に送信する(S105)。
【0043】
メインコントローラ11は、今回のページがコピー機能によるページであるとS101において判断すると、前回のページがコピー機能によるページであったか否かを判断する(S106)。
【0044】
なお、メインコントローラ11のAMスクリーン設定部11bは、プリンタ機能またはFAX機能によるページに対するAMスクリーン処理のために、上述したS104において第1パターン用のAMスクリーンを設定し、コピー機能によるページに対するFMスクリーン処理後のAMスクリーン処理のために、後述するS108において第2パターン用のAMスクリーンを設定する。したがって、前回のページがコピー機能によるページであったということは、AMスクリーン処理部14に第2パターン用のAMスクリーンが設定されているということである。一方、前回のページがコピー機能によるページではなかったということは、AMスクリーン処理部14に第1パターン用のAMスクリーンが設定されているということである。
【0045】
メインコントローラ11は、前回のページがコピー機能によるページではなかったとS106において判断すると、前回のページの画像をAMスクリーン処理部14から受信したと判断するまで、前回のページの画像をAMスクリーン処理部14から受信したか否かを判断する(S107)。すなわち、メインコントローラ11は、前回のページの画像をAMスクリーン処理部14から受信したと判断するまで待機する。
【0046】
前回のページの画像をAMスクリーン処理部14から受信したとS107においてメインコントローラ11が判断すると、メインコントローラ11のAMスクリーン設定部11bは、第2パターン用のAMスクリーンをAMスクリーン処理部14に設定する(S108)。
【0047】
次いで、メインコントローラ11のスクリーン処理制御部11aは、今回のページの画像をFMスクリーン処理部15に送信する(S109)。
【0048】
また、メインコントローラ11は、前回のページがコピー機能によるページであったとS106において判断すると、前回のページの画像をAMスクリーン処理部14から受信したと判断するまで待機することも、第2パターン用のAMスクリーンをAMスクリーン処理部14に改めて設定することもなく、今回のページの画像をFMスクリーン処理部15に送信する(S109)。
【0049】
メインコントローラ11は、S105の処理を終了するか、S109の処理を終了すると、入力された画像の全てのページをAMスクリーン処理部14またはFMスクリーン処理部15に送信したか否かを判断する(S110)。
【0050】
メインコントローラ11は、入力された画像のうち未だAMスクリーン処理部14またはFMスクリーン処理部15に送信されていないページがあるとS110において判断すると、未だAMスクリーン処理部14またはFMスクリーン処理部15に送信されていないページを処理するために、再びS101の処理に戻る。
【0051】
一方、メインコントローラ11は、入力された画像の全てのページをAMスクリーン処理部14またはFMスクリーン処理部15に送信したとS110において判断すると、図2に示す処理を終了する。
【0052】
なお、AMスクリーン処理部14は、メインコントローラ11からS105において送信されてきた画像に対して第1パターン用のAMスクリーンを用いたAMスクリーン処理を実行し、AMスクリーン処理を実行した画像をメインコントローラ11に送信する。
【0053】
また、FMスクリーン処理部15は、メインコントローラ11からS109において送信されてきた画像に対してFMスクリーンを用いたFMスクリーン処理を実行し、FMスクリーン処理を実行した画像をAMスクリーン処理部14に送信する。そして、AMスクリーン処理部14は、FMスクリーン処理部15から送信されてきた画像に対して第2パターン用のAMスクリーンを用いたAMスクリーン処理を実行し、AMスクリーン処理を実行した画像をメインコントローラ11に送信する。
【0054】
また、メインコントローラ11は、AMスクリーン処理部14から画像が送信されてくる度に、AMスクリーン処理部14から送信されてきた画像をエンジンコントローラ13に送信する。そして、エンジンコントローラ13は、メインコントローラ11から送信されてきた画像をプリントエンジン12に印刷させる。
【0055】
次に、MFP10におけるスクリーン処理について具体的に説明する。
【0056】
まず、第1パターンのスクリーン処理について説明する。
【0057】
1ピクセルを16×16からなる256個の網点の印刷の有無によって0から256までの257階調で表す場合、プリントエンジン12の特性は、例えば図3に示す特性であるとする。図3において、横軸は、0から256までの階調を示しており、縦軸は、印刷後の実際の明るさを示している。階調が0の周辺では、階調の変化に比べて明るさの変化が小さい。また、階調が128の周辺では、階調の変化に比べて明るさの変化が大きい。そして、階調が256の周辺では、階調の変化に比べて明るさの変化が小さい。
【0058】
S104においてメインコントローラ11によってAMスクリーン処理部14に設定される第1パターン用のAMスクリーンは、プリントエンジン12の特性が図3に示す特性である場合、図4に示すようになる。図4において、横軸は、AMスクリーン処理前の階調を示しており、縦軸は、AMスクリーン処理後の階調を示している。AMスクリーン処理前の階調が0の周辺では、AMスクリーン処理前の階調の変化に比べてAMスクリーン処理後の階調の変化が大きい。また、AMスクリーン処理前の階調が128の周辺では、AMスクリーン処理前の階調の変化に比べてAMスクリーン処理後の階調の変化が小さい。そして、AMスクリーン処理前の階調が256の周辺では、AMスクリーン処理前の階調の変化に比べてAMスクリーン処理後の階調の変化が大きい。
【0059】
したがって、第1パターンのスクリーン処理が行われる結果、MFP10の印刷の特性は、図5に示すようになる。図5において、横軸は、0から256までの階調を示しており、縦軸は、印刷後の実際の明るさを示している。明るさの変化は、階調の変化に比例している。なお、第1パターンのスクリーン処理が行われる結果、印刷物の各ピクセルは、AMスクリーンで表される。
【0060】
次に、第2パターンのスクリーン処理について説明する。
【0061】
プリントエンジン12の特性は、例えば図3に示す特性であるとする。
【0062】
メインコントローラ11によってFMスクリーン処理部15に設定されるFMスクリーンは、プリントエンジン12の特性が図3に示す特性である場合、図6に示すようになる。図6において、横軸は、FMスクリーン処理前の階調を示しており、縦軸は、FMスクリーン処理後の階調を示している。FMスクリーン処理前の階調が0の周辺では、FMスクリーン処理前の階調の変化に比べてFMスクリーン処理後の階調の変化が大きい。また、FMスクリーン処理前の階調が128の周辺では、FMスクリーン処理前の階調の変化に比べてFMスクリーン処理後の階調の変化が小さい。そして、FMスクリーン処理前の階調が256の周辺では、FMスクリーン処理前の階調の変化に比べてFMスクリーン処理後の階調の変化が大きい。
【0063】
したがって、FMスクリーン処理が行われる結果、MFP10の印刷の特性は、図5に示すようになる。なお、FMスクリーン処理が行われる結果、印刷物の1ピクセルは、FMスクリーンで表される。
【0064】
しかしながら、MFP10は、第2パターンにおいて、FMスクリーン処理の後に必ずAMスクリーン処理が実行するようになっている。そこで、メインコントローラ11は、FMスクリーン処理の結果に悪影響を与えない第2パターン用のAMスクリーンをS108においてFMスクリーン処理部15に設定するようになっている。
【0065】
S108においてメインコントローラ11によってAMスクリーン処理部14に設定される第2パターン用のAMスクリーンは、図7に示すようになる。図7において、横軸は、AMスクリーン処理前の階調を示しており、縦軸は、AMスクリーン処理後の階調を示している。AMスクリーン処理後の階調の変化は、AMスクリーン処理前の階調の変化に比例している。すなわち、階調は、AMスクリーン処理の前後で変化しないようになっている。
【0066】
したがって、第2パターンのスクリーン処理が行われる結果、MFP10の印刷の特性は、図5に示すようになる。なお、第2パターンのスクリーン処理が行われる結果、印刷物の各ピクセルは、FMスクリーンで表される。
【0067】
以上に説明したように、MFP10は、第2パターンにおいて、FMスクリーン処理を実行するときにFMスクリーン処理の後でAMスクリーン処理も実行する。そして、MFP10は、画像の階調がAMスクリーン処理の前後で同一となるAMスクリーン(図7参照。)を第2パターンのときにAMスクリーン設定部11bが設定する(S108)ので、FMスクリーン処理を実行した印刷物にAMスクリーン処理が悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0068】
また、MFP10は、第1パターンが第2パターンに切り替わるとき(S101でYESであってS106でNOであるとき)に、AMスクリーン設定部11bが第2パターン用のAMスクリーンを設定する(S108)。また、MFP10は、第2パターンが第1パターンに切り替わるとき(S101でNOであってS102でYESであるとき)に、AMスクリーン設定部11bが第1パターン用のAMスクリーンを設定する(S104)。したがって、MFP10は、第1パターンおよび第2パターンのそれぞれに適したAMスクリーンを設定することができる。
【0069】
また、MFP10は、第1パターンが第2パターンに切り替わるとき(S101でYESであってS106でNOであるとき)に、第1パターンが終了した後(S107でYES)でAMスクリーン設定部11bが第2パターン用のAMスクリーンを設定する(S108)。また、MFP10は、第2パターンが第1パターンに切り替わるとき(S101でNOであってS102でYESであるとき)に、第2パターンが終了した後(S103でYES)でAMスクリーン設定部11bが第1パターン用のAMスクリーンを設定する(S104)。したがって、MFP10は、第1パターンの実行中にもかかわらず第2パターン用のAMスクリーンを設定してしまう不具合や、第2パターンの実行中にもかかわらず第1パターン用のAMスクリーンを設定してしまう不具合の発生を防止することができる。
【0070】
また、MFP10は、スクリーン処理制御部11aが第1パターンのまま複数のページに対するスクリーン処理を制御するとき(S101でNOであってS102でNOであるとき)に、前回のページの画像をAMスクリーン処理部14から受信したと判断するまで待機する(S103)ことや、第1パターン用のAMスクリーンを設定し直す(S104)ことなく、今回のページの画像をAMスクリーン処理部14に送信する(S105)ので、処理時間を短縮化することができる。同様に、MFP10は、スクリーン処理制御部11aが第2パターンのまま複数のページに対するスクリーン処理を制御するとき(S101でYESであってS106でYESであるとき)に、前回のページの画像をAMスクリーン処理部14から受信したと判断するまで待機する(S107)ことや、第2パターン用のAMスクリーンを設定し直す(S108)ことなく、今回のページの画像をFMスクリーン処理部15に送信する(S109)ので、処理時間を短縮化することができる。
【0071】
なお、MFP10は、本実施の形態において、第1パターン用のAMスクリーンと、FMスクリーンとをそれぞれ1種類のみ使用するようになっているが、スクリーン処理が行われる画像に応じて切り替えられるようになっていても良い。例えば、第1パターン用のAMスクリーンは、フォント用のAMスクリーン、FAX用のAMスクリーンなど、様々な用途のAMスクリーンが切り替えられるようになっていても良い。FMスクリーンについても同様である。
【0072】
また、MFP10は、本実施の形態において、プリンタ機能またはFAX機能によるページに対して第1パターンのスクリーン処理を適用し、コピー機能によるページに対して第2パターンのスクリーン処理を適用するようになっているが、画像に応じたスクリーン処理を適用するようになっていれば、他の構成であっても良い。
【0073】
また、MFP10は、本実施の形態において、ページ単位でスクリーン処理を行うようになっているが、1ページ内の画像の領域単位など、他の単位でスクリーン処理を行うようになっていても良い。
【0074】
また、本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPであるが、コピー機、プリンタなど、MFP以外の画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0075】
10 MFP(画像形成装置)
11a スクリーン処理制御部
11b AMスクリーン設定部
14 AMスクリーン処理部
15 FMスクリーン処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AMスクリーンによるスクリーン処理であるAMスクリーン処理を所定の単位の画像に対して実行するAMスクリーン処理部と、FMスクリーンによるスクリーン処理であるFMスクリーン処理を前記画像に対して実行するFMスクリーン処理部と、前記AMスクリーン処理部および前記FMスクリーン処理部を制御するスクリーン処理制御部と、前記AMスクリーン処理部における前記AMスクリーンを設定するAMスクリーン設定部とを備えており、
前記スクリーン処理制御部が前記AMスクリーン処理部および前記FMスクリーン処理部を制御するパターンは、前記画像に対して前記AMスクリーン処理および前記FMスクリーン処理のうち前記AMスクリーン処理のみが実行される第1パターンと、前記画像に対して前記FMスクリーン処理の後で前記AMスクリーン処理が実行される第2パターンとを含んでおり、
前記AMスクリーン設定部は、前記画像の階調が前記AMスクリーン処理の前後で同一となる前記AMスクリーンを前記第2パターンのときに設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記AMスクリーン設定部は、前記第1パターンおよび前記第2パターンの一方が他方に切り替わるときに、前記他方用の前記AMスクリーンを設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記AMスクリーン設定部は、前記一方が前記他方に切り替わるときに、前記一方が終了した後で前記他方用の前記AMスクリーンを設定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
AMスクリーンによるスクリーン処理であるAMスクリーン処理を所定の単位の画像に対して実行するAMスクリーン処理ステップと、FMスクリーンによるスクリーン処理であるFMスクリーン処理を前記画像に対して実行するFMスクリーン処理ステップと、前記AMスクリーン処理ステップおよび前記FMスクリーン処理ステップを制御するスクリーン処理制御ステップと、前記AMスクリーン処理ステップにおける前記AMスクリーンを設定するAMスクリーン設定ステップとを備えており、
前記スクリーン処理制御ステップが前記AMスクリーン処理ステップおよび前記FMスクリーン処理ステップを制御するパターンは、前記画像に対して前記AMスクリーン処理および前記FMスクリーン処理のうち前記AMスクリーン処理のみが実行される第1パターンと、前記画像に対して前記FMスクリーン処理の後で前記AMスクリーン処理が実行される第2パターンとを含んでおり、
前記AMスクリーン設定ステップは、前記画像の階調が前記AMスクリーン処理の前後で同一となる前記AMスクリーンを前記第2パターンのときに設定することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−245660(P2011−245660A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118850(P2010−118850)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】