説明

画像形成装置

【課題】キャリブレーション処理の制御に最適な画像形成装置の提供。
【解決手段】本発明は、画像形成に係る品質を維持するための処理であるキャリブレーション処理を実行する画像形成装置を前提とする。カラー/モノクロ情報決定手段は、カラー印刷及びモノクロ印刷毎に、現像ユニットの動作時間又は印刷された用紙の枚数であるカラー/モノクロ情報を決定する。そして、カラー/モノクロ情報記憶手段が、カラー/モノクロ情報決定手段が決定したカラー/モノクロ情報の履歴を記憶する。更に、キャリブレーション処理制御手段は、カラー/モノクロ情報記憶手段が記憶したカラー/モノクロ情報の履歴に基づいて、キャリブレーション処理が成立するための条件を制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に画像形成装置を使用する状況に基づいて、キャリブレーション条件を設定可能な画像形成装置である。
【背景技術】
【0002】
カラー印刷機能を備えた印刷装置では部品の経年変化、トナーの使用量、印刷枚数等にかかわらず、上記カラーの画像を同じ色合いで出力し続けることが要請されている。このために、一定周期で、印刷が終了した時点や、印刷中(複数ページの印刷において、一枚の印刷が終了した時点)や、電源ONの時点に、一定時間色調整作業(キャリブレーション)を実行するようにしていた。ここで、キャリブレーションの技術として下記の特許文献が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−229296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術は、画像形成装置が使用される状況(カラー印刷の頻度)に基づくキャリブレーションのタイミングについては考慮していない。したがって、上記従来技術では、カラー印刷の頻度に関係なく、一定周期でキャリブレーションを実行していた。
【0005】
上述のように、キャリブレーションは、カラー印刷の際の色合いを調製するものであるので、カラー印刷の頻度が少ないのであれば、キャリブレーションを頻繁に実行する必要はない。例えば一般オフィスでは、カラー印刷の枚数より、モノクロ印刷の枚数の方が比較的多いので、このような状況では、上記キャリブレーションを頻繁に実行する必要はない。したがって、カラー印刷の頻度が少ないユーザから、上記キャリブレーションのために時間をかけたくないという要請があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するための本発明は、画像形成に係る品質を維持するための処理であるキャリブレーション処理を実行する画像形成装置を前提とする。そして、本発明の画像形成装置は、カラー/モノクロ情報決定手段と、カラー/モノクロ情報記憶手段と、キャリブレーション処理制御手段とを備える。
【0007】
カラー/モノクロ情報決定手段は、カラー印刷及びモノクロ印刷毎に、現像ユニットの動作時間又は印刷された用紙の枚数であるカラー/モノクロ情報を決定する。そして、カラー/モノクロ情報記憶手段が、カラー/モノクロ情報決定手段が決定したカラー/モノクロ情報の履歴を記憶する。
【0008】
更に、キャリブレーション処理制御手段は、カラー/モノクロ情報記憶手段が記憶したカラー/モノクロ情報の履歴に基づいて、キャリブレーション処理が成立するための条件を制御することを特徴とする。
【0009】
上記の構成において、カラー/モノクロ記憶手段に記憶されたカラー印刷及びモノクロ印刷毎のカラー/モノクロ情報から、カラー現像ユニットの作動時間の積算値と、モノクロ現像ユニットの作動時間の積算値との相対値を算定し、又は、カラー印刷された用紙の枚数の積算値と、総印刷枚数との相対値を算定する相対値算定手段を更に備える。
【0010】
そして、相対値算定手段が算定した相対値に基づいて、キャリブレーションを実行する条件を設定する条件設定手段を備え、キャリブレーション処理制御手段が、条件設定手段が設定した条件に基づいて、キャリブレーション処理を実行させる構成を採用することができる。
【0011】
この構成によれば、カラー印刷とモノクロ印刷が実行された相対値に基づいて、キャリブレーションの条件を設定することができる。
【0012】
上記の構成において、キャリブレーション処理が実行されると、キャリブレーション処理制御手段が、カラー/モノクロ情報記憶手段に記憶されたカラー/モノクロ情報の履歴を削除する構成を採用すると、前回のキャリブレーション処理から、現在までのカラー印刷と、モノクロ印刷の頻度に基づいて、キャリブレーションの条件を設定することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像形成装置は、カラー印刷とモノクロ印刷の相対値に基づいて、キャリブレーション条件を設定することができる。したがって、カラー印刷をそれほど使用しないような状況であれば、本発明の画像形成装置を使用することによって、たまにしか使用されないカラー印刷のために、キャリブレーション処理に時間をかける必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の読取部の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の操作部を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御系ハードウェアの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置のキャリブレーション条件設定の処理のフローチャートである。
【図7】操作部に表示される画面の例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置の記憶手段に記憶されたテーブルの例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置のキャリブレーション処理のフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態に係る画像形成装置のキャリブレーション条件設定の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〈画像形成装置〉
以下に、画像形成装置における基本的なコピー機能の処理を説明する。本発明の実施形態に係る画像形成装置は、プリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機、デジタル複写機、プリンタ等が該当し、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能等を備えた画像形成装置として機能する。
【0016】
図1は、複合機の概略模式図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。なお、一例として複合機を利用して原稿のコピーを行う際の画像形成装置の動作を簡単に説明する。
【0017】
ユーザが複合機100を利用して例えば原稿の印刷を行う場合、原稿を図1に示す原稿台103、或いは載置台105に配置し、原稿台103近傍に備えられた操作部200に対して印刷の指示を行う。当該指示があると、以下に示す各部(駆動部)が動作することで、印刷が行われる。
【0018】
即ち、図1に示すように、本実施の形態の複合機100は、本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102を備える。本体101の上面は原稿台103が設けられており、原稿台103は、プラテンカバー102によって開閉されるようになっている。プラテンカバー102は、自動原稿給紙装置104と載置台105と排紙台109が設けられている。
【0019】
原稿台103の下方には、読取部110が設けられており、図2にその詳細が示されている。読取部110は、原稿台103を照射する主走査方向に長い光源111と、原稿台からの光を選択的に通過させるスリット116と、原稿台からの光を導くミラー112とを備える第一の移動キャリッジ117や、第一の移動キャリッジ117からの反射光を再度反射するミラー113A、113Bを備える第二の移動キャリッジ118、さらにミラーで導かれた光を光学的に補正するレンズ群119、当該レンズ群119より補正された光を受光する撮像素子115、撮像素子115にて受光した光を電気信号に変換し、必要に応じて補正・修正などを行う画像データ生成部114とで構成されている。
【0020】
自動原稿給紙装置104上の原稿を読み取る場合には、光源111は、読取位置Pを照射できる位置に移動して発光する。光源111からの光は、原稿台103を透過して読取位置Pを通過する原稿にて反射し、スリット116、ミラー112、113A、113B、レンズ群119によって撮像素子115に導かれる。撮像素子115は、受光した光を電気信号に変換して画像データ生成部114に送信する。画像データ生成部114には、上記撮像素子115にて受光された光がR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のアナログ電気信号として入力され、ここでアナログ−デジタル変換され、即ちデジタル化される。さらに、画像データ生成部114では、順次変換されたデジタル信号を単位データとし、これら単位データを補正、修正等することで複数の単位データからなる画像データを生成する。
【0021】
また、読取部110が原稿台103に載置された原稿を読み取る場合は、第一のキャリッジ117は、光源111を発光しながら副走査方向に移動し、光源111から撮像素子115までの光路長を一定にするために、第二の移動キャリッジ118は第一の移動キャリッジ117の1/2の速度で撮像素子115方向に移動する。
【0022】
撮像素子115は、ミラー112、113A、113Bに導かれた光に基づいて原稿台103に載置された原稿からの光を電気信号に変換し、これに基づいて画像データ生成部114が画像データを生成する。
【0023】
本体101の読取部110の下方には、画像データを印刷する印刷部120を備えている。印刷部120が印刷できる画像は、上記のように画像データ生成部114にて生成されたものや、複合機100に接続された通信ケーブル150を介して、ネットワーク151から画像形成の指示とともに送信される場合もある。
【0024】
印刷部120が行う印刷方式には、電子写真方式が用いられている。即ち、感光ドラム121を帯電器122で一様に帯電させ、その後レーザ123で感光ドラム121を照射して感光ドラム121に潜像を形成し、現像器124で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を用紙に転写する方式である。
【0025】
フルカラー画像に対応した画像形成装置では、上記現像器(ロータリー現像器)124が、図1の紙面に対して垂直方向に構成される回転軸を中心として周方向に回転させられ、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光ドラム121の対向位置に配置される。この状態で、感光ドラム121上の潜像が、現像器124が格納するトナーにより現像され、中間転写体(中間転写ベルト)125Aに転写される。なお、現像器124は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット124(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。上記現像器124が、後述の現像ユニット511に対応する。
【0026】
上記中間転写ベルト125Aへの転写を上記各色毎に繰り返すことにより、当該中間転写ベルト125A上にフルカラー画像が形成される。
【0027】
可視像が印刷される用紙は、手差しトレイ131、給紙カセット132、133、134などの給紙トレイに載置されたものである。
【0028】
印刷部120が印刷を行う際には、何れか1つの給紙トレイから用紙1枚を、ピックアップローラ135を用いて引き出し、引き出した用紙を搬送ローラ137やレジストローラ138で中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bの間に送り込む。用紙を引き出す場合、手差しトレイ131に載置された用紙を、手差しトレイ用ピックアップローラ136を用いて引き出しても構わない。
【0029】
印刷部120は、中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bの間に送り込んだ用紙に、上記中間転写ベルト125A上の可視像を転写すると、可視像を定着させるために、搬送ベルト126で定着装置127に用紙を送る。定着装置127は、ヒータが内蔵された加熱ローラ128と、所定の圧力で加熱ローラ128に押し当てられた加圧ローラ129とで構成されている。加熱ローラ128と加圧ローラ129の間を用紙が通過すると、熱と用紙への押圧力によって可視像が用紙に定着する。印刷部120は、定着装置127を通過した用紙を排紙トレイ130に排紙する。
【0030】
以上が、複合機100における基本的なコピー機能の処理である。なお、複合機100は、上述した各部(読取部110、印刷部120)を適宜協働的に動作することによって、他の機能、例えば、ファクシミリ送受信機能、プリント機能、スキャン機能、後処理機能、メモリ機能等をユーザに提供する。
【0031】
図3は、複合機100に備えられた操作部200の外観の一例を示す図である。ユーザは、上記操作部200を用いて、上述のような機能提供についての設定条件等を入力する。設定条件の入力、各機能の実行開始等が行なわれる際に、上記操作部200に備えられたタッチパネル301、タッチペン302、操作キー303が用いられる。
【0032】
次に、図4を用いて、複合機100の制御系ハードウェアの構成を説明する。図4は、当該複合機100における制御系ハードウェアの概略構成図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0033】
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、HDD(Hard Disk Drive)404、各駆動部に対応するドライバ405を内部バス406によって接続している。上記CPU401は、例えば、RAM403を作業領域として利用し、上記ROM402、HDD404等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ405と操作部200からのデータ、指示を授受し、上記図1、2に示した各駆動部等の動作を制御する。
【0034】
(実施の形態1)
〈キャリブレーション頻度設定処理〉
次に本発明の画像形成装置のキャリブレーションを実行する頻度設定の処理について図4から図8を参照しながら、説明する。図4は、本発明の複合機100の機能ブロック図、図5は、本発明の複合機100の上記処理を示すフローチャートである。なお、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
【0035】
まず、表示受付手段500がタッチパネル301に初期画面700(ここでは、コピー設定画面)を表示する(図6:S101)。上記初期画面700には、コピー可能である旨の表示701と、コピー機能の設定を行なうための各種設定項目710(「カラー設定」項目720及び、「印刷」項目730を含む)が表示されている。
【0036】
上記初期画面700に対して、カラー印刷を希望するユーザが、「カラー設定」項目720を押下すると、表示受付手段500が、「カラー設定」項目720の背景色を白色からグレーに変更する。そして、ユーザが「印刷」項目730を押下すると(図6:S102YES)、表示受付手段500が、カラー印刷の設定条件を受け付け、設定された条件で印刷する旨を印刷手段510に通知する。これを受けて印刷手段510は、上記条件で印刷を開始する(図6:S103)。
【0037】
上記のように、「印刷」項目730が押下されると、表示受付手段500は、カラー印刷が開始される旨と、印刷手段510に備えられた現像ユニット511の作動時間の計測(カウント)を開始する旨とをカラー/モノクロ情報決定手段520に通知する。
【0038】
上記のように、現像ユニット511の作動時間のカウントを開始する旨を通知されたカラー/モノクロ情報決定手段520は、現像ユニット511を監視し、当該現像ユニット511が作動するまで待機する。そして、現像ユニット511が作動すると、カラー/モノクロ情報決定手段520は、現像ユニット511の作動時間の計測を開始する(図6:S104)。
【0039】
次に、印刷手段510による所定の印刷処理が終了し(図6:S105YES)、上記現像ユニット511が停止すると、上記カラー/モノクロ情報決定手段520は、現像ユニット511の作動時間の計測を終了する(図6:S106)。
【0040】
上記のように、カラー/モノクロ情報決定手段520が、現像ユニット511の作動時間の計測を終了すると、表示受付手段500から通知された印刷内容が、カラー印刷又はモノクロ印刷の内、いずれであるかを判断し(図6:S107)、計測した上記現像ユニット511の作動時間をカラー/モノクロ情報として決定する。
【0041】
ここで、カラー/モノクロ情報とは、カラー印刷及びモノクロ印刷毎に決定される、現像ユニット511の作動時間の情報や後述の印刷枚数の情報である。
【0042】
次に、カラー/モノクロ情報決定手段520は、上記現像ユニット511の作動時間をカラー印刷又はモノクロ印刷の別が分かるように後述のカラー/モノクロ情報記憶手段530に記憶させる。
【0043】
本実施例では、表示受付手段500によりカラー印刷である旨が通知されているので、カラー/モノクロ情報決定手段520は、現像ユニット511の作動時間をカラー/モノクロ情報記憶手段530に備えられたモノクロ情報記憶手段531及び、カラー情報記憶手段532に記憶させる(図6:S107(カラー)→S108)。
【0044】
ここで、上記現像ユニット511には、モノクロ現像ユニットとカラー現像ユニットとが備えられている。そして、モノクロ現像ユニットは、カラー印刷及び、モノクロ印刷のいずれであっても作動するので、上記のように表示受付手段からカラー印刷である旨の通知がなされている場合には、測定した現像ユニット511の作動時間をカラー情報記憶手段だけではなく、モノクロ情報記憶手段531にも記憶させる構成を採用する。
【0045】
一方、表示受付手段からモノクロ印刷である旨の通知がなされている場合には、カラー/モノクロ情報決定手段520は、測定した現像ユニット511の作動時間をモノクロ情報記憶手段531に記憶させる(図6:S107(モノクロ)→S109)。
【0046】
ここで、モノクロ情報記憶手段531に記憶された現像ユニット511の作動時間をモノクロ現像ユニット作動時間と称し、カラー情報記憶手段532に記憶された現像ユニット511の作動時間をカラー現像ユニット作動時間と称す。
【0047】
更に、上記モノクロ情報記憶手段531は、所定期間に計測されたモノクロ現像ユニット作動時間を記憶し、カラー情報履歴記憶手段532も、所定期間に計測されたカラー現像ユニット作動時間を記憶する構成を採用する。上記所定期間は、ユーザにより任意の期間に設定することが可能である。また、前回のキャリブレーションが実行されてから現在までの期間に、上記カラー/モノクロ情報決定手段520が決定した作動時間を記憶する構成を採用しても構わない。
【0048】
上記のように、カラー/モノクロ情報決定手段520が、現像ユニット511の作動時間を上記各記憶手段に記憶させると、現像ユニット511の作動時間を記憶させた旨を相対値算定手段540に通知する。これを受けて、相対値算定手段540は、モノクロ情報記憶手段531からモノクロ現像ユニット作動時間を取得する。このとき、相対値算定手段540は、上記モノクロ情報記憶手段531から、上記所定期間に記憶されたモノクロ現像ユニット作動時間を全て取得する。
【0049】
更に、相対値算定手段540は、カラー情報記憶手段531から、カラー現像ユニット作動時間を取得する。このとき、モノクロ現像ユニット作動時間を取得したときのように、相対値算定手段540は、上記カラー情報記憶手段531から、上記所定期間に記憶されたカラー現像ユニット作動時間を全て取得する。
【0050】
次に、相対値算定手段540は、取得したモノクロ現像ユニットの全ての作動時間を加算することで、モノクロ現像ユニット作動時間の積算値を算出する。更に、相対値算定手段540は、取得したカラー現像ユニットの全ての作動時間を加算することで、カラー現像ユニット作動時間の積算値を算出する。
【0051】
次に、相対値算定手段540は、算出したモノクロ現像ユニット作動時間の積算値と、カラー現像ユニット作動時間の積算値との相対値を算定する(図6:S110)。例えば、相対値算定手段540は、カラー現像ユニット作動時間の積算値をモノクロ現像ユニット作動時間の積算値で割ることで、上記相対値を算定する。
【0052】
相対値算定手段540が、モノクロ現像ユニット作動時間の積算値と、カラー現像ユニット作動時間の積算値との相対値を算定すると、算定した相対値を条件設定手段545に通知する。これを受けて、条件設定手段545は、まず、キャリブレーションテーブル記憶手段550のキャリブレーションテーブル800を参照する。
【0053】
図8(A)に示すように、キャリブレーションテーブル800には、所定の値を境界値として、上記相対値(カラー現像ユニット作動時間の積算値をモノクロ現像ユニット作動時間の積算値で割った値)を区分けしたキャリブレーション頻度項目810と、キャリブレーション条件820(キャリブレーションを実行する条件を示す)とが、関連付けられて記憶されている。
【0054】
本実施例では、上記相対値として20%及び50%を境界値とし、算定した相対値が、20%以下の場合をキャリブレーション頻度低とし、20%を超えて50%より小さい場合をキャリブレーション頻度中とし、50%以上の場合をキャリブレーション頻度高としている。なお、上記境界値は任意の数値に設定することが可能である。
【0055】
更に、図8(A)では、キャリブレーション条件820を「温度変化の閾値」830(後述する)としている。その他のキャリブレーション条件820として、例えば図8(B)に示す「作動時間」840(現像ユニット511の作動時間に相当する。)を使用してもよいし、図8(C)に示すように、「温度変化の閾値」830と、「作動時間」840とを組み合わせてもよい。
【0056】
上記キャリブレーションテーブル800を参照して、条件設定手段545は、取得した相対値に対応するキャリブレーション頻度項目810に関連付けられたキャリブレーション条件820を取得する。
【0057】
そして、上記条件設定手段545は、取得したキャリブレーション条件820を複合機100のキャリブレーション処理を実行する際の設定条件としてキャリブレーション条件記憶手段551に記憶させる(図6:S111)。なお、条件設定手段545は、以前のキャリブレーション条件と異なる条件をキャリブレーション条件記憶手段551に記憶させる場合は、以前のキャリブレーション条件を削除することはいうまでもない。
〈キャリブレーション処理〉
上記のように、条件設定手段545が、キャリブレーション条件をキャリブレーション条件記憶手段551に記憶させると、上記キャリブレーション条件を設定した旨をキャリブレーション処理制御手段560に通知する。
【0058】
これを受けて、キャリブレーション処理制御手段560は、上記条件記憶手段551を参照してキャリブレーション条件を取得する(図9:S201)。そして、キャリブレーション処理制御手段560は、例えば印刷手段510の温度を監視し(図9:S202)、取得したキャリブレーション条件が成立すると(図9:S203YES)、キャリブレーション処理を実行するように、キャリブレーション処理手段を制御することになる(図9:S204)。
【0059】
例えば、キャリブレーション条件として、温度変化の閾値「4℃」がキャリブレーション条件記憶手段551に記憶されると、キャリブレーション処理制御手段560は、当該条件をキャリブレーション条件記憶手段551から取得し、印刷手段510に対して、上記キャリブレーション条件が成立するまで待機する。キャリブレーション処理制御手段560は、印刷手段510に設けられた温度センサ562からの温度情報を監視し、印刷手段510の温度変化が上記「4℃」を超えるとキャリブレーション処理手段561にキャリブレーションを実行させる。
【0060】
なお、取得したキャリブレーション条件が駆動時間であれば、キャリブレーション処理制御手段560は、カラーモノクロ情報記憶手段530を監視し駆動時間の条件が成立すると、キャリブレーション処理を実行するように、キャリブレーション処理手段を制御することになる。
【0061】
また、キャリブレーション処理手段561が実行するキャリブレーションは公知のものが採用される。例えば、キャリブレーション処理手段561は、以下のような処理を行う。
【0062】
ここで、本発明のように、カラーモードを備えた複合機100の場合、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナーを用いてフルカラー可視像を形成する。これらのトナーや現像器、感光ドラム等の性能は、製造してからの時間、気温、使用頻度等、様々な原因で、微妙に変化する。そこで一定間隔毎に、所望のフルカラー可視像を形成できるように調整が必要になっている。
【0063】
そこで、キャリブレーション処理手段561は、中間転写体125A上に通常のフルカラー印刷と同様な手順で、チェック用の画像を形成し、それを図示しない色センサや濃度センサを用いて検査する。そして、当該検査結果の情報をフィードバックし、いつまでも同じ色調のフルカラーが再現出来るようにしている(この一連の色調整作業をキャリブレーションと称する)。
【0064】
そして、キャリブレーション処理が終了すると、キャリブレーション処理制御手段560は、カラー/モノクロ情報履歴記憶手段に記憶されたカラー/モノクロ情報(本実施例では現像ユニット511の作動時間)を消去する(図9:S205)。
【0065】
(実施の形態2)
実施の形態1では、カラー/モノクロ情報決定手段520が、印刷ユニット511の作動時間を計測する構成を採用した。これに対して、実施の形態2では、カラー/モノクロ情報決定手段520が、カラー印刷又はモノクロ印刷される用紙の枚数をカウントする点が異なる。図面を参照して、実施の形態2の複合機100を説明する。以下では、初期画面700に対して、「印刷」項目730が押下され、印刷手段510により印刷が開始された状態から説明する。
【0066】
上記のように、「印刷」項目730が押下されると、表示受付手段500は、カラー印刷が開始される旨と、印刷手段510が印刷する印刷用紙の枚数のカウントを開始する旨とをカラー/モノクロ情報決定手段520に通知する。
【0067】
そして、カラー/モノクロ情報決定手段520は、印刷手段510を監視し、印刷される印刷用紙の枚数のカウントを開始する(図10:S304)。
【0068】
次に、印刷手段510による所定の印刷処理が終了すると(図10:S305YES)、上記カラー/モノクロ情報決定手段520は、印刷用紙の枚数のカウントを終了する(図10:S306)。
【0069】
そして、カラー/モノクロ情報決定手段520は、表示受付手段500から通知された印刷内容が、カラー印刷又はモノクロ印刷の内、いずれであるかを判断し(図10:S307)、カウントした印刷用紙枚数をカラー/モノクロ情報として決定する。
そして、カラー/モノクロ情報決定手段520は、カラー印刷又はモノクロ印刷の別が分かるように、カウントした印刷用紙枚数を記憶手段に記憶させる。
【0070】
本実施例では、表示受付手段500からカラー印刷である旨が通知されているので、カラー/モノクロ情報決定手段520は、カウントした印刷枚数をカラー情報記憶手段532に記憶させる(図10:S307(カラー)→S108)。
【0071】
一方、表示受付手段からモノクロ印刷である旨の通知がなされている場合には、カラー/モノクロ情報決定手段520は、カウントした印刷枚数をモノクロ情報記憶手段531に記憶させる(図10:S307(モノクロ)→S309)。
【0072】
次に、相対値算定手段540は、上記モノクロ印刷枚数のカウント値の積算値及び、カラー印刷枚数のカウント値の積算値を算出する。相対値算定手段540は、算出した上記積算値に基づいて、総印刷枚数と、カラー印刷の枚数の積算値との相対値を算定する(図10:S310)。例えば、相対値算定手段540はモノクロ印刷枚数のカウント値の積算値とカラー印刷枚数のカウント値の積算値とを加算することで、総印刷枚数を算定し、上記カラー印刷枚数のカウント値の積算値を上記総印刷枚数で割ることで、相対値を算定する。
【0073】
上記のように、相対値が算定されると、実施の形態1と同様に、条件設定手段545がキャリブレーション条件を設定することになる(図10:S311→エンド)。
【0074】
(その他)
本実施例では、カラー印刷の場合に、カラー/モノクロ情報決定手段520が計測したカラー/モノクロ情報(現像ユニットの作動時間)をカラー情報記憶手段532とモノクロ情報記憶手段531に記憶させ、モノクロ印刷の場合に、モノクロ情報記憶手段531に記憶させた。そして、例えば、カラー情報記憶手段532に記憶された現像ユニットの作動時間の積算値をモノクロ情報記憶手段531に記憶された現像ユニットの作動時間の積算値で割ることで、相対値を算出した。
【0075】
これに対して、カラー印刷の場合に、カラー/モノクロ情報決定手段520が計測したカラー/モノクロ情報をカラー情報記憶手段532に記憶させ、モノクロ印刷の場合に、モノクロ情報記憶手段531に記憶させる。そして、カラー情報記憶手段532に記憶された現像ユニットの作動時間の積算値をカラー情報記憶手段532に記憶された現像ユニットの作動時間の積算値とモノクロ情報記憶手段531に記憶された現像ユニットの作動時間の積算値との和で割ることで、上記相対値を算出する構成を採用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明を使用すると、モノクロ印刷とカラー印刷の相対値に基づいて、キャリブレーションの条件を決定することができる。
【0077】
これにより、実行される頻度の少ないカラー印刷のために頻繁にキャリブレーション処理をすることがなく、最適なキャリブレーション処理の頻度を設定することができる。したがって、本発明に係る画像形成装置は、複写機、プリンタ、スキャナ、複合機等に有用であり、その産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0078】
100 複合機
500 表示受付手段
510 印刷手段
511 現像ユニット手段
530 カラー/モノクロ情報記憶手段
531 モノクロ情報記憶手段
532 カラー情報記憶手段
540 相対値算定手段
545 条件設定手段
550 キャリブレーションテーブル記憶手段
551 キャリブレーション条件記憶手段
560 キャリブレーション処理制御手段
561 キャリブレーション処理手段
562 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成に係る品質を維持するための処理であるキャリブレーション処理を実行する画像形成装置において、
カラー印刷及びモノクロ印刷毎に、現像ユニットの作動時間又は印刷された用紙の枚数である、カラー/モノクロ情報を決定するカラー/モノクロ情報決定手段と、
前記カラー/モノクロ情報決定手段が決定したカラー/モノクロ情報の履歴を記憶するカラー/モノクロ情報記憶手段と、
前記カラー/モノクロ情報記憶手段が記憶した前記カラー/モノクロ情報の履歴に基づいて、前記キャリブレーション処理が成立するための条件を制御するキャリブレーション処理制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カラー/モノクロ記憶手段に記憶されたカラー印刷及びモノクロ印刷毎のカラー/モノクロ情報から、カラー現像ユニットの作動時間の積算値と、モノクロ現像ユニットの作動時間の積算値との相対値を算定し、又は、カラー印刷された用紙の枚数の積算値と、総印刷枚数との相対値を算定する相対値算定手段と、
前記相対値算定手段が算定した相対値に基づいて、前記キャリブレーション処理を実行する条件を設定する条件設定手段を更に備え、
前記キャリブレーション処理制御手段が、前記条件設定手段が設定した条件に基づいて、キャリブレーション処理を実行させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記キャリブレーション処理が実行されると、前記キャリブレーション処理制御手段が、カラー/モノクロ情報記憶手段に記憶されたカラー/モノクロ情報の履歴を削除する請求項1または2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−27831(P2011−27831A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171124(P2009−171124)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】