説明

画像形成装置

【課題】ヘッドのメニスカス面の乾燥及びインクの増粘を防ぐ目的でなされる従来の微駆動制御は必用以上に多く行われる場合があった。微駆動制御の回数を最適化する。
【解決手段】入力された画像データから、ノズルからのインク滴の吐出を伴う制御データである吐出制御データを生成する。生成された前記吐出制御データに基づいて、前記ノズルからのインク滴の吐出が行われる前に当該ノズルを振動させる微駆動をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式の画像形成装置に関し、特に、インクを吐出しないノズルのインク粘度を調整するために行う微駆動制御に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1ないし6を挙げる。
特許文献1には、複数ヘッドを組み合わせたラインヘッド機においてノズル内のインク粘度を抑制する目的で、記憶(印刷)可能領域、記憶(印刷)領域ごとに、微駆動制御を行う方法について開示されている。
【0003】
特許文献1は、本発明とは確かにヘッド、ノズル毎に微駆動制御を行う点では関連する点がある。しかしながら、記憶(印刷)領域に対しては、どのような出力画像であれ一様の制御を行うので、必用以上の微駆動を行ってしまうということと、事前に出力画像全体(一面)を検知して領域(ノズル)を検出して制御しなければならないという問題点がある。
【0004】
特許文献2には、生産性(スループット)を向上させる目的で、微駆動制御を適切に行い、かかる時間を短縮する微駆動制御方法が開示されている。本発明とは確かに微駆動動制御を適切に制御する点では似ている点がある。しかしながら、どのような出力画像であれ一様な制御となり、ノズルによっては必用以上の微駆動を行ってしまうというという問題点がある。
【0005】
特許文献3には、ノズルの空吐出による吐出量を低減する目的で、インクの粘度に応じた微駆動制御を行う方法が開示されている。本発明とは確かに微駆動制御を適切に行うことによって空吐出の吐出量を低減する点では似ている点がある。しかしながら、インク粘度検出センサを新たに設けなければならないという問題点がある。
【0006】
特許文献4には、ノズルの目詰まりを防止しつつ、ヘッドの高寿命化と低騒音化する目的で、微駆動制御を間引き制御する方法が開示されている。本発明とは確かに微駆動動作回数を削減して目詰まりを防止する制御を行う点では似ている点がある。しかしながら、どのような出力画像であれ一様な制御となり、ノズルによっては必用以上の微駆動を行ってしまうというという問題点がある。
【0007】
特許文献5には、ノズルの目詰まりを防止する目的で、吐出制御からの経過時間に応じて微駆動専用波形に切り替え制御する方法が開示されている。本発明とは確かに微駆動動作回数を削減して目詰まりを防止する制御を行う点では似ている点がある。しかしながら、部分的な出力画像であると微駆動制御が長期に続いてしまうという問題点がある。
【0008】
特許文献6には、微駆動の電力低減しつつ、画質低下を抑制する目的で、微駆動制御を間引き制御する方法が開示されている。本発明とは確かに微駆動動作回数を削減して目詰まりを防止する制御を行う点では似ている点がある。しかしながら、部分的な出力画像であると微駆動制御が長期に続いてしまうという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
インクジェット方式の画像形成装置では、空白ドットを形成する際は、一般的に、インク滴を吐出しないノズル制御を行うことにより形成している。この吐出が行われない非吐出ノズルでは、ノズル内のインクが吐出されずに残り、新たなインクが供給されないので、インクの入れ替わりが起きない。この状態が長く続くと、メニスカス面が空気にさらされる時間が長くなり、徐々に乾燥、増粘し、しいては正常な吐出が行えなくなってしまう可能性がある。
【0010】
このメニスカス面の乾燥を防止する方法として、従来、インクが吐出しない程度にアクチュエータを微少に駆動させる微駆動制御を行い、ノズル内のインクと共通液室のインクを攪拌する技術が知られている(例えば、特許文献1ないし3)。
【0011】
しかしながら、このような従来の技術は、すべてのノズルもしくは印刷領域に分割して一様の微駆動制御を行うので、必用以上の微駆動制御を行ってしまうという問題があった。必用以上の微駆動制御は、液室のインクの増粘が進んでしまう可能性がある点と駆動電力の点で問題である。特に、ノズル数の多いラインヘッドにおいては、駆動電力の無駄は増大するため、不利である。
【0012】
そのため、微駆動制御を間引き制御したり、駆動回数を削減したりする技術が種々提案されているが、いずれについても、微駆動制御が長期にわたって続いてしまう等の問題点が指摘できる(例えば、特許文献4ないし6)。
【0013】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、微駆動制御を行うインクジェット方式の画像形成装置において微駆動制御の回数を最適化して駆動電力の低減を可能にする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、第1の態様として、被記録媒体に対しインク滴を吐出する複数のノズルが配列された記録ヘッドと、前記記録ヘッドに対し、前記ノズルからインク滴の吐出をさせないで前記ノズルを振動させる微駆動を行う微駆動制御手段と、入力された画像データから、前記ノズルからのインク滴の吐出を伴う制御データである吐出制御データを生成する吐出制御データ生成手段と、を有し、前記微駆動制御手段は、生成された前記吐出制御データに基づいて、前記ノズルからのインク滴の吐出が行われる前に当該ノズルを振動させる微駆動をすることを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、微駆動制御を行うインクジェット方式の画像形成装置において微駆動制御の回数を最適化して駆動電力の低減を可能にする画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の主要部のハードウェア構成例を示す図である。
【図2】本実施形態の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態における微駆動制御を模式的に表した模式図である。
【図4】図3の状態から用紙搬送にズレが生じ、スキュー(シフト)を起こした際の微駆動制御を模式的に表した模式図である。
【図5】本実施形態の、ある画像出力をした際の吐出滴サイズと微駆動制御の関係を模式的に表した図であって、ドットの存在する画像端を示したものを示す模式図である。
【図6】本実施形態の、画像データ転送開始時の各ノズルにおける微駆動制御について示すフローチャートである。
【図7】本実施形態の、印刷における吐出制御中の吐出制御及び微駆動制御完了について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1に、本実施形態に係る画像形成装置の主要部のハードウェア構成例を示す。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置は、ラインヘッド型のインクジェットプリンタである。本実施形態に係る画像形成装置は、図1に示す用紙(被印刷物)101にインクを吐出することにより、画像形成を実施する。
【0019】
給紙機構111は、画像形成する前の用紙(被印刷物)101をスタックする。用紙(被印刷物)101は、用紙分離機構112によって1枚ずつ分離されて、紙間調整機構113にて紙間タイミングが補正されて、用紙搬送機構121に流れる。
【0020】
用紙搬送機構121は、ラインヘッド(K)141、ラインヘッド(C)142、ラインヘッド(M)143、ラインヘッド(Y)144の直下に用紙(被印刷物)101を搬送させえる。各ラインヘッド(K)141、ラインヘッド(C)142、ラインヘッド(M)143、ラインヘッド(Y)144は、搬送のタイミングにあわせて、それぞれの作像色にあわせた吐出インク滴145を吐出させる事によって、オンデマンドに画像ドットを形成していく。
【0021】
用紙(被印刷物)101は、全ての作像が完了された後、更に下流に搬送されて、排紙機構131に印刷出力としてストックされる。
【0022】
また、各ラインヘッド(K)141、ラインヘッド(C)142、ラインヘッド(M)143、ラインヘッド(Y)144に対応するヘッド(K)用空吐出受け161、ヘッド(C)用空吐出受け162、ヘッド(M)用空吐出受け163、ヘッド(Y)用空吐出受け164が設けられており、更に用紙搬送機構121のベルト上には、紙間空吐出用孔122が開いており、搬送ベルトの回転タイミングを見計らって、各ラインヘッド(K)141、ラインヘッド(C)142、ラインヘッド(M)143、ラインヘッド(Y)144は、紙間空吐出用孔122を通して、各ヘッド(K)用空吐出受け161、ヘッド(C)用空吐出受け162、ヘッド(M)用空吐出受け163、ヘッド(Y)用空吐出受け164に空吐出を行っている。なお、図1では、紙間空吐出用孔122は1箇所のみ記載をしているが、複数存在しても良い。
【0023】
印刷動作を行わない際には、ヘッドのノズル面を乾燥等から保護したり、メンテナンスを行う目的で、ヘッド維持/回復機構151が各ラインヘッド(K)141、ラインヘッド(C)142、ラインヘッド(M)143、ラインヘッド(Y)144の下方、ノズル面側に入ってくることにより実現する。
【0024】
図2に、本実施形態の機能構成を示す。
図2に示すCPU201は、本実施形態に係る画像形成装置のシステム全体を制御するCPUであり、ROM202に格納されたプログラムをRAM203に展開して、システム全体の動作制御を行う。
【0025】
操作部211は、ユーザーが各種操作や設定を行うマンマシンインタフェースで、その操作に応じて本画像形成装置の状態等を表示部212に表示する。
【0026】
ホストコンピュータや電話回線、メモリーカード等の外部からデータをやり取りする外部I/F(インタフェース)221、そしてその外部I/F221のLANやUSB、電話回線、SDカード(登録商標)等の通信プロトコルを制御する箇所が、通信制御部222である。また、スキャナー231とその読み取りの制御を行う読み取り制御部232によって、スキャナーの読み取りを行う。その外部から取り込まれた画像データは、ROM202やRAM203上に一時記憶され、画像処理等が行われる。
【0027】
インクジェットの吐出制御は、ROM202又はRAM203上に一時記憶されている画像データに基き、CPU201を介在して、吐出駆動制御部241に転送されて各ヘッド243上のノズル、アクチュエータを駆動する画像データ信号、マスク(制御)信号と駆動波形信号を生成する。生成された駆動波形信号をヘッドドライバ242で増幅した後、ヘッド243を駆動制御する。
【0028】
つまり、吐出駆動制御部241は、CPU201により画像データの入力を受け、入力された画像データに基づいて、実際にノズルからインク滴の吐出を伴う制御データであり吐出を伴わない微駆動は含まない吐出制御データを生成する。この吐出制御データに基づいて、各ノズルのアクチュエータが駆動する。このような吐出駆動制御と同時に、吐出駆動制御241は、図3と図4を用いて概略を後述する微駆動制御も行う。
【0029】
IO制御部251は、用紙の搬送経路である給紙部261、搬送部262、排紙部263の動作制御を行うほか、ヘッド(ノズル)の維持/回復を行う維持/回復部271の動作制御も行う。更に、本画像形成装置を動作させる各種センサ281、各種ソレノイド282、各種クラッチ283、各種モーター284の制御及び検知をも行っている。
【0030】
図3に、本実施形態における微駆動制御を模式的に表したものを示す。
図3に示すラインヘッドは、ヘッドA311、ヘッドB312、ヘッドC313、ヘッドD314を千鳥に並べることにより、印刷幅分のラインヘッドを構成する例を示しており、更に一つのヘッドは、ノズル321が千鳥配列によって実現しているが、模式化して示した例であり、ヘッド数、ノズル列、ノズル数や配列はこの限りではない。
【0031】
用紙(印刷前)301は、搬送ベルト(図示せず)によってヘッド群311〜314の下方を通り、各ノズルが対応する画像ドットを形成する位置まで搬送されてきたタイミングでインクを吐出し、画像を形成することにより、所望の印刷出力302を得る画像形成装置において、画像形成順序を説明する。
【0032】
ヘッドA311上のノズル321は、用紙(印刷前)301が搬送され、画像形成ドットA331の位置と重なったタイミングでインクを吐出し、画像形成ドットA331を形成する。次に画像形成ドットB332の位置まで搬送されてきたタイミングでインクを吐出することで、画像形成ドットB332を形成し、その次に画像形成ドットC333がくる。これを各ノズルに対応した吐出制御データ(吐出を伴う制御データ)を画像データから生成して、インクを吐出することで画像を形成している。
【0033】
しかしながら、画像形成ドットM335は、画像形成ドットE334が形成された後、搬送されてくる間インク吐出が無く、ノズル面(メニスカス面)が乾燥、増粘し、画像形成ドットM335の吐出が遅れたり、吐出滴サイズが小さくなってしまい、出力画像に乱れを生じてしまう。同様に画像形成ドットA331についても、紙間で空吐出を行ったとしても用紙端から距離がある場合には、同様に正常な吐出が行われない可能性がある。
【0034】
そこで、出力画像が存在しない部分やエリアに対して、吐出しない程度にノズルのアクチュエータを駆動させることによって、ノズル内と共通液室内のインクを撹拌する微駆動制御が行われる。しかしながら、必用以上に撹拌動作を行ってしまうと、共通液室内のインクも増粘が進んでしまい、空吐出などのフラッシングを行う必用さえ生じてしまうので、画像エリアごとに分割した微駆動制御や微駆動のタイミングを制御する技術が既に開示されている。
【0035】
しかしながら既存の方法では、出力画像全体を検出して画像があるエリアか否かを事前に検出しておく必要があったり、吐出制御した結果や吐出の状態を検知して、吐出後のタイミングで微駆動制御を行っているので、微駆動制御が最適に行われていなかった。
【0036】
また、過剰に微駆動制御を行うと、インクの増粘が進むこともさることながら、微駆動の消費電力も大きくなる。特に、印刷幅分のノズルを持つラインヘッドにおいては、そのノズル数も格段に多いので、微駆動電力も比例して増加してしまう。つまり、ラインヘッドにおいては、ノズルが非吐出ドットを形成する比率が非常に高くなり、微駆動制御を低減することが、消費電力の低減に大きく寄与する。
【0037】
そこで、本実施形態では画像データから生成される吐出制御データに基づいて微駆動制御を行う事により、過剰な微駆動制御を行わない。
【0038】
図3において、画像形成ドットA331を正常吐出するには、3回の微駆動制御が必用としている場合を示しており、3ライン前の微駆動(空白)ドットA341から順に微駆動(空白)ドットB342、微駆動(空白)ドットC343と3回の微駆動制御を行う事で画像形成ドットA331が正常に吐出される。
【0039】
また、吐出制御データ(吐出を伴う制御データ)を3ライン分のメモリでバッファリングする事により、微駆動制御をおこなうので、吐出制御データ(吐出を伴う制御データ)の存在する画像形成ドットA331から3ライン前の微駆動(空白)ドットA341から吐出準備が開始でき、実際吐出する以前の微駆動制御が可能となる。
【0040】
上記では、3ライン前として説明したが、このライン数については、前駆動制御からの経過時間で条件化することも可能である。画像形成ドットE334から画像形成ドットM335が吐出されるまでの経過時間t1と画像形成ドットX351から画像形成ドットY352の経過時間t2では、t1>t2の関係があり、t1の方がより大気にさらされインクの増粘が進むので、この吐出制御が行われた経過時間をカウントし微駆動制御回数の条件として、微駆動を行える。
【0041】
t1は、3回微駆動を行う閾値経過時間tkと比較し、tk≦t1であったので、4ライン前の微駆動(空白)ドットY361から微駆動制御を行う。t2は、3回微駆動を行う閾値経過時間tkと比較し、tk>t2であったので、3ライン前の微駆動(空白)ドットM362から微駆動制御を行う。
【0042】
図4に、図3の状態から用紙搬送にズレが生じ、スキュー(シフト)を起こした際の微駆動制御を模式的に表した図を示す。
図3では、画像形成ドットA331を吐出するノズルは、ノズル321であったのに対して、図4ではノズルS322と吐出するノズルが異なる。予め画像を認識し、エリアごとに微駆動制御を変える従来の方式では、搬送ズレ、スキュー(シフト)が生じる度に、再検出を行ってエリアを確定する必要がある。
【0043】
しかしながら、本実施形態においては図4に示すように、画像形成するノズルは微駆動を行うノズルと一致しているので、用紙スキュー(シフト)が生じても、吐出制御データ(吐出を伴う制御データ)に基づく微駆動制御を行う。そのため、本実施形態によれば、用紙スキュー(シフト)に追従した微駆動制御が行える。
【0044】
図5に、ある画像出力をした際の吐出滴サイズと微駆動制御の関係を模式的に表した図であって、ドットの存在する画像端を示したものを示す。
図5の搬送下流側にあたる右側に位置する画像開始端では、図3で説明した様にインク吐出を行う前に微駆動制御を行っているが、図5においては、画像を形成する際に、大滴、中滴、小滴、滴無しの4値で表現する階調を取り入れて説明をしている。
【0045】
画像開始端大滴吐出501においては、滴サイズを大きく表現するドットであり、アクチュエータの駆動を大きくして大滴を吐出している。つまりアクチュエータの駆動力が大きいので、その吐出遅れや曲がりと言った出力画像に影響を及ぼす吐出不良の可能性が、ほかの滴サイズより小さく、微駆動制御502を1回行う事でノズル内のインクを十分に撹拌が行える。
【0046】
このように吐出する滴サイズ(階調)に応じて、画像開始端中滴吐出511では微駆動制御512を2回、画像開始端小滴吐出521では微駆動制御522を3回と微駆動制御回数を画像の滴サイズ(階調)に応じた制御を行う。このような制御を行うことによって、必用最低限の微駆動制御が行える。また、画像開始端滴無し531は吐出を行わないので、その微駆動制御532も0回となることは、言うまでもない。
【0047】
また、図5の左側に位置する画像終了端においても、階調に応じた微駆動制御を行う事が可能で、画像形成で使用されるインク量(滴サイズ)が十分であり、ノズル内のインクがリフレッシュされずに残る、中滴や小滴の吐出を行った場合に、微駆動制御を行い、大滴吐出と同等のインク粘度となる様に調整することが出来る。
【0048】
画像終了端大滴吐出551の吐出は、大滴であり十分にノズル内のインク入替が行われたので、その微駆動制御552は0回行う。同様に画像終了端中滴吐出561、画像終了端小滴吐出571の吐出は、吐出滴サイズに応じて、それぞれの微駆動制御562は1回、微駆動制御572は2回と対象ノズルが吐出したインク量に応じた微駆動を行う事が可能となる。無論、画像終了端滴無し581は吐出を行っていないので、その微駆動制御582は微駆動制御を行わない。
【0049】
図6は、画像データ転送開始時の各ノズルにおける微駆動制御について示すフローチャートであり、小滴、中滴、大滴、滴なしの4値階調で画像出力をする場合を示す。また、大滴より中滴、中滴より小滴の吐出をする際に必用な微駆動の回数が多いものとして、それぞれの回数をL回、M回、N回とし、L≧M≧Nの関係が成り立つものとしてフローチャート化している。
なお、図6と図7のフローチャートの各処理の主体は、特に断りのない限り、図2のCPU201である。
【0050】
また、L、M、Nの回数には、図3や図7で示す経過時間条件を含んでおり、それぞれ
L(整数)回=(小滴吐出に必用な微駆動回数)×(前回吐出からの経過時間)×(経過時間係数)
M(整数)回=(中滴吐出に必用な微駆動回数)×(前回吐出からの経過時間)×(経過時間係数)
N(整数)回=(大滴吐出に必用な微駆動回数)×(前回吐出からの経過時間)×(経過時間係数)
とする事で、経過時間に応じた微駆動回数を算出する。
【0051】
印刷が開始されると共に、各ノズルを駆動する吐出制御データ(吐出を伴う制御データ)を生成する画像データの転送が始まるので、その画像データ転送開始に伴い、本フローに従って微駆動制御回数を決める。
【0052】
S601で始まりの吐出制御データ(吐出を伴う制御データ)が小滴かつLライン前であるかを判断し、小滴かつLライン前であるならばS602でLライン分の微駆動制御を行う。
【0053】
S601の条件を満たさない場合には、S603にて吐出制御データ(吐出を伴う制御データ)が中滴かつMライン前であるかを判断し、条件を満たせばS604でMライン分の微駆動制御を行う。
【0054】
更にS603の条件を満たさない場合には、S605にて吐出制御データ(吐出を伴う制御データ)が大滴かつNライン前であるかを判断し、条件を満たせばS606でNライン分の微駆動制御を行う。
【0055】
これらのS601、S603、S605の各条件を満たさない場合には、まだ微駆動制御を必要が無いと判断し、S607で微駆動制御を行わす、本フローを終了し、次ラインの画像データ転送を待つ。
【0056】
このフローを各ライン、ノズル毎に行う事により、画像形成する吐出前に検出し微駆動制御が可能となる。
【0057】
図7は、印刷における吐出制御中の吐出制御及び微駆動制御完了について示すフローチャートである。よって、吐出を行っていない空白ドットの場合には、図6に示す吐出開始時のフローに従い、吐出制御が開始されるまで、本フローの実行はない。
【0058】
S611にて吐出制御データ(吐出を伴う制御データ)が終了(空白ドット)であるかを判断し、吐出制御データ(吐出を伴う制御データ)がある(吐出が行われる)場合には、S612にて画像データに応じた滴サイズの吐出制御を行った後、S612の吐出制御経過時間をクリアして、次ラインの吐出制御データ(吐出を伴う制御データ)の判断へ移行する。
【0059】
S611にて、吐出制御データ(吐出を伴う制御データ)が終了(空白ドット)であると判断した場合には、S614にて吐出制御からの経過時間をカウント開始して、S615の吐出制御データ(吐出を伴う制御データ)の終了が大滴であるか、S617にてデータ終了が中滴であるかを判断する。
【0060】
S615にて大滴と判断した場合には、S616微駆動制御回数JにJ1(大滴吐出後に微駆動を行う回数)をセットし、S617にて中滴と判断した場合には、S618微駆動制御回数JにJ2(中滴吐出後に微駆動を行う回数)をセットする。S615、S617で大滴でも中滴でも無いと判断された場合は、S619に示す様に小滴データであると判定できるので、S620にて微駆動制御回数JにJ3(小滴吐出後に微駆動を行う回数)をセットする。
【0061】
S616、S618、S620でセットされた微駆動制御回数が0回である場合には、S619で判断され、そのまま本フローを終了して、図6に示す画像データ転送開始フローへ移行する。
S619で微駆動制御回数が0回で無いと判断されたなら、S622にて微駆動制御を1回行い、S623で微駆動制御回数Jをデクリメントする。
【0062】
S624は、図6に示す画像データ転送開始時のフローに従った処理を行う事により、吐出終了後の微駆動制御が完了する前に次の吐出制御データ(吐出を伴う制御データ)があるか否かを判断するもので、吐出制御データ(吐出を伴う制御データ)がない場合には、図6のS607を介して微駆動制御を行わず、S621に戻る。
【0063】
これにより、S616、S618、S620でセットされた微駆動制御回数分の微駆動制御が行われる。
【0064】
上述した本実施形態によれば、実際にインク滴の吐出を行う吐出制御データに基づいた微駆動を行うので、どのような出力画像であれ一様な微駆動を行うような構成とは異なり、駆動電力を低減できる。
また、吐出を行うノズルの吐出実行の前であって必用最低限のライン数前に微駆動を行うので、吐出が安定する。また、吐出ごとに逐次判断を行うので、用紙等のスキュー(シフト)に適切に対応できる。
【0065】
また、上述した本実施形態によれば、(これから吐出しようとする)インク滴の吐出量、滴サイズに対応する回数の微駆動を行うので、最適な回数の微駆動がなされることになり、さらなる駆動電力の低減が実現する。
また、前回最後に吐出したインク滴の吐出量、滴サイズに対応する回数の微駆動を行うので、最適な回数の微駆動がなされることになり、さらなる駆動電力の低減が実現する。
また、前回最後に吐出した時点からの経過時間に対応する回数の微駆動を行うので、最適な回数の微駆動がなされることになり、さらなる駆動電力の低減が実現する。
【符号の説明】
【0066】
101 用紙(被印刷物)
111 給紙機構
112 用紙分離機構
113 紙間調整機構
121 用紙搬送機構
122 紙間空吐出用孔
131 排紙機構
141 ラインヘッド(K)
142 ラインヘッド(C)
143 ラインヘッド(M)
144 ラインヘッド(Y)
145 吐出インク滴
151 ヘッド維持/回復機構
161 ヘッド(K)用空吐出受け
162 ヘッド(C)用空吐出受け
163 ヘッド(M)用空吐出受け
164 ヘッド(Y)用空吐出受け
201 CPU
202 ROM
203 RAM
211 操作部
212 表示部
221 外部I/F
222 通信制御部
231 スキャナー
232 読み取り制御部
241 吐出駆動制御部
242 ヘッドドライバ
243 ヘッド
251 IO制御部
261 給紙部
262 搬送部
263 排紙部
271 維持/回復部
281 各種センサ
282 各種ソレノイド
283 各種クラッチ
284 各種モーター
301 用紙(印刷前)
302 印刷出力
311 ヘッドA
312 ヘッドB
313 ヘッドC
314 ヘッドD
321 ノズル
322 ノズルS
331 画像形成ドットA
332 画像形成ドットB
333 画像形成ドットC
334 画像形成ドットE
335 画像形成ドットM
341 微駆動(空白)ドットA
342 微駆動(空白)ドットB
343 微駆動(空白)ドットC
351 画像形成ドットX
352 画像形成ドットY
361 微駆動(空白)ドットY
362 微駆動(空白)ドットM
501 画像開始端大滴吐出
502 微駆動制御
511 画像開始端中滴吐出
512 微駆動制御
521 画像開始端小滴吐出
522 微駆動制御
531 画像開始端滴無し
532 微駆動制御
551 画像終了端大滴吐出
552 微駆動制御
561 画像終了端中滴吐出
562 微駆動制御
571 画像終了端小滴吐出
572 微駆動制御
581 画像終了端滴無し
582 微駆動制御
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開2010−125740号公報
【特許文献2】特許第3528592号公報
【特許文献3】特開2007−098652号公報
【特許文献4】特許第3613297号公報
【特許文献5】特許第3440964号公報
【特許文献6】特開2009−154512号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に対しインク滴を吐出する複数のノズルが配列された記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに対し、前記ノズルからインク滴の吐出をさせないで前記ノズルを振動させる微駆動を行う微駆動制御手段と、
入力された画像データから、前記ノズルからのインク滴の吐出を伴う制御データである吐出制御データを生成する吐出制御データ生成手段と、
を有し、
前記微駆動制御手段は、生成された前記吐出制御データに基づいて、前記ノズルからのインク滴の吐出が行われる前に当該ノズルを振動させる微駆動をすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記微駆動制御手段は、インク滴の吐出を行う前記ノズルが当該吐出を行う前であって正常な吐出を可能にする必用最低限のライン数前に、前記微駆動することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記微駆動制御手段は、生成された前記吐出制御データに含まれる、吐出されるインク滴の吐出量に対応した回数の前記微駆動をすることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記微駆動制御手段は、生成された前記吐出制御データに基づいて、各ノズルにおける最後の吐出の吐出量に対応した回数の前記微駆動を、各ノズルに対して行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記微駆動制御手段は、生成された前記吐出制御データに基づいて、各ノズルにおける最後の吐出からの経過時間に対応した回数の前記微駆動を、各ノズルに対して行うことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−101408(P2012−101408A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250706(P2010−250706)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】