説明

画像形成装置

【課題】装置の生産性の低下を招くことなく、トナー濃度検出精度を得られて良好な画像が得られる画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【解決手段】中間転写体10上に転写されたトナー像を、転写バイアスを印加することで記録媒体に転写するとともに、中間転写体上の紙間部に作像された濃度調整用のトナーパターンを2次転写体24の表面24aに転写する転写手段600と、トナーパターンの濃度を検出する検出手段310と、トナーパターンを2次転写体へ転写する際の紙間部での紙間転写バイアス条件Tpを、記録媒体Pに印加するバイアス条件に応じて求める制御手段500を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から中間転写体上に複数色のトナーを重ね合わせ、用紙やフィルム等の記録媒体に一括転写することのできる中間転写方式の画像形成装置が知られている。中間転写方式の画像形成装置では、用紙対応力向上の観点から中間転写体の表面に弾性層を有する転写装置を備えたものがある。弾性層を有する中間転写体を用いることで、記録媒体表面の凹凸に対するトナー像の転写追従性が向上し様々な記録媒体に対して良好なトナー転写を行うことができる。このような弾性層を有する中間転写体を用いた装置としては、例えば特許文献1が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
表面を弾性体で構成された中間転写体は、一般的に表面の光沢度が低くいため、中間転写体上に形成したトナーパターンの濃度を光学センサで検出してトナー画像の濃度制御を行う場合、十分なトナー濃度検出精度が得られないという課題がある。
このような課題の解決手段として、トナーパターンを2次転写体に転写し、2次転写体上でトナー濃度を検出する方式が考えられる。2次転写体上でトナー濃度を検出する場合、正確にトナー濃度を検出するという観点で中間転写体上のトナーパターンを中間転写体から2次転写体に転写する2次転写部で、常時所定の転写バイアス条件で2次転写体に転写して濃度検出することが望ましい。しかし、2次転写バイアス条件は、記録媒体の種類、厚さにより様々設定されているため、先にプリントされた記録媒体と次にプリントされる記録媒体の間(以下「紙間」という)においてトナーパターンを検知する場合、紙間部における2次転写バイアス設定と、プリント時に記録媒体へ印加する2次転写バイアスの設定を紙間ごとに切り替える必要が生じる。この場合、所定のバイアス条件でトナーパターンを2次転写体へ適正に転写させるためには、バイアス供給源となる高圧電源の立ち上がり/立下りの応答性能に対して十分な紙間長さを設定する必要がある。このようなバイアス条件の切替タイミングを加味すると、紙間は従来方式(中間転写体上での濃度検出方式)よりも長く設定しなければならず、装置の生産性の低下を招くことになり兼ねない。
【0004】
特許文献1では、弾性層を有する中間転写体のマーク検知に関する技術が開示されているが、中間転写体の移動方向と直交する方向にマーク検知手段が移動可能に構成されていて、検知手段を移動させる駆動装置などをマーク検出部に備える必要があり、装置の小型化、低コスト化の観点で望ましものとは言い難い。
本発明は、装置の生産性の低下を招くことなく、トナー濃度検出精度を得られて良好な画像が得られる画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる画像形成装置は、像担持体上のトナー像が転写される中間転写体と、転写バイアスを印加することで中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写するとともに、中間転写体上の紙間部に作像された濃度調整用のトナーパターンを2次転写体の表面に転写する転写装置と、トナーパターンの濃度を検出する検出手段と、トナーパターンを2次転写体へ転写する際の紙間部での紙間転写バイアス条件Tpを、記録媒体に印加するバイアス条件に応じて求める制御手段とを有することを特徴としている。
本発明にかかる画像形成装置において、記制御手段は、トナーパターンを2次転写体へ転写するための固定基準バイアス条件Tiを予め設定されていて、作像開始の信号を受けてプリント画像を作像する前に、紙間転写バイアス条件Tp及び固定基準バイアス条件Tiの両条件でトナーパターンを中間転写体上に作像し、当該トナーパターンの濃度を検出手段で検出し、当該検出結果をそれぞれDp、Diとしてサンプリングし、プリント開始後のトナーパターンを紙間転写バイアス条件Tpにて2次転写体へ転写し、検出手段で検出されるトナー濃度検出結果に、プリント開始前のサンプリングデータにより算出されるDi/Dpを乗じてトナーパターンの濃度検出結果の補正を行うことを特徴としている。
本発明にかかる画像形成装置において、制御手段は、装置立ち上げ時に初期調整動作を、プリント終了時に濃度調整制御をそれぞれ実行するとともに、初期調整動作または濃度調整制御の少なくとも一方を行う際に、固定基準バイアス条件Tiにて2次転写体上にトナーパターンを転写して濃度調整を行うことを特徴としている。
本発明にかかる画像形成装置において、制御手段は、紙間転写バイアス条件Tpを、記録媒体の先端部に印加するバイアス条件Tfと等しい条件に設定することを特徴としている。
本発明にかかる画像形成装置において、制御手段は、紙間転写バイアス条件Tpを、記録媒体の先端部に印加するバイアス条件Tf及び記録媒体の後端部に印加するバイアス条件Tbにより設定されるとともに、その設定値をTp=(Tf+Tb)/2で示す式1により算出することを特徴としている。
本発明にかかる画像形成装置において、中間転写体は少なくとも表面が弾性層で構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、トナーパターンを2次転写体へ転写する際の中間転写体上の紙間部での紙間転写バイアス条件Tpを、記録媒体に印加するバイアス条件に応じて求めるので、記録媒体に印加するバイアス条件と紙間部に印加するバイアス条件の切替えに要する時間を短縮することができるため、装置の生産性の低下を招くことなく、トナー濃度検出精度を得られて良好な画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明が適用された画像形成装置の一形態を示す全体図である。
【図2】(a)〜(c)は、制御手段による紙間転写バイアス条件の制御の形態を示す図である。
【図3】制御手段による紙間転写バイアス条件の制御の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1に示す画像形成装置は、フルカラーの複写機を例示している。この複写機は、プリンタ部100と、プリンタ部100の下方に配置された給紙部200と、プリンタ部100の上方に配置されスキャナ部300と、スキャナ部300の上方に配置された自動原稿送り装置(以下「ADF」と記す)ADF400とを備えている。画像形成装置としては、複写機に限定されるものではなく、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機であっても良い。
【0009】
プリンタ部100は、中間転写体としての無端ベルト状の中間転写ベルト10を備えている。中間転写ベルト10は、その表面が弾性層で構成されていて、側方からの眺めが逆三角形状の形状になる姿勢で、駆動ローラ14、従動ローラ15及び2次転写対向ローラ16に掛け回されており、駆動ローラ14の回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。中間転写ベルト10の上方には、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)のトナー像を形成するための4つの画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kが、ベルト移動方向に沿って並ぶように配設されている。
【0010】
画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kは、像担持体としての感光体20Y,20M,20C,20Kと、現像ユニット61Y,61M,61C,61Kと、感光体クリーニング装置63Y,63M,63C,63Kを有している。感光体20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ中間転写ベルト10に当接してY,M,C,K用の1次転写ニップを形成しながら、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる。現像ユニット61Y,61M,61C,61Kは、感光体20Y,20M,20C,20Kに形成された静電潜像をY,M,C,Kのトナーによって現像するものである。感光体クリーニング装置63Y,63M,63C,63Kは、1次転写ニップを通過した後の感光体20Y,20M,20C,20Kに付着している転写残トナーをクリーニングするものである。本複写機では、ベルト移動方向に沿って並べられた4つの画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kにより、タンデム画像形成部11が構成されている。
【0011】
プリンタ部100内において、タンデム画像形成部の上方には、光書込ユニット21が配設されている。この光書込ユニット21は、図中反時計回り方向に回転駆動される感光体20Y,20M,20C,20Kの表面に対し、光走査による光書込処理を施して静電潜像を形成するものである。感光体20Y,20M,20C,20Kの表面は、それぞれその光書込処理に先立って、画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kの帯電手段によって一様に帯電せしめられる。
【0012】
中間転写ベルト10等を具備する中間転写手段としての転写ユニット12は、中間転写ベルト10のループ内側に、1次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kを有している。これら1次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kは、Y,M,C,K用の1次転写ニップの裏側で中間転写ベルト10を感光体20Y,20M,20C,20Kに向けて押圧している。
【0013】
中間転写ベルト10の下方には、2次転写体となる2次転写ローラ24が配設されている。この2次転写ローラ24は、中間転写ベルト10における2次転写対向ローラ16に対する掛け回し箇所にベルト表面側から当接して2次転写ニップを形成している。2次転写対向ローラ16には、高圧電源で構成される電圧印加手段160が接続されていて、バックアップローラ16にトナー像を構成するトナーの帯電極性と同極性の転写バイアス(斥力バイアス)が印加されることで、接地された2次転写ローラ24との間で転写電界が形成される。これにより、中間転写ベルト10に担持された未定着トナー像は、2次転写位置において、所定のタイミングで送り込まれるシート状の記録媒体P(以下、記録シートPという)に一括2次転写されるとともに、後述する画像濃度調整に用いるトナーパターンを2次転写ローラ24の表面に転写する。本形態において、2次転写対向ローラ16と電圧印加手段160により、2次転写装置600が構成されている。
【0014】
未定着トナー像が転写された記録シートPは、2次転写ローラ24から搬送ベルト22に移動し、搬送ベルト22に吸着した状態で定着装置25まで搬送され、定着装置25で熱と圧力が加えられてトナー像の定着処理が行われる。定着装置25を通過した記録紙は、排出ローラ56により排紙トレイ57に排出されスタックされる。
【0015】
スキャナ部300は、コンタクトガラス32上に載置された原稿の画像情報を読取センサ36で読み取り、読み取った画像情報をプリンタ部100の制御手段500に送信する。制御手段500は、スキャナ部300から受け取った画像情報に基づき、プリンタ部100の光書込ユニット21におけるレーザーダイオードやLED等の光源を制御して、Y,M,C,K用のレーザー書込光を出射して、感光体20Y,20M,20C,20Kを光走査する。この光走査により、感光体20Y,20M,20C,20Kの表面に静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経てY,M,C,Kトナー像に現像される。この制御手段500は、後述する中間転写ベルト10上の紙間部に作像される濃度調整用のトナーパターンに関する制御と、紙間部に形成されたトナーパターンを2次転写ローラ24の表面に転写する転写バイアスに関する制御を行う。
【0016】
給紙部200は、ペーパーバンク43内に多段に配設された給紙カセット44から記録シートPを送り出す給紙ローラ42、送り出された記録シートPを分離して給紙路46に導く分離ローラ45、プリンタ部100の給紙路48に記録シートPを搬送する搬送ローラ47等を備えている。給紙については、給紙部200以外に、手差し給紙も可能となっており、手差しのための手差しトレイ51、手差しトレイ51上の記録シートPを手差し給紙路53に向けて一枚ずつ分離する分離ローラ52も設けられている。プリンタ部100内において、手差し給紙路53は給紙路48に合流している。
【0017】
給紙路48の末端付近には、レジストローラ対49が配設されている。レジストローラ対49は、給紙路48内を搬送されてくる記録シートPをローラ間に挟み込んだ後、所定のタイミングで2次転写ニップに向けて送り込む。
【0018】
本実施形態に係る複写機において、カラー画像のコピーをとるときには、ADF400の原稿台30上に原稿をセットするか、又はADF400を開いてスキャナ部300のコンタクトガラス32上に原稿をセットしてADF400を閉じることで原稿を押さえる。そして、不図示のスタートスイッチを押す。すると、原稿がADF400にセットされている場合には、原稿がコンタクトガラス32上に搬送される。その後、スキャナ部300が駆動を開始し、第1走行体33及び第2走行体34が原稿面に沿った走行を開始する。そして、第1走行体33にて光源から発した光を原稿面で発射させるとともに、得られた反射光を折り返して第2走行体34に向ける。折り返し光は、第2走行体34のミラーで更に折り返された後、結像レンズ35を通して読取センサ36に入射される。これにより、原稿内容が読み取られる。
【0019】
プリンタ部100は、スキャナ部300から画像情報を受け取ると、画像情報に応じたサイズの記録シートを給紙路48に給紙する。また、これに伴って、不図示の駆動モータで駆動ローラ14を回転駆動して中間転写ベルト10を図中時計回り方向に無端移動させる。同時に、画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kの感光体20Y,20M,20C,20Kの回転駆動を開始した後、感光体20Y,20M,20C,20Kに対する帯電処理、光書込処理、現像処理などを行う。これらの処理によって感光体20Y,20M,20C,20Kの表面上に形成されたY,M,C,Kトナー像は、Y,M,C,K用の1次転写ニップで順次重ね合わせて中間転写ベルト10上に1次転写されて、4色重ね合わせトナー像になる。
【0020】
給紙部200では、給紙ローラ42の1つが記録シートサイズに応じて選択的に回転され、3つの給紙カセット44のうちの1つから記録シートPが送り出される。送り出された記録シートPは、分離ローラ45で1枚ずつ分離されてから給紙路46に導入された後、搬送ローラ47を経由してプリンタ部100内の給紙路48に送られる。また、手差しトレイ51を用いる場合には、トレイの給紙ローラが回転駆動して、トレイ上の記録シートPを分離ローラ52で分離しながら手差し給紙路53に送り込まれて給紙路48の末端付近に至る。給紙路48の末端付近では、記録シートPが先端をレジストローラ対49に突き当てて止まる。その後、中間転写ベルト10上の4色重ね合わせトナー像に同期し得るタイミングでレジストローラ対49が回転駆動すると、2次転写ニップ内に送り込まれてベルト上の4色重ね合わせトナー像に密着する。そして、ニップ圧や2次転写バイアスなどの影響によって記録シートP上に一括2次転写される。
【0021】
2次転写ニップで4色重ね合わせトナー像が2次転写された記録シートPは、用紙搬送ベルト22によって定着装置25内に送り込まれる。そして、定着装置25で加圧ローラ27と定着ベルト26との間の定着ニップに挟み込まれると、加圧や加熱処理によって4色重ね合わせトナー像が表面に定着せしめられる。このようにしてカラー画像が形成された記録シートPは、排出ローラ対56を経由して機外の排紙トレイ57上にスタックされる。
【0022】
なお、記録シートPのもう一方の面にも画像が形成される場合には、記録シートPは定着装置25から排出された後、切替爪55による進路切り換えによってシート反転装置57に送られる。そして、上下反転された後、再びレジストローラ対49に戻されてから、2次転写ニップ及び定着装置25を再経由する。
【0023】
2次転写ニップを通過した後、4色のうちで1次転写工程が最も上流となるY用の1次転写ニップに進入する前の中間転写ベルト10表面には、ベルトクリーニング装置17が当接している。このベルトクリーニング装置17は、ベルト表面に付着している転写残トナーをクリーニングする。
【0024】
次に本発明の特徴部分について説明する。
この複写機は、トナーパターンの濃度を検出する検出手段310を有するとともに、トナーパターンを2次転写体へ転写する際の紙間部での紙間転写バイアス条件をTpとしてとき、この紙間転写バイアス条件Tpを記録シートPに印加するバイアス条件に応じて制御手段500で求めることを特徴としている。2次転写装置600は、中間転写ベルト10の紙間部に作像される濃度調整用のトナーパターンを2次転写体の表面に転写する機能を備えている。
【0025】
検出手段310は、1つの発光素子と2つの受光素子を備え、発光素子から中間転写ベルト10に光が照射され、中間転写ベルト10からの反射光のうち、正反射成分を受光素子で受光し、拡散反射成分を受光素子で受光する、周知の反射濃度検知センサである。
【0026】
2次転写体となる2次転写ローラ24の表面に転写されたトナーパターンは、図1に示す検出手段310で、そのトナー濃度が検出される。図2(a)は、2次転写体上でトナーパターンの濃度を検出する方式を採用した場合の記録シートPおよび紙間に印加するバイアス切替えタイミングの一例を示したものである。このバイアス切替えタイミングは制御手段500によって実行される。
【0027】
2次転写バイアスは、制御手段500によって定電流制御され、記録シートPの先端部(シート先端部)・画像部・記録シートPの後端部(シート後端部)・紙間部のそれぞれに対応した電流条件が設定されている。トナーパターンを2次転写体(2次転写ローラ24)へ転写させる際の紙間バイアス条件には、所定の基準電流を設定している。図2(a)に示されるように、例えばシート先端部に印加させる電流設定値と、紙間の基準電流値とに隔たりがある場合には、電圧印加手段160を構成する高圧電源の応答性を加味した所定の紙間長さを設ける必要がある。
【0028】
シート先端部の電流設定値は、記録シートPのごく先端部にも適正な転写バイアスを印加させるためにシート先端部が2次転写ニップに進入するよりも前からバイアスを印加しておく必要がある。さらに、記録シートPの持つ電気抵抗により、記録シートPが2次転写ニップに進入した直後は斥力ローラから2次転写体までの合成電気抵抗が急激に上昇するため、通常画像部と同じ電流設定をシート先端部に適用すると、シート先端部に作用する転写バイアスが瞬間的に低下しシート先端の画像濃度が低下するなどの不具合が発生する場合がある。このためシート先端部に印加するバイアス条件となる転写電流値Tfは通常画像部の電流値Tgよりも高い設定値とすることが望ましい。すなわち、本形態において、制御手段500は、紙間転写バイアス条件Tpを、シート先端部に印加するバイアス条件Tfと等しい条件に設定する。
【0029】
シート後端部についても、シート後端部が2次転写ニップを抜ける際の電気抵抗変化に対応するために画像部よりも高いシート後端部に印加するバイアス条件となる電流設定値Tbを設ける場合がある。さらに前記のシート先端部・シート後端部・画像部を含む記録シートPに印加するバイアス条件は、記録シートPの紙種・紙厚ごとに適正な電流設定を設けることが望ましいため、記録シートPの紙種ごとに設定電流条件は様々であり一意に定まるものではない。
【0030】
ここで、制御手段500によるトナーパターンを2次転写体へ転写する際の紙間部でのバイアス印加について説明する。制御手段500は、紙間転写バイアス条件Tpを、記録シートPに印加するバイアス条件に応じて求める機能を備えている。すなわち、制御手段500は、紙間に印加する電流値を、シート先端部に印加する電流値に応じて、例えば図2(b)に示すように設定する。図2(b)に示すように、紙間転写バイアス条件となる紙間電流設定Tpをシート先端部の転写電流値Tfにより近い設定とすることで、高圧電源の立ち上がり時間は短縮し、紙間の長さを短縮することができる。
【0031】
望ましくは、紙間電流設定Tbとシート先端部に印加するバイアス条件となる転写電流値Tfの中間値を紙間電流設定Tpとして設定する。さらに望ましくは、シート先端部の転写電流値Tfと紙間TpをTf=Tpとすることで、図2(c)に示すように、紙間からシート先端部までの電源応答時間はゼロとなり最大限紙間を短縮することができる。
【0032】
すなわち、制御手段500は、紙間転写バイアス条件Tpを、シート先端部に印加するバイアス条件Tf及びシート後端部に印加するバイアス条件Tbにより設定されるとともに、その設定値をTp=(Tf+Tb)/2で示す式1により算出する。
【0033】
しかしながら、前記したように記録シートPに印加するバイアス条件Tf・Tbの設定値は、記録シートPの紙種や紙厚により異なるので、記録シートPの種類により、紙間のトナー濃度検出結果が異なってくる場合がある。この問題を解決するため、トナー濃度を検出するための基準電流値Tiを予め定めておき、プリント画像の作像が開始される前に、例えば図3に示すようなバイアス印加を行い、基準電流値Tiと紙間バイアスTpそれぞれの2次転写バイアス条件で転写されたトナーマークの濃度を個々にサンプリングし、このサンプリングデータを元に紙間バイアスTpを印加したときのトナー濃度検出結果を補正すればよい。
【0034】
すなわち、制御手段500は、トナーパターンを2次転写ローラ24(2次転写体)へ転写するための固定基準バイアス条件Tiを予め設定されていて、作像開始の信号を受けてプリント画像を作像する前に、紙間転写バイアス条件Tp及び固定基準バイアス条件Tiの両条件でトナーパターンを中間転写ベルト10上に作像し、当該トナーパターンの濃度を検出手段310で検出し、当該検出結果をそれぞれDp、Diとしてサンプリングする。そして、プリント開始後のトナーパターンを紙間転写バイアス条件Tpにて2次転写ローラ24(2次転写体)へ転写し、検出手段310で検出されるトナー濃度検出結果に、プリント開始前のサンプリングデータにより算出されるDi/Dpを乗じてトナーパターンの濃度検出結果の補正を行う。
【0035】
本形態のように、制御手段500に、トナーパターンを2次転写ローラ24へ転写するための固定基準バイアス条件Tiを予め設定し、作像開始の信号を受けてプリント画像を作像する前に、紙間転写バイアス条件Tp及び固定基準バイアス条件Tiの両条件でトナーパターンを中間転写ベルト10上に作像し、当該トナーパターンの濃度を検出手段310で検出し、当該検出結果をそれぞれDp、Diとしてサンプリングし、プリント開始後のトナーパターンを紙間転写バイアス条件Tpにて2次転写ローラ24へ転写し、検出手段310で検出されるトナー濃度検出結果に、プリント開始前のサンプリングデータにより算出されるDi/Dpを乗じてトナーパターンの濃度検出結果の補正を行うことで、紙間部の紙間バイアス条件を変更したことによる2次転写ローラ24上に転写されるトナーパターンの濃度変化量を補正することができ、より安定した濃度制御が可能となる。
【0036】
本形態のように、制御手段500が、装置立ち上げ時に初期調整動作を、プリント終了時に濃度調整制御をそれぞれ実行するとともに、初期調整動作または濃度調整制御の少なくとも一方を行う際に、固定基準バイアス条件Tiにて2次転写ローラ24上にトナーパターンを転写して濃度調整を行うことで、初期調整動作または濃度調整制御のような定期的な濃度調整動作が行われた際のトナーパターン濃度検知結果と、紙間での濃度検知結果の誤差を最小限に抑制し、より安定した濃度制御が行える。
【0037】
本形態のように、制御手段500で、紙間転写バイアス条件Tpを、シート先端部に印加するバイアス条件Tfと等しい条件に設定すると、紙間部からシート先端部までのバイアス条件が同じとなり、電圧印加手段160の立ち上がり応答性を考慮する必要が無く、紙間の長さを短縮することができ、より装置の生産性を向上することができる。
【0038】
本形態のように、制御手段500により、紙間転写バイアス条件Tpを、シート先端部に印加するバイアス条件Tf及びシート後端部に印加するバイアス条件Tbにより設定し、その設定値をTp=(Tf+Tb)/2で示す式1により算出することで、シート後端部・紙間・シート先端部にかけてのバイアス条件設定の変化量を最小限に抑制することができ、紙間長さを短縮することができ、より装置の生産性を向上することができる。
【0039】
本形態のように、中間転写ベルト10の少なくとも表面を弾性層で構成するとこで、記録シートPの表面性に依存しない良好な画像品質を達成可能であり、中間転写ベルト10上でトナー濃度を検出できない場合であって、2次転写ローラ24上で精度良くトナーパターンの濃度を検出できるため、濃度安定性にも優れた構成となり、より安定した濃度制御が可能となる。
【0040】
本形態において、2次転写体には2次転写ローラ24を用い、その表面24aに濃度検知用のトナーパターンを転写し、このトナーパターンの濃度を検出する構成としたが、2次転写体としては、この構成に限定されるものではない。例えば、2次転写体としては、複数のローラに張架された2次転写用のベルト部材で構成したものでも良い。この場合、ベルト部材には光学センサでの濃度検出安定性の観点で表面の光沢性に優れるポリイミド樹脂からなるものを使用することが好ましい。
【符号の説明】
【0041】
10 中間転写体
20(Y、M、C、K)像担持体
24 2次転写体
24a 2次転写体の表面
310 検出手段
500 制御手段
600 転写装置
P 記録媒体
Tp 紙間転写バイアス条件
Ti 固定基準バイアス条件
Tf 記録媒体の先端部に印加するバイアス条件
Tb 記録媒体の後端部に印加するバイアス条件
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】特開2010−44098号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上のトナー像が転写される中間転写体と、
転写バイアスを印加することで前記中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写するとともに、前記中間転写体上の紙間部に作像された濃度調整用のトナーパターンを2次転写体の表面に転写する転写装置と、
前記トナーパターンの濃度を検出する検出手段と、
前記トナーパターンを前記2次転写体へ転写する際の紙間部での紙間転写バイアス条件Tpを、前記記録媒体に印加するバイアス条件に応じて求める制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記トナーパターンを前記2次転写体へ転写するための固定基準バイアス条件Tiを予め設定されていて、作像開始の信号を受けてプリント画像を作像する前に、前記紙間転写バイアス条件Tp及び前記固定基準バイアス条件Tiの両条件でトナーパターンを前記中間転写体上に作像し、当該トナーパターンの濃度を前記検出手段で検出し、当該検出結果をそれぞれDp、Diとしてサンプリングし、
前記プリント開始後のトナーパターンを前記紙間転写バイアス条件Tpにて前記2次転写体へ転写し、前記検出手段で検出されるトナー濃度検出結果に、前記プリント開始前のサンプリングデータにより算出されるDi/Dpを乗じて前記トナーパターンの濃度検出結果の補正を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、装置立ち上げ時に初期調整動作を、プリント終了時に濃度調整制御をそれぞれ実行するとともに、前記初期調整動作または前記濃度調整制御の少なくとも一方を行う際に、前記固定基準バイアス条件Tiにて前記2次転写体上に前記トナーパターンを転写して濃度調整を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記紙間転写バイアス条件Tpを、記録媒体の先端部に印加するバイアス条件Tfと等しい条件に設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし3の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記紙間転写バイアス条件Tpを、記録媒体の先端部に印加するバイアス条件Tf及び記録媒体の後端部に印加するバイアス条件Tbにより設定されるとともに、その設定値をTp=(Tf+Tb)/2で示す式1により算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つに記載の画像形成装置において、
前記中間転写体は少なくとも表面が弾性層で構成されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−118120(P2012−118120A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265282(P2010−265282)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】