説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置本体に対して着脱可能に形成された着脱部材の接地状態を、高電圧を印加することなく簡易な構成で検知することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】基準接地点を含むと共に、構成機器を制御する制御手段MCUを有する画像形成装置本体100と、画像形成装置本体100に対して着脱可能に形成された着脱部材CRUとを備え、着脱部材CRUは、画像形成装置本体100に装着された際に基準接地点と接続され、その接地状態を連続的な物理量として入力可能とする連続量入力端子を含むと共に、画像形成装置本体100の制御手段MCUに出力可能とする連続量入出力手段を有する一方、画像形成装置本体100の制御手段MCUは、着脱部材CRUの接地状態を検出するための付加的な高電圧を印加することなく、連続量入出力手段の出力結果に基づいて、着脱部材CRUの接地状態を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の接地(接続)構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式などを利用した複写機やプリンター等の画像形成装置においては、感光ドラムや帯電装置、現像装置といった交換部品を一体にユニット化して、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成した、いわゆるプロセスカートリッジ方式の画像形成装置が知られている。そして一般に、このようにカートリッジ化(ユニット化)した着脱ユニットを画像形成装置本体に装着した際に、着脱ユニット側の構成機器が接地されるようになっており、かかる接地状態を検知するための接地検出方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
ここで、特許文献1〜4には、感光ドラム、帯電ロール、現像ロール等に印加される高圧電源の出力電流をモニタして接地状態を検知する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−223091号公報
【特許文献2】特開2002−333811号公報
【特許文献3】特開2002−333812号公報
【特許文献4】特開2000−194246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的とするところは、画像形成装置本体に対して着脱可能に形成された着脱部材の接地状態を、高電圧を印加することなく簡易な構成で検知することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の画像形成装置は、基準接地点を含むと共に、構成機器を制御する制御手段を有する画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体に対して着脱可能に形成された着脱部材とを備え、前記着脱部材は、画像形成装置本体に装着された際に前記基準接地点と接続され、その接地状態を連続的な物理量として入力可能とする連続量入力端子を含むと共に、前記画像形成装置本体の制御手段に出力可能とする連続量入出力手段を有する一方、前記画像形成装置本体の制御手段は、前記着脱部材の接地状態を検出するための付加的な高電圧を印加することなく、前記連続量入出力手段の出力結果に基づいて、前記着脱部材の接地状態を判別することを特徴とするものである。
請求項2に記載の画像形成装置は、請求項1に記載の構成において、前記連続量入出力手段は、着脱部材に設けられたCPUユニットであり、前記着脱部材は、その接地電位が前記着脱部材に設けられたアナログポートに入力されることを特徴とするものである。
請求項3に記載の画像形成装置は、基準接地点を含むと共に、構成機器を制御する制御手段を有する画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体に対して着脱可能に形成された着脱部材とを備え、前記着脱部材は、前記画像形成装置に対して複数設けられていると共に、画像形成装置本体に装着された際に前記基準接地点と接続され、前記複数の着脱部材のそれぞれは、その接地状態を連続的な物理量として入力可能とする、画像形成装置本体側に設けられた共通の連続量入力端子に接続されており、前記画像形成装置本体の制御手段は、前記着脱部材の接地状態を検出するための付加的な高電圧を印加することなく、前記連続量入力端子に入力される連続量に基づいて、前記着脱部材のそれぞれの接地状態を判別することを特徴とするものである。
請求項4に記載の画像形成装置は、請求項3に記載の構成において、前記複数の着脱部材は、前記画像形成装置本体に設けられた共通のアナログポートに抵抗を介して接続されていると共に、当該抵抗の抵抗値は、着脱部材ごとにその値が異なるように設定されていることを特徴とするものである。
請求項5に記載の画像形成装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載の構成において、前記画像形成装置本体の制御手段は、前記着脱部材の接地状態を3段階以上に区分して判別することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、検出のための付加的な高電圧を印加することなく既存の構成要素を流用可能として、着脱部材の接地状態を簡易な構成で判別することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、単一のアナログ入力に対して接地状態の多段階の判別が可能となる。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、検出のための付加的な高電圧を印加することなく既存の構成要素を流用可能として、複数の着脱部材のそれぞれの接地状態を簡易な構成で判別することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明によれば、複数の着脱部材のそれぞれの接地状態を簡易な構成で確実に判別することができる。
【0011】
請求項5に記載の発明によれば、接地状態の正常/異常のみならず、その中間状態の判別も可能とし、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が適用可能な画像形成装置の一例としてのタンデム型のデジタルカラー複写機を示す模式的構成図である。
【図2】実施の形態1に係る画像形成装置の接地(接続)構成を説明するための模式図である。
【図3】(a)は、本実施の形態に係る画像形成装置の接地状態の判別手順を説明するためのフローチャートであり、(b)は、各閾値の内容を説明するための模式図である。
【図4】実施の形態2に係る画像形成装置の接地(接続)構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
まず、本発明が適用可能な画像形成装置の構成について図1を参照して説明する。ここで、図1は、本発明が適用可能な画像形成装置の一例としてのタンデム型のデジタルカラー複写機を示す構成図である。なお、このタンデム型のカラー電子写真複写機は、画像読取装置を備えているが、画像形成装置としては、画像読取装置を備えずに、不図示のパーソナルコンピュータ等から出力される画像データに基づいて画像を形成するカラープリンターやファクシミリ等であってもよい。
【0015】
図1において、符号100は本発明が適用可能な画像形成装置の一例としてのタンデム型のデジタルカラー複写機1の本体を示すものであり、本体100の上部に、原稿2を一枚ずつ分離した状態で自動的に搬送する自動原稿搬送装置3と、当該自動原稿搬送装置3によって搬送される原稿2の画像を読み取る原稿読取装置4が配置されている。この原稿読取装置4は、プラテンガラス5上に載置された原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像を、フルレートミラー7及びハーフレートミラー8,9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光して、この画像読取素子11によって原稿2の色材反射光像を予め定められたドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るようになっている。
【0016】
上記原稿読取装置4によって読み取られた原稿2の色材反射光像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の原稿反射率データとして画像処理装置12に送られ、この画像処理装置12では、原稿2の反射率データに対して、シェーデイング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の画像処理が施される。また、画像処理装置12は、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像データに対しても、予め定められた画像処理を行なうようになっている。
【0017】
そして、上記の如く画像処理装置12で予め定められた画像処理が施された画像データは、同じく画像処理装置12によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)(各8ビット)の4色の原稿再現色材階調データに変換され、次に述べるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kの露光装置14に送られ、この露光装置14では、各色の原稿再現色材階調データに応じてレーザ光LBによる画像露光が行われる。
【0018】
上記タンデム型のデジタルカラー複写機本体100の内部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kが、水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置されている。
【0019】
これらの4つの画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kは、すべて同様に構成されており、大別して、予め定められた速度で回転駆動される像保持体としての感光ドラム15と、この感光ドラム15の表面を一様に帯電する一次帯電用の帯電装置16と、当該感光ドラム15の表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する走査光学系よりなる露光装置14と、感光ドラム15上に形成された静電潜像を各色のトナーで現像する現像装置17と、感光ドラム15の表面を清掃するドラムクリーニング装置18等とから構成されている。そして、本実施の形態に係る画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kは、画像形成装置本体100に対して着脱自在に形成された着脱ユニット(着脱部材)として形成されている。
【0020】
上記露光装置14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kに共通に構成されており、図示しない4つの半導体レーザを各色の原稿再現色材階調データに応じて変調して、これらの半導体レーザからレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kを階調データに応じて出射するように構成されている。なお、上記露光装置14は、複数の画像形成ユニット毎に個別に構成しても勿論よい。上記半導体レーザから出射されたレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kは、図示しないf−θレンズを介して回転多面鏡19に照射され、この回転多面鏡19によって偏向走査される。上記回転多面鏡19によって偏向走査されたレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kは、図示しない複数枚の反射ミラーを介して感光ドラム15上に、斜め下方から走査露光される。
【0021】
本実施の形態に係る露光装置14は、その周囲が直方体状のフレーム20によって密閉されていると共に、当該フレーム20の上部には、4本のレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kを、各画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kの感光ドラム15Y,15M,15C,15K上に露光するため、シールド部材としての透明なガラス製のウインドウ21Y,21M,21C,21Kが設けられている。これらのガラス製のウインドウ21Y,21M,21C,21Kは、露光装置14のレーザ光LBに沿った光路上において、最も上方に位置する部材となっている。
【0022】
また、本実施の形態において、中間転写ベルト25の上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像装置17Y,17M,17C,17Kに、予め定められた色の現像剤(主としてトナー若しくはキャリアを含んだトナー)を供給するトナーカートリッジ50Y,50M,50C,50Kが配置されている。
【0023】
そして、4つの画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kでは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像が予め定められたタイミングで順次形成されるように構成されている。上記各色の画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kは、上述したように、感光ドラム15Y,15M,15C,15Kを備えており、これらの感光ドラム15Y,15M,15C,15Kの表面は、一次帯電用の帯電装置16Y,16M,16C,16Kによって一様に帯電される。その後、上記感光ドラム15Y,15M,15C,15Kの表面は、露光装置14から画像データに応じて出射される画像形成用のレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kが走査露光されて、各色に対応した静電潜像が形成される。上記感光ドラム15Y,15M,15C,15K上に走査露光されるレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kは、当該感光ドラム15Y,15M,15C,15Kの直下よりやや右側寄りの斜め下方から、予め定められた傾斜角度で露光されるように設定されている。上記感光ドラム15Y,15M,15C,15K上に形成された静電潜像は、各画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kの現像装置17Y,17M,17C,17Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の可視トナー像として現像される。
【0024】
上記各画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kの感光ドラム15Y,15M,15C,15K上に、順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、各画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kの上方に渡って配置された中間転写ベルト25上に、一次転写ロール26Y,26M,26C,26Kによって順次多重に転写される。この中間転写ベルト25は、ドライブロール27と、バックアップロール28との間に一定のテンションで掛け回されており、図示しない定速性に優れた専用の駆動モータによって回転駆動されるドライブロール27により、矢印方向に予め定められた速度で循環駆動されるようになっている。上記中間転写ベルト25としては、例えば、可撓性を有するPET等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。
【0025】
上記中間転写ベルト25上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、バックアップロール28に圧接する二次転写ロール29によって、圧接力及び静電気力で記録用紙P上に二次転写され、これらの各色のトナー像が転写された記録用紙Pは、上方に位置する定着装置30へと搬送される。上記二次転写ロール29は、バックアップロール28の側方に圧接しており、下方から上方に搬送される記録用紙P上に、各色のトナー像を二次転写するようになっている。そして、上記各色のトナー像が転写された記録用紙Pは、定着装置30によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、排出ロール32によって本体100の上部に設けられた排出トレイ33上に排出される。
【0026】
上記記録用紙Pは、給紙カセット34から予め定められたサイズのものが、給紙ローラ35及び用紙分離搬送用のローラ対36により用紙搬送路37を介して、レジストロール38まで一旦搬送され、停止される。上記給紙カセット34から供給された記録用紙Pは、予め定められたタイミングで回転するレジストロール38によって中間転写ベルト25の二次転写位置へ送出される。
【0027】
なお、上記デジタルカラー複写機において、フルカラー等の両面コピーをとる場合には、片面に画像が定着された記録用紙Pを、排出ロール32によって排出トレイ33上にそのまま排出せずに、図示しない切替ゲートによって搬送方向を切り替え、用紙搬送用のローラ対39を介して両面用搬送ユニット40へと搬送する。そして、この両面用搬送ユニット40では、搬送径路41に沿って設けられた図示しない搬送用のローラ対により、記録用紙Pの表裏が反転された状態で、再度レジストロール38へと搬送され、今度は、当該記録用紙Pの裏面に画像が転写・定着された後、排出トレイ33上に排出される。
【0028】
また、トナー像の転写工程が終了した後の感光ドラム15Y,15M,15C,15Kの表面は、ドラムクリーニング装置18Y,18M,18C,18Kによって残留トナーや紙粉等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。
【0029】
さらに、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト25の表面は、ベルトクリーニング装置43によって残留トナーや紙粉等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。上記ベルトクリーニング装置43は、クリーニングブラシ43a及びクリーニングブレード43bを備えており、これらのクリーニングブラシ43a及びブレード43bによって、中間転写ベルト25上の残留トナーや紙粉等を除去するようになっている。
【0030】
ところで、このように画像形成ユニット(着脱ユニット)13Y,13M,13C,13Kを画像形成装置本体100に対して着脱自在に構成した場合には、かかる着脱ユニット13Y,13M,13C,13Kを装置本体100に装着した際に、必要な構成機器の接地をとる必要が生じる。そして、従来、このような着脱ユニット13Y,13M,13C,13Kと画像形成装置本体100との接続(接地)状態を検知するためには、感光ドラム15Y,15M,15C,15Kや帯電装置16Y,16M,16C,16K、あるいは、現像装置17Y,17M,17C,17Kといった高電圧(例えば、1,000〜3,000V)が印加される構成機器の出力電流値を検出することにより、着脱ユニット13Y,13M,13C,13Kの接地状態を判別する方法(高圧印加方式)が用いられている。しかし、かかる高圧印加方式では、着脱ユニット13Y,13M,13C,13Kと画像形成装置本体100との接続状態が不十分な場合等ではリークが発生したり電磁ノイズが発生する虞が生じていた。また、高圧検出回路が別途必要となるためコストアップするといった問題も生じていた。
【0031】
そこで、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、着脱ユニット13Y,13M,13C,13Kの接地状態を検知するための高圧印加やこれに伴う高圧検出回路を要することなく、次のようにして既存の構成機器を流用して、簡易な構成で着脱ユニット13Y,13M,13C,13Kの接地状態を検知可能としている。
<実施の形態1>
【0032】
以下に、実施の形態1に係る画像形成装置の接地(接続)構成を図2を参照して説明する。ここで、図2は、本実施の形態に係る画像形成装置の接地(接続)構成を説明するための模式図である。なお、簡明化のため、以下に説明する画像形成装置本体100は、前述した原稿読取装置4や両面用搬送ユニット40を備えない、カラープリンター用の画像形成装置本体100として説明すると共に、当該画像形成装置本体100に着脱自在に形成された着脱ユニット(本例では、画像形成ユニット)をCRUとして表記する。
【0033】
図2に模式的に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置本体100は、構成機器(例えば、帯電装置16、露光装置14、現像装置17、転写装置26、定着装置30等)を制御するCPUユニットを含んだ装置コントローラ(制御手段)MCUを備えていると共に、本体フレームの予め定められた箇所に基準接地点(接地電位の基準となる接地点)が設けられている。なお、本実施の形態では、着脱ユニットCRUに含まれる感光ドラム15の回転軸15Sの一端と接続される軸受部(ドラム接点)DGが、上記基準接地点に接続されており、着脱ユニットCRUを画像形成装置本体100に正常に装着した場合に、各構成機器の接地電位が正常な範囲(許容範囲)となるように構成されている。
【0034】
一方、本実施の形態に係る着脱ユニットCRUは、メモリやアナログポート(連続量入力端子)等を有する半導体素子としてのマイコンチップを備えており、着脱ユニットCRUを画像形成装置本体100に装着し、感光ドラム15の回転軸15Sが画像形成装置本体100側の軸受部DGと接続された際に、かかる接続状態の情報をそのままアナログポートに取り込んで、着脱ユニットCRUのマイコン(以下、ユニット側CPUとも称する)を介して、画像形成装置本体100側の装置コントローラMCUとデータ通信可能に接続されている。
【0035】
ここで、上記アナログポート(連続量入力端子)や通信制御回路を含んだユニット側CPUにより本実施の形態に係る連続量入出力手段が構成されている。なお一般に、上記ユニット側CPUは、例えば、感光ドラム15のライフサイクルカウント等の情報を他機器と通信接続(例えば、画像形成装置本体100の装置コントローラMCUとの通信接続)するために、既存の着脱ユニットCRUに搭載されている。従って、本実施の形態に係る連続量入出力手段は、着脱ユニットCRU側に設けられた既存のCPUユニットを流用することにより容易に構成することができる。
【0036】
図3は、本実施の形態に係る画像形成装置の接地状態の判断手順を説明するためのフローチャート等である。
【0037】
図3(a)に示すように、まず、マシンスタンバイ時に、ユニット側CPUにて、感光ドラム15の接地電位(アナログポートの電位)を検知する(ステップST10)。
【0038】
検知電位が予め定められた閾値A未満である場合には、画像形成装置本体100に設けられた表示部に印刷可能の表示を行い、印刷可能状態とする(ステップST12)。
【0039】
一方、検知電位が閾値A以上である場合には、上記表示部に再度着脱ユニットCRUの装着を促す表示を行い、再度接地電位を検知する(ステップST14)。
【0040】
ステップST14にて、再度、接地電位を検知した結果、検知電位が閾値A未満である場合には、正常な接続(接地)状態に復旧したと判断して、画像形成装置本体100に設けられた表示部に印刷可能の表示を行い、印刷可能状態とする(ステップST16)。
【0041】
一方、ステップST14にて、検知電位が閾値A以上である場合には、さらに、当該接地電位が閾値B未満であるか否かの判定を行い(ステップST18)、接地電位が閾値A以上B未満である場合には、着脱ユニットCRUの寿命と判断して、着脱ユニットCRUの交換を促す表示を行う(ステップST20)。
【0042】
一方、ステップST18にて、検知電位が閾値B以上である場合には、破損等構造上の欠陥と判断して、マシン修理を促す表示を行う(ステップST22)。
【0043】
ここで、上記閾値A,B(本例では、閾値A<閾値B)は、図3(b)に示すように、画像形成に際して支障とならない接地電位範囲が閾値A未満となるように設定されている。また、着脱ユニットCRUが寿命となる(経年劣化する)と摩耗やトナー付着等により接地電位が上昇するため、閾値A以上B未満が着脱ユニットの装着不良又は寿命(による接地電位上昇)の検知範囲として設定されており、閾値B以上がメカ構造上の欠陥の検知範囲として設定されている。なお、上記閾値の設定数、設定値等は、検知対象の特性に応じて適宜任意に選定することができる。
【0044】
このように、着脱ユニットCRUを画像形成装置本体100に接続した際の接地電位を、着脱ユニットCRU側に設けられたアナログポートを含んだユニット側CPUを介して、画像形成装置本体100側に設けられた制御装置MCUにて判別することにより、従来のように、接地状態を検知するための高電圧の印加や、特別の検出回路を別途設けることなく、単一の検出点DG(本例では、感光ドラム15の軸方向一端部)により、着脱ユニットCRUの接地(接続)状態を簡易な構成で検知することが可能となる。
また、高電圧を印加する方式に比し、アナログレベルをより安定して検知することができるので、単一のアナログポートにて複数段階(3段階以上)の接続(接地)状態を検知することが可能となる。すなわち、本実施の形態に係る画像形成装置1では、正常/異常の2値的な状態判別のみならず、中間状態である着脱ユニットCRUの交換を要する状態(着脱ユニットCRUの寿命)等、3段階以上に区分した接続状態を単一のアナログポートにて検知することができる。
<実施の形態2>
【0045】
次に、実施の形態2に係る画像形成装置の接地(接続)構成について、図4を参照して説明する。
【0046】
本実施の形態に係る画像形成装置は、複数の着脱ユニットCRUを単一のアナログポートに接続したものであり、先の実施の形態と同様な機能を有する部材には同様な符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0047】
図4は、実施の形態2に係る画像形成装置の接地(接続)構成を説明するための模式図である。本実施の形態に係る画像形成装置1では、少なくとも各色(本例では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応する複数の着脱ユニットCRU(Y),CRU(M),CRU(C),CRU(K)が、画像形成装置本体100側の装置コントローラMCUに設けられた共通の(単一の)アナログポートに接続されており、アナログポートに接続された共通ラインCLと各着脱ユニットCRU(Y),CRU(M),CRU(C),CRU(K)とは、その抵抗値が異なる抵抗R1,R2,R3,R4を介してそれぞれ接続されている。
【0048】
そして、上記共通ラインCLには、信号レベルの低電圧電源V0(例えば、3.3〜5V)がプルアップ抵抗R0を介して接続されており、各着脱ユニットCRU(Y),CRU(M),CRU(C),CRU(K)の接続状態を検知するようになっている。なお、上記低電圧電源としては、装置コントローラMCUのCPU駆動電源を流用することができる。
【0049】
具体的には、各着脱ユニットCRU(Y),CRU(M),CRU(C),CRU(K)が正常に画像形成装置本体100に接続されている場合には、アナログポートの電位が(式1)に示すような所定の電圧値Vaとなり、これにより、各着脱ユニットCRU(Y),CRU(M),CRU(C),CRU(K)の接地状態が正常であると判断するようになっている。
【0050】
Va=V0*Ra/(R0+Ra)・・・(式1)
【0051】
ここで、Raは、R1〜R4の合成抵抗値であり、Ra=R1*R2*R3*R4/(R2*R3*R4+R1*R3*R4+R1*R2*R4+R1*R2*R3)にて算出される。
【0052】
一方、いずれかの着脱ユニットCRUの接続状態が異常である場合には、各着脱ユニットCRU(Y),CRU(M),CRU(C),CRU(K)を接続する抵抗R1,R2,R3,R4の抵抗値がそれぞれ異なるため、(式2)に例示するように、異常な接続状態の着脱ユニットCRUに応じた固有の電圧値Vbがアナログポートにて検出されることとなる。そこで、かかる検出値に基づいて、どの着脱ユニットCRU(Y),CRU(M),CRU(C),CRU(K)の接地状態が異常であるかを判断するようになっている。
【0053】
Vb=V0*Rb/(R0+Rb)・・・(式2)
【0054】
ここで、Rbは、例えば、いずれかの着脱ユニットCRUが接地不良を起こし、かかる着脱ユニットCRUに対応する抵抗値が無限大(オープン)となった場合の合成抵抗値である。
【0055】
上記合成抵抗値Rbは、どの着脱ユニットCRUで異常が生じたか(どの着脱ユニットCRUがオープンになったか)で異なるので、故障モードに応じたアナログポートでの電圧値Vbを予めテーブルとしてメモリに格納しておくことにより、接続(接地)異常の着脱ユニットCRUを容易に特定することができる。
【0056】
なお、上記共通ラインCLに接続されるユニット機器は、画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kに限られず、例えば、フィーダーユニットや、両面ユニットであってもよいし、その他接地を要する任意の接地部とすることができる。
【0057】
本発明の技術的範囲は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨に逸脱しない範囲において多様な変更もしくは改良を加え得るものである。例えば、アナログポートを使用することにより、単一の入力に対して接地状態の多段階の判別が可能となるので、実施の形態1において閾値の設定数を増大させて、より細かく接地状態を判別してもよいし、実施の形態2において複数の閾値を設け、各着脱ユニットCRUの接地状態をそれぞれ3段階以上に判別するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1:画像形成装置、4:原稿読取装置、12:画像処理装置、13Y,13M,13C,13K:画像形成ユニット、14Y,14M,14C,14K:露光装置、15Y,15M,15C,15K:感光ドラム、15S:回転軸、16Y,16M,16C,16K:帯電装置、17Y,17M,17C,17K:現像装置、18Y,18M,18C,18K:ドラムクリーニング装置、25:中間転写ベルト、26Y,26M,26C,26K:一次転写ロール、27:ドライブロール、28:バックアップロール、29:二次転写ロール、30:定着装置、34:給紙カセット、40:両面用搬送ユニット、43:ベルトクリーニング装置、50Y,50M,50C,50K:トナーカートリッジ、100:画像形成装置本体、CRU:着脱ユニット、MCU:装置コントローラ、CL:共通ラインR0,R1,R2,R3,R4:抵抗、Ra,Rb:合成抵抗値、V0:低電圧電源、Va,Vb:電圧値、P:記録用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準接地点を含むと共に、構成機器を制御する制御手段を有する画像形成装置本体と、
前記画像形成装置本体に対して着脱可能に形成された着脱部材と
を備え、
前記着脱部材は、画像形成装置本体に装着された際に前記基準接地点と接続され、その接地状態を連続的な物理量として入力可能とする連続量入力端子を含むと共に、前記画像形成装置本体の制御手段に出力可能とする連続量入出力手段を有する一方、
前記画像形成装置本体の制御手段は、前記着脱部材の接地状態を検出するための付加的な高電圧を印加することなく、前記連続量入出力手段の出力結果に基づいて、前記着脱部材の接地状態を判別することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記連続量入出力手段は、着脱部材に設けられたCPUユニットであり、前記着脱部材は、その接地電位が前記着脱部材に設けられたアナログポートに入力されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
基準接地点を含むと共に、構成機器を制御する制御手段を有する画像形成装置本体と、
前記画像形成装置本体に対して着脱可能に形成された着脱部材と
を備え、
前記着脱部材は、前記画像形成装置に対して複数設けられていると共に、画像形成装置本体に装着された際に前記基準接地点と接続され、前記複数の着脱部材のそれぞれは、その接地状態を連続的な物理量として入力可能とする、画像形成装置本体側に設けられた共通の連続量入力端子に接続されており、
前記画像形成装置本体の制御手段は、前記着脱部材の接地状態を検出するための付加的な高電圧を印加することなく、前記連続量入力端子に入力される連続量に基づいて、前記着脱部材のそれぞれの接地状態を判別することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の着脱部材は、前記画像形成装置本体に設けられた共通のアナログポートに抵抗を介して接続されていると共に、当該抵抗の抵抗値は、着脱部材ごとにその値が異なるように設定されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置本体の制御手段は、前記着脱部材の接地状態を3段階以上に区分して判別することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−59159(P2011−59159A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205655(P2009−205655)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】