説明

画像形成装置

【課題】消費電力を抑え、光源寿命を長く維持可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】記録媒体上に色材を付着させる色材付着手段と、記録媒体を搬送する媒体搬送手段と、前記色材付着手段に対して、前記記録媒体の搬送方向下流側に配置された、色材を記録媒体に定着させる光を照射する色材定着手段と、前記媒体搬送手段で搬送される記録媒体の搬送量を検出する搬送量検出手段と、前記搬送量検出手段で検出される、前記色材付着手段と前記色材定着手段との間の搬送方向における距離に対応する記録媒体の第1搬送量及び前記色材付着手段で形成される色材付着領域の搬送方向における幅に対応する記録媒体の第2搬送量のいずれか少なくとも一方に基づいて、前記色材定着手段の照射を制御する制御部と、を有する事を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に光を照射する事により硬化する色材を用いて記録媒体に当該色材を付着、硬化させて画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリントヘッドに設けられたノズルからインクを吐出することにより各種の画像を記録形成する画像形成装置において、紫外線硬化インクのインクを使用する画像形成装置が良く知られており、特に近年、記録媒体の表面に光硬化型インクを吐出し着弾したインクに光を照射して硬化させるインクジェット記録装置が良く知られている。このようなインクジェット記録装置は、通常、記録媒体にインクを吐出する複数のノズルを備えた記録ヘッドと、記録媒体の表面に着弾したインクに光を照射する光照射装置とを備えている。
【0003】
光照射装置の光源には、インクを硬化させる波長の光を発する光源が用いられ、従来から、例えば高圧水銀ランプ等の放電ランプが多く用いられてきた(例えば、特許文献1)。また、このような従来の光照射装置の光源は、メディアに放出される光量を制御するような機能を有しており、例えばメカシャッター等を用いて光量を制御していた。
【0004】
しかし、このような放電ランプを用いた場合、放電ランプは、高出力のものが必要であり、その発生発熱量も大きく、また、光源が安定になるまでに時間を多く要するため、その間消費電力の無駄が生じていた。また、従来の光照射装置の光源は、高速に点灯、消灯の切り替えをすることができないものも含まれ、一旦画像形成のための記録、搬送が行われると、その間は画像形成領域か否かに関わらず光を照射することになっていた。そのため、この際にも消費電力の無駄が生じていた。さらには、そのような特性上、光源寿命にも悪い影響が出ていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−115791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、消費電力を抑え、光源寿命を長く維持可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る第1の態様は、記録媒体上に色材を付着させる色材付着手段と、記録媒体を搬送する媒体搬送手段と、前記色材付着手段に対して、前記記録媒体の搬送方向下流側に配置された、色材を記録媒体に定着させる光を照射する色材定着手段と、前記媒体搬送手段で搬送される記録媒体の搬送量を検出する搬送量検出手段と、前記搬送量検出手段で検出される、前記色材付着手段と前記色材定着手段との間の搬送方向における距離に対応する記録媒体の第1搬送量及び前記色材付着手段で形成される色材付着領域の搬送方向における幅に対応する記録媒体の第2搬送量のいずれか少なくとも一方に基づいて、前記色材定着手段の照射を制御する制御部と、を有する事を特徴とする。
【0008】
また本発明に係る第2の態様は、記録媒体上に色材を付着させる色材付着手段と、記録媒体を搬送する媒体搬送手段と、前記色材付着手段に対して、前記記録媒体の搬送方向下流側に配置された、色材を記録媒体に定着させる光を照射する色材定着手段と、記録媒体上の所定位置を検出する所定位置検出手段と、前記所定位置検出手段での所定位置検出に基づき前記媒体搬送手段で搬送される記録媒体の搬送量を検出する搬送量検出手段と、前記搬送量検出手段で検出される搬送量により、前記色材付着手段で形成された色材付着領域の搬送方向における先頭位置が前記色材定着手段に対向する位置に到達するタイミング及び前記色材付着領域の搬送方向における後端位置が通過するタイミングのいずれか少なくとも一方で前記色材定着手段の照射を制御する制御部と、を有する事を特徴とする。
【0009】
また第3の態様は、前記第1又は第2の態様において、前記制御部は、前記記録媒体の色材付着領域の先頭位置が前記色材定着手段に対向する位置に到達する前に前記色材定着手段を点灯させ、前記色材定着手段に対向する位置から前記色材付着領域の後端位置が通過後に前記色材定着手段を消灯するよう制御する事を特徴とする。
【0010】
また第4の態様は、前記第1〜第3の態様のいずれかにおいて、前記制御部による前記色材定着手段の点灯開始は、前記色材定着手段の起動時間を考慮して制御する事を特徴とする。
【0011】
また第5の態様は、前記第4の態様において、前記搬送量検出手段で検出される記録媒体搬送方向での前記記録媒体の所定位置から前記色材付着領域までの距離情報A、前記色材付着領域の記録媒体搬送方向における幅情報B、前記所定位置検出手段の検出位置から前記色材定着手段までの距離情報C、前記色材定着手段の記録媒体搬送方向における幅情報D及び前記色材定着手段の起動時間情報Tの内、少なくとも一つを外部から入力可能な入力手段を有する事を特徴とする。
【0012】
また第6の態様は、前記第5の態様において、前記入力手段は、記録媒体上に複数の色材付着領域を形成する際、先行して搬送される第1色材付着領域の後端位置と、当該第1色材付着領域に続いて後続搬送される第2色材付着領域の先端位置との間隔の情報をEとする時、当該情報Eを外部から入力可能とする事を特徴とする。
【0013】
また第7の態様は、前記第2〜第6の態様のいずれかにおいて、前記色材付着手段、前記搬送量検出手段及び前記所定位置検出手段は、前記搬送手段に対して着脱自在にユニット化されている事を特徴とする。
【0014】
また第8の態様は、前記第2〜第7の態様のいずれかにおいて、前記搬送量検出手段は、搬送に同期して所定周期で出力される信号を前記記録媒体の第1の所定位置検出に基づいて計数する第1計数手段と、前記記録媒体の第1の所定位置検出に基づいて前記第1計数手段とは独立に計数する第2計数手段とを有する事を特徴とする。
【0015】
また第9の態様は、前記第1〜第8の態様のいずれかにおいて、前記色材定着手段としてLED光源を用いて、紫外光を照射する事を特徴とする。
【0016】
また第10の態様は、前記第1〜第9の態様のいずれかにおいて、前記色材付着手段は色材毎に複数有すると共に、前記所定位置検出手段と共にプリントユニットとして構成され、当該プリントユニットと所定位置に配置された単一の前記色材定着手段とが接続されている事を特徴とする。
【0017】
また第11の態様は、前記第1〜第10の態様のいずれかにおいて、前記色材定着手段は記録媒体の搬送方向とは直交する方向に配列された、複数の発光部で構成され、前記制御部は、前記複数の発光部の内、当該幅方向の画像幅長さに対応した位置の発光部のみを点灯するように制御する事を特徴とする。
【0018】
また第12の態様は、前記第2の態様において、前記制御部は、前記色材付着手段により色材付着領域が複数形成される場合、先行して搬送される第1色材付着領域の後端位置が通過後も前記第1色材付着領域に続けて搬送される第2色材付着領域の先頭位置に到達するタイミングまで点灯を継続するよう制御する事を特徴とする。
【0019】
また第13の態様は、前記第1〜第12の態様のいずれかにおいて、前記制御部は、印字速度に応じて前記色材定着手段の照射量を制御する事を特徴とする。
【0020】
また第14の態様は、前記第1〜第13の態様のいずれかにおいて、前記制御部は、形成される画像の出力解像度に応じて前記色材定着手段の照射量を制御する事を特徴とする。
【0021】
また第15の態様は、前記第2〜第14の態様のいずれかにおいて、前記所定位置検出手段は、前記色材付着手段に対して記録媒体搬送方向の上流側に配置され、記録媒体の所定位置を検出する事で前記色材付着手段による記録媒体に色材を付着させるタイミング及び前記色材付着領域に色材定着手段から光を照射させるタイミングの両方を検出する事を特徴とする。
【0022】
また第16の態様は、前記第2〜15の態様のいずれかにおいて、前記所定位置検出手段は、記録媒体の搬送方向において前記色材付着手段と前記色材定着手段との間に配置されている事を特徴とする。
【0023】
また第17の態様は、前記第1〜第16の態様のいずれかにおいて、前記搬送量検出手段はエンコーダであり、前記制御部は前記エンコーダから出力されるエンコーダパルスが所定周期以上である事を検出した場合に前記色材定着手段を消灯するよう制御する事を特徴とする。
【0024】
また第18の態様は、前記第2の態様において、前記所定位置検出手段は、記録媒体の搬送方向において前記色材付着手段と前記色材定着手段との間に配置され、前記色材付着手段で記録媒体の所定位置に形成された色材付着領域を読み取り可能な読み取り手段であり、前記制御部は、当該読み取り手段の読取結果に基づいて前記色材定着手段の照射を制御する事を特徴とする。
【0025】
また第19の態様は、前記第1〜第17の態様のいずれかにおいて、前記色材付着手段は、光を照射する事によって硬化する光硬化性インクを吐出するインク吐出ノズルが形成されたインクジェットヘッドである事を特徴とする。
【0026】
また第20の態様は、前記第1〜第19の態様のいずれかにおいて、前記色材付着手段は、記録媒体の搬送方向と直交する記録媒体の幅方向の全域に渡り、色材を吐出する複数の吐出ノズルを配列したものであり、前記記録媒体の搬送により画像領域全幅に画像形成可能なシングルパスインクジェットプリンタである事を特徴とする。
【0027】
なお、本発明でいう「前記色材定着手段に対向する位置に到達するタイミング」とは、色材定着手段から照射される照射光が記録媒体上に形成された色材付着領域の先端位置から十分に硬化を促進させるためのエネルギーをもって照射するに足るタイミングを指すものであり、必ずしも色材定着手段からの照射光の照射領域中に色材付着領域が含まれる時点に限定されるものではない。
【0028】
同様に「前記色材付着領域の搬送方向における後端位置が通過するタイミング」も、必ずしも色材定着手段からの照射光の照射領域から色材付着領域が外れた時点に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、光源の寿命が短くなることを防止し、かつ無駄な消費電力を抑えることのできる画像形成装置を提供できる。
【0030】
また前述した第2又は第3の態様によれば、更に精度よく照射光を色材付着領域に照射することができる。
【0031】
また前述した第4の態様によれば記録媒体上の色材付着領域に照射光を十分に照射することができる。
【0032】
また前述した第5又は第6の態様によれば色材定着手段と記録媒体上の色材付着領域の相対位置を変更することで、画質なども変えることが可能となる。
【0033】
また前述した第7の態様によれば、色材定着手段や搬送量検出手段などの位置を固定せずに任意の位置に置くことが可能となる。
【0034】
また前述した第8の態様によれば、色材付着領域の間隔が狭い場合においても、適切に色材付着手段の制御が可能となる。
【0035】
また前述した第9の態様によれば、色材定着手段としてLED光源を用いて、紫外光を照射することにより、さらに無駄な消費電力を抑えることができる。
【0036】
また前述した第10の態様によれば、束線の削減や位置情報の入力を削減することができる。
【0037】
また前述した第11の態様によれば、画像の幅に応じて効率的な照射量制御が可能となるため、さらに無駄な消費電力を抑えることができる。
【0038】
また前述した第12の態様によれば、限られた記録媒体の領域内に高速で複数の画像を記録するような場合であっても、点灯、消灯が間に合わずに画像の定着不良を生じさせるような事態を防止でき、また点灯−消灯を高速で連続して行う事によるノイズの発生も招く事がない。
【0039】
また前述した第13の態様によれば、印字速度に応じた効率的な照射量制御が可能となるため、さらに無駄な消費電力を抑えることができる。
【0040】
また前述した第14の態様によれば、画像の出力解像度に応じた効率的な照射量制御が可能となるため、さらに無駄な消費電力を抑えることができる。
【0041】
また前述した第15の態様によれば、無駄な所定位置検出手段を設ける必要がなく、コストの削減が可能となる。
【0042】
また前述した第16の態様によれば、搬送量検出手段の検出誤差が発生した場合でも色材定着手段の照射誤差を少なくすることが可能となる。
【0043】
また前述した第17の態様によれば、搬送が正常に行われなかった場合には自動的に色材定着手段が消灯するように設定されるため、安全性に加えて、無駄な消費電力を抑えることができる。
【0044】
また前述した第18の態様によれば、色材付着領域を精度良く読取って、照射を制御する事ができるため無駄な消費電力を抑えることができる。
【0045】
また前述した第19及び第20の態様によれば、インクジェットプリンタとして無駄な消費電力を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本願発明に係る画像形成装置の全体構成図
【図2】図2(a):図1の画像形成ユニットの拡大図、図2(b):本願発明に係る画像形成装置の色材付着手段とLED光源の配置を示す上面図
【図3】制御ブロック図
【図4】基本フローチャート
【図5】図5(a):第1の実施形態に係る画像形成装置の光量制御のタイミング説明図、図5(b):第1の実施形態に係る別構成の画像形成装置の光量制御のタイミング説明図
【図6】第2の実施形態に係る画像形成装置の光量制御のタイミング説明図
【図7】第3の実施形態に係る画像形成装置の光量制御のタイミング説明図
【図8】第4の実施形態に係る画像形成装置の光量制御のタイミング説明図
【図9】図9(a)、(b):本願発明に係るLED光源の発光制御の説明図
【図10】本願発明に係る画像形成装置を用いた画像形成システム例
【発明を実施するための形態】
【0047】
先ず、本発明の画像形成装置の全体構成について、図1を参照して説明する。特に図1は、画像形成装置の例として、搬送される記録媒体に色材としての紫外線硬化型インクをプリントヘッドで吐出、付着させ、当該付着した紫外線硬化型インクに光源からの光を照射する事によって記録媒体上に定着させる、画像を形成する画像形成装置を示しており、本体の概略機械構成を示す断面図である。
【0048】
図1に示すように、記録媒体を搬送する記録媒体搬送部1と、媒体の搬送量を検出するエンコーダ2、記録媒体の所定位置を検出するトリガー検知センサ3、プリントヘッド41を含むプリントユニット4、プリントヘッドで記録媒体に色材を付着させた領域に当該色材を定着させるための紫外光を照射する色材定着手段としての複数の発光部を有するUV−LEDランプ5を有する。UV−LEDランプ5はプリントヘッド41に対して搬送方向下流側の1箇所に配置され、プリントユニット4と配線接続されている。このように単一のUV−LEDランプとプリントヘッド4とを配線接続しているため束線の削減ができ、複数位置に各々分散配置されたUV−LEDランプに比べて、後述する当該ランプからの光照制御のためのタイミング制御が複雑とならず、位置情報の入力を削減する事ができる。
【0049】
記録媒体搬送部1は、送出側ロール1aに巻回された記録媒体S1を記録媒体搬送手段である駆動ローラ6により搬送し、巻き取り側ロール1bに送って、巻き取り側ロール1bに巻き取らせる。駆動ローラ6により搬送される記録媒体の所定位置にエンコーダ2、トリガー検知センサ3の検出によりプリントユニット4の記録ヘッド対向位置で別途ホストPC7等からインタフェースを介して送られる画像情報に基づいてプリントヘッドから色材を付着させて色材付着領域を形成後、搬送方向下流側に配置されたUV−LEDランプ5から当該色材付着領域に紫外光を照射して色材を記録媒体に定着させて画像形成を行う。
【0050】
UV−LEDランプ5は、図2(b)に示すように、複数のLEDで構成された紫外発光ランプ部5a、5b、5c・・・が記録媒体搬送方向とは直交する方向に媒体全幅に対応する長さをもって、搬送方向に所定幅dをもって配列して構成されている。各ランプ部は各々独立に供給電流を変化させる事で紫外光の照射強度を変更できるようになっている。なおランプ部は各々独立制御でなくても、複数ランプ部で1群を構成し、複数群のランプ部を独立に照射エネルギーを制御できるものであっても良い。
【0051】
プリントユニット4は、図2(a)のプリントユニット4の拡大図で示されるように、各色材に対応して設けられた複数のプリントヘッド41K、41M、41C、41Yを備えており、図1にのみ示しているが、各色材に対応する色インクを貯蔵するインクタンク42も同様に各色材毎に備え、前記各プリントヘッドと連通されている。
【0052】
各ヘッド41K、41M、41C、41Yは、図2(b)に示されるように本画像形成装置が対象とする媒体の搬送方向と直交する方向の最大媒体幅に対応する長さを有し、複数の色材吐出口でノズル面を記録媒体に対向して形成したフルライン型プリントヘッドとなっている。
【0053】
なおここでいう「フルライン型プリントヘッド」とは、通常は記録媒体の搬送方向と直交する方向に沿って配置されるが、ある程度搬送方向と所定の角度を持たせた斜め方向に沿って配置するものであっても良い。また記録媒体の全幅に対応する長さに満たないノズル列を有する短尺のプリントヘッドユニットを複数個組み合わせる事によって、ユニット全体として記録媒体の全幅に対応するノズル列を構成する形態もあり得る。
【0054】
またここでいう「記録媒体S1」は、画像の記録を受ける媒体であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フィルム、布、配線パターン等が形成されるプリント基板その他材料や形状を問わず、様々な媒体を含む。
【0055】
従って前述した本例の画像形成装置では、送出ロールに巻き取られた長尺の記録媒体を例で説明しているが、搬送手段としてローラ間にベルトを巻きつけたベルト搬送により、単葉に予めカットされた記録媒体を搬送するものであっても良い。
【0056】
なお本発明でいう「色材付着領域Z」は、1画像に対応する画像データにより記録媒体に色材付着手段により付着された領域である。従って「複数の色材付着領域間の媒体の搬送方向の間隔距離」としては、長尺の記録媒体の場合、記録媒体上における各画像間の媒体搬送方向の間隔距離を指す。また単葉の記録媒体の場合には、搬送される媒体間の媒体搬送方向の間隔に、色材付着領域外の非色材付着領域(余白部)の距離を加えた距離を指すものである。
【0057】
なお、「各色材付着領域」の搬送方向の間隔が非常に短いため、LEDの発光制御を行う事は困難な場合がある。その場合には可能な間隔内でのLED発光制御のみに留めるものであっても良い。つまり先行して搬送される第1の色材付着領域が色材定着手段に対向する位置を通過後もなおLED光源の点灯を継続するように制御してもよい。
【0058】
係る構成により高速記録を行う場合であっても、連続して色材定着手段下を通過する複数の色材付着領域について消灯、点灯の切替制御が間に合わずに色材定着領域の定着不良を起こすおそれがなく、安定した画像を提供する事ができ、またごく短時間でのLEDの発光制御による消費電力の増大を抑える事もできる。
【0059】
なお連続する複数の色材付着領域間でLED光源の点灯を継続するか否かの判断は、先行して搬送される第1色材付着領域の後端位置と、当該第1色材付着領域に続いて後続搬送される第2色材付着領域の先端位置との間隔、LED光源の搬送方向の幅、LED光源の起動時間及び印字速度を考慮して行ったり、各色材付着領域に対応する第1の画像と第2の画像の記録媒体上で印字される間隔が所定距離以下である場合や、第1画像の先頭位置から第2画像の後端位置までの記録媒体上で印字される距離に対する上記間隔の比率が所定比率以下である場合には、当該第1、第2画像制御部により当該制御を行うようにしても良い。
【0060】
またここでの「色材定着手段」は、点灯、消灯の切替を比較的高い応答性をもって行う事が可能な色材を定着することができる光源であれば光源の種類は特に限定されず、たとえばメタルハライドランプ、点灯、消灯を高速に切替が可能な放電ランプ、熱陰極管、冷陰極管、殺菌灯、LED等の光源も使用可能である。但しUV−LEDランプのようなLED光源が照射制御を高い応答性をもって行う事ができるため、より好ましい。
【0061】
なおここでは、プリントユニット4、UV−LEDランプ5、トリガー検知センサ3及びエンコーダ2は記録媒体搬送部とは着脱可能な1つの画像形成ユニットを構成している。これにより、図10に示されるように、例えば他のラベル印刷機構Gを搭載した搬送機に対して、当該ラベル印刷機構の下流側に本例の画像形成ユニットIを装着する事によって、専用の搬送機だけでなく、汎用性に優れた画像形成装置を提供する事ができる。
【0062】
ここで、プリントヘッドから吐出して記録媒体に付着される光硬化型インクは紫外線硬化型インクであり、紫外線エネルギーの付与によって硬化(重合化)する成分(モノマー、オリゴマー、又は低分子量ホモポリマー、コポリマーなどの紫外線硬化性成分)と重合開始剤とを含むインクであり、紫外線を受光すると重合を開始し、重合の進行とともに増粘し、やがて硬化する性質を有する。
【0063】
またUV−LEDランプ5も上述したフルライン型プリントヘッドと同様、複数の発光素子を配列し、各光出射面を記録媒体に向けて構成され、媒体の搬送方向と直交する方向の最大媒体幅に対応する長さをもって構成されている。
【0064】
従って、記録媒体を搬送方向について各ヘッド41K、41M、41C、41Yに対して相対移動させる動作を1回行うだけで、記録媒体の全面に画像を記録する事ができる。このようなシングルパス方式の画像形成装置は、記録ヘッドを主走査方向に往復動作させながら画像を形成していくシャトルスキャン方式に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させる事ができる。
【0065】
ここで、本実施形態で使用される紫外線硬化型インクとしては、重合性モノマーや光重合開始剤等としてラジカル重合化合物を含むラジカル重合系インクや、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インク等が好ましく用いられる。ラジカル重合系インクは、インクに照射する紫外線の光量が一定のしきい値を超えないと重合反応が開始されないが、空気中の酸素によってラジカル重合反応が阻害され易いという特性がある。カチオン重合系インクは、ラジカル重合系インクと異なり、空気中の酸素により重合反応は阻害されないが、インクに紫外線が照射されると照射された紫外線の光量分だけ重合反応が進行するという特性がある。
【0066】
なお実施態様については上述したシングルパス方式の画像形成装置に基づいて説明しているが、本発明は必ずしもこれには限定されず、上述したシャトルスキャン方式の画像形成装置についても同様に適用可能である。
【0067】
次に、図3の制御ブロック図を参照しつつ本実施の形態における制御を説明する。
【0068】
図3は画像形成装置110のシステム構成を示す要部ブロック図である。図3に示すように画像形成装置は、制御部100、ヘッドドライバ101、プリントヘッド102、搬送機構103、搬送量検出部104、位置検出部105、色材定着部としてのLED光源106、操作パネル107、メモリ108、読取部109を備えている。
【0069】
制御部100は、ホストコンピュータ15から図示しないインタフェースを介して画像形成装置110に送られてくる画像データにディザ法、誤差拡散法等によるドットデータへの変換等の処理、加工を適宜施された画像データに基づき搬送される記録媒体に対して記録を行う記録制御やLED光源106の照射光量制御等の各種処理を司る部分である。
【0070】
搬送量検出部104は、駆動ローラ6で搬送される搬送量を検出する部分であり、駆動ローラ6の回転に同期して一定周期の信号を読み取って出力するエンコーダが用いられる。
【0071】
位置検出部105は、記録媒体の所定位置を検出し、トリガー信号を出力する。図3の画像形成装置110では、プリントヘッドでの記録媒体に対するインク吐出タイミングを取るためのトリガー信号を制御部100に出力する印字トリガーセンサと、インク吐出により形成された色材付着領域に対してLED光源部106から照射される紫外光の点灯/消灯や照射光量の増加、減少といった照射光量制御のタイミングを取るためのトリガー信号を制御部100に出力する定着トリガーセンサとを兼用している。
【0072】
制御部100では係る搬送量検出部104からのエンコーダ信号と、位置検出部105からのトリガー信号とを受けて、前述した通り搬送される記録媒体の搬送量に基づいてプリントヘッドによる記録を行う記録制御やLED光源106の照射光量制御等を行う。
【0073】
メモリ108は、前述したホストコンピュータ15から送られてきた画像データに関する情報(画像の入出力解像度等)や画像データに基づき形成される色材付着領域の位置又は当該色材付着領域の幅情報(記録媒体の搬送方向における幅情報、複数画像分の画像データの場合の各画像データ間の搬送方向の間隔情報、搬送方向での画像データの行間隔情報等)を記憶する他、予め当該位置検出部105の検出位置とプリントヘッドの記録媒体の搬送方向における距離情報や当該位置検出部105の検出位置とLED光源部106との同じく搬送方向における距離情報、LED光源部106の搬送方向における幅情報、出力解像度情報、印字速度、LED光源106の起動時間等、各種情報を記憶するものである。制御部100は当該メモリ108に記憶された各種情報を用いて前述した通り搬送される記録媒体に対して記録を行う記録制御やLED光源106の照射光量制御等を行う。
【0074】
操作パネル107は外部からメモリ108に上述した各種情報の少なくとも一つを新たに入力できるものであり、これにより既に記憶された、上述した各種情報も書き換え可能とするものである。係る構成を備える事により、プリントユニットやLED光源106、位置検出部105を構成するセンサなどの位置が画像形成装置内で変更された場合でも、任意に係る変更に伴なう情報の変更、設定を行う事ができる。
【0075】
また読取部109は、プリントユニットにより記録媒体に色材を付着した色材付着領域を読取り、制御部100に出力するものである。具体的にはCCD等のラインセンサが用いられ、係る構成によって得られた色材付着領域の情報に基づき、制御部100が上述した様な各種処理を制御するものである。
【0076】
(第1の実施形態に係る画像形成装置の制御について)
次に上記の画像形成装置における第1の実施形態に係るUV−LEDランプ5の照射制御を、図4の基本動作を表すフローチャートに基づき図5(a)の記録媒体の上面からみた上面図を参照しながら説明する。ここでは、プリントヘッドから色材を吐出して記録媒体S1に付着した色材付着領域間の間隔Eがトリガー検知センサ3とUV−LEDランプ5との距離C+Dよりも広い間隔で形成されている場合で説明する。
【0077】
まず、画像形成装置への印字開始指示(ステップ9)に基づき、LED光源を消灯した状態で搬送ローラ6を駆動する事で送出側ロール1aに巻き回された記録媒体S1が搬送される。搬送に同期して搬送量検出部を構成するエンコーダからエンコーダパルスが送出され、位置検出部を構成するトリガー検知センサ3により記録媒体S1のトリガーマークPを検出する事により(ステップ10)、当該エンコーダパルスの計数が開始される。
【0078】
そしてホストコンピュータ15から送られた画像データに基づいて色材付着領域を記録すべき位置が各プリントヘッド41K、41M、41C、41Yの印字位置に到達したかを、エンコーダパルスの計数値に基づいて検出される搬送量と、予めメモリ108にトリガー検知センサ3と各プリントヘッド41K、41M、41C、41Yの各位置との距離に対応する搬送量とを比較する事でステップ11で判断する。
【0079】
当該ステップ11で当該搬送量に達したと判断されると、各プリントヘッド41K、41M、41C、41Yによるインクを吐出して記録媒体S1への画像データに基づく色材付着、つまり印字動作が行われて1つの色材付着領域が形成される(ステップ12)。その後、記録媒体S1をプリントヘッドとUV−LEDランプ5との間の距離相当分搬送する事で、搬送されてきた色材付着領域の先頭位置直前がUV−LEDランプ5の点灯開始位置に対応する搬送量(図5でいう距離A+C)に到達したかをステップ13で判断し、当該判断結果により到達したと判断された場合には、UV−LEDランプ5の点灯を起動させ、光の照射を行う(ステップ14)。
【0080】
その後、LED光源の搬送方向における幅に対応する搬送量(図5でいう幅D)に色材付着した領域の幅に対応する搬送量(図5でいう距離B)を加えた合計搬送量(図4でいう距離A+B+C+D)に到達したかをステップ15で判断し、当該判断結果により到達したと判断された場合にはステップ16のようにUV−LEDランプ5を消灯し、更に印字すべき画像データがなければ印字動作を終了する。
【0081】
なおここでは記録媒体S1の所定位置に形成されたマークPを元に位置検出を行っているが、マークの形態は特に限定されない。つまり記録媒体S1上に形成された段差部や、シール等、もしくは色材付着領域の端部、記録媒体S1の端部等、記録媒体S1上の所定位置を識別できる部位であれば良い。
【0082】
つまり制御部によりトリガー検知センサでの検出に基づいてエンコーダパルスで検出される搬送量により、プリントヘッドで形成された色材付着領域の搬送方向における先頭位置がUV−LEDランプ5に対向する位置に到達するタイミングと、同じ色材付着領域の搬送方向における後端位置がUV−LEDランプ5に対向する位置を通過するタイミングの両方でUV−LEDランプ5の点灯、消灯を行う照射制御を行う。これにより、不必要にUV−LEDランプ5から硬化光を照射しないため、無駄な消費電力を抑える事ができ、光源の寿命を長く維持することが可能となる。
【0083】
なお図5(b)は図5(a)と同様、プリントヘッドから色材を吐出して記録媒体S1に付着した色材付着領域間の間隔Eがトリガー検知センサ3とUV−LEDランプ5との距離C+Dよりも広い間隔で形成されている場合を示しているが、図5(a)とはトリガー検知センサとして、印字開始のトリガーを検出するための印字用トリガーセンサと、UV−LEDランプ5による照射制御のトリガーを検出するための定着用トリガーセンサとを各々別々に構成した例を示している。
【0084】
定着用トリガーセンサは記録媒体S1の搬送方向においてプリントヘッドとUV−LEDランプ5との間に配置されているため、前述した図5(a)でいう距離Cを短く抑える事ができるため、搬送量を検出するエンコーダの入力にすべりがある場合、当該すべりの誤差の影響を受けにくいため好ましい。
【0085】
(第2の実施形態に係る画像形成装置の制御について)
次に上記の画像形成装置における第2の実施形態に係るUV−LEDランプ5の照射制御を、図6の記録媒体S1の上面からみた上面図を参照しながら説明する。図5(a)、(b)と異なる点は、図6に示されるようにプリントヘッドから色材を吐出して記録媒体S1に付着した色材付着領域間の間隔Eがトリガー検知センサ3とUV−LEDランプ5との距離C+Dよりも狭い間隔で形成されている場合に対応するものであり、エンコーダパルスを独立して計数する複数のエンコーダカウンタを有する点が異なる。
【0086】
図5と同様、画像形成装置への印字開始指示に基づいて、LED光源を消灯した状態で搬送ローラ6を駆動する事で送出側ロール1aに巻き回された記録媒体S1が搬送される。そして搬送に同期して搬送量検出部を構成するエンコーダからエンコーダパルスが送出され、位置検出部を構成するトリガー検知センサ3により記録媒体S1のトリガーマークPを検出する事で、図示しない第1のトリガーカウンタがエンコーダパルスの計数を開始する。
【0087】
そしてホストコンピュータ15から送られた第1の画像に対応する画像データの記録位置が各プリントヘッド41K、41M、41C、41Yの印字位置に到達したかを、エンコーダパルスの計数値に基づいて検出される搬送量と、予めメモリ108にトリガー検知センサ3と各プリントヘッド41K、41M、41C、41Yの各位置との距離に対応する搬送量とを比較する事で判断する。
【0088】
当該搬送量に達したと判断されると、各プリントヘッド41K、41M、41C、41Yによるインクを吐出して記録媒体S1への画像データに基づく色材付着、つまり印字動作が行われ、第1の画像に対応する色材付着領域が形成される。その後、搬送されてきた当該第1の色材付着領域の先頭位置直前がUV−LEDランプ5の点灯開始位置に対応する搬送量(図6でいう距離A1+C)に到達したかを判断し、当該判断結果により到達したと判断された場合には、UV−LEDランプ5の点灯を起動させ、光の照射を行う。
【0089】
その後、UV−LEDランプ5の搬送方向における幅に対応する搬送量(図6でいう幅D)に第1の色材付着領域の幅に対応する搬送量(図6でいう距離B1)を加えた合計搬送量(図6でいう距離A1+B1+C+D)に到達したかを判断し、当該判断結果により到達したと判断された場合にはLED光源を消灯する。
【0090】
一方、前記記録媒体S1のトリガーマークPを検出する事で、図示しない第2のトリガーカウンタが前記第1のトリガーカウンタとは独立にエンコーダパルスの計数を開始する。そしてホストコンピュータ15から送られた第2の画像に対応する画像データの記録位置が各プリントヘッド41K、41M、41C、41Yの印字位置に到達したかを、エンコーダパルスの計数値に基づいて検出される搬送量と、予めメモリ108にトリガー検知センサ3と各プリントヘッド41K、41M、41C、41Yの各位置との距離に対応する搬送量とを比較する事で判断する。
【0091】
当該搬送量に達したと判断されると、各プリントヘッド41K、41M、41C、41Yによるインクを吐出して記録媒体S1への画像データに基づく色材付着、つまり印字動作が行われて第2の色材付着領域が形成される。その後、搬送されてきた当該第2の色材付着領域の先頭位置直前がLED光源の点灯開始位置に対応する搬送量(図6でいう距離A2+C)に到達したかを判断し、到達したと判断された場合には、先行して搬送されている第1の色材付着領域通過後に消灯したUV−LEDランプ5を再び起動させて点灯し、光の照射を行う。
【0092】
その後、LED光源の搬送方向における幅に対応する搬送量(図6でいう幅D)に前記第1の色材付着領域の幅に対応する搬送量(図6でいう距離B2)を加えた合計搬送量(図6でいう距離A2+B2+C+D)に到達したかを判断し、当該判断結果により到達したと判断された場合にはUV−LEDランプ5を再び消灯する。
【0093】
上記構成の通り、本実施形態においては、複数の画像に対応して形成された複数の色材付着領域の間隔が狭く、搬送量検出を単一のパルスカウンタで制御するだけでは正確な制御ができない場合であっても、複数のエンコーダパルスカウンタで独立的に計数可能な構成する事により、プリントヘッドで形成された色材付着領域の搬送方向における先頭位置がUV−LEDランプ5に対向する位置に到達するタイミングと、同じ色材付着領域の搬送方向における後端位置がUV−LEDランプ5に対向する位置を通過するタイミングの両方でUV−LEDランプ5の点灯、消灯を行う照射制御を行う事によりUV−LEDランプ5から不必要に硬化光を照射しないため、無駄な消費電力を抑える事ができ、光源の寿命を長く維持することが可能となる。
【0094】
なお、本実施形態においては、各々のエンコーダパルスカウントの起点を同一のマークを基準にカウントしているが、図6に示されるように複数の単位で配置されるマークを各々基準にして搬送量を検出し、制御する構成であっても、各マークの相対距離が把握されれば同様に制御できる事は明らかである。
【0095】
(第3の実施形態に係る画像形成装置の制御について)
次に上記の画像形成装置における第3の実施形態に係るUV−LEDランプ5の照射制御を、図7の記録媒体S1の上面からみた上面図を参照しながら説明する。前述した実施形態に係る画像形成装置とは、UV−LEDランプ5の照射制御を、別途設けられた位置検出センサで記録媒体S1の所定位置に配置されたマークを検出して出力されるトリガー信号に基づいて行われるのに対して、照射制御は当該位置検出センサを用いず、特定のプリントヘッドからのインク吐出タイミングに基づいて計数される各搬送量に基づいてUV−LEDランプ5の照射制御を行うものである点が異なる。
【0096】
つまり、各プリントヘッド41K、41M、41C及び41Yからインクが吐出されるが、この時のインク吐出タイミングの時点からの記録媒体S1の搬送量と、予め定められている各プリントヘッドとUV−LEDランプ5との距離Fに対応する搬送量とを比較する事により搬送されてきた色材付着領域の先頭位置直前がUV−LEDランプ5の点灯開始位置に到達したかを判断し、到達したと判断したときにUV−LEDランプ5を起動させて点灯し、光照射を行う。
【0097】
その後、UV−LEDランプ5の搬送方向における幅Dに対応する搬送量に色材付着領域の幅Bに対応する搬送量を加えた搬送量に到達したかを判断し、当該判断結果により到達したと判断された場合にはUV−LEDランプ5を消灯する。
【0098】
つまり当該実施形態に係る光量制御では、プリントヘッドの吐出タイミングに基きエンコーダで検出されるプリントヘッドとUV−LEDランプ5との間の搬送方向における距離Fに対応する記録媒体S1の第1搬送量と同プリントヘッドで形成される色材付着領域の搬送方向における幅Bに対応する記録媒体S1の第2搬送量の両方でUV−LEDランプ5の照射制御、つまりプリントヘッドで形成された色材付着領域の搬送方向における先頭位置がUV−LEDランプ5に対向する位置に到達するタイミングと、同じ色材付着領域の搬送方向における後端位置がUV−LEDランプ5に対向する位置を通過するタイミングの両方でUV−LEDランプ5の点灯、消灯の照射制御を行うようにしたので、不要な未記録領域でのUV−LEDランプ5の照射を防ぐ事ができ、消費電力の省力化を図る事ができる。
【0099】
(第4の実施形態に係る画像形成装置の制御について)
次に上記の画像形成装置における第4の実施形態に係るUV−LEDランプの照射制御を、図8の記録媒体の上面からみた上面図を参照しながら説明する。前述した実施形態に係る画像形成装置がUV−LEDランプ5の制御部による光量制御を別途設けられた位置検出センサで記録媒体S1の所定位置に配置されたマークを検出して出力されるトリガー信号に基づいて行う形態や特定のプリントヘッドからのインク吐出タイミングに基づいて計数される各搬送量に基づいて制御するのに対して、本実施態様では、別途設けられた記録媒体S1上の色材付着領域を読取る読取部としてのCCD読取センサ109を配置し、当該読取部とUV−LEDランプ5との距離情報(図8でいう距離H)及び当該読取部によって得られる色材付着領域の位置、幅情報(図8でいう幅B等)に基づいてUV−LEDランプ5の光量制御を行うものである点が異なる。
【0100】
つまり、画像形成装置への印字開始指示に基づいてLED光源を消灯した状態で搬送ローラ6を駆動する事で送出側ロール1aに巻き回された記録媒体S1が搬送される。そして搬送される記録媒体S1の所定位置にプリントヘッドからインクを吐出する印字動作により1つの色材付着領域を形成する。その後、搬送されてきた色材付着領域をプリントヘッドの搬送方向下流側に配置されたCCD読取センサ109により検出タイミングと色材付着領域の幅を読取る事により、色材付着領域の先頭位置直前がUV−LEDランプ5の点灯開始位置に対応する搬送量に到達したかを判断し、当該判断結果により到達したと判断された場合には、UV−LEDランプ5を起動させて点灯し、光の照射を行う。
【0101】
その後、UV−LEDランプ5の搬送方向における幅に対応する搬送量に色材付着領域の幅に対応する搬送量を加えた合計搬送量に到達したと判断された場合にはUV−LEDランプ5を消灯する。
【0102】
つまり当該実施形態に係る光量制御では、CCD読取センサ109による読取結果により、プリントヘッドで形成された色材付着領域の搬送方向における先頭位置がUV−LEDランプ5に対向する位置に到達するタイミングと、同じ色材付着領域の搬送方向における後端位置がUV−LEDランプ5に対向する位置を通過するタイミングの両方でUV−LEDランプ5の点灯、消灯を行う照射制御を行う事により不要な未記録領域でのUV−LEDランプ5の照射を防ぐ事ができ、消費電力の省力化を図る事ができる。
【0103】
なお上述した各実施態様では、色材付着領域の先端位置がUV−LEDランプ5に対向する位置に到達するタイミングと同色材付着領域の後端位置が通過するタイミングの両方でUV−LEDランプ5の点灯、消灯の制御を行っているが、いずれか一方のみでの照射制御であっても良い。
【0104】
つまり色材付着領域の先端位置が到達するタイミングでのみ点灯制御し、その後は同様に点灯状態を維持するもの、もしくは点灯状態のUV−LEDランプ5を、色材付着領域の後端位置が通過するタイミングでのみ消灯制御するものであっても良い。
【0105】
また、色材付着領域の先頭位置自体ではなく、先頭位置直前がUV−LEDランプ5の点灯開始位置に対応する搬送量に到達したか否かで判断しているが、これはLED点灯にはUV−LEDランプ5自体の起動時間を考慮しての事である。
【0106】
即ち、色材付着領域の先頭位置がUV−LEDランプ5の点灯開始位置に対応する搬送量に到達した時点で点灯を開始したのでは、色材が付着した未硬化領域にUV−LEDランプ5からの硬化光が十分に照射されない状態で搬送により通過してしまう可能性があるからである。但し、UV−LEDランプ5の起動時間が無視できる程度に短いものであるか、搬送される色材付着領域から当該起動時間を考慮しなくても記録媒体S1の定着に実質的に悪影響を及ぼすものでない場合には、色材付着領域の先頭位置自体がUV−LEDランプ5の点灯開始位置に対応する搬送量に到達したかどうかでUV−LEDランプ5の照射制御を行うものであっても良い。
【0107】
またUV−LEDランプ5の起動時間は、色材付着領域自体の濃淡や異なる色材の重なり具合等により必要な照射光の活性エネルギーが異なるため、予め画像データの画質に基づいて、好ましい活性エネルギーに到達するまでの起動時間を算出、もしくは画質データの画質と対応する起動時間をテーブルとしてメモリ108に記憶させておき、当該画質に応じて選択される起動時間に基づきUV−LEDランプ5の発光制御を行う事としても良い。もしくは操作パネルにより外部から入力できる構成であっても良い。
【0108】
また上記説明ではUV−LEDランプ5を単にON、OFFする点灯/消灯制御する事で説明したが、印字開始後、UV−LEDランプ5を低照射強度で点灯状態としておき、色材付着領域の先頭位置もしくはその直前位置がUV−LEDランプ5の照射対向位置に対応する搬送量に到達したと判断した時に照射強度をUV−LEDランプ5のランプ部への供給電流を変化させて増加させ、当該対向位置を通過したと判断した時に照射強度を再び低強度に減少させるように制御するものであっても良い。
【0109】
また記録媒体S1の搬送異常により、エンコーダからのエンコーダパルスが所定時間以上の周期になった場合には、UV−LEDランプ5を消灯させるよう制御すれば、更に不要な光照射を抑える事ができ、更なる省電力化が図れるため好ましい。
【0110】
また、UV−LEDランプ5からの照射量を印字速度に応じて制御する構成を併せて採用する事がより好ましい。例えば、印字速度が比較的遅い場合には、照射する光量を低く抑えることによって更なる省電力化を図る事が可能となる。
【0111】
このような光量を制御する構成として、画像形成装置に設定される印字速度の選択によって予め設定された光量を選択できるものであっても良いし、また色材定着手段の振幅変調(AM;Amplitude Modelation)やパルス幅変調(PWM;Pulse Width Modelation)などにより省電力化を図ることも可能である。
【0112】
またLED光源からの照射量を、形成される画像の出力解像度に応じて制御する構成を併せて採用する事がより好ましい。例えば色材付着領域で形成される画像の解像度が低く、色材付着領域内の抜けが多い事が見込まれる場合には、UV−LEDランプ5からの照射光量を低く抑える事によって過剰に照射を行う事とならないため、更なる省電力化を図る事が可能となる。
【0113】
このような画像の解像度は前述した通り、画像形成装置に設定される低解像モード、高解像モードの選択によって予め設定された光量を選択できるものであっても良いし、前述したような画像を読取る読取り部を備えているような場合には、当該読取り部で読み取って得られる読取結果に基づいて制御されるものであっても良い。また、色材定着手段の振幅変調(AM;Amplitude Modelation)やパルス幅変調(PWM;Pulse Width Modelation)などにより省電力化を図ることも可能である。
【0114】
また、図9(a)、図9(b)で示されるように、プリントヘッドで記録された色材付着領域Zの幅(媒体搬送方向(矢印で示される方向)と直交する媒体幅方向の幅)に応じて、当該幅に対向する箇所の複数のLED発光素子の発光幅を変更するよう制御する事により、更に不要な領域の発光を抑える事ができるため省電力化を図る事ができ、好ましい。
【0115】
以上、説明したように本願発明によれば、記録媒体上に形成された色材付着領域の先頭位置が色材定着手段に対向する位置に到達するタイミング及び当該色材付着領域の後端位置が当該色材定着手段に対向する位置を通過するタイミングのいずれか少なくとも一方に基づいて前記色材定着手段の照射を制御する構成であるため、光源の寿命が短くなることを防止し、かつ無駄な消費電力を抑えることのできる画像形成装置を提供できる。
【符号の説明】
【0116】
1 記録媒体搬送部
1a 送出側ロール
1b 巻き取り側ロール
2 エンコーダ
3 トリガー検知センサ
4 プリントユニット
41 プリントヘッド
5 UV−LEDランプ
6 駆動ローラ
7 ホストPC
100 制御部
101 ヘッドドライバ
102 プリントヘッド
103 搬送機構
104 搬送量検出部
105 位置検出部
106 LED光源
107 操作パネル
108 メモリ
109 読取部
110 画像形成装置
S1 記録媒体
Z 色材付着領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に色材を付着させる色材付着手段と、
記録媒体を搬送する媒体搬送手段と、
前記色材付着手段に対して、前記記録媒体の搬送方向下流側に配置された、色材を記録媒体に定着させる光を照射する色材定着手段と、
前記媒体搬送手段で搬送される記録媒体の搬送量を検出する搬送量検出手段と、
前記搬送量検出手段で検出される、前記色材付着手段と前記色材定着手段との間の搬送方向における距離に対応する記録媒体の第1搬送量及び前記色材付着手段で形成される色材付着領域の搬送方向における幅に対応する記録媒体の第2搬送量のいずれか少なくとも一方に基づいて、前記色材定着手段の照射を制御する制御部と、を有する事を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録媒体上に色材を付着させる色材付着手段と、
記録媒体を搬送する媒体搬送手段と、
前記色材付着手段に対して、前記記録媒体の搬送方向下流側に配置された、色材を記録媒体に定着させる光を照射する色材定着手段と、
記録媒体上の所定位置を検出する所定位置検出手段と、
前記所定位置検出手段での所定位置検出に基づき前記媒体搬送手段で搬送される記録媒体の搬送量を検出する搬送量検出手段と、
前記搬送量検出手段で検出される搬送量により、前記色材付着手段で形成された色材付着領域の搬送方向における先頭位置が前記色材定着手段に対向する位置に到達するタイミング及び前記色材付着領域の搬送方向における後端位置が通過するタイミングのいずれか少なくとも一方で前記色材定着手段の照射を制御する制御部と、を有する事を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記記録媒体の色材付着領域の先頭位置が前記色材定着手段に対向する位置に到達する前に前記色材定着手段を点灯させ、前記色材定着手段に対向する位置から前記色材付着領域の後端位置が通過後に前記色材定着手段を消灯するよう制御する事を特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部による前記色材定着手段の点灯開始は、前記色材定着手段の起動時間を考慮して制御する事を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送量検出手段で検出される記録媒体搬送方向での前記記録媒体の所定位置から前記色材付着領域までの距離情報A、前記色材付着領域の記録媒体搬送方向における幅情報B、前記所定位置検出手段の検出位置から前記色材定着手段までの距離情報C、前記色材定着手段の記録媒体搬送方向における幅情報D及び前記色材定着手段の起動時間情報Tの内、少なくとも一つを外部から入力可能な入力手段を有する事を特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記入力手段は、記録媒体上に複数の色材付着領域を形成する際、先行して搬送される第1色材付着領域の後端位置と、当該第1色材付着領域に続いて後続搬送される第2色材付着領域の先端位置との間隔の情報をEとする時、当該情報Eを外部から入力可能とする事を特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記色材付着手段、前記搬送量検出手段及び前記所定位置検出手段は、前記搬送手段に対して着脱自在にユニット化されている事を特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記搬送量検出手段は、搬送に同期して所定周期で出力される信号を前記記録媒体の第1の所定位置検出に基づいて計数する第1計数手段と、前記記録媒体の第1の所定位置検出に基づいて前記第1計数手段とは独立に計数する第2計数手段とを有する事を特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記色材定着手段としてLED光源を用いて、紫外光を照射する事を特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記色材付着手段は色材毎に複数有すると共に、前記所定位置検出手段と共にプリントユニットとして構成され、当該プリントユニットと所定位置に配置された単一の前記色材定着手段とが接続されている事を特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記色材定着手段は記録媒体の搬送方向とは直交する方向に配列された、複数の発光部で構成され、前記制御部は、前記複数の発光部の内、当該幅方向の画像幅長さに対応した位置の発光部のみを点灯するように制御する事を特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記色材付着手段により色材付着領域が複数形成される場合、先行して搬送される第1色材付着領域の後端位置が通過後も前記第1色材付着領域に続けて搬送される第2色材付着領域の先頭位置に到達するタイミングまで点灯を継続するよう制御する事を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、印字速度に応じて前記色材定着手段の照射量を制御する事を特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御部は、形成される画像の出力解像度に応じて前記色材定着手段の照射量を制御する事を特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記所定位置検出手段は、前記色材付着手段に対して記録媒体搬送方向の上流側に配置され、記録媒体の所定位置を検出する事で前記色材付着手段による記録媒体に色材を付着させるタイミング及び前記色材付着領域に色材定着手段から光を照射させるタイミングの両方を検出する事を特徴とする請求項2〜14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記所定位置検出手段は、記録媒体の搬送方向において前記色材付着手段と前記色材定着手段との間に配置されている事を特徴とする請求項2〜15のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記搬送量検出手段はエンコーダであり、前記制御部は前記エンコーダから出力されるエンコーダパルスが所定周期以上である事を検出した場合に前記色材定着手段を消灯するよう制御する事を特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記所定位置検出手段は、記録媒体の搬送方向において前記色材付着手段と前記色材定着手段との間に配置され、前記色材付着手段で記録媒体の所定位置に形成された色材付着領域を読み取り可能な読み取り手段であり、前記制御部は、当該読み取り手段の読取結果に基づいて前記色材定着手段の照射を制御する事を特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記色材付着手段は、光を照射する事によって硬化する光硬化性インクを吐出するインク吐出ノズルが形成されたインクジェットヘッドである事を特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記色材付着手段は、記録媒体の搬送方向と直交する記録媒体の幅方向の全域に渡り、色材を吐出する複数の吐出ノズルを配列したものであり、前記記録媒体の搬送により画像領域全幅に画像形成可能なシングルパスインクジェットプリンタである事を特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−11563(P2012−11563A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147302(P2010−147302)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】