説明

画像形成装置

【課題】記録媒体に欠損領域がある場合でも、搬送ベルトや他の機器にインクやトナーを付着させないことが出来る。
【解決手段】画像データに基づいた画像を、記録媒体に形成する画像形成手段と、記録媒体の欠損領域を検知する検知手段と、前記検知された欠損領域と対応する画像データに基づいた画像を記録媒体に形成させない画像形成制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、転写用紙の正確な位置に印字する技術から提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の技術では、CIS(密着イメージセンサー(CIS: Contact Image Sensor)により、転写用紙の搬送方向の先端の位置を検出する。そして、該検出された端部の位置に基づいて、印字位置の変更や、転写用紙の位置の変更を行い、印刷を行なう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1記載の技術では、転写用紙の先端しか検知していない。従って、この検知位置以外に、転写用紙の破れや折れ、パンチ穴などの転写用紙の欠損領域がある場合に、該欠損領域を検知できず、転写用紙外に印字してしまい、搬送ベルトや他の機器にインクやトナーが付着するという問題が生じる。
【0004】
そこで、このような問題を鑑みて、本発明では、転写用紙に欠損領域がある場合でも、搬送ベルトや他の機器にインクやトナーを付着させない画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、画像データに基づいた画像を、記録媒体に形成する画像形成手段と、記録媒体の欠損領域を検知する検知手段と、前記検知された欠損領域と対応する画像データに基づいた画像を記録媒体に形成させない画像形成制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の画像形成装置によれば、転写用紙に欠損領域がある場合でも、搬送ベルトや他の機器にインクやトナーを付着させないことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施例の画像形成装置の外観の簡略図を示す図である。
【図2】本実施形態の画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本実施形態の画像形成装置の要部の機能構成例を示す図である。
【図4】図3に示す本実施形態の画像形成装置の要部の側面を示した図である。
【図5】本実施形態の制御手段の機能構成例を示す図である。
【図6】本実施形態の画像形成装置の処理フローを示す図である。
【図7】本実施形態の検知部の読取結果を示した図である。
【図8】別の実施形態の検知部の読取結果を示した図である(その1)。
【図9】別の実施形態の検知部の読取結果を示した図である(その2)。
【図10】別の実施形態の検知部の読取結果を示した図である(その3)。
【図11】本実施形態の検知手段の機能構成例を示した図である。
【図12】本実施形態の第2センサ部の出力電圧を示した図である。
【図13】本実施形態のテーブル表の機能構成例を示した図である。
【図14】別の実施形態のテーブル表の機能構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、各実施形態について説明する。また、同じ機能を持つ構成部や同じ処理を行う過程には同じ番号を付し、重複説明を省略する。画像形成装置とは例えば、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機などである。また、記録媒体は、例えば、基板、用紙、連続紙、糸、繊維、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなどの媒体である。また、画像形成剤とは、記録媒体に画像形成するために用いられるものであり、例えば、トナーやインクをいう。以下では、記録媒体を用紙として説明する。
<画像形成装置の全体の構成図>
図1に本実施例の画像形成装置10の外観図を簡略的に示す。本実施例の画像形成装置10は、表示手段18、収容手段40などを含む。表示手段18には様々な情報が、ユーザが認識できるように、表示される。収容手段40には、様々なサイズ(例えば、A4やB5など)の用紙が収容される。
【0009】
<ハードウェア構成>
図2は、本発明に係る画像形成装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、画像形成装置10は、制御手段11、主記憶手段12、補助記憶手段13、外部記憶装置I/F手段14、ネットワークインターフェース手段16、入力手段17、表示手段18、エンジン手段19を含む。
【0010】
制御手段11は、コンピュータの中で、各装置の制御やデータの演算、加工を行うCPUである。また、制御手段11は、主記憶手段12に記憶されたプログラムを実行する演算装置であり、入力装置や記憶装置からデータを受け取り、演算、加工した上で、出力装置や記憶装置に出力する。
【0011】
主記憶手段12は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などであり、制御手段11が実行する基本ソフトウェアであるOSやアプリケーションソフトウェアなどのプログラムや画像データを記憶又は一時保存する記憶装置である。
【0012】
補助記憶手段13は、HDD(Hard Disk Drive)などであり、アプリケーションソフトウェアなどに関連するデータを記憶する記憶装置である。
【0013】
外部記憶装置I/F手段14は、USB(Universal Serial Bus)などのデータ伝送路を介して接続された記憶媒体15(例えば、フラッシュメモリ、SDカードなど)と画像形成装置10とのインタフェースである。
【0014】
また、記憶媒体15に、所定のプログラムを格納し、この記憶媒体15に格納されたプログラムは外部記憶装置I/F手段14を介して画像形成装置10にインストールされ、インストールされた所定のプログラムは画像形成装置100により実行可能となる。
【0015】
ネットワークインターフェース手段16は、有線及び/又は無線回線などのデータ伝送路により構築されたLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などのネットワークを介して接続された通信機能を有する周辺機器と画像形成装置10とのインタフェースであり、画像形成装置内の構成部からの情報を取得する。
【0016】
入力手段17や表示手段18は、キースイッチ(ハードキー)とタッチパネル機能(GUIのソフトウェアキーを含む:Graphical User Interface)を備えたLCD(Liquid Crystal Display)とから構成され、画像形成装置10が有する機能を利用する際のUI(User Interface)として機能する表示及び/又は入力装置である。また、表示手段18は、後述する第1表示手段181、第2表示手段182とを含むものである。
【0017】
エンジン手段19は、実際に液滴を吐出するために行われる処理を行う記録ヘッド、プロッタなどを駆動する駆動機構等の機構部分である。
[実施形態1]
次に、実施形態1の画像形成装置について説明する。図3に実施形態1の画像形成装置の要部を示し、図4に図3の要部の側面を示し、図5に制御手段11の機能構成例を示し、図6に本実施形態1の画像形成装置の処理フローを示す。
【0018】
図4に示すように、本実施形態1の画像形成装置10の搬送手段60は、用紙56を搬送する。図4の例では、搬送手段60は、無端状の搬送ベルトである。そして、搬送手段60の搬送方向上流側から、該搬送手段60と対向するように、第1センサ54、第2センサ52、画像形成手段55の順に配列されている。第1センサ54と第2センサ52との距離をD1とし、第2センサ52と画像形成手段55との距離はD2とする。
【0019】
画像形成手段55は、画像データに基づいた画像を形成するものである。画像データは、読取手段(図示せず)が、ユーザが画像形成装置10にセットした原稿を読み取ることで取得されるものである。取得された画像データは一時、主記憶手段12または補助記憶手段13に記憶される。この読取手段により取得された画像データを元画像データという。また、例えば、画像形成装置10がインクジェット方式の画像形成装置である場合には、画像形成手段55は、インク吐出ノズルに該当する。
【0020】
また、図3に示すように、用紙の幅をL2、用紙の幅方向の第2センサ52の長さをL1、搬送手段60の用紙幅方向の長さをL3とする。図3の例では、L3>L1>L2とする。また、用紙の幅L2は、規格されている用紙(例えば、A4やB4)の中で、最大の幅であるとする。
【0021】
また、第2センサ52と対向する位置に、反色部材58を配置させる。ここで反色部材58とは、用紙の色と反対の色である部材である。用紙の色が白色である場合には、反色部材58は、白色の反対色である黒色であることが好ましい。また、搬送手段60の用紙56が載置される面を全て反色部材58とすることが好ましい。つまり、用紙56が白色の場合には、搬送手段60の用紙56が載置される面を全て黒色にする。
【0022】
また、反色部材58は、搬送手段60のベルト自体を反色部材58(例えば黒色のベルトなら黒色の反色部材)として使用することもできる。
【0023】
次に、本実施形態1の画像形成装置の処理フローについて図6を用いて説明する。まず、ユーザから、入力手段17に対して、印刷命令が入力されると、ユーザがセットした原稿についての元画像データが取得され、主記憶手段12に記憶される。そして、制御手段11は、収容部40に収容されている用紙を搬送手段50まで給紙させる(ステップS2)。
【0024】
そして、図3、図4に示す第1センサ54が用紙56の先端56aを検知する(ステップS4)。そして、用紙56が、搬送手段60により、第1センサ54の地点から、距離D0搬送された時(つまり、用紙56の先端56aが距離D0の地点に到達した時)に第2センサ52は、用紙56の読取を開始する。ただし、D1>D0とする。
【0025】
ここで、用紙56が距離D0搬送された時というのは、第1センサ54が用紙56の先端を検知した時から、第1所定時間T1経過した時である。また、第1所定時間T1は、T1=D0/Vで予め求めることが出来る。ここで、Vとは、搬送手段60の搬送速度であり、予め定められている値である。第1所定時間T1は、主記憶手段12に予め記憶されている。制御手段11は、第1センサ54が用紙56の先端を検知した時から、第1所定時間T1経過した時に、第2センサ52の読取を開始させる。
【0026】
また、第2センサ52は、例えば、CIS(密着イメージセンサー(CIS: Contact Image Sensor)であり、用紙に光を当てて、用紙からの反射光を受光することで、第2センサ52の下方を通過している領域が、用紙56内の領域と、用紙56以外の領域と、を検知するものである。ここで、用紙56内の領域を「記録媒体内領域」という。ここでは、記録媒体を用紙としているので、用紙内領域という。また、用紙56外の領域を「記録媒体外領域」という。ここでは、記録媒体を用紙としているので、用紙外領域という。第2センサ52の詳細な構成については後述する。
【0027】
図7に、第2センサ52の読取結果を模式的に示した図である。図7に示すように、領域80Aについては黒色(つまり、反色部材58)の読取結果である。領域80Aの黒色の領域は「用紙外領域」であり、説明簡略化のために、「黒領域」という場合もある。
【0028】
ここで、上述のように、D1>D0であることから、第2センサ52は、用紙56の先端56aが、第2センサ52に到達する前から、読取を行なっている。つまり、用紙56の先端56aがD0地点に到達した時から、用紙56の先端56aが第2センサ52に到達する時までの時間Sも、第2センサ56は、読取を行なっている。この時間Sでは、第2センサ52は、用紙外領域80A(反色部材58)を読み取っていることから、この時間Sの読取結果は、図7中の用紙外領域80Aに示すように、黒色となる。
【0029】
次に、第2センサ52の真下を用紙56が通過すると、図7(a)に示すように、用紙56の用紙内領域80Cを読み取る。以下の説明では、用紙56の用紙内領域80Cを「白領域」という。
【0030】
そして、第2センサ52は、全ての用紙内領域80Cを読み取った時から、第2所定時間T2だけ読取を続ける。ここで、第2所定時間T2とは予め定められるものである。第2センサ52は、用紙内領域80Cを読み取った後も第2所定時間T2だけ読取を続けることから、用紙内領域80Cに後続する用紙外領域80D(反色部材58)も読み取ることが出来る。そして、第2センサの読取を終了させる(ステップS9)。また、第2所定時間T2は例えば、第1所定時間T1と同一の値とすればよい。また、第2所定時間T2は、用紙内領域80Cに後続する用紙外領域80Dを読み取ることが出来れば、どのような値でも良い。
【0031】
このようにして、第2センサ52は、図7(a)に示すように、用紙についての用紙外領域80A、80D、および、用紙内領域80Cを読み取ることが出来る。
【0032】
また、図7(a)中の用紙56の角の周辺の領域80Bの拡大図を図7(b)に示す。以下の説明では、用紙56に画像形成手段55により画像形成される方向を主走査方向とし、用紙の搬送方向を副走査方向とする。また、図7(b)に示すように、画像データの主走査方向の解像度を主走査解像度とし、副走査方向の解像度を副走査解像度とする。図7(a)(b)に示した第2センサ52の読取結果は、折れ曲がったり、穴が開けられていない状態の用紙56の読取結果である。以後に示す図面では、1マスが、1画素を示す。
【0033】
そして、図8(a)(b)に、第2センサ52が読み取った用紙56の角の部分の一例を模式的に示す。図8(a)に示す例では、用紙外領域80Aと用紙内領域80Cとが示されている。図8(a)の例では、用紙内領域80Cが角の形状をなしていることから、用紙56が折れ曲がったり、用紙56に穴が開いたりしていないことが分かる。
【0034】
しかし、図8(b)に示す例では、本来、用紙内領域80Cであるべき箇所が、用紙外領域(黒領域)になっている領域α、αが存在する。この例では、領域αは、用紙56の角が折れ曲がっていることから生じた領域であると考えられ、領域αは、用紙56に穴が開いていることから生じた領域であると考えられる。もし、領域αや領域αに対して、画像形成手段55が画像形成剤(インクなど)を吐出してしまうと、搬送手段60や他の機器に画像形成剤が付着してしまう。そこで、本実施形態1の画像形成装置では、このような領域αやαに対応する画像データについてはマスク処理をする。ここで、「画像データに対してマスク処理を行う。」とは、「この画像データに基づいた画像については、用紙56に対して画像形成を行なわないように元画像データを変更する。」ということを意味する。この例では、領域αや領域αには、画像形成されないように元画像データを変更する。以下では、用紙56に対して開けられた穴(後述するパンチ穴も含む)や、用紙56が折り曲げられている領域、を「欠損領域」という。欠損領域とは、用紙の領域において、本来存在する領域であるが何らかの理由で存在しなくなっている領域をいう。何らかの理由とは、上述のように、用紙56に穴が開けられたり、用紙56が折り曲げられていることである。
【0035】
第2センサ52からは、受光した反射光に応じた電圧を制御手段11に出力する。そして、制御手段11は、出力された電圧に基づいて、記録媒体データを生成する。ここで、記録媒体データとは第2センサ52が用紙56を読み取った用紙についてのデータであり、用紙外領域および用紙内領域を示すものである。また、ここでは、記録媒体を用紙としているので、記録媒体データを用紙データという。また、記録媒体データの生成手法は、後述する。
【0036】
また、第2センサ52による欠損領域の検知の詳細について説明する。以下では、欠損領域のない用紙を「正常な用紙」という。予め、主記憶手段12には、正常な用紙の用紙データを記憶させておく。この用紙データについては、用紙のサイズごと(例えば、A4、B4・・・など)に記憶させておくことが好ましい。そして、ユーザから入力された画像形成される用紙56のサイズ、または、制御手段11が自動判断した用紙56のサイズと対応する用紙データ(つまり、正常な用紙の用紙データ)と、第2センサ52から入力された用紙データ(欠損領域がある可能性のある用紙データ)と、を第1判定手段116は比較する。
【0037】
そして、第1判定手段116が、正常な用紙の用紙データと、第2センサ52からの用紙データとが同一であると判定した場合には、第2センサ52に読み取られた用紙56には、欠損領域がないと判断する(ステップS10のNo)。そして、画像形成手段55は、用紙に対して、画像データに基づいた画像を形成する。
【0038】
一方、第1判定手段116が、正常な用紙の画素データと、第2センサ52からの画素データとが同一でないと判定した場合というのは、第2センサ52からの用紙データが欠損領域が含まれているということなので(ステップS10のYes)、ステップS14に進む。
【0039】
ステップS14では、画像形成制御手段110は、欠損領域の画素の座標を取得する。そして、画像形成制御手段110は、取得した欠損領域の画素の座標に基づいて、画像データを変更する(ステップS14)。具体的には、画像形成制御手段110は、ステップS2で取得した元画像データの座標のうち、欠損領域と対応する画像データの画素に対してマスクをかける。上述のように、「マスクをかける」とは、画像形成手段55に対して、欠損領域と対応する画像データの画素については用紙56に対して、画像形成させないように元画像データを変更することをいう。
【0040】
そして、画像形成手段55は、画像形成制御手段110の制御による画像形成を用紙56に対して行なう。具体的には、画像形成手段55は、ステップS14で変更された画像データに基づいて、用紙56に対して画像形成する(ステップS16)。
【0041】
また、第1センサ54と第2センサ52と反色部材58と第1判定手段116と、をまとめて検知手段70とする。検知手段70は、ステップS4〜ステップS10までの処理を行うことにより、用紙56の欠損領域を検知するものである。検知手段70の処理内容を説明する。用紙の先端56aが、第1センサ54により検知されて(ステップS4)、第1所定時間T1(=D0/V)経過後に(ステップS6)、第2センサ52は読取を開始する(ステップS8)。そして、第1判定手段116が「第2センサ52からの用紙データ」と「正常な用紙の用紙データ」と、を比較することで、図8(b)に示すような、用紙の折れや穴などの欠損領域を検知することが出来る(ステップS10)。
【0042】
つまり、本実施形態1の画像形成装置であれば、検知手段70が検知した用紙56の用紙データを画像形成手段110にフィードバックして、該フィードバックされた用紙データに基づいて、元画像データを変更する。
【0043】
更に、他の画像データの変更例を説明する。図9(a)に、元画像データを示す。図9(a)の例の元画像データは、用紙56全面に黒画像を画像形成するものである。そして、検知手段70が、用紙56の欠損領域を検知する。図9(b)に、検知手段70の読取結果を示す。図9(b)の例では、用紙56に折れている領域α、パンチ穴が開いている領域αが欠損領域として検知される。そして、画像形成制御手段110は、欠損領域に対応する画像データの画素の座標に基づいて、画像データを変更する。そして、画像形成手段55は、変更された画像データに基づいて、用紙56に画像形成する。画像形成された用紙56を図9(c)に示す。このように、本実施形態の画像形成装置であれば、用紙56の折れやパンチ穴などの欠損領域α、αが存在したとしても、この欠損領域には、画像形成しないことから、搬送手段60や、他の部材に画像形成剤が付着しない。
【0044】
また、他の画像データの変更例について説明する。図10(a)に元画像データを示す。図10の説明では、説明簡略化のために、元画像データ、用紙56の主走査方向の画素数を「2」とし、副走査方向の画素数を「3」とし、つまり、元画像データの全画素数を「6」とする。また、第2センサ52の読取解像度を「4×5=20」とする。なお、実際には、用紙サイズがA4に印刷する場合には、解像度が600×600dpiの場合、用紙1枚あたりの元画像データは約7000×5000画素であり、また、第2センサ52の読取解像度は例えば600×600dpiのように高い解像度が望ましい。
【0045】
図10(a)の例では、元画像データは全て黒画素である。図10(b)に用紙56の形状を示す。図10(b)に示す用紙56は、欠損領域αを有する。図10(c)は、検知手段70が、図10(b)に示す用紙を読み取った用紙データである。上述のように、第2センサ52の読取解像は「4×5=20」であることから、図10(c)に示すような用紙データになる。図10(c)では、画素β〜βが、用紙内領域の画像データの画素となり、画素αが、用紙外領域(欠損領域)の画像データの画素となる。
【0046】
そして、画像形成制御手段110は、検知手段70が読み取った用紙データ内の欠損領域の座標に基づいて、元画像データを変更する。変更後の画像データを図10(d)に示す。図10(d)の例では、図10(a)に示す元画像データと比較して、欠損領域αと対応する画素α'が白領域となる(マスクされる)。そして、画像形成手段55は変更後の画像データに基づいて用紙56に画像形成を行う。該画像形成後の用紙56を図10(e)に示す。
【0047】
本実施形態1の画像形成装置によれば、検知手段70が用紙56の欠損領域を検知する。そして、画像形成制御手段110が、元画像データのうち、検知された欠損領域に対応する画像データに基づいた画像を用紙56には形成させず、欠損領域以外の領域に対応する画像データに基づいた画像を用紙56に形成する。従って、画像形成剤が、搬送手段60や他の機器に付着することはないという有利な効果を奏する。
【0048】
更に詳細に説明すると、例えば、画像形成装置がインクジェット方式の場合には、画像形成剤はインクであり、該インクを搬送手段60や他の機器に付着させることはない。また、画像形成装置が電子写真方式で、感光体を用いる場合には、画像形成材はトナーとなり、マスクをかけた画像データについての静電潜像を感光体に形成し、該静電潜像に対してトナー像を形成し、用紙に該トナー像を転写する。従って、トナーを搬送手段60や他の機器に付着させることはない。
【0049】
また、上述では、反色部材58は、搬送手段60の搬送面に形成されると説明したが、反色部材58は、搬送手段60とは別個に設けても良い。この場合には反色部材58は黒マイラとし、この場合には、第2センサ52が検知できる領域内(例えば、第2センサ52の受光手段524の搬送手段60と対向する対向面524a(図11参照))と対向する位置であり、第2センサ52と反色部材58との間を用紙56が搬送されるような位置に、反色部材58を配置させればよい。
【0050】
また、用紙56が黒以外である場合、反色部材を設けなくてもよい。つまり如何なる部材も存在しない空間を第2センサ52で読取る。第2センサ52が、該空間を読み取ったとしても、反射がないため、黒色相当の出力が得られる。用紙を読み取るとその用紙の色が得られるため、結果として、黒色の反色部材と同じ効果を得ることができる。
【0051】
また、上述では、第2センサ52は長さL1のものを1つ配置させる、と説明した。他の手法としては、複数のCISを用紙の幅方向に配列させて長さL1にする構成としてもよい。
[実施形態2]
次に、実施形態2の画像形成装置について説明する。実施形態1では、欠損領域に対応する画像データの画素数が極端に多い場合には、該画素に対応する画像は用紙56に形成されないことから、ユーザが意図しない画像が形成されることがある。そのような事態が生じると、用紙や画像形成剤が無駄になり、コストが増大する。そこで、実施形態2の画像形成装置では、欠損領域と対応する画像データの画素数が予め定められた第1閾値Mより多ければ、画像形成を行なわないものである。
【0052】
図6に示すステップS10において、検知手段70が、欠損領域が存在すると判断すると、計測手段112が、該欠損領域と対応する画像データの画素数を計測する。図10の例では、欠損領域と対応する画像データの画素数は「1」となる。計測手段112による、欠損領域と対応する画像データの画素数の求め方の一例として、まず計測手段112は、記録媒体内領域の画素数(図10の例では「5」)を計測する。そして、元画像データの全画素数(図10の例では「6」)から、計測された記録媒体内領域の画素数(図10の例では「5」)を差し引くことで、欠損領域と対応する画像データの画素数を求めることが出来る。
【0053】
そして、第2判定手段118が、計測手段112が計測した画素数と、予め定められた第1閾値Mとを比較する。第1閾値Mは、主記憶手段12や補助記憶手段13などに記憶されている。そして、計測手段112が計測した画素数が、第1閾値Mよりも大きい場合には、ユーザが意図する画像が形成されない可能性が高いので、停止手段115は、画像形成手段55による画像形成処理を停止させる。また、この停止の際には、第1表示手段181(図2参照)に、画像形成を停止させた旨の情報を表示することが好ましい。
【0054】
ここで、画像形成を停止させた旨の情報の表示については、第1表示手段181に該情報を提示することで、ユーザに画像形成を停止させたことを認識させてもよい。また、音声で、ユーザに画像形成を停止させたことを認識させてもよい。また、用紙に画像形成を停止させたことを印刷して、排出するようにしても良い。
【0055】
更に好ましくは、第1表示手段181に、画像形成手段70による画像形成を続行させるか、停止手段114(図5参照)により画像形成を停止させるかをユーザに選択させる選択画面を表示することが好ましい。そして、ユーザは、入力手段17から、画像形成を続行させるか、画像形成を停止させるかを入力する。例えば、第1表示手段181に「画像形成続行」ボタンと「画像形成停止」ボタンを電子気的に表示させる。そして、ユーザは、これら2つのボタンのどちらかをユーザが押下する。そして、制御手段11は、押下されたボタンの指示に従って、画像形成、または、画像形成の停止を行なう。
【0056】
このように、欠損領域が大きい場合に、画像形成を続行すると、ユーザが意図しない画像形成が行なわれる場合がある。この実施形態2の画像形成装置によれば、欠損領域が大きい場合には、画像形成を行うか、画像形成を停止させるかをユーザが、選択することが出来る。従って、画像形成剤や用紙のコスト削減に繋がる。
[実施形態3]
実施形態2では、第1表示手段181に、画像形成を行うか、画像形成を停止させるかを選択させる選択画面を表示させた。実施形態3では、検知手段70により検知手段により検知された欠損領域、および/または、計測手段112により計測された画素数を表示させ、ユーザに認識させる。これにより、ユーザは、用紙56に画像形成された画像を、画像形成前に認識することが出来る。従って、ユーザは、画像形成を行うか、画像形成を停止させるかの判断を更に適切に行なうことができる。
【0057】
まず、欠損領域の表示について説明する。元画像データおよび用紙56が、図10(a)(b)に示す例の場合には、「欠損領域を表示させる」とは、図10(d)に示す画像データについての画像を第1表示手段181に示す。「欠損領域を表示させる」とは、元画像の全画素のうち、欠損領域と対応する画素をマスクした画像データについての画像を表示させることである。このように、表示手段18に欠損領域を表示させることで、画像形成制御手段110による画像データ変更後の画像を認識することが出来る。従って、ユーザは、欠損領域が多い場合に、画像形成を行うか、画像形成を停止させるかの判断を適切に行なうことができる。
【0058】
次に、計測手段112により計測された画素数の表示について説明する。上述の通り、計測手段112は、欠損領域と対応する画像データの画素数、つまり、マスクされた画素数を計測する。そして、表示手段18には、計測されたマスクされた画素数を表示する。図10の例では、表示手段18には、例えば、マスクされた画素数として「1」を表示する。このように、マスクされた画素数を表示するようにしても、ユーザはどの程度、マスクされたかを認識することが出来るので、画像形成を行うか、画像形成を停止させるかの判断を適切に行なうことができる。
【0059】
この実施形態3の画像形成装置によれば、表示手段18に、検知手段70により検知された欠損領域、または/および、マスクされた画素数が表示される。従って、ユーザは画像形成を行うか、画像形成を停止させるかの判断を適切に行なうことができる。
[実施形態4]
次に、実施形態4の画像形成装置について説明する。実施形態4では、主に、第2センサ52の詳細例を説明する。図11に第2センサ52の機能構成例を示す。図11の例では、第2センサ52は、送光手段522と受光手段524とを含む。そして、第2センサ52は、搬送手段60と対向する対向面52aを有する。上述した第2センサ52の長さL1は、この対向面52aの用紙幅方向の長さをいう。
【0060】
送光手段522は、搬送手段60に搬送されている用紙56や、搬送手段60に対して、送光する。また、受光手段524は、送光手段522からの光の反射光を受光するものである。受光手段524は、該受光手段524に入力される反射光に応じた電圧を出力する。そして、制御手段11内の第3判定手段120が、該出力された電圧を取得する。
【0061】
図12に、取得された電圧について示す。縦軸は取得した電圧値であり、横軸は主走査方向の画素を示す。また、図12の例では、第2センサ52が黒領域(用紙外領域)を読み取った場合には、出力電圧は低くなり、白領域(用紙内領域)を読み取った場合には、出力電圧は高くなるように構成されているとする。図8(a)の例では、主走査方向の画素数が進むにつれて、出力電圧は高くなる。
【0062】
そして、第3判定手段120は、第2センサ52からの出力電圧に基づいて、第2センサ52が読み取った領域が白領域であるか、黒領域であるかを判定し、記録媒体データを生成する。具体的には、第3判定手段120は、取得した出力電圧と予め定められた第2閾値Nとを比較する。第3判定手段120が、「出力電圧が第2閾値N以上である」と判定した場合には、出力電圧は高いとされる。逆に、第3判定手段120が、「出力電圧が第2閾値N未満である」と判定した場合には、出力電圧は低いとされる。また、この第2閾値Nはスレッシュ電圧とも呼ばれ、予め主記憶手段12などに記憶されているものである。図12の例では、21画素までは、出力電圧は、第2閾値N未満であることから、第2センサ52は、黒領域を検知している。22画素からは、出力電圧が第2閾値以上であることから、第2センサ52は、白領域を検知している。また、図12中の論理において、電圧が低いことを「L」と示し、電圧が高いことを「H」と示す。このようにして、第3判定手段120は記録媒体データを生成する。
【0063】
また、第2閾値N(スレッシュ電圧)は可変であることが好ましい。何故なら、用紙56の種類や色によって、送光手段522からの光の反射率が異なる。従って、用紙の種類ごとに、適切なスレッシュ電圧は異なる。第2閾値Nは、ユーザにより入力手段17から入力されるようにすればよい。
【0064】
また、用紙の種類と、第2閾値Nとを対応付けたテーブル表を主記憶手段12に記憶させておくことが好ましい。このテーブル表の一例を図13に示す。図13の例では、用紙の種類がm(mは1以上の整数)個あるとする。そして、用紙の種類Eに対応する第2閾値はNとなる。
【0065】
ユーザは入力手段17から、画像形成する用紙の種類を入力する。そして、第3判定手段120が、テーブル表を参照して、入力された用紙の種類と対応するスレッシュ電圧を取り出す。そして、第3判定手段120は、第2センサ52からの出力電圧と、取り出したスレッシュ電圧を比較して、白領域か黒領域かを判断する。
【0066】
この実施形態4の画像形成装置によれば、第2センサ52を送光手段522と受光手段524とで構成される。そして、第3判定手段は、第2センサ52からの出力電圧と、第2閾値Nとを用いて、白領域か黒領域かを判断する。また、第2閾値Nを可変とすることが更に好ましい。何故なら、用紙56の種類に応じて、第2閾値Nを定めることで、用紙の種類に応じて、適切に白領域、黒領域を判定できる。
[実施形態5]
次に実施形態5の画像形成装置について説明する。実施形態5の画像形成装置では、記録媒体内領域の画像データの画素数に基づいて、用紙56のサイズを求める。図10の例では、記録媒体内領域に対応する画像データの画素数(以下、「記録媒体内画素数」という。)は、「5」である。
【0067】
具体的な処理としては、計測手段112が、記録媒体内画素数を計測する。そして、判別手段122は、記録媒体内画素数に基づいて、用紙のサイズを判別する。判別手段122の用紙のサイズの判別手法として、予め、記録媒体内画素数の範囲と用紙の種類とを対応付けたテーブル表を主記憶手段12に記憶させる。このテーブル表の一例を図14に示す。
【0068】
図14の例では、例えば、記録媒体内画素数がa〜bであれば、用紙の種類はUとなる。判別手段122は、図14に示すテーブル表中の、記録媒体内画素数の範囲と対応する用紙の種類を、画像形成される用紙の種類として決定する。
【0069】
また、ユーザは、ステップS2(図6参照)で、画像形成装置10に印刷指示を入力する場合に、用紙のサイズも入力手段17から入力される。そして、入力手段17から入力された用紙のサイズが、判別手段122により判別された用紙のサイズと異なる場合には、第2表示手段182には、「入力手段から入力された用紙のサイズが、判別手段122により判別された用紙のサイズと異なる」旨の情報を表示する。
【0070】
この実施形態5の画像形成装置であれば、記録媒体内領域に対応する画像データの画素数に基づいて、画像形成されようとしている用紙の種類を判別できる。従って、画像形成されようとしている用紙のサイズと、判別手段122に判別された用紙のサイズとが、異なる場合には、この旨を示す情報を第2表示手段182に表示させることで、ユーザに認識させることが出来る。
【符号の説明】
【0071】
110 画像形成手段
112 計測手段
114 停止手段
116 第1判定手段
118 第2判定手段
120 第3判定手段
122 判別手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2005−10239号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいた画像を、記録媒体に形成する画像形成手段と、
記録媒体の欠損領域を検知する検知手段と、
前記検知された欠損領域と対応する画像データに基づいた画像を記録媒体に形成させない画像形成制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記欠損領域と対応する画像データの画素数を計測する計測手段と、
前記画像形成手段による画像形成を停止させる停止手段と、
前記計測された画素数が予め定められた第1閾値以上である場合には、前記画像形成手段により画像形成を行なわせるか、または、前記停止手段により前記画像形成を停止させるかが入力される入力手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知手段により検知された欠損領域、および/または、前記計測手段により計測された画素数を表示する第1表示手段を有することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記欠損領域と対応する画像データの画素数を計測する計測手段と、
前記検知手段により検知された欠損領域、および/または、前記計測手段により計測された画素数を表示する第1表示手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
記録媒体内の領域に対応する画像データの画素数に基づいて、記録媒体のサイズを判別する判別手段を有することを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
記録媒体が収容される収容手段と、
前記収容手段に収容されている記録媒体のサイズが、前記判別手段により判別された記録媒体のサイズと異なる場合には、該異なる旨の情報を表示する第2表示手段と、を有することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検知手段は、
記録媒体に対して送光する送光手段と、
記録媒体からの反射光を受光し、該反射光に応じた電圧を出力する受光手段と、
前記出力された電圧と、予め定められた第2閾値以上と、に基づいて、前記欠損領域を検知する判定手段と、を含むことを特徴とする請求項1〜6何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2閾値は可変であることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−111152(P2012−111152A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262766(P2010−262766)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】