説明

画像形成装置

【課題】簡易な構成で、移動体上から残留トナーを回収することによって色味変動が発生することを防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の画像形成部のうち特定の画像形成部Pkにのみ、残留トナーを回収する回収手段70を設け、移動体5上に付着した残留トナーを、移動体5から特定の画像形成部Pkの像担持体1kに転移させて、回収手段70に回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザープリンター、複写機、ファクシミリなどの電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、特に、複数の像担持体から移動体上または移動体に担持された転写材にトナー像を転写する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置では、一般に、像担持体上に残留したトナー(残留トナー)を回収するための回収容器を必要とする。また、複数の像担持体に形成したトナー像を移動体上または移動体に担持された転写材上に転写するインライン(タンデム)型の画像形成装置では、一般に、像担持体上や移動体上の残留トナーを回収するために回収容器を必要とする。
【0003】
ブラックのトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロ画像形成装置では、像担持体上や移動体上の残留トナーを、現像器に回収し、画像形成動作において再利用させる方式が広く知られている。一方、複数色のトナーを用いて例えばフルカラー画像を形成するカラー画像形成装置では、少なくともイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが用いられ、色毎に現像器が設けられている。このようなカラー画像形成装置では、像担持体上や移動体上の残留トナーは、複数色のトナーが混在した状態で存在することになる。このような複数色が混在した残留トナーを特定の現像器に回収すると、混色が発生し、画像形成を行った際に色味が変動してしまう問題がある。
【0004】
そこで、特許文献1には、移動体上の複数色が混在した残留トナーをブラックの現像器に回収する方式が開示されている。これは、イエロー、マゼンタ、シアンが混色すると、ブラックを発色するという特徴を利用したものである。
【0005】
さらに、特許文献2には、移動体上に形成した単色のトナーからなる画像濃度検知用のトナー像(パッチ)を、それぞれの色の現像器に回収する方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−279474号公報
【特許文献2】特開2001−324855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、ジャムやミスプリントなどが発生した際には、大量のトナーが像担持体上や移動体上に残留する。なお、ジャムとは、転写材の搬送不良によって画像形成装置の動作が停止し、転写材が画像形成装置内に滞留した状態のことを言う。また、ミスプリントとは、形成された画像のサイズと転写材のサイズの不適合や画像形成タイミングと転写材の搬送タイミングのズレなどの理由で画像形成動作が停止し、像担持体上や移動体上にトナーが残留してしまった状態のことを言う。
【0008】
これら残留トナーの色比率を特定することは非常に困難である。このような状態で、すべてのトナーをブラックの現像器に回収すると、結果として、画像形成時のブラックの色味変動を引き起こす可能性が高い。また、ジャムやミスプリントなどでは、画像濃度検知時に形成するパッチと異なり、単色のトナーのみで形成されている訳ではないため、それぞれの色の現像器に回収するとことは非常に困難である。
【0009】
従って、本発明の目的は、簡易な構成で、移動体上から残留トナーを回収することによって色味変動が発生することを防止することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナーを担持して移動する像担持体および前記像担持体にトナーを供給してトナー像を形成する現像器を各々が備えた複数の画像形成部と、前記複数の画像形成部の各前記像担持体に接触しながら移動して、各前記像担持体から異なる色のトナーがその上又はその上に担持した転写材に転写される移動体と、を有する画像形成装置において、前記複数の画像形成部のうち特定の画像形成部にのみ、前記像担持体上のトナーを回収する回収手段が更に設けられており、前記移動体上の残留トナーを、前記特定の画像形成部において、トナーが前記移動体から前記像担持体に移動する方向の電界を前記像担持体と前記移動体との間に形成することで、前記像担持体に接触しながら移動する前記移動体から前記像担持体に転移させ、前記回収手段に回収することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構成で、移動体上から残留トナーを回収することによって色味変動が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の全体構成を示す概略縦断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る画像形成装置の要部の概略制御ブロック図である。
【図3】本発明に従う定期的なクリーニング動作における画像形成装置の状態を示す模式図である。
【図4】クリーニング装置当接離間機構の動作を説明するための模式図である。
【図5】本発明に従う不定期のクリーニング動作の一例の推移を説明するための模式図である。
【図6】本発明に従う不定期のクリーニング動作の一例の推移を説明するための模式図である(図5の続き)。
【図7】本発明に従う不定期のクリーニング動作の一例のシーケンス図である。
【図8】本発明に従う不定期のクリーニング動作の他の例の推移を説明するための模式図である。
【図9】本発明に従う不定期のクリーニング動作の他の例の推移を説明するための模式図である(図8の続き)。
【図10】本発明に従う不定期のクリーニング動作の他の例のシーケンス図である。
【図11】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の全体構成を示す概略縦断面図である。
【図12】本発明に従う画像形成動作の一例のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0014】
実施例1
1.画像形成装置の全体構成
まず、本発明の一実施例に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置100の全体構成を示す概略縦断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することのできる中間転写方式を採用したインライン(タンデム)型のレーザービームプリンタである。
【0015】
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、後述する中間転写ベルト5のトナー像を担持する面の移動方向において上流側から下流側へと順に一列に配置された、第1、第2、第3、第4の画像形成部Py、Pm、Pc、Pkを有する。第1、第2、第3、第4の画像形成部Py、Pm、Pc、Pkは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するためのものである。本実施例では、第1、第2、第3、第4の画像形成部Py、Pm、Pc、Pkの構成は共通する部分が多い。従って、以下特に区別を要しない場合は、いずれかの画像形成部に関して設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字y、m、c、kは省略して総括的に説明する。
【0016】
画像形成部Pは、移動可能な像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(感光体)、すなわち、感光ドラム1を備えている。感光ドラム1は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によって、矢印R1方向(時計回り)に回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に、次の各手段が設けられている。まず、感光ドラム1の表面を均一に帯電させる帯電手段としての帯電部材である帯電ローラ2である。次に、感光ドラム1に形成された静電潜像(静電像)にトナーを付着させてトナー像として現像する現像手段としての現像器4である。次に、各感光ドラム1から後述する中間転写ベルト5にトナー像を転写させる一次転写手段としての一次転写部材である一次転写ローラ8である。現像器4は、現像ローラ41と、現像ローラ42に供給する現像剤としてのトナーを収容する現像容器42とを有する。
【0017】
また、本実施例では、第4の画像形成部Pmには、感光ドラム1k上の残留トナーを回収する回収手段としてクリーニング装置70が設けられている。クリーニング装置70は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード71と、感光ドラム1k上から回収された残留トナーを収容する回収容器72と、を有する。クリーニングブレード71は、感光ドラム1kに当接して感光ドラム1kの表面に付着したトナーを掻き取る、クリーニング部材としての板状弾性体で形成されている。回収容器72は、クリーニングブレード71によって感光ドラム1kの表面から掻き取られたトナーを収容する。なお、第1、第2、第3の画像形成部Py、Pm、Pcには、このようなクリーニング装置は設けられていない。
【0018】
本実施例では、クリーニング装置による残留トナーの除去を受けない第1、第2、第3の画像形成部Py、Pm、Pcの感光ドラム1y、1m、1cが、第1の像担持体である。また、上記クリーニング装置70による残留トナーの除去を受ける第4の画像形成部Pkの感光ドラム1kが、第2の像担持体である。
【0019】
また、帯電処理された各感光ドラム1に画像情報に基づいてレーザービームを照射して、各感光ドラム1上に静電潜像(静電像)を形成するように、露光手段としてのレーザースキャナ3が配置されている。また、各感光ドラム1に対向するように、移動可能な移動体としての無端ベルト状の中間転写体である中間転写ベルト5が配置されている。中間転写ベルト5は、中間転写ベルト5を回転させる駆動ローラ51、中間転写ベルト5に適度なテンションを加えるための従動ローラ52、53に張架されている。中間転写ベルト5は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によって駆動ローラ51に駆動力が伝達されることで、矢印R2方向(反時計回り)に回転駆動され、各一次転写ローラ8により各感光ドラム1から転写されたトナー像を担持して搬送する。上記各一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5の内周面側において、各感光ドラム1に対向するように配置されている。そして、各一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を介して各感光ドラム1に押圧され、各感光ドラム1と中間転写ベルト5とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)N1を形成する。また、中間転写ベルト5の外周面側には、駆動ローラ51に対向する位置に、二次転写手段としての二次転写部材である二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は、中間転写ベルト5を介して駆動ローラ51に押圧され、二次転写ローラ9と中間転写ベルト5とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)N2を形成する。二次転写ローラ9は、中間転写ベルト5上のトナー像を転写材Sに転写させる。
【0020】
また、画像形成装置100には、転写材Sを収容するカセット11、カセット11から転写材Sを送り出す給送ローラ12、所定のタイミングに転写材Sを二次転写部N2へと搬送する搬送ローラ対13、定着手段としての定着装置10などが設けられている。
【0021】
なお、本実施例では、第1〜第3の画像形成部Py、Pm、Pcでは、感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2および現像器4とは、一体的にカートリッジ化されてプロセスカートリッジ30y、30m、30cを構成する。また、本実施例では、第4の画像形成部Pkでは、感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像器4およびクリーニング装置70とは、一体的にカートリッジ化されてプロセスカートリッジ30kを構成する。プロセスカートリッジ30y、30m、30c、30kは、画像形成装置100の本体に対して着脱可能とされている。
【0022】
また、画像形成装置100は、各画像形成部Pの各プロセスカートリッジ30を中間転写ベルト5に対して近接または退避させることで、各感光ドラム1を中間転写ベルト5に対し当接または離間させる当接離間機構(当接離間手段)が設けられている。本実施例では、当接離間機構は、画像形成装置100の本体内に装着された各プロセスカートリッジを、中間転写ベルト5に対して近接または退避させる方向にスライド移動させることを可能とするガイド部(図示せず)を有する。また、該当接離間機構は、画像形成装置100の本体内に装着された各プロセスカートリッジ30を中間転写ベルト5から離れる方向に付勢する付勢手段としての、各画像形成部Pに設けられたバネなどの付勢部材15を有する。また、該当接離間機構は、各プロセスカートリッジ30の中間転写ベルト5に対する位置を切り替えて、各感光ドラム1の中間転写ベルト5に対して当接または離間させる、各画像形成部Pに設けられた切替部材としてのカム部材14を有する。各カム部材14は、各付勢部材15の付勢力に抗して各プロセスカートリッジ30を中間転写ベルト5に近づける方向に押圧して、各感光ドラム1を中間転写ベルト5に当接させることができる。また、各カム部材14は、その押圧力を解除して、各プロセスカートリッジ30が各付勢部材15の付勢力によって中間転写ベルト5から離れる方向に移動することを許し、各感光ドラム1を中間転写ベルト5から離間させることができる。カム部材14は、後述する制御部60のCPU61(図2)によって、その駆動手段であるモータ(図示せず)の動作が制御されることによって、各感光ドラム1を中間転写ベルト5に近づける方向または中間転写ベルト5から離れる方向に移動させる。
【0023】
2.画像形成装置の各部の構成
次に、本実施例の画像形成装置100の各部の構成についてより詳しく説明する。
【0024】
感光ドラム1は、本実施例では直径30mmのアルミニウムシリンダの外周面に、有機光導電体層(OPC感光体)を塗布して構成されている。本実施例では、感光ドラム1の帯電極性は負極性である。感光ドラム1は、その両端部を支持部材によって回転自在に支持されており、一方の端部に駆動モータ(図示せず)からの駆動力が伝達されることにより、矢印R1方向(時計回り)に回転駆動される。
【0025】
帯電ローラ2は、導電性ローラで構成される。帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面に当接させられている。また、帯電ローラ2には帯電電圧印加手段としての帯電電源21(図2)が接続されている。帯電電源21によって、帯電ローラ2に負極性でかつ放電開始電圧以上の所定の帯電電圧(帯電バイアス)が印加されることにより、感光ドラム1の表面は一様に負極性に帯電させられる。
【0026】
レーザースキャナ3は、レーザー光学ユニットであり、駆動回路(図示せず)によって、画像信号に応じてレーザー光Lを点灯するよう制御される。このレーザー光Lによって、帯電済みの感光ドラム1の表面は選択的に露光され、感光ドラム1上に静電潜像が形成される。
【0027】
現像器4は、トナーを収納した現像容器42と、現像容器42に回転可能に支持された現像ローラ41とを有する。現像容器42に収容されたトナーが現像ローラ41に供給される。現像ローラ41に付着したトナーは、摺擦により正規の帯電極性(本実施例では負極性)に略一様に帯電させられる。また、現像ローラ41には、現像電圧印加手段としての現像電源22(図2)が接続されている。現像ローラ41にトナーが付着した状態で、現像電源22によって、現像ローラ41に感光ドラム1の表面電位より絶対値が小さくかつ負極性である現像電圧(現像バイアス)が印加される。これにより、感光ドラム1上の静電潜像の画像部のみにトナーを付着させることが可能となる。本実施例では、帯電処理された感光ドラム1の表面の露光により電荷が減衰した露光部に、感光ドラム1の帯電極性と同極性に帯電したトナーを付着させることで、感光ドラム1上の静電潜像はトナー像として現像される。
【0028】
一次転写ローラ8は、導電性ローラで構成される。本実施例では、一次転写ローラ8は、SUS(ステンレススチール)などの金属からなる外径6mmのシャフトの周囲に、外径12mmとなるよう発泡弾性体の層が形成された、発泡性弾性ローラとして構成されている。この発泡性弾性ローラは、106〜109Ωの抵抗を有する。一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を挟んで感光ドラム1に加圧される。また、一次転写ローラ8には、一次転写電圧印加手段としての一次転写電源23(図2)が接続されている。一次転写電源23によって、一次転写ローラ8にトナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加されることにより、感光ドラム1上のトナー像は中間転写ベルト6上に転写(一次転写)される。
【0029】
中間転写ベルト5は、107〜1014Ωcmの体積固有抵抗率を持たせた厚さ50〜150μm程度の無端のフィルム状部材で構成されている。なお、上記体積抵抗率は、JIS法K6911に準拠した測定プローブを用い、ADVANTEST社製高抵抗計R2340にて、温度は25℃、相対湿度は50%で、50〜100Vを印加して得た値である。
【0030】
二次転写ローラ9は、一次転写ローラ8と同様の構成、物性を有するものである。二次転写ローラ9は、転写材Sを介して中間転写ベルト5に加圧される。また、二次転写ローラ9には、二次転写電圧印加手段としての二次転写電源(図示せず)が接続されている。二次転写電源によって、二次転写ローラ9にトナーの正規の帯電極性である正極性の二次転写電源(二次転写バイアス)が印加されることにより、中間転写ベルト5上のトナー像は転写材S上に転写(二次転写)される。
【0031】
定着装置10は、定着手段としての加熱源を内蔵する加熱ローラ10Aと、加熱ローラ10Aに圧接して接触領域(ニップ)を形成する加圧手段としての加圧ローラ10Bとを有する。
【0032】
3.画像形成動作
例えば、フルカラー画像を形成する場合を例に画像形成装置100による画像形成動作を説明する。この場合、各画像形成部Pにおいて、各感光ドラム1が一様に帯電処理された後、レーザースキャ3によって各色の画像情報に応じて露光されることで、各感光ドラム1上に各色の画像情報に応じた静電潜像が形成される。各感光ドラム1に形成された静電潜像は、各現像器4によって各色のトナーでトナー像として現像される。各感光ドラム1上に形成されたトナー像は、各一次転写ローラ8の作用により、移動する中間転写ベルト5のトナー像を担持する面に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に重ね合わせて転写(一次転写)される。一方、画像形成装置100の本体下部に装着されたカセット11に収納された転写材Sが、給送ローラ12によって1枚ずつ分離給送されると共に、搬送ローラ対13により二次転写部N2へと搬送される。そして、中間転写ベルト5上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーからなる多重トナー像は、二次転写ローラ9の作用により、二次転写部N2に搬送された転写材Sに転写(二次転写)される。これにより、転写材上に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーからなる多重トナー像が形成される。トナー像が形成された転写材Sは、定着装置10に搬送され、加熱ローラ10Aと加圧ローラ10Bとからなるローラ対の接触部を通過させられることで、その上にトナー像が加熱定着される。その後、転写材Sは、画像形成装置100の上部の排出部へ排出される。
【0033】
なお、本実施例の画像形成装置100では、一次転写および二次転写は略100%の転写効率を達成している。そのため、上述の画像形成動作の過程において、感光ドラム1や中間転写ベルト5上に、視認できるレベルの残留トナー(転写残トナー)は存在しない。よって、本実施例では、第1〜第3の画像形成部Py、Pm、Pcの感光ドラム1y、1m、1cおよび中間転写ベルト5上の転写残トナーを回収するための特別の回収容器は設けられていない。ただし、詳しくは後述するように、ジャムやミスプリントなどによって発生した残留トナーなどを回収するために、第4の画像形成部Pkには、上述のようにクリーニング装置70が設けられている。
【0034】
4.制御態様
図2は、本実施例の画像形成装置1の要部の概略制御ブロック図である。画像形成装置100の動作は、画像形成装置100に設けられた制御部60の制御手段たるCPU61が統括的に行う。CPU61は、制御部60に設けられた記録手段としてのROM62、RAM63に記憶されたプログラムやデータに従って、画像形成装置100の各部の制御を行う。CPU61は、パーソナルコンピュータなどの外部装置から送られた画像情報に対して、画像処理部(図示せず)において所定の処理が施された画像形成用の信号に基づいて、画像形成装置100の各部を制御して、上述のような画像形成動作を実行させる。特に、本実施例との関係において、CPU61は、各画像形成部Pに設けられた各カム部材(切替部材)14による各感光ドラム1の中間転写ベルト5に対する当接または離間の状態の切り替え動作を制御する。また、CPU61は、第4の画像形成部Pkにおける、後述する当接レバー(クリーニング装置切替部材)73によるクリーニング装置70の感光ドラム1kに対する当接または離間の状態の切り替え動作を制御する。また、CPU61は、各画像形成部Pの各帯電電源21による各帯電ローラ2に対する電圧印加動作を制御する。また、CPU61は、各画像形成部Pの各現像電源22による各現像ローラ41に対する電圧印加動作を制御する。また、CPU61は、各画像形成部Pの各一次転写電源23による各一次転写ローラ8に対する電圧印加動作を制御する。
【0035】
ここで、詳しくは後述するように、各一次転写電源23は、トナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の電圧を出力する第1の電圧出力部と、トナーの正規の帯電極性と同極性である負極性の電圧を出力する第2の電圧出力部とを有する。そして、CPU61は、詳しくは後述するクリーニング動作などにおいて、第1の電圧出力部と第2の電圧出力部のいずれから電圧を出力させて、一次転写ローラ8に印加するのかを制御する。
【0036】
その他、本実施例との関係において、CPU61は、感光ドラム1、中間転写ベルト5を駆動する駆動手段(本実施例では共通の駆動モータ)のON/OFFなどを行う。
【0037】
5.残留トナーのクリーニング
5−1.定期的なクリーニング動作
上述のように本実施例の画像形成装置100では、一次転写および二次転写は略100%の転写効率を達成している。しかし、雰囲気温湿度や転写材Sの種類などによっては、100%の転写効率とならず、若干、感光ドラム1や中間転写ベルト5にトナーが残留する可能性がある。例えば、低温低湿環境下において、中間転写ベルト5、一次転写ローラ8、二次転写ローラ9などの電気抵抗が上昇すると、一次転写、二次転写のために必要とされる電界が形成されなくなる場合があり得る。また、表面の凹凸ムラが大きい転写材Sの場合、凹部と凸部で転写電界強度に違いが生じ、部分的に転写効率が低下する場合があり得る。
【0038】
このような状態で、画像形成装置100を使用し続けると、それら感光ドラム1や中間転写ベルト5上の残留トナーは、最終的には転写材Sに付着し、トナー汚れ(カブリ)となって顕在化することがある。
【0039】
これを防止するため、本実施例では、クリーニング動作を定期的に行う。図3を参照して説明すると、本実施例では、この定期的なクリーニング動作では、次のような動作を行う。
(1)第1〜第3の画像形成部Py、Pm、Pcの感光ドラム1y、1m、1cと中間転写ベルト5とを離間させる。このとき、第4の画像形成部Pkの感光ドラム1kと中間転写ベルト5とは接触させたたままである。
(2)第4の画像形成部Pkにおいて、クリーニング装置70のクリーニングブレード71を感光ドラム1kに当接させ、また一次転写ローラ8kにトナーの正規の帯電極性である負極性の電圧を印加する。すなわち、第4の画像形成部Pkの一次転写部N1k(つまり中間転写ベルトと感光ドラムとの間)に、正規の帯電極性である負極性に帯電したトナーを中間転写ベルト5から感光ドラム1kに向かわせる電界を形成する。
(3)第1〜第3の画像形成部Py、Pm、Pcの帯電ローラ2y、2m、2cに、それぞれ放電開始電圧以上の負極性のバイアスを印加する。
(4)第1〜第3の画像形成部Py、Pm、Pcの現像ローラ41y、41m、41cに、それぞれ感光ドラム1y、1m、1cの表面電位より絶対値が小さい負極性の電圧を印加する。
【0040】
ここで、上記(1)の動作は、中間転写ベルト5上に付着した負極性に帯電したトナーを、第1〜第3の画像形成部Py、Pm、Pcの感光ドラム1y、1m、1cに転移させないことを目的とする。
【0041】
また、上記(2)の動作は、中間転写ベルト5に付着した負極性に帯電したトナーを、第4の画像形成部Pkの感光ドラム1kに転移させ、さらにクリーニングブレード71によって感光ドラム1kから掻き取り、最終的に回収容器72に回収することを目的とする。このとき、クリーニング装置70は、図4(a)の状態から(b)の状態へと、当接レバー73が駆動手段(図示せず)によって図中矢印Aの方向に回動することで移動し、感光ドラム1kにクリーニングブレード71が当接する。なお、感光ドラム1kからクリーニングブレード71を離間させる際には、図4(b)の状態から(a)の状態へと、当接レバー73を駆動手段(図示せず)によって図中矢印Bの方向に回動させることで、クリーニング装置70を移動させる。画像形成時など、通常は、クリーニングブレード71は感光ドラム1kから離間されている。
【0042】
このように、本実施例では、画像形成装置100は、クリーニング装置70を感光ドラム1kに対して近接または退避させることで、クリーニングブレード71を感光ドラム1kに対し当接または離間させるクリーニング装置当接離間機構(当接離間手段)を有する。本実施例では、クリーニング装置当接離間機構は、クリーニング装置70を、感光ドラム1kに対して近接または退避させる方向に移動させることを可能とするクリーニング装置切替部材としての当接レバー73を有する。当接レバー73は、制御部60のCPU61(図2)によって、その駆動手段であるモータ(図示せず)の動作が制御されることによって、クリーニング装置70を感光ドラム1kに近づける方向または感光ドラム1kから離れる方向に揺動させる。
【0043】
また、上記(3)の動作は、第1〜第3の画像形成部Py、Pm、Pcの感光ドラム1y、1m、1kの表面を負極性に一様に帯電させるとともに、各感光ドラム1y、1m、1cに付着したトナーを負極性に帯電させることを目的とする。なお、このとき、トナーをより均一に帯電するために、第1〜第3の画像形成部Py、Pm、Pcの帯電ローラ2y、2m、2cに、負極性の直流電圧を重畳した交流電圧を印加してもよい。この場合、交流電圧の振幅が放電開始電圧以上となるように設定する。
【0044】
また、上記(4)の動作は、次のことを目的とする。すなわち、第1〜第3の画像形成部Py、Pm、Pcの感光ドラム1y、1m、1c上に付着した負極性に帯電したトナーを各現像ローラ41y、41m、41cに転移させ、最終的に各現像容器42y、42m、42cに回収することである。これら回収されたトナーは、次回以降の画像形成時に再利用されることとなる。
【0045】
上記(1)〜(4)の動作を、ほぼ同時に開始して、少なくとも中間転写ベルト5の1周分以上、継続して行う。好ましくは、当該動作の開始時に一次転写部N1kにおいて中間転写ベルト5上にあるトナーが次に一次転写部N1kに到達した後、クリーニングブレード71と感光ドラム1kとの当接部に到達し得る時点まで継続して行う。これにより、中間転写ベルト5上の負極性の残留トナーおよび第4の画像形成部Pkの感光ドラム1k上の負極性の残留トナーのほぼすべてを、第4の画像形成部Pkのプロセスカートリッジ30kに設けられた回収容器72に回収することが可能となる。また、第1〜第3の画像形成部Py、Pm、Pcの感光ドラム1y、Pc、Pk上の負極性の残留トナーは、各現像容器42y、42m、42cに回収される。
【0046】
なお、中間転写体5から感光ドラム1kへのトナーの転移を促進させるために、中間転写体5と感光ドラム1kとの間に、適当な周速差を設けてもよい。
【0047】
さらに、上述の一連の動作後に、中間転写ベルト5上の正極性の残留トナーを回収容器72に回収するための動作を行ってもよい。この場合、上記(2)の動作において、第4の画像形成部Pkの一次転写ローラ8kに印加する電圧の極性を上記極性とは逆極性の正極性とする。すなわち、第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kに、正規の帯電極性とは逆極性である正極性に帯電したトナーを中間転写ベルト5から感光ドラム1kに向かわせる電界を形成する。そして、上記(1)〜(4)と同様の動作を、少なくとも中間転写ベルト5の1周分以上継続する。好ましくは、上記電圧の極性の変更時に一次転写部N1kにおいて中間転写ベルト5上にあるトナーが次に一次転写部N1kに到達した後、クリーニングブレード71と感光ドラム1kとの当接部に到達し得る時点まで継続して行う。
【0048】
本実施例では、上述の動作を定期的に行うことで、感光ドラム1や中間転写ベルト5上に付着したトナーは、現像容器42y、42m、42cまたは回収容器72に回収することができる。そのため、トナー汚れ画像が顕在化するのを防止することが可能になる。本実施例では、この定期的なクリーニング動作は、転写材Sに画像を形成して出力する画像形成時以外の非画像形成時に行う。非画像形成時としては、次のものが挙げられる。画像形成装置100の電源投入時におけるスタンバイ状態となる前の準備動作時(前多回転動作時)。スタンバイ状態から実際に画像を形成し始めるまでの準備動作時(前回転動作時)。画像を出力した後に画像形成装置100がスタンバイ状態となるまでの準備(整理)動作時(後回転動作時)。複数の転写材Sに対する連続画像出力動作時における転写材Sと転写材Sとの間に相当する期間(紙間)。
【0049】
5−2.不定期のクリーニング動作
上述のように、本実施例の画像形成装置100では、通常の画像形成時には感光ドラム1、中間転写ベルト5に残留トナーは実質的に生じない。しかし、本実施例の画像形成装置100においても、上述の環境や転写材Sの凹凸などによって転写効率が低下する場合の他、ジャムやミスプリントなどで、感光ドラム1や中間転写ベルト5上に大量のトナーが付着する場合がある。
【0050】
なお、本実施例において、ジャムとは、転写材Sがカセット11から給紙され、画像形成装置100から排紙されるまでの間に、転写材Sの搬送不良により、画像形成動作が途中で打ち切られた状態のことを言う。また、本実施例において、ミスプリントとは、次のような理由で画像形成動作が途中で打ち切られて、感光ドラム1や中間転写ベルト5上にトナーが残留してしまった状態のことを言う。すなわち、中間転写ベルト5に形成された画像のサイズと転写材Sのサイズの不適合や画像形成タイミングと転写材Sの搬送タイミングのズレが生じたなどの理由である。画像形成動作が途中で打ち切られると、画像形成装置100の動作は停止される。
【0051】
前述のように、ジャムやミスプリントなどが発生した状態で、すべてのトナーをブラックの現像器に回収すると、画像形成時のブラックの色味変動を引き起こす可能性が高い。また、ジャムやミスプリントなどでは、中間転写ベルト5上の残留トナーは、単色のトナーのみからなる訳ではないため、それぞれの色の現像器に回収することは非常に困難である。
【0052】
本実施例の目的の一つは、簡易な構成で、ジャムやミスプリントなどが発生し、感光ドラム1や中間転写ベルト5上に大量の残留トナーが存在する場合でも、中間転写ベルト5から残留トナーを回収することによって色味変動が発生することを防止することである。
【0053】
そこで、本実施例では、概して、次のような構成とする。すなわち、特定の画像形成部Pkにのみ、像担持体上からトナーを回収する回収手段としてのクリーニング装置70を設ける。ジャムやミスプリントなどの処理後に、各感光ドラム1と中間転写ベルト5とを離間した状態で、各感光ドラム1を動作させることで、各感光ドラム1上の残留トナーを、それぞれの現像器4の現像容器42に回収する。また、中間転写ベルト5上の残留トナーは、上記特定の画像形成部Pkにおいて上記回収手段としてのクリーニング装置70に回収する。以下、更に詳しく説明する。
【0054】
次に、本実施例における不定期のクリーニング動作について具体例を示して更に詳しく説明する。図5および図6は、ジャムやミスプリントなどが発生して画像形成動作が停止した時からの、不定期のクリーニング動作の推移(状態I〜IVまで)に伴う、残留トナーおよび中間転写ベルト5の周りの主要な要素の状態を模式的に示している。
【0055】
ここでは、一例として、すべての感光ドラム1上に未転写のトナー像が載っており、またすべての色のトナー像の少なくとも一部が既に中間転写ベルト5上に一次転写されている状態で画像形成動作が停止した場合の動作を説明する。この場合、中間転写ベルト5上には、次のようなトナーの領域が存在する。即ち、第1、第2の画像形成部Py、Pmの一次転写部間のイエロートナーのみが転写されている領域と、該領域よりも搬送方向の先端側のイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のうち2色以上のトナーが混在して転写されている領域である。
【0056】
まず、図5(a)の状態Iは、ジャムやミスプリントなどが発生して画像形成動作が停止した直後の状態を示す。
【0057】
次に、図5(a)の状態Iから、図5(b)の状態IIに示すように、一旦すべての感光ドラム1と中間転写ベルト5とを離間させ、その後各感光ドラム1と中間転写ベルト5とをそれぞれ回転させる。この際に、各画像形成部Pの各帯電ローラ2には、放電開始電圧以上の負極性の電圧を印加する。あるいは、この際に、負極性の直流電圧を重畳した交流電圧(振幅が放電開始電圧以上)を印加してもよい。これは、各感光ドラム1の表面を負極性に一様に帯電させるとともに、各感光ドラム1に付着したトナーを負極性に帯電させる効果を意図したものである。さらに、この際に、各画像形成部Pの各現像ローラ41には、各感光ドラム1の表面電位より絶対値が小さい負極性の電圧を印加する。これは、各感光ドラム1上に付着した負極性に帯電したトナーを、各現像ローラ41に転移させ、最終的に各現像容器42に回収する効果を意図したものである。これにより、各感光ドラム1上の混色していない残留トナーは、各現像器4に回収されて再利用される。
【0058】
一方、図6(a)の状態IIIに示すように、中間転写ベルト5上のトナーの領域の先端が、第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kに到達する前に、第4の画像形成部Pkの感光ドラム1kと中間転写ベルト5とを接触させる。また、定期的なクリーニング動作における上記(2)の動作と同様に、第4の画像形成部Pkにおいて、クリーニングブレード71を感光ドラム1kに当接させ、一次転写ローラ8kに負極性の電圧を印加する。すなわち、第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kに、正規の帯電極性である負極性に帯電したトナーを中間転写ベルト5から感光ドラム1kに向かわせる電界を形成する。これは、図6(b)の状態IVに示すように、次の効果を意図したものである。すなわち、中間転写ベルト5に付着した負極性に帯電したトナーを、第4の画像形成部Pkの感光ドラム1kに転移させ、さらにクリーニングブレード71によって感光ドラム1kから掻き取って、最終的に回収容器72に回収する効果である。この動作を、中間転写ベルト5上のトナーの領域の後端が第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kを最初に通過した時点を基準として、少なくとも中間転写ベルト5の1周分以上、継続して行う。好ましくは、当該基準時に一次転写部N1kにおいて中間転写ベルト5上にあるトナーが次に一次転写部N1kに到達した後、クリーニングブレード71と感光ドラム1kとの当接部に到達し得る時点まで継続して行う。これにより、中間転写ベルト5上のトナー、特に混色した残留トナーを、最終的に回収容器72に回収することが可能となる。
【0059】
図7は、上述の一連のシーケンス動作における、中間転写ベルト5と感光ドラム1の接触状態と、帯電ローラ2および現像ローラ41に印加する電圧のON/OFF状態と、一次転写ローラ8に印加する電圧のON/OFF状態を示す。同図中に帯を示した期間が、接触状態、電圧のON状態をそれぞれ示しており、帯が示されていない期間が離間状態、電圧のOFF状態をそれぞれ示している。また、同図中、1st、2st、3st、4stはそれぞれ第1、第2、第3、第4の画像形成部Py、Pm、Pc、Pkを示す。
【0060】
なお、定期的なクリーニング動作の場合と同様に、トナーの転移促進のために、中間転写ベルト5と感光ドラム1kとの間に、適当な周速差を設けてもよい。
【0061】
さらに、上述の一連の動作後に、中間転写ベルト5上の正極性の残留トナーを回収容器71に回収するための動作を行ってもよい。この場合、図7に示すように、図6(a)、(b)の状態III、IVにおけるものと同様の動作を、第4の画像形成部Pkの一次転写ローラ8kに印加する電圧の極性を上記極性とは逆極性である正極性として行う。
【0062】
このように、本実施例では、移動体上の残留トナーを、特定の画像形成部Pkの像担持体1kに接触しながら移動する移動体5から像担持体1kに転移させ、回収手段70に回収する。このとき、特定の画像形成部Pkにおいて、トナーが移動体5から像担持体1kに移動する方向の電界を像担持体1kと移動体5との間に形成する。また、本実施例では、移動体上の残留トナーを回収手段70に回収する際に、複数の画像形成部Py〜Pkのうち特定の画像形成部以外の画像形成部Py〜Pcの各像担持体1は移動体5から離間させる。また、本実施例では、移動体上の残留トナーを回収手段70に回収するのに先立ち、複数の画像形成部Py〜Pkの各像担持体1を移動体5から離間させる。そして、複数の画像形成部Py〜Pkのそれぞれにおいて、像担持体1上の残留トナーを像担持体1の移動に伴って現像器4に回収する。
【0063】
図12は、本実施例の画像形成装置100の画像出力動作の概略フローを示す。まず、CPU61は、外部装置200からの画像形成要求を検知すると(S101)、前回転動作を開始させ、この前回転動作時に上述の定期的なクリーニング動作を行う(S102)。前回転動作が終了すると、転写材Sに転写して出力する画像を形成する画像形成動作を開始させる(S103)。CPU61は、画像形成装置100内の転写材Sの搬送経路中に設けられたトップセンサなどから入力される信号によってジャムやミスプリントなどの発生を監視する(S104)。そして、CPU61は、ジャムやミスプリントなどが発生しなければ、通常の画像形成動作を指定された枚数の画像を出力し(S105)、後回転動作を行わせる(S106)。その後、画像形成装置100の動作は終了する。一方、CPU61は、ジャムやミスプリントなどが発生したと判断した場合には(S104)、所定のジャム処理(詰まった転写材の除去など)などが行われたことを確認して、上述の不定期のクリーニング動作を行わせる(S107)。その後、画像形成装置100の動作は終了する。
【0064】
以上説明したように、本実施例によれば、ジャムやミスプリントなどで感光ドラム1や中間転写ベルト5上に大量のトナーが付着した場合に、各感光ドラム1上の混色していない残留トナーは、各色の現像容器42に回収し、再利用することができる。また、ジャムやミスプリントなどで感光ドラム1や中間転写ベルト5上に大量のトナーが付着した場合に、中間転写ベルト5上の残留トナー、特に、混色した残留トナーは特定の画像形成部Pkに設けた回収容器72に回収する。このため、残留トナーをブラック用の現像器に回収して再利用する場合と比べて、色味変動が起こるのを防止できる。
【0065】
実施例2
次に、本発明に係る画像形成装置の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成および動作は、実施例1の画像形成装置と同じである。従って、実施例1の画像形成装置のものと同一またはそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略し、本実施例にて特徴的な点について説明する。
【0066】
本実施例では、第4の画像形成部Pkにおいてクリーニングブレード71が感光ドラム1kに常時当接している。すなわち、本実施例では、画像形成装置100は、実施例1にて説明した、クリーニング装置当接離間機構を有していない。また、後述するように、本実施例では、不定期のクリーニング動作において各画像形成部Pの感光ドラム1と中間転写ベルト5とを離間させない。そのため、本実施例では、当該動作との関係では、実施例1にて説明した、各感光ドラム1と中間転写ベルト5との当接離間機構は設けられていなくてよい。
【0067】
次に、本実施例における不定期のクリーニング動作について具体例を示して更に詳しく説明する。図8および図9は、ジャムやミスプリントなどが発生して画像形成動作が停止した時からの、不定期のクリーニング動作の推移(状態I〜IVまで)に伴う、残留トナーおよび中間転写ベルト5の周りの主要な要素の状態を模式的に示している。
【0068】
ここでは、一例として、実施例1と同様に、すべての感光ドラム1上に未転写のトナー像が載っており、またすべての色のトナー像の少なくとも一部が既に中間転写ベルト5上に一次転写されている状態で画像形成動作が停止した場合の動作を説明する。
【0069】
まず、図8(a)の状態Iは、ジャムやミスプリントなどが発生して画像形成動作が停止した直後の状態を示す。
【0070】
次に、図8(a)の状態Iから、図5(b)の状態IIに示すように、第1〜第3の画像形成部Py、Pm、Pcの一次転写ローラ8y、8m、8cに正極性の電圧を印加する。これは、第1〜第3の画像形成部Py、Pm、Pcの各感光ドラム1y、1m、1cに付着した負極性に帯電したトナーを、中間転写ベルト5に転写させることを意図したものである。一方、第4の画像形成部Pkの一次転写ローラ8kには、負極性の電圧を印加する。これは、次のことを意図したものである。すなわち、第4の画像形成部Pkの感光ドラム1k上の残留トナーをクリーニングブレード71によって掻き取り、回収容器72に回収することである。また、中間転写ベルト5に付着した負極性に帯電したトナーを、第4の画像形成部Pkの感光ドラム1kに転移させ、クリーニングブレード71によって掻き取り、回収容器72に回収することである。この動作を、図9(a)の状態IIIに示すように、画像形成動作が停止した時点で第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kにあった中間転写ベルト5上の位置を基準として、少なくとも中間転写ベルト5の1周分以上、継続して行う。好ましくは、当該基準時に一次転写部N1kにおいて中間転写ベルト5上にあるトナーが次に一次転写部N1kに到達した後、クリーニングブレード71と感光ドラム1kとの当接部に到達し得る時点まで継続して行う。これにより、図9(b)の状態IVに示すように、中間転写ベルト5上のトナーを、最終的に回収容器72に回収することが可能となる。
【0071】
図9(a)、(b)に示す状態III、IVでは、第1〜第4の画像形成部Py、Pm、Pc、Pkの各一次転写ローラ8y、8m、8c、8kには、図8(b)の状態IIで印加した電圧を継続して印加する。これにより、中間転写ベルト5上のトナーは、第1〜第3の画像形成部Py、Pm、Pcの一次転写部N1y、N1m、N1cを通過する。そして、第4の画像形成部Pkの一次転写部N1kにおいて感光ドラム1kへと転移し、クリーニングブレード71によって掻き取られ、最終的に回収容器72に回収される。
【0072】
図10は、上述の一連のシーケンス動作における、中間転写ベルト5と感光ドラム1の接触状態と、帯電ローラ2および現像ローラ41に印加する電圧のON/OFF状態と、一次転写ローラ8に印加する電圧のON/OFF状態を示す。同図中に帯を示した期間が、接触状態、電圧のON状態をそれぞれ示しており、帯が示されていない期間が離間状態、電圧のOFF状態をそれぞれ示している。また、同図中、1st、2st、3st、4stはそれぞれ第1、第2、第3、第4の画像形成部Py、Pm、Pc、Pkを示す。
【0073】
なお、定期的なクリーニング動作の場合と同様に、トナーの転移促進のために、中間転写ベルト5と感光ドラム1kとの間に、適当な周速差を設けてもよい。
【0074】
さらに、上述の一連の動作後に、中間転写ベルト5上の正極性の残留トナーを回収容器72に回収するための動作を行ってもよい。この場合、図10に示すように、図8(b)、図9(a)および図9(b)の状態II、III、IVにおけるものと同様の動作を、各一次転写ローラ8y、8m、8c、8kに印加する電圧の極性をそれぞれ上記極性とは逆極性として行う。
【0075】
このように、本実施例では、移動体上の残留トナーを回収手段70に回収する際に、複数の画像形成部Py〜Pkのうち特定の画像形成部以外の画像形成部Py〜Pcの各像担持体1は移動体5に接触させる。また、そのとき、特定の画像形成部以外の画像形成部Py〜Pcにおいてトナーが像担持体1から移動体5に向けて移動する方向の電界を像担持体1と移動体5との間に形成する。
【0076】
以上説明したように、本実施例によれば、不定期のクリーニング動作の際に、各感光ドラム1と中間転写ベルト5とを離間する必要が無いので、画像形成装置100が各感光ドラム1と中間転写ベルト5との離間機構を備えていない場合にも実行可能である。従って、画像形成装置100の構成の簡易化に有利である。また、本実施例では、クリーニングブレード71と感光ドラム11kとの離間機構も必要ないので、この点においても画像形成装置100の構成の簡易化に有利である。
【0077】
その他の実施例
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
【0078】
例えば、上記各本実施例では、残留トナーを回収する回収手段としてのクリーニング装置70を、特定の画像形成部として、ブラック用の画像形成部に設置したが、これを設置する画像形成部はブラック用のものに限定されるものではない。特定の画像形成部として、その他の色用の画像形成部に設けても、上記各実施例と同様の効果が得られる。
【0079】
また、上記各実施例では、複数の画像形成部によって中間転写ベルトに形成するトナー像の色順はイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックであるとして説明したが、これに限定されるものではなく、任意の順番であってよい。また、色数も4色に限定されるものではなく、より少なくてもまたはより多くてもよい。そして、残留トナーを回収する回収手段を備えた特定の画像形成部は、中間転写ベルトに何番目にトナー像を形成する画像形成部であってもよい。
【0080】
また、上記各実施例では、画像形成装置100は、定期的なクリーニング動作と不定期のクリーニング動作との両方を行うものとして説明したが、画像形成装置100が不定期のクリーニング動作のみを行うものとされていてもよい。
【0081】
また、上記各実施例では、画像形成装置100は中間転写方式のものであるとして説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。移動体として例えば無端ベルト状の転写材担持体である搬送ベルトを有する直接転写方式の画像形成装置にも本発明を適用することができる。図11に直接転写方式の画像形成装置の一例の概略構成を示す。なお、図11の画像形成装置300において、図1の画像形成装置100のものと同一またはそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。例えば、図11に示すように、直接転写方式の画像形成装置300は、中間転写方式の画像形成装置における中間転写体の代わりに、転写材担持体としての例えば搬送ベルト301を有する。そして、この搬送ベルト301に転写材Sを担持して搬送しながら、この転写材S上に直接、各画像形成部Pの各感光ドラム1上に形成されたトナー像を順次転写していく。このような直接転写方式の画像形成装置300においても、転写材Sが搬送不良により搬送されなかった場合などに、搬送ベルト301上に残留トナーが付着することがある。そのため、このような直接転写方式の画像形成装置300においても、本発明を適用することが可能である。この場合には、上述の実施例における中間転写ベルト5を、搬送ベルト301に置き換えて、上述の実施例における一連の動作を行えばよい。
【符号の説明】
【0082】
1 感光ドラム(像担持体)
2 帯電ローラ
4 現像器
5 中間転写ベルト(移動体)
8 一次転写ローラ
9 二次転写ローラ
41 現像ローラ
42 現像容器
70 クリーニング装置(回収手段)
71 クリーニングブレード
72 回収容器
73 当接レバー(クリーニング装置切替部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを担持して移動する像担持体および前記像担持体にトナーを供給してトナー像を形成する現像器を各々が備えた複数の画像形成部と、前記複数の画像形成部の各前記像担持体に接触しながら移動して、各前記像担持体から異なる色のトナーがその上又はその上に担持した転写材に転写される移動体と、を有する画像形成装置において、
前記複数の画像形成部のうち特定の画像形成部にのみ、前記像担持体上のトナーを回収する回収手段が更に設けられており、
前記移動体上の残留トナーを、前記特定の画像形成部において、トナーが前記移動体から前記像担持体に移動する方向の電界を前記像担持体と前記移動体との間に形成することで、前記像担持体に接触しながら移動する前記移動体から前記像担持体に転移させ、前記回収手段に回収することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記移動体上の残留トナーを前記回収手段に回収する際に、前記複数の画像形成部のうち前記特定の画像形成部以外の画像形成部の各前記像担持体は前記移動体から離間させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記移動体上の残留トナーを前記回収手段に回収するのに先立ち、前記複数の画像形成部の各前記像担持体を前記移動体から離間させ、前記複数の画像形成部のそれぞれにおいて、前記像担持体上の残留トナーを前記像担持体の移動に伴って前記現像器に回収することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記移動体上の残留トナーを前記回収手段に回収する際に、前記複数の画像形成部のうち前記特定の画像形成部以外の画像形成部の各前記像担持体は前記移動体に接触させ、かつ、前記特定の画像形成部以外の画像形成部においてトナーが前記像担持体から前記移動体に向けて移動する方向の電界を前記像担持体と前記移動体との間に形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−123069(P2012−123069A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272022(P2010−272022)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】