説明

画像形成装置

【課題】像担持体ベルトを張架する張架ローラーを傾斜移動させてベルト蛇行を抑制するとともに液体をクリーニングローラーに供給して像担持体ベルトをクリーニングする画像形成装置を低コストで提供する。
【解決手段】中間転写ベルト31を張架するローラーのうちローラー34がステアリングローラーであり、ステアリングモーターによりステアリングカム84を回転させてサブフレーム82を上方に押し上げることによってステアリングローラー34を傾斜移動させてベルト蛇行を修正する。このため、この傾斜移動に伴ってクリーニングローラー61も傾斜移動するが、液体塗布部9は転写フレーム80aにより予め定められた所定位置で固定支持されており、サブフレーム82と完全に分離されている。したがって、ステアリングモーターに対して多大な負荷がかかるのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トナー及びキャリア液とからなる液体現像剤によって現像された像を担持する像担持体ベルトの蛇行を防止しながら該像担持体ベルトをクリーニングする画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャリア液中に固体成分からなるトナーを分散させた液体現像剤を用いて潜像を現像し、静電潜像を可視化する湿式画像形成装置が種々提案されている。例えば特許文献1に記載の装置では、中間転写ベルトが駆動ローラーおよび従動ローラーを含む複数のローラーに張架されて回転駆動される。また、従動ローラーの回転軸を傾斜移動させる蛇行調整部材が設けられており、この蛇行調整部材よって中間転写ベルトの蛇行を抑制している。
【0003】
このように傾斜移動させられる従動ローラーに対して中間転写クリーニングユニットが配置されている。この中間転写クリーニングユニットは、中間転写ベルトを介して従動ローラーと当接するクリーニングローラーおよびクリーニングブレードを有しており、これらにより中間転写ベルトのクリーニング処理を実行する。また、中間転写クリーニングユニットでは、上記した蛇行調整部材による従動ローラーの傾斜移動に追随し、クリーニングローラーとクリーニングブレードが傾斜移動させられ、クリーニングローラーとクリーニングブレードの中間転写ベルトへの接触位置が保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−186902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したクリーニングローラーなどを用いた場合であっても、種々の条件により十分なクリーニング効果を得られないことがあった。そこで、クリーニングローラーとクリーニングブレードを支持するフレームに対して塗布機構を追加設置し、この塗布機構によって液体現像剤やキャリア液などの塗布液をクリーニングローラーに塗布することでクリーニング性を向上させる技術が提案されている。すなわち、塗布機構は、塗布液を貯留部材に貯留するとともに貯留部材から塗布液を塗布ローラーによってクリーニングローラーに塗布するものであり、クリーニングローラーを介して中間転写ベルトに液体現像剤などを供給することでトナーの固形率を低下させてクリーニングの容易化を図っている。
【0006】
しかしながら、上記したようにクリーニングローラーの中間転写ベルトへの接触位置を保持するために、上記のように塗布機構をクリーニングローラーとともにフレームに取り付けた装置では、従動ローラーの傾斜移動に追随してクリーニングローラーおよびクリーニングブレードのみならず、上記のように構成した塗布機構をも移動させる必要がある。そのため、従動ローラーを傾斜移動させるために、比較的大きな出力を有する駆動モーターを使用する必要があり、これが装置コストの増大要因のひとつとなっている。
【0007】
この発明にかかるいくつかの態様は、像担持体ベルトを張架する張架ローラーを傾斜移動させてベルト蛇行を抑制するとともに液体をクリーニングローラーに供給して像担持体ベルトをクリーニングする画像形成装置を低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様は、像を担持する像担持体ベルトと、像担持体ベルトを張架する張架ローラーと、像担持体ベルトを介して張架ローラーと当接するクリーニングローラーと、塗布液をクリーニングローラーに塗布する液体塗布部と、液体塗布部を支持する第1支持部と、クリーニングローラーが張架ローラーに当接している時に第1支持部に対して張架ローラーを軸方向で傾斜させる支持部材を有する第2支持部と、張架ローラーが軸方向に傾斜することに応じて像担持体ベルトの蛇行を修正する蛇行修正部と、を備えることを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明では、像担持体ベルトを張架する張架ローラーが軸方向に傾斜することに応じて像担持体ベルトの蛇行が修正されるが、その張架ローラーの傾斜に伴ってクリーニングローラーも傾斜する。これに対し、液体塗布部は予め定められた所定位置で支持された状態でクリーニングローラーに対して塗布液を塗布する。このように、蛇行修正部が移動させる対象物は張架ローラーおよびクリーニングローラーであり、液体塗布部を移動させる必要はない。したがって、本発明では、小さな駆動力で像担持体ベルトの蛇行を修正しつつクリーニングローラーを介して塗布液を像担持体ベルトに供給してクリーニング性を高めることができ、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図。
【図2】クリーニング部および蛇行修正機構を軸方向側から見た図。
【図3】ローラー間の配置関係を示す図。
【図4】本発明にかかる画像形成装置の第2実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図である。この画像形成装置1は、互いに異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。そして、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能となっている。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するコントローラー(図示省略)に与えられると、このコントローラーが装置各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート状の転写材Sに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0012】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kには、それぞれの色のトナー像がその表面に形成される、感光体ドラム21が設けられている。各感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されており、図1中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。
【0013】
各感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22と、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成する露光ユニット23と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像ユニット24と、第1スクイーズ部25と、第2スクイーズ部26と、該トナー像を中間転写ベルト31に一次転写する一次転写ユニットと、一次転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーニング部とが、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
【0014】
帯電器22は感光体ドラム21の表面に接触しないものであり、この帯電器22には、従来周知慣用のコロナ帯電器を用いることができる。コロナ帯電器にスコロトロン帯電器を用いた場合には、スコロトロン帯電器のチャージワイヤにはワイヤ電流が流されるとともに、グリッドには直流(DC)のグリッド帯電バイアスが印加される。帯電器22によるコロナ放電で感光体ドラム21が帯電されることで、感光体ドラム21の表面の電位が略均一の電位に設定される。
【0015】
露光ユニット23は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームにより感光体ドラム21表面を露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。この露光ユニット23としては、半導体レーザからの光ビームをポリゴンミラーにより走査させるもの、あるいは発光素子を主走査方向に配列したラインヘッド等により構成することができる。
【0016】
こうして形成された静電潜像に対して現像ユニット24に設けられた現像ローラー241からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。なお、この画像形成装置1の現像ユニット24では、キャリア液内にトナーを概略重量比20%程度に分散させた液体現像剤を用いてトナー現像が行われる。この実施形態で用いられる液体現像剤は、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)をキャリア液とした低濃度(1〜2wt%)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤である。すなわち、本実施形態における液体現像剤は、熱可塑性樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形粒子を、有機溶媒、シリコーンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(HAAKE RheoStress RS600を用いて25℃の時のせん断速度1000(1/S)のときの粘弾性が30〜300mPa・s程度)の液体現像剤である。
【0017】
感光体ドラム21の回転方向D21において現像位置の下流側に、第1スクイーズ部25が配置されるとともに、さらに第1スクイーズ部25の下流側に第2スクイーズ部26が配置されている。これらのスクイーズ部25、26にはスクイーズローラーがそれぞれ設けられている。そして、各スクイーズローラーが感光体ドラム21の表面と当接してトナー像の余剰キャリア液やカブリトナーを除去する。なお、本実施形態では2つのスクイーズ部25、26により余剰キャリア液やカブリトナーを除去しているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
【0018】
スクイーズ部25、26を通過してきたトナー像は一次転写ユニットにより中間転写ベルト31に一次転写される。中間転写ベルト31は、その表面、より詳しくはその外周面にトナー像を一時的に担持可能な像担持体としての無端状ベルトであり、複数のローラー32〜35に掛け渡されている。これらのうちローラー32はベルト駆動モーター(図示省略)に機械的に接続されて、中間転写ベルト31を図1の矢印方向D31に周回駆動するベルト駆動ローラーとして機能している。
【0019】
中間転写ベルト31を掛け渡されたローラー32ないし35のうち、モーターにより駆動されるのは上記したベルト駆動ローラー32のみであり、他のローラー33、34、35は駆動源を有しない従動ローラーである。また、ベルト駆動ローラー32は、ベルト移動方向D31において一次転写位置TR1の下流側、かつ後述する二次転写位置TR2の上流側で中間転写ベルト31を巻き掛けている。
【0020】
一次転写ユニットは一次転写バックアップローラー271を有しており、一次転写バックアップローラー271は中間転写ベルト31を挟んで感光体ドラム21と対向して配設されている。感光体ドラム21と中間転写ベルト31とが当接する一次転写位置TR1では、これらの当接によって一次転写ニップが形成されており、該一次転写ニップで感光体ドラム21上のトナー像が中間転写ベルト31の外周面(一次転写位置TR1において下面)に転写される。各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kでトナー像の転写が実行されることで、各色のトナー像が中間転写ベルト31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。一方、モノクロトナー像が形成される際には、ブラック色に対応した画像形成ステーション2Kのみにおいて、中間転写ベルト31へのトナー像転写が行われる。
【0021】
こうして中間転写ベルト31に転写されたトナー像は、ベルト駆動ローラー32への巻き掛け位置を経由して二次転写位置TR2に搬送される。この二次転写位置TR2では、中間転写ベルト31を巻き掛けられたローラー33に対して二次転写ローラー4が中間転写ベルト31を挟んで対向して固定的に配置されており、中間転写ベルト31表面と転写ローラー4の周面(ただし、凹部41を除く)とが互いに当接して転写ニップNPを形成している。すなわち、ローラー33は二次転写バックアップローラーとして機能しており、バックアップローラー33の回転軸33aは、例えばバネのような弾性部材である付勢部331によって弾性的に、かつ中間転写ベルト31に対して近接・離間移動自在に支持されている。
【0022】
この二次転写位置TR2では、中間転写ベルト31上に形成された単色、あるいは複数色のトナー像がゲートローラー51(一対のローラー51a,51b)から搬送経路PTに沿って搬送される転写材Sに二次転写される。また、ゲートローラー51と二次転写位置TR2との間には、転写材Sを二次転写ローラー4や中間転写ベルト31に接触させることなく二次転写位置TR2に送り込むための転写材ガイド52が配設されている。なお、この実施形態では、液体現像剤を用いてトナー像を形成する湿式現像方式でトナー像を形成しているので、良好な転写特性を得るために、二次転写ニップNPにおいては中間転写ベルト31に対し転写材Sが高い押圧力で押圧されることが望まれる。また、液体現像剤を介在させるため、転写材Sが中間転写ベルト31に貼り付きジャムとなる可能性が高い。そこで、この画像形成装置1では、周面の一部に凹部を設け、この凹部に把持部を配設した二次転写ローラー4が用いられている。
【0023】
この二次転写ローラー4は、円筒の外周面の一部を切り欠いてなる凹部41が設けられたローラー基材42を有している。このローラー基材42では、回転軸4211中心に方向D4に回転自在の回転シャフト421が二次転写バックアップローラー33の回転軸33aと平行または略平行に配置されている。そして、図示を省略するモーターからの回転駆動力を受けて定位置で回転軸4211中心に方向D4に回転する。
【0024】
また、ローラー基材42の外周面、つまり金属プレート表面のうち凹部41の内部に相当する領域を除く表面領域にゴムや樹脂などの弾性層43が形成されている。この弾性層43はバックアップローラー33に巻き掛けられた中間転写ベルト31と対向して二次転写ニップNPを形成する。そして、二次転写ニップNPでは、バックアップローラー33が付勢部331により二次転写ローラー4側に付勢されて、二次転写ローラー4とバックアップローラー33に巻き掛けられた中間転写ベルト31との間に所定の荷重が付加されている。
【0025】
また、凹部41の内部には、転写材Sを把持するための把持部44が配設されている。この把持部44は、凹部41の内底部からローラー基材42の外周面に立設されたグリッパ支持部材441と、グリッパ支持部材441の先端部に対して接離自在に支持されたグリッパ部材442と、転写材剥離部材449とを有している。また、グリッパ部材442はグリッパ駆動部(図示省略)と接続されている。そして、コントローラーからのアングリップ指令を受けてグリッパ駆動部が作動することでグリッパ部材442の先端部がグリッパ支持部材441の先端部から離間して転写材Sの把持準備や把持解放を行う。一方、コントローラーからのグリップ指令を受けてグリッパ駆動部が作動することでグリッパ部材442の先端部がグリッパ支持部材441の先端部に移動して転写材Sを把持する。このように把持部44を設けたことにより転写材Sを確実に保持することができ、また中間転写ベルト31に担持されるトナー像を転写材Sに転写した後に当該転写材Sを中間転写ベルト31から剥離することが可能となる。
【0026】
また、転写材剥離部材449は、グリッパ部材442とグリッパ支持部材441とからなるペアの間に、二次転写ローラー4の軸方向にわたって適宜配されている。そして、転写材剥離部材449は、二次転写ローラー4の径方向外側に向かって突出移動することで、グリッパ部材442とグリッパ支持部材441とで把持していた転写材Sを二次転写ローラー4から離れる方向に押し出すように作用する。したがって、グリッパ部材442の先端部をグリッパ支持部材441の先端部から離間させて転写材Sの把持解放を行った上で、さらに転写材剥離部材449を作用させることで転写材Sを二次転写ローラー4から確実に剥離させることができる。なお、把持部44の構成については、本実施形態に限定されるものではなく、従来より公知の他の把持機構を採用してもよい。
【0027】
トナー像が二次転写された転写材Sは、二次転写ローラー4から搬送経路PT上に設けられた定着ユニット7へ送出される。定着ユニット7では、転写材Sに転写されたトナー像に熱や圧力などが加えられて転写材Sへのトナー像の定着が行われる。
【0028】
なお、中間転写ベルト31を張架する4つの張架ローラー32〜35のうちローラー34は中間転写ベルト31の蛇行を修正するステアリングローラーとしても機能する。そして、このステアリングローラー34に対向するようにクリーニング部6が設けられて二次転写後に中間転写ベルト31の表面に残留するトナーやキャリア液等の残留付着物を除去する。以下、図1ないし図3を参照しつつベルト蛇行を修正する機構およびクリーニング部6の構成および動作について詳述する。
【0029】
図2はクリーニング部および蛇行修正機構を軸方向側から見た図であり、図3はローラー間の配置関係を示す図であり、軸方向と直交する水平方向から見た図である。これらの図中の符号80a、80bは互いに一定距離だけ離間され、それらの間に配置される一次転写バックアップローラー271などを回転自在に支持する一対の転写フレームである。これらのうち一方の転写フレーム80aには、ステアリングローラー34の傾斜移動方向を規定するガイド部材81が取り付けられており、このガイド部材81に沿ってサブフレーム82が移動方向D82に往復移動自在となっている。このサブフレーム82は、図2に示すように、ガイド部材81のガイド面81aと平行な辺部を有する六角形の板状部材であり、その辺部の各端部に当付けベアリング83、83が取り付けられるとともに、両ベアリング83、83の周面がガイド面81a上を転動自在となっている。
【0030】
サブフレーム82には、ステアリングローラー34の回転軸34aの一方端が軸支されている。このため、サブフレーム82は中間転写ベルト31の張力を受けている。また、サブフレーム82に対しては、上記張力以外に、ステアリングカム84から押上力を受ける。つまり、サブフレーム82の下面は図3に示すように転写フレーム80a側に折り曲げられており、その折り曲げ部82aに対してステアリングカム84が当接している。このステアリングカム84はステアリングモーター85の回転軸に取り付けられており、ステアリングモーター85の回転動作に応じて回転し、上方向に押し上げる力をサブフレーム82に与える。このため、装置全体を制御するコントローラー(図示省略)によりステアリングモーター85の回転駆動を制御することでガイド面81aに沿ったサブフレーム82の位置を制御可能となっている。
【0031】
このように移動するサブフレーム82に対してステアリングローラー34の回転軸34aの一方端が軸支されているが、他方端については図3に示すようにリンク部材86の一方端部に軸支されている。なお、このリンク部材86の他方端部は転写フレーム80bと連結されており、その連結点JPを回動支点として回動自在に支持されている。このため、上記のようにステアリングモーター85の回転駆動制御によってサブフレーム82を移動させることでステアリングローラー34は連結点JPを支点として傾斜移動し、中間転写ベルト31の蛇行を修正することができる。このように、本実施形態では、ステアリングカム84、ステアリングモーター85およびリンク部材86により、本発明の「蛇行修正部」が構成されている。なお、ステアリングローラー34を傾斜移動させるための構成は上記したものに限定されず、従来より多用されている機構を用いることができる。
【0032】
クリーニング部6は、図2および図3に示すように、クリーニングローラー61と、ベルトクリーニングブレード62と、クリーニングローラー61のローラー周面と接触して当該ローラー61をクリーニングするローラークリーニングブレード63とを有している。これらのうちクリーニングローラー61はベルトクリーニングブレード62よりも上流側で中間転写ベルト31を介してステアリングローラー34と当接する。より詳しくは図3に示すように、クリーニングローラー61はスポンジローラーなどで構成され、サブフレーム82と転写フレーム80bとの間に配置されている。そして、その回転軸61aの一方端はサブフレーム82に軸支される一方、他方端はリンク部材86の一方端部に軸支されており、中間転写ベルト31と接触して従動回転する。このため、クリーニングローラー61は中間転写ベルト31を介してステアリングローラー34と当接した状態のままステアリングローラー34と一体的に傾斜移動可能となっている。なお、この点に関しては、図2に示すようにベルトクリーニングブレード62およびローラークリーニングブレード63についても同様である。また、図2中の符号64はベルトクリーニングブレード62およびローラークリーニングブレード63により掻き取った液体現像剤Lなどを回収して貯留するクリーニング用タンクである。
【0033】
また、本実施形態では、転写フレーム80a、80bに対して液体塗布部9が固定的に取り付けられており、クリーニングローラー61に液体現像剤を塗布することでクリーニング性能の向上を図っている。この液体塗布部9は、塗布ローラー91と、液体塗布ヘッド92と、ポンプ93と、ならしローラー94とを備えている。この塗布ローラー91として例えばスポンジローラーが用いられており、塗布ローラー91の回転軸91aの両端がそれぞれ転写フレーム80a、80bに対して所定位置で回転自在に軸支されている。そして、塗布ローラー91のローラー周面がクリーニングローラー61に接触し、クリーニングローラー61に対して従動回転する。
【0034】
この塗布ローラー91の直上に、液体塗布ヘッド92が配置され、転写フレーム80a、80bに固定された支持フレーム80cにより固定支持されている。この液体塗布ヘッド92は、図2および図3に示すように、塗布ローラー91の軸方向Xと平行に延びるボックス形状を有しており、その内部では、図3に示すように、液体現像剤Lを貯留する貯留空間921が設けられている。また、液体塗布ヘッド92の底面には、複数のノズル922が塗布ローラー91の軸方向Xに列状に配列されている。そして、液体塗布ヘッド92は配管によりクリーニング用タンク64と接続されており、その配管に介挿されたポンプ93によりクリーニング用タンク64に貯留されている液体現像剤Lが液体塗布ヘッド92に送り込まれ、各ノズル922から液体現像剤Lを塗布ローラー91に滴下して供給する。こうして塗布ローラー91に対して液体現像剤Lが供給されると、液体現像剤Lはならしローラー94により均一にならされるとともにクリーニングローラー61に塗布される。このように、本実施形態では、ならしローラー94を設けたことでクリーニングローラー61に対して均一に液体現像剤Lを塗布することができる。
【0035】
また、クリーニングローラー61への液体現像剤の塗布によって、クリーニングローラー61によるクリーニング時に中間転写ベルト31上でのトナー固形分率が低下し、クリーニングローラー61によるトナー固形分のクリーニング除去が容易となる。なお、本実施形態では、本発明の「塗布液」としてクリーニング用タンク64に回収貯留している液体現像剤を用いているが、液体現像剤の代わりに水、キャリア液等のトナー固形分率を下げることができる液体を塗布液として供給するように構成してもよい。なお、この点については、後で説明する実施形態でも同様である。
【0036】
以上のように、本実施形態では、中間転写ベルト31を張架するローラー32〜35のうちローラー34がステアリングローラーとしても機能し、ステアリングモーター85の駆動によりサブフレーム82を上方に押し上げることでステアリングローラー34を傾斜移動させてベルト蛇行を修正する。このため、この傾斜移動に伴ってクリーニングローラー61も傾斜移動するが、液体塗布部9は予め定められた所定位置で支持された状態のまま維持される。このように、液体塗布部9はサブフレーム82と完全に分離されているため、ステアリングモーター85に対して多大な負荷がかかるのを防止することができる。したがって、比較的低出力のステアリングモーター85を用いて中間転写ベルト31の蛇行を修正しつつクリーニングローラー61を介して液体現像剤を中間転写ベルト31に供給してクリーニング性を高めることができる。その結果、装置1の低コスト化を図ることができる。
【0037】
また、液体塗布ヘッド92の貯留空間921内で液体現像剤を一時的に貯留した後で各ノズル922の先端開口から滴下しているため、液体塗布ヘッド92が傾くと貯留空間921内での液体現像剤の偏りが生じて塗布の均一性が損なわれる可能性がある。しかしながら、本実施形態では、上記のようにステアリングローラー34およびクリーニングローラー61が傾斜移動したとしても、液体塗布ヘッド92は転写フレーム80a、80bに固定された支持フレーム80cに固定されているため、上記問題は発生せず、液体塗布部9により液体現像剤をクリーニングローラー61に均一に塗布することができ、良好なクリーニング性能が得られる。
【0038】
さらに、本実施形態では、塗布ローラー91およびクリーニングローラー61のいずれもがスポンジローラーで構成されており、両者が当接した際、いずれもが弾性変形する。したがって、クリーニングローラー61の傾斜移動にかかわらず、塗布ローラー91がクリーニングローラー61のローラー周面と接触して液体現像剤を均一に塗布することができる。もちろん、塗布ローラー91およびクリーニングローラー61のいずれか一方を弾性変形可能に構成した場合も同様の作用効果が得られる。
【0039】
このように、第1実施形態では、ステアリングローラー34が本発明の「張架ローラー」に相当し、転写フレーム80a、80bおよび支持フレーム80cが本発明の「第1支持部」に相当し、ガイド部材81、サブフレーム82、当付けベアリング83が本発明の「第2支持部」に相当する。また、塗布ローラー91が本発明の「塗布部材」に相当し、液体塗布ヘッド92が「液体貯留部材」に相当し、ノズル922の先端開口が本発明の「供給口」に相当する。
【0040】
図4は本発明にかかる画像形成装置の第2実施形態を示す図である。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、液体塗布部9の構成であり、その他の構成は第1実施形態と同一である。以下、相違点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
この第2実施形態では、液体塗布部9は、スポンジなどの弾性材料で構成される塗布ブロック95と、オーバーフロー槽96と、ポンプ93とを備えている。この塗布ブロック95は、第1実施形態の塗布ローラー91に代わるものであり、本発明の「塗布部材」に相当する。より詳しくは、塗布ブロック95は、図4に示すように、クリーニングローラー61の軸方向Xに延設された直方体形状を有しており、その下方端面がクリーニングローラー61のローラー周面と摺接するように転写フレーム80a、80bにより所定位置で配置されている。また、塗布ブロック95に近接した位置でオーバーフロー槽96は転写フレーム80a、80bに固定された支持フレーム80cにより固定支持されている。このオーバーフロー槽96は、液体現像剤Lを貯留可能な貯留ボックス961と、貯留ボックス961の開口近傍と塗布ブロック95とを接続して塗布ブロック95を支持するとともに貯留ボックス961から塗布ブロック95に液体現像剤Lを案内する液体流通部材962とを有している。すなわち、貯留ボックス961の上面には開口が設けられており、ポンプ93により液体現像剤Lが貯留ボックス961に送り込まれると、貯留ボックス961の開口から液体現像剤Lが軸方向Xにおいてほぼ均一にオーバーフローする。このオーバーフローした液体現像剤Lは液体流通部材962の上面を伝わって塗布ブロック95に供給され、さらに塗布ブロック95を介してクリーニングローラー61に供給される。
【0042】
このように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、ステアリングローラー34およびクリーニングローラー61の傾斜移動にかかわらず、液体塗布部9は予め定められた所定位置で転写フレーム80a、80bおよび支持フレーム80cにより支持された状態のまま維持されるように構成されており、ステアリングモーター85に対して多大な負荷がかかるのを防止している。したがって、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0043】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、中間転写ベルト31に対して第1クリーニングローラー61を従動回転させているが、カウンター回転させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…画像形成装置、 9…液体塗布部、 31…中間転写ベルト(像担持体ベルト)、 34…ステアリングローラー(張架ローラー)、 61…クリーニングローラー、 64…クリーニング用タンク、 80a、80b…転写フレーム、 80c…支持フレーム、 82…サブフレーム、 83…ベアリング、 84…ステアリングカム、 85…ステアリングモーター、 86…リンク部材、 91…塗布ローラー(塗布部材)、 92…液体塗布ヘッド(液体貯留部材)、 92a…ノズル、 95…塗布ブロック(塗布部材)、 961…オーバーフロー槽(液体貯留部材)、 962…液体流通部材、 L…液体現像剤、 X…軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像を担持する像担持体ベルトと、
前記像担持体ベルトを張架する張架ローラーと、
前記像担持体ベルトを介して前記張架ローラーと当接するクリーニングローラーと、
塗布液を前記クリーニングローラーに塗布する液体塗布部と、
前記液体塗布部を支持する第1支持部と、
前記クリーニングローラーが前記張架ローラーに当接している時に前記第1支持部に対して前記張架ローラーを軸方向で傾斜させる支持部材を有する第2支持部と、
前記張架ローラーが軸方向に傾斜することに応じて前記像担持体ベルトの蛇行を修正する蛇行修正部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記液体塗布部は、塗布液を貯留する液体貯留部材と、前記液体貯留部材に貯留された塗布液を前記クリーニングローラーに塗布する塗布部材と、を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記塗布部材は前記クリーニングローラーと当接して弾性変形する弾性層を有する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記塗布部材は塗布ローラーである請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記塗布部材は、前記クリーニングローラーと摺接する塗布ブロックである請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1支持部は前記塗布部材の鉛直方向の上方に前記液体貯留部材を支持する請求項2ないし5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記液体貯留部材は前記クリーニングローラーの軸方向に配設された供給口を複数有し、前記供給口から塗布液を前記塗布部材に滴下する請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−108219(P2012−108219A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255594(P2010−255594)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】