説明

画像形成装置

【課題】内部にキャッシュメモリを含むCPU等に、ストレージからの画像データ等の書込、読出を行わせないようにして、フラッシュ処理等の必要性を無くし、データ処理の高速化を図る。
【解決手段】画像形成装置は、画像データを入力するデータ入力部と、画像データを記憶するストレージと、画像形成装置の制御を行い、内部にキャッシュメモリを含む演算部と、画像データを記憶し、キャッシュメモリよりも容量が大きいが書込及び読出速度が遅く、ストレージよりも容量は小さいが書込及び読出が速いメモリと、ハードウェアとして設けられ、メモリからストレージへの画像データの書込処理及び読出処理を制御するコピー処理部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理を行う上で、キャッシュメモリを利用する複合機、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機等の画像形成装置には、各種制御プログラム、制御用データ、画像データ等の各種データを記憶、利用するため、CPU等の演算素子の他、DRAM等の半導体メモリやハードディスクドライブ(以下、「HDD」と記す。)等の複数種の記憶装置が搭載される場合がある。一般に、大容量の記憶装置であるほど、データの書込、読出等に要する時間が長い傾向がある。例えば、CPUが必要なデータやプログラムを毎回HDDから読み出し、CPUへの転送を行えば、HDDの処理速度に、データの処理速度が制限され、高速な処理を行えない。そこで、例えば、データの参照の局所性に基づき、ハードディスクにキャッシュメモリ(ディスクキャッシュ)や、CPUにキャッシュメモリを搭載し、又、CPUのキャッシュメモリに対するキャッシュとしてDRAM(Dynamic Random Access Memory)を用いる等、効率的なデータ転送が図られる。
【0003】
例えば、キャッシュを利用した画像形成装置が特許文献1に記載されている。例えば、特許文献1には、CPUがアクセス可能な記憶手段、記憶手段の動作の設定手段、画像データを入力する入力手段、入力手段に入力された画像データに基づいて画像を形成する画像形成手段、入力手段に入力された画像データを解析する解析手段とを有し、設定手段は、記憶手段のインストラクションキャッシュとデータキャッシュの容量割合を変化させる画像形成装置が記載されている。この構成により、最適なキャッシュ設定にして高速な画像形成を行おうとする(特許文献1:請求項1、請求項2、段落[0061]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−277529
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、複数枚の原稿を載置でき、自動的、連続的に原稿を読み取り位置に搬送する原稿搬送装置が画像形成装置等に取り付けられる場合がある。しかし、搬送中の原稿にジャム(詰まり)が発生する場合があり、この時、原稿の読み取りは中断される。又、印刷時に搬送される用紙のジャムが発生すると、画像形成装置での印刷は中断される。このようなジャム発生時のリカバリ(原稿読取再開や印刷再開)を中断したところから再開できるようにするため、HDD等のストレージ(大容量記憶装置)に、原稿を読み取って得られた画像データや、外部のPC等から送信された印刷用データ(例えば、PDL形式で記述され、画像データを含むファイル)をストレージに記憶させる場合がある。
【0006】
HDDへの画像データ等の書込は、例えば、一旦、CPUとHDDの間に位置する例えばDRAMのような記憶装置に記憶させた後、HDDへの書込が行われる場合がある。そして、従来、HDDへの画像データ等の書込の制御は、CPU等の演算部(演算素子)によって行われていた。又、印刷等のためHDDに記憶された画像データ等の読み出す場合も、HDDからDRAM等への画像データ等の読み出し制御も、CPUによって行われていた。
【0007】
しかし、このようなデータのコピーの制御をCPUに行わせると、CPU内のキャッシュメモリ内に画像データの一部がキャッシュされたまま残り、DRAMには、有効なデータの一部が欠けている状態となる場合がある。そのため、CPU内のキャッシュメモリ内の画像データの一部をDRAM等に書き戻す処理(吐き出す処理)が必要となる場合がある(フラッシュ処理と呼ばれることもある)。
【0008】
又、CPU内のキャッシュメモリの内容を書き戻す場合、DRAMの記憶内容を上書きしてしまう場合もある。更に、上書きされるデータが画像データの一部等、必要なプログラム、データ等である場合、DRAMの内容をHDDやHDDのディスクキャッシュに退避させる場合や、再度のHDDから読み出しが必要となる場合もある。
【0009】
従って、CPU等の演算部に、HDD等のストレージからの画像データ等の書込、読出を行わせると、画像データは、CPU等のキャッシュメモリに流れ込み、その結果、データのフラッシュ処理や退避処理、再度の読み出し等、を行うための時間が必要となる。これにより、データ処理速度が低下するという問題があった。
【0010】
ここで、特許文献1記載の画像形成装置をみると、この画像形成装置は、HDD等の大容量の記憶装置を搭載しない。又、もし、特許文献1記載の画像形成装置が大容量の記憶装置を備えても、特許文献1記載の画像形成装置のCPUのキャッシュメモリは、ワークメモリとして利用されるので、フラッシュ処理が必要となる場合がある。そのため、特許文献1記載の画像形成装置は、CPU等の演算部に、ストレージからの画像データ等の書込、読出を制御させると、フラッシュ処理等のため、データ処理速度が低下するという問題を内包する。
【0011】
本発明は、上記問題点を鑑み、CPU等の演算部に、ストレージからの画像データ等の書込、読出を行わせないようにして、フラッシュ処理等の必要性を無くし、データ処理の高速化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために請求項1に係る画像形成装置は、画像データを入力するためのデータ入力部と、画像データを記憶するストレージと、画像形成装置の制御を行い、内部にキャッシュメモリを含む演算部と、画像データを記憶し、前記キャッシュメモリよりも容量が大きく書込及び読出速度が遅いとともに、前記ストレージよりも容量は小さく書込及び読出が速いメモリと、ハードウェアとして設けられ、前記メモリと前記ストレージ間の画像データの書込処理及び読出処理を制御するコピー処理部と、を含むこととした。
【0013】
この構成によれば、画像データのストレージへの書込処理及び読出処理を制御するコピー処理部を有するので、演算部(例えば、CPU)は画像データのストレージへの書込処理及び読出処理を行わない。これにより、画像データがCPU等のキャッシュメモリに流れ込むことがない。従って、ストレージへの画像データの書込、読出を行っても、CPUのキャッシュメモリ内のデータを、メモリ(例えば、DRAM)に書き戻す処理(フラッシュ処理)や、メモリ内のデータのHDD等のストレージへの退避処理は行われない。その結果、今までフラッシュ処理等に要していた時間を無くすことができ、データ処理の高速化を図ることができる。又、一般に、画像データのデータ量は大きいところ、演算部に画像データの書込処理及び読出処理を行わせないので、演算部の使用率を下げることができ、各種のデータ処理が円滑に行われ、画像形成装置の動作が安定する。
【0014】
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記データ入力部から出力された画像データに対し圧縮処理を行う圧縮処理部を有し、前記メモリは、圧縮処理後の画像データを記憶し、前記演算部は、前記コピー処理部に前記メモリ内の画像データの前記ストレージへの書込処理の指示のみを行い、前記コピー処理部は、前記演算部の指示を受け、圧縮処理後の画像データの前記ストレージへの書込処理を制御することとした。
【0015】
この構成によれば、演算部は、圧縮後の画像データのストレージへの書込処理を行わずコピー処理部への指示のみを行う。そして、コピー処理部がストレージへの書込処理を実際に行う。これにより、演算部によるフラッシュ処理や、メモリ内のデータの退避処理は行われない。従って、データ処理の高速化を図ることができる。
【0016】
又、請求項3に係る発明は、請求項2の発明において、前記演算部は、前記コピー処理部に前記ストレージからの圧縮された画像データの読出処理の指示のみを行い、前記コピー処理部は、前記演算部の指示を受け、圧縮処理された画像データの前記ストレージからの読出処理を制御することとした。
【0017】
この構成によれば、演算部は、圧縮された画像データのストレージからの読出処理を行わず、コピー処理部への指示のみを行う。そして、コピー処理部がストレージからの読出処理を実際に行う。これにより、フラッシュ処理や、メモリ内のデータの退避処理は行われない。従って、データ処理の高速化を図ることができる。
【0018】
又、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の発明において、前記ストレージは、キャッシュメモリを有することとした。
【0019】
この構成によれば、ストレージにキャッシュメモリを設けるので、より効率的にデータの転送を行うことができる。
【0020】
又、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4の発明において、前記データ入力部は、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部及び/又は、外部から画像形成装置への画像データの入力を受け付ける通信部であることとした。
【0021】
この構成によれば、原稿を読み取って得られた画像データや、外部のコンピュータから送信された印刷用データに含まれる画像データのストレージへの書き込み、又は、ストレージからの読み出し処理を行う場合でも、演算部に処理を行わせないので、フラッシュ処理等に要する時間を無くすことができ、データ処理の高速化を図ることができる。
【0022】
又、請求項6に係る発明は、請求項5記載の発明において、画像データに基づき画像を形成する画像形成部を有し、前記通信部には、画像データをFAX送信するためのFAX通信部が含まれ、前記画像形成部による画像形成処理と、前記FAX通信部によるFAX通信処理が並行して行われることとした。
【0023】
この構成によれば、演算部による処理速度の高速化が図られ、演算部でのデータ処理が安定しているので、FAX通信の中断等の問題なしに、印刷処理とFAX通信処理を同時に並列的に行うことができる。
【0024】
又、請求項7に係る発明は、請求項6記載の発明において、前記通信部には、外部のコンピュータとの通信を行うためのデータ通信部が含まれ、前記画像形成部による画像形成処理と、前記FAX通信部によるFAX通信処理と、外部のコンピュータに向けての画像データの送信処理の全て、若しくは、何れか2つが並行して行われることとした。
【0025】
この構成によれば、演算部による処理速度の高速化が図られ、演算部でのデータ処理が安定しているので、FAX通信の中断等の問題なしに、印刷処理、FAX通信処理、外部へのデータ送信処理を同時に並列的に行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、CPU等の演算部は、ストレージからの画像データ等の書込、読出を行わない。これにより、フラッシュ処理等の必要性が無くなり、データ処理の高速化を図ることができる。又、CPU等の演算部の負担が軽減され、使用率を下げることができるので、演算部のデータ処理に遅延が生じず、複合機の動作が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態に係る複合機の概略構成を示す模型的断面図である。
【図2】実施形態に係る1つの画像形成ユニットの拡大断面図である。
【図3】実施形態に係る複合機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係る複合機に入力された画像データの流れの一例を示すブロック図である。
【図5】実施形態に係る複合機に入力された画像データの一時的な保存での画像データの流れの一例を示すデータフロー図である。
【図6】実施形態に係る複合機での画像データの読み出しの一例を示すデータフロー図である。
【図7】実施形態に係る複合機での複写時の制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図1〜図7に基づき、電子写真方式でタンデム型のカラーの複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げ説明する。但し、本実施形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定せず単なる説明例にすぎない。
【0029】
(画像形成装置の概略構成)
まず、図1及び2を用いて、本発明の実施形態に係る複合機100の概略を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る複合機100の概略構成を示す模型的断面図である。図2は本発明の実施形態に係る1つの画像形成ユニット41の拡大断面図である。
【0030】
図1に示すように、本実施形態にかかる複合機100は、上部から原稿搬送装置1、画像読取部2(データ入力部に相当)が設けられ、正面上部に操作パネル101(図1において破線で図示、表示部に相当)が設けられる。又、操作パネル101は、液晶表示部101aや、各種キーを備え、複合機100の状態(例えば、エラー発生やモード)の表示や、ユーザからの各種の入力を受け付ける。又、本体内に、給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4、中間転写部5、定着部3c等が設けられる。
【0031】
原稿搬送装置1は、原稿の複写時、複数のローラの回転駆動により、原稿トレイ11に積載された原稿を1枚ずつ、自動的、連続的に、画像読取部2の読み取り位置(送り読取用コンタクトガラス21)に向けて搬送する。画像読取部2は原稿を読み取り、原稿の画像データを生成する。画像読取部2の上面には、送り読取用コンタクトガラス21と載置読取用コンタクトガラス22が設けられ、画像読取部2内には露光用のランプ24(図4参照)、ミラー(不図示)、レンズ(不図示)、イメージセンサ25(例えば、CCD、図4参照)等の光学系部材(図1では不図示、図4参照)が設けられる。
【0032】
そして、画像読取部2は、これらの光学系部材を用い、原稿搬送装置1が搬送する原稿や、コンタクトガラスに載置される原稿に光を照射し、その原稿の反射光を受けたイメージセンサ25の各画素の出力値をA/D変換して画像データを生成する。複合機100は、読み取りにより得られた画像データに基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。尚、原稿搬送装置1は図1の紙面奥側に支点が設けられ持ち上げ可能であり、載置読取用コンタクトガラス22に原稿を載置後、原稿搬送装置1で原稿を押さえることができる。
【0033】
又、給紙部3aは、中間転写部5等に向け、例えば、コピー用紙、ラベル用紙等の各種各サイズの用紙(シート)を収容する。又、給紙部3aは、モータ等の駆動機構(不図示)により回転する給紙ローラ31で搬送路3bに1枚の用紙を送り出す。そして、搬送路3bは複合機100内で用紙を搬送し、給紙部3aから供給された用紙を、中間転写部5、定着部3cを経て排出トレイ32まで導く。搬送路3bには搬送ローラ対33やガイド34及び搬送される用紙を中間転写部5の手前で待機させ、タイミングをあわせて送り出すレジストローラ対35等が設けられる。
【0034】
更に、図1に示すように、複合機100は、形成すべき画像の画像データに基づき、トナー像を形成する部分として画像形成部4を備える。具体的に、画像形成部4は、図1の左側から、ブラックの画像を形成する画像形成ユニット41Bkと、イエローの画像を形成する画像形成ユニット41Yと、シアンの画像を形成する画像形成ユニット41Cと、マゼンタの画像を形成する画像形成ユニット41Mと、その他、1つの露光装置42等を備える。
【0035】
ここで、図2に基づき、各画像形成ユニット41Bk〜41Mを詳述する。尚、各画像形成ユニット41Bk〜41Mは、形成するトナー像の色が異なるだけで、いずれも基本的に同様の構成であり、同様に説明できる。そこで、図2では1つの画像形成ユニット41のみ示し、以下の説明では、特に説明する場合を除き、各画像形成ユニット41の色の識別用の符号であるBk、Y、C、Mの符号は省略する。
【0036】
まず、各感光体ドラム43(交換ユニットに相当)は、周面にトナー像を担持し、例えば、アルミニウム製のドラムの外周面上にアモルファスシリコン等の感光層を有し、駆動装置(不図示)によって所定のプロセススピードで紙面反時計方向に回転駆動される。
【0037】
各帯電装置44は、感光体ドラム43を一定の電位で帯電させる。尚、帯電装置44は、コロナ放電式やブラシ等を用いたものでも良い。各画像形成ユニット41の下方の露光装置42は、入力されるカラー色分解された画像信号をレーザ出力部(不図示)にて光信号にそれぞれ変換し、変換された光信号であるレーザ光(破線で図示)を4色分出力可能であり、帯電後の感光体ドラム43の走査露光を行って、静電潜像を形成する。
【0038】
各現像装置45は、トナーを含む現像剤(不図示)を収納する(画像形成ユニット41Bkの現像装置45はブラック、画像形成ユニット41Yの現像装置45はイエロー、画像形成ユニット41Cの現像装置45はシアン、画像形成ユニット41Mの現像装置45はマゼンタの現像剤を収納する)。各現像装置45は、感光体ドラム43に対向し、画像形成時に感光体ドラム43にトナーを供給する。
【0039】
トナー像形成プロセスを説明すると、帯電された感光体ドラム43に対し、画像データに応じ露光装置42のレーザ光によって、露光が行われ静電潜像が形成される。現像装置45から帯電したトナーが飛翔し、露光によって設けられた電位の大小に応じ感光体ドラム43表面に付着し、静電潜像がトナー像として現像される。各清掃装置46は、感光体ドラム43の清掃を行う。
【0040】
図1に戻り、中間転写部5は、感光体ドラム43からトナー像の1次転写を受け、用紙に2次転写を行う。中間転写部5は、感光体ドラム43の1本に付き、1本設けられる各1次転写ローラ51(51Bk〜51Mの計4本)、中間転写ベルト52、駆動ローラ53、従動ローラ54〜56、2次転写ローラ57、ベルト清掃装置58等で構成される。各1次転写ローラ51は、各感光体ドラム43と無端状の中間転写ベルト52を挟み込むように中間転写ベルト52に当接する。そして、交流及び直流が重畳された転写用の電圧が各1次転写ローラ51に印加され、タイミングを取られ、トナー像は順次、ずれなく重畳されつつ、中間転写ベルト52に転写される。
【0041】
中間転写ベルト52は、1次転写ローラ51、駆動ローラ53、従動ローラ54〜56に張架され、モータ等の駆動機構(不図示)に接続される駆動ローラ53の回転駆動により図1の紙面時計方向に周回する。又、駆動ローラ53は、2次転写ローラ57と中間転写ベルト52を挟み込む。各色重ね合わされたトナー像は所定の電圧を印加された2次転写ローラ57で、用紙に転写される。尚、2次転写後の中間転写ベルト52上の残トナー等は、ベルト清掃装置58で除去されて回収される。
【0042】
定着部3cは、用紙搬送方向の下流側に配され、用紙に2次転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させる。そして、定着部3cは主として発熱源を内蔵する定着ローラ36とこれに圧接される加圧ローラ37とで構成され、ニップが形成される。そして、トナー像の転写された用紙は、ニップを通過すると加熱・加圧され、その結果、トナー像が用紙に定着する。尚、定着後の用紙は、排出トレイ32に排出され画像形成処理が完了する。
【0043】
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図3に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成を説明する。図3は、本発明の実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0044】
図3に示すように、本実施形態に係る複合機100は、内部の制御基板上に制御部6を有する。制御部6は、装置全体の動作を統括し、複合機100の各部の制御を司る。そして、制御部6には、例えば、CPU60(演算部に相当)が含まれる。
【0045】
CPU60は、演算回路、レジスタ、カウンタ等、演算、制御処理のための部分を含むものであり、図3に示すように、キャッシュメモリ61とキャッシュ制御部62も含む。即ち、複合機100は、複合機100の制御を行い、内部にキャッシュメモリ61を含む演算部(CPU60)を有する。CPU60は、キャッシュメモリ61内のデータやプログラムを利用して制御を行い、CPU60の演算結果は、キャッシュメモリ61に記憶される。又、キャッシュメモリ61は、後述のDRAM7やROM63内のデータ、プログラム等を読み込むことができる。又、キャッシュメモリ61がデータ等で一杯になった場合、キャッシュ制御部62は、例えば、LRU方式等により、キャッシュメモリ61内のプログラムやデータを破棄するか、或いは、破棄せず、保存又は利用するデータであれば、DRAM7(メモリに相当)やHDD8(ストレージに相当)等への書き込みや退避をさせる。
【0046】
そして、制御部6とバス等により通信可能に、ROM63、DRAM7が接続される。ROM63は、電源がオフしても記憶内容が保持される不揮発性メモリである。ROM63は、CPU60が制御のため実行するプログラムや、起動時プログラムや、装置固有の各種パラメータなどの各種制御用の固定データを記憶する。
【0047】
DRAM7(メモリに相当)は、CPU60が制御の際に実行するプログラムや、各種データを一時的に記憶する。そして、メモリ(DRAM7)は、例えば、画像データを記憶し、キャッシュメモリ61よりも容量が大きいが書込及び読出速度が遅く、ストレージ(HDD8)よりも容量は小さいが書込及び読出が速い。尚、図3では、DRAM7は1つのみ図示するが、データ処理の内容に応じて、複数個或いは、複数種搭載されてもよい(例えば、命令処理用のDRAM7よりも処理速度が速いDRAM7を画像処理用として用意する等)。又、DRAM7は、複合機100に入力された画像データをHDD8に記憶させる際、画像データを一時的に記憶する。例えば、DRAM7に記憶される画像データは、ラスタデータ(例えば、ビットマップデータ)である。又、DRAM7は、HDD8に記憶される画像データ等の各種データやプログラム等の読み出し先となる。
【0048】
又、制御部6には、用紙搬送や印刷を実際に制御するエンジン制御部63が通信可能に接続される。制御部6は、エンジン制御部63に指示を与える。この指示を受けて、エンジン制御部63は、用紙搬送や画像形成で用いる各種回転体(搬送ローラ対33や感光体ドラム43等)を回転させる等、給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4、中間転写部5、定着部3cを制御する。
【0049】
又、複合機100には、外部との通信インターフェイスとしての通信部9(データ入力部に相当)を含む。通信部9は、例えば、外部のコンピュータ200と、ネットワークやケーブルで接続して通信を行うためのデータ通信部91を含む。データ通信部91は、例えば、ネットワーク接続用や直接的に複合機100とコンピュータ200を接続するためのコネクタや、通信制御用のコントローラ、チップを含む。このデータ通信部91により、複合機100は、コンピュータ200等から画像データや印刷の設定データを含む印刷用データを受け、印刷を行うことができる(プリンタ機能)。
【0050】
又、通信部9には、FAX通信部92を含むことができる。FAX通信部92は、ファクシミリとしての機能を果たすための部分であり、モデムや、画像データのファクシミリに対応した形式への変換や、受信データの伸張のための回路、チップ等を含む。
【0051】
又、制御部6は、バス等により操作パネル101とも通信可能に接続される。そして、操作パネル101になされた設定内容を示すデータは、制御部6に送られ、制御部6は、複合機100を使用者の設定どおりに動作するように制御する。又、複合機100には、画像データに対して圧縮処理を行う圧縮処理部71や、圧縮した画像データの伸長処理を行う伸長処理部72を含む。尚、圧縮処理部71や伸長処理部72の詳細は後述する。
【0052】
又、複合機100には、大容量記憶装置(ストレージ)として、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive;HDD8)が搭載される。HDD8は、画像データの記憶やプログラム、各種管理データの記憶に利用される。即ち、複合機100には、画像データを記憶するストレージとしてHDD8が設けられる。例えば、HDD8が記憶するデータ、プログラム等は、DRAM7に読み出され、DRAM7からCPU60のキャッシュメモリ61に転送され、CPU60に利用される。尚、HDD8の変わりに、フラッシュROM等で構成される半導体記憶装置によるストレージを用いてもよい。このように、HDD8へのデータの書き込み(記憶)や、HDD8内のデータを読み出しでは、データは、一旦、DRAM7を経由できる。
【0053】
又、複合機100に設けられる画像処理部74は、例えば、画像処理専用の回路としてのASICや画像処理用メモリ等を含む。そして、画像処理部74は、例えば、濃度変更や拡大縮小等の各種画像処理を画像データに施す。尚、画像処理部74が行える画像処理は多岐にわたるので、公知の複合機100に関する画像処理をおこなえるものとして、実行可能な画像処理の詳細の説明は省略する。
【0054】
(データ入力部)
次に、図4に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100に入力するためのデータ入力部の一例を説明する。図4は、本発明の実施形態に係る複合機100に入力された画像データの流れの一例を示すブロック図である。尚、画像データの流れは、白抜矢印で図示している。
【0055】
本実施形態の複合機100では、例えば、画像読取部2と通信部9が、複合機100に画像データを入力するためのデータ入力部として機能する。即ち、画像データを入力するためのデータ入力部(画像読取部2、通信部9)が複合機100に設けられる。言い換えると、データ入力部(画像読取部2、通信部9)は、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部2及び/又は、外部から画像形成装置への画像データの入力を受け付ける通信部9である。
【0056】
尚、画像読取部2での原稿読み取りに利用する原稿搬送装置1について、あわせて説明しておく。複合機100の上方に配される原稿搬送装置1には、コントローラ等の回路、素子を含む原稿搬送制御部10が設けられる。原稿搬送制御部10は、複合機100本体の制御部6と通信可能に接続される。そして、操作パネル101のスタートキー101bが押下された場合など、原稿トレイ11に載置された原稿の読み取りを行う場合、複合機100本体の制御部6からの指示を受ける。そして、原稿搬送制御部10は、例えば、原稿を搬送する各種回転体を回転させる原稿搬送モータ1M等を制御する。これにより、原稿搬送装置1の動作が制御される。
【0057】
又、画像読取部2には、例えば、読取制御部20が設けられる。読取制御部20は、例えば、CPU、チップ等の各種電子部品が実装された基板で構成される。そして、読取制御部20は、複合機100本体の制御部6と通信可能に接続され、操作パネル101のスタートキー101bが押下された場合など、原稿の読み取りを行う場合、制御部6からの指示を受ける。又、読取制御部20は、巻取モータ23やランプ24やイメージセンサ25等と接続され、例えば、ランプや各種ミラーを移動させるための巻取モータ23の動作や、原稿に光を照射するランプ24の点消灯や、イメージセンサ25等の駆動等を制御する。このように、実際の画像読取部2の実際の動作制御は、読取制御部20が行う。
【0058】
まず、画像読取部2での原稿の読み取りと画像データ生成では、イメージセンサ25は、画素ごとに、ランプ24から照射され原稿等で反射された反射光の強さに応じた電流(電圧)を出力する。尚、本実施形態のイメージセンサ25は、カラー対応のラインセンサであり、R、G、Bの各信号を出力する。例えば、カラーの場合、RGBで1画素当たり、計24ビットに量子化を行う(例えば、Red=8ビット、Green=8ビット、Blue=8ビット、それぞれ0〜255の値を取り、256階調)。そして、イメージセンサ25の各出力電流(電圧)は、A/D変換部26に入力される。尚、A/D変換部26の前段に増幅器が設けられてもよい。A/D変換部26は、イメージセンサ25の各画素のアナログの各出力電流(電圧)をディジタルデータ化し、補正部27に出力する。
【0059】
補正部27は、濃度調整回路や、白基準データや黒基準データ等のデータに基づくシェーディング補正等、画像読取部2の読取特性に対する補正用の演算回路等で構成される。一般に、イメージセンサ25において、ライン状に配された各画素に相当する各受光素子のばらつき(個体特性差)や、レンズ23の中心部と周辺部の集光度の違いや、ランプ24の位置による発光量のムラ等によって、主走査方向において同一濃度の各基準板や、原稿を読み取っても、画素の位置により、イメージセンサ25の各受光素子が出力する電流(電圧)の値に差が生ずる。そこで、補正部27は、原稿を読み取って得られた画像データの補正を行う。例えば、補正後の画像データは、画像読取部2からDRAM7に転送される。尚、転送後の処理の詳細は後述する。
【0060】
又、本実施形態の複合機100には、通信部9が設けられ、外部のコンピュータ200から画像データや、印刷設定データを含む印刷用データや、相手方FAX装置300から画像データを受け取ることができる。例えば、コンピュータ200から送信される印刷データは、PDL(ページ記述言語)の形式で表されているので、例えば、通信部9には、受信した印刷データから画像データを抽出し、ラスタデータ化する(例えば、ビットマップ化する)、ラスタデータ処理部93を設けてもよい。又、相手方FAX装置300から受信したデータを、ラスタデータ処理部93がラスタデータ形式の画像データに変換してもよい。尚、ラスタデータ化を後の段階で行うのであれば(例えば、画像処理部74が実施)、ラスタデータ処理部93は画像処理部74等に設ければよい。この場合、PDLで記述されたデータをそのまま、DRAM7に転送してもよい。そして、通信部9で受信され、処理された画像データは、通信部9からDRAM7に転送される。転送後の処理の詳細は後述する。
【0061】
(画像データの一時的保存)
次に、図5に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100に入力された画像データの一時的な保存を行う場合の一例を説明する。図5は、本発明の実施形態に係る複合機100に入力された画像データの一時的な保存での画像データの流れの一例を示すデータフロー図である。
【0062】
原稿搬送装置1の原稿の搬送経路や、複合機100内の用紙の搬送路3bには、光センサ等のセンサS(図3参照)が複数設けられる。センサSは、用紙や原稿の到達や通過を監視するためのもので、例えば、エンジン制御部63に接続される(制御部6でもよい)。例えば、用紙や原稿が到達すべき時間なのに到達しない場合、用紙や原稿の通過を検知すべき時間なのに用紙の存在を検知し続けている場合、エンジン制御部63は、原稿搬送装置1でジャム(詰まり)や印刷中にジャムが発生したと認識する。そして、原稿のジャムが生ずれば、原稿搬送装置1での原稿搬送は停止される。又、搬送中の用紙でジャムが生ずれば、印刷は停止される。
【0063】
ジャム発生後、詰まりを取り除くジャム処理が使用者によりなされると、原稿の読み取りの再開や、印刷の再開が行われる。例えば、原稿の複写を行っている場合等、最初の原稿からの印刷等のやり直しが必要となれば、利便性が悪いので、本実施形態の複合機100では、複合機100に入力された画像データは、一時的に(例えば、印刷ジョブ完了まで)HDD8に保存される。
【0064】
そこで、図5を用いて、HDD8への画像データの一時的な保存を説明する。複合機100の画像読取部2での原稿読取や、通信部9での画像データを含む印刷用データの受信等、複合機100への画像データ入力が行われる。その後、DRAM7から画像データの一部が例えば、バンド単位(例えば、10個など複数個に分割された1ページ分の画像データの1つのブロック)でDRAM7に蓄積される。更に、DRAM7から圧縮処理部71に画像データが入力される。圧縮処理部71は、データ入力部(画像読取部2、通信部9)から出力された画像データに対し圧縮処理を行う。そして、圧縮処理後の画像データは、例えば、DRAM7に出力される。
【0065】
圧縮処理部71は、ハードウェア(例えば、複数の回路の組み合わせ)として構成され、CPU60を介さずにDRAM7との画像データのやり取りを行う(DMA、ダイレクトメモリアクセス)。コピー処理部73は、DRAM7に記憶された圧縮後の画像データをHDD8のディスクキャッシュ81(ストレージ(HDD8)のキャッシュメモリに相当(図3参照))に送り込み、HDD8に記憶させる(コピー処理)。コピー処理部73も、ハードウェア(例えば、複数の回路の組み合わせ)として構成され、CPU60を介さずにDRAM7でのHDD8への転送を行う(DMA)。そして、圧縮後の画像データは、例えば、ディスクキャッシュ81からHDD8内の磁気ディスクに書き込まれる。
【0066】
このように、本実施形態の複合機100では、画像データをHDD8に一時的に記憶させる場合(コピー処理を行う場合)、CPU60ではなくコピー処理部73が画像データの転送を扱う。制御部6のCPU60は、HDD8への画像データの書き込みの開始をコピー処理部73に指示するのみでよい。即ち、メモリ(DRAM7)は、圧縮処理後の画像データを記憶し、演算部(CPU60)は、コピー処理部73にメモリ(DRAM7)内の画像データのストレージ(HDD8)への書込処理の指示のみを行い、コピー処理部73は、演算部(CPU60)の指示を受け、圧縮処理後の画像データのストレージ(HDD8)への書込処理を制御する。
【0067】
これにより、CPU60内のキャッシュメモリ61に画像データの一部が残るため、DRAM7にキャッシュメモリ61の内容をはき出す(書き込む)作業を行わなくて済む。又、DRAM7にキャッシュメモリ61の内容を書き込む際、画像データへの上書きや、上書きされるDRAM7内のデータのディスクキャッシュ81やHDD8への退避作業等も必要なくなる。このように、CPU60がデータコピー処理を行っていた場合に、従来行われていたデータ処理を行わなくて済むので、その分、データ処理の高速化を図ることができる。
【0068】
(画像データの読み出し)
次に、図6に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100での画像データの読み出しの一例を説明する。図6は、本発明の実施形態に係る複合機100での画像データの読み出しの一例を示すデータフロー図である。
【0069】
一旦、HDD8に記憶された画像データは、印刷等のため読み出される。そこで、図6を用いて、HDD8からの画像データの読み出しを説明する。HDD8に記憶された画像データの読み出しは、コピー処理部73によって行われる。コピー処理部73は、圧縮された画像データを、例えば、DRAM7に読み出す。このように、HDD8(ディスクキャッシュ81)から画像データを読み出す際にも、コピー処理部73がデータコピー(データ転送)の制御を行う。
【0070】
その後、DRAM7から画像データの一部が例えば、バンド単位でDRAM7から伸長処理部72へ入力される。伸長処理部72も、ハードウェア(例えば、複数の回路の組み合わせ)として構成され、CPU60を介さずにDRAM7との画像データのやり取りを行う(DMA)。伸長処理部72は、伸長処理後の画像データを、例えば、DRAM7に送り込む。その後、DRAM7から画像処理部74に伸長された画像データが渡される。その後、画像処理部74によって画像データに画像処理が施される。そして、例えば、複合機100がコピー、又は、プリンタとして機能する場合、画像処理後の画像データは、露光装置42に渡され、印刷が行われる。尚、複合機100がスキャナ又は、FAXとして機能する場合、画像処理後の画像データは、通信部9に送られる。
【0071】
このように、本実施形態の複合機100では、画像データをHDD8から読み出す場合もCPU60ではなくコピー処理部73が画像データのコピー(転送)を扱う。即ち、コピー処理部73は、ハードウェアとして設けられ、メモリ(DRAM7)とストレージ(HDD8)間の画像データの書込処理及び読出処理を制御する。制御部6のCPU60は、HDD8からの画像データの読み出しをコピー処理部73に指示するのみでよい。即ち、演算部(CPU60)は、コピー処理部73にストレージ(HDD8)からの圧縮された画像データの読出処理の指示のみを行い、コピー処理部73は、演算部(CPU60)の指示を受け、圧縮処理された画像データのストレージ(HDD8)からの読出処理を制御する。
【0072】
これにより、CPU60内のキャッシュメモリ61に画像データの一部が残るため、DRAM7にキャッシュメモリ61の内容をはき出す(書き込む)作業を行わなくて済む。又、DRAM7にキャッシュメモリ61の内容を書き込む際、画像データへの上書きや、上書きされるDRAM7内のデータのディスクキャッシュ81やHDD8への退避作業等も必要なくなる。このように、CPU60がデータコピー処理を行っていた場合に、従来行われていたデータ処理を行わなくて済むので、その分、データ処理の高速化を図ることができる。
【0073】
このように、データ処理の高速化が図られる。本実施形態の複合機100は、画像データに基づき画像を形成する画像形成部4を有し、通信部9には、画像データをFAX送信するためのFAX通信部92が含まれるところ、データ処理が高速で、CPU60かの処理が安定しているので、画像形成部4による画像形成処理と、FAX通信部92によるFAX通信処理を、遅延等の問題なく並行して行える。更に、本実施形態の複合機100の通信部9には、外部のコンピュータ200との通信を行うためのデータ通信部91が含まれるところ、データ処理が高速で、CPU60の処理が安定しているので、画像形成部4による画像形成処理と、FAX通信部92によるFAX通信処理と、外部のコンピュータ200に向けての画像データの送信処理の全て、若しくは、何れか2つを遅延等の問題なく並行して行える。この時、制御部(CPU60)がエンジン制御部63や通信部9(データ通信部91、FAX通信部92)等を並行して同時制御する。
【0074】
(画像データの処理の流れ)
次に、図7に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100での複写時の制御の一例を説明する。図7は、本発明の実施形態に係る複合機100での複写時の制御の一例を示すフローチャートである。又、本説明では、1枚の原稿を読み取って複写する場合を例に挙げ説明する。尚、複数枚の原稿を読み取って、複数枚の複写を行う場合は、図7に示す制御が並行される。
【0075】
まず、図7におけるスタートは、スタートキー101bが押された等、複写の開始時である。そして、画像読取部2は原稿を読み取って(スキャンして)、原稿の画像データを生成する(ステップ♯1)。尚、通信部9がデータを受信した場合は、ステップ♯1は、「画像データの受信」となる。
【0076】
画像データは、画像読取部2からDRAM7に転送される(ステップ♯2)。次に、DRAM7から、圧縮処理部71に画像データが順次転送され、圧縮処理部71によって画像データの圧縮処理が行われる(ステップ♯3)。そして、圧縮処理部71から、例えば、DRAM7に圧縮後の画像データが転送される(ステップ♯4)。
【0077】
その後、CPU60の指示に基づき、コピー処理部73は、DRAM7からHDD8のディスクキャッシュ81に圧縮後の画像データをコピーする(ステップ♯5)。コピー処理部73はコピー完了後、割込信号をCPU60に向けて発し、HDD8へのコピー処理が完了した旨を知らせる(ステップ♯6)。
【0078】
次に、CPU60の指示に基づき、コピー処理部73は、HDD8(のディスクキャッシュ81)からに圧縮後の画像データを読み出し、DRAM7にコピーする(ステップ♯7)。コピー処理部73はコピー完了後、割込信号をCPU60に向けて発し、DRAM7へのコピー処理が完了した旨を知らせる(ステップ♯8)。DRAM7にコピーされた圧縮後の画像データは、伸長処理部72に順次転送され、伸長処理部72よって画像データの伸長処理が行われる(ステップ♯9)。
【0079】
伸長処理後の画像データは、DRAM7を経由して画像処理部74、若しくは、伸長処理部72から画像処理部74に直接転送される(ステップ♯10)。尚、この画像処理部74への画像データ転送はDMAであり、画像データの一部が制御部6のCPU60のキャッシュメモリ61に残らない。その後、操作パネル101への入力等によって設定されたとおりに(例えば、濃度変更、ズーム、枠消し、集約(例えば、2in1等)、白黒、カラー)印刷がなされるように、画像処理部74は、画像データに対し画像処理を施す(ステップ♯11)。そして、画像処理後の画像データは、露光装置42に送られる(ステップ♯12)。その後、露光装置42による露光等によってトナー像形成が行われる(ステップ♯13)。
【0080】
そして、例えば、制御部6は、まだ同じ画像データに基づき印刷を行う必要があるかを確認する(ステップ♯14)。例えば、複数部の印刷を行う旨が操作パネル101に入力され、ステップ♯13で全ての印刷が完了していない場合、ステップ♯14はYesとなる。同じ画像データに基づき印刷を行う必要があれば、例えば、ステップ♯7に戻る。一方、同じ画像データに基づき、もはや印刷を行う必要が無ければ(ステップ♯14のNo)、例えば、制御部6(CPU60)は、HDD8内のもう印刷の必要のない画像データの消去を指示する(ステップ♯15→エンド)。
【0081】
このようにして、本実施形態の構成によれば、画像データのストレージ(例えば、HDD8)への書込処理及び読出処理を制御するコピー処理部73を有するので、演算部(例えば、CPU60)は、画像データのストレージへの書込処理及び読出処理を行わない。これにより、画像データがCPU60等のキャッシュメモリ61に流れ込むことがない。従って、ストレージへの画像データの書込、読出を行っても、CPU60のキャッシュメモリ61内のデータを、メモリ(例えば、DRAM7)に書き戻す処理(フラッシュ処理)や、メモリ内のデータのHDD8等のストレージへの退避処理は行われない。その結果、今までフラッシュ処理等に要していた時間を無くすことができ、データ処理の高速化を図ることができる。又、演算部に書込処理及び読出処理制御を行わせないので、演算部の使用率を下げることができ、各種のデータ処理が円滑に行われ、画像形成装置(例えば、複合機100)の動作が安定する。
【0082】
又、演算部(例えば、CPU60)は、圧縮後の画像データのストレージ(例えば、HDD8)への書込処理を行わずコピー処理部73への指示のみを行う。そして、コピー処理部73がストレージへの書込処理を実際に行う。又、書込処理と同様に、演算部は、圧縮された画像データのストレージからの読出処理を行わず、コピー処理部73への指示のみを行う。そして、コピー処理部73がストレージからの読出処理を実際に行う。これにより、フラッシュ処理や、メモリ内のデータの退避処理は行われない。従って、データ処理の高速化を図ることができる。
【0083】
又、ストレージ(例えば、HDD8)にキャッシュメモリ61を設けるので、より効率的にデータの転送を行うことができる。又、原稿を読み取って得られた画像データや、外部のコンピュータ200から送信された印刷用データに含まれる画像データのストレージへの書き込み、又は、ストレージからの読み出し処理を行う場合でも、演算部(例えば、CPU60)に処理を行わせないので、フラッシュ処理等に要する時間を無くすことができ、データ処理の高速化を図ることができる。又、演算部による処理速度は高速化が図られ、演算部でのデータ処理が安定しているので、FAX通信の中断等の問題なしに、印刷処理とFAX通信処理を同時に並列的に行うことができる。又、演算部による処理速度の高速化が図られ、演算部でのデータ処理が安定しているので、FAX通信の中断等の問題なしに、印刷処理、FAX通信処理、外部へのデータ送信処理も同時に並列的に行うことができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、データ処理を行う上で、キャッシュメモリを利用する複合機、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0086】
2 画像読取部(データ入力部) 4 画像形成部
60 CPU(演算部) 61 キャッシュメモリ
7 DRAM(メモリ) 71 圧縮処理部
72 伸長処理部 73 コピー処理部
8 HDD(ストレージ)
81 ディスクキャッシュ(HDD8、キャッシュメモリ)
9 通信部(データ入力部) 91 データ通信部(通信部9)
92 FAX通信部(通信部9) 100 複合機(画像形成装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを入力するためのデータ入力部と、
画像データを記憶するストレージと、
画像形成装置の制御を行い、内部にキャッシュメモリを含む演算部と、
画像データを記憶し、前記キャッシュメモリよりも容量が大きく書込及び読出速度が遅いとともに、前記ストレージよりも容量は小さく書込及び読出が速いメモリと、
ハードウェアとして設けられ、前記メモリと前記ストレージ間の画像データの書込処理及び読出処理を制御するコピー処理部と、を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記データ入力部から出力された画像データに対し圧縮処理を行う圧縮処理部を有し、
前記メモリは、圧縮処理後の画像データを記憶し、
前記演算部は、前記コピー処理部に前記メモリ内の画像データの前記ストレージへの書込処理の指示のみを行い、
前記コピー処理部は、前記演算部の指示を受け、圧縮処理後の画像データの前記ストレージへの書込処理を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記コピー処理部に前記ストレージからの圧縮された画像データの読出処理の指示のみを行い、
前記コピー処理部は、前記演算部の指示を受け、圧縮処理された画像データの前記ストレージからの読出処理を制御することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ストレージは、キャッシュメモリを有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記データ入力部は、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部及び/又は、外部から画像形成装置への画像データの入力を受け付ける通信部であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像データに基づき画像を形成する画像形成部を有し、
前記通信部には、画像データをFAX送信するためのFAX通信部が含まれ、
前記画像形成部による画像形成処理と、前記FAX通信部によるFAX通信処理が並行して行われることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記通信部には、外部のコンピュータとの通信を行うためのデータ通信部が含まれ、
前記画像形成部による画像形成処理と、前記FAX通信部によるFAX通信処理と、外部のコンピュータに向けての画像データの送信処理の全て、若しくは、何れか2つが並行して行われることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−97331(P2011−97331A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248855(P2009−248855)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】