説明

画像形成装置

【課題】キャリッジ間のズレ量を簡易かつ高精度に検知する。
【解決手段】主走査方向に単独または結合して移動および走査可能な主キャリッジ1と、該主キャリッジと結合して移動および走査可能な副キャリッジ2とを備える画像形成装置において、主キャリッジ1および副キャリッジ2のうち、いずれか一方は位置確認基準部15を、他方は位置確認用センサ16を備え、主キャリッジ1と副キャリッジ2との結合状態において位置確認用センサ16により位置確認基準部15を読取ることにより、キャリッジ位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。さらに詳述すると、記録ヘッドを搭載したキャリッジを複数備えた画像形成装置におけるキャリッジの位置制御に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば、記録液(液体)の液滴を吐出する液体吐出ヘッドで構成した記録ヘッドを含む装置を用いて、媒体(以下用紙ともいうが材質を限定するものではなく、また、被記録媒体、記録媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する)を搬送しながら、液体としての記録液(以下、インクともいう)を用紙に付着させて画像形成(以下、記録、印刷、印写、印字も同義語で用いる)を行なう、いわゆるインクジェット方式の画像形成装置がある。
【0003】
例えば、カラー印字可能なインクジェット方式のプリンタでは、黒(K)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の4色以上の液体吐出ヘッド(以下、記録ヘッド、ヘッドともいう)、またはノズル列がある記録ヘッドを搭載したキャリッジを走査させて印字している。しかしながら、このようなカラープリンタにおいて、モノクロ印字を主として使用していると、カラーヘッドは乾燥によりノズル状態が悪化する。これに対し、乾燥によるノズルつまりを防ぐために、カラーインク空吐出やカラーヘッドの回復処理が行われるが、これらはカラーインクを無駄に消費させてしまうという問題がある。このため、モノクロ印字を行おうとしても、カラーインクが無いために印字不可になってしまうケースも生じる。
【0004】
このような問題に対し、例えば、特許文献1には、カラーヘッド群を搭載する第1キャリア(キャリッジ)と黒ヘッドを搭載する第2キャリアとを備え、カラー印字においては2つのキャリッジを結合し走査印字させ、一方、モノクロ印字では第2キャリアのみ走査させ、第1キャリアはヘッドが乾燥しないように保湿させる技術が開示されている。
【0005】
ここで、特許文献1に記載のように、複数のキャリッジを分割(分離)、結合する構成においては、それぞれのキャリッジの位置精度が印字精度に影響する。すなわち、キャリッジの結合が正常に行われないことや、分割や結合を繰り返すうちに結合状態においてキャリッジ間にズレが生じでしまうと、記録ヘッドの印字位置がずれてしまい、その結果、色ムラなどの印字不良が生じうる。
【0006】
複数のキャリッジを結合して走査する際のキャリッジ位置制御に関する技術として、例えば、特許文献2には、ガイド軸に沿って走査可能な走査子に、グリッパを介して、黒インク用キャリッジとカラーインク用キャリッジを選択的に結合可能とし、走査子側のロック部がキャリッジ側のグリップ部と係合することにより、走査子とキャリッジとの結合状態をロックする技術が開示されている。また、特許文献3には、走査子に対して、グリッパを介してブラックインク用キャリッジとカラーインク用キャリッジを選択的に結合可能とし、それらの走査子およびキャリッジのそれぞれに設けたセンサ遮蔽板が装置本体の定位置に備えたホームポジションセンサの光路を遮蔽するタイミングに基づいて、走査子に対するキャリッジ結合がた分の位置制御の補正量を求める技術が開示されている。
【0007】
また、印字位置を補正する技術として、例えば、特許文献4には、撥水性部材上に、記録ヘッドから吐出される複数の独立した液滴で構成される調整パターンを形成するパターン形成手段と、調整パターンに対して発光する発光素子及び調整パターンからの正反射光を受光する受光素子で構成されるパターン読取りセンサと、パターン読取りセンサの検出結果に基づいて液滴の着弾位置ずれ量を算出する液滴着弾位置ずれ量算出手段と、液滴着弾位置ずれ量から液滴吐出タイミングの補正量を算出する手段とを備え、高精度な着弾位置検出と着弾ずれ補正を行う画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、キャリッジの位置精度の向上については特に開示がされていない。また、特許文献2〜3に記載の技術では、グリッパという中間部材を介してキャリッジを結合しているが、中間部材を用いているためキャリッジの位置制御の高精度化には検討の余地がある。さらに、特許文献3に記載の技術では、キャリッジそれぞれに設けた遮蔽板を配置して位置の確認を行っているため、キャリッジ間のズレ量を高精度に検出するのは困難である。
【0009】
また、特許文献4に記載の発明によれば、高精度の着弾位置ずれ補正を行うことができるが、単一のキャリッジを備える画像形成装置についての発明であり、複数のキャリッジが分割、結合を繰り返すことにより生じうるキャリッジ間のズレ量の補正を目的としたものではない。
【0010】
そこで本発明は、複数のキャリッジを備えた画像形成装置において、位置制御を行うための位置基準をキャリッジ自体が備えることにより、キャリッジの分割、結合の繰り返しにより生じうるキャリッジ間のズレ量を簡易かつ高精度に検知することができる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するため、請求項1に記載の画像形成装置は、主走査方向に単独または結合して移動および走査可能な主キャリッジと、該主キャリッジと結合して移動および走査可能な副キャリッジとを備える画像形成装置において、主キャリッジおよび副キャリッジのうち、いずれか一方は位置確認基準部を、他方は位置確認用センサを備え、主キャリッジと副キャリッジとの結合状態において位置確認用センサにより位置確認基準部を読取ることにより、キャリッジ位置を検出するものである。
【0012】
したがって、複数のキャリッジを備えた画像形成装置において、位置制御を行うための位置基準をキャリッジ自体が備えることにより、キャリッジの分割、結合の繰り返し等により生じうるキャリッジ間のズレ量を簡易かつ高精度に検知することができ、ひいては、検出されるズレ量に基づく印字補正を可能とすることで、キャリッジの分割、結合を繰り返しても印字精度が低下することがない。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、位置確認基準部は、該位置確認基準部を備えた側のキャリッジの位置確認用センサを備えた側のキャリッジとの結合側の面に対して垂直方向に突出するように設けられ、主キャリッジと副キャリッジとの結合状態において位置確認用センサを備えた側のキャリッジに設けられた案内部からキャリッジ内部に案内されるものである。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれかに記載の画像形成装置において、位置確認基準部および位置確認用センサは、主キャリッジを摺動可能に保持するガイド部材の上部に相当する位置に設けられるものである。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置において、位置確認基準部は、主キャリッジを摺動可能に保持するガイド部材の長手方向に対して平行に設けられるものである。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4までのいずれかに記載の画像形成装置において、位置確認基準部は、位置確認用センサにより読取可能な複数のスリットを有する第1センサ読取部と、位置確認用センサにより読取可能なスリットを有しない、またはセンサ読取部のスリットとは異なるピッチのスリットを有する第2センサ読取部からなるものである。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、主キャリッジは、主走査方向における位置を検出するエンコーダセンサを備えており、該エンコーダセンサの検出結果および位置確認用センサによる位置確認基準部の読取結果に基づいて、位置確認用センサが第1センサ読取部または第2センサ読取部のいずれの読取位置にあるかを判断するものである。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から6までのいずれかに記載の画像形成装置において、位置確認基準部は、取付部材を介してキャリッジに取り付けられ、取付部材の一面は、位置確認基準部の少なくとも一部と接合されているものである。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、主キャリッジと副キャリッジとの結合状態において、取付部材の上端と位置確認用センサを備えた側のキャリッジの底面との間には、所定の間隔が形成されるものである。
【0020】
また、請求項9に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、案内部は、開口部および該開口部から位置確認基準部の挿入方向下流側に向けて開口幅が狭められるように傾斜した傾斜面を有するものである。
【0021】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像形成装置において、案内部は、位置確認基準部を開口部から傾斜面により狭められた挿入ガイドに案内するものであり、次式(1)
W4≦W3<W2<W1 …(1)
但し、W1:開口部の幅
W2:位置確認用センサの発光部と受光部との間の幅
W3:挿入ガイドの幅
W4:位置確認基準部の厚さ
を満たすものである。
【0022】
また、請求項11に記載の発明は、請求項1から10までのいずれかに記載の画像形成装置において、位置確認基準部を備えた側のキャリッジは、位置確認基準部を記録ヘッドのノズル面より上部に備え、副走査方向におけるノズル面と位置確認基準部との間に壁面を備えるものである。
【0023】
また、請求項12に記載の発明は、請求項1から11までのいずれかに記載の画像形成装置において、主キャリッジは、黒インク吐出用の記録ヘッドを搭載し、副キャリッジはカラーインク吐出用の記録ヘッドを搭載するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、複数のキャリッジを備えた画像形成装置において、キャリッジの分割、結合の繰り返し等により生じうるキャリッジ間のズレ量を簡易かつ高精度に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る画像形成装置の全体構成の一例を示す斜視説明図である。
【図2】画像形成装置の主走査ユニットの概略構成図の一例である。
【図3】位置確認基準部の配置例を示す模式図であって、(a)結合部および位置確認基準部をガイドロッド上に設けた例、(b)位置確認基準部をガイドロッド上からずらして設けた例を示す。
【図4】位置確認基準部の模式図の一例である。
【図5】パルス検出開始位置での位置確認基準部と位置確認用センサとの位置関係を示す模式図である。
【図6】キャリッジ結合状態での位置確認基準部と位置確認用センサとの位置関係を示す模式図である。
【図7】取付部材の上端と、副キャリッジの底面との位置関係を示す模式図である。
【図8】位置確認基準部の取付部への取り付けを説明する模式図である。
【図9】位置確認基準部と案内部との関係を示す平面図である。
【図10】図9に示す案内孔周辺を拡大した斜視図である。
【図11】案内孔周辺を拡大した斜視図の他の例である。
【図12】壁面を備える主キャリッジの側面図の一例である。
【図13】画像形成装置の主走査ユニットの概略構成図の他の例である。
【図14】図13に示す主キャリッジの側面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る構成を図1から図14に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0027】
1.画像形成装置の構成
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態に係る画像形成装置(シリアル型インクジェット記録装置)の全体構成の一例を示す斜視説明図である。本実施形態に係る画像形成装置は、画像形成装置本体(以下、装置本体)5と、装置本体5を支持する支持台6とから構成される。
【0028】
装置本体5の内部には、図示しない両側板にガイドロッド3及びガイドレール4が掛け渡され、これらのガイドロッド3及びガイドレール4にキャリッジ1(以下、主キャリッジ1)およびキャリッジ2(以下、副キャリッジ2)が矢示A方向(主走査方向を指す、以下同様)に摺動可能に保持されている。また、主キャリッジ1および副キャリッジ2は結合部17(図2に示す17a,17b)により結合可能であり、結合部17による結合が解除された状態であれば主キャリッジ1は副キャリッジ2と分離して単独で移動可能である。なお、副キャリッジ2は、主キャリッジ1と一体としてのみ走査可能な構成であり、ガイドロッド3に保持されないものでもよい。ここで、結合部17としては、公知または新規の結合手段を用いればよく特に限られるものではないが、例えば、連結レバー、係合ピン等を用いることができる。
【0029】
主キャリッジ1には黒(K)のインク滴を吐出する記録ヘッド7k,7kが搭載され、副キャリッジ2にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する記録ヘッド7y,7m,7cが搭載されている。
【0030】
画像形成装置は、モノクロ印刷時には主キャリッジ1のみが単独で走査印字行う。そのとき、副キャリッジ2は、ホーム位置(例えば維持回復機構8の上方)で待機している。一方、カラー印刷時には、ホーム位置で待機している副キャリッジ2に向けて主キャリッジ1が移動し、主キャリッジ1と副キャリッジ2が結合部17により結合された状態により一体で走査印字する。また、各記録ヘッドには各記録ヘッドにインクを供給するサブタンク(図示せず)が一体的に備えられている。
【0031】
そして、主キャリッジ1および副キャリッジ2を移動走査する主走査機構は、主走査方向の一方側に配置される駆動モータ11と、駆動モータ11によって回転駆動される駆動プーリ12と、主走査方向他方側に配置された従動プーリ13と、駆動プーリ12と従動プーリ13との間に掛け回されたベルト部材(駆動伝達部材)14とを備えている。なお、従動プーリ13は、図示しないテンションスプリングによって外方(駆動プーリ12に対して離れる方向)にテンションが架けられている。また、ベルト部材14は、キャリッジの背面側に設けたベルト固定部(図13に示す駆動源連結部18)に一部分が固定保持されていることで、主走査方向に主キャリッジ1および副キャリッジ2を牽引する。
【0032】
この主キャリッジ1および副キャリッジ2に主走査領域のうち、記録領域では、用紙10が図示しない紙送り機構によって主キャリッジ1および副キャリッジ2の主走査方向と直交する矢示B方向(副走査方向、用紙搬送方向を指す、以下同様)に間欠的に搬送される。
【0033】
また、主走査領域のうちの一方の端部側領域には記録ヘッドの維持回復を行う維持回復機構8が配置されている。さらに、主走査方向のキャリッジ移動領域外又はキャリッジ移動領域の他方の端部側の下方には記録ヘッドのサブタンクに供給する各色のインクを収容したメインカートリッジ9が装置本体5に対して着脱自在に装着される。
【0034】
以上説明した、本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない制御部が、駆動モータ11や搬送モータ(図示せず)を駆動制御し、主キャリッジ1および副キャリッジ2を主走査方向に移動させ、用紙10を間欠的に送りながら、各キャリッジに搭載される記録ヘッドを画像情報に応じて駆動して液滴を吐出させることによって用紙10上に所要の画像を形成することができる。
【0035】
2.キャリッジ位置制御
図2に主走査ユニットの概略構成図を示す。本実施形態に係る画像形成装置における主走査ユニットは、ガイドロッド3上に主キャリッジ1および副キャリッジ2が主走査方向に摺動可能に保持されている。また、主キャリッジ1および副キャリッジ2は結合部17a,17bにより結合、分離が可能である。なお、本実施形態では、ガイド部材としてガイドロッド3を用いた例について説明するが、主キャリッジ1および副キャリッジ2を摺動可能に保持するものであれば特に限られるものではなく、例えば、スライドガイド等を用いても良い。また、上述のように副キャリッジ2はガイドロッド3に保持されず、図示しない他の保持手段によって保持され、主キャリッジ1と結合した状態でのみガイドロッド3上を摺動するものであっても良い。
【0036】
本実施形態では、主キャリッジ1は、位置確認基準部15を、副キャリッジ2は位置確認用センサ16を備えており、主キャリッジ1と副キャリッジ2との結合状態において位置確認用センサ16により位置確認基準部15を読取ることにより、キャリッジ位置を検出する例について説明する。しかしながら、逆に、主キャリッジ1が位置確認用センサ16、副キャリッジ2が位置確認基準部15を備え、主キャリッジ1と副キャリッジ2との結合状態において位置確認用センサ16により位置確認基準部15を読取ることにより、キャリッジ位置を検出するものであっても良い。なお、「結合状態」とは、位置確認用センサ16が位置確認基準部15を読取可能な範囲に主キャリッジ1と副キャリッジ2が近接している状態をいい、必ずしも結合部17により結合されている状態だけを指すものではない。
【0037】
ここで検出されるキャリッジ位置とは、一方のキャリッジからの他方のキャリッジの相対的な位置をいい、例えば、主キャリッジ1の位置を基準とした場合は、副キャリッジ2の位置ズレを検出することができ、副キャリッジ2の位置を基準とした場合は、主キャリッジ1の位置ズレを検出することができる。
【0038】
位置確認基準部15は、位置確認用センサ16の電気的な出力が変動する形状であれば特に限られるものではない。本実施形態においてはリニアスケールにより構成しているが、例えば、反射板、スリット形状、穴形状等により構成しても良い。また、リニアスケールの構成は特に限られるものではないが、例えば、印刷、エッジング、ガラス製、磁気等により構成される。
【0039】
ここで、位置確認基準部15および位置確認用センサ16は、それぞれ主キャリッジ1と副キャリッジ2に取り付け可能な範囲であって、位置確認用センサ16が位置確認基準部15を読取可能な位置であれば、その取り付け位置は特に限られるものではないが、位置確認基準部15は、主キャリッジ1側面であって、副キャリッジ2との結合側の面34から垂直方向に突出するように配置されていることが好ましい。また、副キャリッジ2には、位置確認基準部15を案内する案内部(案内孔22)が設けられ、位置確認基準部15は、結合状態で副キャリッジ2内部まで入り込む形状である。
【0040】
このようにすることにより、結合部17による結合動作を駆動させるタイミングと同時に、位置確認用センサ16の制御を行うことによりキャリッジ位置の確認をすることができ、キャリッジ位置制御に要する時間の短縮を図ることができる。また、結合状態における主キャリッジ1と副キャリッジ2との主走査方向における幅を、位置確認基準部15および位置確認用センサ16を備えない従来構成と同様に小さく構成できるため、画像形成装置の小型化が可能となる。
【0041】
また、複数のキャリッジを備える画像形成装置では、1つのキャリッジに黒及びカラーインク吐出用の記録ヘッドの双方を備えた構成に比べ、各キャリッジはスケールが小さく、主走査方向の幅が狭くなる。このため、走査時に首振りや上下振動などの影響を受けやすくなるという問題がある。
【0042】
そのため、位置確認基準部15および位置確認用センサ16は、ガイドロッド3の重力方向における上部に相当する位置(以下、ガイドロッド3上ともいう)に配置することが好ましい。このようにすることにより、首振りや上下振動の影響を少なくして測定の高精度化を図ることができる。
【0043】
また、位置確認基準部15は、ガイドロッド3の長手方向に対して平行に設けることが好ましい。同様に、首振りや上下振動の影響を少なくして測定の高精度化を図ることができるからである。
【0044】
ここで、結合の安定性の観点からは、結合部17についてもガイドロッド3上に設けることが好ましい。したがって、図3(a)に示すように、結合部17aを、位置確認基準部15の上部に設けることも好ましい。また、スペース上の問題がある場合等は、例えば、図3(b)に示すように、結合部17aをガイドロッド3上に設けて位置確認基準部15をガイドロッド3上からずらした位置に設けるようにしても良い。なお、図3(b)に示す例では、位置確認基準部15をキャリッジ手前側(記録ヘッド7の搭載側)に設けた例を示しているが、これに限られるものではなく、キャリッジ奥側等に設けても良い。なお、結合部17aおよび位置確認基準部15の配設位置に併せて、結合部17bおよび位置確認用センサ16の配設位置を変更することは勿論である。
【0045】
図4に、位置確認基準部15を示す。位置確認基準部15は、位置確認用センサ16により読取可能(パルス数のカウントが可能)な等間隔の複数のスリットを有する第1センサ読取部15aと、位置確認用センサ16により読取可能なスリットを有しない、またはセンサ読取部のスリット15aとは異なるピッチのスリットを有する第2センサ読取部15bから構成される。
【0046】
図4(a)は第1センサ読取部15aと、位置確認用センサ16により読取可能なスリット(黒色部分)を有しない第2センサ読取部15bから構成され、図4(b)は第1センサ読取部15aと、センサ読取部15aのスリット(黒色部分)とは異なるピッチのスリット(黒色部分)を有する第2センサ読取部15bから構成された位置確認基準部15である。
【0047】
第2センサ読取部15bの幅は、第1センサ読取部15aの白色部分、黒色部分の幅よりも幅広に形成されている。例えば、第1センサ読取部15aのみ(第2センサ読取部15bがない)の場合、長尺のセンサの端をカットして加工するときに白色部分(黒色部分)のエッジで精度よくカットできればよいが、一部黒色部分(白色部分)が残ってしまうと、その部分のパルスを位置確認用センサ16が検出してしまうことになってしまう。そこで、第2センサ読取部15bを幅広に設けることで、加工時の精度に影響が生じさせることがなくなる。また、位置確認用センサ16が位置確認基準部15の第2センサ読取部15bから第1センサ読取部15aへの変更点に位置するときに読取開始基準位置を検出することができる。
【0048】
次に、図5および図6を用いて、位置確認用センサ16による位置確認基準部15の読取りについて説明する。ここでは、図4(b)に示す位置確認基準部15を用いて説明する。図5および図6は位置確認基準部15と位置確認用センサ16との位置関係を示す図であって、図5はパルス検出開始位置、図6はキャリッジ結合状態での位置関係を示す図である。
【0049】
図5は、連結動作のために主キャリッジ1が待機中の副キャリッジ2向けて移動(図5の左から右方向)し、副キャリッジ2と主キャリッジ1との結合途中の状態であって、位置確認用センサ16の受光部16bが第1センサ読取部15aにおける最初のパルスを検出するときを示している。ここで、第1センサ読取部15aにおける最初のパルスとしたのは、位置確認基準部15が位置確認用センサ16を通過していない場合であっても、検出をおこなっているからである。
【0050】
位置確認用センサ16は、位置確認基準部15の通路を挟んで一方に発光部16aを、他方に受光部16bを備えている(図7参照)。ここで、発光部16aと受光部16bとの間にセンサ読取部15aの光を透過する部分(図5における白色部分)がある場合および位置確認基準部15がない場合(位置確認用センサ16を位置確認基準部15が通過する前)、発光部16aから射出された光は位置確認基準部15を透過して、受光部16bは光を検知することができる。
【0051】
これに対し、発光部16aと受光部16bとの間に図4(b)の第2センサ読取部15bおよび第1センサ読取部15aの光を遮蔽する部分(黒色部分)がある場合は、発光部16aから射出された光は位置確認基準部15の第2センサ読取部に遮蔽され受光部16bに到達せず反射され、受光部16bは光を検知しないこととなる。
【0052】
このように、図4(a)の場合、位置確認基準部15が位置確認用センサ16を通過する前から第2センサ読取部15bを通過するまでは、受光部16bにて発光部16aの光を検知することになる。一方、図4(b)の場合、位置確認基準部15が位置確認用センサ16を通過する前までは、受光部16bにて発光部16aの光を検知し、第2センサ読取部15bが位置確認用センサ16を通過するときは、受光部16bにて発光部16aの光を検知しないことになる。
【0053】
その後、位置確認用センサ16は、第1センサ読取部15aの白黒を交互に通過するので、そのときの受光部16bの検知/非検知を繰り返し、図6に示す副キャリッジ2と主キャリッジ1とが結合した状態まで検知し続ける。ここで、図4(b)において、第2センサ読取部15bが位置確認用センサ16の通過前後で、パルスが発生するが、このパルス幅を検出する検出手段(図示しない)を設けることで、第1センサ読取部15aにおけるパルスとの区別を可能としている。
【0054】
そして、キャリッジが結合する度に第1センサ読取部15aにおけるパルス数をカウントし、これを基準パルス(正常な結合状態でのパルス数)と比較することで、図6における副キャリッジ2と主キャリッジ1との結合位置が矢印A方向にずれたとしても、パルス数の違いに基づいて主キャリッジ1に対する副キャリッジ2との位置が正常であるか否かがわかるようになる。
【0055】
一方、図4(a)に示すように第2センサ読取部15b全体が光を透過する構成(図5における白色部分)の場合は、第2センサ読取部15bが通過する間も、受光部16bは検知可能な状態(オン状態)であるが、第1センサ読取部15aにおける最初(図4(a)中の右端)の黒色部分を通過、すなわち受光部16bが最初にオフ状態となったときから、パルス数のカウントを開始するので、上記の場合と同様に、主キャリッジ1と副キャリッジ2との結合位置ずれの検出が可能となる。
【0056】
上述のように正常な結合状態でのカウントされるパルス数を基準パルスとして、カウントされるパルス数が多い場合は、結合方向に結合ズレが生じていることが分かり、カウントされるパルス数が少ない場合は、分離方向に結合ズレが生じていることを検出することができる。したがって、各画像形成装置間で位置確認基準部15の取り付け位置が主走査方向に多少のずれがあるような場合でも、各装置ごとの基準パルスとのズレを検出するものであるので、位置確認基準部15の取り付け位置精度が問題とならない。
【0057】
次に、位置確認基準部15のキャリッジへの設置について説明する。位置確認基準部15は、主キャリッジ1に設けられた取付部30上に設けられ、取付部材31を介して取り付けられている。取付部30は、ガイドロッド3の重力方向における上部に相当する位置に設けられている。図8に位置確認基準部15の取付部30への取り付けを説明する模式図を示す。
【0058】
図8(a)に示すように、取付部30上にL字状の板金からなる取付部材31が設けられている。なお、取付部材31の取付部30への取付形態、および取付部材31の形状等は、特に限られるものではない。図8に示す例では、取付部材31に設けられたネジ穴31aと位置確認基準部15のネジ穴15cをネジ35により止めることにより固定される(図8(b))。
【0059】
このように、位置確認基準部15は、取付部材31の一面と位置確認基準部15の面の一部を接合させることにより、取付部材31に固定される。位置確認基準部15は、例えば、リニアスケールであり、薄い部材であるので、上記のように、取付部材31および取付部30により主キャリッジ1のガイドロッド3上に固定し、主キャリッジ1の走査に伴って、副走査方向に撓みが生じないように固定するものである。
【0060】
なお、位置確認基準部15の取り付け方法は、図8に示す例に限られるものではなく、例えば、取付部材31に接着剤等により貼付されるものであっても良い。また、取付部30に位置確認基準部15を差し込んで固定するための挿入孔を設けておき、該挿入孔に位置確認基準部15を差し込んで嵌合するものであっても良い。この場合、取り付け部材31は不要である。また、取付部30と取付部材31とは、一体成形されるものであっても良い。さらに、位置確認基準部15の剛性があれば、図8の構成または取付部30を第2センサ読取部15bのみに固定する方法でもよい。または、位置確認基準部15の主走査方向全域に取付部30を固定する方法でもよい。全域に設けると一部に設ける場合に比べて、より位置確認基準部15が案内孔22に案内しやすくなる。
【0061】
さらに、図7に示すように、取付部材31の上端と、副キャリッジ2の底面33とは、キャリッジが結合した状態において、所定の間隔hを有するものである。これにより、取付部材31と副キャリッジ2とは互いに干渉することなく結合が可能となる。
【0062】
また、位置確認用センサ16は、位置確認基準部15を読み取り可能なセンサであれば特に限られるものではないが、例えば、エンコーダセンサ、反射型センサ、透過型センサなどを用いることができる。なお、位置確認用センサ16は、CPU等で構成される制御部に接続され、センサからの出力に基づいて制御部は、キャリッジ位置制御を行う。
【0063】
また、結合部17は、主走査方向のそれぞれのキャリッジの間であって、副走査方向における主キャリッジ1と副キャリッジ2に取り付け可能な範囲に配置されれば良い。
【0064】
次に、案内部について説明する。図9は位置確認基準部15と案内孔(開口部)22との関係を示す平面図であって、図10のX−X断面を示している。また、図10は図9の案内孔22周辺を拡大した斜視図である。
【0065】
案内部は、位置確認基準部15挿入方向上流側から下流側に向かって案内孔22、傾斜面22a,22b、挿入ガイド22cを有している。
【0066】
案内孔22は、幅W1を有し、副キャリッジ2の底面33と副キャリッジ2の側壁32の内壁部32aとで構成されている。また、傾斜面22a、22bは、底面33に形成されており、位置確認基準部15挿入方向上流側から下流側に向かって内側に傾斜している。このように構成することにより、傾斜面22a、22bは、位置確認基準部15がB方向にずれて挿入されたときに、中心(挿入ガイド22c)に向けて案内する機能を有するものである。このとき、位置確認基準部15における傾斜面22a、22bと接する部分は、位置確認用センサ16(または発光部16aおよび受光部16b)の取り付け高さよりも低い位置であるため、仮に傾斜面で擦れたとしても位置確認用センサ16による検知精度に影響を及ぼさない。
【0067】
また、挿入ガイド22cは、傾斜面22a、22bにおける位置確認基準部15挿入方向下流端から連続して底面33に形成されている。挿入ガイド22cは、発光部16aおよび受光部16bの面に沿って形成されているので、挿入された位置確認基準部15は常に発光部16aおよび受光部16bと対向するように案内される。ここで、挿入ガイド22cの幅W3を位置確認基準部15の厚さW4とすれば、発光部16aおよび受光部16bと位置確認基準部15との間隔が常に一定となり安定した検出が可能となる。しかし、位置確認用センサ16の検知精度に影響を及ぼさない程度にW3をW4より大きく形成してもよい。このようにすることで、副キャリッジ2と主キャリッジ1との結合時における負荷を低減することができるとともに、位置確認基準部15へのストレスを軽減できる。
【0068】
以上説明したように、案内部と位置確認基準部15とは、次式(2)の関係を有している。
W4≦W3<W2<W1 …(2)
但し、W1:案内孔22の幅
W2:発光部16aと受光部16bとの間の幅
W3:挿入ガイド22cの幅
W4:位置確認基準部15の厚さ
【0069】
案内部を以上のような構成とすることにより、単に位置確認基準部15が挿入可能な案内部を設けた場合に比べて、位置確認基準部15が副走査方向に撓んだ場合でも確実に案内部を通じて、位置確認用センサ16に案内されるようにしている。
【0070】
また、図10では、底面33と内壁部32aとを同じ幅W1により構成した例について説明したが、図11に示すように、内壁部32aの幅を底面33の幅W1より大きい幅W5とすることも好ましい。このように構成することにより、傾斜面22a、22bにおける位置確認基準部15挿入方向上流端で、底面33の上面より上側の位置確認基準部15がB方向にW1よりも大きく撓んだとしても、内壁部32aと干渉することを防止できるので、位置確認基準部15の挿入をよりスムーズなものとすることができる。
【0071】
また、主キャリッジ1に壁面19を設けることも好ましい。図12に遮蔽材からなる壁面19を設けた主キャリッジ1の側面図を示す。
【0072】
図12は、位置確認基準部15と記録ヘッドのノズル面21、被記録媒体10の印字部との位置関係を示している。ここで、位置確認基準部15は、記録ヘッドのノズル面21よりも装置上部(重力方向)に位置させることにより、インク飛散やミストによる汚れを防止することができるため好ましい。
【0073】
さらに、位置確認基準部15のセンサ読み取り高さ位置(図12中aで示す)と同等、またはそれ以上の高さの壁面19を、副走査方向における、記録ヘッドのノズル面21、被記録媒体10の印字部と位置確認基準部15との間に設けることにより、位置確認基準部15の汚れを防止することができる。ここで、位置確認基準部15のうち第2センサ読取部15bにおける汚れの付着は位置検出精度に影響を与えないため、壁面19は、少なくとも位置確認基準部15の第1センサ読取部15aに相当する幅方向の位置に設けられるものであれば良い。なお、壁面19の構成は、特に限られるものではないが、例えば、リブ形状、板金、マイラーなどの遮蔽材で構成することができる。この場合において、位置確認基準部15が副キャリッジ2の内部に入り込む構成では、副キャリッジ2に、壁面19も位置基準部15と同様に内部に案内可能な案内孔を設ければよい。
【0074】
このように位置確認基準部15を記録ヘッドのノズル面21よりも装置上側に設けることにより、印字によるミストの影響を受けにくくすることで、位置確認用センサ16の読取不良を防ぎ、位置確認基準部15の耐久性を向上させることができる。さらに、壁面19を設けることによりインクやミストの飛散から位置確認基準部15、位置確認用センサ16の汚れを防止し、耐久性を向上させることができる。
【0075】
図13に示す主走査ユニットの概略構成図の他の例により、主キャリッジ1の駆動源連結部18およびエンコーダセンサ20の位置関係を示す。また、図14は図13における位置確認基準部15と記録ヘッドのノズル面21、被記録媒体10の印字部との位置関係を示している。主キャリッジ1は、タイミングベルトやワイヤーなどの駆動伝達部材(ベルト部材14)が駆動源連結部18に連結され、駆動モータ11により移動制御される。また、ベルト部材14は、主キャリッジ1に設けられたベルト保持部23により保持されている。また、副キャリッジ2は、主キャリッジと同様に、駆動源連結部18を備えて移動制御される構成であっても、結合部17を介して主キャリッジ1から伝達される駆動により制御される構成であっても良い。
【0076】
また、画像形成装置には、主キャリッジ1の主走査方向に沿うように図示しない両側板に取り付けられたエンコーダシート24と、エンコーダシート24を挟むようにして設けられたエンコーダセンサ20により、主キャリッジ1または主キャリッジ1と副キャリッジ2とが結合した状態でのキャリッジの主走査方向走査位置を検出している。また、検出されたパルスと図示しない制御部のクロック周波数とを比較して主キャリッジ1または主キャリッジ1と副キャリッジ2とが結合した状態での速度を算出している。
【0077】
主キャリッジ1に設けたエンコーダセンサ20によってエンコーダシート24を読取ることで、主キャリッジ1の主走査位置の検知およびインク吐出タイミングを制御することができる。したがって、図4(b)において、第2センサ読取部15bが位置確認用センサ16の通過前後で発生する広幅のパルスの幅は、エンコーダシート24の検出により導かれる主キャリッジ1の移動距離と広幅のパルスのON/OFFの時間から算出される。なお、副キャリッジ2にもエンコーダセンサ20を備え、副キャリッジ2の主走査位置の検知およびインク吐出タイミングを制御するようにしても良い。
【0078】
このように、主キャリッジ1に走査用の駆動源連結部18と、位置確認およびインク吐出タイミング管理用のエンコーダセンサ20を配置することにより主キャリッジ1の動作を安定させることができ画質への影響を低減することができる。併せて、副キャリッジ2の安定性も向上する。なお、主キャリッジ1および/または副キャリッジ2の主走査方向における絶対位置の検出は、他の公知または新規手法によっても良く、特に限られるものではない。
【0079】
以上説明した構成の画像形成装置によれば、キャリッジ位置のズレは、先ず、正常な結合状態において位置確認用センサ16が読み取った0位置確認基準部15の読取結果(パルス数)を、RAM等で構成される記憶手段に基準パルスとして記憶させておき、さらに、キャリッジの分割、結合の繰り返し動作毎に、位置確認用センサ16により位置基準基準部15を読み取って、その結果(パルス数)を基準パルスと比較し、比較結果が異なる場合に、キャリッジ間にズレが生じていることを検出することができる。
【0080】
ここで、画像形成装置が基準位置からのズレ(ズレ量)を検出した場合は、当該ズレ量をヘッドからのインク吐出タイミングで補正することができる。例えば、結合時において、基準位置よりも2つのキャリッジが離れた位置にあることが検出された場合には、副キャリッジ2の記録ヘッドからのインク吐出タイミングを遅らせる等の補正を行うことが可能となる。このようにすることにより、印字不良の発生を回避することができるようになる。
【0081】
また、ズレを検出した場合は、画像形成装置が備える操作パネル(図示せず)等の出力手段にその旨を出力するようにしても良い。なお、出力手段は、操作パネルに限らず、警告音やエラーメッセージを発生させる音声発生手段等でも良い。また、操作パネルへの表示および警告音の発生等を併せて行うことも好ましい。このようにすることにより、異常を認識したユーザは、調整手段等によりキャリッジ位置の調整を行うことができる。また、目視によりキャリッジ間に異物が挟まっていることを確認すれば、これを取り除くことができる。
【0082】
また、主キャリッジ1および副キャリッジ2に搭載するインクヘッドの色および数は特に限られるものではないが、主キャリッジ1に黒インク、副キャリッジ2にカラーインク、すなわち、マゼンタ、シアン、イエローの各色を少なくとも1ヘッドずつ搭載することにより、単色を基準とするので位置基準が明確になり、各色のズレを測定し易いので印字精度を向上することができる。
【0083】
なお、本実施形態では、主キャリッジ1に対し、1つの副キャリッジ2が配置されている例について説明したが、副キャリッジ2は1つに限られるものではなく、複数配置するようにしても良い。例えば、副キャリッジ2が主キャリッジ1を挟むように2つ存在する場合は、それぞれが主キャリッジから基準を取る、すなわち、主キャリッジ1の両側面に位置確認基準部15を設けることとすれば良い。また、主キャリッジ1の一方に複数の副キャリッジ2を備える場合は、キャリッジ間に挟まれる副キャリッジ2に主キャリッジ1と同様に位置確認基準部15を設けるようにすれば良い。例えば、図2の例において、副キャリッジ2の右側にさらに副キャリッジ2を備える場合は、キャリッジ間に挟まれる副キャリッジ2の右側面に位置確認基準部15を設けるようにすれば良い。また、3以上の副キャリッジ2を備える場合も同様に構成すれば良い。
【0084】
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本発明は、画像形成装置に限らず、同一軸上で直線運動を行う物体に対して、動作する物体を精度良く位置決めする産業装置にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 主キャリッジ
2 副キャリッジ
3 ガイドロッド
4 ガイドレール
5 装置本体
6 支持台
7(c,m,y,k,k) 記録ヘッド
8 維持回復機構
9 メインカートリッジ
10 用紙(被記録媒体)
11 駆動モータ
12 駆動プーリ
13 従動プーリ
14 駆動伝達部材(ベルト部材)
15 位置確認基準部
15a 第1センサ読取部
15b 第2センサ読取部
16 位置確認用センサ
17a,17b 結合部
18 駆動源連結部(ベルト固定部)
19 壁面
20 エンコーダセンサ
21 記録ヘッドのノズル面
22 案内孔(開口部)
22a,22b 傾斜面
22c 挿入ガイド
23 ベルト保持部
24 エンコーダシート
30 取付部
31 取付部材
32 側壁
32a 内壁部
33 底面
34 結合側の面
35 ネジ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特開平2−1327号公報
【特許文献2】特開平9−109423号公報
【特許文献3】特開平9−240097号公報
【特許文献4】特開2008−229917号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に単独または結合して移動および走査可能な主キャリッジと、該主キャリッジと結合して移動および走査可能な副キャリッジとを備える画像形成装置において、
前記主キャリッジおよび前記副キャリッジのうち、いずれか一方は位置確認基準部を、他方は位置確認用センサを備え、
前記主キャリッジと前記副キャリッジとの結合状態において前記位置確認用センサにより前記位置確認基準部を読取ることにより、キャリッジ位置を検出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記位置確認基準部は、該位置確認基準部を備えた側のキャリッジの前記位置確認用センサを備えた側のキャリッジとの結合側の面に対して垂直方向に突出するように設けられ、前記主キャリッジと前記副キャリッジとの結合状態において前記位置確認用センサを備えた側のキャリッジに設けられた案内部からキャリッジ内部に案内されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記位置確認基準部および前記位置確認用センサは、前記主キャリッジを摺動可能に保持するガイド部材の上部に相当する位置に設けられることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記位置確認基準部は、前記主キャリッジを摺動可能に保持するガイド部材の長手方向に対して平行に設けられることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記位置確認基準部は、前記位置確認用センサにより読取可能な複数のスリットを有する第1センサ読取部と、前記位置確認用センサにより読取可能なスリットを有しない、または前記センサ読取部のスリットとは異なるピッチのスリットを有する第2センサ読取部からなることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記主キャリッジは、主走査方向における位置を検出するエンコーダセンサを備えており、
該エンコーダセンサの検出結果および前記位置確認用センサによる前記位置確認基準部の読取結果に基づいて、
前記位置確認用センサが前記第1センサ読取部または前記第2センサ読取部のいずれの読取位置にあるかを判断することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記位置確認基準部は、取付部材を介してキャリッジに取り付けられ、
前記取付部材の一面は、前記位置確認基準部の少なくとも一部と接合されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記主キャリッジと前記副キャリッジとの結合状態において、前記取付部材の上端と前記位置確認用センサを備えた側のキャリッジの底面との間には、所定の間隔が形成されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記案内部は、開口部および該開口部から前記位置確認基準部の挿入方向下流側に向けて開口幅が狭められるように傾斜した傾斜面を有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記案内部は、前記位置確認基準部を前記開口部から前記傾斜面により狭められた挿入ガイドに案内するものであり、次式(1)
W4≦W3<W2<W1 …(1)
但し、W1:開口部の幅
W2:位置確認用センサの発光部と受光部との間の幅
W3:挿入ガイドの幅
W4:位置確認基準部の厚さ
を満たすものであることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記位置確認基準部を備えた側のキャリッジは、前記位置確認基準部を記録ヘッドのノズル面より上部に備え、
副走査方向における前記ノズル面と前記位置確認基準部との間に壁面を備えることを特徴とする請求項1から10までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記主キャリッジは、黒インク吐出用の記録ヘッドを搭載し、前記副キャリッジはカラーインク吐出用の記録ヘッドを搭載することを特徴とする請求項1から11までのいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−879(P2011−879A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49033(P2010−49033)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】